JP3558863B2 - 建物の振動方向制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は構造的に絶縁された下部構造に免震支持された上部構造と下部構造間において、下部構造に対する上部構造の振動の方向を特定の方向に制限する建物の振動方向制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
例えば通信衛星を追尾するアンテナを有する通信シェルター基地のように、建物内の通信機器の機能を地震時にも保全する必要のある建物は耐震構造として設計されているが、通信機器やその付帯設備に対しては転倒や滑りを防止する対策が施されるに過ぎないため、地震時の応答加速度が通信機器等に深刻な影響を与える可能性がある。
【0003】
このような建物に対しては建物自体を免震支持することで加速度の影響を低減することができるが、建物の振動時にもアンテナが通信衛生を追尾する機能を維持させるには、地盤に対する建物の振動を直交する二方向の並進振動に制限することが必要になる。
【0004】
この発明は上記背景より、建物を免震支持する場合に、建物の振動の方向を制限する装置を提案するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明では面外方向にのみ曲げ変形可能な自在パネルを上部構造と下部構造のいずれか一方に接続し、他方に自在パネルの一部を収納する誘導ケースを固定し、自在パネルが挿通する誘導ケースの開口を自在パネルの面内方向に長く形成することにより、下部構造に対する上部構造の振動を直交する二方向の並進振動に制限する。
【0006】
誘導ケースの開口が自在パネルの面内方向に長いことにより自在パネルは開口の長さ方向に、その長さの範囲で自由に移動でき、自在パネルが接続された上部構造,もしくは下部構造は誘導ケースが固定された下部構造,もしくは上部構造に対して自在パネルの面内方向に相対変位できる。
【0007】
開口の長さ方向に直交する方向には、自在パネルがその面外方向に曲げ変形することにより、自在パネルが接続された上部構造,もしくは下部構造は誘導ケースが固定された下部構造,もしくは上部構造に対して自在パネルの面外方向に相対変位できる。
【0008】
この結果、開口の長さ方向とそれに直交する方向以外の方向に上部構造と下部構造が相対変位しようとするときには、自在パネルが開口に沿って移動することと、自在パネルが面外変形することの、誘導ケースに対する自在パネルの二方向の変形により下部構造に対する上部構造の振動が、自在パネルの面内と面外の直交する二方向の並進振動に制限される。
【0009】
下部構造の振動の方向に関係なく、下部構造に対する上部構造の振動が直交する二方向の並進振動に制限されることで、建物が通信シェルター基地である場合に、建物の振動時にもアンテナが通信衛生を追尾する機能を維持する。
【0010】
【発明の実施の形態】
この発明の振動方向制御装置1は図8に示すように下部構造5から構造的に絶縁され、下部構造5に免震装置6で支持された上部構造4と下部構造5間において、上部構造4と下部構造5のいずれか一方に接続される自在パネル2と、他方に固定される誘導ケース3から構成され、下部構造5に対する上部構造4の振動の方向を特定の二方向に制限するものである。
【0011】
自在パネル2は図2に示すように面外方向にのみ曲げ変形可能で、下部構造5に対し、上部構造4が自在パネル2の面外方向に相対変位したときに面外変形することで追従する。図面では複数枚の面材21と、隣接する面材21,21をその面内の水平軸回りに回転自在に連結する連結材22から自在パネル2を構成しているが、捩じれを生ずることなく、曲げ変形できる性質の一枚板で自在パネル2を形成する場合もある。
【0012】
図4,図5に複数枚の面材21と連結材22から自在パネル2を構成する場合の自在パネル2の詳細を示す。この場合、隣接する面材21,21の連結側の双方にシリンダ24,24が互い違いに形成、あるいは接合され、両面材21,21のシリンダ24,24内に連結材22である軸棒が挿通することで、自在パネル2が構成される。
【0013】
図6は連結材22の軸方向に隣接するシリンダ24,24間の隙間にバネ25を差し込み、バネ25の復元力を隙間の間隔が拡がる向きに常に作用させることで、自在パネル2が曲げ変形しようとするときにバネ25とシリンダ24間に生ずる摩擦力を、上部構造4の振動を減衰させる減衰力として利用し、上部構造4の揺れの増大を抑制する場合の例を示す。
【0014】
図6ではバネ25に皿バネを使用しているが、復元力によってバネ25とシリンダ24間に摩擦力が生ずればよいため、コイルスプリングや板バネも使用できる。皿バネを使用する場合、バネ25は図7−(a) に示すように軸方向に収縮させられた状態でシリンダ24,24間の隙間に差し込まれ、(b) に示すように解放させられた後に連結材22がシリンダ24と共にバネ25に挿通する。
【0015】
誘導ケース3は図1〜図3に示すように自在パネル2が挿通し、自在パネル2の面内方向に長く形成された開口31を持ち、誘導ケース3内に自在パネル2の一部が収納される。開口31の長さは下部構造5に対する上部構造4の相対変位量を見込んだ大きさで、開口31の幅は自在パネル2の面外変形を許容する程度の大きさを持つ。
【0016】
自在パネル2の、誘導ケース3内に収納される部分の先端部には自在パネル2が面外変形したときに誘導ケース3から抜け出さないための抜け止め23が接続される。
【0017】
上部構造4が下部構造5に対して自在パネル2の面内方向に相対変位を生じようとする場合には、自在パネル2がその面内方向に誘導ケース3に対して移動することで上部構造4が下部構造5に対して変位し、上部構造4が下部構造5に対して自在パネル2の面外方向に相対変位を生じようとする場合には、自在パネル2が面外変形することで上部構造4が下部構造5に対して変位する。
【0018】
上部構造4が下部構造5に対し、自在パネル2の面内方向と面外方向以外の方向に相対変位を生じようとする場合には、自在パネル2が開口31に沿って移動することと、自在パネル2が面外変形することで、上部構造4は下部構造5に対して自在パネル2の面内方向と面外方向の二方向にのみ変位し、上部構造4の振動の方向はこの二方向に制限される。
図8,図10は免震装置6を振動方向制御装置1と併用した様子を示す。
【0019】
ここに示す免震装置6は図9に示すように上部構造4に接続されながら下部構造5から絶縁される芯材7と、芯材7の外周に多重に配置される複数個の環状の圧縮部材8と、隣接する圧縮部材8,8間に張架される引張部材9と、下部構造5上に設置され、最も外周側の圧縮部材8に接続される輪バネ10から構成される。
【0020】
芯材7の上部は任意の方向に傾斜自在に、あるいは一定の範囲で水平二方向にスライド自在に上部構造4に接続された状態で、上部構造4から懸垂し、芯材7は圧縮部材8や引張部材9に接続されることで上部構造4の鉛直荷重を圧縮力として負担する。
【0021】
芯材7の外周には内周側から外周側へ向かって順次規模の大きい圧縮部材8が複数個配置され、隣接する圧縮部材8,8の内、内周側に位置する圧縮部材8の下端部と外周側に位置する圧縮部材8の上端部間に引張部材9が張架される。
【0022】
最も外周側に位置する圧縮部材8はその圧縮部材8からの圧縮力を受け、輪バネ10に伝達する支持台11に支持される。
【0023】
輪バネ10は径の異なる内輪と外輪を鉛直方向に重ね合わせた形をし、隣接する内輪間と外輪間にクリアランスを確保しながら、互いに隣接する内輪と外輪が鉛直面に対して傾斜した接触面で互いに接触し、双方の接触面間に生ずる摩擦力によって鉛直方向の圧縮力を負担する。
【0024】
支持台11は、輪バネ10を両端から拘束するプレート12,12の内、上端のプレート12に接続されることにより上部構造4からの鉛直荷重を輪バネ10に伝達し、また輪バネ10が鉛直荷重を負担して平衡した状態から、上部構造4と下部構造5間に鉛直方向の相対変位が生じたときの圧縮力と引張力を輪バネ10に伝達する。
【0025】
上部構造4の鉛直荷重は芯材7から、もしくは最も内周側の圧縮部材8から最も内周側に張架されている引張部材9に引張力として伝達され、その引張力がその外周側に位置する圧縮部材8に圧縮力として伝達され、順次内周側の圧縮部材8から外周側の圧縮部材8に伝達され、最終的に輪バネ10に圧縮力として伝達される。
【0026】
免震装置6は芯材7と圧縮部材8及び引張部材9によって上部構造4を下部構造5に吊り支持させ、吊り構造物を吊り支持する吊り材の機能を持つ引張部材9の全長が調整されることで上部構造4の振動周期が自由に調整される。引張部材9の全長は多重に配置される圧縮部材8の数が多くなる程、大きくなり、それに伴って上部構造4が長周期化される。
【0027】
免震装置6は下部構造5の水平方向の振動時に、複数個の圧縮部材8が輪バネ10に対して水平方向に相対変位することにより下部構造5の振動を遮断し、下部構造5の鉛直方向の振動時には、上部構造4を支持した状態で平衡状態を維持する輪バネ10が更に圧縮力と引張力を負担することにより下部構造5の振動を遮断する。
【0028】
輪バネ10は平衡状態からは、隣接する内輪間のクリアランスと外輪間のクリアランスがなくなるまで更に圧縮力を負担することができ、また内輪と外輪の接触面が離脱するまで引張力を負担することができるため、その範囲で免震装置6は下部構造5の鉛直方向の振動を遮断する。
【0029】
また輪バネ10は履歴曲線がループを描く特性を持ち、下部構造5の鉛直方向の振動時に振動エネルギを吸収する能力を持つため、上部構造4の下部構造5に対する鉛直方向の振動を振動の発生と共に減衰させる。振動の終了時には、平衡状態に復帰する。
【0030】
図10では上部構造4の下に、上部構造4の下部構造5に対する相対水平変位を一定量に制限しながら、その一定量を超える水平変位が生じたときに振動を減衰させる振動制限装置13を設置している。
【0031】
振動制限装置13は図11に示すように上部構造4の下端に突設される脚14と、脚14との間に水平方向に一定の距離をおいて下部構造5に固定される、減衰装置となる輪バネ15から構成され、脚14が輪バネ15に衝突,もしくは接触することで上部構造4の変位量を制限し、衝突時に輪バネ15がエネルギを吸収することにより水平方向の振動を減衰させる。
【0032】
免震装置6の輪バネ10は鉛直方向の振動を減衰させる働きをすることから、上部構造4の水平方向と鉛直方向の振動は免震装置6と振動制限装置13の併用により減衰されることになる。
【0033】
【発明の効果】
面外方向にのみ曲げ変形可能な自在パネルを上部構造と下部構造のいずれか一方に接続し、他方に自在パネルの一部を収納する誘導ケースを固定し、自在パネルが挿通する誘導ケースの開口を自在パネルの面内方向に長く形成することで、上部構造と下部構造間の相対水平変位の方向を自在パネルの面内方向と面外方向に制限するため、下部構造の振動の方向に関係なく、下部構造に対する上部構造の振動を、自在パネルの面内と面外の直交する二方向の並進振動に制限することができる。
【0034】
この結果、建物が通信シェルター基地である場合に、建物の振動時にもアンテナが通信衛生を追尾する機能を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】振動方向制御装置を示した立面図である。
【図2】図1の縦断面図である。
【図3】図1の横断面図である。
【図4】(a) は図1に示す自在パネルの詳細を示した立面図、(b) は(a) のx−x線断面図である。
【図5】連結材による面材の連結の様子を示した斜視図である。
【図6】シリンダ間にバネを配置した場合の自在パネルを示した立面図である。
【図7】(a) はバネの差し込み時の様子を示した断面図、(b) は連結材の挿通後の様子を示した断面図である。
【図8】振動方向制御装置に免震装置を併用した様子を示した立面図である。
【図9】図8の免震装置を示した縦断面図である。
【図10】振動方向制御装置に免震装置と振動制限装置を併用した様子を示した平面図である。
【図11】振動制限装置を示した縦断面図である。
【符号の説明】
1……振動方向制御装置、2……自在パネル、21……面材、22……連結材、23……抜け止め、24……シリンダ、25……バネ、3……誘導ケース、31……開口、4……上部構造、5……下部構造、6……免震装置、7……芯材、8……圧縮部材、9……引張部材、10……輪バネ、11……支持台、12……プレート、13……振動制限装置、14……脚、15……輪バネ。
Claims (2)
- 下部構造から構造的に絶縁され、下部構造に免震支持された上部構造と下部構造間において、上部構造と下部構造のいずれか一方に接続され、面外方向にのみ曲げ変形可能な自在パネルと、上部構造と下部構造のいずれか他方に固定され、自在パネルの一部を収納する誘導ケースから構成され、自在パネルが挿通する誘導ケースの開口は自在パネルの面内方向に長く形成され、前記自在パネルは上部構造と下部構造との間に、自在パネルの面内方向の相対変位が生じようとするときに前記誘導ケースの開口の長さ方向に移動し、自在パネルの面外方向の相対変位が生じようとするときに自在パネルの面外方向に曲げ変形して前記面外方向の相対変位に追従する建物の振動方向制御装置。
- 自在パネルは複数枚の面材と、隣接する面材をその面内の水平軸回りに回転自在に連結する連結材から構成される請求項1記載の建物の振動方向制御装置。
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JP10260098A JP3558863B2 (ja) | 1998-04-14 | 1998-04-14 | 建物の振動方向制御装置 |
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JP10260098A JP3558863B2 (ja) | 1998-04-14 | 1998-04-14 | 建物の振動方向制御装置 |
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JPH11303925A JPH11303925A (ja) | 1999-11-02 |
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JP10260098A Expired - Fee Related JP3558863B2 (ja) | 1998-04-14 | 1998-04-14 | 建物の振動方向制御装置 |
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-
1998
- 1998-04-14 JP JP10260098A patent/JP3558863B2/ja not_active Expired - Fee Related
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