JP4824835B1 - 浄水発生土ケーキの破砕方法及びその破砕機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】回転刃3が固定刃10とクリアランスtをもって回転し、ローラ式破砕機のような衝撃せん断作用による破砕ではなく、回転力による衝撃破砕とその破砕後の固定刃との衝撃による再破砕という2段階的な破砕であるため、ローラ式破砕機に比べて粉状化が抑制される。また、破砕用の衝撃力が小さいことは、騒音も少なく、粉塵も少ないこととなり、ローラ式破砕機に比べれば、作業環境も良いものとなる。固定刃と回転刃の間を通り抜けた破砕ケーキkは所要孔径のスクリーン8を通過する。このとき、回転刃の回転数と前記クリアランスを制御して、所要粒度のケーキ破砕粒を得る。
【選択図】図7
Description
天日乾燥方式は、乾燥池に上記汚泥を投入して太陽熱によって乾燥させるものであって、乾燥後、人力又は機械力によるシャベルでもって掻き出される。このため、小さくても、10cm程度のブロックケーキとなる。
短時間加圧脱水方式は、脱水機の圧搾室内において、汚泥圧入→圧搾→脱水ケーキ剥離の工程を1バッチとして、そのバッチプロセスを繰り返して行い、ケーキの形状は厚さ:5mmの板状の細切れとして生産される。
長時間加圧脱水方式は、圧搾室内への汚泥圧入→同圧搾→同脱水剥離の工程において多量の汚泥を圧入し、時間をかけて圧搾する(圧搾室の厚みを薄くする)ことで、厚さ3cm以上の板状のケーキが生産される。このケーキは、厚いことから、10cm以上のブロックケーキとなる。
このため、主に、植物育成培地等の有価物として、農業、園芸、緑化等の分野での利用が高まっている(特許文献2〜6参照)。
これに対し、天日乾燥方式や長時間加圧脱水方式による浄水発生土ケーキ(以下、「ブロックケーキ」と言う。)は、10cm程度以上のブロック状であるため、植物育成培地等の有価物としては大きく、現状では、主に、処分場等に廃棄(埋め立て処分)されている。
しかし、今日、処分場の確保が困難となり、ブロックケーキも浄水発生土に変わりがないため、その有効利用が叫ばれている。このため、そのブロックケーキを植物育成培地とすべく、そのケーキを粉砕機により所要の粒径にすることが試みられている(特許文献2段落0013、特許文献7参照)。
これに対し、天日ケーキは、天日(太陽熱)によって脱水するため、大きな施設スペースを必要とするが、大都市以外の浄水場にはかなりのスペースがあるため、そのスペースの確保を度外視すれば、電力を不要とすることから、ランニングコストも安く、また、処理施設の耐久年数も長い利点がある。
つぎに、その性状の浄水発生土の破砕は衝撃によって容易に行われ、その衝撃力が大きければ、破砕粉も多くなって舞い上がることとなる(粉塵が多くなる)。
このブロックケーキの破砕方法は、ロール破砕機のような衝撃せん断作用による破砕ではなく、回転力による衝撃破砕とその破砕後の固定刃との衝撃及び両刃によるせん断による再破砕という2段階的な破砕であるため、ロール破砕機に比べて粉状化が抑制される。このとき、特に、天日ケーキは、含水量が高いため、衝撃による粉状化も抑制される。
また、破砕用の衝撃力が小さいことは、騒音も少なく、粉塵も少ないこととなり、ロール破砕機に比べれば、作業環境も良いものとなる。
また、この構成では、固定刃のみの調整によって、両者のクリアランス調整が極めて容易であるのに対し、ロール破砕機のような対の回転刃の場合には、回転刃への回転伝達手段の調整が必要等とそのクリアランス調整は容易ではない。
また、その破砕機に投入されるブロック状ケーキを、一方に対し他方の含水率が2倍以上あって、両者の重量比が1:1であると、含水率の低いケーキ粒の表面に含水率の高いケーキがコーティングされて、球状に近いケーキ粒となる。
その高低含水率の各ケーキは、天日ケーキにあっては、その乾燥日数の調整で行うことができ、加圧式脱水ケーキにあってはその加圧力を調整したり、加圧室に投入する汚泥量等によって調整したりする。
また、天日ケーキにあっては、天日乾燥池に、まず、浄水発生土汚泥を打ち込み、ある程度乾燥してから、つぎに、浄水発生土汚泥を順次打ち込んで乾燥させた複数層からなるケーキとすれば、含水率の異なるケーキ層を容易に得ることができる。
このようにすれば、回転刃と固定刃によるせん断作用が引き切りとなってさらに粉状化が抑制される。
また、固定刃の進退構造としては、例えば、その固定刃を支持ブロックによって進退可能に設け、その固定刃は、前記支持ブロックの摺動溝に移動自在に嵌って、その嵌合側面は外開きの斜面となっており、かつ、固定刃の幅方向中央に前記支持ブロックにねじ込まれた前記進退方向に長い調整ボルトが回転自在に係止されている構成を採用する。
通常、一本のボルトによる移動であると、その移動が円滑になされない恐れがあるが、この構成であると、固定刃と支持ブロックの嵌合側面が外開きの斜面となって摺動面が広く取られているため、固定刃の移動時の振れが抑えられ、固定刃の幅方向中央でのボルトによる進退でも円滑な進退が担保されている。また、前記嵌合側面が外開きの斜面となっていることにより、ブロックに対し、固定刃は上方に持ち上げることによって取外すことができる。このため、この構成は、固定刃にとって振れがない進退を担保しつつ取換えが容易であると言う利点を有する。
なお、その回転刃3の刃先は、平面視、上記のように徐々に後退する形状であったり、ノコギリ刃状であったり、正弦波状であったり、軸方向と平行であったり、と破砕効率等を考慮して適宜に決定することができる。この破砕機Aにおける回転刃3の回転外径はφ210mm、同軸方向長さ(12枚の刃片3aの幅)は260mmとした。
固定刃10は、本体1の一部をなすステーブロック11の摺動溝12に移動自在に嵌っている。その嵌合側面は外開きの斜面12aとなって、摺動面が広く取られて固定刃10とステーブロック11の摺動溝12(斜面12a)との隙間(ガタ)が吸収されるため、固定刃10の進退時の左右(幅方向)の振れが抑制される。また、その嵌合側面が外開きの斜面12aとなっていることにより、ステーブロック11に対し、固定刃10は上方に持ち上げることによって容易に取外すことができる。このため、この構成は、固定刃10にとって振れることない真っ直ぐな進退を担保しつつ取換えが容易であると言う利点を有する。
この支持片15のステーブロック11へのボルト止めと同時に、ステーブロック11に設けた固定刃10のT字状切り欠き13に抜け止めリング14を嵌めたり、ステーブロック11に設けた調整ボルト16の抜け止めリング14に固定刃10を下降させてその切り欠き13に嵌めたりして、調整ボルト16と固定刃10を係止する。このとき、切り欠き13の狭まった首部に調整ボルト16先端部の括れ部が嵌ってその調整ボルト16の切り欠き13からの抜け止めもなされる(図5参照)。
各調整ボルト16は、歯車などによって連動するようにして、一つのボルト16を調整することによって全ての固定刃101、102、103の進退位置調整を行うようにし得る。調整ボルト16の回転は、ハンドルを取付けて行ったり、モータによる駆動としたりし得る。モータの場合、回転数によって進退位置を求めることができるため、デブスゲージ17は不要となる。
固定刃10の固定は、固定刃10に対して固定片を昇降自在に設け、この固定片を、ねじやカムによって押付・解除する手段を採用することもできる。
また、前側固定刃10aと回転刃3にクリアランスがあれば、上方へ掬い上げられる破砕粒が少なくなり、固定刃10のクリアランス調整による粒径分布制御の効果が小さくなると推測される。
以上の考察結果は、下記の実験結果と整合している。
表2、3には、表1に基づく、「前側固定刃10aの有無による粒度分布」を示し、その回転刃3の回転数と粒度別構成比の関係を図9、図10に示す。
表4には、表1に基づく、「含水率の影響」を示し、その回転刃3の回転数と粒度別構成比の関係を図11に示す。なお、表2〜4中の「試料」は表1の「試料含水率」を示す。
また、表4、図11から、表3、図10との対比において、回転数とクリアランスtの変化に規則性(関連性)が認められないことが窺え、このことは、高含水率の天日ケーキKにおいては、破砕粒径分布の制御が困難であることが理解できる。すなわち、天日ケーキKにおいては、含水率はできるだけ低いことが好ましいこととなる。
また、回転数が低い方が含水率に対応可能であるとともに、含水率が低いと、4〜9mm粒の回収率も高くなる。
以上から、回転数とクリアランスが破砕粒形状に大きく影響し、含水率が低い条件では、回転数が大きくなる方向とクリアランスtが狭くなる方向で、粒径が小さくなる。含水率が高いと逆の傾向を示すことが理解できる。このことから、含水率も粒径に大きく影響することが分かる。なお、表1には記載していないが、含水率70%を超えると、粘土化して破砕が不可能となった。
このことから、この破砕機Aにおいては、回転刃3の回転数と両刃3、10のクリアランスtの調整によって、ケーキ粒の粒度分布を調整できるため、多くの孔径の異なるスクリーン8を用意する必要がないことが理解できる。
因みに、スクリーン(篩い)8はその孔8aがφ12mmの場合、0〜4mm粒の分布が多くなった。
また、図8(b)に示すように、上記と同様に、約1000m3の乾燥池Pに20〜30cm厚となるように濃度3%の濃縮汚泥Qを投入し、一ヶ月程度の天日干しを行い、さらに、同様な作用によって、3層(K1、K2、K3)からなる乾燥厚さ30cm程度の天日ケーキKを得た。このケーキKは、各層K1、K2、K3にV字状のひび割れが多数発生し、その各ひび割れ周辺部は水分が蒸発又は降下して含水率が低下しているが、ひび割れから離れた部分は含水率が高く、ケーキK層全体としては30〜60%程の含水量が混在するものとなった。
このケーキKを、上記破砕機Aによって、同様に破砕したところ、上記含水率:30%と同60%の天日ケーキKによる含水率の低いケーキ粒に同高いケーキがコーティングされたケーキ粒を得た。このとき、回転数を低下すれば、処理能力が向上した。
因みに、図8(a)で示す、3%濃縮汚泥Qを1回のみの投入では、天日干しの結果、形成される天日ケーキKは、ひび割れ間隔が少ないブロックとなって、含水率も均一性が高いものであった。
2 回転軸
3 回転刃
3a 回転刃を構成する刃片
8 スクリーン
10、10a、101、102、103 固定刃
11 固定刃支持ブロック(ステーブロック)
12 固定刃摺動溝
16 固定刃進退用調整ボルト
17 固定刃進退量測定用デブスゲージ
A 破砕機
K、K1、K2、K1 天日ケーキ
Claims (6)
- 浄水発生土のブロック状ケーキ(K)を破砕機で破砕する方法であって、
その破砕機(A)は、固定刃(10、10a)と回転刃(3)を有し、前記固定刃(10、10a)は、前記回転刃(3)の回転方向において前後にそれぞれ設けられて、前記回転刃(3)は、前側固定刃(10a)とクリアランスを零として回転するとともに、後側固定刃(10)とはクリアランス(t)をもって回転し、その回転刃(3)は、前記回転軸(2)の周りにその軸方向に複数の刃片(3a)を並べて構成され、その並設された刃片(3a)の刃先からなる回転刃(3)の刃先は、軸方向の一端から他端に向かって回転方向徐々に後退したものであり、
上記回転刃(3)の回転に伴って、前記ブロック状ケーキ(K)を回転刃(3)との衝突でもって破砕するとともに、その衝突によって上昇・回転するケーキ(K)が前記後側固定刃(10)との衝突によって再破砕し、前記後側固定刃(10)と回転刃(3)の間を通り抜けた破砕ケーキ(K)を前記後側固定刃(10)と前側固定刃(10a)との間の下方の所要孔径のスクリーン(8)を通過させるものとし、
前記破砕機(A)の固定刃(10、10a)と回転刃(3)の間に前記ブロック状ケーキ(K)を投入し、前記回転刃(3)の回転数及び前記回転刃(3)と後側固定刃(10)のクリアランス(t)を制御して、所要粒度のケーキ破砕粒(k)を得るようにしたことを特徴とするブロック状ケーキの破砕方法。 - 上記ブロック状ケーキ(K)の含水率を20〜60%としたことを特徴とする請求項1に記載のブロック状ケーキの破砕方法。
- 上記投入されるブロック状ケーキ(K)が、含水率が異なる2種類からなり、その一方の含水率のブロック状ケーキ(K)に対し他方の含水率のブロック状ケーキ(K)のその含水率が2倍以上である混合ケーキであって、両者のブロック状ケーキ(K)の重量比が1:1であることを特徴とする請求項1又は2に記載のブロック状ケーキの破砕方法。
- 上記ブロック状ケーキ(K)が天日ケーキであって、その天日ケーキ(K)が、天日乾燥池(P)に、まず、浄水発生土汚泥を打ち込み、ある程度乾燥してから、つぎに、浄水発生土汚泥を順次打ち込んで乾燥させた複数層からなるケーキ(K)であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載のブロック状ケーキの破砕方法。
- 請求項1乃至4の何れか一つに記載のブロック状ケーキの破砕方法に使用する上記破砕機(A)であって、上部にブロック状ケーキ(K)の投入口(20)、下部に所要粒度のケーキ破砕粒(k)を通過させるスクリーン(8)を有するケーシング(1)内に、回転軸(2)を設けてその回転軸(2)の周りに回転刃(3)を取付けるとともに、前記ケーシング(1)の前記回転刃(3)の回転方向において前記スクリーン(8)上方前後に前側固定刃(10a)と後側固定刃(10)をそれぞれ取付け、その後側固定刃(10)は前記回転刃(3)の回転領域に向かって進退可能になっており、前記回転軸(2)は前記回転刃(3)の回転数が制御可能な駆動手段でもって回転させ、前記回転刃(3)と後側固定刃(10)のクリアランス(t)をその後側固定刃(10)の進退でもって調整可能とするとともに、所要の進退位置で固定可能とし、前側固定刃(10a)と前記回転刃(3)とのクリアランス(t)は零とし、
回転刃(3)は上記回転軸(2)の周りにその軸方向に複数の刃片(3a)を並べて構成されており、かつ、その並設された刃片(3a)の刃先からなる回転刃(3)の刃先は、軸方向の一端から他端に向かって回転方向徐々に後退していることを特徴とするブロック状ケーキの破砕機。 - 上記後側固定刃(10)をその上記ケーシング(1)に固定の支持ブロック(11)によって進退可能に設け、その固定刃(10)は、前記支持ブロック(11)の摺動溝(12)に移動自在に嵌って、その嵌合側面は外開きの斜面(12a)となっており、かつ、固定刃(10)の幅方向中央に前記支持ブロック(11)にねじ込まれた前記進退方向に長い調整ボルト(16)が回転自在に係止されていることを特徴とする請求項5に記載のブロック状ケーキの破砕機。
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