JP3561824B2 - グラウンドアンカー及びその施工方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、グラウンドアンカー及びその施工方法に係り、特に地中に造成した2箇所のアンカー体により地中構造物等を確実に定着可能なグラウンドアンカー及び該グラウンドアンカーを効率よく施工するための施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
既設管路等の地中構造物の周囲を掘削する場合に、掘削により地表に露出した地中構造物の浮き上がりを防止するためにグラウンドアンカーが施工されることが多い。ところで、グラウンドアンカーのアンカー頭部は、一般に地上部分の台座等に定着させる。このため、地中構造物の一部にアンカー定着部を設けて支持を図る場合には、地中構造物のアンカー定着部となる部分を、一旦地表に露出させるまで掘削し、グラウンドアンカーを施工しなければならなかった。したがって、地中構造物の掘削進行過程では、構造物が一時的に無支保状態に置かれ、部材応力が過大になり、構造物が破壊に至るおそれもあった。
【0003】
この問題を解決するために、出願人は地中部に2箇所のアンカー定着部を造成し、これら2箇所のアンカー定着部間に所定のアンカー緊張力を導入できるようにしたグラウンドアンカーおよびその施工方法を提案している(特願平8−40463号明細書参照)。
【0004】
このグラウンドアンカーの施工方法について図5を参照して説明する。
まず、図5(a)に示したように、設計アンカー長に相当する深さのアンカー孔130をケーシングパイプ131で孔壁を保護しながら削孔する。その後、ケーシングパイプ131内を水洗浄し、引張鋼材111の所定位置にシース112、113が固定されたテンドン110をケーシングパイプ131内に挿入する(図5(b)参照)。このときシース112のアンカー口元側には折り畳まれた状態の公知の布パッカー115が装着されている。この状態から、「1期注入」としての1次注入、2次注入を行う。まず、ケーシングパイプ131内にグラウト材を充填する1次注入を行う。さらに、所定本数のケーシングパイプ131を引き抜き、ケーシング口元に加圧ヘッド133を取付け、ポンプ(図示せず)により2次注入(ヘッド加圧)を行う。これにより、アンカー先端の第1定着長部120にアンカー体が造成される(図5(c)参照)。
【0005】
次いで、シース112の周囲にグラウトを無加圧注入しながら、ケーシングパイプ131を順次引き抜く(1次引抜)。ケーシングパイプ131をシース112の孔口側端位置まで引き抜いた段階で、布パッカー115内にセメントミルクを加圧注入し、アンカー孔130の閉塞を行う(図5(d)参照)。閉塞後、布パッカー115より口元側のケーシングパイプ内の水洗い洗浄を行い、スライム及び孔壁、引張鋼材111の表面の汚れを除去する。そしてアンカー先端の第1定着部120にアンカー体の強度が発揮されるまで所定の養生期間をおく。そして、ケーシングパイプ131の引き抜き(2次引抜)を行い、「2期注入」としてシース112とシース113との間のアンカー孔内に加圧注入を行い、第2のアンカー体を造成し、第2定着長部122を形成する。さらにシース113の周囲に無加圧注入を行う。これにより地表面位置までのアンカー孔130のグラウト注入を行って余剰自由長部123を造成する。(図5(e)参照)。
このグラウト注入が完了したら、緊張ジャッキ141により所定の緊張力をアンカーに導入し、緊張を行う(図5(f)参照)。さらに、所定の養生期間をあけて、緊張ジャッキ141を取り外し、地上部に露出しているアンカー余長分を切断する(図2(g)参照)。
以上の手順でグラウンドアンカーを施工することにより、グラウト注入及びアンカー緊張作業後の所定の養生期間後に、図5(g)に示した余剰自由長部123に相当する地山部分143の掘削を安全に行うことができ、適正に配置されたグラウンドアンカーにより地中構造物(図示せず)の浮き上がり等を確実に防止することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した第2定着長部を地中に確実に造成するには、アンカーの中間に位置するパッカー注入を確実に行わなければならない。さらに、第2定着長部が確実に形成されるように、引張鋼材の表面の汚れ等を完全に除去する必要もある。そのためケーシングパイプ内の水洗いも十分行わなければならない。このように、図5に示した一連の工程のうち、図5(d)に示した工程は、グラウンドアンカーの施工品質上、重要な工程となっている。
ところが、上述の図5(d)に示した工程の各作業は、細いケーシングパイプ内での遠隔作業であり、確実に施工されているかどうかを確認することが困難であった。このため、グラウンドアンカー施工の品質保持を図るためのネックとなっていた。
また、この施工手順では2期注入を行った後にケーシングを引き抜くようになっているが、ケーシングパイプの引き抜きに手間取るとグラウトが固化してしまい、ケーシングパイプの引き抜きが困難になるおそれもある。さらに、地上部で次工程の緊張作業の準備とケーシング引き抜き作業とが輻輳してしまうという問題もある。
【0007】
そこで、本発明の目的は上述した従来の技術が有する問題点を解消し、地中において2箇所のアンカー定着部を確実に設けることができるようにしたグラウンドアンカー及びこのグラウンドアンカーを効率よく施工できるようにした施工方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、地山中に削孔したアンカー孔内に挿入された引張鋼材と、該引張鋼材を心材として前記アンカー孔内に注入された定着材により前記引張鋼材の先端位置に造成された第1のアンカー体からなる第1の定着長部と、該第1の定着長部からアンカー孔口部にかけての前記引張鋼材の長手方向所定範囲を被覆してアンカー自由長部を形成する遮断被覆体と、該遮断被覆体分だけ前記第1の定着長部と離隔した位置に設けられ、前記引張鋼材の長手方向所定範囲を包囲する絶縁管と、前記引張鋼材を心材として前記絶縁管内に注入された定着材により造成された第2のアンカー体からなる第2の定着長部とを備え、前記引張鋼材に所定の張力が導入された際に、該張力を地山内に位置する前記第1の定着長部と前記第2の定着長部との間で保持するようにしたことを特徴とするものである。
【0009】
このとき第2の定着長部とアンカー孔口部との間に余剰自由長部を形成することが好ましい。
【0010】
前述のグラウンドアンカーを施工する際に、地山中にアンカー孔を削孔し、該アンカー孔内に、少なくとも引張鋼材の長手方向所定範囲を被覆する遮断被覆体と該遮断被覆体に隣接して前記引張鋼材の長手方向所定範囲を包囲する絶縁管とが取り付けられたテンドンを挿入し、前記アンカー孔内に第1期注入を行い、前記引張鋼材の先端位置を心材として第1のアンカー体を造成して第1の定着長部とし、該第1の定着長部に先端が定着された状態で前記引張鋼材に所定の張力を導入し、この緊張状態を保持して前記絶縁管内に第2期注入を行い、前記絶縁管内の所定範囲に前記引張鋼材を心材とした第2のアンカー体を造成して第2の定着長部とし、前記引張鋼材に導入された張力を第1の定着長部と第2の定着長部の間で保持させるようにしたことを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の態様】
以下、本発明によるグラウンドアンカーの構成及びその施工方法の一実施の態様について添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明に用いられるグラウンドアンカー1のテンドン10(本明細書では、所定長さのアンカー用引張材を所定本数に束ね、アンカー孔に挿入できるようにユニット化したものをテンドンと呼ぶ)及びこのテンドン10を地山内に施工した状態のグラウンドアンカー1の断面を示したものである(以下、地中に完成したアンカーをグラウンドアンカー1、引張材ユニットの状態をテンドン10と表す)。
【0012】
同図(a)に示したテンドン10は、所定の長さのアンカー長分の引張鋼材11と、この引張鋼材11が内部に挿通され所定位置に固定された遮断被覆体としてのシース12、13と、シース12の端部からアンカー口元までの長さを有し、内部にシース13を収容する絶縁管たるコルゲートシース15と、このコルゲートシース15内に定着材を供給するためのホース群16、18とから構成されている。
このうち引張鋼材11の鋼線本数及び断面積は、設計アンカー力が許容アンカー引張力を越えないような範囲で設計されている。引張鋼材11にはPC鋼線、異形PC鋼線、PC鋼より線、PC鋼棒等、耐久性に富む種々の線材、棒材を使用することができる。
また、本実施の形態では、遮断被覆体としてシース12、13が使用されている。このシース12、13は、テンドン10が挿入されたアンカー孔内にグラウト材を充填した際に、グラウト材とテンドン10との縁を切り、アンボンド状態を保持する役割を果たし、この部分がアンカー自由長部21、余剰自由長部23を構成する。シース12、13はポリエステル等の合成樹脂製管からなり、このシース内には防錆オイル等が充填されている。これによりシース位置内に挿通されている引張鋼材11はアンボンド部材として機能する。なお、図示しないが、シース12、13に代えて、引張鋼材11の表面に十分粘性の高いグリースを所定厚さに塗布し、さらにその周囲を防食テープで巻回して被覆した構成を遮断被覆体としてもよい。
【0013】
さらに、シース12の口元側には、絶縁管たるコルゲートシース15が装着されている。このコルゲートシース15はパイプ長手方向に沿って表面に波付けが施された公知の鋼製管である。コルゲートシース15の直径は内部に後述するシース13と定着材供給ホース16が収容可能な程度に設定されている。全長は、図1(a)に図示したように、シース13の口元まで達しており、コルゲートシース15の両端には止水コーキング17が施されている。さらにコルゲートシース15の口元側から内部にかけて定着材供給ホース16が挿入されている。この定着材供給ホース16はコルゲートシース15内に定着材としてのセメントミルクを充填するための供給ホースである。さらにコルゲートシース15内の口元には定着材排出ホース18が挿入されている。この定着材排出ホース18からは、コルゲートシース15内にセメントミルクが満たされたリターン液が排出される。このリターン液の比重を測定してコルゲートシース15内にセメントミルクが確実に充填されているかを確認することができる。
なお、絶縁管としては、コルゲートシース15に代えて外周面に凸状フランジが周回するように形成されたつるまき鋼管等を使用することもできる。また、地上部の止水コーキング17を設けず、定着材排出ホース18も省略して定着材供給ホース16によって定着材をコルゲートシース15内に充填していき、コルゲートシース15の口元から地上部に掘削して設けておいたピットにオーバーフローさせ、ピット位置で定着材濃度を確認するようにもできる。
【0014】
コルゲートシース15内には、第2の遮断被覆体としてのシース13が引張鋼材11に取り付けられた状態で収容されている。シース13のシース長は、図1(b)に示したように、グラウンドアンカー1の施工後、地盤掘削作業によって原地盤から掘削盤まで除去される掘削部分の地山深さに相当するように設定されている。
【0015】
次に、図1(b)を参照して地山中に施工されたグラウンドアンカー1の構成について説明する。
グラウンドアンカー1の先端周囲のアンカー孔内には定着材としてのセメント系グラウトが加圧注入され、引張鋼材11を心材としたアンカー体が造成されている。このアンカー体が第1定着部20として機能する。さらに遮断被覆体としてのシース12およびコルゲートシース15の周囲のアンカー孔内にはグラウト材が無加圧注入されている。これにより、地山とシース12、コルゲートシース15との一体化が図られる。このときシース12内の引張鋼材11と地山とは確実に遮断されて縁が切られ、アンボンド状態が保持されている。これによりシース12位置にアンカー自由長部21が形成される。
このコルゲートシース15内の止水コーキング17とシース13との間の引張鋼材11が露出した部分には第2定着長部22が形成されている。この第2定着長部22は、コルゲートシース15内が空の状態で引張鋼材11を緊張した状態でセメントミルクを注入して所定のアンカー体としたものである。
また、シース13の周囲のコルゲートシース15との間にも両者の一体化を図るために、セメントミルクが注入されている。この部分がコルゲートシース15内の第2定着長部22と地表面との間の余剰自由長部23となる。この余剰自由長部23では、セメントミルクと引張鋼材11との縁が切れているため、原地盤から所定深さの掘削盤までの掘削作業において、コルゲートシース15を除去し、固化したセメントミルク部分を破砕して、容易に引張鋼材11を撤去することができる。
【0016】
なお、アンカー体部分を造成する定着材はアンカー緊張時及び設計地山荷重作用時において、モルタルあるいはセメントペーストの圧縮強度が所定の設計強度以上になるように配合することが好ましい。
また、第1定着長部20と第2定着長部22では、引張鋼材11と定着材とが直接付着するため、この部分における所定の付着強度が発揮できるようにグラウト強度を設定したり、周辺地山の地盤改良を図ったりすることが重要である。
【0017】
次に、図1に示したグラウンドアンカー1を地山に施工する手順について図2を参照して説明する。
まず、同図(a)に示したように設計アンカー長に相当するアンカー孔30を地盤に削孔する。このアンカー孔30の削孔は、地上部に設置されたクローラータイプのベースマシーンに搭載された削孔機(図示せず)を用いて行う。この削孔機により削孔ロッドが内部に収容されたケーシングパイプ31に回転と押し込み力とを加えて地中に圧入し、ケーシングパイプ31で孔壁が支保された所定長さのアンカー孔30を構築する。ケーシングパイプ31の直径は設計アンカーの本数、断面積に適した径に設定することが好ましい。
【0018】
アンカー孔30の削孔において、地下水位より深い位置までアンカー孔30を削孔する場合には、地下水が逆流して地盤が乱れるのを防止するために、被圧下削孔として所定の対策工をとることが好ましい。たとえば、地下水の逆流を防止することができるクローネンビットや、逆止弁がついたビットを使用して削孔したり、アンカー孔30の口元位置に止水ボックスを設け、孔口からの地下水の噴出を防止することが好ましい。
所定の深さまでアンカー孔30を削孔したら、アンカー孔30内を水洗浄し、孔底に残った土砂と孔壁に付着したスライムとを除去する。
【0019】
次に、図2(b)に示したように、引張鋼材11の所定の位置にシース12、コルゲートシース15が取り付けられたテンドン10(一例として図1(a)参照)をアンカー孔30内に挿入する。引き続き「1期注入」としてケーシングパイプ31内に定着材としてのグラウト材充填を行う(1次注入)。
さらに、この状態でアンカー口元位置にケーシング引抜き用ジャッキ(図示せず)を配置し、ケーシングパイプ31の引き抜き作業を行う。所定本数のケーシングパイプ31を取りはずした後に、ケーシング引抜き用ジャッキの後端に加圧ヘッド33を取付け、ポンプ(図示せず)により加圧力P=2〜5kgf/cm2で2次注入を行う。これにより、アンカー先端位置の第1定着長部20には、アンカー体が造成される(図2(c)参照)。
【0020】
次いで、シース12とコルゲートシース15の周囲にグラウトを施しながら、ケーシングパイプ31を順次引き抜く。この部分のグラウト注入は、土質に応じて加圧注入、無加圧注入のいずれの注入方法かを選択すればよい。ケーシングパイプ31が完全に引き抜かれ、アンカー孔内に注入されたグラウトが所定強度に達するまで約1日程度の養生期間をおく。その後、地上のアンカー孔口に緊張ジャッキ41を装備する。緊張ジャッキ41によって第1定着長部20に一端が定着されているテンドン10に所定の緊張力を導入し、アンカー緊張を行う(図2(d)参照)。
さらに、コルゲートシース15内にセメントミルクを充填する「2期注入」を行う。これによりコルゲートシース15内に第2定着長部22が形成される。さらにコルゲートシース15内のシース13の周囲にも注入し、地表面位置までのアンカー孔30のグラウト注入を行うことにより、余剰自由長部23が形成される。所定の養生期間を経たら、緊張ジャッキ41を取り外し、地上部に露出しているアンカー余長分を切断し(図2(e)参照)、余剰自由長部23に相当する地山部分43の掘削を行うことができる。このときグラウンドアンカー1に導入された緊張力により地中構造物を確実に地盤に保持することができる。
【0021】
次に、本発明のグラウンドアンカー及びその施工方法の他の実施の態様について、図3及び図4を参照して説明する。
図3(a)には、図1(a)に示したテンドン10に比べて余剰自由長部が十分長く設定された構成のテンドン10が示されている。このテンドン10は、図1(a)に示したテンドン10と同様に所定の長さのアンカー長分の引張鋼材11と、この引張鋼材11を先端から長手方向の所定範囲をアンボンド状態で被覆する遮断被覆体としてのシース12と、グラウンドアンカー1(図3(b)参照)の第2定着長部に相当する長手方向の所定範囲の引張鋼材11を覆う絶縁管たるコルゲートシース15と、このコルゲートシース15内に定着材を供給するためのホース群16、18と、コルゲートシース15の端部からアンカー口元位置までの引張鋼材11をアンボンド状態で被覆する遮断被覆体としてのシース13とから構成されている。
【0022】
シース12は図1に示した実施の態様と同様の構成からなる。さらに、コルゲートシース15も全長が短い以外は図1に示したものと同じ材質のものを使用することができる。
一方、本実施の態様では、図3(b)に示したように、1期注入において、テンドン10が収容されているアンカー孔の口元部分までグラウト材が所定の圧力でが充填される。このため、コルゲートシース15内部に先端部が収容される定着材供給ホース16及び定着材排出ホース18は、グラウト内を通るホースの途中部分が被圧下に曝される。したがって、所定の外圧によっても管閉塞しない耐圧ホースが使用されている。また、止水コーキング17も十分な耐圧構造になっている。
【0023】
ここで、図3(b)に示したグラウンドアンカー1を造成する手順を簡単に説明する。なお、施工の全体フローは図2(a)〜(e)と同様であるので、本実施の形態の特徴的な部分について説明する。
上述したように、本実施の形態では、1期注入はアンカー孔全体に対して行われる。このとき、シース12、13及びコルゲートシース15で覆われた各部は注入されたグラウト材と確実に縁切りされてアンボンド状態にある。先端アンカー体としての第1定着長部に所定の強度が得られるまで養生した後に緊張を行い緊張状態を保持したまま、コルゲートシース15内に定着材としてのセメントミルクを注入し、コルゲートシース15内に第2定着長部を形成する。コルゲートシース15内の定着材が所定の強度になったら、地上部の緊張ジャッキ(図示せず)を撤去し、アンカー余長分を切断する。その後、施工段階の応じて十分に長い余剰自由長部23をとった地山部分43を順次掘削していくことができる。
このように、図3(a)のように構成されたテンドン10によれば、グラウンドアンカー施工後、地上から掘削する地山部分43が深いような場合に、絶縁管としてのコルゲートシース15の施工範囲を最少限度に押さえることができ、上述したコルゲートシース15内に行う「2期注入」の作業工程を大幅に短縮することができる。
【0024】
図4(a)は、図1(a)に示したテンドン10内に収容されていたシース13を省略した構成からなるテンドン10を示したものである。同図に示したように、このテンドン10では、コルゲートシース15内の所定位置に中間止水コーキング19が設けられている。この止水コーキング19の位置は、図4(b)に示した第2定着長部22の上端位置に相当する。すなわち、コルゲートシース15の下端に位置する止水コーキング17と、中間止水コーキング19との間に挟まれたコルゲートシース15内に第2定着長部22が形成されるようになっている。コルゲートシース15内の止水コーキング17、19で囲まれた部分には、図3(a)と同様に定着材供給ホース16及び定着材排出ホース18が導かれている。
このような構成からなるテンドン10を用いたグラウンドアンカー1(図4(b)参照)を造成する手順を簡単に説明する。なお、施工の全体フローは図3のタイプと同じく図2(a)〜(e)と同様であるので、本実施の形態の特徴的な部分について説明する。
上述したように、本実施の形態では、1期注入はアンカー孔全体に対して行われる。このとき、グラウト材はアンカー孔内の先端引張鋼11、材シース12及びコルゲートシース15の周囲に満たされ、シース12、コルゲートシース15で覆われた引張鋼材11の各部は注入されたグラウト材と確実に縁切りされてアンボンド状態となる。先端アンカー体としての第1定着長部11に所定の強度が得られるまで養生した後に緊張を行う。さらに引張鋼材11の緊張状態を保持したまま、コルゲートシース15内の止水コーキング17、19で区画された部分に定着材供給ホース16によって定着材としてのセメントミルクを注入し、コルゲートシース15内に第2定着長部22を形成する。この第2定着長部22を確実に形成するために定着材排出ホース18からのリターン液の濃度を確認することが好ましい。このときコルゲートシース15の中間止水コーキング19より上部空間25は空洞のまままたは清水で満たしておくことが好ましい。
【0025】
コルゲートシース15内の定着材が所定の強度になったら、地上部の緊張ジャッキ(図示せず)を撤去し、アンカー余長分を切断する。その後、施工段階の応じて余剰自由長部としての地山部分43を掘削していくことができる。
なお、コルゲートシース15の上部空間25内にある引張鋼材11の腐食を防止するために、アンカー余長分を切断する前に上部空間25内にグラウト材を無加圧注入してもよい。
【0026】
以上に述べたグラウンドアンカーによって周辺地山掘削時のリバウンド(浮き上がり)防止を図るために適用可能な地中構造物としては、既設管路、新設大断面トンネル、山留めの底盤工等、種々の構造物が挙げられる。
また、添付図面では、鉛直下向きに施工されたグラウンドアンカーが例示されているが、法面への施工等、所定の角度をなして斜め方向に施工されるグラウンドアンカーにも適用可能なことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるグラウンドアンカーの構造の一実施の態様を示した説明図。
【図2】図1に示したグラウンドアンカーの施工フローを示した施工順序説明図。
【図3】グラウンドアンカーの構成の他の実施の態様を示した説明図。
【図4】グラウンドアンカーの構成の他の実施の態様を示した説明図。
【図5】従来のグラウンドアンカーの施工フローを示した施工順序説明図。
【符号の説明】
1 グラウンドアンカー
10 テンドン
11 引張鋼材
12,13 シース
15 コルゲートシース
17,19 止水コーキング
20 第1定着長部
21 自由長部
22 第2定着長部
23 余剰自由長部
Claims (3)
- 地山中に削孔したアンカー孔内に挿入された引張鋼材と、
該引張鋼材を心材として前記アンカー孔内に注入された定着材により前記引張鋼材の先端位置に造成された第1のアンカー体からなる第1の定着長部と、
該第1の定着長部からアンカー孔口部にかけての前記引張鋼材の長手方向所定範囲を被覆してアンカー自由長部を形成する遮断被覆体と、
該遮断被覆体分だけ前記第1の定着長部と離隔した位置に設けられ、前記引張鋼材の長手方向所定範囲を包囲する絶縁管と、
前記引張鋼材を心材として前記絶縁管内に注入された定着材により造成された第2のアンカー体からなる第2の定着長部と
を備え、前記引張鋼材に所定の張力が導入された際に、該張力を地山内に位置する前記第1の定着長部と前記第2の定着長部との間で保持するようにしたことを特徴とするグラウンドアンカー。 - 第2の定着長部とアンカー孔口部との間に余剰自由長部が形成されたことを特徴とする請求項1記載のグラウンドアンカー。
- 地山中にアンカー孔を削孔し、
該アンカー孔内に、少なくとも引張鋼材の長手方向所定範囲を被覆する遮断被覆体と該遮断被覆体に隣接して前記引張鋼材の長手方向所定範囲を包囲する絶縁管とが取り付けられたテンドンを挿入し、
前記アンカー孔内に第1期注入を行い、前記引張鋼材の先端位置を心材として第1のアンカー体を造成して第1の定着長部とし、
該第1の定着長部に先端が定着された状態で前記引張鋼材に所定の張力を導入し、この緊張状態を保持して前記絶縁管内に第2期注入を行い、前記絶縁管内の所定範囲に前記引張鋼材を心材とした第2のアンカー体を造成して第2の定着長部とし、
前記引張鋼材に導入された張力を第1の定着長部と第2の定着長部の間で保持させるようにしたことを特徴とするグラウンドアンカーの施工方法。
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