JP2015211639A - 炭入り焼土製造方法及び炭入り焼土 - Google Patents

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Abstract

【課題】 形崩れにくく、接着剤を使用しなくとも、炭粉末が流出、分離偏在しにくく、通気性、保水性、保肥力に優れ、植物育成促進効果のある炭入り焼土とする。【解決手段】 原料粘土に微粉末土及び炭粉末を混合して炭入り団粒土にし、その炭入り団粒土を造粒・乾燥装置で造粒・乾燥して二以上の粒径の炭入り粒状土にするとともに、原料粘土に含まれるSiO2の一部をガラス化させて、前記炭粉末を前記炭入り粒状土の内部に封入し、調粒機で調粒した炭入り調粒土を篩にかけてサイズ別に選別する。微粉末土には、焼土製造過程で生じた篩下微粉末土を使用してもよい。原料粘土が弱酸性であり、原料粘土が微粉末土と炭粉末が混合された団粒構造であり、団粒構造の炭入り団粒土が造粒・乾燥されて炭入り粒状土にされ、原料粘土に含まれるSiO2の一部がガラス化して前記炭粉末を前記炭入り粒状土の内部に封印されて、接着剤を使用しなくとも、炭粉末が降雨や散水などで粒土から流出又は分離偏在しにくくした。【選択図】 図1

Description

本発明は、農耕用土壌や園芸用土壌として使用される炭入り焼土(焼赤土、焼黒土、赤土+焼黒土)の製造方法及び炭入り焼土に関するものである。
農耕や園芸に使用される土として、弱酸性の赤玉土が広く知られている。赤玉土は赤土を天日などで乾燥した後、赤土の塊を砕いて篩にかけ適度な大きさに分別したものであり、通気性、保水性、保肥力に優れ、弱酸性であることから、農耕用土壌や園芸用土壌として広く使用されている。しかし、近年は、資源の枯渇により赤玉土の供給量が減少しており、赤玉土の代替品の供給が望まれていた。このような事情の下、本件出願人は、本出願に先立ち、赤玉土の代替品となりうる焼土を開発した。
従来、土壌に炭を混合することで、土壌の保水性や透水性、保肥力が向上し、植物の生育促進効果があることが知られている(特許文献1、2)。土壌に炭を混合して使用することによって、肥料を少なくしても植物の生育が良くなり、肥料の低減による費用節約を図ることができる。肥料を使用すると土壌の電気伝導度が上昇して植物の発芽不良や生育ムラが生じるが、炭を混合使用することでこれらの問題が抑制されることが知られている(特許文献2、3及び非特許文献1)。
特開平11−046577号公報 特開2011−001209号公報 特開平10−191780号公報
大谷杉郎著「新炭素時代」ダイヤモンド社発行、昭和62年12月3日、p20−31
本発明は、先に開発した焼土を改良したものであって、その解決課題は、崩れにくく、散水や降雨によっても、原料土に混合されている炭粉末が流出したり、分離偏在したりしにくく、通気性、保水性、保肥力に優れ、植物育成促進効果があり、農耕用土壌や園芸用土壌に適した炭入り土(本願において、この土を「炭入り焼土」という)の製造方法と炭入り焼土を提供することにある。
本発明の炭入り焼土製造方法は、原料粘土を造粒・乾燥して焼土を製造する方法において、原料土となる粘土(原料粘土)に二酸化珪素(SiO)を含むものを使用し、その原料粘土に微粉末土及び炭粉末を混合して団粒構造の炭入り土(炭入り団粒土:原料粘土と微粉末土が凝集(集合)して、図2のように空間を備えた形態)とする団粒化工程、当該炭入り団粒土を造粒・乾燥装置(例えば「ロータリーキルン」)で造粒・乾燥して、大きさが二以上のサイズ(粒径)の炭入り粒状土にするとともに、原料粘土に含まれるSiOの一部をガラス化させて前記炭粉末を前記炭入り粒状土の内部に封入(封印)する造粒・乾燥工程、その炭入り粒状土を調粒機で調粒する調粒工程、調粒された炭入り土(炭入り調粒土)を篩にかけて二以上の粒径別(サイズ別)に選別する篩工程を備えた方法である。選別されるサイズは、一例として、粒径20mm以下が適する。
前記原料粘土は弱酸性であって、SiOを含むものが適する。一例としては、赤城山麓に堆積した榛名山火山灰であって堆積層の下層部分の粘土(赤城山麓から採掘される榛名山火山灰の下層粘土:腐葉土の下の黒土、黒土の下の赤土、黒土と赤土の混合物)が適する。この下層粘土は弱酸性であり、SiOを含むことから前記原料粘土とするのに好適である。
原料粘土に混合する前記微粉末土は、粒径0.05〜2.0mm(平均粒径0.7mm程度)のものが適する。好ましくは、前記篩工程で篩の下に落下する微粉末土(篩下微粉末土:アンダーサイズの微粉末土)が適する。前記微粉末土は水分量5%以下のものが適する。原料粘土に混合する炭粉末には、例えば、木、竹、椰子殻、ピッチ、燻炭等の炭やそれらの活性炭を粉末状にしたものを用いることができる。混合する炭粉末は、好ましくは粒径1mm以下のものが適する。また、炭粉末の混合量は、原料粘土に対して2〜30%(重量%)程度が適する。炭或いは活性炭は一種のみならず二種以上を混合してもよい。
前記造粒・乾燥装置には発熱機から500〜900℃程度の熱風を送り込む。この場合の熱風温度は、好ましくは、原料粘土に含まれるSiOの一部がガラス化する程度の温度、例えば、800℃前後が望ましい。造粒・乾燥装置の出口側には集塵機を設けて、造粒・乾燥装置内で発生する粉末を集塵し、その一部又は全部を外部に排出可能な集塵工程を備えることもできる。
前記調粒工程は、造粒・乾燥装置から送られる炭入り粒状土の表面に付着している粉末を、調粒機内で除去し、粒状土の熱(粗熱)を取り除いて粒状土の温度を下げて粒状土を硬化させる工程である。
本発明の炭入り焼土は、造粒・乾燥装置で造粒し、調粒機で調粒した焼土であり、原料粘土が弱酸性の粘土であり、原料粘土に微粉末土及び炭粉末が混合された団粒構造であり、前記団粒構造の炭入り団粒土が造粒・乾燥されて炭入り粒状土とされ、前記原料粘土に含まれるSiOの一部がガラス化して前記炭粉末が前記炭入り粒状土の内部に封入されたものである。炭粉末が封入された炭入り粒状土は粒径20mm以下の粒状に選別されたものとすることもできる。
本発明の炭入り焼土は、前記炭入り焼土において、赤城山麓に堆積した榛名山火山灰の堆積層の下層の粘土(黒土又は赤土又は両者の混合土)を原料粘土とし、それに微粉末土と炭粉末が混合された炭入り団粒構造のものである。
本発明の炭入り焼土は、前記炭入り焼土において、炭粉末として、木、竹、椰子殻、ピッチ、燻炭等の炭やそれらの活性炭を粉末状にしたものを混合したものとすることもできる。
本発明の炭入り焼土製造方法は次の効果を奏する。
(1)原料粘土に微粉末土を混合して原料粘土を団粒化する際に、炭を入れるので、炭が原料粘土に均一に混在した炭入り焼土が得られる。
(2)原料粘土を炭入り団粒構造にしてから造粒・乾燥するため、水中でも形状保持可能な硬さ(強度)の赤土が得られ、原料粘土に含まれるSiOの一部がガラス化する程度の高温(800℃程度)で乾燥するのでより一層、形崩れしにくくなり、通気性、保水性、保肥力に優れた農耕用土壌や園芸用土入り焼土が得られる。また、前記ガラス化により炭粉末が焼土に封入されて流出したり、分離偏在したりしにくくなるため、植物育成促進効果のある農耕用土壌や園芸用土入り焼土が得られる。
(3)炭を混合することの効果は、炭の粒径が細かいほど顕著であることが知られている。粒径が細かい炭は降雨や散水などで粘土から流出又は分離偏在し易いため、従来の炭入り培養土製造方法では、流出防止策として、炭を接着剤(例えば、株式会社ダイセル製の「ダイセルCMC」や電気化学工業株式会社製の「デンカポバールK-17C」)などで原料粘土に接着させる必要があったが、本発明では原料粘土を団粒構造化する際に炭粉末を混合することに加え、原料粘土に含まれるSiOの一部がガラス化するほどの高温で乾燥するため炭粉末が焼土の内部に封印され、接着剤を使用しなくとも、細かい炭でも、散水、降雨によって、流出、分離偏在することがない。
(4)接着剤を使用しないため、化学物質などの第三成分を含まない焼土となり、農耕用土壌や園芸用土壌として使用したときに、植物の生育阻害の心配がない。また、製造が容易になる他、製造コストも嵩張らない。
本発明の炭入り焼土は次の効果を奏する。
(1)炭粉末が略均一に混入しているため、植物栽培用土壌として使用しても炭粉末が偏在しにくくなり、植物が均一に成長し易くなる。
(2)原料粘土に含まれるSiOの一部がガラス化している場合は、炭粉末が散水や降雨によって流出したり分離偏在したりし難くなる。
(3)炭粉末が混入しているため、保水性向上、水はけ向上、保肥力向上といった効果が期待できる。原料粘土として弱酸性の粘土を用いた場合は、通気性、保水性、保肥力が特に優れたものとなる。
(4)炭粉末が混入しているため、これまで焼土よりも一層、通気性、保水性、保肥力に優れ、農耕用土壌や園芸用土壌として使用するのに適する。
(5)炭粉末を原料粘土に接着させるための接着剤を使用する必要がないので、接着剤による育成障害もない。
本発明の炭入り焼土製造方法の一例を示す説明図。 本発明における炭入り団粒土の団粒化構造の説明図。 本発明で使用するロータリ―キルンの内部構造の一例を示す説明図であり、(a)は縦断側面図、(b)縦断正面図。 本発明の炭入り焼土(本件出願品)と従来品(市販品)を水に浸漬した場合の実験結果を示す比較写真であって、(a)は本件出願品を3ヶ月水に浸漬したあとの状態を撮影したもの、(b)は市販品を2ヶ月水に浸漬したあとの状態を撮影したもの。
(実施形態)
本発明の炭入り焼土製造方法の一例を、図面を参照して説明する。この炭入り焼土の製造方法は図1に示すように、原料粘土に微粉末土及び炭粉末を混合して原料粘土を団粒化構造(図2)の土(炭入り団粒土)とする団粒化工程(STEP1)と、炭入り団粒土の大きな塊を団粒土選別機1で取り除く選別工程(STEP2)と、炭入り団粒土を造粒・乾燥装置2で造粒・乾燥して粒状の土(炭入り粒状土)とする造粒・乾燥工程(STEP3)と、調粒機5により、炭入り粒状土の表面に付着している微塵粉を除去し、炭入り粒状土の粗熱を除去して冷却して硬化させる調粒工程(STEP4)と、調粒済みの調粒土を篩6にかけて二以上のサイズ別に選別する篩工程(STEP5)を備えた方法である。前記炭入り団粒土の大きな塊を取り除く選別工程(STEP2)は必ずしも必要ではなく、場合によっては省略することができる。
[原料粘土]
この実施形態では、原料粘土として、赤城山麓から採掘される粘土を用いることができる。赤城山麓から採掘される粘土は、榛名山の火山灰が赤城山麓に堆積した積層土の下層土である。この下層土は経年変化により風化(完全風化)したものである。この粘土には腐葉土の下の黒土、黒土の下の赤土を使用することができる。これら黒土、赤土は弱酸性であり、SiOが含まれている。原料粘土は黒土と赤土を混合したものであってもよい。
[STEP1:原料粘土と微粉末土及び炭粉末の混合(団粒化工程)]
前記原料粘土は硬度が低く、植物育成土壌としては優れたものであるが、粒度が細かく水分量が多いため、このままでは農耕用土壌や園芸用土壌には必ずしも適さない。本発明では原料粘土に微粉末土を混合して団粒構造の土(団粒土)にする。団粒土の構造の一例を図2に示す。図2の団粒土は粘土が粒状になった1次団粒が集まって2次団粒になり、2次団粒が集合した構成である。1次団粒間には小間隙があり、2次団粒間には大間隙がある。団粒化に当たって使用する前記微粉末土には、原料粘土と同質のものでも異質のものでも使用可能であるが、例えば、本発明の炭入り焼土製造工程において、前記篩の下に落下する微粉末土(篩下微粉末土)が適する。微粉末土は粒径0.05〜2.0mm(平均粒径0.7mm程度)のものが好ましい。篩下微粉末土はこの程度の粒径である。この数値は一例である。本発明はこの数値に限定されるものではなく、団粒化可能であればこの数値よりも大きくても小さくてもよい。本発明では、この団粒化に当たって、原料粘土に炭粉末を混入して炭入り団粒土とする。炭粉末の混入条件は後記する。
微粉末土を混合することにより原料粘土が団粒化し易くなる。大量の原料粘土を団粒化するには各種機器を使用して、原料粘土の塊を細かくしながら、前記微粉末土と混合し、その作業を繰返して次第に団粒化することができる。原料粘土と篩下微粉末土の混合割合は、原料粘土に対し篩下微粉末土が容積比は1/10〜3/10、好ましくは1/5程度となる量が適する。団粒土の水分量は10〜30%、好ましくは15%程度がよい。これらの数値は一例である。本発明はこの数値に限定されるものではなく、団粒化可能であればこの数値よりも多くても少なくてもよい。必要であれば、原料粘土に窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)等を混合することもできる。
[炭粉末の混入]
原料粘土に混合する炭粉末は、例えば、前駆体が木、竹、椰子殻、ピッチ、燻炭等の炭やそれらの活性炭を粉末状にしたものを用いることができる。混合する炭粉末は粒径1mm以下程度のものが適する。また、炭粉末の混合量は、原料粘土に対して2〜30%(重量)程度が適する。炭或いは活性炭は異なる材質、粒径のものを一種のみならず二種以上混合して使用することもできる。
[STEP2:団粒土の選別(選別工程)]
炭入り団粒土に大きな塊が混在しているときは、団粒土選別機1(図1)で大きな塊(100mm程度)を除去してから、造粒・乾燥装置2に入れるのが好ましい。炭入り団粒土に大きな塊が混在していないときは、この工程は省略することができる。
[STEP3:団粒土の造粒・乾燥(造粒・乾燥工程)]
炭入り団粒土は造粒・乾燥装置2に入れて二種類以上のサイズの粒径に造粒・乾燥して粒状化するとともに、原料粘土に含まれるSiOの一部をガラス化させて前記炭粉末を焼土の内部に封じ込める(封印する)。粒状化された土(炭入り粒状土)は適度な水分量まで乾燥したものとするのが望ましい。前記造粒・乾燥装置2には既存のロータリーキルンを使用することができる。ロータリーキルンには、例えば、株式会社大川原製作所製のRH202Bを用いることができるが、これ以外のロータリーキルンを用いることもできる。団粒土の含水量にもよるが、出願人使用のロータリーキルンでは500〜900℃にて約20分かけて造粒・乾燥を行う。ロータリーキルンには500〜900℃の熱風を送り込んで、ロータリーキルンの内部温度を500〜900℃に維持するのがよい。500℃未満では乾燥に時間がかかり実用的でなく、900℃よりも高温だと土の表面のガラス化が過剰に進み、植物の生育に悪影響がある。ロータリーキルンを使用することにより二以上のサイズ(粒径)の粒状土を得ることができる。前記乾燥温度は、原料粘土に含まれるSiOの一部がガラス化する程度の温度、例えば,800℃程度が適する。
前記水分量、混合量とすることにより、単位時間当たりの生産量が、従来の、約3倍に向上し、造粒・乾燥装置の燃費も単位生産量当たり従前の1/6程度に低減できた。これら理由は明らかではないが、原料粘土は餅状の粘つく塊であるが、微粉末土を混合することにより原料粘土が図2のように団粒化されて、二次団粒の塊の間に大間隙(空隙)が生じ、その空隙に造粒・乾燥装置による乾燥のための熱風がよく行き渡ることによるものと思われる。
単位時間当たりの生産量が向上したことで、製造設備の機械的な消耗、故障等が少なくなり、維持管理費が低減し、生産コストの低減に寄与している。さらに、製造工程で発生する篩下成分を再使用することにより、原料をほぼ100%製品化できるので、原料の無駄がほとんどなく、原価の低減に大きく貢献している。
ロータリーキルン2の一例は図3(a)(b)に示すように、耐熱材製の横長円筒状のドラムAの内周面にリフターBが取付けられ、破砕撹拌軸CがドラムA内の中心部長軸方向に配置され、破砕撹拌軸Cの外周に破砕撹拌翼Dが取付けられている。このロータリーキルン2はドラムAが回転するとリフターBが回転して、ドラムA内の炭入り団粒土がドラムAの底からドラムAの頂部に持ち上げられ、頂部から落下する間に、高速回転中の破砕撹拌翼Dで破砕される。この運動がドラムAの出口近くまで繰り返され、この間に、ドラムA内に送り込まれる熱風で乾燥される。また、大塊炭入り団粒土は破砕されて小塊(粒状土)となり、湿った表面が熱風と接触して乾燥される。小塊はさらに破砕されて粒状(粒状土)となって、ドラムAの出口から排出される。
ロータリーキルン2には熱風発生機3から500〜900℃の熱風を送り込む。ロータリーキルン2の出口側には集塵機(ブロワー)4を設けて、ロータリーキルン2内で発生する微粉末土を集塵し、一部を外部に排出し、一部をロータリーキルン2内に戻して、熱風を有効利用する。清浄な空気を外部から取り込んで熱風発生機3に送り込んで、熱風発生機3の燃焼効率を向上させるのが望ましい。
[STEP4:造粒・乾燥した粒状土の調粒(調粒工程)]
ロータリーキルン2で造粒、乾燥された炭入り粒状土は表面に微細な粉末が付着しており、温度が高いため、そのままでは炭入り粒状土同士が融着(接着)することがある。本発明では、ロータリーキルン2で造粒・乾燥された炭入り粒状土を調粒機5(図1)で処理して、粒状土の表面に付着している微細粉末を除去し、表面の余分な水分を除去する。また、粒状土の粗熱をとって温度を下げて硬化させて、形崩れし難く、取扱いが容易な焼土とする。
調粒機5には汎用のもの、例えば、耐熱材製で円筒状のものを用いることができる。前記構造の調粒機5を用いる場合、調粒機5を回転させ、その調粒機5内に、ロータリーキルン2で造粒、乾燥させた炭入り粒状土を入れ、10〜20分で調粒機5から送り出されるようにするのが望ましい。
[STEP5:調粒された調粒土の選別(篩工程)]
調粒機5で調粒された炭入り調粒土は、上下に多段に設けた篩6(図1)により、サイズ(粒径)別に選別して、製品とする。得られる製品の水分量は5%以下が望ましいが、この数値に制約されるものではない。また、篩6の最下段の下に落ちた篩下微粉末土は回収して原料粘土に混合されて原料粘土を団粒化するのに利用することができる。一例として図1に示す篩6は4段であり、上から下に順次、6.2〜15.0mm、4.0〜6.2mm、1.6〜4.2mm、0.7〜1.67mmの大きさ(サイズ)の網目の篩としたが、篩の網目サイズは他の寸法とすることができる。
(実験例)
本件出願人は、本発明の炭入り焼土の性状を調べるため、次の実験を行った。実験の概要と結果を以下に示す。
[実験概要]
本発明の炭入り焼土(本件出願品)を3ヶ月水に浸漬したあとの状態を図4(a)に、従来の焼土(市販品)を2ヶ月水に浸漬したあとの状態を図4(b)に示す。
図4(a)(b)から明らかなとおり、市販品は2ヶ月で粒が形崩れして原形をとどめていないのに対し、本件出願品は3ヶ月でも粒が形崩れせず原形と変わらない状態であった。この結果から、本件出願品は市販品に比べて形崩れしにくいことが判明した。この理由は、本発明では原料粘土がSiOを含むこと、そのSiOの一部がガラス化するほど高温で乾燥することにより塊が固くなるためであると思われる。このため、原料粘土を団粒化し、その団粒化中に炭を入れて造粒、乾燥させて得られる本件出願品は、前記実験結果と同様に市販品よりも形崩れしにくく、しかも、炭粉末が前記ガラス化により原料粘土内に封入されて、炭粉末が粒土から流出、分離偏在しにくくなるものと思われる。
1 団粒土選別機
2 造粒・乾燥装置(ロータリーキルン)
3 熱風発生機
4 集塵機(ブロワー)
5 調粒機
6 篩
A ドラム
B リフター
C 破砕撹拌軸
D 破砕撹拌翼

Claims (10)

  1. 原料粘土を造粒・乾燥して焼土を製造する方法において、
    原料粘土にSiOを含むものを使用し、その原料粘土に微粉末土及び炭粉末を混合して団粒構造の土(炭入り団粒土)とする団粒化工程、
    前記炭入り団粒土を造粒・乾燥装置に熱風を送り込んで造粒・乾燥して、大きさが二以上のサイズ(粒径)の炭入り粒状土にするとともに、原料粘土に含まれるSiOの一部をガラス化させて前記炭粉末を前記炭入り粒状土の内部に封入する造粒・乾燥工程、
    前記炭入り粒状土を調粒機で調粒する調粒工程、
    前記調粒された土(炭入り調粒土)を篩にかけて二以上のサイズ別に選別する篩工程を備えた、
    ことを特徴とする炭入り焼土製造方法。
  2. 請求項1記載の炭入り焼土製造方法において、
    造粒・乾燥装置の出口に設けた集塵機により、造粒・乾燥装置内で発生する粉末を集塵してその一部又は全部を集塵する集塵工程を備えた、
    ことを特徴とする炭入り焼土製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2記載の炭入り焼土製造方法において、
    調粒機での調粒が、造粒・乾燥装置から送られる炭入り粒状土の表面に付着している粉末を除去し、熱を取り除いて粒状土の温度を下げて粒状土を硬化させる工程である、
    ことを特徴とする炭入り焼土製造方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の炭入り焼土製造方法において、
    原料粘土に混合する微粉末土が、粒径0.05〜2.0mm(平均粒径0.7mm程度)である、
    ことを特徴とする炭入り焼土製造方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の炭入り焼土製造方法において、
    原料粘土に混合する微粉末土が、請求項1記載の炭入り焼土製造方法における篩工程で篩の下に落下する篩下微粉末土である、
    ことを特徴とする炭入り焼土製造方法。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の炭入り焼土製造方法において、
    炭粉末として、木、竹、椰子殻、ピッチ、燻炭等の炭やそれらの活性炭を粉末状にしたものを混合して団粒構造の土(炭入り団粒土)とする、
    ことを特徴とする炭入り焼土製造方法。
  7. 造粒・乾燥装置で造粒し、調粒機で調粒した焼土において、
    原料粘土がSiOを含み、弱酸性の粘土であり、
    原料粘土に微粉末土及び炭粉末が混合された団粒構造であり、
    前記団粒構造の炭入り団粒土が造粒・乾燥されて炭入り粒状土とされ、前記原料粘土に含まれるSiOの一部がガラス化して前記炭粉末が前記炭入り粒状土の内部に封入された、
    ことを特徴とする炭入り焼土。
  8. 請求項7記載の炭入り焼土において、
    炭粉末が封入された炭入り粒状土が粒径20mm以下の粒状に選別されたものである、
    ことを特徴とする炭入り焼土。
  9. 請求項7又は請求項8記載の炭入り焼土において、
    原料粘土が赤城山麓に堆積した榛名山火山灰であって堆積層の下層の粘土であり、SiOを含むものである、
    ことを特徴とする炭入り焼土。
  10. 請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の炭入り焼土において、
    木、竹、椰子殻、ピッチ、燻炭等の炭やそれらの活性炭を粉末状にした炭粉末が原料粘土に混合された、
    ことを特徴とする炭入り焼土。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2020096069A1 (ja) * 2018-11-06 2020-05-14 有限会社ソルチ 焼結造粒粘土及びその製造方法

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