JP3559293B2 - 薄片状酸化亜鉛粉末及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は薄片状酸化亜鉛粉末及びその製造方法に関する。さらに詳細には0.5μm以下の超薄片であるにもかかわらず、機械的強度に優れ、かつ紫外線遮蔽能に優れた、例えば、化粧用、衣料用、包材用、塗装用及びその他の紫外線遮蔽用に特に好適な薄片状酸化亜鉛粉末及びその製造方法に関する。
【0002】
近年、オゾンホールによる地表到達太陽光紫外線量の増加は、主としてUVB(290〜320nm波長の紫外線)により生じる日焼けや雪焼けによる皮膚の急性炎症、或いは主としてUVA(320〜400nm波長の紫外線)の繰り返し照射により生じる皮膚の老化更にはメラノーマ等の皮膚癌増大等、生物に悪影響を与えるのみならず、工業製品、食品等の紫外線劣化の増大を惹起するとしてこの問題解決が重要な課題となって来ている。
【0003】
【従来の技術】
或る種の薄片状の酸化チタンはUVB領域において極めて優れた紫外線遮蔽能を有しているが、350nm以上、即ちUVA領域の紫外線遮蔽能は低下する。他方0.02μm程度の微粒状酸化亜鉛粉末はUVB領域の紫外線遮蔽能は上記薄片状酸化チタンに比較し劣るもののUVA領域、特に350nm以上においてもUVB領域と略同等の効果を有する。それゆえ、極めて薄片状の酸化亜鉛粉末を得ることができれば、UVA、UVB両領域において、優れた紫外線遮蔽能を有するものと推測される。
【0004】
公知の薄片状酸化亜鉛の製造方法としては、特公昭55−25133号として「硫酸亜鉛を含む酸性水溶液にアンモニアガスを接触吸収させることにより、酸性領域で結晶体を析出させる塩基性硫酸亜鉛板状結晶体の製造方法」が教示されており、この用途として白色顔料として板状酸化亜鉛粉末が記載されている。
しかしながら、開示された大きさは粒径が最高数百μm、厚さ数μm以上であり、単位重量当りの隠蔽面積が低く、従って紫外線遮蔽能も低い。
また、上記方法で厚さ0.5μm以下の薄片を作製した場合には、機械的強度が低く、例えば化粧料等に使用する場合においては、化粧料を構成する他の原料物質との混練時に形状崩壊を生じ、優れた紫外線遮蔽能は期待できない。
【0005】
特開平3−60429号には「3価及び/又は4価の金属原子をZn原子1モル当り0.0001〜0.1モル含有し、粉体の体積固有抵抗値が105 Ωcm以下であり、かつ粉体の形状がアスペクト比3〜400の針状、または板の長径/厚さの比が10〜1000の板状である酸化亜鉛系導電性粉末」が教示されている。
このものは明細書中において板の形状として、長径1〜200μm、厚さ0.01〜10μmの範囲で使用することを開示している。しかしながらこのものも厚さが0.5μm以下の場合には、機械的強度が低く、通常の用途においてその薄板形状を生かしての適用は困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
かかる状況下において、本発明者等は可視光線の透過性及び紫外線遮蔽能、特にUVA領域に於ける紫外線遮蔽能に優れ、かつ機械的強度に優れた薄片状酸化亜鉛粉末を得るべく鋭意検討した結果、亜鉛塩溶液とアンモニウムイオンの反応により得られる薄片状亜鉛物質に特定の金属原子を含有せしめ、これを酸化雰囲気で焼成する場合には、上記物性を全て満足する薄片状酸化亜鉛粉末が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、平均厚みが0.1μm〜0.5μm、平均差渡し径が1μm〜100μm、平均差渡し径/平均厚みの比が5〜300、粉体の体積固有抵抗値が106Ωcm以上であり、かつアルミニウム及び/又は鉄の金属原子を、亜鉛原子1モル当り0.0001モル〜0.5モル含有することを特徴とする薄片状酸化亜鉛粉末を提供するものである。
また本発明は、亜鉛塩溶液にアンモニウムイオン、又は分解してアンモニウムイオンを発生する化合物を含有する溶液を混合し、中和反応により薄片状塩基性亜鉛塩又は薄片状水酸化亜鉛を析出させるに際し、アルミニウム及び/又は鉄の金属原子を、該溶液中の亜鉛原子1モル当り0.0001モル〜0.5モルの存在下に中和せしめ、該中和反応による析出物を98℃〜103℃の温度で10分以上熟成処理した後、ろ過、洗浄及び乾燥し、酸化雰囲気中で焼成することを特徴とする薄片状酸化亜鉛粉末の製造方法を提供するにある。
【0008】
以下本発明を更に詳細に説明する。
本発明の薄片状酸化亜鉛は、平均厚みが0.1μm〜0.5μm、好ましくは0.1μm〜0.3μm、平均差渡し径が1μm〜100μm、好ましくは1μm〜80μm、平均差渡し径/平均厚みの比が3〜1000、好ましくは5〜300、粉体の体積固有抵抗値が106 Ωcm以上であることを特徴とする薄片状酸化亜鉛粉末である。
このものは厚みが薄く、可視光線の透過性に優れるとともに紫外線遮蔽能にも優れており、加えてアスペクト比(平均差渡し径/平均厚みの比)が大であるため、化粧料の紫外線遮蔽剤、或いは樹脂に対する充填剤としての使用に際し、単位重量当りの被覆効果に優れる。
【0009】
ここに於いて薄片の形状(大きさ)はバラツキを有するので、本発明に於いて平均差渡し径とは,百個の薄片の(最大差渡し径+最小差渡し径)/2の値の平均値である。
【0010】
また、上記薄片状酸化亜鉛に、アルミニウム又は鉄、或いはアルミニウムと鉄の原子を、亜鉛原子1モル当り0.0001モル〜0.5モル、好ましくは亜鉛原子1モル当り0.0001モル〜0.4モル含有せしめたものは機械的強度に優れ、樹脂への充填、或いは化粧料等への充填時に薄片が実質的に破壊されることなく使用し得るというものである。
【0011】
亜鉛原子に対するアルミニウム及び/又は鉄の金属原子の添加量が上記範囲より少ない場合には、薄片の機械的強度付与効果が得られず、他方、多い場合には可視光線の透過性低下や、薄片状物質の生成量が低下する等の現象が生じる。
【0012】
薄片状酸化亜鉛粉末の製法としては、特に制限されないが、
(1)亜鉛塩溶液にアンモニウムイオン、又は分解してアンモニウムイオンを発生する化合物を含有する溶液を混合し、中和反応により薄片状塩基性亜鉛塩又は薄片状水酸化亜鉛を析出させるに際し、中和反応をアルミニウム及び/又は鉄の金属原子の少なくとも1種を、該溶液中の亜鉛原子1モル当り0.0001モル〜0.5モルの存在下に実施し、該中和反応による析出物をろ過、洗浄及び乾燥し、酸化雰囲気中で焼成することにより薄片状酸化亜鉛粉末を得る方法。
(2)亜鉛塩溶液にアンモニウムイオン、又は分解してアンモニウムイオンを発生する化合物を含有する溶液を混合し、中和反応により薄片状塩基性亜鉛塩又は薄片状水酸化亜鉛を析出させ、得られた該薄片状物質にアルミニウム及び/又は鉄の金属原子の少なくとも1種を、該薄片状物質中の亜鉛原子1モル当り0.0001モル〜0.5モルを含有する金属又はこれらの金属化合物を混合し、必要によりろ過、乾燥した後、酸化雰囲気中で焼成することにより薄片状酸化亜鉛粉末を製造する方法が挙げられる。
【0013】
上記方法に於いて亜鉛塩溶液は、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛等の有機酸塩、或いは亜鉛アルコキシド等が挙げられる。
亜鉛アルコキシドの場合は低級アルコール、多価アルコール、ジメチルホルムアミド、低級エステル、テトラヒドロフラン等の水溶性有機溶媒中に溶解し使用すればよい。
【0014】
アンモニウムイオン、又は分解してアンモニウムイオンを発生する化合物を含有する溶液とは、アンモニアガス、アンモニア水、尿素水溶液、ヘキサメチレンテトラミン水溶液等が挙げられる。
【0015】
本発明で使用する金属原子はアルミニウム及び/又は鉄であるが、得られる酸化亜鉛に着色がない点においてアルミニウムが優れている。
これら金属原子は金属として或いは金属酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、りん酸塩、塩酸塩、有機酸塩等のいずれの形で使用してもよいが、最も一般的には硫酸アルミニウム、硫酸鉄、硝酸アルミニウム、硝酸鉄、塩化アルミニウム、塩化鉄、酢酸アルミニウム、酢酸鉄、りん酸アルミニウム、りん酸鉄、アンモニウム明礬等の水溶液が使用される。
【0016】
亜鉛塩溶液とアンモニウムイオン、又は分解してアンモニウムイオンを発生する化合物を含有する溶液を混合し、中和反応により薄片状塩基性亜鉛塩の結晶又は薄片状水酸化亜鉛を析出させる方法は例えば特公昭54−19235号、特公昭54−19237号或いは特公昭54−40478号等により公知であり、使用原料の種類、反応時の亜鉛塩溶液中の亜鉛濃度、これと接触せしめる溶液中のアンモニウムイオン濃度、或いは反応温度、反応系のPH濃度、原料の添加速度等により析出する薄片状物質の形状は異なるので、簡単な予備実験により平均厚みが0.1μm〜0.3μm、平均差渡し径が1μm〜100μmの結晶を析出させればよい。
【0017】
本発明の物性を有する薄片状酸化亜鉛粉末は公知の薄片状酸化亜鉛粉末の製法に特定の金属原子を存在させることにより得ることができるが、薄片形状が美麗で、透光性に優れ、かつ収率の高い製法の一例として以下の方法が挙げられる。
【0018】
原料の亜鉛塩溶液として、亜鉛濃度0.1モル/リットル以上の硫酸亜鉛溶液と金属原子として亜鉛原子1モルに対し0.0001〜0.5モル(アルミニウム原子換算)の硫酸アルミニウム等のアルミニウム化合物含有溶液との混合物、及び分解してアンモニウムイオンを発生する化合物を含有する溶液としてヘキサメチレンテトラミンを硫酸イオン1モルに対し1.5モル〜2.5モルを、95℃〜100℃の熱水中に攪拌下、等比量で同時に添加し、ヘキサメチレンテトラミンの加水分解により生じるアンモニアによる酸性溶液との中和反応により、塩基性硫酸亜鉛を析出させる。析出処理後の溶液は必要に応じて溶液の沸点以下、且つ沸点近傍の温度、例えば約98℃〜約103℃の温度で約10分以上、通常約1時間〜約3時間加熱(熟成)処理する。これにより析出した薄片は結晶表面をより平滑化し、透光性の改良、粒径の増加に寄与する。
【0019】
収率の向上を望む場合には、加熱処理前、或いは加熱処理後の溶液に、室温下でアンモニア水を添加し、PHを溶液中に残存する亜鉛及びアルミニウムの最も溶解度が低下する範囲(PH約8〜8.5)に調整し薄片状の塩基性硫酸亜鉛を析出させればよい。
析出処理後の溶液はそのまま、ろ過、洗浄等の処理に供してもよいが、常温で攪拌下、1時間以上、通常5時間〜72時間保持することにより、より平滑で、結晶形状の美麗な薄片が得られる。
【0020】
析出処理後の溶液、或いは加熱処理後の溶液は次いで固液分離し、洗浄、乾燥、焼成し薄片状酸化亜鉛粉末を得るが、上記固液分離後のろ洗液に水溶性有機溶剤、例えば、低級アルコール類、多価アルコール類、ジメチルホルムアミド、低級エステル類、テトラヒドロフラン及び低級ケトン類等を加える場合には、液中の亜鉛の溶解度が低下し、薄片状硫酸亜鉛が晶析するので更に収率の向上を計ることもできる。またこの場合には排水中への金属イオンの低減も図れる。この水溶性有機溶剤は固液分離前に加えても、同様の効果を得ることができる。
かかる処理に使用する有機溶剤は溶液100容量部に対し、約1容量部〜約10容量部であればよい。
処理後のスラリーは上記と同様な加温処理することが推奨される。加温処理後のスラリーはろ過処理し薄片状亜鉛を取得後、残部液中の水溶性有機溶剤は常法に従って蒸発回収し、蒸発回収できないものは湿式酸化処理、或は活性汚泥処理等により処理すればよい。
【0021】
ろ過、洗浄された塩基性硫酸亜鉛は次いで、乾燥、焼成されるが、乾燥前に水中、好ましくは上述したような水溶性有機溶剤中で超音波分散等により分散処理した後スプレードライヤーやドラムドライヤー等で乾燥することが推奨される。
かかる処理により、析出時凝集していた塩基性硫酸亜鉛の結晶は均一分散し、凝集の実質的にない薄片が得られる。
【0022】
乾燥後の薄片は次いで焼成するが、本発明に於いては、焼成は酸化雰囲気で行うことを必須とする。焼成を還元性雰囲気で実施する場合には得られる薄片は特定の金属が存在する場合であっても強度の発現は少なく、実質的に使用に於いて薄片形状を保持できない。
【0023】
焼成温度は被焼成物質の温度が約850℃〜約1000℃となる温度で約10分以上、通常30分〜約1時間実施される。焼成炉は管状炉、箱型炉、キルン炉及びガス炉等いずれを用いてもよく、特に制限されない。
焼成後の薄片物質は必要ならば、解砕処理した後、所望粒度に分級して一般の樹脂充填剤、ゴム用充填剤、顔料、化粧用顔料、更には化粧料、衣料、塗料、食品包装材料等の各種用途の紫外線遮蔽剤等として使用可能である。
【0024】
【発明の効果】
このようにして得られた薄片状酸化亜鉛粉末は通常、平均厚みが0.1μm〜0.5μm、平均差渡し径が1μm〜100μm、平均差渡し径/平均厚みの比が3〜1000、粉体の体積固有抵抗値が106 Ωcm以上の透光性に優れた美麗な薄片形状を有しており、単位重量当たりの被覆面積が大きく、薄片の強度および、UVA,UVBの両範囲の紫外線遮蔽能に優れるもので、その工業的価値は頗る大である。
【0025】
【実施例】
次に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
尚、実施例において薄片状酸化亜鉛粉末の体積固有抵抗値は以下の方法で測定した。
体積固有抵抗(Ω・cm)=〔全抵抗(Ω)×シリンダーの内面積(cm2 )〕/試料の厚さ(cm)
上記式中、全抵抗は試料1gを内径10mmの円筒容器に入れ100kg/cm2 の加圧を行い、室温下、相対湿度60%以下の条件で、テスターを用い測定することにより求めた。
【0026】
実施例1
硫酸亜鉛7水和物(ZnSO4 ・7H2 O/和光純薬製)86.7gと硫酸アルミニウム水和物(Al2 (SO4 )3 ・14〜18H2 O/和光純薬製)0.95gを脱イオン水に加温溶解して100mlに調整し、また、純度99%のヘキサメチレンテトラミン(C6 H12N4 /和光純薬製)108gを同様に加温溶解して230mlに調製した。 このようにして調整した原料を、500mlセパラブルフラスコに脱イオン水20mlをいれ、パドル攪拌翼で攪拌しつつ約98℃〜約100℃に加熱した熱水中に、1時間かけて定量ポンプで等比容量(両原料の供給が同時に完了する条件)で同時に注入した。
【0027】
次いで析出物含有溶液(スラリー)を、攪拌しつつ約100℃〜約102℃に1時間加熱維持した。 加熱処理後のスラリーは、次いで室温に冷却した後、25%アンモニア水を加えPH値を約6.8から約8.1に調節後、その状態で1時間保持した。
【0028】
次いで得られたスラリーを固液分離した後脱イオン水300mlで洗浄し、更にエチルアルコール50mlで洗浄し、この濾液並びに洗浄液を更に攪拌しつつ1時間晶析熟成して該溶液中に残存する金属を薄片状亜鉛として回収し、先に固液分離して得た薄片状亜鉛と共にエチルアルコール中に供給し、30分間超音波分散処理した後、スプレードライヤーで乾燥して、凝集のない40.1gの不定形の薄片状亜鉛物質を得た。
【0029】
得られた薄片状亜鉛物質3.06gを管状炉内に供給し、自然通気下に、昇温速度200℃/hで昇温し、温度950℃で30分間焼成して、1.78gの薄片状酸化亜鉛粉末を得た。得られた薄片の厚みは約0.1μm、平均の差渡し径は約6μm、収率(仕込み硫酸亜鉛換算)は95%、粉体の体積固有抵抗値は1×109 Ω・cmであった。
【0030】
上記で得られた薄片状酸化亜鉛粉末0.18gをシリコンオイル(KS−62F/信越化学社製)1.02gとめのう乳鉢で良く混合し、この混合物を脱脂ポリプロピレンフイルム(厚さ50μm)にドクターブレード法にて25μmの厚みで塗布して、その分光拡散透過率(50φ積分球付き/日立330分光光度計)を測定した所、2%/370nm、79%/500nmであった。
また、同一試料を用い、380nmに於ける直線透過率(積分球無し)を測定したところ、吸光度は2.53であった。
【0031】
薄片の強度測定法として、上記で得られた薄片状酸化亜鉛粉末0.5gを0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液100mlにホモジナイザー(US−300T:超音波分散器/リーズ&ノースラップ社社製)で分散し、マイクロトラックMKII(リーズ&ノースラップ社製)により各々1分間と10分間分散処理し、次いで処理後の薄片の平均粒径を測定することにより、(10分間分散処理後の薄片の平均粒径/1分間分散処理後の薄片の平均粒径)×100(%)として薄片の強度を求めた。その結果、薄片強度は69%であった。
【0032】
実施例2
実施例1において、硫酸アルミニウム水和物の量を0.095gに、ヘキサメチレンテトラミン量を107gに代えた他は全く同様にして薄片状酸化亜鉛粉末を製造した。
得られた薄片の厚みは約0.2μm、平均差渡し径約7μmで、収率は91%、粉体の体積固有抵抗値は2×109 Ω・cmであり、その直線透過率による吸光度は1.53/380nmであった。 又、その薄片強度を測定した所、63%であった。
【0033】
実施例3
実施例1において、硫酸アルミニウム水和物の量を9.5gに、ヘキサメチレンテトラミン量を115gに代えた他は全く同様にして薄片状酸化亜鉛粉末を製造した。
得られた薄片の厚みは約0.1μm、平均差渡し径約6μmで、収率は92%、粉体の体積固有抵抗値は2×109 Ω・cmであり、その直線透過率による吸光度は1.98/380nmであった。 又、その薄片強度を測定した所、60%であった。
【0034】
実施例4
実施例1において、硫酸アルミニウム水和物を硫酸第二鉄7水和物(Fe2 (SO4 )3 ・7H2 O/和光純薬製)0.0125gに、ヘキサメチレンテトラミン量を109gに代えた他は全く同様にして薄片状酸化亜鉛粉末を製造した。得られた薄片の厚みは約0.1μm、平均差渡し径約7μmで、収率は95%、粉体の体積固有抵抗値は2×109 Ω・cmであり、その直線透過率による吸光度は2.11/380nmであった。 又、その薄片強度を測定した所、70%であった。
【0035】
比較例1
実施例1において、硫酸アルミニウム水和物を加えず、硫酸亜鉛供給量を43.4g、ヘキサメチレンテトラミンの供給量を54gに代えた他は同様にして薄片状酸化亜鉛粉末を製造した。
得られた薄片の厚みは約0.1μm、平均差渡し径約6μmで、収率は96%、粉体の体積固有抵抗値は2×109 Ω・cmであり、その直線透過率による吸光度は0.97/380nmであった。 又、その薄片強度を測定した所、40%であった。
【0036】
比較例2
実施例1において、硫酸アルミニウム水和物を加えない他は同様にして薄片状酸化亜鉛粉末を製造した。
得られた薄片の厚みは約0.5μm、平均差渡し径約7μmで、収率は90%、粉体の体積固有抵抗値は2×109 Ω・cmであった。 その分光拡散透過率を測定した所、33%/370nm、87%/500nmであった。又、直線透過率による吸光度は0.41/380nmであり、薄片強度は72%であった。
【0037】
比較例3
市販の平均粒子径0.2μmの微粒酸化亜鉛粉末(堺化学工業製)の分光拡散透過率を測定した所、9%/370nm、57%/500nmであった。
【0038】
比較例4
実施例1において、得られた薄片状亜鉛物質を酸化雰囲気で焼成する方法に代え、圧抜き孔をつけた炉芯管で木炭と共に昇温速度200℃/hで昇温し、温度750℃で30分間焼成して、薄片状酸化亜鉛粉末を得た。
得られた粉体の体積固有抵抗値は2×104 Ω・cmであり、薄片の強度を測定した所、50%であった。
Claims (6)
- 平均厚みが0.1μm〜0.5μm、平均差渡し径が1μm〜100μm、平均差渡し径/平均厚みの比が5〜300、粉体の体積固有抵抗値が106Ωcm以上であり、かつアルミニウム及び/又は鉄の金属原子を、亜鉛原子1モル当り0.0001モル〜0.5モル含有することを特徴とする薄片状酸化亜鉛粉末。
- 亜鉛塩溶液にアンモニウムイオン、又は分解してアンモニウムイオンを発生する化合物を含有する溶液を混合し、中和反応により薄片状塩基性亜鉛塩又は薄片状水酸化亜鉛を析出させるに際し、アルミニウム及び/又は鉄の金属原子を、該溶液中の亜鉛原子1モル当り0.0001モル〜0.5モルの存在下に中和せしめ、該中和反応による析出物を98℃〜103℃の温度で10分以上熟成処理した後、ろ過、洗浄及び乾燥し、酸化雰囲気中で焼成することを特徴とする薄片状酸化亜鉛粉末の製造方法。
- アンモニウムイオン、又は分解してアンモニウムイオンを発生する化合物を含有する溶液が、アンモニウム水溶液、尿素水溶液またはヘキサメチレンテトラミンであることを特徴とする請求項2記載の薄片状酸化亜鉛粉末の製造方法。
- 該薄片状物質の中和析出法として、亜鉛塩溶液にヘキサメチレンテトラミンを加え、加水分解及び中和反応後、さらに該溶液にアンモニア水溶液を添加し、該溶液中の未反応亜鉛塩を中和析出せしめることを特徴とする請求項2記載の薄片状酸化亜鉛粉末の製造方法。
- 亜鉛塩溶液が硫酸亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛又は炭酸亜鉛の何れか一種である請求項2記載の薄片状酸化亜鉛粉末の製造方法。
- 該薄片状物質の中和析出法として、亜鉛塩溶液にヘキサメチレンテトラミンを加え、加水分解及び中和反応後、さらに該溶液にアンモニア水溶液を添加し、該溶液中の未反応亜鉛塩を中和析出させた後、該溶液を室温下、30分以上保持する請求項5記載の薄片状酸化亜鉛粉末の製造方法。
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