JP3558543B2 - 板材クランプ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体ウエハ等の板材をクランプする装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から半導体ウエハの製造工程では、半導体ウエハをスライスした後、ポリッシングを行い、次いで、洗浄を行うようにしている。この洗浄工程等においては、円盤状の板材である半導体ウエハをクランプし、その半導体ウエハに酸を掛けた後、純水で洗い流し、その後、その半導体ウエハを高速回転させて、純水を振り落とすと共に、Nを掛けて乾燥させるようにしている。高速回転させることにより、短時間で乾燥できるようにして洗浄工程に掛かる時間を短縮するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のものにあっては、ウエハを高速で回転させたり、回転速度を急激に変化させたりする必要があるため、クランプ機構が重量物であると、大きな遠心力が作用し、大きな振動が発生すると共に、回転駆動装置も大きな出力が得られる大型の装置が必要となってしまう。
【0004】
そこで、この発明は、高速で回転させた場合でも、大きな振動が発生するのを抑制すると共に、回転駆動装置を小型化できるようにする板材クランプ装置を提供することを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため、請求項1に記載された発明は、回転軸の上端部に回転盤が配設され、該回転盤の同心円上に複数のクランプ部材が所定間隔で回転自在に配設され、該クランプ部材には該クランプ部材の回転中心に対して偏心した位置にクランプ凸部が形成され、前記クランプ部材が回転されることにより前記クランプ凸部が板材の周縁部に当接してクランプするように設定される一方、前記回転軸の周囲に該回転軸と共に回転可能な筒体が該回転軸に対して相対回転可能に配設され、該筒体と前記クランプ部材とが連結部材を介して連結され、該連結部材がバネ性を有するように中間部を細く形成したリンク部材から構成され、前記筒体の周囲に前記回転軸及び前記筒体と共に回転可能なリング部材が上下動可能に配設され、該リング部材に駆動装置により上下動されるアームが連結され、該アームにより前記リング部材が上下動されたときに前記回転軸と前記筒体とを相対的に所定角度回転させるカム機構が設けられ、前記リング部材の上下動により前記筒体が前記回転軸に対して相対回転されたときに、前記連結部材を介して前記クランプ部材が回転されて前記クランプ部材にて前記板材がクランプされ、前記リング部材の回転時には、前記アームに対して該リング部材が相対的に回転するように構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記回転軸は、筒状を呈し、内部に固定軸が挿通され、該固定軸に流体通路が形成され、該流体通路と連続して前記板材の裏面に前記流体を噴射する噴射ノズルが配設され、該噴射ノズルは前記回転軸の中心線とオフセットされた位置で、噴射方向が前記板状の裏面中央部に向けて斜め上方に噴射されるように配置されたことを特徴とする
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を実施の形態に基づいて説明する。
【0011】
図1乃至図8には、この発明の実施の形態を示す。
【0012】
まず構成を説明すると、この実施の形態の板材クランプ装置1は、半導体ウエハWをクランプして高速で回転させる構成を備えており、洗浄工程に使用されるものである。
【0013】
この板材クランプ装置1は、中心側から、「固定軸」としての第1筒体3、「回転軸」としての第2筒体4、「筒体」としての第3筒体5を有している。その第1筒体3は、下端部がベース部材6に固定される一方、上端部に中央固定円盤7が固定され、中心に流体を流す流通路3aが形成されている。また、その中央固定円盤7には、図1及び図2に示すように、流通路3aと連続する一対の噴射ノズル7aが円盤7の中心線とオフセットされた位置で互いに中央側の斜め上方に向けて配設され、この噴射ノズル7aから純水やNがウエハWの裏面側に向けて噴射されるようになっている。
【0014】
また、その第1筒体3の周囲には、第2筒体4が上端部側と下端部側においてベアリング8を介して回転自在に配設され、下側のベアリング8にベルビルスプリング10が摺接し、このベルビルスプリング10が第1筒体3に螺合されたナット11上に載置されている。そして、その第2筒体4の上端部には、「回転盤」としての回転円盤12がボルト13により固定されている。
【0015】
この回転円盤12には、計5つのクランプ部材15が同心円上に等間隔に配置されている。このクランプ部材15は、図1及び図2に示すように、軸部15aが回転円盤12の嵌合孔12aに回転自在に嵌合され、上面部側に半導体ウエハWを支持する支持凸部15bが突設されると共に、回転中心Oに対して偏心した位置にクランプ凸部15cが突設されている。このクランプ部材15が後述する機構により、図2中矢印方向(反時計回り)に回転されることにより、回転中心Oに対して偏心した位置に形成されたクランプ凸部15cが半導体ウエハWの周縁部に当接してクランプされるようになっている。
【0016】
その第2筒体4の下端部の周囲には、図1及び図3等に示すように、Vベルトプーリ17が固定され、このVベルトプーリ17とモータ18側の駆動プーリ19との間にVベルト20が巻回されている。これにより、モータ18が駆動されると、Vベルト20を介して第2筒体4が回転されるようになっている。そして、この第2筒体4の回転数が光電素子22により、検出されるようになっている。
【0017】
一方、前記クランプ部材15を回転させる機構として前記第3筒体5等が設けられている。すなわち、その第3筒体5は、上部側と下部側がベアリング23を介して前記第2筒体4に対して回動可能に配置されている。そして、この第3筒体5の上端部に中間部材24が固定され、この中間部材24に「連結部材」としての第1リンク部材25の一端部がネジ部材26により回動自在に取り付けられ、その第1リンク部材25の他端部に第2リンク部材27がネジ部材28を介して回動自在に取り付けられている。この第2リンク部材27は、前記クランプ部材15の嵌合部15dに回転不能状態に取り付けられている。
【0018】
この第1リンク部材25は、テフロン製で、図2に示すように、中間部25aがバネ性を有するように細く形成され、又、第2リンク部材27は、ピーク製(PEEK)である。
【0019】
これで、第3筒体5が第2筒体4に対して相対回転されることにより、両リンク部材25,27を介してクランプ部材15が所定角度回動されるようになっている。
【0020】
また、その第3筒体5を第2筒体4に対して相対回転させる機構は、まず、図1,図3及び図6等に示すように、リング部材31が第3筒体5の周囲に嵌合されて上下動自在に配設され、このリング部材31の周縁部に形成された溝部31aに一対のカムフォロワ32が嵌合されている。これらカムフォロワ32は、図3及び図6に示すように、二股状のアーム33の先端部に取り付けられ、このアーム33は、図3に示すように側方から見ると、L字状に折曲されて回転軸33aを中心に回動するようになっている。そして、このアーム33の基端部側が空圧シリンダ35のピストン35aの先端部に軸36を介して回転自在に連結され、ピストン35aが前進されると、アーム33が回転軸33aを中心に図3中時計回りに回動されて、カムフォロワ32を介してリング部材31が下降されるようになっている。
【0021】
また、前記第2筒体4と第3筒体5とのそれぞれには、図6,図7及び図8に示すように、カム溝4a,5aが形成され、これらカム溝4a,5aに、前記リング部材31に固定されたカムフォロワ38が挿入されている。その一方の第2筒体4のカム溝4aは、第2筒体4に一対形成され、上下方向に略直線状に延び、他方の第3筒体5のカム溝5aは、大略クランク形状に折曲形成されている。
【0022】
これでリング部材31が上下動、つまり、カムフォロワ38が上下動して、このカムフォロワ38が各カム溝4a,5a内を移動することにより、第3筒体5が第2筒体4に対して所定角度相対回転するようになっている。
【0023】
次に、作用について説明する。
【0024】
まず、半導体ウエハWをクランプするには、クランプ凸部15cが図2中実線に示す位置にある状態で、図1に示すように、支持凸部15b上に半導体ウエハWを載せる。
【0025】
次に、空圧シリンダ35を作動させてピストン35aを前進させることにより、アーム33を回転軸33aを中心に回動させて、リング部材31を図7に示す状態から図8に示すように下降させる。すると、カムフォロワ38が第2,第3筒体4,5のカム溝4a,5a内を下方に移動することにより、一方のカム溝4aが直線状で、他方のカム溝5aが折曲形成されているため、第3筒体5が第2筒体4に対して平面視において時計回りに回動される。これにより、第1,第2リンク部材25,27が図2中二点鎖線に示すように移動することにより、クランプ部材15が反時計廻りに回動される。その結果、クランプ凸部15cが回転中心Oを中心に反時計廻りに図2中二点鎖線に示す位置まで回動する。これで、これら5つのクランプ凸部15cが図2中二点鎖線に示す半導体ウエハWの周縁部に当接してこの半導体ウエハWがクランプされることとなる。
【0026】
この場合には、第1リンク部材25の中間部25aがバネ性を有しているため、弾性変形することで、半導体ウエハWに無理な力が作用するのを防止できる。
【0027】
このクランプ状態で、半導体ウエハWの表面に図示省略の噴射装置から酸を噴射させて表面を洗浄すると共に、噴射ノズル7aから純水(DIW)を吹き付けて酸が裏面側に回り込まないようにしている。その後、酸の代わりに純水を半導体ウエハWの表面に噴射させて酸等を洗い流す。
【0028】
次いで、このクランプした状態で、モータ18を駆動させることにより、Vベルト20を介して第2,第3筒体4,5が高速回転され、半導体ウエハWが回転されることとなる。これで、純水等が振り落とされ、Nが半導体ウエハWの表面と裏面に吹き付けられて乾燥されることとなる。半導体ウエハWの裏面には、その噴射ノズル7aからNを吹き付けるようにしている。
【0029】
このようなものにあっては、クランプ部材15を回転させることにより半導体ウエハWをクランプできるため、例えばクランプ部材をスライドさせてスプリングの付勢力にて狭持するもの等と比較すると、構造を簡単にでき、重量を低減できる。従って、半導体ウエハWを高速で回転させるような場合でも大きな遠心力が発生するのを防止し、大きな振動が発生するのを抑制すると共に、回転駆動装置を小型化できる。
【0030】
また、第2筒体4の周囲に第3筒体5を配設し、この第3筒体5を第2筒体4に対して相対回転させることにより、リンク部材25,27を介してクランプ部材15が回転されてクランプ部材15にて半導体ウエハWがクランプされるようにしたため、クランプするための駆動力伝達機構が第2筒体4の周囲にそれ程突出することが無く、この点においても上記と同様に、半導体ウエハWを高速で回転させるような場合でも大きな遠心力が発生するのを防止し、大きな振動が発生するのを抑制すると共に、回転駆動装置を小型化できる。また、第2筒体4の内部に、クランプするための駆動力伝達機構を配置する必要がないため、第2筒体4を筒状としてこの内部に純水等の流通路3a等を簡単に配置できる。
【0031】
さらに、回転円盤12を高速で回転させた場合でも、クランプ部材15はPEEK製で軽量であるため、遠心力を小さくできることから、このクランプ部材15の破損等を防止できる。
【0032】
なお、上記実施の形態では、この発明を半導体ウエハWをクランプする装置に適用したが、これに限らず、他のものをクランプする装置にも適用することができる。
【0034】
【発明の効果】
以上説明してきたように、請求項1に記載された発明によれば、回転軸の周囲に筒体を配設し、この筒体を回転軸に対して相対回転させることにより、クランプ部材が回転されてクランプ部材にて板材がクランプされるようにしたため、クランプするための駆動力伝達機構が回転軸の周囲にそれ程突出することが無く、板材を高速で回転させるような場合でも大きな遠心力が発生するのを防止し、大きな振動が発生するのを抑制すると共に、回転駆動装置を小型化できる。また、回転軸の内部に、クランプするための駆動力伝達機構を配置する必要がないため、回転軸を筒状としてこの内部に純水等の流通路等を簡単に配置できる。
【0036】
しかも、連結部材はリンク部材から構成され、このリンク部材はバネ性を有するようにしているので、特に強度の弱い板材(半導体ウエハ等)をクランプする場合に、そのリンク部材が弾性変形することにより、板材に無理な力が作用するのを防止することができる。
【0037】
請求項2に記載された発明によれば、回転軸を筒体として、この回転軸の内部を利用して、板材の裏面に流体を噴射する流通路を形成することができる、という実用上有益な効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係る板材クランプ装置の断面図である。
【図2】同実施の形態の作用を示す概略平面図である。
【図3】同実施の形態に係る板材クランプ装置の一部を断面した正面図である。
【図4】同実施の形態に係る図3の底面図である。
【図5】同実施の形態に係る図3の下部側を示す右側面図である。
【図6】同実施の形態に係る図7のA−A線に沿う断面図である。
【図7】同実施の形態に係るリング部材等を示す正面図である。
【図8】同実施の形態に係る作用を示す第2,第3筒体の一部を示す図である。
【符号の説明】
1 板材クランプ装置
3 第1筒体(固定軸)
3a 流通路
4 第2筒体(回転軸)
4a カム溝
5 第3筒体(筒体)
5a カム溝
12 回転円盤(回転盤)
15 クランプ部材
15a 軸部
15b 支持凸部
15c クランプ凸部
15d 嵌合部
25 第1リンク部材(連結部材)
25a 中間部
27 第2リンク部材(連結部材)
31 リング部材
32 カムフォロワ

Claims (2)

  1. 回転軸の上端部に回転盤が配設され、該回転盤の同心円上に複数のクランプ部材が所定間隔で回転自在に配設され、該クランプ部材には該クランプ部材の回転中心に対して偏心した位置にクランプ凸部が形成され、前記クランプ部材が回転されることにより前記クランプ凸部が板材の周縁部に当接してクランプするように設定される一方、
    前記回転軸の周囲に該回転軸と共に回転可能な筒体が該回転軸に対して相対回転可能に配設され、該筒体と前記クランプ部材とが連結部材を介して連結され、該連結部材がバネ性を有するように中間部を細く形成したリンク部材から構成され、
    前記筒体の周囲に前記回転軸及び前記筒体と共に回転可能なリング部材が上下動可能に配設され、該リング部材に駆動装置により上下動されるアームが連結され、該アームにより前記リング部材が上下動されたときに前記回転軸と前記筒体とを相対的に所定角度回転させるカム機構が設けられ、
    前記リング部材の上下動により前記筒体が前記回転軸に対して相対回転されたときに、前記連結部材を介して前記クランプ部材が回転されて前記クランプ部材にて前記板材がクランプされ、前記リング部材の回転時には、前記アームに対して該リング部材が相対的に回転するように構成されていることを特徴とする板材クランプ装置。
  2. 前記回転軸は、筒状を呈し、内部に固定軸が挿通され、該固定軸に流体を通す流通路が形成され、該流通路と連続して前記板材の裏面に前記流体を噴射する噴射ノズルが配設され、該噴射ノズルは前記回転軸の中心線とオフセットされた位置で、噴射方向が前記板状の裏面中央部の斜め上方に向けて噴射されるように配置されたことを特徴とする請求項1に記載の板材クランプ装置。
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