JP3558518B2 - 水田作業機 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行機体に対してアクチュエータの作動で昇降自在に対地作業装置を支持すると共に、対地作業装置と圃場面との距離を計測するセンサと、対地作業装置の対圃場面高さを設定する設定器とを設け、この設定器で設定される目標値とセンサで計測される値とが合致する側に前記アクチュエータを駆動して対地作業装置の昇降を行う制御装置を備えた水田作業機に関し、詳しくは、昇降開始時の反応の良い制御を可能にする技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のように構成された技術として特開平9‐154341号公報に示されるものが存在し、この従来例では苗植付装置を駆動昇降する油圧シリンダに対する電磁比例制御弁を備え、対地高さ検出手段の検出結果と、目標とする所定高さとの偏差に正比例した目標電流の昇電流を行いながら電磁比例制御弁に供給すると共に、偏差が小さい場合には供給開始時点の電流値を大電流側にずらすように制御形態が設定されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来例では、苗植付装置の上昇開始時には電磁比例制御弁の開度を大きい側に変位させることで、電磁比例制御弁の応答性を向上させるものとなっている。しかし、水分を含んだマット状苗を載置することで重量化しやすい苗植付装置を上昇させる際の制御を考えると、苗植付装置の重量ばかりで無く、苗植付装置の静慣性の作用によって苗植付装置の上昇開始に遅れを生じ易いものとなっており、従来例のように電磁比例制御弁の応答性を向上させただけでは上昇開始時の駆動力が不足して制御遅れが発生することも想像できる。
【0004】
本発明の目的は、応答性の良い制御を行うと同時に、対地作業装置の上昇を充分な駆動力で行って制御遅れを発生し難い水田作業機を合理的に構成する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の特徴(請求項1)は冒頭に記載したように、走行機体に対してアクチュエータの作動で昇降自在に対地作業装置を支持すると共に、対地作業装置と圃場面との距離を計測するセンサと、対地作業装置の対圃場面高さを設定する設定器とを設け、この設定器で設定される目標値とセンサで計測される値とが合致する側に前記アクチュエータを駆動して対地作業装置の昇降を行う制御装置を備えた水田作業機において、前記設定器で設定される目標値を基準にして所定幅の不感帯と、この不感帯から外方の域に補償領域と、この補償領域から外方の域に制御領域とを設定し、目標値とセンサで計測される値との偏差が前記不感帯内にあればアクチュエータの駆動を、アクチュエータの駆動停止状態が維持される範囲内で偏差に比例した制御指令を出力して停止状態とし、前記偏差が前記補償領域にあれば予め設定された大きさの出力でアクチュエータを駆動し、前記偏差が前記制御領域にあれば偏差が大きくなるほどアクチュエータの出力を高めて前記アクチュエータを高速で作動させるよう前記制御装置の制御動作が設定されている点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
【0006】
本発明の第2の特徴(請求項2)は請求項1において、前記アクチュエータが油圧シリンダで構成されると共に、前記制御装置が油圧シリンダに対する電磁操作型の制御弁の開度を設定自在に構成され、又、前記偏差が前記制御領域にある場合には偏差に比例して制御弁の開度を設定し、前記偏差が前記補償領域にある場合には制御弁を予め設定された開度に維持するよう前記制御装置の制御動作が設定されている点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
【0007】
本発明の第3の特徴(請求項3)は請求項1又は2において、前記制御装置が、前記偏差が前記制御領域にある場合には比例・積分動作型にアクチュエータを制御するよう制御動作が設定されている点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
【0008】
〔作用〕 上記第1の特徴によると、対地作業装置の昇降が停止した状態からセンサで計測される値が不感帯から外方の域に達し、その値が補償領域にある場合には、偏差が小さいものであるに拘わらず、予め設定された大きさの出力でアクチュエータを駆動するので、例えば、この出力を対地作業装置の重量に抗して充分な速度で上昇させ得る程度に設定するだけで、制御遅れに陥ることなく応答性の良い昇降制御を可能にするものとなり、又、この補償域の外側に制御領域が形成されているので、偏差が制御領域にあれば偏差が大きくなった場合でも適正な速度で対地作業装置の昇降を行って昇降作動を短時間のうちに収束できるものとなる。
また、前記不感帯では、アクチュエータの駆動停止状態が維持される範囲内で偏差に比例した制御指令を出力して停止状態としているので、より一層、応答性を向上させることができる。
【0009】
上記第2の特徴によると、対地作業装置の昇降が停止した状態からセンサで計測される値が不感帯から外方の域に達し、その値が補償領域にある場合には、制御弁を予め設定された開度に維持するよう決まった値の電流を供給することになるので、例えば、この電流値を制御弁のスプールが迅速に作動し得る値に設定しておくだけで制御弁の応答性が向上するばかりでなく、油圧シリンダに対して充分な圧力の作動油を供給して対地作業装置を充分な速度で上昇させ得るものとなり、制御遅れに陥ることなく応答性の良い昇降制御を可能にするものとなる。又、偏差が制御領域にあれば偏差が大きいほど制御弁に対する電流値を増大させ、更に高速で対地作業装置の昇降を行って短時間のうちに昇降制御を収束できるものとなる。
【0010】
上記第3の特徴によると、偏差が制御領域にある場合には比例・積分制御によって制御が行われるので、この域では応答性の良い制御が可能となる。
【0011】
〔発明の効果〕 従って、対地作業装置の上昇を開始する際には充分な駆動力で上昇を行って制御遅れやオーバシュートを発生し難く、応答性の良い昇降制御を行う水田作業機が合理的に構成されたのである(請求項1)。又、制御弁に対する制御電流の設定だけで、昇降作動開始の時点で偏差が小さくとも、制御弁ばかりで無く対地作業装置のステップ応答性が向上して制御遅れが解消されるものとなり(請求項2)、又、対地作業装置の昇降時には応答性の良い制御を可能にするものとなった(請求項3)。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、ステアリング操作される駆動型の前車輪1、及び、駆動型の後車輪2を備えた走行機体3の前部にエンジン4を搭載すると共に、この走行機体3の後部にエンジン4からの動力が伝えられる静油圧式の無段変速装置5、及び、ミッションケース6を配置し、又、走行機体3の中央部に運転座席7を配置し、走行機体3の後端部に対し油圧シリンダ8(アクチュエータの一例)で駆動昇降するリンク機構9を介して対地作業装置としての苗植付装置Aを連結して水田作業機としての乗用型の田植機を構成する。
【0013】
前記運転座席7の右側部に苗植付装置Aの昇降制御と植付クラッチ(図示せず)の入り切り操作とを行う昇降レバー10を備え、又、機体前部位置にはステアリングハンドル11を備えている。尚、前記植付クラッチは、前記ミッションケース6に内蔵され、このミッションケース6から苗植付装置Aに対して動力を伝える伝動軸12が決まった回転位相にある場合にのみ切り操作を許容して苗植付装置Aの植付アーム(後述する)が圃場との接触を回避した姿勢で動力を遮断するよう構成されている。
【0014】
苗植付装置Aはマット状苗Wを載置する苗載せ台13、前記伝動軸12からの動力が伝えられる伝動ケース14、この伝動ケース14からチェーンケース15を介して伝えられる動力で回転するロータリケース16、このロータリケース16に一対ずつ備えられた植付アーム17、複数の整地フロート18(接地フロートの一例)夫々を備えて複数条植用に構成されると共に、該苗植付装置Aの後端位置には施肥装置Bを備え、作業時には苗載せ台13に載置されたマット状苗Wの下端から苗を植付アーム17が1株ずつ切出して圃場面Sに植え付けると同時に、植付けた苗の近傍の圃場面下に施肥装置Bで肥料を供給するよう構成されている。
【0015】
前記複数の整地フロート18は左右方向での中央側のものを感知フロート18Aに構成してあり、この感知フロート18Aは図2に示すように、前記苗植付装置Aに横向き姿勢の軸芯周りで回動自在に支持された植付深さ調節軸21から後方に延設した支持アーム22の後端位置に対して横向き姿勢の軸芯P周りで揺動自在に支持され、植付深さ調節軸21から前方に向けて形成したリンク部材23に対して該フロート18Aの前部を支持することで該感知フロート18Aを横向き姿勢の軸芯P周りでの揺動自在に構成してある。
【0016】
支持アーム22に対して横向き姿勢の操作軸24周りで揺動自在にポテンショメータ型のフロートセンサ25を支持し、この操作軸24に備えた操作アーム24Aと感知フロート18Aに固定した固定アーム26との間に操作ロッド27を備え、植付深さ調節軸21に固設した部材28とフロートセンサ25を支持する部材とに亘ってロッド29を備えることで植付深さ調節軸21の回動操作時に操作軸24周りでのフロートセンサ25本体の姿勢を変更して感知フロート18の苗植付装置Aに対する揺動姿勢を一定に維持する限りはフロートセンサ25本体に対する操作アーム24Aの姿勢を維持するよう構成されている。又、植付深さ調節軸21に固設された調節アーム30を介して上下方向に揺動操作される部材31と感知フロート18Aの前部との間に圧縮コイル型の感知バネ32を介装することで、植付深さ調節軸21の回動操作時にもセンサフロート18の苗植付装置Aに対する揺動姿勢を一定に維持する限りは感知バネ32の付勢力を変化させないように構成されている。
【0017】
図3に示すように、運転座席7の前方位置にはダイヤル35で操作されるポテンショメータ型の感度設定器36が配置され、この感度設定器36を「敏」の側に操作するほど感知フロート18Aの目標姿勢前下がり側に設定して感知バネ32から感知フロート18Aに作用する付勢力の低減を図って該感知フロート18Aの敏感な揺動を許すものとなっており、「鈍」の側に操作するほど感知フロート18Aの目標姿勢を前上がり側に設定して感知バネ32から感知フロート18Aに作用する付勢力の増大を図って該感知フロート18Aの揺動を鈍らせるものとなっている。
【0018】
図3に示すように、該田植機の制御系が構成され、この制御系ではマイクロプロセッサ(図示せず)を備えた制御装置37に対して前記昇降レバー10の基端に備えた昇降レバーセンサ38からの信号、前記感度設定器36からの信号、前記フロートセンサ25からの信号が入力する系が形成されると共に、前記油圧シリンダ8を制御する電磁弁41(制御弁の一例)を制御する出力系が形成されている。又、電磁弁41はソレノイドに供給される電流値の値を増大させるほど該電磁弁41の開度を大きくする電磁比例型の特性のものが用いられている。又、制御装置37は電磁弁41のソレノイドに対して間歇信号を出力すると共に、この間歇信号のデューティ比の設定でPWM式に該ソレノイドに供給される電力の電流値を調節し得るものとなっている。
【0019】
苗植付装置Aを昇降制御する自動昇降制御ルーチンが図4のフローチャートに示すよう設定されている。つまり、感度設定器36からの信号を入力し、この入力信号の値に基づいて、制御目標を設定すると共に、この制御目標を基準にして不感帯の領域と補償領域と制御領域とを設定する(#101、#102ステップ)。又、これら不感帯の領域と補償領域と制御領域とは図5に示す如く制御目標を基準にして苗植付装置Aを上昇させる側(同図で右側)と苗植付装置Aを下降させる側(同図で左側)とに形成されるものであり、これら何れの領域にフロートセンサからの信号が存在するかによって電磁弁41のソレノイドに供給される電流値が求められるよう制御特性が設定されている。
【0020】
次に、フロートセンサからの信号を入力して、このフロートセンサ25からの信号値が不感帯の領域内に存在する場合には、電磁弁41の開度を設定する特性を図5に示すように、不感帯の領域でも偏差に比例した微弱な電流を電磁弁のソレノイドに対して供給することで電磁弁41の応答性を向上させるようにしてい る。又、補償領域に存在する場合には設定された値に電磁弁41の開度を得る電流値の電力を電磁弁41のソレノイドに供給し、制御領域に存在する場合には制御目標とフロートセンサ25からの信号値との偏差に基づく比例・積分制御によって求められる電流値の電力を電磁弁41の上昇側あるいは下降側のソレノイドに対して供給するものとなっている(#103〜#10ステップ)。
つまり、前述した図に示すように、制御領域では偏差が大きくなるほど、電磁弁41の開度を大きくして大出力の駆動力を用いて高速に苗植付装置Aを昇降させることにより昇降制御を短時間に収束させるものとなっているが、この制御領域と不感帯の領域との中間に形成された補償領域では偏差の値には無関係に、比例・積分制御によって求められる値より大きい値となるよう予め設定された値に電磁弁41の開度を設定することで電磁弁41のスプールを迅速に作動させて応答性の良い制御を可能にするばかりで無く、苗植付装置Aの昇降を、特に上昇制御時に充分な駆動力を作用させることで駆動力不足を解消して応答性の良い昇降制御を可能にするものとなっている。
【0021】
〔別実施の形態〕
本発明では制御域で電磁弁に対して供給する電流値を求めるに、比例制御に基づくものであって良く、積分制御に基づくものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】田植機の全体側面図
【図2】接地フロートの側面図
【図3】制御系のブロック回路図
【図4】自動昇降制御のフローチャート
【図5】偏差とソレノイドに供給される電流値との関係をグラフ化した図
【符号の説明】
3 走行機体
8 アクチュエータ
25 センサ
36 設定器
37 制御装置
41 制御弁
A 対地作業装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行機体に対してアクチュエータの作動で昇降自在に対地作業装置を支持すると共に、対地作業装置と圃場面との距離を計測するセンサと、対地作業装置の対圃場面高さを設定する設定器とを設け、この設定器で設定される目標値とセンサで計測される値とが合致する側に前記アクチュエータを駆動して対地作業装置の昇降を行う制御装置を備えた水田作業機に関し、詳しくは、昇降開始時の反応の良い制御を可能にする技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のように構成された技術として特開平9‐154341号公報に示されるものが存在し、この従来例では苗植付装置を駆動昇降する油圧シリンダに対する電磁比例制御弁を備え、対地高さ検出手段の検出結果と、目標とする所定高さとの偏差に正比例した目標電流の昇電流を行いながら電磁比例制御弁に供給すると共に、偏差が小さい場合には供給開始時点の電流値を大電流側にずらすように制御形態が設定されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来例では、苗植付装置の上昇開始時には電磁比例制御弁の開度を大きい側に変位させることで、電磁比例制御弁の応答性を向上させるものとなっている。しかし、水分を含んだマット状苗を載置することで重量化しやすい苗植付装置を上昇させる際の制御を考えると、苗植付装置の重量ばかりで無く、苗植付装置の静慣性の作用によって苗植付装置の上昇開始に遅れを生じ易いものとなっており、従来例のように電磁比例制御弁の応答性を向上させただけでは上昇開始時の駆動力が不足して制御遅れが発生することも想像できる。
【0004】
本発明の目的は、応答性の良い制御を行うと同時に、対地作業装置の上昇を充分な駆動力で行って制御遅れを発生し難い水田作業機を合理的に構成する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の特徴(請求項1)は冒頭に記載したように、走行機体に対してアクチュエータの作動で昇降自在に対地作業装置を支持すると共に、対地作業装置と圃場面との距離を計測するセンサと、対地作業装置の対圃場面高さを設定する設定器とを設け、この設定器で設定される目標値とセンサで計測される値とが合致する側に前記アクチュエータを駆動して対地作業装置の昇降を行う制御装置を備えた水田作業機において、前記設定器で設定される目標値を基準にして所定幅の不感帯と、この不感帯から外方の域に補償領域と、この補償領域から外方の域に制御領域とを設定し、目標値とセンサで計測される値との偏差が前記不感帯内にあればアクチュエータの駆動を、アクチュエータの駆動停止状態が維持される範囲内で偏差に比例した制御指令を出力して停止状態とし、前記偏差が前記補償領域にあれば予め設定された大きさの出力でアクチュエータを駆動し、前記偏差が前記制御領域にあれば偏差が大きくなるほどアクチュエータの出力を高めて前記アクチュエータを高速で作動させるよう前記制御装置の制御動作が設定されている点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
【0006】
本発明の第2の特徴(請求項2)は請求項1において、前記アクチュエータが油圧シリンダで構成されると共に、前記制御装置が油圧シリンダに対する電磁操作型の制御弁の開度を設定自在に構成され、又、前記偏差が前記制御領域にある場合には偏差に比例して制御弁の開度を設定し、前記偏差が前記補償領域にある場合には制御弁を予め設定された開度に維持するよう前記制御装置の制御動作が設定されている点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
【0007】
本発明の第3の特徴(請求項3)は請求項1又は2において、前記制御装置が、前記偏差が前記制御領域にある場合には比例・積分動作型にアクチュエータを制御するよう制御動作が設定されている点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
【0008】
〔作用〕 上記第1の特徴によると、対地作業装置の昇降が停止した状態からセンサで計測される値が不感帯から外方の域に達し、その値が補償領域にある場合には、偏差が小さいものであるに拘わらず、予め設定された大きさの出力でアクチュエータを駆動するので、例えば、この出力を対地作業装置の重量に抗して充分な速度で上昇させ得る程度に設定するだけで、制御遅れに陥ることなく応答性の良い昇降制御を可能にするものとなり、又、この補償域の外側に制御領域が形成されているので、偏差が制御領域にあれば偏差が大きくなった場合でも適正な速度で対地作業装置の昇降を行って昇降作動を短時間のうちに収束できるものとなる。
また、前記不感帯では、アクチュエータの駆動停止状態が維持される範囲内で偏差に比例した制御指令を出力して停止状態としているので、より一層、応答性を向上させることができる。
【0009】
上記第2の特徴によると、対地作業装置の昇降が停止した状態からセンサで計測される値が不感帯から外方の域に達し、その値が補償領域にある場合には、制御弁を予め設定された開度に維持するよう決まった値の電流を供給することになるので、例えば、この電流値を制御弁のスプールが迅速に作動し得る値に設定しておくだけで制御弁の応答性が向上するばかりでなく、油圧シリンダに対して充分な圧力の作動油を供給して対地作業装置を充分な速度で上昇させ得るものとなり、制御遅れに陥ることなく応答性の良い昇降制御を可能にするものとなる。又、偏差が制御領域にあれば偏差が大きいほど制御弁に対する電流値を増大させ、更に高速で対地作業装置の昇降を行って短時間のうちに昇降制御を収束できるものとなる。
【0010】
上記第3の特徴によると、偏差が制御領域にある場合には比例・積分制御によって制御が行われるので、この域では応答性の良い制御が可能となる。
【0011】
〔発明の効果〕 従って、対地作業装置の上昇を開始する際には充分な駆動力で上昇を行って制御遅れやオーバシュートを発生し難く、応答性の良い昇降制御を行う水田作業機が合理的に構成されたのである(請求項1)。又、制御弁に対する制御電流の設定だけで、昇降作動開始の時点で偏差が小さくとも、制御弁ばかりで無く対地作業装置のステップ応答性が向上して制御遅れが解消されるものとなり(請求項2)、又、対地作業装置の昇降時には応答性の良い制御を可能にするものとなった(請求項3)。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、ステアリング操作される駆動型の前車輪1、及び、駆動型の後車輪2を備えた走行機体3の前部にエンジン4を搭載すると共に、この走行機体3の後部にエンジン4からの動力が伝えられる静油圧式の無段変速装置5、及び、ミッションケース6を配置し、又、走行機体3の中央部に運転座席7を配置し、走行機体3の後端部に対し油圧シリンダ8(アクチュエータの一例)で駆動昇降するリンク機構9を介して対地作業装置としての苗植付装置Aを連結して水田作業機としての乗用型の田植機を構成する。
【0013】
前記運転座席7の右側部に苗植付装置Aの昇降制御と植付クラッチ(図示せず)の入り切り操作とを行う昇降レバー10を備え、又、機体前部位置にはステアリングハンドル11を備えている。尚、前記植付クラッチは、前記ミッションケース6に内蔵され、このミッションケース6から苗植付装置Aに対して動力を伝える伝動軸12が決まった回転位相にある場合にのみ切り操作を許容して苗植付装置Aの植付アーム(後述する)が圃場との接触を回避した姿勢で動力を遮断するよう構成されている。
【0014】
苗植付装置Aはマット状苗Wを載置する苗載せ台13、前記伝動軸12からの動力が伝えられる伝動ケース14、この伝動ケース14からチェーンケース15を介して伝えられる動力で回転するロータリケース16、このロータリケース16に一対ずつ備えられた植付アーム17、複数の整地フロート18(接地フロートの一例)夫々を備えて複数条植用に構成されると共に、該苗植付装置Aの後端位置には施肥装置Bを備え、作業時には苗載せ台13に載置されたマット状苗Wの下端から苗を植付アーム17が1株ずつ切出して圃場面Sに植え付けると同時に、植付けた苗の近傍の圃場面下に施肥装置Bで肥料を供給するよう構成されている。
【0015】
前記複数の整地フロート18は左右方向での中央側のものを感知フロート18Aに構成してあり、この感知フロート18Aは図2に示すように、前記苗植付装置Aに横向き姿勢の軸芯周りで回動自在に支持された植付深さ調節軸21から後方に延設した支持アーム22の後端位置に対して横向き姿勢の軸芯P周りで揺動自在に支持され、植付深さ調節軸21から前方に向けて形成したリンク部材23に対して該フロート18Aの前部を支持することで該感知フロート18Aを横向き姿勢の軸芯P周りでの揺動自在に構成してある。
【0016】
支持アーム22に対して横向き姿勢の操作軸24周りで揺動自在にポテンショメータ型のフロートセンサ25を支持し、この操作軸24に備えた操作アーム24Aと感知フロート18Aに固定した固定アーム26との間に操作ロッド27を備え、植付深さ調節軸21に固設した部材28とフロートセンサ25を支持する部材とに亘ってロッド29を備えることで植付深さ調節軸21の回動操作時に操作軸24周りでのフロートセンサ25本体の姿勢を変更して感知フロート18の苗植付装置Aに対する揺動姿勢を一定に維持する限りはフロートセンサ25本体に対する操作アーム24Aの姿勢を維持するよう構成されている。又、植付深さ調節軸21に固設された調節アーム30を介して上下方向に揺動操作される部材31と感知フロート18Aの前部との間に圧縮コイル型の感知バネ32を介装することで、植付深さ調節軸21の回動操作時にもセンサフロート18の苗植付装置Aに対する揺動姿勢を一定に維持する限りは感知バネ32の付勢力を変化させないように構成されている。
【0017】
図3に示すように、運転座席7の前方位置にはダイヤル35で操作されるポテンショメータ型の感度設定器36が配置され、この感度設定器36を「敏」の側に操作するほど感知フロート18Aの目標姿勢前下がり側に設定して感知バネ32から感知フロート18Aに作用する付勢力の低減を図って該感知フロート18Aの敏感な揺動を許すものとなっており、「鈍」の側に操作するほど感知フロート18Aの目標姿勢を前上がり側に設定して感知バネ32から感知フロート18Aに作用する付勢力の増大を図って該感知フロート18Aの揺動を鈍らせるものとなっている。
【0018】
図3に示すように、該田植機の制御系が構成され、この制御系ではマイクロプロセッサ(図示せず)を備えた制御装置37に対して前記昇降レバー10の基端に備えた昇降レバーセンサ38からの信号、前記感度設定器36からの信号、前記フロートセンサ25からの信号が入力する系が形成されると共に、前記油圧シリンダ8を制御する電磁弁41(制御弁の一例)を制御する出力系が形成されている。又、電磁弁41はソレノイドに供給される電流値の値を増大させるほど該電磁弁41の開度を大きくする電磁比例型の特性のものが用いられている。又、制御装置37は電磁弁41のソレノイドに対して間歇信号を出力すると共に、この間歇信号のデューティ比の設定でPWM式に該ソレノイドに供給される電力の電流値を調節し得るものとなっている。
【0019】
苗植付装置Aを昇降制御する自動昇降制御ルーチンが図4のフローチャートに示すよう設定されている。つまり、感度設定器36からの信号を入力し、この入力信号の値に基づいて、制御目標を設定すると共に、この制御目標を基準にして不感帯の領域と補償領域と制御領域とを設定する(#101、#102ステップ)。又、これら不感帯の領域と補償領域と制御領域とは図5に示す如く制御目標を基準にして苗植付装置Aを上昇させる側(同図で右側)と苗植付装置Aを下降させる側(同図で左側)とに形成されるものであり、これら何れの領域にフロートセンサからの信号が存在するかによって電磁弁41のソレノイドに供給される電流値が求められるよう制御特性が設定されている。
【0020】
次に、フロートセンサからの信号を入力して、このフロートセンサ25からの信号値が不感帯の領域内に存在する場合には、電磁弁41の開度を設定する特性を図5に示すように、不感帯の領域でも偏差に比例した微弱な電流を電磁弁のソレノイドに対して供給することで電磁弁41の応答性を向上させるようにしてい る。又、補償領域に存在する場合には設定された値に電磁弁41の開度を得る電流値の電力を電磁弁41のソレノイドに供給し、制御領域に存在する場合には制御目標とフロートセンサ25からの信号値との偏差に基づく比例・積分制御によって求められる電流値の電力を電磁弁41の上昇側あるいは下降側のソレノイドに対して供給するものとなっている(#103〜#10ステップ)。
つまり、前述した図に示すように、制御領域では偏差が大きくなるほど、電磁弁41の開度を大きくして大出力の駆動力を用いて高速に苗植付装置Aを昇降させることにより昇降制御を短時間に収束させるものとなっているが、この制御領域と不感帯の領域との中間に形成された補償領域では偏差の値には無関係に、比例・積分制御によって求められる値より大きい値となるよう予め設定された値に電磁弁41の開度を設定することで電磁弁41のスプールを迅速に作動させて応答性の良い制御を可能にするばかりで無く、苗植付装置Aの昇降を、特に上昇制御時に充分な駆動力を作用させることで駆動力不足を解消して応答性の良い昇降制御を可能にするものとなっている。
【0021】
〔別実施の形態〕
本発明では制御域で電磁弁に対して供給する電流値を求めるに、比例制御に基づくものであって良く、積分制御に基づくものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】田植機の全体側面図
【図2】接地フロートの側面図
【図3】制御系のブロック回路図
【図4】自動昇降制御のフローチャート
【図5】偏差とソレノイドに供給される電流値との関係をグラフ化した図
【符号の説明】
3 走行機体
8 アクチュエータ
25 センサ
36 設定器
37 制御装置
41 制御弁
A 対地作業装置
Claims (3)
- 走行機体に対してアクチュエータの作動で昇降自在に対地作業装置を支持すると共に、対地作業装置と圃場面との距離を計測するセンサと、対地作業装置の対圃場面高さを設定する設定器とを設け、この設定器で設定される目標値とセンサで計測される値とが合致する側に前記アクチュエータを駆動して対地作業装置の昇降を行う制御装置を備えた水田作業機であって、
前記設定器で設定される目標値を基準にして所定幅の不感帯と、この不感帯から外方の域に補償領域と、この補償領域から外方の域に制御領域とを設定し、
目標値とセンサで計測される値との偏差が前記不感帯内にあればアクチュエータの駆動を、アクチュエータの駆動停止状態が維持される範囲内で偏差に比例した制御指令を出力して停止状態とし、前記偏差が前記補償領域にあれば予め設定された大きさの出力でアクチュエータを駆動し、前記偏差が前記制御領域にあれば偏差が大きくなるほどアクチュエータの出力を高めて前記アクチュエータを高速で作動させるよう前記制御装置の制御動作が設定されている水田作業機。 - 前記アクチュエータが油圧シリンダで構成されると共に、前記制御装置が油圧シリンダに対する電磁操作型の制御弁の開度を設定自在に構成され、又、前記偏差が前記制御領域にある場合には偏差に比例して制御弁の開度を設定し、前記偏差が前記補償領域にある場合には制御弁を予め設定された開度に維持するよう前記制御装置の制御動作が設定されている請求項1記載の水田作業機。
- 前記制御装置が、前記偏差が前記制御領域にある場合には比例・積分動作型にアクチュエータを制御するよう制御動作が設定されている請求項1又は2記載の水田作業機。
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