JP3562028B2 - シールド掘進機 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はシールド掘進機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、地下鉄の新線を建設する際には、本線になるべき線路が敷設され且つプラットホームが構築される駅部分の空間や、本線及び待避線になるべき線路の双方が敷設される駅近傍部分の空間を、地表面から開削工法により下方へ掘削して形成させ、次いで、駅部分の空間あるいは駅近傍部分の空間を掘進基点として、本線になるべき線路のみが敷設される駅間部分の空間を、シールド工法により横方向に掘削して形成させている。
【0003】
しかしながら、駅部分の空間や駅近傍部分の空間を形成させる工事は大断面開削となるため、作業が煩雑で工期が長くなる傾向を呈する。
【0004】
また、駅部分の空間や駅近傍部分の空間が、交通量が多い道路の直下となる場合には、開削作業や駅施設の躯体を構築後の埋め戻し作業を実施する際に、道路の車線規制等を行う必要がある。
【0005】
そこで、近年、駅部分や駅近傍部分となる大口径掘削孔を形成させた後、該大口径掘削孔に連なって駅間部分となる小口径掘削孔を形成させることが可能なシールド掘進機の研究開発が行われている。
【0006】
図7及び図8は、大口径掘削孔と小口径掘削孔の双方を形成させることが可能なシールド掘進機の一例を示すものである。
【0007】
このシールド掘進機は、形成すべき小口径掘削孔に応じた外径を有する円筒状の小口径シールドフレーム1と、土砂を掘削して小口径掘削孔を形成する内側カッターフレーム2と、形成すべき大口径掘削孔に応じた外径を有する円筒状の大口径シールドフレーム3と、前記の内側カッターフレーム2とともに土砂を掘削して大口径掘削孔を形成する外側カッターフレーム4と、小口径シールドフレーム1、あるいは、大口径シールドフレーム3を前進させるための複数のシールドジャッキ5とを備えている。
【0008】
小口径シールドフレーム1の前端部内周面には、内側カッターフレーム2を回動可能に支持するためのボックス構造の内側軸受ブロック6が設けられており、この内側軸受ブロック6に内接するように固着されたバルクヘッド7により、前方側から小口径シールドフレーム1の内部に泥水が流れ込まないようになっている。
【0009】
上記の内側軸受ブロック6には、小口径シールドフレーム1の内部に配置された送泥管16の下流端が内側軸受ブロック6の前方の空間に連通するように取り付けられ、また、バルクヘッド7には、小口径シールドフレーム1の内部に配置された排泥管17の上流端がバルクヘッド7の前方の空間に連通するように取り付けられている。
【0010】
小口径シールドフレーム1の後端部内周面には、ボックス構造のジャッキブロック8が設けられており、該ジャッキブロック8には、小口径トンネルセグメント18により反力をとって小口径シールドフレーム1に推力を付与するためのシールドジャッキ5が装着できるようになっている。
【0011】
小口径シールドフレーム1の後端部には、該小口径シールドフレーム1と略等しい外径を有し且つ後方へ向って延びる円筒状のテールシール19が装着できるようになっている。
【0012】
内側カッターフレーム2は、小口径シールドフレーム1と略同一の外径を有し且つ前端面から後端面へ貫通する複数のスリット9を有する円盤状のカッター本体10と、該カッター本体10の前端面に取り付けられた複数のビット11と、前記のカッター本体10の後端面に同軸に締結されたボックス構造の回動環12とから構成されている。
【0013】
上記の回動環12は、軸受13を介して内側軸受ブロック6に枢支され且つ該内側軸受ブロック6の後方に設けた複数のカッター駆動用モータ14により駆動されるように構成されている。
【0014】
内側カッターフレーム2を構成するカッター本体10の後端面と前記の小口径シールドフレーム1の前端面との間には、これらと等しい外径を有する環状体をなす先端ブロック15が設置され得るようになっている。
【0015】
この先端ブロック15は、小口径掘削孔を形成させる際には、小口径シールドフレーム1の前端に装着され、大口径掘削孔を形成させる際には、周方向に複数の部材に分割されて小口径シールドフレーム1の前端から取り外されるようになっている。
【0016】
大口径シールドフレーム3の内周面には、前記の小口径シールドフレーム1に内接可能なボックス構造の外側支持ブロック20が設けられており、大口径シールドフレーム3は、外側支持ブロック20を介して小口径シールドフレーム1に同軸に外嵌するようになっている。
【0017】
また、この外側支持ブロック20には、大口径トンネルセグメント22により反力をとって大口径シールドフレーム3に推力を付与するためのシールドジャッキ5が装着できるようになっている。
【0018】
上記の外側支持ブロック20には、大口径シールドフレーム3の内部に配置された外側送泥管27の下流端が外側支持ブロック20の前方の空間に連通するように取り付けられている。
【0019】
また、外側送泥管27の上流端は、大口径シールドフレーム3が小口径シールドフレーム1に外嵌した状態において、前記の送泥管16の中間部分の送泥着脱管28(図7参照)を他の送泥着脱管29(図8参照)に交換することにより、該送泥着脱管29を介して送泥管16に連通するようになっている。
【0020】
大口径シールドフレーム3の後端部には、該大口径シールドフレーム3と略等しい外径を有し且つ後方へ向って延びる円筒状のテールシール23が装着できるようになっている。
【0021】
外側カッターフレーム4は、大口径シールドフレーム3と略同一の外径を有し且つ前端面から後端面へ貫通する複数のスリット24を有する環状のカッター本体25と、該カッター本体25の前端面に取り付けられた複数のビット26と
から構成されている。
【0022】
上記のカッター本体25は、先に述べた内側カッターフレーム2を構成するカッター本体10に外嵌固着できるようになっている。
【0023】
以下、図7及び図8に示すシールド掘進機の作動を説明する。
【0024】
大口径掘削孔を先に形成させ且つ該大口径掘削孔に連なる小口径掘削孔を形成させる際には、大口径シールドフレーム3を小口径シールドフレーム1に外嵌固着し、外側カッターフレーム4を内側カッターフレーム2に外嵌固着する(図8参照)。
【0025】
特に、小口径シールドフレーム1の前端と大口径シールドフレーム3の外側支持ブロック20の前端内縁部とは、溶接等の手段によって水密が保持されるようにしておく。
【0026】
また、シールドジャッキ5を大口径シールドフレーム3の外側支持ブロック20に装着し、テールシール23を大口径シールドフレーム3の後端部に装着し、送泥着脱管29により外側送泥管27の上流端を送泥管16に接続する。
【0027】
更に、大口径シールドフレーム3を下側から支持する発進架台(図示せず)に載置したうえ、シールド掘進機を地表から下方へ向って開削した縦坑に投入する。
【0028】
次いで、カッター駆動用モータ14を作動させて内側カッターフレーム2と外側カッターフレーム4とを一体的に回動させ、また、各シールドジャッキ5を伸張させて大口径シールドフレーム3に推力を付与すると、両カッターフレーム2,4のビット11,26によりシールド掘進機の前方の土砂(地山)が切り崩されるとともに、大口径シールドフレーム3が発進架台から前進する。
【0029】
このとき、送泥管16、送泥着脱管29、外側送泥管27を介して大口径シールドフレーム3の外側支持ブロック20の前方の空間に泥水を送給し、この泥水により両カッターフレーム2,4のビット11,26が切り崩す土砂を排泥管17を介して小口径シールドフレーム1の後方へ排出する。
【0030】
一方、所定距離だけ大口径シールドフレーム3が前進したならば、小口径シールドフレーム1の後端部に設けられているセグメント組立装置(図示せず)によって大口径トンネルセグメント22を設置する。
【0031】
上記の作動を繰り返すことによって、大口径掘削孔の掘削終了部分に予め開削しておいた縦坑にシールド掘進機が到達したならば、小口径シールドフレーム1に対する大口径シールドフレーム3の固着を解除し、内側カッターフレーム2に対する外側カッターフレーム4の固着を解除する。
【0032】
また、大口径シールドフレーム3の外側支持ブロック20から小口径シールドフレーム1のジャッキブロック8にシールドジャッキ5を付け替え、送泥着脱管29を送泥着脱管28に交換することにより、送泥管16に対する外側送泥管27の連通を解除する。
【0033】
更に、各シールドジャッキ5の反力をとるための部材を、大口径シールドフレーム3の後端部に設置し、小口径シールドフレーム1を支持するための架台(図示せず)を前述した大口径掘削孔の掘削終了部分に予め開削しておいた縦坑に設置した後、各シールドジャッキ5を伸張させて小口径シールドフレーム1に推力を付与すると、小口径シールドフレーム1と内側カッターフレーム2とが大口径シールドフレーム3と外側カッターフレーム4とから抜け出て、小口径シールドフレーム1が前記の縦坑に設置した架台へ向って前進する。
【0034】
小口径シールドフレーム1が架台に支持されたならば、小口径シールドフレーム1の後端部にテールシール19を装着し、各シールドジャッキ5の反力をとるための部材を、小口径シールドフレーム1を支持している架台に設置する。
【0035】
次いで、カッター駆動用モータ14を作動させて内側カッターフレーム2を回動させ、また、各シールドジャッキ5を伸張させて小口径シールドフレーム1に推力を付与すると、内側カッターフレーム2のビット11によりシールド掘進機の前方の土砂(地山)が切り崩されるとともに、小口径シールドフレーム1が前記の架台から前進する(図7参照)。
【0036】
このとき、送泥管16を介して小口径シールドフレーム1の内側軸受ブロック6の前方の空間に水を送給し、この水により内側カッターフレーム2のビット11が切り崩す土砂を排泥管17を介して小口径シールドフレーム1の後方へ排出する。
【0037】
一方、所定距離だけ小口径シールドフレーム1が前進したならば、小口径シールドフレーム1の後端部に設けられているセグメント組立装置(図示せず)によって小口径トンネルセグメント18を設置する。
【0038】
なお、小口径掘削孔を先に形成させ且つ該小口径掘削孔に連なる大口径掘削孔を形成させる際には、小口径シールドフレーム1及び内側カッターフレーム2等によって小口径掘削孔を掘削するとともに、小口径掘削孔の掘削終了部分に予め開削しておいた縦坑に、大口径シールドフレーム3及び外側カッターフレーム4等を設置しておき、小口径掘削孔の掘削が終了した後に、大口径シールドフレーム3及び外側カッターフレーム4に小口径シールドフレーム1及び内側カッターフレーム2を嵌入固着して、大口径掘削孔の掘削を行うようにする。
【0039】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、大口径掘削孔を先に形成させ且つ該大口径掘削孔に連なる小口径掘削孔を形成させる際に、小口径シールドフレーム1に大口径シールドフレーム3が外嵌した状態において、該大口径シールドフレーム3が受ける土圧等の影響によって外側支持ブロック20に変形が生じると、大口径シールドフレーム3から小口径シールドフレーム1を分離しにくくなることが予想される。
【0040】
一方、小口径掘削孔を先に形成させ且つ該小口径掘削孔に連なる大口径掘削孔を形成させる際に、大口径シールドフレーム3に小口径シールドフレーム1を嵌入するのにあたって、小口径シールドフレーム1の外周形状並びに外側支持ブロック20の内周形状が設計通りになっていないと、大口径シールドフレーム3に小口径シールドフレーム1を結合しにくくなることが予想される。
【0041】
本発明は上述した実情に鑑みてなしたもので、小口径シールドフレームと該小口径シールドフレームに外嵌する大口径シールドフレームとを有するシールド掘進機において、大口径シールドフレームに対する小口径シールドフレームの分離あるいは結合を容易に行えるようにすることを目的としている。
【0042】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明のシールド掘進機においては、形成すべき小口径掘削孔に応じた外径を有する円筒状の小口径シールドフレームと、該小口径シールドフレームの前端部に回動可能に支持され且つ土砂を掘削する内側カッターフレームと、形成すべき大口径掘削孔に応じた外径を有する円筒状の大口径シールドフレームと、前記の内側カッターフレームに外嵌可能に形成され且つ内側カッターフレームとともに土砂を掘削する外側カッターフレームと、前記の大口径シールドフレームの内部に同軸に設けられ且つ小口径シールドフレームの外径よりも大きい内径を有する外側支持ブロックと、前記の小口径シールドフレームの後端部もしくは大口径シールドフレームの後端部に装着可能なシールドジャッキとを備え、大口径シールドフレームを小口径シールドフレームに外嵌させた際に、小口径シールドフレームの外周面下部に下方から当接して両シールドフレームを同軸に位置させるレールを有し且つレール接触箇所以外の小口径シールドフレーム外周面と大口径シールドフレーム内周面との間に間隙を形成する摺動支持装置を、前記の外側支持ブロックの内周面に設けている。
【0043】
また、上記の摺動支持装置に替えて、大口径シールドフレームを小口径シールドフレームに外嵌させた際に、小口径シールドフレームの外周面下部に下方から当接して両シールドフレームを同軸に位置させる転動体を有し且つ転動体接触箇所以外の小口径シールドフレーム外周面と大口径シールドフレーム内周面との間に間隙を形成する転動支持装置を、転動体を有し且つ転動体接触箇所以外の小口径シールドフレーム外周面と大口径シールドフレーム内周面との間に間隙を形成する転動支持装置を、前記の外側支持ブロックの内周面に設けるようにする。
【0044】
【作用】
本発明のシールド掘進機では、大口径シールドフレームの内部に設ける外側支持ブロックの内径を小口径シールドフレームの外径よりも大きく形成し、大口径シールドフレームを小口径シールドフレームに外嵌する際に両シールドフレームを同軸に支持する摺動支持装置あるいは転動支持装置を外側支持ブロックの内周面に設けることにより、大口径シールドフレームと小口径シールドフレームとの結合及び分離を容易にする。
【0045】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0046】
図1から図3は本発明のシールド掘進機の第1の実施例を示すもので、本実施例における小口径シールドフレーム1、内側カッターフレーム2、外側カッターフレーム4、シールドジャッキ5の基本的な構造は、図7及び図8に示す従来のものと同等であり、図中、図7及び図8と同一の符号を付した部分は同一物を表している。
【0047】
本実施例では、大口径シールドフレーム3の内周面に、小口径シールドフレーム1の外径よりも大きい内径を有するボックス構造の外側支持ブロック31を設けている。
【0048】
この外側支持ブロック31には、大口径トンネルセグメント22により反力をとって大口径シールドフレーム3に推力を付与するためのシールドジャッキ5が装着できるようになっている。
【0049】
外側支持ブロック31の内周面下部に位置する部分には、大口径シールドフレーム3の軸線と同方向に延びる2本の凹条溝32が形成されている。
【0050】
各凹条溝32は、大口径シールドフレーム3が架台に支持される際において荷重を受ける外側支持ブロック31の縦通部材33に沿い、また、シールド掘進機の掘削方向に見ると、大口径シールドフレーム3の中心線に対してそれぞれ30゜の角度をなしている。
【0051】
更に、凹条溝32には、摺動支持装置40が設けられている。
【0052】
この摺動支持装置40は、図3に示すように、凹条溝32の溝底部にライナ35を介して敷設された大口径シールドフレーム3の軸線に平行なレール34と、該レール34を外側支持ブロック31に固着するレールクランプ36とによって構成されている。
【0053】
各レール34のヘッド部34aは、凹条溝32から大口径シールドフレーム3の中心側へ向って突出しており、小口径シールドフレーム1に大口径シールドフレーム3を外嵌させた際には、先に述べた外側支持ブロック31の縦通部材33と同角度で内側軸受ブロック6に設けられている縦通部材21に沿うように、各レール34のヘッド部34aが小口径シールドフレーム1の外周面下部の所定箇所に下方から接して小口径シールドフレーム1と大口径シールドフレーム3とが同軸に位置するとともに、ヘッド部34aの接触箇所以外の小口径シールドフレーム1の外周面と大口径シールドフレーム3の内周面との間に間隙37が形成されるようになっている。
【0054】
上記の外側支持ブロック31には、大口径シールドフレーム3の内部に配置された外側送泥管27の下流端が外側支持ブロック31の前方の空間に連通するように取り付けられている。
【0055】
また、外側送泥管27の上流端は、大口径シールドフレーム3が小口径シールドフレーム1に外嵌した状態において、送泥管16の中間部分の送泥着脱管28(図7参照)を他の送泥着脱管29(図1参照)に交換することにより、該送泥着脱管29を介して送泥管16に連通するようになっている。
【0056】
大口径シールドフレーム3の後端部には、該大口径シールドフレーム3と略等しい外径を有し且つ後方へ向って延びる円筒状のテールシール23が装着できるようになっている。
【0057】
以下、図1から図3に示すシールド掘進機の作動を説明する。
【0058】
大口径掘削孔を先に形成させ且つ該大口径掘削孔に連なる小口径掘削孔を形成させる際には、大口径シールドフレーム3を小口径シールドフレーム1に外嵌固着し、外側カッターフレーム4を内側カッターフレーム2に外嵌固着する(図1参照)。
【0059】
特に、小口径シールドフレーム1の前端と大口径シールドフレーム3の外側支持ブロック31の前端内縁部とは、溶接等の手段によって水密が保持されるようにしておく。
【0060】
このとき、本実施例においては、大口径シールドフレーム3の外側支持ブロック31の内径が小口径シールドフレーム1の外径よりも大きく形成されているので、小口径シールドフレーム1並びに外側支持ブロック31の工作精度に左右されることなく、大口径シールドフレーム3に小口径シールドフレーム1を容易に結合させることができる。
【0061】
また、シールドジャッキ5を大口径シールドフレーム3の外側支持ブロック31に装着し、テールシール23を大口径シールドフレーム3の後端部に装着し、送泥着脱管29により外側送泥管27の上流端を送泥管16に接続する。
【0062】
更に、大口径シールドフレーム3を下側から支持する発進架台(図示せず)に載置したうえ、シールド掘進機を地表から下方へ向って開削した縦坑に投入する。
【0063】
次いで、カッター駆動用モータ14を作動させて内側カッターフレーム2と外側カッターフレーム4とを一体的に回動させ、また、各シールドジャッキ5を伸張させて大口径シールドフレーム3に推力を付与すると、両カッターフレーム2,4のビット11,26によりシールド掘進機の前方の土砂(地山)が切り崩されるとともに、大口径シールドフレーム3が発進架台から前進する。
【0064】
このとき、送泥管16、送泥着脱管29、外側送泥管27を介して大口径シールドフレーム3の外側支持ブロック31の前方の空間に泥水を送給し、この泥水により両カッターフレーム2,4のビット11,26が切り崩す土砂を排泥管17を介して小口径シールドフレーム1の後方へ排出する。
【0065】
一方、所定距離だけ大口径シールドフレーム3が前進したならば、小口径シールドフレーム1の後端部に設けられているセグメント組立装置(図示せず)によって大口径トンネルセグメント22を設置する。
【0066】
上記の作動を繰り返すことによって、大口径掘削孔の掘削終了部分に予め開削しておいた縦坑にシールド掘進機が到達したならば、小口径シールドフレーム1に対する大口径シールドフレーム3の固着を解除し、内側カッターフレーム2に対する外側カッターフレーム4の固着を解除する。
【0067】
また、大口径シールドフレーム3の外側支持ブロック31から小口径シールドフレーム1のジャッキブロック8にシールドジャッキ5を付け替え、送泥着脱管29を送泥着脱管28に交換することにより、送泥管16に対する外側送泥管27の連通を解除する。
【0068】
更に、各シールドジャッキ5の反力をとるための部材を、大口径シールドフレーム3の後端部に設置し、小口径シールドフレーム1を支持するための架台(図示せず)を前述した大口径掘削孔の掘削終了部分に予め開削しておいた縦坑に設置した後、各シールドジャッキ5を伸張させて小口径シールドフレーム1に推力を付与すると、小口径シールドフレーム1と内側カッターフレーム2とが大口径シールドフレーム3と外側カッターフレーム4とから抜け出て、小口径シールドフレーム1が前記の縦坑に設置した架台へ向って前進する。
【0069】
このとき、本実施例においては、各レール34のヘッド部34aだけが小口径シールドフレーム1の外周面下部の所定箇所に下方から接し、ヘッド部34aの接触箇所以外の小口径シールドフレーム1の外周面と大口径シールドフレーム3の内周面との間に間隙37が形成されているので、大口径シールドフレーム3が受ける土圧等の影響によって外側支持ブロック31に変形が生じたとしても、大口径シールドフレーム3から小口径シールドフレーム1を容易に分離させることができる。
【0070】
小口径シールドフレーム1が架台に支持されたならば、小口径シールドフレーム1の後端部にテールシール19を装着し、各シールドジャッキ5の反力をとるための部材を、小口径シールドフレーム1を支持している架台に設置する。
【0071】
次いで、カッター駆動用モータ14を作動させて内側カッターフレーム2を回動させ、また、各シールドジャッキ5を伸張させて小口径シールドフレーム1に推力を付与すると、内側カッターフレーム2のビット11によりシールド掘進機の前方の土砂(地山)が切り崩されるとともに、小口径シールドフレーム1が前記の架台から前進する。
【0072】
なお、小口径掘削孔を先に形成させ且つ該小口径掘削孔に連なる大口径掘削孔を形成させる際には、小口径シールドフレーム1及び内側カッターフレーム2等によって小口径掘削孔を掘削するとともに、小口径掘削孔の掘削終了部分に予め開削しておいた縦坑に、大口径シールドフレーム3及び外側カッターフレーム4等を設置しておき、小口径掘削孔の掘削が終了した後に、大口径シールドフレーム3及び外側カッターフレーム4に小口径シールドフレーム1及び内側カッターフレーム2を嵌入固着して、大口径掘削孔の掘削を行うようにする。
【0073】
図4から図6は本発明のシールド掘進機の第2の実施例を示すものであり、図中、図1から図3と同一の符号を付した部分は同一物を表している。
【0074】
本実施例では、図3等に示すレール34、ライナ35、レールクランプ36により構成される摺動支持装置40に替えて転動支持装置41を用いている。
【0075】
この転動支持装置41は、図6に示すように、シールド掘進機の掘削方向に見てフランジ先端部分が上方に位置するように凹条溝32の溝底部に固着された溝形鋼よりなる転動体案内部材38と、該転動体案内部材38に沿って転動可能な複数の鋼球よりなる転動体39とによって構成されている。
【0076】
本実施例においては、転動体案内部材38を凹条溝32の底部に直接固着しているが、転動体案内部材38と凹条溝32との間にライナを介在させるようにしてもよい。
【0077】
転動体案内部材38に転動体39を支持させると、該転動体39の一部分が凹条溝32から大口径シールドフレーム3の中心側へ向って突出するようになっている。
【0078】
更に、小口径シールドフレーム1に大口径シールドフレーム3を外嵌させた際には、各転動体39が小口径シールドフレーム1の外周面下部の所定箇所に下方から接して小口径シールドフレーム1と大口径シールドフレーム3とが同軸に位置するとともに、転動体39の接触箇所以外の小口径シールドフレーム1の外周面と大口径シールドフレーム3の内周面との間に間隙37が形成されるようになっている。
【0079】
上述した構成を有する本実施例においても、先に述べた図1から図3に示す実施例と同様に、大口径シールドフレーム3の外側支持ブロック31の内径が小口径シールドフレーム1の外径よりも大きく形成されているので、小口径シールドフレーム1並びに外側支持ブロック31の工作精度に左右されることなく、大口径シールドフレーム3に小口径シールドフレーム1を容易に結合させることができる。
【0080】
また、本実施例においては、各転動体39だけが小口径シールドフレーム1の外周面下部の所定箇所に下方から接し、転動体39の接触箇所以外の小口径シールドフレーム1の外周面と大口径シールドフレーム3の内周面との間に間隙37が形成されているので、大口径シールドフレーム3が受ける土圧等の影響によって外側支持ブロック31に変形が生じたとしても、大口径シールドフレーム3から小口径シールドフレーム1を容易に分離させることができる。
【0081】
更に、図3に示すレール34等により構成される摺動支持装置40に比べて本実施例における転動支持装置41のほうが摩擦抵抗が小さいので、大口径シールドフレーム3から小口径シールドフレーム1を分離させる際にシールドジャッキ5に付与するべき流体圧を低減することができ、また、シールドジャッキ5の反力をとるための部材を小型化することができる。
【0082】
なお、本発明のシールド掘進機は上述した実施例のみに限定されるものではなく、レールに替えて潤滑機能を有する滑り軸受等の部材を備えた摺動支持装置を用いるようにすること、あるいは、球状の転動体に替えて短円柱状の転動体を備えた転動支持装置を用いるようにすること、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0083】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のシールド掘進機によれば、下記のような種々の優れた作用効果を奏し得る。
【0084】
(1)本発明の請求項1に記載のシールド掘進機においては、大口径シールドフレームの内部に設ける外側支持ブロックの内径を小口径シールドフレームの外径よりも大きく形成し、大口径シールドフレームを小口径シールドフレームに外嵌させた際に両シールドフレームを同軸に支持する摺動支持装置を外側支持ブロックの内周面に設けているので、小口径シールドフレーム並びに外側支持ブロックの工作精度に左右されることなく、大口径シールドフレームに小口径シールドフレームを容易に結合させることができ、また、大口径シールドフレームが受ける土圧等の影響によって外側支持ブロックに変形が生じたとしても、大口径シールドフレームから小口径シールドフレームを容易に分離させることができる。
【0085】
(2)本発明の請求項2に記載のシールド掘進機においては、大口径シールドフレームの内部に設ける外側支持ブロックの内径を小口径シールドフレームの外径よりも大きく形成し、大口径シールドフレームを小口径シールドフレームに外嵌させた際に両シールドフレームを同軸に支持する転動支持装置を外側支持ブロックの内周面に設けているので、小口径シールドフレーム並びに外側支持ブロックの工作精度に左右されることなく、大口径シールドフレームに小口径シールドフレームを容易に結合させることができ、また、大口径シールドフレームが受ける土圧等の影響によって外側支持ブロックに変形が生じたとしても、大口径シールドフレームから小口径シールドフレームを容易に分離させることができる。
【0086】
(3)本発明の請求項2に記載のシールド掘進機においては、摩擦抵抗が小さい転動支持装置を用いているので、大口径シールドフレームから小口径シールドフレームを分離させる際にシールドジャッキに付与するべき流体圧を低減することができ、また、シールドジャッキの反力をとるための部材を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシールド掘進機の第1の実施例において大口径掘削孔を形成する状態を示す縦断面図である。
【図2】本発明のシールド掘進機の第1の実施例において小口径シールドフレームと大口径シールドフレームの関係を示す横断面図である。
【図3】図1及び図2に示すレールの支持構造を示す詳細図である。
【図4】本発明のシールド掘進機の第2の実施例において大口径掘削孔を形成する状態を示す縦断面図である。
【図5】本発明のシールド掘進機の第2の実施例において小口径シールドフレームと大口径シールドフレームの関係を示す横断面図である。
【図6】図4及び図5に示す転動体の支持構造を示す詳細図である。
【図7】従来のシールド掘進機の一例において小口径掘削孔を形成する状態を示す縦断面図である。
【図8】従来のシールド掘進機の一例において大口径掘削孔を形成する状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 小口径シールドフレーム
2 内側カッターフレーム
3 大口径シールドフレーム
4 外側カッターフレーム
5 シールドジャッキ
31 外側支持ブロック
40 摺動支持装置
41 転動支持装置
Claims (2)
- 形成すべき小口径掘削孔に応じた外径を有する円筒状の小口径シールドフレームと、該小口径シールドフレームの前端部に回動可能に支持され且つ土砂を掘削する内側カッターフレームと、形成すべき大口径掘削孔に応じた外径を有する円筒状の大口径シールドフレームと、前記の内側カッターフレームに外嵌可能に形成され且つ内側カッターフレームとともに土砂を掘削する外側カッターフレームと、前記の大口径シールドフレームの内部に同軸に設けられ且つ小口径シールドフレームの外径よりも大きい内径を有する外側支持ブロックと、前記の小口径シールドフレームの後端部もしくは大口径シールドフレームの後端部に装着可能なシールドジャッキとを備え、大口径シールドフレームを小口径シールドフレームに外嵌させた際に、小口径シールドフレームの外周面下部に下方から当接して両シールドフレームを同軸に位置させるレールを有し且つレール接触箇所以外の小口径シールドフレーム外周面と大口径シールドフレーム内周面との間に間隙を形成する摺動支持装置を、前記の外側支持ブロックの内周面に設けたことを特徴とするシールド掘進機。
- 形成すべき小口径掘削孔に応じた外径を有する円筒状の小口径シールドフレームと、該小口径シールドフレームの前端部に回動可能に支持され且つ土砂を掘削する内側カッターフレームと、形成すべき大口径掘削孔に応じた外径を有する円筒状の大口径シールドフレームと、前記の内側カッターフレームに外嵌可能に形成され且つ内側カッターフレームとともに土砂を掘削する外側カッターフレームと、前記の大口径シールドフレームの内部に同軸に設けられ且つ小口径シールドフレームの外径よりも大きい内径を有する外側支持ブロックと、前記の小口径シールドフレームの後端部もしくは大口径シールドフレームの後端部に装着可能なシールドジャッキとを備え、大口径シールドフレームを小口径シールドフレームに外嵌させた際に、小口径シールドフレームの外周面下部に下方から当接して両シールドフレームを同軸に位置させる転動体を有し且つ転動体接触箇所以外の小口径シールドフレーム外周面と大口径シールドフレーム内周面との間に間隙を形成する転動支持装置を、前記の外側支持ブロックの内周面に設けたことを特徴とするシールド掘進機。
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