JP3559231B2 - 複数ビーム制御適応アンテナ装置及びそれを用いた通信方法 - Google Patents

複数ビーム制御適応アンテナ装置及びそれを用いた通信方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アンテナに複数ビームの指向性パターンを形成して通信する無線通信システムに用いる複数ビーム制御適応アンテナ装置及びそれを用いた通信方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、鈴木達他「アダプティブアレーを用いたSDMA方式におけるチャネル利用効率の検討」信学技報AP99−197,pp.9−14)に示されるように、従来の適応アンテナ装置を複数用いることにより、アンテナに複数ビームの指向性パターンを形成して通信することができる。
【0003】
また、例えばR. A. Monzingo and T. W. Miller, 「Introduction to Adaptive Arrays」, John Wiley & Sons, Inc. 1980に示される従来の適応アンテナ装置は、図12のように構成されている。
すなわち、複数のアンテナ素子901(1)〜901(N)と、各アンテナ素子出力に複素数の重みを課す重み付け回路902(1)〜902(N)と、重みを制御する重み制御装置903と、基準信号発生装置904と、重み付けされた各アンテナ素子からの信号を合成する合成器905とを備えている。
【0004】
図12の適応アンテナ装置において、複数のアンテナ素子901(1)〜901(N)で受信された信号をx(1)〜x(N)とし、重み付け回路902(1)〜902(N)に与えられる重みの値をw(1)〜w(N)とし、希望信号成分をdで表す場合、
合成器905の出力信号と希望する信号との誤差の2乗を最小にするための指向性を形成する重みWoptの値は次式で与えられる。
【数1】
Figure 0003559231
例えば、無線基地局と複数の無線端末局との間で無線通信を行う場合、無線基地局のアンテナの指向性パターンを制御して、それぞれの無線端末局の方向に複数のビームを形成すれば、ビームパターンによって複数の無線端末局を分離することができるため、同じ周波数チャネルを同時に使用して無線基地局と複数の無線端末局との間で無線通信を行うことができる。すなわち、空間分割多重伝送を実現して周波数の利用率を改善することができる。
【0005】
無線基地局のアンテナに複数ビームの指向性パターンを形成する場合、各ビームの形成に利用されるビーム形成回路(適応アンテナ装置)の希望信号は、各ビーム形成回路に対応付けられた無線端末局からの信号になる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
複数ビーム制御適応アンテナ装置を用いて空間分割多重伝送を実現するためには、通信を開始する前にそれぞれの無線端末局に対応した指向性パターンを形成しなければならない。
ところが、多数の無線端末局の中でどの無線端末局が送信を行うかを無線基地局で認識できない場合には、指向性パターンの形成に必要な希望信号が不明であるため、通信を開始する前に各無線端末局に合わせた指向性パターンを形成することができない。
【0007】
本発明は、通信を開始する前に各無線端末局に合わせた指向性パターンを形成可能な複数ビーム制御適応アンテナ装置及びそれを用いた通信方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1は、複数の無線端末局と空間分割多重伝送によって通信を行うための複数ビームアンテナ制御適応アンテナ装置であって、複数のアンテナ素子と、複数の可変ビーム形成回路と、各可変ビーム形成回路に接続された復調器とを備え、前記可変ビーム形成回路には、各アンテナ素子からの信号を重み付けする重み付け手段と、前記重み付け手段によって重み付けされた各アンテナ素子からの信号を合成する信号合成手段とを設けた複数ビーム制御適応アンテナ装置において、
前記複数のアンテナ素子の各々の受信信号に基づいて求められる複数のアンテナ素子間の相関行列から複数の固有ベクトルを求め、求められた複数の固有ベクトルの各要素の複素共役値を前記重み付け手段の重みの値として与える固有ベクトル取得手段と、前記複数の可変ビーム形成回路のそれぞれについて受信機の同期確立に関する識別を行う同期識別手段を設け、前記同期識別手段の識別結果に基づき、前記複数の可変ビーム形成回路のうち同期が確立していない可変ビーム形成回路に対しては、求められた複数の固有ベクトルの各要素の複素共役値を前記重み付け手段の重みの値として与え、前記同期識別手段の識別結果に基づき、前記複数の可変ビーム形成回路のうち受信機の同期が確立した可変ビーム形成回路については、前記信号合成手段の出力信号と所望信号との誤差の2乗が最小となるように、前記重み付け手段の重みの値を制御することを特徴とする。
【0009】
複数のアンテナ素子のそれぞれが受信した信号に基づいて、アンテナ素子間の相関行列を求めることができる。相関行列Rxxは次式で表される。
【数2】
Figure 0003559231
なお、期待値(Expected Value)E[・]については、例えばディジタル信号処理を用いた適応アンテナの場合には、A/D変換のサンプリングによって平均化した値として得ることができる。
【0010】
また、例えば複数の端末局からの信号が基地局で同時に受信され、各信号が互いに異なった受信レベルで受信される場合には、相関行列Rxxから複数の固有値の情報を取り出すことができる。各々の固有値は、各端末局からの受信信号に対応する。
また、各々の固有値に対応する固有ベクトルが存在する。この固有ベクトルは、特定の固有値の信号を取り出すための適応アンテナ装置の重みベクトルに相当する。
【0013】
固有ベクトルの各要素の複素共役値を前記重み付け手段の重みの値として与えることにより、目的とする送信局の方向に合わせてアンテナの指向性パターンを制御することができるため、目的とする送信局の信号を抽出するとともに干渉波を抑制することができる。その結果、特定の受信信号に対して受信機(復調器)を同期させることができる。
【0014】
受信機の同期が確立した後は、受信信号から所望信号を取り出すことができるので、前記信号合成手段の出力信号と所望信号との誤差の2乗が最小となるように重み付け手段の重みの値を制御することができる。
請求項1においては、相関行列から求められた複数の固有ベクトルの各要素の複素共役値を前記重み付け手段の重みの値として与えることにより、各々の送信局の信号成分(固有値)を抽出するようにアンテナの指向性パターンを定めることができる。この場合には、希望信号が不明であっても各々の送信局の方向に合わせてアンテナの指向性パターンを制御することができる。
また、受信機の同期が確立した後は従来と同様の制御を行うので、固有ベクトルに基づいて重み付け手段の重みを制御する場合よりも高い精度でアンテナの指向性パターンを制御することができる。
【0015】
請求項は、複数のアンテナ素子と、複数の可変ビーム形成回路と、各可変ビーム形成回路に接続された復調器とを備え、前記可変ビーム形成回路には、各アンテナ素子からの信号を重み付けする重み付け手段と、前記重み付け手段によって重み付けされた各アンテナ素子からの信号を合成する信号合成手段とを設け、さらに前記複数のアンテナ素子の各々の受信信号に基づいて求められる複数のアンテナ素子間の相関行列から複数の固有ベクトルを求め、求められた複数の固有ベクトルの各要素の複素共役値を前記重み付け手段の重みの値として与える固有ベクトル取得手段を設けた複数ビーム制御適応アンテナ装置を備える無線基地局と複数の無線端末局との間で通信するための複数ビーム制御適応アンテナ装置を用いた通信方法であって、前記無線基地局と複数の無線端末局との間で同一周波数を用いて同時に通信が可能な空間分割多重伝送を実施する場合に、前記複数ビーム制御適応アンテナ装置を無線端末局から無線基地局に向かう方向の上りの通信に利用するとともに、前記無線基地局における既知信号を、無線端末局から前記無線基地局に対して送信するためのトレーニング区間を情報伝送時刻の前に割り当て、前記トレーニング区間では、前記無線基地局で受信される無線端末局からの信号の受信レベルに複数の無線端末局の間で差が生じるように制御し、前記トレーニング区間で、前記無線基地局の受信信号に基づいて求められる複数のアンテナ素子間の相関行列から複数の固有ベクトルを求めることを特徴とする。
請求項3は、請求項1の複数ビーム制御適応アンテナ装置を備える無線基地局と複数の無線端末局との間で通信するための複数ビーム制御適応アンテナ装置を用いた通信方法であって、前記無線基地局と複数の無線端末局との間で同一周波数を用いて同時に通信が可能な空間分割多重伝送を実施する場合に、前記複数ビーム制御適応アンテナ装置を無線端末局から無線基地局に向かう方向の上りの通信に利用するとともに、前記無線基地局における既知信号を、無線端末局から前記無線基地局に対して送信するための第1のトレーニング区間とそれに続く第2のトレーニング区間とを情報伝送時刻の前に割り当て、前記第1のトレーニング区間では、前記無線基地局で受信される無線端末局からの信号の受信レベルに複数の無線端末局の間で差が生じるように制御し、前記第2のトレーニング区間では、前記無線基地局で受信される無線端末局からの信号の受信レベルが複数の無線端末局の間で同一になるように制御し、前記第1のトレーニング区間では、複数の可変ビーム形成回路のうち受信機の同期が確立していない可変ビーム形成回路について、無線基地局のアンテナ素子間の相関行列から求められた複数の固有ベクトルの各要素の複素共役値を前記重み付け手段の重みの値として与え、複数の可変ビーム形成回路のうち、前記第1のトレーニング区間で受信機の同期が確立した回路については、同期が確立した無線端末局からの受信信号に基づいて前記複数のアンテナ素子の応答を推定するとともに、前記第2のトレーニング区間では、受信機の同期追従を停止し、前記応答に基づいて前記信号合成手段の出力信号と所望信号との誤差が最小となるように前記重み付け手段の重みの値を決定し、複数の可変ビーム形成回路のうち、前記第1のトレーニング区間で受信機の同期に失敗した回路については、少なくとも同期が確立するまでは、前記第2のトレーニング区間で前記固有ベクトルの各要素の複素共役値を前記重み付け手段の重みの値として与えることを特徴とする。
【0016】
請求項2、3においては、無線基地局に複数ビーム制御適応アンテナ装置を備えることにより、複数の無線端末局をアンテナの複数の指向性パターンを用いて空間的に分離する場合を想定している。このため、複数の無線端末局は互いに共通の同一周波数を用いて同時に通信を行う。
【0017】
また、請求項2、 3では情報の伝送を開始する前に、トレーニング区間で既知信号を各無線端末局から無線基地局に対して送信する。この既知信号は、アンテナの適応制御や受信機の同期確立に利用できる。また、トレーニング区間では、無線基地局で受信される複数の無線端末局からの信号の受信レベルに互いに差が生じるように制御する。各無線端末局の送信出力を制御することにより、無線基地局における信号の受信レベルを変更することができる。
【0018】
前記固有ベクトルに基づいて可変ビーム形成回路の重みを制御する場合には、複数の無線端末局から無線基地局に同時に到来する信号の受信レベルが互いに異なる必要がある。もしも、無線基地局に同時に到来した複数の信号の受信レベルが等しい場合には、それらの信号を分離するように複数の指向性パターンを形成することができない。
【0019】
請求項2、3では、無線基地局で受信される複数の無線端末局からの信号の受信レベルに互いに差が生じるように制御するので、トレーニング区間では、固有ベクトルに基づいて可変ビーム形成回路の重みを制御し、複数の無線端末局から到来した信号をそれぞれ分離可能な複数の指向性パターンをアンテナに形成することができる。
【0020】
請求項4は、複数のアンテナ素子と、複数の可変ビーム形成回路と、各可変ビーム形成回路に接続された復調器とを備え、前記可変ビーム形成回路には、各アンテナ素子からの信号を重み付けする重み付け手段と、前記重み付け手段によって重み付けされた各アンテナ素子からの信号を合成する信号合成手段とを設け、さらに前記複数のアンテナ素子の各々の受信信号に基づいて求められる複数のアンテナ素子間の相関行列から複数の固有ベクトルを求め、求められた複数の固有ベクトルの各要素の複素共役値を前記重み付け手段の重みの値として与える固有ベクトル取得手段を設けた複数ビーム制御適応アンテナ装置を備える無線基地局を備える無線基地局と複数の無線端末局との間で通信するための複数ビーム制御適応アンテナ装置を用いた通信方法であって、前記無線基地局と複数の無線端末局との間で同一周波数を用いて同時に通信が可能な空間分割多重伝送を実施する場合に、前記複数ビーム制御適応アンテナ装置を無線端末局から無線基地局に向かう方向の上りの通信に利用するとともに、前記無線基地局における既知信号を、無線端末局から前記無線基地局に対して送信するための第1のトレーニング区間とそれに続く第2のトレーニング区間とを情報伝送時刻の前に割り当て、前記第1のトレーニング区間では、前記無線基地局で受信される無線端末局からの信号の受信レベルに複数の無線端末局の間で差が生じるように制御し、前記第2のトレーニング区間では、前記無線基地局で受信される無線端末局からの信号の受信レベルが複数の無線端末局の間で同一になるように制御し、前記第1のトレーニング区間では、複数の可変ビーム形成回路のうち受信機の同期が確立していない可変ビーム形成回路について、無線基地局のアンテナ素子間の相関行列から求められた複数の固有ベクトルの各要素の複素共役値を前記重み付け手段の重みの値として与え、複数の可変ビーム形成回路のうち、前記第1のトレーニング区間で受信機の同期が確立した回路については、同期が確立した無線端末局からの受信信号に基づいて前記複数のアンテナ素子の応答を推定するとともに、前記第2のトレーニング区間では、受信機の同期追従を停止し、前記応答に基づいて前記信号合成手段の出力信号と所望信号との誤差が最小となるように前記重み付け手段の重みの値を決定し、複数の可変ビーム形成回路のうち、前記第1のトレーニング区間で受信機の同期に失敗した回路については、少なくとも同期が確立するまでは、前記第2のトレーニング区間で前記固有ベクトルの各要素の複素共役値を前記重み付け手段の重みの値として与えることを特徴とする。
請求項5は、請求項1の複数ビーム制御適応アンテナ装置を備える無線基地局と複数の無線端末局との間で通信するための複数ビーム制御適応アンテナ装置を用いた通信方法であって、前記無線基地局と複数の無線端末局との間で同一周波数を用いて同時に通信が可能な空間分割多重伝送を実施する場合に、前記複数ビーム制御適応アンテナ装置を無線端末局から無線基地局に向かう方向の上りの通信に利用するとともに、前記無線基地局における既知信号を、無線端末局から前記無線基地局に対して送信するための第1のトレーニング区間とそれに続く第2のトレーニング区間とを情報伝送時刻の前に割り当て、前記第1のトレーニング区間では、前記無線基地局で受信される無線端末局からの信号の受信レベルに複数の無線端末局の間で差が生じるように制御し、前記第2のトレーニング区間では、前記無線基地局で受信される無線端末局からの信号の受信レベルが複数の無線端末局の間で同一になるように制御し、前記第1のトレーニング区間では、複数の可変ビーム形成回路のうち受信機の同期が確立していない可変ビーム形成回路について、無線基地局のアンテナ素子間の相関行列から求められた複数の固有ベクトルの各要素の複素共役値を前記重み付け手段の重みの値として与え、複数の可変ビーム形成回路のうち、前記第1のトレーニング区間で受信機の同期が確立した回路については、同期が確立した無線端末局からの受信信号に基づいて前記複数のアンテナ素子の応答を推定するとともに、前記第2のトレーニング区間では、受信機の同期追従を停止し、前記応答に基づいて前記信号合成手段の出力信号と所望信号との誤差が最小となるように前記重み付け手段の重みの値を決定し、複数の可変ビーム形成回路のうち、前記第1のトレーニング区間で受信機の同期に失敗した回路については、少なくとも同期が確立するまでは、前記第2のトレーニング区間で前記固有ベクトルの各要素の複素共役値を前記重み付け手段の重みの値として与えるこ とを特徴とする。
【0021】
請求項4、5においては、無線基地局に複数ビーム制御適応アンテナ装置を備えることにより、複数の無線端末局をアンテナの複数の指向性パターンを用いて空間的に分離する場合を想定している。このため、複数の無線端末局は互いに共通の同一周波数を用いて同時に通信を行う。
また、請求項4、5では情報の伝送を開始する前に、第1のトレーニング区間及び第2のトレーニング区間で既知信号を各無線端末局から無線基地局に対して送信する。この既知信号は、アンテナの適応制御や受信機の同期確立に利用できる。
【0022】
また、第1のトレーニング区間では、無線基地局で受信される複数の無線端末局からの信号の受信レベルに互いに差が生じるように制御し、第2のトレーニング区間では、無線基地局で受信される複数の無線端末局からの信号の受信レベルが互いに等しくなるように制御する。各無線端末局の送信出力を制御することにより、無線基地局における信号の受信レベルを変更することができる。
【0023】
第1のトレーニング区間では、無線基地局で受信される複数の無線端末局からの信号の受信レベルが互いに異なるので、アンテナ素子間の相関行列から求められた固有ベクトルに基づいて可変ビーム形成回路の重みを制御することにより、アンテナの指向性パターンで複数の無線端末局の信号を分離することができる。第1のトレーニング区間で受信機の同期が確立した回路については、同期を確立した特定の無線端末局からの信号dに対する複数のアンテナ素子の応答rxdiを推定する。応答rxdiは次式で表される。
【0024】
xdi=E[Xd ] ・・・(6)
X:入力信号ベクトル
E[・]:期待値
添字*:共役転置
なお、第1のトレーニング区間では他に比べて無線基地局の受信レベルが大きい信号を送信した無線端末局に対して各受信機の同期が確立される。
【0025】
一般に、受信機は同期を確立した後で、同期が外れないように受信信号に追従するように同期を自動的に制御する。ところが、第2のトレーニング区間では複数の無線端末局からの信号に対する無線基地局の受信レベルが同一になるように制御されるので、同期を確立した受信機で復調された信号の品質は第1のトレーニング区間に比べて劣化する。
【0026】
従って、同期を確立した後で第2のトレーニング区間で同期の追従制御を継続すると、信号品質の劣化により同期が外れる可能性もある。そこで、既に同期を確立した回路については、第2のトレーニング区間では受信機の同期追従を停止する。
また、同期を確立した回路については、前記応答rxdiに基づいて信号合成手段の出力信号と所望信号との誤差が最小となるように前記重み付け手段の重みの値を決定する。同期を確立した特定の無線端末局に対する前記重み付け手段の重みベクトルWiは次式で表される。
【0027】
Wi=Rxx −1xdi ・・・(7)
Wi=[w(1),w(2),・・・w(N)]
(1)〜w(N):アンテナ素子毎の重み
添字Tは転置
また、第1のトレーニング区間で受信機の同期確立に失敗した回路については、同期が確立するまでは、前記第2のトレーニング区間においても固有ベクトルの各要素の複素共役値を重み付け手段の重みの値として与える。
【0028】
受信機が同期確立に失敗する信号は、第1のトレーニング区間で送信出力を大幅に抑制した無線端末局からの信号であると考えられる。このような信号については、第2のトレーニング区間では無線端末局の送信出力が増大するので、無線基地局の受信レベルが増大し、受信品質が改善されるため受信機の同期を確立しやすくなる。
【0029】
請求項は、請求項2から請求項5の何れか一つに記載の複数ビーム制御適応アンテナ装置を用いた通信方法において、前記無線基地局における既知信号を無線端末局から前記無線基地局に対して送信するためのトレーニング区間の少なくとも一部分については、前記無線基地局で受信される無線端末局からの信号の受信レベルが複数の無線端末局について同一になるように制御し、前記トレーニング区間で複数の無線端末局が信号を送信する時刻が互いにずれるように制御することを特徴とする。
【0030】
複数の無線端末局から同時に到来する信号を受信して前記相関行列を求める場合には、複数の信号を分離するために無線基地局の受信レベルが信号毎に異なっている必要がある。
しかし、請求項においてはトレーニング区間においてそれぞれの無線端末局が信号の送信を開始する時刻が異なるので、トレーニング区間の全体あるいは一部分の受信信号から求められるアンテナ素子間の相関行列には、信号毎に受信レベルが異なる場合と同様の情報が含まれる。つまり、相関行列から求めた固有ベクトルを用いて可変ビーム形成回路の重み付けを行うことにより、複数の無線端末局から到来する信号をそれぞれ分離することができる。
【0031】
請求項は、請求項2から請求項5の何れか一つに記載の複数ビーム制御適応アンテナ装置を用いた通信方法において、前記無線基地局における既知信号を無線端末局から前記無線基地局に対して送信するためのトレーニング区間の少なくとも一部分については、前記無線基地局で受信される信号の受信レベルを予め定められた範囲内に限定するための特定の条件の下で、複数の無線端末局の各々の送信信号レベルをランダムに決定することを特徴とする。
【0032】
請求項においては、複数の無線端末局の各々の送信信号レベルをランダムに決定するので、多数の無線端末局から無線基地局に同時に信号が到来する場合であっても、複数の無線端末局からの信号の受信レベルが同一になる可能性は極めて小さくなる。従って、相関行列から求めた固有ベクトルを用いて可変ビーム形成回路の重み付けを行うことにより、複数の無線端末局から到来する信号をそれぞれ分離することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
本発明の複数ビーム制御適応アンテナ装置の1つの実施の形態について、図1を参照して説明する。この形態は請求項1に対応する。
図1はこの形態の複数ビーム制御適応アンテナ装置の構成を示すブロック図である。
【0034】
この形態では、請求項1のアンテナ素子,可変ビーム形成回路,復調器,重み付け手段,信号合成手段及び固有ベクトル取得手段は、それぞれアンテナ素子11,ビーム形成回路14,復調器16,重み付け回路902,合成器905及び固有ベクトルビーム制御装置15に対応する。
【0035】
図1を参照すると、この複数ビーム制御適応アンテナ装置には、アンテナ素子11,周波数変換器10,準同期検波器12,A/D変換器13,ビーム形成回路14,固有ベクトルビーム制御装置15,復調器16,第1局部発振器17,第2局部発振器18及びサンプリングクロック発生器19が備わっている。
この例では、アンテナに指向性を形成するためにN個のアンテナ素子11(1)〜11(N)が設けてある。アンテナ素子11(1)〜11(N)のそれぞれが受信した信号を処理するために、周波数変換器10,準同期検波器12及びA/D変換器13もそれぞれN個設けてある。
【0036】
また、同時にM種類の指向性ビームを形成するために、M個のビーム形成回路14(1)〜14(M)が設けてある。また、M個の送信局からの独立した信号を同時に受信するために、M個の復調器16(1)〜16(M)が設けてある。M個の復調器16(1)〜16(M)は、それぞれビーム形成回路14(1)〜14(M)の出力に接続されている。
【0037】
各アンテナ素子11で受信された高周波信号は、第1局部発振器17から出力される信号を利用して各周波数変換器10で周波数変換され、中間周波数の信号として準同期検波器12に入力される。
各準同期検波器12においては、周波数変換器10から入力される中間周波数の信号を準同期検波処理する。この準同期検波では第2局部発振器18が出力する信号を利用する。準同期検波器12の出力には、Iチャネル及びQチャネルの2つの信号に分解された受信信号が得られる。
【0038】
なお、準同期検波器12については、例えば(「ディジタル無線通信の変復調」斉藤洋一著、電子情報通信学会出版)に示された技術で実現することができる。
各準同期検波器12から出力されるIチャネル及びQチャネルのアナログ信号は、A/D変換器13でサンプリングされ、チャネル毎にディジタル信号に変換される。
【0039】
A/D変換器13の出力においては、各アンテナ素子11で受信した信号は複素数で表すことができる。すなわち、n番目のアンテナ素子11(n)で受信されk番目にA/D変換器13(n)でサンプリングされて得られた複素受信信号x(n,k)は次式で表される。
【数3】
Figure 0003559231
ビーム形成回路14(1)〜14(M)のそれぞれは、図12に示す適応アンテナ装置の場合と同様に、アンテナ素子毎の重み付け回路902(1)〜902(N)及び合成器905を内蔵している。すなわち、各重み付け回路902に与える重みの値の組み合わせによりアンテナの指向性パターンを形成し、形成した指向性パターンに応じた受信信号を合成器905の出力に得ることができる。
【0040】
図1の例では独立したM個のビーム形成回路14(1)〜14(M)をA/D変換器13の出力に並列に接続してあるので、M種類の指向性パターンを同時に形成し、各々の指向性パターンで受信された受信信号をM個の復調器16(1)〜16(M)に同時に与えることができる。
固有ベクトルビーム制御装置15は、A/D変換器13の出力に得られた受信信号に基づき、M個のビーム形成回路14(1)〜14(M)のそれぞれについて、アンテナ素子11毎に独立した重みを生成し、各ビーム形成回路14に内蔵された重み付け回路902に与える。
【0041】
一般的な適応アンテナ装置の適応制御においては、目的とする送信局に合わせた指向性パターンの形成に必要な重みを生成するために、希望信号を受信してそれと対応する基準信号(既知信号)との誤差を検出する必要がある。しかし、多数の送信局が同時に送信する信号のうち、どれが希望信号かが定まっていない場合には、適応制御を実施して重みを決定することができない。
【0042】
図1に示す固有ベクトルビーム制御装置15は、複数のアンテナ素子11間の相関行列から求めた固有ベクトルに基づいて各ビーム形成回路14の重みを決定する。固有ベクトルビーム制御装置15の動作について、以下に説明する。
まず、前記第(8)式で表される複素受信信号x(n,k)を利用して、複数のアンテナ素子11間の相関行列を求める。相関行列Rxxは次式により求めることができる。
【数4】
Figure 0003559231
次に、相関行列Rxxに対応する複数の固有ベクトルを、例えば以下に示すような手順で求める。
(1)まず、直交するベクトルを複数用意する。最も簡単な例では、次のようなベクトルを用いればよい。
(1,0,0,0),(0,1,0,0),(0,0,1,0),(0,0,0,1)
(2)次に、求められた相関行列Rxxを用いて上記(1)のベクトルをそれぞれ一次変換する。その結果、4つのベクトルが求められる。
【0043】
(3)上記(2)で得られた4つのベクトルに対して、「グラムシュミットの直交化」を実施する。
(4)上記(2)に戻り、収束するまで処理を繰り返す。
「グラムシュミットの直交化」では、次のような処理を行う。
例えば、任意の線形独立なベクトルの集合(a,a,・・・,a)が存在する場合に、まずベクトルvにベクトルaを割り当てる。次に、i番目のベクトルvを次式により求め、それより前に位置するv〜vi−1に対して直交するように変換する。
【0044】
Figure 0003559231
このようにして、相関行列Rxxに対応する全ての固有ベクトルを求めることができる。
ここで、相関行列Rxxの固有ベクトルをVで表し、固有値をλで表す場合、次の関係が成立する。固有値λは各々の送信局について受信した信号に相当する。
【0045】
xx V=λV ・・・(11)
図1の複数のビーム形成回路14に対してそれぞれ異なる固有ベクトルVを用いて重み付けした場合、各ビーム形成回路14から出力される信号は、固有ベクトルVに対応する固有値λ、すなわち各送信局が送信した信号に近づく。
但し、複数の送信局から到来した複数の信号の受信レベルに差がない場合には、複数の信号を分離することができない。
【0046】
各ビーム形成回路14には、固有値の大きさの大きい順に、各々の固有値に対応する固有ベクトルVを重みとして割り当てればよい。すなわち、m番目の大きさの固有値に対応するビーム形成回路14にはその固有値に対応する固有ベクトルVを重みベクトルWとして割り当てれば、各送信局が送信した信号をビーム形成回路14の出力から取り出すことができる。
【0047】
この場合、ビーム形成回路14の出力信号Ykは次式により求められる。
Yk=W Xk ・・・(12)
以上のように、固有ベクトルビーム制御装置15を用いて各ビーム形成回路14の重みの値を生成する場合には、基準信号を必要とせず、各アンテナ素子11で受信した信号に基づいて重みの値を決定することができる。従って、受信機の同期が確立していない状態であっても、複数の送信局からの信号を互いに分離するように、アンテナの指向性パターンを形成することができる。
【0048】
送信局として2つの端末局が存在する場合に、図1の複数ビーム制御適応アンテナ装置を用いて形成したアンテナの指向性パターンの例が図11(a)に示されている。この例では、端末局(1)は0度方向に存在し、端末局(2)は30度方向に存在する場合を想定している。また、図11(a)では端末局(1)から到来する信号に対するアンテナ素子11の受信レベルと、端末局(2)から到来する信号に対するアンテナ素子11の受信レベルとの間には10dBの電力差が存在する場合を想定している。
【0049】
図11(a)を参照すると、端末局(1)の方向と端末局(2)の方向との両方に向いた2つのビームがアンテナの指向性パターンとして同時に形成されている。従って、端末局(1),端末局(2)のそれぞれから到来する信号を互いに分離して同時に受信することができる。
なお、図1には受信系だけが示してあるが、送信系についても同様にアンテナ素子11毎に重み付けを行うことにより、送信時のアンテナの指向性パターンを制御することができる。
【0050】
(第2の実施の形態)
本発明の複数ビーム制御適応アンテナ装置のもう1つの実施の形態について、図2を参照して説明する。この形態は請求項に対応する。この形態では、請求項の同期識別手段はアルゴリズム選択スイッチ22に対応する。
図2はこの形態の複数ビーム制御適応アンテナ装置の構成を示すブロック図である。この形態は第1の実施の形態の変形例である。図2において、図1と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第1の実施の形態と同じ部分については、以下の説明を省略する。
【0051】
図2を参照すると、図1に示した要素の他に、2乗誤差最小制御装置21及びアルゴリズム選択スイッチ22が備わっている。
2乗誤差最小制御装置21は、一般的な適応アンテナ装置と同様のアルゴリズムを用いて各ビーム形成回路14に与える重みを生成する。すなわち、復調器16(1)〜16(M)のそれぞれが出力する受信信号と希望信号のそれぞれの送信局の成分dとの2乗誤差が最小になるように、ビーム形成回路14(1)〜14(M)の重みの値を適応的に制御する。つまり、前記第(1)式と同様の計算により、ビーム形成回路14(1)〜14(M)の各々について重みの値Woptを求めることができる。
【0052】
アルゴリズム選択スイッチ22は、復調器16(1)〜16(M)のそれぞれの動作状態を識別してビーム形成のアルゴリズムを切り替える。すなわち、ビーム形成回路14(1)〜14(M)の各々の重みの値として、固有ベクトルビーム制御装置15が生成した値と2乗誤差最小制御装置21が生成した値とのいずれか一方を選択する。
【0053】
具体的には、アルゴリズム選択スイッチ22は、各々の復調器16においてキャリア同期及びタイミング同期が確立したか否かを識別して復調器16毎に切替を行う。
すなわち、キャリア同期及びタイミング同期が確立していない復調器16に対応付けられたビーム形成回路14に対しては、固有ベクトルビーム制御装置15が生成した重みの値を入力する。また、キャリア同期及びタイミング同期が確立した復調器16に対応付けられたビーム形成回路14に対しては、2乗誤差最小制御装置21が生成した重みの値を入力する。
【0054】
最初に通信を開始する際には、復調器16の同期が確立していないので、アルゴリズム選択スイッチ22は固有ベクトルビーム制御装置15を選択する。固有ベクトルビーム制御装置15の制御により生成された重みをビーム形成回路14に与えることにより、複数の送信局から到来する信号の中から特定の送信局の信号だけを抽出するようにアンテナの指向性パターンが形成される。
【0055】
このため、特定の送信局に対応する受信信号だけが特定の復調器16に入力されることになり、復調器16ではその受信信号に対してキャリア同期及びタイミング同期を確立することができる。
特定の送信局から到来する信号に対して各復調器16のキャリア同期及びタイミング同期が確立すると、その信号を処理する系統については、アルゴリズム選択スイッチ22の選択状態が切り替わり、2乗誤差最小制御装置21が選択される。
【0056】
アルゴリズム選択スイッチ22が2乗誤差最小制御装置21を選択した系統については、復調器16の同期が確立しているので、2乗誤差最小制御装置21は受信信号と希望信号成分dとの2乗誤差が最小になるように、ビーム形成回路14の重みの値を適応的に制御することができる。
【0057】
固有ベクトルビーム制御装置15だけを用いてアンテナの指向性を制御する場合には、十分な伝送品質が得られない場合もある。しかし、図2の装置においては復調器16の同期が確立した後は2乗誤差最小制御装置21を用いて誤差がより小さくなるように制御するので、伝送品質を改善することができる。
(第3の実施の形態)
本発明の複数ビーム制御適応アンテナ装置を用いた通信方法の1つの実施の形態について、図3及び図8を参照して説明する。この形態は、請求項2、 3に対応する。
【0058】
図3はこの形態の各端末局の動作を示すフローチャートである。図8は基地局における受信タイミングの例(1)を示すタイムチャートである。
この形態では、第1の実施の形態又は第2の実施の形態として説明した複数ビーム制御適応アンテナ装置を搭載した基地局が複数の無線端末局との間で同一周波数を用いて同時に通信する場合を想定している。また、ここでは各無線端末局の送信電力が可変である場合を想定している。
【0059】
図1,図2に示す固有ベクトルビーム制御装置15を用いてアンテナの指向性パターンを制御する場合には、複数の無線端末局からこの基地局に同時に到来する複数の信号の受信レベルに差があることが必要である。
複数の信号の受信レベルに差がある場合には、固有ベクトルビーム制御装置15の制御により形成した指向性パターンは図11(a)のようになる。しかし、複数の信号の基地局における受信レベルが等しい場合には、指向性パターンは図11(b)のようになる。11(b)の指向性パターンでは、端末局(1)と端末局(2)とを分離することができない。
【0060】
そこで、この形態では固有ベクトルビーム制御装置15を使用してアンテナの指向性パターンを形成する場合に、複数の信号の基地局における受信レベルに差が生じるように制御する。実際には、各端末局が図3に示す制御を実施して送信電力を制御する。
また、この例では図8に示すように、実際にデータが伝送される情報区間の前にトレーニング区間と呼ばれる時間区分を設けてある。トレーニング区間においては、予め定めた既知の信号系列を端末局と基地局との間で伝送する。
【0061】
更に、トレーニング区間においては、複数の端末局からそれぞれ到来する信号の基地局における受信レベルに差が生じるように制御され、情報区間では、複数の端末局からそれぞれ到来する信号の基地局における受信レベルが等しくなるように制御される。
この例では、各端末局の送信電力を端末局自身の自律的な制御によって決定している。そのために、各端末局は基地局から送信される信号を受信してその受信レベルから基地局における受信レベルを推定している。
【0062】
例えば、基地局が送信電力Ptで送信した信号を端末局が受信レベルPrで受信した場合には、下り回線の伝搬損失は(Pr/Pt)となる。送信電力Ptが予め定めた(端末局において既知の)値であるとすれば、各端末局は受信レベルPrから下り回線の伝搬損失を求めることができる。上り回線の伝搬損失は、下り回線の伝搬損失と同一であるとみなすこともできる。
【0063】
従って、上り回線において基地局の受信レベルをP1にするためには、端末局は(P1/(Pr/Pt))の送信電力で送信すればよい。つまり、端末局は受信レベルPrと基地局の受信レベルP1とに基づいて自律的に送信電力を決定することができる。
図3を参照し、端末局の動作について説明する。
【0064】
ステップS11では、基地局が送信する信号を受信してその受信レベルLa1を測定する。そして、受信レベルLa1に基づいて送信電力Pa1を決定する。この送信電力Pa1は、図8に示す基地局の受信レベルL2と対応関係にある。つまり、端末局が送信電力Pa1で送信した場合に、前記伝搬損失(Pr/Pt)により減衰した信号が受信レベルL2で基地局に受信される。
【0065】
ステップS12では、当該端末局が基地局に対して初めてアクセスするのか、既に通信中かを識別する。最初のアクセスであればステップS13に進み、通信中であればステップS14に進む。
ステップS13では、ステップS11で決定した送信電力Pa1と定数k1とを用いて送信電力Pa2を決定する。また、ステップS14ではステップS11で決定した送信電力Pa1と定数k2とを用いて送信電力Pa2を決定する。但し、定数k1,k2は互いに異なる値である。
【0066】
従って、端末局が最初に基地局にアクセスする場合と既に通信中の場合とでは送信電力Pa2の大きさが異なる。この例では、ステップS13で決定される送信電力Pa2と図8の基地局の受信レベルL1(1)とが対応関係にあり、ステップS14で決定される送信電力Pa2と図8の基地局の受信レベルL1(2)とが対応関係にある。
【0067】
つまり、最初にアクセスする端末局が送信電力Pa2で送信した場合には、基地局の受信レベルはL1(1)になり、通信中の端末局が送信電力Pa2で送信した場合には、基地局の受信レベルはL1(2)になる。
トレーニング区間においては、端末局はステップS15からS16に進み、既知の信号系列をステップS13又はS14で決定された送信電力Pa2で基地局に対して送信する。
【0068】
また、情報区間においては、端末局はステップS17からS18に進み、データを送信電力Pa1で送信する。
各端末局が図3に示す処理を実行することにより、基地局においては図8に示すような受信レベルで各端末局からの信号を受信することができる。
【0069】
また、最初に基地局にアクセスする端末局から基地局に到来するトレーニング区間の信号は基地局において受信レベルL1(1)になり、通信中の端末局から基地局に到来するトレーニング区間の信号は基地局において受信レベルL1(2)になるので、トレーニング区間においては、図8に示すように複数の端末局からの信号の基地局における受信レベルに差が生じる。
【0070】
このため、固有ベクトルビーム制御装置15に誤動作が生じることはなく、トレーニング区間の制御により、図11(a)のような指向性パターンを形成することができる。
また、情報区間においては、いずれの端末局についても基地局における受信レベルがL2になる。従って、情報区間では基地局はそれぞれの端末局から送信された信号を十分に大きなレベルで受信することができる。
【0071】
なお、図2に示す2乗誤差最小制御装置21を備える場合には、トレーニング区間で固有ベクトルビーム制御装置15が決定した重みを、情報区間の初期値としてビーム形成回路14に与え、その後で2乗誤差最小制御装置21に切り替えて更に指向性パターンを制御することもできる。
(第4の実施の形態)
本発明の複数ビーム制御適応アンテナ装置を用いた通信方法のもう1つの実施の形態について、図4,図5及び図9を参照して説明する。この形態は、請求項4、5に対応する。
【0072】
図4は、この形態の各端末局の動作を示すフローチャートである。図5は、この形態における複数ビーム制御適応アンテナ装置の動作を示すフローチャートである。図9は、基地局における受信タイミングの例(2)を示すタイムチャートである。
この形態は、第3の実施の形態の変形例であり、図2の複数ビーム制御適応アンテナ装置を基地局に備える場合を想定している。また、図4において図3と対応する処理には同じステップ番号を付けて示してある。第3の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0073】
この形態では、図9に示すように2つのトレーニング区間が設けてある。第1トレーニング区間においては、端末局が図4のステップS16で送信電力Pa2で送信するので、基地局の受信レベルは図9のL1(1)又はL1(2)になる。また、第2トレーニング区間においては、端末局が図4のステップS22で送信電力Pa1で送信するので、基地局の受信レベルは図9のL2になる。情報区間についても、基地局の受信レベルは図9のL2になる。
【0074】
この形態では、基地局においては図5に示すような制御が実施される。すなわち、第1トレーニング区間においてはステップS50からS51に進む。従って、アルゴリズム選択スイッチ22が固有ベクトルビーム制御装置15を選択し、固有ベクトルビーム制御装置15の制御によりビーム形成回路14の重みを決定する。
【0075】
第2トレーニング区間においては、復調器16及びビーム形成回路14の系統毎に独立した制御を行う。
第2トレーニング区間においては、ステップS52からS53に進み、復調器16(1)〜16(M)のそれぞれについて受信同期が確立済みか否かを識別する。復調器16がまだ受信同期を確立していない系統については、ステップS56の処理を実行する。つまり、第1トレーニング区間と同様に、固有ベクトルビーム制御装置15の制御によりビーム形成回路14の重みを決定する。
【0076】
受信同期を確立した系統については、第2トレーニング区間ではステップS54の処理を実行する。ステップS54では、受信機(復調器16)内部における同期追従制御を停止する。また、次のステップS55ではアルゴリズム選択スイッチ22を切り替えて2乗誤差最小制御装置21を選択し、2乗誤差最小制御装置21の制御によりビーム形成回路14の重みを決定する。
【0077】
情報区間においては、アルゴリズム選択スイッチ22の制御によりM個の全ての系統について2乗誤差最小制御装置21を選択し、2乗誤差最小制御装置21の制御により各ビーム形成回路14の重みを決定する。
図5に示す制御を行うことにより、情報区間になる前に2乗誤差最小制御を適用し、より伝送品質が高くなるように指向性パターンを形成した後でデータを転送することができる。
【0078】
図5のステップS54において既に同期が確立された受信機について、同期の追従を停止する理由は次の通りである。第1トレーニング区間で同期確立に成功するのは、第1トレーニング区間で基地局の受信レベルが大きい端末局からの信号である。従って、同期確立に成功した受信機については、第2トレーニング区間で目的の端末局以外からの信号電力が増大するため伝送品質が劣化し、同期の追従制御を継続すると同期が外れる可能性がある。そこで、同期確立に成功した場合には同期の追従制御を停止する。もちろん、情報区間では同期の追従を再開する必要がある。
【0079】
なお、第1トレーニング区間で同期確立に失敗した信号については、第2トレーニング区間で基地局の受信レベルが増大するため、伝送品質が改善され、受信機において同期の確立が容易になる。
また、情報区間においては、端末局の送信した信号系列が未知であるため、2乗誤差最小制御装置21においては希望信号を正確に知ることができない。そこで、受信機が復調した信号を希望信号とみなして制御を行う。この方法は判定帰還型アルゴリズムとして知られている(例えば、堀越淳監修「ディジタル移動通信のための波形等化技術」トリケップス、1996年6月、P.49〜75)。
【0080】
(第5の実施の形態)
本発明の複数ビーム制御適応アンテナ装置を用いた通信方法のもう1つの実施の形態について、図6及び図10を参照して説明する。この形態は、請求項に対応する。
【0081】
図6はこの形態の各端末局の動作を示すフローチャートである。図10は基地局における受信タイミングの例(3)を示すタイムチャートである。
この形態は、第4の実施の形態の変形例であり、図2の複数ビーム制御適応アンテナ装置を基地局に備える場合を想定している。また、図6において図4と対応する処理には同じステップ番号を付けて示してある。第4の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0082】
この形態では、図10に示すように、第1トレーニング区間において端末局が信号の送信を開始するタイミングが端末局毎にずれている。
すなわち、第1トレーニング区間が始まるタイミングで、端末局の処理は図6のステップS15CからS31に進む。この場合、S31でランダムに決定した遅延時間Tdが経過するまでステップS32で待機し、ステップS26で信号の送信を開始する。このため、各端末局が信号の送信を開始するタイミングは端末局毎に異なる。
【0083】
基地局の固有ベクトルビーム制御装置15は、第1トレーニング区間でアンテナ素子11間の相関行列を求め、ビーム形成回路14の重みを決定する。
この形態では、図9のように複数の端末局に対する受信レベルが異なるように制御する場合と等価な相関行列を求めることができる。
従って、各端末局の送信電力を高精度で制御する必要はないので、例えば基地局の受信装置におけるA/D変換器のビット数が少なく量子化誤差が大きい場合であっても、固有ベクトルビーム制御装置15に誤動作が生じないように制御することができる。
【0084】
また、基地局の受信装置にマッチトフィルタを用いたシステムにおいては、各端末局からの送信信号を拡散する際に用いる拡散符号として、基地局の受信装置におけるマッチトフィルタとの相関値が異なる拡散符号を用いることにより、送信時間を変化させた場合と同じ効果が得られる。
【0085】
(第6の実施の形態)
本発明の複数ビーム制御適応アンテナ装置を用いた通信方法のもう1つの実施の形態について、図7を参照して説明する。この形態は、請求項に対応する。
図7はこの形態の各端末局の動作を示すフローチャートである。この形態は、第3の実施の形態の変形例であり、図1又は図2の複数ビーム制御適応アンテナ装置を基地局に備える場合を想定している。また、図7において図3と対応する処理には同じステップ番号を付けて示してある。第3の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0086】
この形態では、図7のステップS41において、予め定められた条件の範囲内でランダムに決定した係数k1を用いて送信電力Pa2を決定するので、トレーニング区間においては、基地局における受信レベルに全ての端末局の間で差が生じるように制御することができる。
このため、予め各端末局に特別な送信電力の割り当てを行う必要はない。
【0087】
【発明の効果】
本発明によれば、受信信号から求められるアンテナ素子間の相関行列に基づいてビーム形成回路の重みを決定するので、基準信号を用いることなくアンテナの指向性を制御することができる。そのため、各ビーム形成回路においては、目的の端末局から到来する信号の受信レベルが高くなり、他の端末局からの干渉を抑えることができる。従って、基地局が事前に通信を開始する端末局を認識できない場合であっても、空間分割多重伝送が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の複数ビーム制御適応アンテナ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第2の実施の形態の複数ビーム制御適応アンテナ装置の構成を示すブロック図である。
【図3】第3の実施の形態の各端末局の動作を示すフローチャートである。
【図4】第4の実施の形態の各端末局の動作を示すフローチャートである。
【図5】第4の実施の形態における複数ビーム制御適応アンテナ装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】第5の実施の形態の各端末局の動作を示すフローチャートである。
【図7】第6の実施の形態の各端末局の動作を示すフローチャートである。
【図8】基地局における受信タイミングの例(1)を示すタイムチャートである。
【図9】基地局における受信タイミングの例(2)を示すタイムチャートである。
【図10】基地局における受信タイミングの例(3)を示すタイムチャートである。
【図11】アンテナの指向性パターンの例を示すグラフである。
【図12】適応アンテナ装置の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 周波数変換器
11 アンテナ素子
12 準同期検波器
13 A/D変換器
14 ビーム形成回路
15 固有ベクトルビーム制御装置
16 復調器
17 第1局部発振器
18 第2局部発振器
19 サンプリングクロック発生器
21 2乗誤差最小制御装置
22 アルゴリズム選択スイッチ
101,102 特性
901 アンテナ素子
902 重み付け回路
903 重み制御装置
904 基準信号発生装置
905 合成器

Claims (7)

  1. 複数の無線端末局と空間分割多重伝送によって通信を行うための複数ビームアンテナ制御適応アンテナ装置であって、複数のアンテナ素子と、複数の可変ビーム形成回路と、各可変ビーム形成回路に接続された復調器とを備え、前記可変ビーム形成回路には、各アンテナ素子からの信号を重み付けする重み付け手段と、前記重み付け手段によって重み付けされた各アンテナ素子からの信号を合成する信号合成手段とを設けた複数ビーム制御適応アンテナ装置において、
    前記複数のアンテナ素子の各々の受信信号に基づいて求められる複数のアンテナ素子間の相関行列から複数の固有ベクトルを求め、求められた複数の固有ベクトルの各要素の複素共役値を前記重み付け手段の重みの値として与える固有ベクトル取得手段と、
    前記複数の可変ビーム形成回路のそれぞれについて受信機の同期確立に関する識別を行う同期識別手段を設け、
    前記同期識別手段の識別結果に基づき、前記複数の可変ビーム形成回路のうち同期が確立していない可変ビーム形成回路に対しては、求められた複数の固有ベクトルの各要素の複素共役値を前記重み付け手段の重みの値として与え、
    前記同期識別手段の識別結果に基づき、前記複数の可変ビーム形成回路のうち受信機の同期が確立した可変ビーム形成回路については、前記信号合成手段の出力信号と所望信号との誤差の2乗が最小となるように、前記重み付け手段の重みの値を制御する
    ことを特徴とする複数ビーム制御適応アンテナ装置。
  2. 複数のアンテナ素子と、複数の可変ビーム形成回路と、各可変ビーム形成回路に接続された復調器とを備え、前記可変ビーム形成回路には、各アンテナ素子からの信号を重み付けする重み付け手段と、前記重み付け手段によって重み付けされた各アンテナ素子からの信号を合成する信号合成手段とを設け、
    さらに前記複数のアンテナ素子の各々の受信信号に基づいて求められる複数のアンテナ素子間の相関行列から複数の固有ベクトルを求め、求められた複数の固有ベクトルの各要素の複素共役値を前記重み付け手段の重みの値として与える固有ベクトル取得手段を設けた複数ビーム制御適応アンテナ装置を備える無線基地局と複数の無線端末局との間で通信するための複数ビーム制御適応アンテナ装置を用いた通信方法であって、
    前記無線基地局と複数の無線端末局との間で同一周波数を用いて同時に通信が可能な空間分割多重伝送を実施する場合に、前記複数ビーム制御適応アンテナ装置を無線端末局から無線基地局に向かう方向の上りの通信に利用するとともに、
    前記無線基地局における既知信号を、無線端末局から前記無線基地局に対して送信するためのトレーニング区間を情報伝送時刻の前に割り当て、
    前記トレーニング区間では、前記無線基地局で受信される無線端末局からの信号の受信レベルに複数の無線端末局の間で差が生じるように制御し、
    前記トレーニング区間で、前記無線基地局の受信信号に基づいて求められる複数のアンテナ素子間の相関行列から複数の固有ベクトルを求める
    ことを特徴とする複数ビーム制御適応アンテナ装置を用いた通信方法。
  3. 請求項1の複数ビーム制御適応アンテナ装置を備える無線基地局と複数の無線端末局との間で通信するための複数ビーム制御適応アンテナ装置を用いた通信方法であって、
    前記無線基地局と複数の無線端末局との間で同一周波数を用いて同時に通信が可能な空間分割多重伝送を実施する場合に、前記複数ビーム制御適応アンテナ装置を無線端末局から無線基地局に向かう方向の上りの通信に利用するとともに、
    前記無線基地局における既知信号を、無線端末局から前記無線基地局に対して送信するためのトレーニング区間を情報伝送時刻の前に割り当て、
    前記トレーニング区間では、前記無線基地局で受信される無線端末局からの信号の受信レベルに複数の無線端末局の間で差が生じるように制御し、
    前記トレーニング区間で、前記無線基地局の受信信号に基づいて求められる複数のアンテナ素子間の相関行列から複数の固有ベクトルを求める
    ことを特徴とする複数ビーム制御適応アンテナ装置を用いた通信方法。
  4. 複数のアンテナ素子と、複数の可変ビーム形成回路と、各可変ビーム形成回路に接続された復調器とを備え、前記可変ビーム形成回路には、各アンテナ素子からの信号を重み付けする重み付け手段と、前記重み付け手段によって重み付けされた各アンテナ素子からの信号を合成する信号合成手段とを設け、
    さらに前記複数のアンテナ素子の各々の受信信号に基づいて求められる複数のアンテナ素子間の相関行列から複数の固有ベクトルを求め、求められた複数の固有ベクトルの各要素の複素共役値を前記重み付け手段の重みの値として与える固有ベクトル取得手段を設けた複数ビーム制御適応アンテナ装置を備える無線基地局を備える無線基地局と複数の無線端末局との間で通信するための複数ビーム制御適応アンテナ装置を用いた通信方法であって、
    前記無線基地局と複数の無線端末局との間で同一周波数を用いて同時に通信が可能な空間分割多重伝送を実施する場合に、前記複数ビーム制御適応アンテナ装置を無線端末局から無線基地局に向かう方向の上りの通信に利用するとともに、
    前記無線基地局における既知信号を、無線端末局から前記無線基地局に対して送信するための第1のトレーニング区間とそれに続く第2のトレーニング区間とを情報伝送時刻の前に割り当て、
    前記第1のトレーニング区間では、前記無線基地局で受信される無線端末局からの信号の受信レベルに複数の無線端末局の間で差が生じるように制御し、
    前記第2のトレーニング区間では、前記無線基地局で受信される無線端末局からの信号の受信レベルが複数の無線端末局の間で同一になるように制御し、
    前記第1のトレーニング区間では、複数の可変ビーム形成回路のうち受信機の同期が確立していない可変ビーム形成回路について、無線基地局のアンテナ素子間の相関行列から求められた複数の固有ベクトルの各要素の複素共役値を前記重み付け手段の重みの値として与え、
    複数の可変ビーム形成回路のうち、前記第1のトレーニング区間で受信機の同期が確立した回路については、同期が確立した無線端末局からの受信信号に基づいて前記複数のアンテナ素子の応答を推定するとともに、前記第2のトレーニング区間では、受信機の同期追従を停止し、前記応答に基づいて前記信号合成手段の出力信号と所望信号との誤差が最小となるように前記重み付け手段の重みの値を決定し、
    複数の可変ビーム形成回路のうち、前記第1のトレーニング区間で受信機の同期に失敗した回路については、少なくとも同期が確立するまでは、前記第2のトレーニング区間で前記固有ベクトルの各要素の複素共役値を前記重み付け手段の重みの値として与える
    ことを特徴とする複数ビーム制御適応アンテナ装置を用いた通信方法。
  5. 請求項1の複数ビーム制御適応アンテナ装置を備える無線基地局と複数の無線端末局との間で通信するための複数ビーム制御適応アンテナ装置を用いた通信方法であって、
    前記無線基地局と複数の無線端末局との間で同一周波数を用いて同時に通信が可能な空間分割多重伝送を実施する場合に、前記複数ビーム制御適応アンテナ装置を無線端末局から無線基地局に向かう方向の上りの通信に利用するとともに、
    前記無線基地局における既知信号を、無線端末局から前記無線基地局に対して送信するための第1のトレーニング区間とそれに続く第2のトレーニング区間とを情報伝送時刻の前に割り当て、
    前記第1のトレーニング区間では、前記無線基地局で受信される無線端末局からの信号の受信レベルに複数の無線端末局の間で差が生じるように制御し、
    前記第2のトレーニング区間では、前記無線基地局で受信される無線端末局からの信号の受信レベルが複数の無線端末局の間で同一になるように制御し、
    前記第1のトレーニング区間では、複数の可変ビーム形成回路のうち受信機の同期が確立していない可変ビーム形成回路について、無線基地局のアンテナ素子間の相関行列から求められた複数の固有ベクトルの各要素の複素共役値を前記重み付け手段の重みの値として与え、
    複数の可変ビーム形成回路のうち、前記第1のトレーニング区間で受信機の同期が確立した回路については、同期が確立した無線端末局からの受信信号に基づいて前記複数のアンテナ素子の応答を推定するとともに、前記第2のトレーニング区間では、受信機の同期追従を停止し、前記応答に基づいて前記信号合成手段の出力信号と所望信号との誤差が最小となるように前記重み付け手段の重みの値を決定し、
    複数の可変ビーム形成回路のうち、前記第1のトレーニング区間で受信機の同期に失敗した回路については、少なくとも同期が確立するまでは、前記第2のトレーニング区間で前記固有ベクトルの各要素の複素共役値を前記重み付け手段の重みの値として与える
    ことを特徴とする複数ビーム制御適応アンテナ装置を用いた通信方法。
  6. 請求項2から請求項5の何れか一つに記載の複数ビーム制御適応アンテナ装置を用いた通信方法において、
    前記無線基地局における既知信号を無線端末局から前記無線基地局に対して送信するためのトレーニング区間の少なくとも一部分については、前記無線基地局で受信される無線端末局からの信号の受信レベルが複数の無線端末局について同一になるように制御し、
    前記トレーニング区間で複数の無線端末局が信号を送信する時刻が互いにずれるように制御する
    ことを特徴とする複数ビーム制御適応アンテナ装置を用いた通信方法。
  7. 請求項2から請求項5の何れか一つに記載の複数ビーム制御適応アンテナ装置を用いた通信方法において、
    前記無線基地局における既知信号を無線端末局から前記無線基地局に対して送信するためのトレーニング区間の少なくとも一部分については、前記無線基地局で受信される信号の受信レベルを予め定められた範囲内に限定するための特定の条件の下で、複数の無線端末局の各々の送信信号レベルをランダムに決定する
    ことを特徴とする複数ビーム制御適応アンテナ装置を用いた通信方法。
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