JP3557391B2 - 継手 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水道配管、温水配管、床暖房、ロードヒーティング等に使用されるパイプ用の継手に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
合成樹脂などの軟質材料により形成されたパイプが継手本体内に挿入されるときには、一般に、パイプの挿入側端部には、円筒部とその一端の鍔部とよりなるインコアが内挿される。継手本体内には、シール部材としてのシールリングが嵌着され、継手本体内にパイプを挿入したときには、シールリングによりパイプの外周面と継手本体の内周面との隙間をシールするようになっている。従来、この種のインコアは、熱や圧力等でパイプが変形して継手から脱落したり、継手から輸送流体としての液体が漏れ出すのを防ぐようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この従来のインコアにおいては、パイプの端面がシールリングまで到達していない継手においても、パイプに内挿されたインコアの鍔部が継手本体の内周面と係合しているため、施工時の圧力検査では、このようなパイプの継手本体内への挿入深さが不十分な継手を発見することができなかった。この挿入不十分の継手を使用するときには、継手に長時間輸送流体としての液体による圧力が加わることによって、液体が継手から漏れ出す等の問題があった。
【0004】
本発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、施工時の圧力検査において、パイプの継手本体内への挿入深さが不十分な継手を容易かつ確実に発見することができる継手を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の継手では、筒部と、その一端に設けられた鍔部とを備えるインコアが、パイプの端部に内挿され、内挿された状態のパイプが筒状をなす継手本体内に挿入され、その状態で継手本体内に嵌着されているシール部材によりパイプの外周面と継手本体の内周面との間で継手本体内を流通する液体のシールを行うように構成された継手であって、前記インコアの筒部の一端には、鍔部に接するように貫通孔が設けられているものである。
【0006】
請求項2に記載の継手では、請求項1に記載の発明において、前記貫通孔は、複数箇所に設けられているものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、パイプ11はポリオレフィン(架橋ポリエチレン、ポリブデン等)等の合成樹脂により円筒状に形成され、水道の配管等に使用される。また、パイプ11の端面12は、パイプ11の軸線とほぼ直交するように切断されている。
【0008】
図1及び図2に示すように、インコア13は、合金(真鍮、青銅等)等の金属製の円筒状をなす筒部14と、その一端に筒部14に対して直交するように外方へ延びる円環状の鍔部15とから構成されている。
【0009】
筒部14の一端には、平面ほぼ四角形状の貫通孔16が一箇所設けられている。鍔部15の外周面には、外端面31に向かうに従い縮径する第1テーパ面17が形成され、インコア13が内挿されたパイプ11を継手本体18の内周面との抵抗を低減して容易に挿入することができるようになっている。
【0010】
また、筒部14の他端の外周面には、端部に向かうに従い縮径する第2テーパ面19が形成され、インコア13をパイプ11へ容易に内挿することができるようになっている。
【0011】
図1及び図3に示すように、継手本体18は合金(真鍮、青銅等)等の金属製の略円筒状をなす本体20と、合金(真鍮、青銅等)等の金属製の略円筒状をなす押し輪21とから構成されている。そして、本体20の基端部の外周面には、雄ねじ部22が形成され、水道管等の管体に螺合可能になっている。また、押し輪21にはパイプ11を挿入するための挿入孔23が設けられている。
【0012】
図3に示すように、本体20内には、当接面24が本体20の軸線と直交するように円環状に設けられ、パイプ11を継手本体18内に挿入したときには、パイプ11の挿入が所定位置で止まるようになっている。
【0013】
本体20の内周面には、内奥部から順に第1溝部25及び第2溝部26が周方向に沿って凹設されている。第1溝部25及び第2溝部26には、シール部材としての断面円形状の第1シールリング27a及び第2シールリング27bがそれぞれ嵌着されている。そして、パイプ11を継手本体18内に挿入したときには、パイプ11の外周面を押圧し、パイプ11の外周面と本体20の内周面との隙間をシールするようになっている。
【0014】
図1及び図3に示すように、本体20内には、スペーサ28を介装した一対のロックリング29が配設されている。そして、継手本体18内に挿入されるパイプ11の外周面に対しロックリング29が係合することにより、パイプ11が継手本体18内に抜け止め保持されるようになっている。
【0015】
次に、上記のように構成されたインコア13の作用を説明する。
さて、本体20にスペーサ28を介装した一対のロックリング29を挿入した後に、押し輪21を本体20に締め付ける。
【0016】
インコア13をパイプ11に内挿する場合には、パイプ11の端面12が鍔部15の内端面30に当接するまで、筒部14の他端をパイプ11の端部開口に挿入する。次いで、インコア13が内挿された側のパイプ11の端部を挿入孔23から継手本体18内に挿入する。
【0017】
このとき、図4に示すように、鍔部15の外端面31が前記当接面24まで到達せず、前記第2シールリング27bとロックリング29との間に位置する場合には、施工時の圧力検査において、輸送流体としての液体がその圧力により、インコア13の貫通孔16から鍔部15の内端面30とパイプ11の端面12との間を通って流れ出て、継手本体18の先端部から漏れ出す。
【0018】
よって、この漏れがあるか否かを確認することにより、パイプ11の継手本体18内への挿入が十分か否かを確認することができる。
以上詳述した本実施形態によれば次のような効果が発揮される。
【0019】
・ 本実施形態のインコア13においては、筒部14の一端に貫通孔16が設けられている。このため、施工時の圧力検査において、パイプ11の継手本体18内への挿入深さが不十分な継手では、継手から液体が漏れ出すようになっている。よって、パイプ11の継手本体18内への挿入深さが不十分な継手を、容易かつ確実に発見することができる。
【0020】
・ 本実施形態のインコア13においては、貫通孔16が鍔部15に接している。このため、液体はインコア13の貫通孔16から鍔部15の内端面30とパイプ11の端面12との間を通って容易に流れ出すようにすることができる。
【0021】
・ 本実施形態のインコア13においては、鍔部15の第1テーパ面17は、外端面31に向かうに従い縮径するように形成されている。このため、インコア13が内挿されたパイプ11を継手本体18内に挿入する際の挿入抵抗を少なくしてパイプ11の挿入を確実に行うことができる。また、筒部14の他端側の第2テーパ面19は、端部に向かうに従い縮径するように形成されている。このため、インコア13をパイプ11へ容易に内挿することができる。
【0022】
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・ 前記貫通孔16の形状を、平面ほぼ円形、楕円形や三角形状等の形状に変えてもよい。このように構成した場合も、パイプ11の継手本体18内への挿入深さが不十分な継手を、容易かつ確実に発見することができる。
【0024】
・ 前記貫通孔16を、筒部14の一端側に複数設けてもよい。又は形状を線状に変えてもよい。このように構成した場合は、パイプ11の継手本体18内への挿入深さが不十分な継手を、より容易かつ確実に発見することができる。
【0025】
・ 前記パイプ11の端面12を、パイプ11の軸線に対して斜状に切断した場合には、パイプ11の斜状をなす端面のうち、突出した部分のみに鍔部15の内端面30が当接する。このため、突出した部分以外の部分では、鍔部15の内端面30とパイプ11の端面との間に隙間が生じる。このパイプ11の端部を継手本体18内に挿入するときに、鍔部15の外端面31が前記当接面24まで到達せず、パイプ11の端面の突出した部分以外の部分が少なくとも第2シールリング27bに到達していない場合には、第2シールリング27bはパイプ11の外周面を押圧していない。このため、パイプ11の外周面と本体20の内周面との隙間はシールがされていないため、継手から液体が漏れ出す。従来のインコアを使用した継手では、このような挿入深さが不十分な継手においても、鍔部15が継手本体18の内周面と係合しているため、施工時の圧力検査では発見することができなかった。しかし、本実施形態のインコア13では、施工時の圧力検査において、液体がその圧力により、インコア13の貫通孔16から鍔部15の内端面30とパイプ11の端面との間を通って流れ出て、継手本体18の先端部から漏れ出す。よって、この漏れがあるか否かを確認することにより、パイプ11の外周面が全て第2シールリング27bに達しているか否かを確認することができる。
【0026】
・ 図5に示すように、鍔部15の外端面31が当接面24まで到達せず、前記第1シールリング27aと第2シールリング27bとの間に位置する場合には、施工時の圧力検査において、輸送流体としての液体がその圧力により、インコア13の貫通孔16から鍔部15の内端面30とパイプ11の端面12との間を通って流れ出る。さらに液体の圧力が高い場合には1つの第2シールリング27bだけではシール不足となり、液体の圧力が第2シールリング27bのパイプ11の外周面に対する押圧力に抗し、液体が第2シールリング27bとパイプ11の外周面との間を通って流れ出て、継手本体18の先端部から漏れ出す。よって、この漏れがあるか否かを確認することにより、シールが十分か否かを確認することができる。
【0027】
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(1)前記貫通孔は、鍔部に接している請求項1又は請求項2に記載のインコア。この構成によれば、パイプの継手本体内への挿入深さが不十分な継手を容易かつ確実に発見することができる。
【0028】
(2)前記貫通孔は、筒部において対向する2箇所に設けられている請求項1又は請求項2に記載のインコア。この構成によれば、パイプの継手本体内への挿入深さが不十分な継手を、より容易かつ確実に発見することができる。
【0029】
(3)筒状をなし、内部にパイプが挿入可能な継手本体と、継手本体の内部に嵌着されるシール部材とを備え、前記パイプにはパイプの内側への変形を防止するために端部に内挿されるインコアを有し、インコアは筒部とその一端に設けられた鍔部とを備え、筒部には鍔部の近傍位置に貫通孔が設けられている継手。この構成によれば、施工時の圧力検査において、パイプの継手本体内への挿入不十分な継手を容易かつ確実に発見することができる継手を提供することができる。
【0030】
(4)前記継手本体内に配設され、継手本体内に挿入されるパイプの外周面に係合して、パイプの継手本体からの抜け出しを防止する規制手段を備える上記(3)に記載の継手。この構成によれば、パイプを継手本体内に挿入するだけで、パイプを継手本体内に保持することができる。
【0031】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明によれば、施工時の圧力検査において、パイプの継手本体内への挿入深さが不十分な継手を容易かつ確実に発見することができる。
【0032】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明に加えて、施工時の圧力検査において、パイプの継手本体内への挿入深さが不十分な継手をより容易かつ確実に発見することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態における継手を示す分解斜視図。
【図2】インコアを示す断面図。
【図3】継手本体にパイプを挿入する前の状態を示す部分破断側面図。
【図4】インコアの鍔部の外端面が第2シールリングとロックリングとの間に位置する継手を示す半縦断面図。
【図5】インコアの鍔部の外端面が第1シールリングと第2シールリングとの間に位置する継手を示す半縦断面図。
【符号の説明】
11…パイプ、13…インコア、14…筒部、15…鍔部、16…貫通孔、18…継手本体、27a…シール部材としての第1シールリング、27b…シール部材としての第2シールリング。
Claims (2)
- 筒部と、その一端に設けられた鍔部とを備えるインコアが、パイプの端部に内挿され、内挿された状態のパイプが筒状をなす継手本体内に挿入され、その状態で継手本体内に嵌着されているシール部材によりパイプの外周面と継手本体の内周面との間で継手本体内を流通する液体のシールを行うように構成された継手であって、前記インコアの筒部の一端には、鍔部に接するように貫通孔が設けられていることを特徴とする継手。
- 前記貫通孔は、複数箇所に設けられている請求項1に記載の継手。
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