JP3559846B2 - エンジンのボア間構造 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、エンジンのボア間構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、エンジンには、複数のボアを有するシリンダブロックに、シリンダヘッドを装着して燃焼室を形成し、さらにシリンダブロックのボア間に冷却通路を形成したものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、シリンダブロックのボア間が極端に狭いものについては、スリットを形成して覆い部材を圧入したり、あるいはドリル孔を形成して冷却通路を形成することが考えられるが、スリット式ではシリンダヘッドとの間に介在されるガスケットのシ−ル幅もしくはビ−ドラインの設定が困難である。また、圧入すると隣接するボア間隔壁の剛性が下がり、ボアが変形するおそれがある。
【0004】
一方、ドリル方式では、スリット方式の問題はないが、加工が困難である。また、アルミニウムによりシリンダブロックを形成したものでは、ガスケットのビ−ド部にアルミニウムの陥没が発生するおそれがある。
【0005】
この発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、ボア間のシ−ル幅を確保でき、しかも高温時必要な対面圧及び壁剛性を確保でき、さらに従来の設備・工法で機械加工により製造が可能であるエンジンのボア間構造を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、請求項1記載の発明は、シリンダブロックに一列に連なる複数のボアを有し、このボア両側のシリンダブロック外壁部との間にウォータージャケットを有し、
前記ボア間に前記両側のウォータージャケットを連通する冷却通路を形成したエンジンのボア間構造において、
前記シリンダブロックは、ボア形成壁部のシリンダヘッド装着側端部がシリンダブロック外壁部に一体成形で連なってシリンダヘッドとの合面を有する構成とし、
前記シリンダブロックのシリンダヘッド装着側の端部から前記ボア間にのみ複数のボアの並び方向と直交する直線状のスリットを形成し、
このスリットの開口端部に表面が金属皮膜によって覆われた焼結合金製直線棒状体からなる異種材を重ね、
その後、この異種材を前記開口端部に圧接させ、
次いで、前記シリンダブロックと前記異種材との接触部を電気抵抗により発熱させて接合して冷却通路を形成したことを特徴としている。
シリンダブロックのスリットの開口端部に母材と異なる異種材料を接合することで、ボア間のシール幅を確保できる。また、異種材料を接合することで、ボア間に高温時必要な対面圧及び壁剛性を確保でき、さらに従来の設備・工法で機械加工により製造が可能である。
また、シリンダブロックのスリットの開口端部に母材と異なる異種材料を電気抵抗により発熱させ、薄いボア間を変形することなく強固に接合することができ、剛性が一層向上する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、この発明のエンジンのボア間構造の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1はエンジンの一部を破断して示す図、図2はエンジンのシリンダブロックの平面図、図3は図2のIII−III線に沿う断面図、図4は図2のIV−IV線に沿う断面図、図5はエンジンのボア間に異種材を接合する説明図である。
【0009】
エンジン1のクランクケース2には、シリンダブロック3が載置され、シリンダブロック3にはシリンダヘッド4を装着して内部に燃焼室5が形成されている。シリンダヘッド4には、点火プラグ6が燃焼室5に臨むように設けられている。シリンダブロック3に形成されるボア3a内には、ピストン7が往復動可能に設けられている。このピストン7はコンロッド8を介してクランク軸9に連結され、ピストン7の往復動によりクランク軸9が回転する。シリンダヘッド4にはヘッドカバー12が取り付けられている。
【0010】
シリンダヘッド4には、3個の吸気通路13と2個の排気通路14が形成され、それぞれ燃焼室5に開口している。図1では端部の吸気通路13を示している。吸気通路13の開口部13aは吸気弁15で開閉され、排気通路14の開口部14aは排気弁16で開閉され、開口部13a,14aにはバルブシ−ト70,71が設けられている。吸気弁15及び排気弁16はバルブガイド72,73を介してシリンダヘッド4に移動可能に支持され、動弁機構17を構成するカム軸18,19に設けたカム20,21により作動する。カム軸18,19にはカムスプロケット22,23が設けられ、一方クランク軸9には駆動スプロケット24が設けられ、カムスプロケット22,23と駆動スプロケット24とにカムチェーン25が掛け渡されている。カム軸18,19はカムチェーン25を介してクランク軸9と連動して回転し、所定のタイミングでそれぞれのカム20,21が吸気弁15及び排気弁16を開閉する。
【0011】
吸気通路13には、吸気管30が接続され、この吸気管30にはスロットル弁31が設けられ、スロットル弁31の開閉により吸入空気量を制御する。スロットル弁31の下流側には、インジェクタ33が設けられ、このインジェクタ33から燃料を噴射して希薄燃焼を行う。排気通路14には、排気管40が接続されている。
【0012】
シリンダブロック3は、アルミニウムで形成され、複数のボア3aを有している。このボア3a間には冷却通路50が形成され、この冷却通路50によりボア3aの両側に形成されたウォータジャケット60,61が連通される。
【0013】
冷却通路50は、シリンダブロック3のシリンダヘッド装着側の端部3bからスリット51を形成し、このスリット51の開口端部51aに異種材52を接合して形成される。シリンダブロック3のスリット51の開口端部51aに母材と異種材料52、例えば三角柱状の鉄を接合することで、ボア間のシ−ル幅Dを確保できる。また、異種材料52を接合することで、ボア間に高温時必要な対面圧及び壁剛性を確保でき、さらに従来の設備・工法で機械加工により製造が可能である。
【0014】
スリット51の開口端部51aに、表面が金属皮膜53によって覆われた焼結合金製直線棒状体54からなる異種材52を重ね(図5(a)、その後、この異種材52を開口端部51aに圧接させ、次いで、シリンダブロック3と異種材52との接触部を電気抵抗により発熱させて接合する。
【0015】
このように通電されると電気抵抗が大きくなってこの接触部が発熱するようになる。この熱は異種材52とシリンダブロックとの接触界面の全体に伝導し、接触界面の温度が上昇すると、固相状態で互いに圧接し合う材料金属(銅皮膜53の銅およびシリンダブロック3のアルミニウム合金)の原子が活発に運動するようになり、これらの原子どうしが相互に拡散するようになる。
【0016】
上述したように原子の相互拡散が起こることにより、界面付近の組成は、銅皮膜53を構成する銅と、シリンダブロック3のアルミニウム合金との共晶合金になり、純銅より低い温度で固相から液層に変わることができる状態になる。このときの界面付近の状態を図5(b)に模式的に示す。図5(b)においては、原子の相互拡散が起こり前記共晶合金層が生成されている部位を符号Aで示す。
【0017】
界面付近の温度がさらに上昇し、共晶合金層の一部が液相に変化するようになると原子の拡散現象は一層活発となり、この共晶合金層が成長してこれに伴なって固相と液相との界面が拡大する。この共晶合金層の液相化が進行する一方、共晶合金層に隣接するシリンダヘッドブロック3のアルミニウム合金は、異種材52が押し付けられていることと抵抗熱により昇温されていることとによって、塑性流動(塑性変形)を起こす。
【0018】
この塑性流動は最初の接触部を中心にして図5(b)において上下方向に略対称となるように生じるため、液相化した共晶合金は前記塑性流動に乗じて図5(c)に示すように接触部の外に排除される。図5(c)において共晶合金の排除された部分を符号Bで示す。また、このときには、異種材52の金属皮膜53である銅皮膜の一部が共晶合金化されて接触部から排除されることにより、直線棒状体54の一部がアルミニウム合金に触れるようになってこれらの間でも原子の拡散現象が起こる。この拡散硯象が生じている部位を図5(c)中に符号Cで示す。
【0019】
電流値を上述したように元の値まで上昇させた後、所定時間に達してから所定時間に達するまでの間に徐々に低下させて0とする。電流が流れている間は勿論、通電が断たれた後も反応不能温度まで温度が低下するまでは反応が進行し、共晶合金層の生成→液層化→塑性流動に伴なう排除、という現象と、鉄系焼結合金とアルミニウム合金との原子相互拡散という現象が同時に起こりながら異種材52が沈み込み続け、図5(d)に示すようにその外周面の略全域がシリンダブロック3内に埋没するようになる。そして、最後に、上部を切削して平面にする(図5(d))。シリンダブロック3のスリット51の開口端部51aに母材と異なる異種材料52を電気抵抗により発熱させることで、薄いボア間を変形することなく強固に接合することができ、剛性が一層向上する。なお、異種材52の接合は、強力な接着剤等によって行うこともできる。
【0020】
エンジン1の吸気弁15及び排気弁16は、バルブガイド72,73によりガイドされているが、このバルブガイド72,73は、従来焼結合金、鋳鉄等による別部品をシリンダヘッド4に圧入して形成されている。
【0021】
次に、このバルブガイドの他の実施の形態について説明する。バルブガイドは、吸気側と排気側は同様に構成されるから、吸気側について説明し、排気側は省略する。図6は従来のバルブガイドを示す断面図、図7はこの実施の形態のバルブガイドを示す断面図である。
【0022】
従来図6に示すように、アルミニウムのシリンダヘッド4にガイド圧入孔4aを加工し、バルブガイド75を圧入し、バルブガイド75とバルブシ−ト76とを同時に同軸加工するが非常に手間がかかる。また、バルブガイド75の外周や吸気通路13内へのオイルリ−クも起こり得る。
【0023】
このため、図7に示すように、シリンダヘッド4にガイド孔4bを形成し、このガイド孔4bに直接Ni系メッキすることでバルブガイド77を形成する。バルブガイド77をNi系メッキにより形成することで、従来のバルブガイドの圧入時の剛性を考慮しなくてよいため、排気通路13内への突出部4cを二点鎖線で示す位置から実線で示す位置にして突出量を軽減することができる。また、冷却通路78を二点鎖線で示す位置から実線で示す位置にして容量を拡大することができる。
【0024】
さらに、従来圧入していたバルブガイドが不要になり、また熱伝導率が向上し吸気弁からシリンダヘッド4への熱の逃げが良くなる。また、多孔性ポ−ラスメッキ等を用いればオイル保持性が向上する。また、バルブガイド77だけでなく、リフタ、ボア、カム軸受等も同時にメッキすれば耐摩耗性が向上する。
【0025】
さらに、バルブガイドの他の実施の形態について説明する。
【0026】
従来、例えば焼結材のバルブガイドは、一種類の材料によって構成されている。図8に示すようにバルブガイド80は、耐久後の内径の形状が、ラッパ状に摩耗している。このため、図9に示すようにバルブガイド81の端部に、耐摩耗性の優れた材料81a,81bを入れ、中間部81cに廉価材を入れる。バルブガイド81は、耐摩耗性の優れた材料81a,81bによりラッパ状摩耗が少なくなり、バルブガイド81のガタガタが少なくなるため、バルブシ−ト摩耗、バルブフェ−ス摩耗、バルブステム摩耗等各部の摩耗を低減することができる。
【0027】
また、バルブガイド81の先端からフェ−ス面までの距離を長くすることができるため、図9に示すようにポ−ト角度θを立てることができ、吸入流速が早くなり吸入率効果が向上し、高性能化につながる。
【0028】
また、バルブガイド長さLを短くすることができるため、シリンダヘッド高さは低くなりコンパクトなエンジンとなる。さらに、バルブガイド81の中間部81cに廉価材を用いることができ、廉価材が多くなるためト−タルコストが安くなる。
【0029】
さらに、バルブガイドの他の実施の形態について説明する。図10はシリンダヘッドにバルブガイドを設ける工程図である。アルミニウムのシリンダヘッド90には吸気通路91とウォータジャケット92が形成されており(図10(a))、このシリンダヘッド90の所定位置に上下の接合穴93,94を加工し(図10(b))、上下の接合穴93,94に鉄系の金属で形成したバルブガイド95,96を圧入あるいは焼きばめにより接合する(図10(c))。その後に、バルブステム孔97をバルブガイド95,96とシリンダヘッド90とに貫通して加工する(図10d)。
【0030】
この実施の形態では、ウォ−タジャケット92とバルブステム間の介在物がシリンダヘッド母材(アルミニウム)のみとなり、肉厚も薄くできるため吸気弁の放熱性が良くなる。また、通常バルブガイドは図8に示すように内径の上下部分がラッパ状に摩耗するが、その摩耗し安い部分には鉄系(例えば燒結性)のバルブガイド95,96を用いるため、耐摩耗性は現状レベルを維持できる。また、バルブステム保持のうち、熱間時にはアルミニウム部分の方が鉄部分よりもより膨張し、そこにオイルを抱え込むことでバルブステムの摩耗を抑えられる。さらに、上下のバルブガイド95,96は鉄製のため、バルブステムのクリアランス及びバルブコック量は現状レベルを維持できる。
【0031】
【発明の効果】
前記したように、請求項1記載の発明では、シリンダブロックのスリットの開口端部に母材と異なる異種材料を接合したから、ボア間のシ−ル幅を確保できる。また、異種材料を接合することで、ボア間に高温時必要な対面圧及び壁剛性を確保でき、さらに従来の設備・工法で機械加工により製造が可能である。
また、シリンダブロックのスリットの開口端部に母材と異なる異種材料を電気抵抗により発熱させ、薄いボア間を変形することなく強固に接合することができ、剛性が一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンジンの一部を破断して示す図である。
【図2】エンジンのシリンダブロックの平面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】エンジンのボア間に異種材を接合する説明図である。
【図6】従来のバルブガイドを示す断面図である。
【図7】この実施の形態のバルブガイドを示す断面図である。
【図8】バルブガイドの摩耗を説明する図である。
【図9】バルブガイドの他の実施の形態を示す断面図である。
【図10】シリンダヘッドにバルブガイドを設ける工程図である。
【符号の説明】
1 エンジン
3 シリンダブロック
3a ボア
3b シリンダヘッド装着側の端部
50 冷却通路
51 スリット
52 異種材
【発明の属する技術分野】
この発明は、エンジンのボア間構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、エンジンには、複数のボアを有するシリンダブロックに、シリンダヘッドを装着して燃焼室を形成し、さらにシリンダブロックのボア間に冷却通路を形成したものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、シリンダブロックのボア間が極端に狭いものについては、スリットを形成して覆い部材を圧入したり、あるいはドリル孔を形成して冷却通路を形成することが考えられるが、スリット式ではシリンダヘッドとの間に介在されるガスケットのシ−ル幅もしくはビ−ドラインの設定が困難である。また、圧入すると隣接するボア間隔壁の剛性が下がり、ボアが変形するおそれがある。
【0004】
一方、ドリル方式では、スリット方式の問題はないが、加工が困難である。また、アルミニウムによりシリンダブロックを形成したものでは、ガスケットのビ−ド部にアルミニウムの陥没が発生するおそれがある。
【0005】
この発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、ボア間のシ−ル幅を確保でき、しかも高温時必要な対面圧及び壁剛性を確保でき、さらに従来の設備・工法で機械加工により製造が可能であるエンジンのボア間構造を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、請求項1記載の発明は、シリンダブロックに一列に連なる複数のボアを有し、このボア両側のシリンダブロック外壁部との間にウォータージャケットを有し、
前記ボア間に前記両側のウォータージャケットを連通する冷却通路を形成したエンジンのボア間構造において、
前記シリンダブロックは、ボア形成壁部のシリンダヘッド装着側端部がシリンダブロック外壁部に一体成形で連なってシリンダヘッドとの合面を有する構成とし、
前記シリンダブロックのシリンダヘッド装着側の端部から前記ボア間にのみ複数のボアの並び方向と直交する直線状のスリットを形成し、
このスリットの開口端部に表面が金属皮膜によって覆われた焼結合金製直線棒状体からなる異種材を重ね、
その後、この異種材を前記開口端部に圧接させ、
次いで、前記シリンダブロックと前記異種材との接触部を電気抵抗により発熱させて接合して冷却通路を形成したことを特徴としている。
シリンダブロックのスリットの開口端部に母材と異なる異種材料を接合することで、ボア間のシール幅を確保できる。また、異種材料を接合することで、ボア間に高温時必要な対面圧及び壁剛性を確保でき、さらに従来の設備・工法で機械加工により製造が可能である。
また、シリンダブロックのスリットの開口端部に母材と異なる異種材料を電気抵抗により発熱させ、薄いボア間を変形することなく強固に接合することができ、剛性が一層向上する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、この発明のエンジンのボア間構造の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1はエンジンの一部を破断して示す図、図2はエンジンのシリンダブロックの平面図、図3は図2のIII−III線に沿う断面図、図4は図2のIV−IV線に沿う断面図、図5はエンジンのボア間に異種材を接合する説明図である。
【0009】
エンジン1のクランクケース2には、シリンダブロック3が載置され、シリンダブロック3にはシリンダヘッド4を装着して内部に燃焼室5が形成されている。シリンダヘッド4には、点火プラグ6が燃焼室5に臨むように設けられている。シリンダブロック3に形成されるボア3a内には、ピストン7が往復動可能に設けられている。このピストン7はコンロッド8を介してクランク軸9に連結され、ピストン7の往復動によりクランク軸9が回転する。シリンダヘッド4にはヘッドカバー12が取り付けられている。
【0010】
シリンダヘッド4には、3個の吸気通路13と2個の排気通路14が形成され、それぞれ燃焼室5に開口している。図1では端部の吸気通路13を示している。吸気通路13の開口部13aは吸気弁15で開閉され、排気通路14の開口部14aは排気弁16で開閉され、開口部13a,14aにはバルブシ−ト70,71が設けられている。吸気弁15及び排気弁16はバルブガイド72,73を介してシリンダヘッド4に移動可能に支持され、動弁機構17を構成するカム軸18,19に設けたカム20,21により作動する。カム軸18,19にはカムスプロケット22,23が設けられ、一方クランク軸9には駆動スプロケット24が設けられ、カムスプロケット22,23と駆動スプロケット24とにカムチェーン25が掛け渡されている。カム軸18,19はカムチェーン25を介してクランク軸9と連動して回転し、所定のタイミングでそれぞれのカム20,21が吸気弁15及び排気弁16を開閉する。
【0011】
吸気通路13には、吸気管30が接続され、この吸気管30にはスロットル弁31が設けられ、スロットル弁31の開閉により吸入空気量を制御する。スロットル弁31の下流側には、インジェクタ33が設けられ、このインジェクタ33から燃料を噴射して希薄燃焼を行う。排気通路14には、排気管40が接続されている。
【0012】
シリンダブロック3は、アルミニウムで形成され、複数のボア3aを有している。このボア3a間には冷却通路50が形成され、この冷却通路50によりボア3aの両側に形成されたウォータジャケット60,61が連通される。
【0013】
冷却通路50は、シリンダブロック3のシリンダヘッド装着側の端部3bからスリット51を形成し、このスリット51の開口端部51aに異種材52を接合して形成される。シリンダブロック3のスリット51の開口端部51aに母材と異種材料52、例えば三角柱状の鉄を接合することで、ボア間のシ−ル幅Dを確保できる。また、異種材料52を接合することで、ボア間に高温時必要な対面圧及び壁剛性を確保でき、さらに従来の設備・工法で機械加工により製造が可能である。
【0014】
スリット51の開口端部51aに、表面が金属皮膜53によって覆われた焼結合金製直線棒状体54からなる異種材52を重ね(図5(a)、その後、この異種材52を開口端部51aに圧接させ、次いで、シリンダブロック3と異種材52との接触部を電気抵抗により発熱させて接合する。
【0015】
このように通電されると電気抵抗が大きくなってこの接触部が発熱するようになる。この熱は異種材52とシリンダブロックとの接触界面の全体に伝導し、接触界面の温度が上昇すると、固相状態で互いに圧接し合う材料金属(銅皮膜53の銅およびシリンダブロック3のアルミニウム合金)の原子が活発に運動するようになり、これらの原子どうしが相互に拡散するようになる。
【0016】
上述したように原子の相互拡散が起こることにより、界面付近の組成は、銅皮膜53を構成する銅と、シリンダブロック3のアルミニウム合金との共晶合金になり、純銅より低い温度で固相から液層に変わることができる状態になる。このときの界面付近の状態を図5(b)に模式的に示す。図5(b)においては、原子の相互拡散が起こり前記共晶合金層が生成されている部位を符号Aで示す。
【0017】
界面付近の温度がさらに上昇し、共晶合金層の一部が液相に変化するようになると原子の拡散現象は一層活発となり、この共晶合金層が成長してこれに伴なって固相と液相との界面が拡大する。この共晶合金層の液相化が進行する一方、共晶合金層に隣接するシリンダヘッドブロック3のアルミニウム合金は、異種材52が押し付けられていることと抵抗熱により昇温されていることとによって、塑性流動(塑性変形)を起こす。
【0018】
この塑性流動は最初の接触部を中心にして図5(b)において上下方向に略対称となるように生じるため、液相化した共晶合金は前記塑性流動に乗じて図5(c)に示すように接触部の外に排除される。図5(c)において共晶合金の排除された部分を符号Bで示す。また、このときには、異種材52の金属皮膜53である銅皮膜の一部が共晶合金化されて接触部から排除されることにより、直線棒状体54の一部がアルミニウム合金に触れるようになってこれらの間でも原子の拡散現象が起こる。この拡散硯象が生じている部位を図5(c)中に符号Cで示す。
【0019】
電流値を上述したように元の値まで上昇させた後、所定時間に達してから所定時間に達するまでの間に徐々に低下させて0とする。電流が流れている間は勿論、通電が断たれた後も反応不能温度まで温度が低下するまでは反応が進行し、共晶合金層の生成→液層化→塑性流動に伴なう排除、という現象と、鉄系焼結合金とアルミニウム合金との原子相互拡散という現象が同時に起こりながら異種材52が沈み込み続け、図5(d)に示すようにその外周面の略全域がシリンダブロック3内に埋没するようになる。そして、最後に、上部を切削して平面にする(図5(d))。シリンダブロック3のスリット51の開口端部51aに母材と異なる異種材料52を電気抵抗により発熱させることで、薄いボア間を変形することなく強固に接合することができ、剛性が一層向上する。なお、異種材52の接合は、強力な接着剤等によって行うこともできる。
【0020】
エンジン1の吸気弁15及び排気弁16は、バルブガイド72,73によりガイドされているが、このバルブガイド72,73は、従来焼結合金、鋳鉄等による別部品をシリンダヘッド4に圧入して形成されている。
【0021】
次に、このバルブガイドの他の実施の形態について説明する。バルブガイドは、吸気側と排気側は同様に構成されるから、吸気側について説明し、排気側は省略する。図6は従来のバルブガイドを示す断面図、図7はこの実施の形態のバルブガイドを示す断面図である。
【0022】
従来図6に示すように、アルミニウムのシリンダヘッド4にガイド圧入孔4aを加工し、バルブガイド75を圧入し、バルブガイド75とバルブシ−ト76とを同時に同軸加工するが非常に手間がかかる。また、バルブガイド75の外周や吸気通路13内へのオイルリ−クも起こり得る。
【0023】
このため、図7に示すように、シリンダヘッド4にガイド孔4bを形成し、このガイド孔4bに直接Ni系メッキすることでバルブガイド77を形成する。バルブガイド77をNi系メッキにより形成することで、従来のバルブガイドの圧入時の剛性を考慮しなくてよいため、排気通路13内への突出部4cを二点鎖線で示す位置から実線で示す位置にして突出量を軽減することができる。また、冷却通路78を二点鎖線で示す位置から実線で示す位置にして容量を拡大することができる。
【0024】
さらに、従来圧入していたバルブガイドが不要になり、また熱伝導率が向上し吸気弁からシリンダヘッド4への熱の逃げが良くなる。また、多孔性ポ−ラスメッキ等を用いればオイル保持性が向上する。また、バルブガイド77だけでなく、リフタ、ボア、カム軸受等も同時にメッキすれば耐摩耗性が向上する。
【0025】
さらに、バルブガイドの他の実施の形態について説明する。
【0026】
従来、例えば焼結材のバルブガイドは、一種類の材料によって構成されている。図8に示すようにバルブガイド80は、耐久後の内径の形状が、ラッパ状に摩耗している。このため、図9に示すようにバルブガイド81の端部に、耐摩耗性の優れた材料81a,81bを入れ、中間部81cに廉価材を入れる。バルブガイド81は、耐摩耗性の優れた材料81a,81bによりラッパ状摩耗が少なくなり、バルブガイド81のガタガタが少なくなるため、バルブシ−ト摩耗、バルブフェ−ス摩耗、バルブステム摩耗等各部の摩耗を低減することができる。
【0027】
また、バルブガイド81の先端からフェ−ス面までの距離を長くすることができるため、図9に示すようにポ−ト角度θを立てることができ、吸入流速が早くなり吸入率効果が向上し、高性能化につながる。
【0028】
また、バルブガイド長さLを短くすることができるため、シリンダヘッド高さは低くなりコンパクトなエンジンとなる。さらに、バルブガイド81の中間部81cに廉価材を用いることができ、廉価材が多くなるためト−タルコストが安くなる。
【0029】
さらに、バルブガイドの他の実施の形態について説明する。図10はシリンダヘッドにバルブガイドを設ける工程図である。アルミニウムのシリンダヘッド90には吸気通路91とウォータジャケット92が形成されており(図10(a))、このシリンダヘッド90の所定位置に上下の接合穴93,94を加工し(図10(b))、上下の接合穴93,94に鉄系の金属で形成したバルブガイド95,96を圧入あるいは焼きばめにより接合する(図10(c))。その後に、バルブステム孔97をバルブガイド95,96とシリンダヘッド90とに貫通して加工する(図10d)。
【0030】
この実施の形態では、ウォ−タジャケット92とバルブステム間の介在物がシリンダヘッド母材(アルミニウム)のみとなり、肉厚も薄くできるため吸気弁の放熱性が良くなる。また、通常バルブガイドは図8に示すように内径の上下部分がラッパ状に摩耗するが、その摩耗し安い部分には鉄系(例えば燒結性)のバルブガイド95,96を用いるため、耐摩耗性は現状レベルを維持できる。また、バルブステム保持のうち、熱間時にはアルミニウム部分の方が鉄部分よりもより膨張し、そこにオイルを抱え込むことでバルブステムの摩耗を抑えられる。さらに、上下のバルブガイド95,96は鉄製のため、バルブステムのクリアランス及びバルブコック量は現状レベルを維持できる。
【0031】
【発明の効果】
前記したように、請求項1記載の発明では、シリンダブロックのスリットの開口端部に母材と異なる異種材料を接合したから、ボア間のシ−ル幅を確保できる。また、異種材料を接合することで、ボア間に高温時必要な対面圧及び壁剛性を確保でき、さらに従来の設備・工法で機械加工により製造が可能である。
また、シリンダブロックのスリットの開口端部に母材と異なる異種材料を電気抵抗により発熱させ、薄いボア間を変形することなく強固に接合することができ、剛性が一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンジンの一部を破断して示す図である。
【図2】エンジンのシリンダブロックの平面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】エンジンのボア間に異種材を接合する説明図である。
【図6】従来のバルブガイドを示す断面図である。
【図7】この実施の形態のバルブガイドを示す断面図である。
【図8】バルブガイドの摩耗を説明する図である。
【図9】バルブガイドの他の実施の形態を示す断面図である。
【図10】シリンダヘッドにバルブガイドを設ける工程図である。
【符号の説明】
1 エンジン
3 シリンダブロック
3a ボア
3b シリンダヘッド装着側の端部
50 冷却通路
51 スリット
52 異種材
Claims (1)
- シリンダブロックに一列に連なる複数のボアを有し、このボア両側のシリンダブロック外壁部との間にウォータージャケットを有し、
前記ボア間に前記両側のウォータージャケットを連通する冷却通路を形成したエンジンのボア間構造において、
前記シリンダブロックは、ボア形成壁部のシリンダヘッド装着側端部がシリンダブロック外壁部に一体成形で連なってシリンダヘッドとの合面を有する構成とし、
前記シリンダブロックのシリンダヘッド装着側の端部から前記ボア間にのみ複数のボアの並び方向と直交する直線状のスリットを形成し、
このスリットの開口端部に表面が金属皮膜によって覆われた焼結合金製直線棒状体からなる異種材を重ね、
その後、この異種材を前記開口端部に圧接させ、
次いで、前記シリンダブロックと前記異種材との接触部を電気抵抗により発熱させて接合して冷却通路を形成したことを特徴とするエンジンのボア間構造。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP27768596A JP3559846B2 (ja) | 1996-10-21 | 1996-10-21 | エンジンのボア間構造 |
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JPH10122033A JPH10122033A (ja) | 1998-05-12 |
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JP6314000B2 (ja) * | 2014-02-28 | 2018-04-18 | ダイハツ工業株式会社 | シリンダブロック |
-
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- 1996-10-21 JP JP27768596A patent/JP3559846B2/ja not_active Expired - Fee Related
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