JP3558024B2 - 団粒構造安定化材、その製造方法、及び土壌の団粒化方法 - Google Patents

団粒構造安定化材、その製造方法、及び土壌の団粒化方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐水性をもつ団粒構造を土壌に付与する団粒構造安定化材、その製造方法、及び土壌の団粒化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
学校等のグラウンド、各種競技施設、あるいは公園等の屋外施設の土壌は、一般的に次のような性質を有することが好ましい。
【0003】
(1)透水性(水はけ)がよいこと。
(2)適度な弾力性を有すること。
(3)適度な保水性を有すること。
【0004】
上記(1)の性質により、降雨後にぬかるみが生じず、短時間で施設が使用可能となる。また、(2)の性質により、運動時に地面から受ける衝撃により身体に故障を生じたり、転んだ際にケガをするのを防止することができる。さらに、(3)の性質により、降雨の少ない時期にも土埃りが立ちにくくなり、施設使用者が快適に使用できるのみならず、周辺地域への飛散も避けることができる。
【0005】
上記(1)〜(3)のような性質は、表層土が団粒構造を有する場合に得ることができる。団粒構造とは、土壌を構成する粒子が集まってミリ単位の塊を形成し、塊相互の間に隙間(気相、水相)が形成された状態をいう。これに対し、土を構成する粒子が上記のような塊を形成せず、相互に密に接触して固結し、粒子間に隙間がほとんど形成されていない状態を単粒構造といい、土壌が団粒構造から単粒構造に変化することを劣化という。劣化した土壌を掘削し、攪拌するだけでも、団粒構造は形成されるが、そのような団粒構造は一般的には非常に不安定であり、気象条件等にもよるが、長くとも数ヶ月の内には再び劣化してしまうのが通常である。
【0006】
従来の屋外施設は、外部で採取し、運搬してきた真砂土等の自然土をそのまま敷き詰めたものがほとんどであったため、施工当初は、土壌が団粒構造を有しており、透水性、弾力性、保水性共に優れるものの、降雨や積雪等に頻繁にさらされているうちに表層土が劣化し、上記(1)〜(3)の性質を失うという問題があった。
【0007】
従って、良好な状態を維持しようとすれば、一定期間毎に改修工事が必要となるが、上記のような自然土を用いた屋外施設の改修工事には、膨大な費用がかかるのみならず、様々な問題が伴うことになる。
【0008】
まず、掘削して廃棄される劣化土は産業廃棄物として処理されるのであるが、その廃棄場所が大幅に不足しているのが現状である。一方で、良質な自然土は長年の採取で枯渇し、今日では極めて入手困難となっている。我が国は、国土が狭いために、これらの問題がすでに深刻となっているが、仮に良質な自然土や劣化土の廃棄場所が十分にあったとしても、自然土の採取や劣化土の廃棄は、一定限度を超えると必然的に自然破壊を引き起こすため、安易に行うべきではない。
【0009】
さらに、改修工事に際しては、ダンプカー等の大型車両が現場に頻繁に出入りし、その騒音や排気ガス等により付近の環境を悪化させ、住民に迷惑をかけるという問題もある。
【0010】
従って、施工当初の団粒構造を維持して、優れた透水性や弾力性を長く持続させることができれば、上記諸問題を解決、あるいは大幅に軽減することができ、自然環境の保全にも寄与することができる。
【0011】
ところで、上記のように当初は団粒構造を有していた表層土が劣化する主要な原因の一つは、表面又は地中2〜3cmのところに、シルト及び粘土の懸濁が堆積して、目詰まりを生じ、クラストを形成することであると考えられている。
【0012】
そのメカニズムは、八幡敏雄著「土壌の物理」(東大出版、1975年出版)によれば、次の通りである。
【0013】
すなわち、降り始めの雨滴は地面の表層に並ぶ土粒子の集合体をたたき、揺さぶりをかけるとともに、それを急速に水浸しにすることによってスレーキングを起こさせ、粒子相互の結合をゆるめる仕事をする(スレーキングというのは、乾いた土塊を急激に水に浸したとき、土塊の外側がいち早く飽和し、そのため内部に空気が閉じ込められ、その圧によって土塊が崩れる現象である)。引き続く雨滴は以後の打撃によって地表の表層に厚さの極めて薄い、やや目詰まりしたクラストをつくる。これが原因となって、侵入が少々衰え、地面に雨水がたまり気味になる。そこへ、さらに降ってくる雨滴が雨水と分散した土粒子とを混ぜ合わせる。こうして、そこに大部分の懸濁質がシルト・粘土であるところの懸濁水ができあがる。そして、それが細かい亀裂やクラストの薄い部分などから土壌層の内部へと流れ込んでいくものと考えられる。
【0014】
以上のことから、施工当初の土壌の団粒構造を長く保持するためには、団粒構造を耐水性にし、降雨等による水の影響を最小限にとどめることが重要であるのが分かる。
【0015】
土壌の団粒化方法やそのための土壌改良材は、これまでにも提案されているが、従来の方法では団粒化の状態にムラがあったり、団粒構造の持続性が不十分であったりして、実用化されているもので満足のいくものは未だないのが実状である。その理由の一つとして、理想的な団粒構造を形成することは実験室レベルでは比較的容易であるが、屋外施設の施工では大量の土壌の処理が要求され、設備や費用の面で様々な制約を受けることが挙げられる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、緻密でムラのない構造を有し、かつ降雨等によって水に接触しても容易には劣化せず持続性のある団粒構造、すなわち耐水性団粒構造を土壌に付与する方法を提供することを目的とする。また、それに用いられる団粒構造安定化材、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1の団粒構造安定化材の製造方法は、土壌に持続性のある団粒構造を付与するために用いられる団粒構造安定化材の製造方法であって、上記の課題を解決するために、以下の工程からなる;
(1)上水汚泥を脱水・乾燥して得られる脱水ケーキを解砕する工程
(2)工程(1)で得られた脱水ケーキ解砕物を、2個の電磁波振動機を有する団粒化篩選別機に投入し、これら2個の電磁波振動機の周波数を同一にすることにより共振を生じさせて共振により増幅された振動を前記脱水ケーキ解砕物に与えつつ、これを篩い選別することにより、粒径が所定値以下の団粒構造を有する安定化材原料を得る工程
(3)工程(2)で得られた安定化材原料を、粒径が所定値以下の多孔性材料と混合し、2本の回転翼が互いに平行に設けられ、かつ互いに逆方向に回転するようになされた混練機を用い、前記2本の回転翼を同一の回転数で回転させて共振を生じさせ、共振により増幅された振動を与えつつ混練する工程。
【0018】
程(1)で得られた脱水ケーキ解砕物は、必要に応じ、前記工程(2)の前又は工程(2)と同時に、マイクロプラズマ装置で照射する(請求項)。
【0019】
工程(3)で用いられる多孔性材料としては、粒径約5mm以下の多孔性砂を用いることができる(請求項)。
【0020】
請求項の団粒構造安定化材は、上記いずれかの方法により製造されたものである。
【0021】
請求項の土壌の団粒化方法は、以下の工程からなる;
(1)掘削土を2個の電磁波振動機を有する団粒化篩選別機に投入し、これら2個の電磁波振動機の周波数を同一にすることにより共振を生じさせて共振により増幅された振動を前記掘削土に与えつつ、これを篩い選別することにより、粒径が所定値以下の団粒構造土を得る
(2)工程(1)で得られた団粒構造土を、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法により製造された団粒構造安定化材と混合し、2本の回転翼が互いに平行に設けられ、かつ互いに逆方向に回転するようになされた混練機を用い、前記2本の回転翼を同一の回転数で回転させて共振を生じさせ、共振により増幅された振動を与えつつ混練する工程。
【0022】
また、掘削土は、必要に応じ、工程(1)の前又は工程(1)と同時に、マイクロプラズマ装置で照射する(請求項)。
【0023】
【発明の実施の形態】
1.団粒構造安定化材及びその製造方法
本発明の団粒構造安定化材は、上水(浄水)汚泥と多孔性材料から次のような工程により得られる。
【0024】
(1)上水汚泥の脱水・乾燥工程
上水汚泥とは、浄水場で原水に硫酸アルミニウムやポリ塩化アルミニウム等の凝集剤と凝集補助剤を添加して浮遊物を凝集・沈殿させたものである。
【0025】
この上水汚泥を、加圧等により脱水して脱水ケーキとし、これを天日乾燥等の手段によりさらに脱水・乾燥する。その後、好ましくは屋外に引きならし、太陽光に曝して、紫外線による滅菌(低温殺菌)及びさらなる乾燥を行う。
【0026】
脱水・乾燥後の脱水ケーキは、貯蔵庫に貯蔵し、必要量を適宜使用することができる。
【0027】
上記により得られた脱水ケーキは、解砕機等で適当な大きさに解砕した後、次の団粒化篩選別工程に供する。
【0028】
その際、好ましくは、マイクロプラズマ(遠赤外線)装置で数秒間照射し、約70〜80℃に達するまで加熱することにより、滅菌(高温殺菌)及び雑草種子滅去処理を行う。遠赤外線は浸透性に優れるので、短時間の照射で表面のみならず内部まで加熱でき、効果的な滅菌・種子滅去処理を行うことができる。この処理は、独立した工程として行ってもよいが、次に述べる団粒化篩選別工程と同時に行って工程を簡略化することもできる。
【0029】
(2)脱水ケーキの団粒化篩選別工程
次に、上記により得られた脱水ケーキ(解砕物、以下同様)を団粒化しつつ、篩い分ける。そのような処理は、例えば次のような団粒化篩選別機を用いることにより可能となる。
【0030】
図1は、団粒化篩選別機の模式側面図であり、図2は、同正面図である。
【0031】
図1に示すように、本装置は符号1〜3で表された3枚の篩を有し、符号4,5で表された2個の電磁波振動機によって全体が振動するようになされている。本装置は符号7〜9で表された合計4個のスプリング(1個は図示せず)を介して支持枠(図示せず)に取り付けられている。
【0032】
篩1〜3は、上方のものから下方のものへと順に網目が細かくなっており、それぞれ斜めに設けられている。従って、投入口6から投入された脱水ケーキは、篩1〜3によって大きい粒子から順に除外されてBに集められ、最終的に篩3を通過した粒子がAに集められる。
【0033】
Aに集められた粒子は次の混練団粒化工程に供され、除外されてBに集められた粒子は、解砕機で解砕した後、団粒化篩選別機に再度投入される。Bに集められる粒子は、解砕及び再投入する操作を繰り返し、脱水ケーキをなるべく有効に利用するのが好ましい。
【0034】
Aに集められ、次工程に供される粒子の好ましい粒径は、団粒構造安定化材の用途にもよるが、通常は3〜7mm以下であり、最も一般的には約5mm以下である。従って、篩1〜3の網目の形状及び大きさも、得ようとする粒子の用途及び粒径によって決定されるが、一例を挙げれば、篩1が35〜30mm角、篩2が30〜10mm角、篩3が10〜8mm角、2〜1mm角又は2mmハープ(長溝)である。
【0035】
なお、篩の数は上記の例では3枚であるが、これに限定されない。具体的には、上記した篩効果と団粒化効果が共に得られる範囲で適宜変更することができるが、少なすぎると上記効果が十分に得られず、多すぎると作業効率が低下するので一般的には3〜5枚の範囲が好ましい。
【0036】
上記のような構成を有する団粒化篩選別機においては、脱水ケーキが振動を受けて篩を順に通過する間に団粒化が進行する。発明者が繰り返し実験を行った結果、特に、2個の電磁波振動機の周波数を同一にした時に、良好な状態の団粒構造が得られることが分かった。これは2個の振動機間で共振が生じて振幅が増大し、結合を促進するためであると考えられる。
【0037】
(3)混練団粒化工程
次に、上記で得られた安定化材原料を、所定粒径以下の多孔性材料と所定の割合で混合し、混練機で混練する。
【0038】
多孔性材料は、上記により得られた団粒構造の安定化材原料が相互に付着し合って単粒構造に戻るのを防止する働きをする。多孔性材料の例としては、砂(但し、多孔性のもの)、軽石、シラス等が挙げられる。中でも安価かつ入手が容易な点で、粒径調整した洗い砂が好適に用いられる。
【0039】
多孔性材料の粒径は、団粒構造安定化材の用途により異なるが、通常は3〜7mm以下であり、最も一般的には約5mm以下である。
【0040】
上記安定化材原料と多孔性材料は、通常はベルトコンベヤでそれぞれ搬送して混練機に供給する。従って、それぞれの供給量(ベルトコンベヤの速度)を配合処方に従いインバータ制御することにより正確に配合することができる。配合割合は、上水汚泥の成分、水分含量、多孔性材料の種類等により異なるが、おおよその目安としては、浄水汚泥100重量部に対して、多孔性材料10〜40重量部の範囲である。
【0041】
本発明で用いられる混練機は、例えば、2本の回転翼が平行に設けられ、互いに逆方向に回転するようになされたものである。このような混練機で混練しつつ、振動を与えることにより、団粒化がさらに進行する。特に、これら2本の回転翼を同一の回転数で回転させた場合に団粒化がより促進される。これも共振現象により振動が増幅されるためであると考えられる。
【0042】
上記篩選別工程及び混練工程において振動を受けて起こる団粒化の過程には、複雑な機構が絡んでいるはずであるが、主として、次のような反応が起こっていると考えられる。
【0043】
脱水ケーキは、単粒構造をなす劣化土と同様の凝集状態にあるが、これは脱水ケーキ中の粘土の主成分である二酸化珪素とアルミナが水分子を介して相互に結合しているためと考えられる。この凝集状態を破壊して、種々の粒径の粒子となったものを篩い分けるのであるが、その間、これに連続的な振動を加えることにより、やはり水分子の介在により二酸化珪素とアルミナとが徐々に結合し、粘土粒子は内部に気相(空隙)を含んだ塊まり、すなわち団粒構造となる。ただし、この段階の団粒構造は耐水性をもたず、例えば圧力を加えることによって比較的容易に破壊されるものである。
【0044】
一方、脱水ケーキ中に存在する酸化カルシウムは水和反応により消石灰に変化し、Ca2+イオンとOHイオンとに解離する。このCa2+イオンが粘土表面に吸着し、粘土粒子同士の結合、団粒化をさらに促進させる。
【0045】
次に粘土粒子表面に吸着したCa2+イオンが粘土中に存在する他の陽イオン(Na、K等)と交換するイオン交換反応が起こる。
【0046】
さらに、粘土を構成する上記二酸化珪素及びアルミナが、イオン交換反応により遊離したCa2+と反応し、耐水性のあるケイ酸カルシウム水和物、アルミン酸カルシウム水和物、ケイ酸カルシウムアルミネート水和物を生じる(ポゾラン反応)ことにより、水にさらされても団粒構造が保持される、耐水性団粒構造安定化材が得られると考えられる。
【0047】
以上述べた方法により得られる本発明の団粒構造安定化材は、ムラのない団粒構造を有し、耐水性に優れたものとなる。これは、上記のように二段階の工程を経て団粒化を行うためであり、その際に十分な振動が与えられるためであると考えられる。上記団粒構造の形成に関わる各反応は固相反応であるため、反応の促進には十分な振動を与えることが必要だからである。そして、上記したような電磁波振動の共振が、十分な振動を与える上で有効であると考えられる。
【0048】
2.土壌の団粒化方法
本発明の土壌の団粒化方法は、掘削土を団粒化篩選別工程と混練団粒化工程との二段階で団粒化することを特徴とする。
【0049】
(1)掘削土の団粒化篩選別工程
本発明で用いる掘削土とは、通常は、施工現場あるいはその周辺から掘削した単粒構造を有する劣化土である。
【0050】
掘削土は、好ましくは、上記脱水ケーキと同様に、マイクロプラズマ装置で照射して加熱することにより、滅菌及び雑草種子滅去を行う。
【0051】
掘削土の団粒化篩選別は、上記脱水ケーキの団粒化篩選別と同様にして行うことができる。団粒化篩選別機としては、上記の図1を用いて説明したものが使用できる。団粒化篩選別によって得る団粒構造土粒子の粒径は、その用途にもよるが、通常は約3〜7mm以下とし、最も一般的には約5mm以下とする。
【0052】
(2)混練団粒化工程
工程(1)で得られた所定の粒径以下の団粒構造掘削土を団粒構造安定化材と混合し、混練機で混練して団粒化する。団粒構造安定化材としては、好ましくは上記工程により得られる本発明の団粒構造安定化材を用いる。団粒構造掘削土と団粒構造安定化材は、通常は、上記と同様、ベルトコンベヤで搬送して混練機に供給し、それぞれの供給量を配合処方に従いインバータ制御する。配合割合は、主に掘削土の成分、水分含量等により決められるが、おおよその目安としては、掘削土100重量部に対して、団粒構造安定化材10〜40重量部の範囲である。
【0053】
混練機は、上記団粒構造安定化材の製造で述べたのと同様のものを用いることができ、好ましくは2本の回転翼の回転数を同一にする。
【0054】
上記した本発明の団粒化方法では、次のような機構で耐水性団粒構造が形成されると考えられる。
【0055】
まず、団粒化篩選別工程で、単粒構造をなす土塊が振動を受けて分解され、それと共に水分子の介在により土粒子中の二酸化珪素とアルミナとの結合が進み、団粒構造が形成される。
【0056】
次に混練団粒化工程で、団粒構造安定化材を混合して、混練しつつ振動を与えることにより、上記により得られた団粒構造土と団粒構造安定化材とが遊離のCa2+等を介して結合し、上記と同様のイオン交換反応及びポゾラン反応を経て、耐水性団粒構造土が得られると考えられる。
【0057】
上記により得られる本発明の団粒構造土は、ムラのない団粒構造を有し、耐水性に優れたものとなる。これは上記団粒構造安定化材と同様に振動を与えつつ、二段階の団粒化工程を経て得られるためであると考えられる。
【0058】
しかも、本発明の団粒構造安定化材を用いた場合、団粒構造安定化材自体も耐水性団粒構造を有するので、これと掘削土の土粒子とが一緒になってさらに高次の耐水性団粒構造を形成することにより、透水性、弾力性、保水性等の諸性質が極めて良好な土壌を得ることが可能となる。
【0059】
なお、上記した団粒構造安定化材の製造方法及び土壌の団粒化方法の一連の工程は、マイクロプラズマ装置、団粒化篩選別機、混練機等の必要な装置を適当な位置に設置し、各装置間をベルトコンベアで接続してなる移動式のプラントで連続的に行うことができる。従って、施工現場にそのようなプラントを設置し、掘削した土をその場で処理することにより、良質の団粒構造土を容易に得ることができる。よって、劣化土の廃棄問題、良質な自然土の枯渇問題、施工の際の周辺地域の騒音問題等の解決手段としても極めて有効である。
【0060】
【実施例】
1.団粒構造安定化材の製造
加圧脱水したのち天日乾燥した上水汚泥(脱水ケーキ)を解砕機(大平洋機工(株)製、ミニファイザー)で解砕し、ホッパーに投入して、マイクロプラズマ装置(エコマック型マイクロプラズマ)付の団粒化篩選別機(荏原工機(株)製、エコマック・モノレイア型)で遠赤外線照射しながら団粒化篩選別し、粒径5mm以下の安定化材原料を得た。
【0061】
上記安定化材原料を粒径5mm以下の粒度調整洗い砂と混合し、混練機(エコマック・モノレイア型)で混練し、団粒構造安定化材を得た。
【0062】
上記において、上水汚泥と洗い砂をそれぞれ運搬するベルトコンベアのスピードをインバータ制御により調整し、両者の配合比率が重量比で100:20となるようにした。
【0063】
2.土壌の団粒化
山東産真砂土をホッパーに投入して、上記マイクロプラズマ装置付の団粒化篩選別機で遠赤外線照射しながら団粒化篩選別し、粒径5mm以下の団粒構造掘削土を得た。
【0064】
この団粒構造掘削土を上記により得られた団粒構造安定化材と混合し、上記混練機で混練して、耐水性団粒構造結合土を得た。
【0065】
上記において、団粒構造掘削土と団粒構造安定化材をそれぞれ運搬するベルトコンベアのスピードをインバータ制御により調整し、両者の配合比率が重量比で80:20となるようにした。
【0066】
本発明による団粒構造結合土の耐水性を評価するために、以下の試験を行った。
【0067】
[実施例1]
上記により得られた団粒構造結合土を縦15mm、横15mm、高さ10mmの型に入れ、突き固めて型から取り出して複数の試料を形成し、それらの重量を測定して平均値を求めた。
【0068】
上記試料を金網に載せて水に漬け、所定の時間毎に引き上げて崩壊しないで残った部分をフライパンで加熱して乾燥させ、重量を測定した。結果を表1に示す。
【0069】
[比較例1]
上記山東産真砂土のみを用いて実施例1と同様にして試料を作成した。この試料につき、実施例1と同様にして水に漬けて崩壊性を調べたところ、瞬時に全体が崩壊するのが認められた。
【0070】
[比較例2]
上記で用いた脱水ケーキ解砕物を手作業で篩い分け、粒径5mm以下のものを得た。これを上記山東産真砂土と混合し、混練機で混練して団粒構造結合土を得た。
【0071】
得られた団粒構造結合土を用いて実施例1と同様にして試料を作成した。この試料につき、実施例1と同様にして水に漬けた場合の崩壊性を調べた。結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
Figure 0003558024
【0073】
なお、実施例1のものについては、24時間経過後においても、10分経過後とほぼ同じ重量を保持していることが確認された。
【0074】
【発明の効果】
請求項1の製造方法によれば、ムラのない構造を有し、耐水性に優れた団粒構造安定化材が得られる。
【0075】
請求項の製造方法によれば、脱水ケーキ中の雑菌が滅菌され、また雑草種子の生育可能性を絶つことができる。
【0076】
請求項の製造方法によれば、団粒構造安定化材の団粒構造をより安定化し、保水性も高めることができる。
【0077】
請求項の団粒構造安定化材によれば、透水性、弾力性、保水性等の諸性質に優れ、水によって劣化しない団粒構造土が得られる。
【0078】
請求項の土壌の団粒化方法によれば、ムラのない構造を有し、耐水性に優れた団粒構造土が得られる。
【0079】
請求項の団粒化方法によれば、掘削土中の雑菌が滅菌され、また雑草種子の生育可能性を絶つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】団粒化篩選別機の模式側面図である。
【図2】団粒化篩選別機の模式正面図である。
【符号の説明】
1〜3……篩
4,5……電磁波振動機
6 ……投入口
7〜9……スプリング

Claims (6)

  1. 耐水性をもつ団粒構造を土壌に付与するために用いられる団粒構造安定化材の製造方法であって、以下の工程からなることを特徴とする製造方法。
    (1)上水汚泥を脱水・乾燥して得られる脱水ケーキを解砕する工程
    (2)工程(1)で得られた脱水ケーキ解砕物を、2個の電磁波振動機を有する団粒化篩選別機に投入し、これら2個の電磁波振動機の周波数を同一にすることにより共振を生じさせて共振により増幅された振動を前記脱水ケーキ解砕物に与えつつ、これを篩い選別することにより、粒径が所定値以下の団粒構造を有する安定化材原料を得る工程
    (3)工程(2)で得られた安定化材原料を、粒径が所定値以下の多孔性材料と混合し、2本の回転翼が互いに平行に設けられ、かつ互いに逆方向に回転するようになされた混練機を用い、前記2本の回転翼を同一の回転数で回転させて共振を生じさせ、共振により増幅された振動を与えつつ混練する工程
  2. 前記工程(1)で得られた脱水ケーキ解砕物を、前記工程(2)の前又は工程(2)と同時に、マイクロプラズマ装置で照射することを特徴とする、請求項1に記載の団粒構造安定化材の製造方法。
  3. 前記工程(3)で用いられる多孔性材料が粒径約5mm以下の多孔性砂であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の団粒構造安定化材の製造方法。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の方法により製造された団粒構造安定化材。
  5. 以下の工程からなることを特徴とする、土壌の団粒化方法。
    (1)掘削土を2個の電磁波振動機を有する団粒化篩選別機に投入し、これら2個の電磁波振動機の周波数を同一にすることにより共振を生じさせて共振により増幅された振動を前記掘削土に与えつつ、これを篩い選別することにより、粒径が所定値以下の団粒構造土を得る工程
    (2)工程(1)で得られた団粒構造土を、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法により製造された団粒構造安定化材と混合し、2本の回転翼が互いに平行に設けられ、かつ互いに逆方向に回転するようになされた混練機を用い、前記2本の回転翼を同一の回転数で回転させて共振を生じさせ、共振により増幅された振動を与えつつ混練する工程
  6. 前記掘削土を、前記工程(1)の前又は工程(1)と同時に、マイクロプラズマ装置で照射することを特徴とする、請求項に記載の土壌の団粒化方法。
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