JP2017079659A - ピートモス入り焼土製造方法及びピートモス入り焼土 - Google Patents
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Description
(1)原料粘土を団粒化する際に、原料粘土にピートモスを混練するので、ピースモスが原料粘土に均一に混在したピートモス入り焼土が得られる。
(2)原料粘土をピートモス入り団粒土にしてから造粒・乾燥するため、水中でも形状保持可能な(形崩れしにくい)硬さ(強度)の焼土が得られ、原料粘土に含まれるSiO2の一部がガラス化する程度の高温で乾燥するのでより一層、形崩れしにくくなり、通気性、保水性、保肥力に優れた農耕用或いは園芸用の焼土が得られる。
(3)ピートモスがSiO2のガラス化により焼土に封入されるため、接着剤を使用しなくとも、ピートモスが流出したり、分離偏在したりしにくくなり、通気性、保水性、保肥力が長期間維持され、植物の発育促進効果のある農耕用或いは園芸用の焼土が得られる。
(4)接着剤を使用しないため、化学物質などの第三成分を含まない焼土となり、農耕用や園芸用の土壌として使用したときに、植物の生育阻害の心配がない。また、製造が容易になる他、製造コストも嵩張らない。
(1)ピートモスが原料粘土に略均一に混練され、封入されているため、植物栽培用土壌として使用してもピートモスが偏在しにくくなり、植物が均一に成長し易くなる。
(2)原料粘土に含まれるSiO2の一部がガラス化している場合は、ピートモスが散水や降雨によって流出したり分離偏在したりし難くなる。
(3)ピートモスが原料粘土に混練され、封入されているため、保水性向上、水はけ向上、保肥力向上、根張りの促進、植物の発育促進といった効果が期待できる。
(4)ピートモスを原料粘土に混練され、封入されているため、これまで焼土よりも一層、通気性、保水性、保肥力に優れ、農耕用土壌や園芸用土壌として使用するのに適する。
(5)ベントナイトや界面活性剤(接着剤)を使用することなく、ピートモスを原料粘土に混練、封入してあるので、接着剤による育成障害もない。
(6)ピートモスは強酸性であるため、原料粘土へのピートモスの混合割合を変えることにより、所望pH値の焼土となるため、pH調整剤を使用することなくpH調整ができ、発芽用から育苗用まで幅広く利用できる。
本発明のピートモス入り焼土製造方法の一例を、図面を参照して説明する。このピートモス入り焼土の製造方法は図1に示すように、原料粘土にピートモスを混練して原料粘土を団粒化構造(図2)の土(ピートモス入り団粒土)とする団粒化工程(STEP1)と、ピートモス入り団粒土の大きな塊を団粒土選別機1で取り除く選別工程(STEP2)と、ピートモス入り団粒土を造粒・乾燥装置2で造粒・乾燥して粒状の土(ピートモス入り粒状土)とする造粒・乾燥工程(STEP3)と、調粒機5によりピートモス入り粒状土の表面に付着している微塵粉を除去し、ピートモス入り粒状土の粗熱を除去して冷却して硬化させる調粒工程(STEP4)と、調粒済みの調粒土を篩6にかけて二以上のサイズ別に選別する篩工程(STEP5)を備えた方法である。前記ピートモス入り団粒土の大きな塊を取り除く選別工程(STEP2)は必ずしも必要ではなく、大きな塊がない場合、あるいは少ない場合は省略することができる。
この実施形態では、原料粘土として、赤城山麓から採掘される粘土を用いることができる。赤城山麓から採掘される粘土は、榛名山の火山灰が赤城山麓に堆積した積層土の下層土である。この下層土は経年変化により風化(完全風化)したものである。この粘土には腐葉土の下の黒土、黒土の下の赤土を使用することができる。これら黒土、赤土は弱酸性であり、SiO2が含まれている。原料粘土は黒土と赤土を混合したものであってもよい。
前記原料粘土は硬度が低く、植物育成土壌としては優れたものであるが、粒度が細かく水分量が多いため、このままでは農耕用土壌や園芸用土壌には必ずしも適さない。本発明では原料粘土にピートモスを混練して団粒構造の土(団粒土)にする。団粒土の構造の一例を図2に示す。図2の団粒土は粘土が粒状になった1次団粒が集まって2次団粒になり、2次団粒が集合した構成である。1次団粒間には小間隙があり、2次団粒間には大間隙がある。前記原料粘土は、ピートモスと混練し易くするためには、水分を50%前後含
ものが望ましい。水分が少ないとピートモスが水分を吸収しにくくなり、多すぎるとピートモスが均一に分散しにくくなる。この数値は一例であり、この数値に限定されるものではなく、ピートモスを混練し易く、団粒化可能であればこの数値よりも多くても少なくてもよい。水分不足の場合は水を加えて水分量を多くし、水分過剰の場合は乾燥処理して水分調整することができる。
ピートモス入り団粒土に大きな塊が混在しているときは、団粒土選別機1(図1)で大きな塊(100mm程度)を除去してから、造粒・乾燥装置2に入れるのが好ましい。ピートモス入り団粒土に大きな塊が混在していないときは、この工程は省略することができる。
ピートモス入り団粒土は造粒・乾燥装置2に入れて造粒・乾燥して粒状化するとともに、原料粘土に含まれるSiO2の一部をガラス化させて前記ピートモスを焼土の内部に封じ込める(封印する)。粒状化された土(ピートモス入り粒状土)は適度な水分量まで乾燥したものとするのが望ましい。前記造粒・乾燥装置2には既存のロータリーキルンを使用することができる。ロータリーキルンには、例えば、株式会社大川原製作所製のRH202Bを用いることができるが、これ以外のロータリーキルンを用いることもできる。団粒土の含水量にもよるが、出願人使用のロータリーキルンでは350〜800℃にて約20分かけて造粒・乾燥を行う。ロータリーキルンには350〜800℃の熱風を送り込んで、ロータリーキルンの内部温度を350〜800℃、好ましくは600℃前後に維持するのがよい。350℃未満では乾燥に時間がかかり実用的でなく、800℃よりも高温だと、ピートモスが分離し易くなる。また、団粒土の表面のガラス化が過剰に進み、植物の生育に悪影響がある。ロータリーキルンを使用することにより各種サイズ(粒径)の粒状土が得られる。ロータリーキルンの撹拌翼の回転数を速くすると得られる粒状土のサイズが小さくなり、撹拌翼の回転数を遅くすると得られる粒状土のサイズが大きくなる。いずれの速度に設定しても実際は二種類以上のサイズの粒径が得られる。
ロータリーキルン2で造粒、乾燥されたピートモス入り粒状土は表面に微細な粉末が付着しており、温度が高いため、そのままではピートモス入り粒状土同士が融着(接着)することがある。本発明では、ロータリーキルン2で造粒・乾燥された炭入り粒状土を調粒機5(図1)で処理して、粒状土の表面に付着している微細粉末を除去し、表面の余分な水分を除去する。また、粒状土の粗熱をとって温度を下げて硬化させて、形崩れし難く、取扱いが容易な焼土とする。
調粒機5で調粒されたピートモス入り調粒土は、上下に多段に設けた篩6(図1)により、サイズ(粒径)別に選別して、製品とする。得られる製品の水分量は5%以下が望ましいが、この数値に制約されるものではない。また、篩6の最下段の下に落ちた篩下微粉末土は回収して、本発明の前記原料粘土に混合して原料粘土を団粒化するのに利用することができる。一例として図1に示す篩6は4段であり、上から下に順次、6.2〜15.0mm、4.0〜6.2mm、1.6〜4.0mm、0.7〜1.6mmの大きさ(サイズ)の網目の篩としたが、篩の網目サイズは他の寸法とすることができる。
本発明のピートモス入り焼土の製造方法では、前記実施形態1の団粒化工程において、原料粘土に、必要に応じて、微粉末土や炭粉末を混練することもできる。
本発明のピートモス入り焼土の製造方法では、前記実施形態1の団粒化工程において、原料粘土に、必要に応じて、ピートモス、微粉末土、炭粉末の他に、バーミキュライト、パーライト、その他の栽培用土に適したもの、窒素系肥料、リン系肥料、カリウム系肥料等の肥料、植物育成剤、植物ホルモン剤、土壌改良剤、発芽抑制剤、その他の植物成長調整剤類を混合して団粒構造にすることもできる。それらの混練量は任意に設定可能である。
本発明のピートモス入り焼土は前記製造方法の団粒化工程、団粒土の選別工程、団粒土の造粒・乾燥工程、調粒工程、篩工程を経て製造された焼土である。具体的には、弱酸性の原料粘土にピートモスが混練された団粒構造であり、この団粒構造のピートモス入り団粒土が造粒・乾燥されてピートモス入り粒状土とされ、前記原料粘土に含まれるSiO2の一部がガラス化して前記ピートモスが前記ピートモス入り粒状土の内部に封入されたものである。ピートモスが封入されたピートモス入り粒状土は粒径20mm以下の粒状に選別されたものとすることもできる。
本件出願人は、本発明のピートモス入り焼土の性状を調べるため、次の実験を行った。実験の概要と結果を以下に示す。
本件出願品(発明品)と、従来品(出願人の既存の焼土にピートモスを混合しただけのもの)をコップに入れてから水に浸漬したところ、従来品(図4(b))はピートモスが焼土から分離して水の上面に浮き、かつ焼土の中でも分離、偏在があったが、発明品(図4(a))は、ピートモスが浮上せず、焼土の中での分離、偏在もしなかった。
従来品(出願人の既存の焼土にピートモスを混合しただけのもの)と、ピートモスを混練したピートモス入り焼土(発明品)を使用して、えん麦を栽培した場合の、両者の比較写真を図5(a)〜(d)に示す。図5(a)〜(d)のいずれの左側が発明品での栽培説明、右側が従来品での栽培説明である。
2.図5(b):栽培したえん麦をプラスチック容器から取り出した。発明品の焼土は形崩れしていないが、従来品の焼土は底部が少しばらけた(形崩れした)。
3.図5(c):栽培したえん麦をプラスチック容器から取り出して底面を見たところ、発明品よりも従来品の方が底面に根(白色)が多く張っているように見えた。
4.図5(d):図5(c)の土を水洗いで落として、えん麦の根の張り具合を見たところ、発明品では根が横に広がっており、毛細根の数が多かったが、従来品では根が縦方向には伸びているが横への広がりは発明品よりも少なく、毛細根の数も発明品よりも少なかった。従来品で根が縦方向には伸びているのは焼土の間の隙間が大きいため根が下に向かって伸びたものと思合われる。
2 造粒・乾燥装置(ロータリーキルン)
3 熱風発生機
4 集塵機(ブロワー)
5 調粒機
6 篩
A ドラム
B リフター
C 破砕撹拌軸
D 破砕撹拌翼
Claims (10)
- 原料粘土を造粒・乾燥して焼土を製造する方法において、
原料粘土にSiO2を含むものを使用し、その原料粘土にピートモスを混練してピートモス入り団粒土とする団粒化工程、
前記ピートモス入り団粒土を造粒・乾燥装置に熱風を送り込んで造粒・乾燥して、ピートモス入り粒状土にするとともに、原料粘土に含まれるSiO2の一部をガラス化させて前記ピートモスを前記ピートモス入り粒状土の内部に封入する造粒・乾燥工程、
前記ピートモス入り粒状土を調粒機で調粒する調粒工程、
前記調粒されたピートモス入り調粒土を篩にかけて二以上のサイズ別に選別する篩工程を備えた、
ことを特徴とするピートモス入り焼土製造方法。 - 請求項1記載のピートモス入り焼土製造方法において、
造粒・乾燥装置の出口に設けた集塵機により、造粒・乾燥装置内で発生する粉末を集塵してその一部又は全部を集塵する集塵工程を備えた、
ことを特徴とするピートモス入り焼土製造方法。 - 請求項1又は請求項2記載のピートモス入り焼土製造方法において、
調粒機での調粒が、造粒・乾燥装置から送られるピートモス入り粒状土の表面に付着している粉末を除去し、熱を取り除いて粒状土の温度を下げてピートモス入り粒状土を硬化させる工程である、
ことを特徴とするピートモス入り焼土製造方法。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のピートモス入り焼土製造方法において、
団粒化工程において原料粘土に微粉末土、炭粉末、バーミキュライト、パーライト等の培土、窒素系肥料、リン系肥料、カリウム系肥料、植物成長調整剤類のいずれか一又は二以上を混合してピートモス入り団粒土にする、
ことを特徴とするピートモス入り焼土製造方法。 - 請求項4記載のピートモス入り焼土製造方法において、
原料粘土に混合する微粉末土が、粒径0.05〜2.0mm(平均粒径0.7mm程度)である、
ことを特徴とするピートモス入り焼土製造方法。 - 請求項4又は請求項5記載のピートモス入り焼土製造方法において、
団粒化工程において原料粘土に混合する微粉末土が、請求項1から請求項4記載のいずれか1項に記載の、ピートモス入り焼土製造方法における篩工程で篩の下に落下する篩下微粉末土である、
ことを特徴とするピートモス入り焼土製造方法。 - 団粒化工程において原料粘土を団粒化し、造粒・乾燥装置で造粒・乾燥し、調粒機で調粒した焼土において、
原料粘土がSiO2を含み、弱酸性の粘土であり、
団粒土が原料粘土にピートモスが混練された団粒構造のピートモス入り団粒土であり、
前記団粒構造のピートモス入り団粒土が造粒・乾燥されてピートモス入り粒状土とされ、
前記原料粘土に含まれるSiO2の一部がガラス化して前記ピートモスが前記ピートモス入り粒状土の内部に封入された、
ことを特徴とするピートモス入り焼土。 - 請求項7記載のピートモス入り焼土において、
ピートモスが封入されたピートモス入り粒状土が粒径20mm以下の粒状に選別されたものである、
ことを特徴とする団粒土入り焼土。 - 請求項7又は請求項8記載のピートモス入り焼土において、
原料粘土が赤城山麓に堆積した榛名山火山灰であって堆積層の下層の粘土である、
ことを特徴とするピートモス入り焼土。 - 請求項7から請求項9のいずれか1項に記載のピートモス入り焼土において、
ピートモス入り団粒土が、微粉末土、炭粉末、バーミキュライト、パーライト等の培土、窒素系肥料、リン系肥料、カリウム系肥料、植物成長整剤類のいずれか一又は二以上が原料粘土に混合されたものである、
ことを特徴とする炭入り焼土。
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