JP3560528B2 - 同軸ケーブルの実装構造及び実装方法 - Google Patents

同軸ケーブルの実装構造及び実装方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は同軸ケーブルの実装構造及び実装方法に係り、特に高周波同軸ケーブルを直接末端処理して基板上で半田付け接続使用する場合の同軸ケーブルの実装構造及び実装方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器などの基板(ユニット)内の配線、若しくは他基板(ユニット)間配線接続にコネクタ類を使用せず、高周波同軸ケーブルを直接末端処理して基板上で半田付け接続使用した場合は、電磁妨害(EMI:Electromagnetic Interference)対策についてはコネクタを使わない分、特に考慮しなければならない。
【0003】
かかるEMI対策の一般的な方法としては、高周波同軸ケーブルを直接半田付け接続した基板パターン部からの漏洩、干渉、輻射など高周波信号の影響を考慮し、基板パターン部と高周波同軸ケーブルの末端処理部周辺を一緒に覆うシールド遮蔽対策を両端末部に施す方法がある。
【0004】
また、配線(フォーミング)設置の高周波同軸ケーブル間についても、高周波同軸ケーブル類特有である構造で外被部導体に流れる遮蔽電流に起因して発生し得る放射ノイズや外来ノイズの影響もあるため、従来はノイズ防止策としてこの場合はリング形状のフェライトコアを高周波同軸ケーブルの被覆部上から貫通実装させて、外被部上に磁性体を持たせて上記の遮蔽電流を抑制することにより、放射ノイズに対する対策を施している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、上記の高周波同軸ケーブルの端末部でのシールド遮蔽を施す従来の実装構造、及びケーブル配線間でのフェライトコアによる放射ノイズ対策を施す従来の実装構造は、例えば基板(ユニット)内での高周波ケーブルを直接配線で行った場合、基板(ユニット)上の実装回路部品類の間などを這わしたりするため、ケーブルの配線(フォーミング)設置の仕方やフェライトコアの貫通実装の場所などによっては、EMI対策の効果が十分に得られない。これは、他基板(ユニット)間配線接続などでも上記の問題が想定され、更にこの場合は、高周波同軸ケーブル上に貫通実装したフェライトコアの固定方法についても、問題になる。
【0006】
その理由は、高周波同軸ケーブル類の特徴でもある外被部の導体が、網組構造であるため、柔軟性・耐久性・曲げ寿命に強いことから、配線(フォーミング)設置し易い反面、曲げ配線(フォーミング)設置の仕方によっては、外被部の網組の孔の疎密度が変化し、導体内に流れる遮蔽電流の均一性が乱れるため、フェライトコアによる電流抑制効果が低減してしまうことにある。
【0007】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、 同軸ケーブルの直接末端処理して使用する場合の接続部でのシールド遮蔽とノイズ抑制効果を向上しうる同軸ケーブルの実装構造及び実装方法を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明の他の目的は、同軸ケーブルのシールドとフェライトコアの固定が容易な同軸ケーブルの実装構造及び実装方法を提供することにある。
【0009】
更に、本発明の他の目的は、同軸ケーブルの過剰なシールドを削減し得る同軸ケーブルの実装構造及び実装方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の同軸ケーブルの実装構造は、先端処理加工の施された同軸ケーブルが、中央の貫通孔に貫通固定されたフェライトコアと、先端処理加工により露出した同軸ケーブルの外被部及び芯線部と電気的に接続されるパターン部が形成された基板への固定時に、フェライトコアを上から基板上に固定すると共に、内部に形成されたシールドプレートにより外被部を接地する、金属製のシールドケースとにより、同軸ケーブルを基板上に実装する。
【0011】
この発明では、上記のシールドケースを基板上に固定するときに、フェライトコアを上から固定すると共に、シールドプレートにより外被部を接地するため、シールドプレートによりパターン部に接続された芯線部をシールド遮蔽することができる。
【0012】
また、本発明は上記の目的を達成するため、フェライトコアはリング状であり、シールドケースは基板への取り付け用ツメが設けられており、基板には、フェライトコアの下半分が嵌め込まれる第1のホールと、ツメが嵌合する第2のホールとがそれぞれ穿設されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は上記の目的を達成するため、シールドケースは、その内部がシールドプレートを隔壁として一端が開放され、他端が閉塞又はパターン部用の開口部が形成された中空半円筒形状の構造とされ、開放側の一端でフェライトコアの一部を上から基板上に押さえつけて固定し、シールドプレートの中央下部には、外被部の固定のために外被部の外径と同じか若干大径の半円部が形成されていることを特徴とする。
【0014】
ここで、シールドケースとフェライトコアとは、シールドケースの基板への固定時前は分離していてもよく、また、フェライトコアは、シールドケースの基板への固定時前に、シールドケースの内部に一部が嵌め込まれ固定されていてもよい。
【0015】
また、上記の目的を達成するため、本発明の同軸ケーブルの実装方法は、フェライトコアの中央の貫通孔に貫通固定され、かつ、先端処理加工の施された同軸ケーブルの外被部と芯線部を、基板上の所望のパターン部に電気的に接続する第1の工程と、基板に穿設された第1のホールにフェライトコアの下半分を嵌合させる第2の工程と、内部がシールドプレートを隔壁として一端が開放され、他端が閉塞又はパターン部用の開口部が形成された中空半円筒形状のシールドケースの側部に形成されたツメを、基板に穿設された第2のホールに嵌合することにより、シールドケースの開放側の一端でフェライトコアの一部を上から基板上に押さえつけて固定すると共に、シールドプレートにより外被部を接地する第3の工程とを含み、同軸ケーブルを基板上に実装することを特徴とする。
【0016】
この発明では、第3の工程により、シールドケースの開放側の一端でフェライトコアの一部を上から固定すると共に、シールドプレートにより外被部を接地するため、シールドプレートによりパターン部に接続された芯線部をシールド遮蔽することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について、図面と共に説明する。図1は本発明になる同軸ケーブルの実装構造及び実装方法の一実施の形態の分解斜視図を示す。同図において、同軸ケーブルの実装構造は、軸線に沿って中心部に穿設された貫通孔に、高周波同軸ケーブル1が貫通固定されているリング形状のフェライトコア2と、フェライトコア2の外径寸法より若干大径の内径を有し、かつ、中空半円筒形状の金属類で構成されたシールドケース3とより大略構成されている。
【0018】
高周波同軸ケーブル1の先端部は、末端処理加工により網組の外被部1aと、芯線部1bとが露出されるようにされている。また、シールドケース3はフェライトコア2の固定と、高周波同軸ケーブル1の半田付け固定した部位のシールド遮蔽を兼ねることを目的として金属類により構成されており、上記の外被部1aに対応する内部位置に、金属類で構成された半円盤形状のシールドプレート4が設けられている。このシールドプレート4の中央下部には、上記の外被部1aの外径と同じか若干大径の半円部4aが形成されている。
【0019】
シールドプレート4の上記の半円部4aは外被部1aの固定のためのものである。シールドケース3は、その内部がシールドプレート4を隔壁として一端が開放され、他端が閉塞された構造とされている。なお、シールドケース3の他端には、後述する基板7上のパターンに対応する場合は、開口部5が形成されているが、パターンに対応しない場合は開口部5は形成されない。更に、シールドケース3の所定位置には、取り付け用のツメ6が形成されている。
【0020】
一方、基板7上には高周波同軸ケーブル1の芯線部1bと接続するためのパターン部8が形成されており、また、フェライトコア2をはめ込むための大きさのホール9と、シールドケース3のツメ6を嵌合するための大きさのホール10がそれぞれ基板7に穿設されている。
【0021】
次に、この実施の形態の実装方法について、図1及び図2と共に説明する。なお、図2は図1のII−II線に沿う基板の断面図を示す。まず、高周波同軸ケーブル1の先端部を末端加工処理して網組の外被部1aと芯線部1bを露出させた後、高周波同軸ケーブル1をフェライトコア2に貫通させる。このフェライトコア2の貫通位置は、ホール9に対応した位置となるようにされる。
【0022】
次に、高周波同軸ケーブル1が貫通されているフェライトコア2の下半分を、基板7に穿設されているホール9に嵌合させる。このとき、高周波同軸ケーブル1の芯線部1bがパターン部8に位置するように、フェライトコア2と高周波同軸ケーブル1との位置関係を調整する。続いて、外被部1a及び芯線部1bとパターン部8とを半田付けにより電気的に接続し実装する。図2の11は、この半田を示す。
【0023】
次に、フェライトコア2の上からシールドケース3を被せて、シールドケース3のツメ6をホール10に嵌合させる。これにより、図2に示すように、シールドケース3の一部によりフェライトコア2が上から固定され、また、シールドプレート4の半円部4aが外被部1aに接触されてシールドプレートが接地されることにより、芯線部1bとパターン部8をシールドプレート4によりシールド遮蔽される。
【0024】
その後、基板7の実装表面とシールドケース3のツメ6が嵌合されているホール10の間を半田付けをすると共に、シールドケース3のツメ6が嵌合されているホール10を裏面から抜け防止のための半田付けを施すことにより、高周波同軸ケーブル1の基板7への実装が終了する。
【0025】
このように、この実施の形態によれば、シールドケース3をフェライトコア2に被せることにより、高周波同軸ケーブル1とフェライトコア2を簡単に基板7上に固定できると共に、芯線部1bとパターン部8の接続部に対するシールド遮蔽も簡単にでき、しかもシールド遮蔽はシールドプレート4によりできるので、過剰な遮蔽シールドを削減できる。更に、この実施の形態では、他の基板(ユニット)間配線接続などでもフェライトコア2を各実装基板内でノイズ抑制のために同様にして用いることができる。本実施の形態のシールド遮蔽とノイズ抑制は、極力近くで施すことにより最も効果が得られる。
【0026】
次に、本発明の他の実施の形態について説明する。図3は本発明になる同軸ケーブルの実装構造及び実装方法を説明する他の実施の形態の断面図を示す。同図中、図2と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図3において、シールドケース13は、前記実施の形態と同様に内部に金属類で構成された半円盤形状のシールドプレート4が設けられているが、前記の実施の形態とは異なり、フェライトコア14がその一端に予めはめ込まれた構造とされている。なお、フェライトコア14自体は、フェライトコア2と同様に、軸線に沿って中心部に貫通孔が穿設されたリング形状であり、その貫通孔に高周波同軸ケーブル1が貫通固定される。
【0027】
この実施の形態では、末端処理加工を施した高周波同軸ケーブル1をフェライトコア14の貫通孔に貫通させた状態で、芯線部1bを基板7のパターン部に半田付けしてから、シールドケース13のツメ6とフェライトコア14をそれぞれのホールに嵌合させることにより、図1及び図2の実施の形態と同様に、同軸ケーブルを末端処理加工して使用する場合の、パターン部との接続部でのEMI対策と電磁環境適合性(EMC:Electromagnetic Compatibility)対策を兼ねる効果を実現できる。
【0028】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、例えば、フェライトコア2、14は基板5に穿設したホール9に嵌め込む構造でなく、基板表面に固定するシールドケース構造でもよく、また、同軸ケーブルは外被部の導体が網組でなくとも、導体部が連続一様なタイプのケーブル(セミリジッド)でもよい。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、シールドケースの開放側の一端でフェライトコアの一部を上から固定すると共に、シールドプレートにより外被部を接地することにより、シールドプレートによりパターン部に接続された芯線部をシールド遮蔽するようにしたため、同軸ケーブルを末端処理加工して使用する場合の、パターン部との接続部でのシールド遮蔽とノイズ抑制によるフェライトコアの実装固定が同時に、しかも容易できる。
【0030】
また、本発明によれば、他の基板(ユニット)間配線接続などでもフェライトコアを各実装基板内で容易に実装固定できる。更に、本発明によれば、同軸ケーブルの外被部をシールドケース内のシールドプレートで接地するようにし、シールドプレートで電磁遮蔽シールドするようにしているため、過剰な遮蔽シールドを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を説明する分解斜視図である。
【図2】図1の断面図である。
【図3】本発明の他の実施の形態の断面図である。
【符号の説明】
1 高周波同軸ケーブル
1a 外被部
1b 芯線部
2、14 フェライトコア
3、13 シールドケース
4 シールドプレート
6 ツメ
7 基板
8 パターン部
9、10 ホール

Claims (6)

  1. 先端処理加工の施された同軸ケーブルが、中央の貫通孔に貫通固定されたフェライトコアと、
    前記先端処理加工により露出した前記同軸ケーブルの外被部及び芯線部と電気的に接続されるパターン部が形成された基板への固定時に、前記フェライトコアを上から前記基板上に固定すると共に、内部に形成されたシールドプレートにより前記外被部を接地する、金属製のシールドケースと
    により、前記同軸ケーブルを前記基板上に実装することを特徴とする同軸ケーブルの実装構造。
  2. 前記フェライトコアはリング状であり、前記シールドケースは前記基板への取り付け用ツメが設けられており、前記基板には、前記フェライトコアの下半分が嵌め込まれる第1のホールと、前記ツメが嵌合する第2のホールとがそれぞれ穿設されていることを特徴とする請求項1記載の同軸ケーブルの実装構造。
  3. 前記シールドケースは、その内部が前記シールドプレートを隔壁として一端が開放され、他端が閉塞又は前記パターン部用の開口部が形成された中空半円筒形状の構造とされ、前記開放側の一端で前記フェライトコアの一部を上から前記基板上に押さえつけて固定し、前記シールドプレートの中央下部には、前記外被部の固定のために前記外被部の外径と同じか若干大径の半円部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の同軸ケーブルの実装構造。
  4. 前記シールドケースと前記フェライトコアとは、前記シールドケースの前記基板への固定時前は分離していることを特徴とする請求項1又は2記載の同軸ケーブルの実装構造。
  5. 前記フェライトコアは、前記シールドケースの前記基板への固定時前に、前記シールドケースの内部に一部が嵌め込まれ固定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の同軸ケーブルの実装構造。
  6. フェライトコアの中央の貫通孔に貫通固定され、かつ、先端処理加工の施された同軸ケーブルの外被部と芯線部を、基板上の所望のパターン部に電気的に接続する第1の工程と、
    前記基板に穿設された第1のホールに前記フェライトコアの下半分を嵌合させる第2の工程と、
    内部がシールドプレートを隔壁として一端が開放され、他端が閉塞又は前記パターン部用の開口部が形成された中空半円筒形状のシールドケースの側部に形成されたツメを、前記基板に穿設された第2のホールに嵌合することにより、前記シールドケースの開放側の一端で前記フェライトコアの一部を上から前記基板上に押さえつけて固定すると共に、前記シールドプレートにより前記外被部を接地する第3の工程と
    を含み、前記同軸ケーブルを前記基板上に実装することを特徴とする同軸ケーブルの実装方法。
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