JP3557030B2 - 媒体処理システムおよび現金処理システム - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動取引装置等の複数の媒体処理装置と、これらの媒体処理装置に対して現金等の取扱媒体を自動的に補充および回収する受渡し装置と、を備えた媒体処理システムおよび現金処理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
金融機関等においては、顧客に対して現金の支払、振込等を自動的に行なう自動取引装置(以下ATMと称する)が広く普及し、その設置台数も増加の一途をたどっている。また、ATMと共に、現金を自動的に計数する自動計数装置等が広く用いられている。
【0003】
ATMはその使用状況に応じて現金の補充や回収が必要であり、従来、この補充および回収作業は人手によって行なわれていた。従って、多数のATMが設置されている場合、このような現金の補充および回収作業は大変な労力を必要としていた。
【0004】
そこで、近年、複数のATMと、各ATMに対して紙幣、硬貨等を人手によらず自動的に補充および回収する受渡し装置と、を備えた現金処理システムが提案されている。
【0005】
この現金処理システムによれば、受渡し装置は、多数のATMや自動計数装置間を自動走行可能な台車と、この台車上に設けられた現金受渡し機構と、を備えて構成されている。現金受渡し機構としては、例えば紙幣を収納したカセットをATM側の紙幣収納部に対して脱着するものや、このカセットとATM側の紙幣収納部との間で紙幣を一枚づつ補充あるいは回収するものが提供されている。
【0006】
このようなカセットの交換あるいは紙幣の受渡しを行なう場合、受渡し装置をATMに対して正確に位置決めする必要がある。そのため、通常、多数のATMや自動計数装置に対して所定の位置にレールあるいは走行テープを設置し、このレールあるいは走行テープに沿って受渡し装置を走行させる方法がとられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようなレールあるいは走行テープを用いる場合、これらを金融機関等の床面上に設置する必要があるとともに、レールあるいは走行テープに対して、複数のATMあるいは自動計数装置を正確に直線的に配置する必要がある。そのため、現金処理システムの設置場所が制限されるとともに設置作業が非常に面倒であり、更に、システム全体が大規模となってしまう。
【0008】
また、一般に、ATMの保守点検等を行なう際にはATM本体から内部ユニットを引き出す必要があるが、この場合、レールが邪魔となって内部ユニットの引き出しが困難になるという問題がある。
【0009】
更に、従来の現金処理システムにおいて、各ATMは、その後面に形成された媒体挿通口を有し、この媒体挿通口を通して、受渡し装置との間で紙幣の受渡しが行われる。また、ATM内において媒体挿通口の近傍には、ATM内の紙幣を媒体挿通口へ搬出する搬出用搬送路と、受渡し装置から媒体挿通口を通して補充された紙幣をATM内へ搬入する搬入用搬送路と、が互いに独立して設けられている。そして、これらの搬出、搬入用搬送路は、複数のローラおよびベルトによって形成されている。
【0010】
しかしながら、上記のようにATMの後端部内に搬出、搬入用搬送路を設けた場合、搬送路のレイアウトが複雑となり、かつ、大きなスペースを必要とする問題がある。特に、ATMの後面部は、係員が後扉を開けてアクセスする部分であり、種々の機構が複雑に配置されていないことが望ましい。
【0011】
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、比較的小型で設置が容易であり、複数の媒体処理装置間で取引媒体の受渡しが可能であるとともに、各媒体処理装置の構成の簡略化を図ることができる媒体処理システムおよび現金処理システムを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に係るこの発明の媒体処理システムは、設置面上に並んで設置された複数の媒体処理装置と、上記媒体処理装置間で取引媒体を受渡す受渡し装置と、を備えている。
【0013】
上記各媒体処理装置は、取引媒体を収納した媒体収納部と、上記媒体収納部に対して外部から取引媒体の補充および回収を行なうための媒体搬入搬出口と、上記媒体搬入搬出口へ取引媒体を搬出するとともに上記媒体搬入搬出口から取引媒体を搬入する搬送手段と、を有している。また、上記搬送手段は、上記媒体搬入搬出口まで延びる連絡通路を形成した搬送部材と、上記搬送部材を一方向および逆方向に駆動し、上記連絡通路を通して取引媒体を搬出方向および搬入方向に選択的に搬送する駆動手段と、を備えている。
【0014】
上記受渡し装置は、上記設置面上を任意の経路に沿って自走可能な台車本体を有する移動台車と、上記移動台車に設けられ、上記媒体処理装置に対する上記移動台車の位置を検出する検出手段と、上記台車本体上に設けられ上記取引媒体を収納可能な媒体保持部と、上記台車本体上に設けられ、上記媒体搬入搬出口と上記媒体保持部との間で取引媒体を搬送する受渡し手段と、上記検出手段の検出結果に応じて上記移動台車を任意の媒体処理装置に対して位置決めするとともに、上記受渡し手段を作動させて上記任意の媒体処理装置と移動台車との間で取引媒体を受渡す制御手段と、を備えている。
【0015】
請求項2に係るこの発明の媒体処理システムによれば、受渡し装置の移動台車は、上記媒体処理装置に対する移動台車の位置を検出する第1の検出手段と、上記媒体処理装置の媒体搬入搬出口に対する上記媒体保持部の位置を検出する第2の検出手段と、上記媒体搬入搬出口に対する上記媒体保持部の位置を調整する位置調整手段と、上記移動台車上に設けられ上記媒体搬入搬出口と上記媒体保持部と間で取引媒体を受渡す受渡し手段と、上記第1の検出手段の検出結果に応じて上記移動台車を任意の媒体処理装置に対して位置決めし、上記第2の検出結果に応じて上記位置調整手段を作動させるとともに、上記受渡し手段を作動させる制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0016】
上記搬送部材は、上記連絡通路を形成した複数の搬送ローラを含み、あるいは、上記搬送ローラに掛け渡された搬送ベルトを更に含み、上記駆動手段は、上記搬送ローラを選択的に正転および逆転させる正逆モータを備えている。
【0017】
請求項7に係るこの発明の現金処理システムは、設置面上に並んで設置された複数の自動取引装置と、上記自動取引装置間で現金を受渡す受渡し装置と、を備えている。
【0018】
上記各自動取引装置は、現金を収納した現金収納部と、上記現金収納部に対して外部から現金の補充および回収を行なうための現金搬入搬出口と、上記現金搬入搬出口へ現金を搬出するとともに上記現金搬入搬出口から現金を搬入する搬送手段と、を有し、上記搬送手段は、上記現金搬入搬出口まで延びる連絡通路を形成した搬送部材と、上記搬送部材を一方向および逆方向に駆動し、上記連絡通路を通して現金を搬出方向および搬入方向に選択的に搬送する駆動手段と、を備えている。
【0019】
また、上記受渡し装置は、上記設置面上を任意の経路に沿って自走可能な台車本体を有する移動台車と、上記移動台車に設けられ、上記自動取引装置に対する上記移動台車の位置を検出する検出手段と、上記台車本体上に設けられ現金を収納可能な現金保持部と、上記台車本体上に設けられ、上記現金搬入搬出口と上記現金保持部との間で現金を搬送する受渡し手段と、上記検出手段の検出結果に応じて上記移動台車を任意の自動取引装置に対して位置決めするとともに、上記受渡し手段を作動させて上記任意の自動取引装置と移動台車との間で現金を受渡す制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0020】
上記のように構成された媒体処理システムおよび現金処理システムによれば、複数の媒体処理装置あるいは自動取引装置が設置面上に並んで設置され、移動台車は制御手段による制御の下、任意の媒体処理装置あるいは自動取引装置と対向する位置まで自走する。その際、移動台車の検出手段により媒体処理装置あるいは自動取引装置に対する移動台車の位置が検出され、移動台車は媒体処理装置あるいは自動取引装置に対して所定の位置に位置決めされる。
【0021】
続いて、媒体保持部が上記任意の媒体処理装置あるいは自動取引装置の搬入搬出口と対向する位置に位置調整され、受渡し手段によって、媒体保持部から取引媒体あるいは現金が搬出あるいは搬入される。媒体処理装置あるいは自動取引装置においては、取引媒体の搬入時、つまり、取引媒体の補充時、搬送手段の搬送部材は駆動手段によって搬入方向に駆動され、搬入搬出口を通して送られてきた取引媒体を連絡通路を通して媒体処理装置あるいは自動取引装置内に搬入する。
【0022】
また、取引媒体の搬出時、つまり、媒体処理装置あるいは自動取引装置から媒体受渡し装置側へ取引媒体を回収する際、上記搬送手段の搬送部材は駆動手段によって逆方向、つまり、搬出方向に駆動され、取引媒体は共通の連絡通路を通して搬入搬出口から媒体受渡し装置側へ送られる。
【0023】
【実施の形態】
以下図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1および図2は、金融機関に設置された現金処理システム全体の構成を概略的に示している。この現金処理システムは、媒体処理装置として、複数、例えば、4台の自動取引装置(以下ATMと称する)10a、10b、10c、10dと、各ATMに対し取引媒体としての紙幣を補充および回収する現金受渡し装置12と、を備えて構成されている。
【0024】
図3に示すように、ATM10aはほぼ矩形箱状の本体200を備え、本体の前面には、利用者に対面するほぼL字形状の接客パネル202が設けられている。接客パネル202の水平部には、タッチパネルを兼ねた表示部204が設けられ、垂直部には、カード挿入口206、通帳挿入口208等が設けられている。また、接客パネル202の水平部基端には、それぞれ扉によって開閉される紙幣入出金口210および硬貨入出金口212が設けられている。
【0025】
本体200内には、紙幣入出金口210を介して利用者に紙幣を入出金するための入出金環流式の紙幣取扱装置214、硬貨入出金口212を介して硬貨を入出金する硬貨取扱装置216、制御ユニット218、通帳プリンタ220、カード/伝票処理装置222等が配設されている。これらの紙幣取扱装置214および硬貨取扱装置216はこの発明における現金収納部を構成している。
【0026】
本体200の後面には、紙幣取扱装置214および硬貨取扱装置216を本体から取出し可能とするための開閉自在な扉224が設けられている。この扉224には、後述する紙幣取扱装置214の搬送連絡部に対向した挿通口226が形成され、この挿通口226は、必要時以外は、上下に開くシャッタ228によって閉じられている。また、紙幣取扱装置214の後面にはコネクタ230が設けられ、挿通口226に対向している。
【0027】
図4に示すように、紙幣取扱装置214は細長い箱状の筐体232を有し、この筐体内の上部には、紙幣入出金口210に対向して入出金ホッパ234が回動自在に設けられている。入出金ホッパ234は、実線で示す立位状態において、入出金口210から投入された多数枚の紙幣を一括して受けれ、あるいは、利用者に出金するとともに、一点鎖線で示す回動位置において、入金された紙幣を繰り出しローラ233によって一枚づつ搬送路内に繰り出し、あるいは、搬送されてくる出金紙幣を受け入れる。
【0028】
また、筐体232内の上部には、繰り出しローラ233によって取り出された入金紙幣を一時的に集積する入金一時集積部235、入出金ホッパ234に払い出される出金紙幣を一時的に集積する出金集積部236、および入金紙幣、出金紙幣の券種、正損、真偽等を検査する鑑査手段としての鑑査部237が設けられている。鑑査部237の近傍には、出金取引時に、折れ券や2枚重ね券等の出金に不適切なリジェクト紙幣を収容するリジェクト庫238が設けられている。
【0029】
入金一時集積部235は、一回の入金取引分だけ紙幣を集積する集積容器235aを有し、その上部開口の近傍には、取出しローラ240、集積ローラ241、および取出しローラを駆動するモータ242が設けられている。また、集積容器235a内には、集積された紙幣Pを取出しローラ240に向けて押し付ける昇降自在なバックアップ板244が設けられている。
【0030】
入金取引時、後述する搬送路を通して送られて来た紙幣は、集積ローラ241によって空状態の集積容器235a内へ取り込まれ、バックアップ板244上に集積される。入金動作が終了すると、集積容器235a内に集積された紙幣は取出しローラ240によって1枚づつ取り出され、搬送路へ繰り出される。なお、取出しローラ240は、独立したモータ242の回転を制御することによって、取引に必要な所定枚数の紙幣を搬送路に繰り出しできるように構成されている。
【0031】
出金一時集積部236は、搬送ベルト対によって構成され、出金紙幣を一旦プールして所定枚数になった時点で、一括して入出金ホッパ234へ放出する。
筐体232内の下部には、入金された紙幣を収容する媒体収納部としての第1ないし第3のスタッカ246、247、248が並んで配設されている。これら第1ないし第3のスタッカ246、247、248は、それぞれ万円紙幣を収容する万円庫、千円紙幣を収容する千円庫、その他の紙幣を収容する金庫として用いられている。
【0032】
これら第1ないし第3のスタッカ246、247、248は、全て同一構成を有している。例えば、第1のスタッカとしての万円スタッカ246は、その上部開口の近傍に設けられた取出しローラ250aおよび集積ローラ250bを備えている。取出しローラ250aは独立したモータ252によって回転駆動される。また、万円スタッカ246内には、モータ253およびベルト254によって駆動されるバックアップ板255が昇降自在に配設されている。
【0033】
出金取引時、万円スタッカ246内に水平に集積された紙幣は、バックアップ板255によって取出しローラ250aに向かって押し付けられ、取出しローラ250aによって最上部の紙幣から1枚づつ取り出される。また、入金取引時、搬送路を通して送られてきた紙幣は、集積ローラ250bによって万円スタッカ246内に取り込まれ、スタッカ内の紙幣の上に集積される。バックアップ板255は、図示しないセンサ制御により、出金時は、紙幣を取出しローラ250aに押し付けるように上方に移動し、入金時は、集積紙幣の最上部と集積ローラ250bとの間に所定寸法の空間を形成し、入金紙幣の収容スペースを確保する。
【0034】
第3のスタッカ248と筐体232の後壁との間には、第4のスタッカ256が並んで設けられている。第4のスタッカ256は他のスタッカと同様の構成を有しているが、紙幣装填スタッカとして機能する。すなわち、係員によって第4のスタッカ256に紙幣がセットされると、第4のスタッカから1枚づつ紙幣を繰り出して第1ないし第3のスタッカ246、247、248に供給することができるとともに、第1ないし第3のスタッカから取出した紙幣を第4のスタッカに収容することもできる。従って、係員は、第4のスタッカ256にのみアクセスするだけで、第1ないし第3のスタッカ246、247、248の各々に対して紙幣の装填あるいは回収を行うことができる。
【0035】
筐体232内には、各構成部分を通して紙幣を1枚づつ搬送するための多数の搬送路が形成されている。これらの搬送路は、多数の搬送ローラ257と、搬送ローラに掛け渡された多数の搬送ベルト258とによって構成され、紙幣を搬送ベルト間に挟んだ状態で搬送する。
【0036】
搬送路を構成する搬送ローラ257および搬送ベルト258を駆動するためのメインモータ260は一方向にのみ回転駆動され、後述する搬送連絡部を除き、紙幣を搬送路に沿って所定の一方向に搬送する。
【0037】
筐体232の後壁中央部にはほぼ矩形状の紙幣搬入搬出口262が形成され、ATM本体200の扉224に設けられた挿通口226と対向している。また、筐体232内の後端部ほぼ中央には、搬送手段として機能する搬送連絡部264が設けられている。搬送連絡部264は、複数の搬送ローラ265(ハッチングの付された搬送ローラ)と、これらに掛け渡された複数の搬送ベルト266とを有し、こられ搬送ローラおよび搬送ベルトにより搬送連絡通路268を形成している。
【0038】
搬送連絡通路268は、紙幣搬入搬出口262の近傍からほぼ水平に延びて紙幣取扱装置214内の搬送路に連通している。また、搬送ローラ265および搬送ベルト266は、駆動手段としての正逆回転自在な正逆モータ280により、駆動ベルト281を介して駆動される。従って、正逆モータ280の回転方向を制御することにより、搬送連絡通路268を通る紙幣を通常の搬送方向およびこれと逆方向に搬送することができる。その結果、搬送連絡部264は、後述するように、1本の搬送連絡通路268を通して、挿通口226および紙幣搬入搬出口262を介して外部から供給された紙幣を一枚づつ筐体232内に搬入するとともに、第1ないし第3のスタッカ246、247、248から回収した紙幣を一枚づつ搬出することができる。
【0039】
また、搬送路の所定位置には、紙幣の搬送経路を切り換えて紙幣を所定の部位へ搬送するための複数の振り分けゲートG1ないしG9が設けられている。各振り分けゲートは、図示しないソレノイド等によって2位置間を回動され、紙幣を2方向のいずれかに振り分ける。
【0040】
その他、筐体232内には、上述した種々の機構部をATM10aの主制御部218からのプログラム指示に従って制御するユニット制御部282等が設けられている。ユニット制御部282は主制御部218と共にこの発明における制御手段を構成している。
【0041】
なお、他のATM10b、10c、10dは、上述したATM10aと同様に構成されいる。そして、これらのATM10aないし10dは、その後面が平行に揃った状態で、金融機関の床面25上に並んで設置されている。
【0042】
図2に示すように、4台のATM10aないし10dは、それぞれLANアダプタ27を介して金融機関のローカルエリアネットワーク(LAN)28に接続されている。また、LAN28には、各ATM10aないし10dを監視する運用管理端末としてパーソナルコンピュータ等のサーバー30が接続されている。そして、このサーバー30には、各ATM10aないし10dからATMの動作状態、例えば障害発生状況や、取扱媒体としての紙幣や硬貨の残量等がLAN28を介して随時報告される。
【0043】
一方、図1および図2に示すように、現金受渡し装置12は、ALN28に接続された送信手段としてのキャリアステーション32と、キャリアステーション32からの指令に従い、ATM10aないし10dの後面に沿って床面25上を自走する移動台車としてのカセットキャリア34と、を備えている。
【0044】
キャリアステーション32は、LAN28を介してサーバー30に接続されたパーソナルコンピュータからなるモニタ35を備え、このモニタ35はサーバー30との間で情報および指令の連絡を行なう。サーバー30からLAN28を介してモニタ35に入力された指令は、コンバータ36によって無線信号に変換され、更に、無線モデム37、アンテナ38を介してカセットキャリア34へ送信される。そして、カセットキャリア34は、キャリアステーション32からの指令に従って所定のATMと対向する位置まで自走し、このATMに対して現金の受渡しを行なう。
【0045】
図1および図5に示すように、カセットキャリア34は、台車本体として機能する台車40、台車40上に取り付けられたスライド機構42、台車40上にスライド機構42を介して支持され媒体保持部あるいは現金保持部として機能する配送カセット43、配送カセット43を覆ったほぼ矩形箱状のハウジング44等を備えて構成されている。
【0046】
図5ないし図7に示すように、台車40は左右2つの駆動輪46a、46b、および1つの従動輪47が取り付けられた矩形板状のベース45を有し、これらの車輪により床面25上を走行可能となっている。
【0047】
一方の駆動輪46aは、ベース45上に設けられたウォーム減速機48、カップリング49を介してサーボモータ50aに接続され、他方の駆動輪46bもウォーム減速機48、カップリング49を介してサーボモータ50bに接続されている。そして、左右の駆動輪46a、46bは独立した2つのサーボモータ50a、50bによって別々に駆動され、これらサーボモータ50a、50bを正転/逆転および速度制御することにより、台車40は床面25上を直線的あるいは曲線的に往復道することができる。
【0048】
また、従動輪47はいわゆるキャスタ構造を有し、台車40が曲線走行する際、あるいは前進から後進に切り替わる際に対応できるように、軸51の回りで回転自在に取り付けられている。なお、駆動輪46a、46b、従動輪47、ウォーム減速機48、サーボモータ50a、50bは、この発明における走行機構を構成している。
【0049】
左右の駆動輪46a、46b間においてベース45には回動自在な回動アーム52が支持され、この回動アーム52の先端には摩擦車53が取り付けられている。摩擦車53は床面25に接触して設けられ、台車40の走行に連動して床面25上を転動する。また、摩擦車53の回転は、ベルト54を介して、ベース40上に設けられたエンコーダ55に伝達され、エンコーダ55は伝達された回転を所定のパルス数としてカウントし後述する制御部に入力する。
【0050】
ベース45上には、駆動源として作用する一対の充電式のバッテリ56が載置されている。これらのバッテリ56は、サーボモータ50a、50bを駆動するとともに、後述するようにカセットキャリア34の他の電気系すべてに給電する。また、バッテリ56は、ハウジング44の後面に設けられたコネクタ57を、キャリアステーション32に設けられた給電ソケット58(図1参照)に接続することによって充電される。
【0051】
図5に示すように、台車40の前後部にはそれぞれバンパ60、61が取り付けられ、更に、バンパ60、61の裏側には後述する圧力センサ62、63がそれぞれ取り付けられている。そして、バンパ60、61に異物や人体が接触して圧力が作用すると、圧力センサ62、63が反応し、これに応じて制御部によりサーボモータ50a、50bが停止され、カセットキャリア34の走行が停止される。
【0052】
また、ハウジング44の前壁および後壁にはそれぞれ反射型センサ64が設けられ、反射型センサ64の検知範囲65であるカッセトキャリア34の前後約1mの範囲に人体等の反射物が出現すると、反射型センサはこれを検知して上記と同様にカセットキャリア34の走行を停止する。
【0053】
このような圧力センサ62、63および反射型センサ64を備えた安全装置に加えて、ハウジング44の上面にはパトロールライト66が取り付けられ、このパトロールライト66はカセットキャリア34の走行中に回転しながら点灯する。
【0054】
また、ATM10aないし10dの後面と対向するハウジング44の側壁44aには、任意のATMに対してカセットキャリア34を位置決めするための一対の反射型距離センサ68a、68bがX方向に沿って所定の間隔を置いて取り付けられている。これらの反射型距離センサ68a、68bは超音波センサで構成され、ハウジング44の側壁44aから反射面、つまり、ATMの後面までの垂直方向距離をミリ単位で精密に測定することができる。反射型距離センサ68a、68bは、この発明における検出部として機能し、後述する距離測定回路106とともに検出手段および第1の検出手段を構成している。
【0055】
側壁44aの上部には赤外線リモコンの発光部67aが設けられている。各ATM10aないし10dの後面には、発光部67からの赤外線を受信する受光部67bが設けられ、受光部67bによって赤外線が受信されるとATMのシャッタ228が開けられ挿通口226が開放される。
【0056】
更に、ハウジング44の上面にはアンテナ70が設けられ、このアンテナ70は後述するモデムに接続されている。そして、このアンテナ70を介して、キャリアステーション32とカセットキャリア34との間で信号の送受信が行なわれる。また、ハウジング44の上面には、係員が手動でカセットキャリア34を作動させるための操作ノブ71が設けられている。
【0057】
一方、図5および図8ないし図10に示すように、ハウジング44の側壁44aには矩形状の開口44bが形成され、配送カセット43はこの開口44bに対向した状態でハウジング44内に配設されている。配送カセット43は開口44bを通過可能な大きさの矩形箱状に形成されている。
【0058】
配送カセット43の側壁下部には開口44bに受かって突出した突出部43aが形成され、この突出部の先端面には、受渡し口73が形成されている。突出部43aはATM10aないし10dの挿通口226に挿入可能な大きさに形成されているとともに、受渡し口73は、紙幣取扱装置214の紙幣搬入搬出口262とほぼ同一の大きさに形成されている。
【0059】
配送カセット43内には紙幣集積箱284が配設されている。この紙幣集積箱284内には、多数枚の紙幣を積層状態で集積した紙幣集積部286、紙幣集積部の上方に位置したリジェクト集積部287、紙幣集積部の下方に設けられ紙幣集積部から紙幣を一枚づつ取り出す取り出しローラ288、紙幣集積部の上端近傍に位置した取り込みローラ290、リジェクト集積部に隣接して位置したリジェクト取り込みローラ292等が設けられている。
【0060】
また、配送カセット43内には、受渡し手段および搬送機構として機能する紙幣搬入搬出部291が設けられている。この紙幣搬入搬出部291は、受渡し口73に隣接して位置した搬入搬出ローラ294、296、取り込みローラ290と対向した第1の搬送ローラ297、リジェクト取り込みローラ292と対向した第2の搬送ローラ298、駆動ローラ300、複数のガイドローラ302、これらのローラに掛け渡されて搬送路を形成した複数の搬送ベルト304を備えている。
【0061】
それにより、配送カセット43内には、紙幣集積部286から取り出された紙幣を受渡し口73へ搬送する充填通路301aと、充填通路の中途部から上方に向かって取り込みローラ290およびリジェクト取り込みローラ292の近傍まで延びた回収通路301bと、が形成されている。
【0062】
また、配送カセット43内には、取り出しローラ288を駆動する第1の駆動モータ306、駆動ローラ300を駆動する正逆回転自在な第2の駆動モータ307、第1および第2の搬送ローラ297、298間に配置され回収紙幣とリジェクト紙幣とを振り分ける振り分けゲート308、および充填通路と回収通路と間に設けられ、回収紙幣を回収通路へ振り分ける振り分けゲート309が設けられている。
【0063】
ATM側に紙幣を補充する場合、第1および第2の駆動モータ306、307が駆動されると、取り出しローラ288によって紙幣集積部286の最下部から一枚づつ紙幣が取り出され、ガイドローラ302、搬送ベルト304、搬入搬出ローラ294、296により、充填通路301aおよび受渡し口73を介して紙幣がATM側に供給される。
【0064】
また、ATM側から紙幣を回収する場合、第2の駆動モータ307が逆転駆動され、ATM側から搬出された紙幣は、搬入搬出ローラ294、296、搬送ベルト304を介して第1の搬送ローラ297まで搬送され、回収紙幣であれば振り分けゲート308によって紙幣集積部286の上部へ振り分けられ取り込みローラ290によって紙幣集積部286内に集積される。リジェクト紙幣である場合、この紙幣は振り分けゲート308によって第2の搬送ローラ298へ導かれ、リジェクト取り込みローラ292によってリジェクト集積部287に集積される。
【0065】
配送カセット43の突出部43aの先端面には、ATM側から配送カセット43を制御するためのコネクタ76が設けられている。つまり、コネクタ76は、後述するように配送カセット43の紙幣搬入搬出部291がATM側の紙幣連絡部264に接続された際、ATMの紙幣取扱装置22に設けられたコネクタ230に接続され、コネクタ76を介してATM側から配送カセット43の第1および第2の駆動モータ306、307の動作を制御することが可能となる。
【0066】
図8ないし図10に示すように、配送カセット43は、カセットキャリア34とATMとの間で配送カセットを移動させるスライド機構42、ATMの挿通口226に対する配送カセット43の位置を微調整する位置調整手段としての微調整機構78、および支持フレーム80を介して台車40のベース45上に支持されている。
【0067】
詳細に述べると、支持フレーム80はベース45上に立設され、微調整機構78は、この支持フレーム80上に載置された下テーブル82および上テーブル83を備えている。下テーブル82はリニアスライダ84を介して支持フレーム80上に載置され、X方向に沿って往復動可能となっている。そして、下テーブル82は、支持フレーム80上に設置されたモータ86によりボールネジ85を介してX方向に往復移動される。
【0068】
下テーブル82上に配置された上テーブル83は、Y方向に延びるボールネジ87aないし87dによってその4隅が下テーブルに支持されている。これらのボールネジ87aないし87dは上テーブル83上に取り付けられた4つのモータ88aないし88dにそれぞれ接続され、各モータ88aないし88dを駆動することにより上テーブル83の4隅をそれぞれ独立して上下動、つまり、Y方向へ移動させることができる。
【0069】
例えば、上テーブル83が水平な状態で4つのモータ88aないし88dを同量回転させると、上テーブル83は水平状態のまま上下移動する。また、図1に示すXYZ座標を用いる場合、モータ88aおよび88bを同時に回転させると、上テーブル83はX軸を中心としてTz方向にチルトし、モータ88aおよび88cを同時に回転されると、上テーブル83はZ軸を中心としてTy方向にチルトする。
【0070】
従って、モータ86および4つのモータ88aないし88dを制御することにより、上テーブル83はX方向、Y方向に平行移動できるとともに、TzおよびTy方向にチルトさせることができる。
【0071】
スライド機構42は、上テーブル83に立設された一対の支柱90にそれぞれ取り付けられた左右のスライドレール91a、91bと、これらのスライドレール91a、91bに支持されたベース板92とを有している。各スライドレール91a、91bはZ方向に延び、それにより、ベース板92はZ方向へ往復移動可能となっている。そして、このベース板92上に配送カセット43が載置されている。
【0072】
図10に示すように、スライド機構42の駆動部94は、上テーブル83上に設けられたモータ94、大プーリ95、および複数の小プーリ96aないし96dを備え、モータ94と大プーリ95とには駆動ベルト97が巻装され、大プーリと小プーリとにはベルト98が巻装されている。このベルト98の一部は、連結部98aを介してベース板92に連結されている。小プーリ96aないし96dの内、小プーリ96b、96cは上テーブル83上をZ方向に沿って往復動自在に設けられている。
【0073】
そして、モータ94により駆動ベルト97を介して大プーリ95を回転させると、ベルト98が走行し、連結部98aを介してベース板92がZ方向に移動される。この際、小プーリ96b、96cは動滑車的に移動し、連結部98aおよびベース板83は大きなストロークでZ方向に往復動することができる。それにより、ベース板92上に載置された配送カセット43は、ハウジング44内に収納された収納位置と、ハウジング44から外方に突出し任意のATMに接続可能な接続位置との間を移動される。
【0074】
なお、上記スライド機構42は、配送カセット43の紙幣搬入搬出部291とともにこの発明における受渡し手段を構成している。
また、配送カセット43をATMの挿通口226に対して高精度に位置決めするため、上テーブル83上にはATM側に向かって一対の反射型センサ100a、100bが設けられ、更に、ベース板92上にはATM側に向かって1つの反射型センサ102が設けられている。これらの反射型センサ100a、100b、および102は、この発明における第2の検出手段として機能する。
【0075】
図11は上記のように構成されたカセットキャリア34の制御系の構成を概略的に示している。つまり、カセットキャリア34は、マイクロコンピュータを主体とする制御手段としての制御部104を備え、この制御部はROM105に格納された制御プログラムに従って上述した種々の機構の動作を制御する。制御部104には、反射型距離センサ68a、68bからの信号に基づいてATMに対するカセットキャリア34の距離、傾き(平行度)を測定する距離測定回路106、距離測定回路106による測定結果に応じて駆動輪46を駆動するモータ50a、50bの回転を制御するサーボ回路107、エンコーダ55、バッテリ56、反射型センサ64、圧力センサ62、63、およびパトロールライト66が接続されている。
【0076】
また、制御部104には、微調整機構78のモータ86およびモータ88aないし88dを駆動するドライバー108、110、反射型センサ100a、100b、102、アンテナ70に無線信号を送るモデム112、赤外線リモコンの発光部67a、およびカセットキャリア34の停止位置等を記憶するメモリ114が接続されている。
【0077】
更に、制御部104には、配送カセット43の動作を制御する配送制御部310が接続されている。配送制御部310には、第1および第2の駆動モータ306、307、配送カセット43の位置を検出する位置センサ312、コネクタ76が接続されている。
【0078】
次に以上のように構成された現金処理システムの動作について説明する。
まず、現金処理シテムスを金融機関等に設置した後、実際の運用動作を開始する前にカセットキャリア34の学習を行なう。つまり、キャリアステーション32から各ATM10aないし10dに対向する位置までどれだけ走行すべきかをカセットキャリア34に記憶させる。
【0079】
この場合、図12に示すように、カセットキャリア34がキャリアステーション32にドッキングしている時のカセットキャリア34の後面の位置を基準位置Rとし、ATM10aのキャリアステーション32側の側面に対するカセットキャリア34の反射型距離センサ68aのX方向距離Lが約3cm程度となる時のカセットキャリア後面の位置をATM10aに対するカセットキャリア34の停止位置Aとする。同様に、ATM10b、10c、10dに対して反射型距離センサ68aのX方向距離Lが約3cm程度となる時のカセットキャリア後面の位置を、それぞれATM10b、10c、10dに対するカセットキャリア34の停止位置B、C、Dとする。そして、カセットキャリア34を基準位置Rから各停止位置A、B、C、Dまで走行させ、その際、エンコーダ55の回転パルス数をカウントし、距離RA、AB、BC、CDに対応するパルス数をメモリ114に記憶する。
【0080】
上述した学習が終了した後、実際の運用動作が開始される。通常の動作において、サーバー30は各ATM10aないし10dの動作状態を監視し、サーバー30には、各ATM10aないし10dからATMの動作状態、例えば障害発生状況や、取扱媒体としての紙幣や硬貨の残量等がLAN28を介して随時報告される。
【0081】
サーバー30はこれらの情報に基づき、どのATMの紙幣残量が少なく、どのATMの紙幣残量が多いかを認識し、更に、今後どのATMが多く利用されるかという予測情報も勘案して最終的にどのATMから紙幣を回収しどのATMへ紙幣を充填するかを決定する。例えば、ATM10aから紙幣を回収してATM10cへ充填する場合、サーバー30はその旨の指令を発する。
【0082】
この指令はLAN28を介してキャリアステーション32およびATM10a、10cへ入力される。ATM10a、10cは、紙幣の受渡しのためにカセットキャリア34が到着するまで待機状態となる。但し、待機状態においても、各ATM10a、10cは利用者との取引が可能となっている。
【0083】
キャリアステーション32に入力された指令はモニタ35、コンバータ36、モデム37、アンテナ38を介して送信され、更に、カセットキャリア34のアンテナ70、モデム112を介して制御部104に入力される。
【0084】
これに応じて制御部104はモータ50a、50bによって駆動輪46を回転させ、カセットキャリア34をATM10aに向かって走行させる。カセットキャリア34の走行に伴って摩擦車53が回転しエンコーダ55が回転パルスを発生する。そして、制御部104は、エンコーダ55のパルス数が学習時に設定した所定のパルス数、つまり、RAのパルス数に達した時点でモータ50a、50bの駆動を停止する。それにより、カセットキャリア34はATM10dに対応する停止位置Aに停止する。
【0085】
なお、床面25の状態によっては、駆動輪46あるいは摩擦車53がスリップしてカセットキャリア34が停止位置Aに正確に停止しない場合もあるが、距離Lがほぼ3cm程度となっていれば何等問題は生じない。
【0086】
続いて、制御部104は、反射型距離センサ68bからの検出信号に応じてカセットキャリア34とATM10a後面との間の距離Dが所定の値であることを確認しながら、反射型距離センサ68aによってATM10aのキャリアステーション32側の側縁Eが検出されるまで、カセットキャリア34を停止位置Aから更に走行させる。そして、制御部104は、側縁Eが検出された位置から、予めROM105に格納されているプログラムに従った所定距離だけ、つまり、所定のパルス数だけカセットキャリア34を走行させた後停止する。
【0087】
また、制御部104は、反射型距離センサ68a、68bからの検出信号に基づいてATM10aの後面に対するカセットキャリア34の傾き、つまり、平行度を測定し、傾いている場合には、反射型距離センサ68aによる検出距離Dと反射型距離センサ68bによる検出距離Dとが一致するように、いずれかの駆動輪46を駆動して傾きを補正する。
【0088】
以上の動作により、図13に示すように、カセットキャリア34は、その開口44bがATM10aの挿通口226とほぼ対向する位置へ移動および位置決めされる。この状態で、赤外リモコンの発光部67aからシャッタ228の開放信号が出力され、ATM10aは、受光部67bで開放信号を受信した時点でシャッタ228を開け挿通口226を開放する。
【0089】
次に、制御部104は、反射型センサ100a、100b、102からの検出信号によって下テーブル82および上テーブル83とATM10aの挿通口226との間の位置ずれを測定し、ずれている場合には微調整機構78によって下テーブル82をX方向、上テーブル83をY方向、Tzチルト、Tyチルトさせることにより、位置ずれを精密に補正する。従って、上テーブル83上に載置された配送カセット43は、その突出部43aが挿通口226と正確に対向した位置に位置決めされる。
【0090】
上述した微調整が終了した後、制御部104はスライド機構42を作動させて配送カセット43をハウジング44内の収納位置から接続位置へ移動させる。それにより、図14に示すように、配送カセット43の突出部43aはATM10aの挿通口226を通過し、突出部43aに設けられた受渡し口73は、紙幣取扱装置214後壁の紙幣搬入搬出口262と隣接対向する。それにより、配送カセット43の紙幣搬入搬出部291が紙幣取扱装置214の搬送連絡部264に接続される。また、配送カセット43のコネクタ76が紙幣取扱装置214のコネクタ230に接続され、情報の授受が可能となる。
【0091】
上述した接続作業が終了すると、制御部104により終了信号がモデム112およびアンテナ70を介してキャリアステーション32に送信され、更に、LAN28を介してサーバー30へ入力される。これを受けたサーバー30は、ATM10aに対して配送カセット43の接続終了を連絡し、ATM10aの紙幣取扱装置214に、例えば、一万円紙幣を400枚の紙幣を回収する旨の指示を入力する。
【0092】
これに応じて、紙幣取扱装置214は、メインモータ260およびモータ252を駆動するとともに、搬送連絡部264の正逆モータ280を例えば、正転方向に駆動し搬送ベルト266を正方向に走行させる。それにより、万円庫246から紙幣が一枚づつ取り出され、搬送路を通して搬送連絡部264へ搬送され、更に、搬送連絡部により搬送連絡通路268を通して搬入搬出口262から搬出される。
【0093】
また、紙幣取扱装置214は、コネクタ230、76を介して配送カセット43の第2の駆動モータを駆動する。それにより、取り出された指定枚数分の紙幣は、順次、紙幣搬入搬出口262から搬出されて配送カセット34側の紙幣搬入搬出部291へ送られ、更に、搬送ベルト304および取り込みローラ290を介して紙幣集積部286内に回収される。なお、利用者によりATM10aが使用されている場合には、その取引が終わった後に上記回収動作が開始される。
【0094】
回収動作が終了すると、ATM10aからサーバー30へ終了報告がなされ、この報告を受けたサーバー30はLAN28およびキャリアステーション32を介して終了信号をカセットキャリア34へ送る。これに応じて、カセットキャリア34の制御部104はスライド機構42を駆動して配送カセット43を装填位置から収納位置へ移動させ、ATM10aからハウジング44内へ収容する。
【0095】
続いて、図16に示すように、制御部104は上記と同様の動作によりカセットキャリア34をATM10cに対する停止位置Cまで移動させた後、ATM10cに対して位置決めする。この状態で、赤外リモコンの発光部67aからATM10cのシャッタ228の開放信号が出力され、ATM10cは、受光部67bで開放信号を受信した時点でシャッタ228を開け挿通口226を開放する。
【0096】
次に、制御部104は、微調整機構78によって配送カセット43の位置を微調整し、配送カセット43の突出部43aをATM10cの挿入口226に対して正確に位置決めする。微調整が終了した後、制御部104はスライド機構42を作動させて配送カセット43をハウジング44内の収納位置から接続位置へ移動させる。それにより、配送カセット43の突出部43aはATM10cの挿通口24を通過し、突出部43aに設けられた受渡し口73は、紙幣取扱装置214の紙幣搬入搬出口262と隣接対向する。そして、配送カセット43の紙幣搬入搬出部291が紙幣取扱装置214の搬送連絡部264に接続され、また、配送カセット43のコネクタ76が紙幣取扱装置214のコネクタ230に電気的に接続され、情報の授受が可能となる。
【0097】
配送カセット43の接続作業が終了すると、制御部104により終了信号がモデム112およびアンテナ70を介してキャリアステーション32に送信され、更に、LAN28を介してサーバー30へ入力される。これを受けたサーバー30は、ATM10cに対して配送カセット43の接続終了を連絡し、ATM10cの紙幣取扱装置214に、配送カセット34から400枚の一万円紙幣を補充する旨の指示を入力する。
【0098】
これに応じて、紙幣取扱装置214は配送カセット43の第1および第2の駆動モータ306、307を駆動し、取り出しローラ288によって紙幣集積部286の最下部から順次紙幣を取り出す。同時、紙幣取扱装置214は、メイモータ260を駆動するとともに、搬送連絡部264の正逆モータ280を逆方向に回転駆動し搬送ベルト266を逆方向に走行させる。
【0099】
それにより、配送カセット43の紙幣集積部286から取り出された紙幣は、ガイドローラ302、搬送ベルト304を介して紙幣搬入搬出部291へ送られ、受渡し口73および紙幣搬入搬出口262を通して紙幣取扱装置214の搬送連絡部264へ送られる。そして、各紙幣は、搬送連絡部264により搬送連絡通路268を通して紙幣取扱装置214内へ搬入され、更に、搬送路を通って所定の金庫、例えば、万円庫246に所定枚数補充される。なお、利用者によりATM10cが使用されている場合には、その取引が終わった後に上記補充動作が開始される。
【0100】
上述した補充動作が終了すると、配送カセット43がカセットキャリア34のハウジング44内に戻された後、カセットキャリア34は基準位置Rへ戻される。
【0101】
以上のように構成された現金処理システムによれば、現金受渡し装置12により複数のATM間で現金を自動的に受渡すことができ、作業員の労力を大幅に低減することができる。そして、現金受渡し装置12のカセットキャリア34は、ガイドレール、走行テープ等を用いることなく無軌道および無線により任意のATM間を移動することができる。そのため、ガイドレール、走行テープ等を設置する必要がなく、現金処理システムを比較的容易に、かつ、安価に設置することができるとともに、システム全体も小型にすることが可能となる。
【0102】
また、現金受渡し装置12は、ATMに対してカセットキャキャリア34を位置決めする位置決め機構に加えて、ATMの挿通口226に対する配送カセット43の位置を微調整する微調整機構78を備えているため、現金処理システムの設置面、つまり、金融機関等の床面25が多少傾いている場合でも配送カセット43をATMに対して確実に装填し現金を確実に受渡すことがができる。従って、通常の床であれば特別な工事を施すことなく現金処理システムを設置することができ、設置コストの一層の低減を図ることができるとともに、現金処理システムの設置場所を比較的自由に選択することが可能となる。
【0103】
また、上述した現金処理システムによれば、各ATMにおける紙幣取扱装置214の搬送連絡部264は、正逆回転自在な正逆モータ280を備えて構成され、1本の搬送連絡通路268を通して紙幣を搬入および搬出することができるため、搬入用の通路と搬出用の通路とが独立して設けられた搬送連絡部に比較して、構成の簡略化および、搬送ベルト、搬送ローラ等の部品点数の削減を図ることができる。その結果、搬送連絡部264を小型化して紙幣取扱装置内における搬送連絡部の設置スペースを削減することができ、また、空いたスペースを他の目的に活用することが可能となる。
【0104】
更に、上記現金受渡し装置によれば、カセットキャリア34に設けられた一対の反射型距離センサ68a、68bは、ATMに対してカセットキャリア34のX方向、つまり、走行方向の位置決めするために用いられるとともに、これらのセンサによりATM裏面に対するカセットキャリアの傾きおよび平行度を検出することもできる。従って、比較的少数のセンサによりカセットキャリアをATMに対して正確に位置決めすることができ、現金受渡し装置の構成の簡略化および製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0105】
なお、この発明は上述した実施例に限定されることなく、この発明の範囲内で種々変形可能である。例えば、上記実施例において、複数のATMは直線的に配列され、カセットキャリア34も直線的に往復移動する構成としたが、必要に応じて複数のATMを曲線的あるいは屈曲して配置するようにしてもよく、この場合においても、カセットキャリア34はATMの配列に沿って自由に移動することができる。
【0106】
また、現金処理システムはATMに限らず、他の機器、例えば、現金計数装置等を含んで構成されていてもよい。また、取扱媒体は紙幣に限らず、硬貨、通帳、カード、ジャーナル用紙等種々のものに適用することが可能であり、かつ、複数種類の取扱媒体を一度に取扱うようにしてもよい。
【0107】
更に、上記実施例では、現金受渡し装置によりいずれかのATMから現金を回収し、回収した現金を他のATMに充填する動作を示したが、これに限らず、現金受渡し装置によって、ATMからの現金の回収、あるいはATMへの現金の充填のみを行なうようにしてもよい。
【0108】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、レール、走行テープ等を設ける必要がなく比較的小型で設置が容易であるとともに、複数の媒体取扱装置間で取引媒体の受渡しが可能であり、更に、各媒体取扱装置の連絡通路部分の簡略化および小型化した媒体処理システムおよび現金処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係る現金処理システム全体を概略的に示す斜視図。
【図2】上記現金処理システム全体の構成を概略的に示すブロック図。
【図3】上記現金処理システムにおける自動取引装置を示す斜視図。
【図4】上記自動取引装置の断面図。
【図5】図5(a)は上記現金処理システムのカセットキャリアの平面図、
図5(b)は上記カセットキャリアの側面図、
図5(c)は上記カセットキャリアの正面図である。
【図6】上記カセットキャリアの台車の平面図。
【図7】上記台車を一部破断して示す側面図。
【図8】上記カセットキャリアの配送カセット、スライド機構、および微調整機構を示す正面図および断面図。
【図9】上記微調整機構の一部を概略的に示す斜視図。
【図10】上記スライド機構の駆動部を示す平面図。
【図11】上記カセットキャリア全体の構成を概略的に示すブロック図。
【図12】上記カセットキャリアを現金自動取引装置に対して位置決めする工程を説明するための概略図。
【図13】上記自動取引装置に対してカセットキャリアを位置決めした状態を示す断面図。
【図14】上記自動取引装置に対してカセットキャリアの配送カセットを接続した状態を示す断面図。
【図15】上記自動取引装置に対してカセットキャリアの配送カセットを接続し、紙幣を回収する工程を示す断面図。
【図16】上記自動取引装置に対してカセットキャリアの配送カセットを接続し、紙幣を補充する工程を示す断面図。
【符号の説明】
10a、10b,10c、10d…自動取引装置
12…現金受渡し装置 23…カセット装填部
25…床面 30…サーバー
32…キャリアステーション
34…カセットキャリア 40…台車
42…スライド機構 43…配送カセット
68a、68b…反射型距離センサ
78…微調整機構
100a、100b、102…反射型センサ
104…制御部 106…距離測定回路
214…紙幣取扱装置
226…挿通口 228…扉
262…紙幣搬入搬出口
264…搬送連絡部 268…搬送連絡通路
280…正逆モータ
291…紙幣搬入搬出部
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動取引装置等の複数の媒体処理装置と、これらの媒体処理装置に対して現金等の取扱媒体を自動的に補充および回収する受渡し装置と、を備えた媒体処理システムおよび現金処理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
金融機関等においては、顧客に対して現金の支払、振込等を自動的に行なう自動取引装置(以下ATMと称する)が広く普及し、その設置台数も増加の一途をたどっている。また、ATMと共に、現金を自動的に計数する自動計数装置等が広く用いられている。
【0003】
ATMはその使用状況に応じて現金の補充や回収が必要であり、従来、この補充および回収作業は人手によって行なわれていた。従って、多数のATMが設置されている場合、このような現金の補充および回収作業は大変な労力を必要としていた。
【0004】
そこで、近年、複数のATMと、各ATMに対して紙幣、硬貨等を人手によらず自動的に補充および回収する受渡し装置と、を備えた現金処理システムが提案されている。
【0005】
この現金処理システムによれば、受渡し装置は、多数のATMや自動計数装置間を自動走行可能な台車と、この台車上に設けられた現金受渡し機構と、を備えて構成されている。現金受渡し機構としては、例えば紙幣を収納したカセットをATM側の紙幣収納部に対して脱着するものや、このカセットとATM側の紙幣収納部との間で紙幣を一枚づつ補充あるいは回収するものが提供されている。
【0006】
このようなカセットの交換あるいは紙幣の受渡しを行なう場合、受渡し装置をATMに対して正確に位置決めする必要がある。そのため、通常、多数のATMや自動計数装置に対して所定の位置にレールあるいは走行テープを設置し、このレールあるいは走行テープに沿って受渡し装置を走行させる方法がとられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようなレールあるいは走行テープを用いる場合、これらを金融機関等の床面上に設置する必要があるとともに、レールあるいは走行テープに対して、複数のATMあるいは自動計数装置を正確に直線的に配置する必要がある。そのため、現金処理システムの設置場所が制限されるとともに設置作業が非常に面倒であり、更に、システム全体が大規模となってしまう。
【0008】
また、一般に、ATMの保守点検等を行なう際にはATM本体から内部ユニットを引き出す必要があるが、この場合、レールが邪魔となって内部ユニットの引き出しが困難になるという問題がある。
【0009】
更に、従来の現金処理システムにおいて、各ATMは、その後面に形成された媒体挿通口を有し、この媒体挿通口を通して、受渡し装置との間で紙幣の受渡しが行われる。また、ATM内において媒体挿通口の近傍には、ATM内の紙幣を媒体挿通口へ搬出する搬出用搬送路と、受渡し装置から媒体挿通口を通して補充された紙幣をATM内へ搬入する搬入用搬送路と、が互いに独立して設けられている。そして、これらの搬出、搬入用搬送路は、複数のローラおよびベルトによって形成されている。
【0010】
しかしながら、上記のようにATMの後端部内に搬出、搬入用搬送路を設けた場合、搬送路のレイアウトが複雑となり、かつ、大きなスペースを必要とする問題がある。特に、ATMの後面部は、係員が後扉を開けてアクセスする部分であり、種々の機構が複雑に配置されていないことが望ましい。
【0011】
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、比較的小型で設置が容易であり、複数の媒体処理装置間で取引媒体の受渡しが可能であるとともに、各媒体処理装置の構成の簡略化を図ることができる媒体処理システムおよび現金処理システムを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に係るこの発明の媒体処理システムは、設置面上に並んで設置された複数の媒体処理装置と、上記媒体処理装置間で取引媒体を受渡す受渡し装置と、を備えている。
【0013】
上記各媒体処理装置は、取引媒体を収納した媒体収納部と、上記媒体収納部に対して外部から取引媒体の補充および回収を行なうための媒体搬入搬出口と、上記媒体搬入搬出口へ取引媒体を搬出するとともに上記媒体搬入搬出口から取引媒体を搬入する搬送手段と、を有している。また、上記搬送手段は、上記媒体搬入搬出口まで延びる連絡通路を形成した搬送部材と、上記搬送部材を一方向および逆方向に駆動し、上記連絡通路を通して取引媒体を搬出方向および搬入方向に選択的に搬送する駆動手段と、を備えている。
【0014】
上記受渡し装置は、上記設置面上を任意の経路に沿って自走可能な台車本体を有する移動台車と、上記移動台車に設けられ、上記媒体処理装置に対する上記移動台車の位置を検出する検出手段と、上記台車本体上に設けられ上記取引媒体を収納可能な媒体保持部と、上記台車本体上に設けられ、上記媒体搬入搬出口と上記媒体保持部との間で取引媒体を搬送する受渡し手段と、上記検出手段の検出結果に応じて上記移動台車を任意の媒体処理装置に対して位置決めするとともに、上記受渡し手段を作動させて上記任意の媒体処理装置と移動台車との間で取引媒体を受渡す制御手段と、を備えている。
【0015】
請求項2に係るこの発明の媒体処理システムによれば、受渡し装置の移動台車は、上記媒体処理装置に対する移動台車の位置を検出する第1の検出手段と、上記媒体処理装置の媒体搬入搬出口に対する上記媒体保持部の位置を検出する第2の検出手段と、上記媒体搬入搬出口に対する上記媒体保持部の位置を調整する位置調整手段と、上記移動台車上に設けられ上記媒体搬入搬出口と上記媒体保持部と間で取引媒体を受渡す受渡し手段と、上記第1の検出手段の検出結果に応じて上記移動台車を任意の媒体処理装置に対して位置決めし、上記第2の検出結果に応じて上記位置調整手段を作動させるとともに、上記受渡し手段を作動させる制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0016】
上記搬送部材は、上記連絡通路を形成した複数の搬送ローラを含み、あるいは、上記搬送ローラに掛け渡された搬送ベルトを更に含み、上記駆動手段は、上記搬送ローラを選択的に正転および逆転させる正逆モータを備えている。
【0017】
請求項7に係るこの発明の現金処理システムは、設置面上に並んで設置された複数の自動取引装置と、上記自動取引装置間で現金を受渡す受渡し装置と、を備えている。
【0018】
上記各自動取引装置は、現金を収納した現金収納部と、上記現金収納部に対して外部から現金の補充および回収を行なうための現金搬入搬出口と、上記現金搬入搬出口へ現金を搬出するとともに上記現金搬入搬出口から現金を搬入する搬送手段と、を有し、上記搬送手段は、上記現金搬入搬出口まで延びる連絡通路を形成した搬送部材と、上記搬送部材を一方向および逆方向に駆動し、上記連絡通路を通して現金を搬出方向および搬入方向に選択的に搬送する駆動手段と、を備えている。
【0019】
また、上記受渡し装置は、上記設置面上を任意の経路に沿って自走可能な台車本体を有する移動台車と、上記移動台車に設けられ、上記自動取引装置に対する上記移動台車の位置を検出する検出手段と、上記台車本体上に設けられ現金を収納可能な現金保持部と、上記台車本体上に設けられ、上記現金搬入搬出口と上記現金保持部との間で現金を搬送する受渡し手段と、上記検出手段の検出結果に応じて上記移動台車を任意の自動取引装置に対して位置決めするとともに、上記受渡し手段を作動させて上記任意の自動取引装置と移動台車との間で現金を受渡す制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0020】
上記のように構成された媒体処理システムおよび現金処理システムによれば、複数の媒体処理装置あるいは自動取引装置が設置面上に並んで設置され、移動台車は制御手段による制御の下、任意の媒体処理装置あるいは自動取引装置と対向する位置まで自走する。その際、移動台車の検出手段により媒体処理装置あるいは自動取引装置に対する移動台車の位置が検出され、移動台車は媒体処理装置あるいは自動取引装置に対して所定の位置に位置決めされる。
【0021】
続いて、媒体保持部が上記任意の媒体処理装置あるいは自動取引装置の搬入搬出口と対向する位置に位置調整され、受渡し手段によって、媒体保持部から取引媒体あるいは現金が搬出あるいは搬入される。媒体処理装置あるいは自動取引装置においては、取引媒体の搬入時、つまり、取引媒体の補充時、搬送手段の搬送部材は駆動手段によって搬入方向に駆動され、搬入搬出口を通して送られてきた取引媒体を連絡通路を通して媒体処理装置あるいは自動取引装置内に搬入する。
【0022】
また、取引媒体の搬出時、つまり、媒体処理装置あるいは自動取引装置から媒体受渡し装置側へ取引媒体を回収する際、上記搬送手段の搬送部材は駆動手段によって逆方向、つまり、搬出方向に駆動され、取引媒体は共通の連絡通路を通して搬入搬出口から媒体受渡し装置側へ送られる。
【0023】
【実施の形態】
以下図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1および図2は、金融機関に設置された現金処理システム全体の構成を概略的に示している。この現金処理システムは、媒体処理装置として、複数、例えば、4台の自動取引装置(以下ATMと称する)10a、10b、10c、10dと、各ATMに対し取引媒体としての紙幣を補充および回収する現金受渡し装置12と、を備えて構成されている。
【0024】
図3に示すように、ATM10aはほぼ矩形箱状の本体200を備え、本体の前面には、利用者に対面するほぼL字形状の接客パネル202が設けられている。接客パネル202の水平部には、タッチパネルを兼ねた表示部204が設けられ、垂直部には、カード挿入口206、通帳挿入口208等が設けられている。また、接客パネル202の水平部基端には、それぞれ扉によって開閉される紙幣入出金口210および硬貨入出金口212が設けられている。
【0025】
本体200内には、紙幣入出金口210を介して利用者に紙幣を入出金するための入出金環流式の紙幣取扱装置214、硬貨入出金口212を介して硬貨を入出金する硬貨取扱装置216、制御ユニット218、通帳プリンタ220、カード/伝票処理装置222等が配設されている。これらの紙幣取扱装置214および硬貨取扱装置216はこの発明における現金収納部を構成している。
【0026】
本体200の後面には、紙幣取扱装置214および硬貨取扱装置216を本体から取出し可能とするための開閉自在な扉224が設けられている。この扉224には、後述する紙幣取扱装置214の搬送連絡部に対向した挿通口226が形成され、この挿通口226は、必要時以外は、上下に開くシャッタ228によって閉じられている。また、紙幣取扱装置214の後面にはコネクタ230が設けられ、挿通口226に対向している。
【0027】
図4に示すように、紙幣取扱装置214は細長い箱状の筐体232を有し、この筐体内の上部には、紙幣入出金口210に対向して入出金ホッパ234が回動自在に設けられている。入出金ホッパ234は、実線で示す立位状態において、入出金口210から投入された多数枚の紙幣を一括して受けれ、あるいは、利用者に出金するとともに、一点鎖線で示す回動位置において、入金された紙幣を繰り出しローラ233によって一枚づつ搬送路内に繰り出し、あるいは、搬送されてくる出金紙幣を受け入れる。
【0028】
また、筐体232内の上部には、繰り出しローラ233によって取り出された入金紙幣を一時的に集積する入金一時集積部235、入出金ホッパ234に払い出される出金紙幣を一時的に集積する出金集積部236、および入金紙幣、出金紙幣の券種、正損、真偽等を検査する鑑査手段としての鑑査部237が設けられている。鑑査部237の近傍には、出金取引時に、折れ券や2枚重ね券等の出金に不適切なリジェクト紙幣を収容するリジェクト庫238が設けられている。
【0029】
入金一時集積部235は、一回の入金取引分だけ紙幣を集積する集積容器235aを有し、その上部開口の近傍には、取出しローラ240、集積ローラ241、および取出しローラを駆動するモータ242が設けられている。また、集積容器235a内には、集積された紙幣Pを取出しローラ240に向けて押し付ける昇降自在なバックアップ板244が設けられている。
【0030】
入金取引時、後述する搬送路を通して送られて来た紙幣は、集積ローラ241によって空状態の集積容器235a内へ取り込まれ、バックアップ板244上に集積される。入金動作が終了すると、集積容器235a内に集積された紙幣は取出しローラ240によって1枚づつ取り出され、搬送路へ繰り出される。なお、取出しローラ240は、独立したモータ242の回転を制御することによって、取引に必要な所定枚数の紙幣を搬送路に繰り出しできるように構成されている。
【0031】
出金一時集積部236は、搬送ベルト対によって構成され、出金紙幣を一旦プールして所定枚数になった時点で、一括して入出金ホッパ234へ放出する。
筐体232内の下部には、入金された紙幣を収容する媒体収納部としての第1ないし第3のスタッカ246、247、248が並んで配設されている。これら第1ないし第3のスタッカ246、247、248は、それぞれ万円紙幣を収容する万円庫、千円紙幣を収容する千円庫、その他の紙幣を収容する金庫として用いられている。
【0032】
これら第1ないし第3のスタッカ246、247、248は、全て同一構成を有している。例えば、第1のスタッカとしての万円スタッカ246は、その上部開口の近傍に設けられた取出しローラ250aおよび集積ローラ250bを備えている。取出しローラ250aは独立したモータ252によって回転駆動される。また、万円スタッカ246内には、モータ253およびベルト254によって駆動されるバックアップ板255が昇降自在に配設されている。
【0033】
出金取引時、万円スタッカ246内に水平に集積された紙幣は、バックアップ板255によって取出しローラ250aに向かって押し付けられ、取出しローラ250aによって最上部の紙幣から1枚づつ取り出される。また、入金取引時、搬送路を通して送られてきた紙幣は、集積ローラ250bによって万円スタッカ246内に取り込まれ、スタッカ内の紙幣の上に集積される。バックアップ板255は、図示しないセンサ制御により、出金時は、紙幣を取出しローラ250aに押し付けるように上方に移動し、入金時は、集積紙幣の最上部と集積ローラ250bとの間に所定寸法の空間を形成し、入金紙幣の収容スペースを確保する。
【0034】
第3のスタッカ248と筐体232の後壁との間には、第4のスタッカ256が並んで設けられている。第4のスタッカ256は他のスタッカと同様の構成を有しているが、紙幣装填スタッカとして機能する。すなわち、係員によって第4のスタッカ256に紙幣がセットされると、第4のスタッカから1枚づつ紙幣を繰り出して第1ないし第3のスタッカ246、247、248に供給することができるとともに、第1ないし第3のスタッカから取出した紙幣を第4のスタッカに収容することもできる。従って、係員は、第4のスタッカ256にのみアクセスするだけで、第1ないし第3のスタッカ246、247、248の各々に対して紙幣の装填あるいは回収を行うことができる。
【0035】
筐体232内には、各構成部分を通して紙幣を1枚づつ搬送するための多数の搬送路が形成されている。これらの搬送路は、多数の搬送ローラ257と、搬送ローラに掛け渡された多数の搬送ベルト258とによって構成され、紙幣を搬送ベルト間に挟んだ状態で搬送する。
【0036】
搬送路を構成する搬送ローラ257および搬送ベルト258を駆動するためのメインモータ260は一方向にのみ回転駆動され、後述する搬送連絡部を除き、紙幣を搬送路に沿って所定の一方向に搬送する。
【0037】
筐体232の後壁中央部にはほぼ矩形状の紙幣搬入搬出口262が形成され、ATM本体200の扉224に設けられた挿通口226と対向している。また、筐体232内の後端部ほぼ中央には、搬送手段として機能する搬送連絡部264が設けられている。搬送連絡部264は、複数の搬送ローラ265(ハッチングの付された搬送ローラ)と、これらに掛け渡された複数の搬送ベルト266とを有し、こられ搬送ローラおよび搬送ベルトにより搬送連絡通路268を形成している。
【0038】
搬送連絡通路268は、紙幣搬入搬出口262の近傍からほぼ水平に延びて紙幣取扱装置214内の搬送路に連通している。また、搬送ローラ265および搬送ベルト266は、駆動手段としての正逆回転自在な正逆モータ280により、駆動ベルト281を介して駆動される。従って、正逆モータ280の回転方向を制御することにより、搬送連絡通路268を通る紙幣を通常の搬送方向およびこれと逆方向に搬送することができる。その結果、搬送連絡部264は、後述するように、1本の搬送連絡通路268を通して、挿通口226および紙幣搬入搬出口262を介して外部から供給された紙幣を一枚づつ筐体232内に搬入するとともに、第1ないし第3のスタッカ246、247、248から回収した紙幣を一枚づつ搬出することができる。
【0039】
また、搬送路の所定位置には、紙幣の搬送経路を切り換えて紙幣を所定の部位へ搬送するための複数の振り分けゲートG1ないしG9が設けられている。各振り分けゲートは、図示しないソレノイド等によって2位置間を回動され、紙幣を2方向のいずれかに振り分ける。
【0040】
その他、筐体232内には、上述した種々の機構部をATM10aの主制御部218からのプログラム指示に従って制御するユニット制御部282等が設けられている。ユニット制御部282は主制御部218と共にこの発明における制御手段を構成している。
【0041】
なお、他のATM10b、10c、10dは、上述したATM10aと同様に構成されいる。そして、これらのATM10aないし10dは、その後面が平行に揃った状態で、金融機関の床面25上に並んで設置されている。
【0042】
図2に示すように、4台のATM10aないし10dは、それぞれLANアダプタ27を介して金融機関のローカルエリアネットワーク(LAN)28に接続されている。また、LAN28には、各ATM10aないし10dを監視する運用管理端末としてパーソナルコンピュータ等のサーバー30が接続されている。そして、このサーバー30には、各ATM10aないし10dからATMの動作状態、例えば障害発生状況や、取扱媒体としての紙幣や硬貨の残量等がLAN28を介して随時報告される。
【0043】
一方、図1および図2に示すように、現金受渡し装置12は、ALN28に接続された送信手段としてのキャリアステーション32と、キャリアステーション32からの指令に従い、ATM10aないし10dの後面に沿って床面25上を自走する移動台車としてのカセットキャリア34と、を備えている。
【0044】
キャリアステーション32は、LAN28を介してサーバー30に接続されたパーソナルコンピュータからなるモニタ35を備え、このモニタ35はサーバー30との間で情報および指令の連絡を行なう。サーバー30からLAN28を介してモニタ35に入力された指令は、コンバータ36によって無線信号に変換され、更に、無線モデム37、アンテナ38を介してカセットキャリア34へ送信される。そして、カセットキャリア34は、キャリアステーション32からの指令に従って所定のATMと対向する位置まで自走し、このATMに対して現金の受渡しを行なう。
【0045】
図1および図5に示すように、カセットキャリア34は、台車本体として機能する台車40、台車40上に取り付けられたスライド機構42、台車40上にスライド機構42を介して支持され媒体保持部あるいは現金保持部として機能する配送カセット43、配送カセット43を覆ったほぼ矩形箱状のハウジング44等を備えて構成されている。
【0046】
図5ないし図7に示すように、台車40は左右2つの駆動輪46a、46b、および1つの従動輪47が取り付けられた矩形板状のベース45を有し、これらの車輪により床面25上を走行可能となっている。
【0047】
一方の駆動輪46aは、ベース45上に設けられたウォーム減速機48、カップリング49を介してサーボモータ50aに接続され、他方の駆動輪46bもウォーム減速機48、カップリング49を介してサーボモータ50bに接続されている。そして、左右の駆動輪46a、46bは独立した2つのサーボモータ50a、50bによって別々に駆動され、これらサーボモータ50a、50bを正転/逆転および速度制御することにより、台車40は床面25上を直線的あるいは曲線的に往復道することができる。
【0048】
また、従動輪47はいわゆるキャスタ構造を有し、台車40が曲線走行する際、あるいは前進から後進に切り替わる際に対応できるように、軸51の回りで回転自在に取り付けられている。なお、駆動輪46a、46b、従動輪47、ウォーム減速機48、サーボモータ50a、50bは、この発明における走行機構を構成している。
【0049】
左右の駆動輪46a、46b間においてベース45には回動自在な回動アーム52が支持され、この回動アーム52の先端には摩擦車53が取り付けられている。摩擦車53は床面25に接触して設けられ、台車40の走行に連動して床面25上を転動する。また、摩擦車53の回転は、ベルト54を介して、ベース40上に設けられたエンコーダ55に伝達され、エンコーダ55は伝達された回転を所定のパルス数としてカウントし後述する制御部に入力する。
【0050】
ベース45上には、駆動源として作用する一対の充電式のバッテリ56が載置されている。これらのバッテリ56は、サーボモータ50a、50bを駆動するとともに、後述するようにカセットキャリア34の他の電気系すべてに給電する。また、バッテリ56は、ハウジング44の後面に設けられたコネクタ57を、キャリアステーション32に設けられた給電ソケット58(図1参照)に接続することによって充電される。
【0051】
図5に示すように、台車40の前後部にはそれぞれバンパ60、61が取り付けられ、更に、バンパ60、61の裏側には後述する圧力センサ62、63がそれぞれ取り付けられている。そして、バンパ60、61に異物や人体が接触して圧力が作用すると、圧力センサ62、63が反応し、これに応じて制御部によりサーボモータ50a、50bが停止され、カセットキャリア34の走行が停止される。
【0052】
また、ハウジング44の前壁および後壁にはそれぞれ反射型センサ64が設けられ、反射型センサ64の検知範囲65であるカッセトキャリア34の前後約1mの範囲に人体等の反射物が出現すると、反射型センサはこれを検知して上記と同様にカセットキャリア34の走行を停止する。
【0053】
このような圧力センサ62、63および反射型センサ64を備えた安全装置に加えて、ハウジング44の上面にはパトロールライト66が取り付けられ、このパトロールライト66はカセットキャリア34の走行中に回転しながら点灯する。
【0054】
また、ATM10aないし10dの後面と対向するハウジング44の側壁44aには、任意のATMに対してカセットキャリア34を位置決めするための一対の反射型距離センサ68a、68bがX方向に沿って所定の間隔を置いて取り付けられている。これらの反射型距離センサ68a、68bは超音波センサで構成され、ハウジング44の側壁44aから反射面、つまり、ATMの後面までの垂直方向距離をミリ単位で精密に測定することができる。反射型距離センサ68a、68bは、この発明における検出部として機能し、後述する距離測定回路106とともに検出手段および第1の検出手段を構成している。
【0055】
側壁44aの上部には赤外線リモコンの発光部67aが設けられている。各ATM10aないし10dの後面には、発光部67からの赤外線を受信する受光部67bが設けられ、受光部67bによって赤外線が受信されるとATMのシャッタ228が開けられ挿通口226が開放される。
【0056】
更に、ハウジング44の上面にはアンテナ70が設けられ、このアンテナ70は後述するモデムに接続されている。そして、このアンテナ70を介して、キャリアステーション32とカセットキャリア34との間で信号の送受信が行なわれる。また、ハウジング44の上面には、係員が手動でカセットキャリア34を作動させるための操作ノブ71が設けられている。
【0057】
一方、図5および図8ないし図10に示すように、ハウジング44の側壁44aには矩形状の開口44bが形成され、配送カセット43はこの開口44bに対向した状態でハウジング44内に配設されている。配送カセット43は開口44bを通過可能な大きさの矩形箱状に形成されている。
【0058】
配送カセット43の側壁下部には開口44bに受かって突出した突出部43aが形成され、この突出部の先端面には、受渡し口73が形成されている。突出部43aはATM10aないし10dの挿通口226に挿入可能な大きさに形成されているとともに、受渡し口73は、紙幣取扱装置214の紙幣搬入搬出口262とほぼ同一の大きさに形成されている。
【0059】
配送カセット43内には紙幣集積箱284が配設されている。この紙幣集積箱284内には、多数枚の紙幣を積層状態で集積した紙幣集積部286、紙幣集積部の上方に位置したリジェクト集積部287、紙幣集積部の下方に設けられ紙幣集積部から紙幣を一枚づつ取り出す取り出しローラ288、紙幣集積部の上端近傍に位置した取り込みローラ290、リジェクト集積部に隣接して位置したリジェクト取り込みローラ292等が設けられている。
【0060】
また、配送カセット43内には、受渡し手段および搬送機構として機能する紙幣搬入搬出部291が設けられている。この紙幣搬入搬出部291は、受渡し口73に隣接して位置した搬入搬出ローラ294、296、取り込みローラ290と対向した第1の搬送ローラ297、リジェクト取り込みローラ292と対向した第2の搬送ローラ298、駆動ローラ300、複数のガイドローラ302、これらのローラに掛け渡されて搬送路を形成した複数の搬送ベルト304を備えている。
【0061】
それにより、配送カセット43内には、紙幣集積部286から取り出された紙幣を受渡し口73へ搬送する充填通路301aと、充填通路の中途部から上方に向かって取り込みローラ290およびリジェクト取り込みローラ292の近傍まで延びた回収通路301bと、が形成されている。
【0062】
また、配送カセット43内には、取り出しローラ288を駆動する第1の駆動モータ306、駆動ローラ300を駆動する正逆回転自在な第2の駆動モータ307、第1および第2の搬送ローラ297、298間に配置され回収紙幣とリジェクト紙幣とを振り分ける振り分けゲート308、および充填通路と回収通路と間に設けられ、回収紙幣を回収通路へ振り分ける振り分けゲート309が設けられている。
【0063】
ATM側に紙幣を補充する場合、第1および第2の駆動モータ306、307が駆動されると、取り出しローラ288によって紙幣集積部286の最下部から一枚づつ紙幣が取り出され、ガイドローラ302、搬送ベルト304、搬入搬出ローラ294、296により、充填通路301aおよび受渡し口73を介して紙幣がATM側に供給される。
【0064】
また、ATM側から紙幣を回収する場合、第2の駆動モータ307が逆転駆動され、ATM側から搬出された紙幣は、搬入搬出ローラ294、296、搬送ベルト304を介して第1の搬送ローラ297まで搬送され、回収紙幣であれば振り分けゲート308によって紙幣集積部286の上部へ振り分けられ取り込みローラ290によって紙幣集積部286内に集積される。リジェクト紙幣である場合、この紙幣は振り分けゲート308によって第2の搬送ローラ298へ導かれ、リジェクト取り込みローラ292によってリジェクト集積部287に集積される。
【0065】
配送カセット43の突出部43aの先端面には、ATM側から配送カセット43を制御するためのコネクタ76が設けられている。つまり、コネクタ76は、後述するように配送カセット43の紙幣搬入搬出部291がATM側の紙幣連絡部264に接続された際、ATMの紙幣取扱装置22に設けられたコネクタ230に接続され、コネクタ76を介してATM側から配送カセット43の第1および第2の駆動モータ306、307の動作を制御することが可能となる。
【0066】
図8ないし図10に示すように、配送カセット43は、カセットキャリア34とATMとの間で配送カセットを移動させるスライド機構42、ATMの挿通口226に対する配送カセット43の位置を微調整する位置調整手段としての微調整機構78、および支持フレーム80を介して台車40のベース45上に支持されている。
【0067】
詳細に述べると、支持フレーム80はベース45上に立設され、微調整機構78は、この支持フレーム80上に載置された下テーブル82および上テーブル83を備えている。下テーブル82はリニアスライダ84を介して支持フレーム80上に載置され、X方向に沿って往復動可能となっている。そして、下テーブル82は、支持フレーム80上に設置されたモータ86によりボールネジ85を介してX方向に往復移動される。
【0068】
下テーブル82上に配置された上テーブル83は、Y方向に延びるボールネジ87aないし87dによってその4隅が下テーブルに支持されている。これらのボールネジ87aないし87dは上テーブル83上に取り付けられた4つのモータ88aないし88dにそれぞれ接続され、各モータ88aないし88dを駆動することにより上テーブル83の4隅をそれぞれ独立して上下動、つまり、Y方向へ移動させることができる。
【0069】
例えば、上テーブル83が水平な状態で4つのモータ88aないし88dを同量回転させると、上テーブル83は水平状態のまま上下移動する。また、図1に示すXYZ座標を用いる場合、モータ88aおよび88bを同時に回転させると、上テーブル83はX軸を中心としてTz方向にチルトし、モータ88aおよび88cを同時に回転されると、上テーブル83はZ軸を中心としてTy方向にチルトする。
【0070】
従って、モータ86および4つのモータ88aないし88dを制御することにより、上テーブル83はX方向、Y方向に平行移動できるとともに、TzおよびTy方向にチルトさせることができる。
【0071】
スライド機構42は、上テーブル83に立設された一対の支柱90にそれぞれ取り付けられた左右のスライドレール91a、91bと、これらのスライドレール91a、91bに支持されたベース板92とを有している。各スライドレール91a、91bはZ方向に延び、それにより、ベース板92はZ方向へ往復移動可能となっている。そして、このベース板92上に配送カセット43が載置されている。
【0072】
図10に示すように、スライド機構42の駆動部94は、上テーブル83上に設けられたモータ94、大プーリ95、および複数の小プーリ96aないし96dを備え、モータ94と大プーリ95とには駆動ベルト97が巻装され、大プーリと小プーリとにはベルト98が巻装されている。このベルト98の一部は、連結部98aを介してベース板92に連結されている。小プーリ96aないし96dの内、小プーリ96b、96cは上テーブル83上をZ方向に沿って往復動自在に設けられている。
【0073】
そして、モータ94により駆動ベルト97を介して大プーリ95を回転させると、ベルト98が走行し、連結部98aを介してベース板92がZ方向に移動される。この際、小プーリ96b、96cは動滑車的に移動し、連結部98aおよびベース板83は大きなストロークでZ方向に往復動することができる。それにより、ベース板92上に載置された配送カセット43は、ハウジング44内に収納された収納位置と、ハウジング44から外方に突出し任意のATMに接続可能な接続位置との間を移動される。
【0074】
なお、上記スライド機構42は、配送カセット43の紙幣搬入搬出部291とともにこの発明における受渡し手段を構成している。
また、配送カセット43をATMの挿通口226に対して高精度に位置決めするため、上テーブル83上にはATM側に向かって一対の反射型センサ100a、100bが設けられ、更に、ベース板92上にはATM側に向かって1つの反射型センサ102が設けられている。これらの反射型センサ100a、100b、および102は、この発明における第2の検出手段として機能する。
【0075】
図11は上記のように構成されたカセットキャリア34の制御系の構成を概略的に示している。つまり、カセットキャリア34は、マイクロコンピュータを主体とする制御手段としての制御部104を備え、この制御部はROM105に格納された制御プログラムに従って上述した種々の機構の動作を制御する。制御部104には、反射型距離センサ68a、68bからの信号に基づいてATMに対するカセットキャリア34の距離、傾き(平行度)を測定する距離測定回路106、距離測定回路106による測定結果に応じて駆動輪46を駆動するモータ50a、50bの回転を制御するサーボ回路107、エンコーダ55、バッテリ56、反射型センサ64、圧力センサ62、63、およびパトロールライト66が接続されている。
【0076】
また、制御部104には、微調整機構78のモータ86およびモータ88aないし88dを駆動するドライバー108、110、反射型センサ100a、100b、102、アンテナ70に無線信号を送るモデム112、赤外線リモコンの発光部67a、およびカセットキャリア34の停止位置等を記憶するメモリ114が接続されている。
【0077】
更に、制御部104には、配送カセット43の動作を制御する配送制御部310が接続されている。配送制御部310には、第1および第2の駆動モータ306、307、配送カセット43の位置を検出する位置センサ312、コネクタ76が接続されている。
【0078】
次に以上のように構成された現金処理システムの動作について説明する。
まず、現金処理シテムスを金融機関等に設置した後、実際の運用動作を開始する前にカセットキャリア34の学習を行なう。つまり、キャリアステーション32から各ATM10aないし10dに対向する位置までどれだけ走行すべきかをカセットキャリア34に記憶させる。
【0079】
この場合、図12に示すように、カセットキャリア34がキャリアステーション32にドッキングしている時のカセットキャリア34の後面の位置を基準位置Rとし、ATM10aのキャリアステーション32側の側面に対するカセットキャリア34の反射型距離センサ68aのX方向距離Lが約3cm程度となる時のカセットキャリア後面の位置をATM10aに対するカセットキャリア34の停止位置Aとする。同様に、ATM10b、10c、10dに対して反射型距離センサ68aのX方向距離Lが約3cm程度となる時のカセットキャリア後面の位置を、それぞれATM10b、10c、10dに対するカセットキャリア34の停止位置B、C、Dとする。そして、カセットキャリア34を基準位置Rから各停止位置A、B、C、Dまで走行させ、その際、エンコーダ55の回転パルス数をカウントし、距離RA、AB、BC、CDに対応するパルス数をメモリ114に記憶する。
【0080】
上述した学習が終了した後、実際の運用動作が開始される。通常の動作において、サーバー30は各ATM10aないし10dの動作状態を監視し、サーバー30には、各ATM10aないし10dからATMの動作状態、例えば障害発生状況や、取扱媒体としての紙幣や硬貨の残量等がLAN28を介して随時報告される。
【0081】
サーバー30はこれらの情報に基づき、どのATMの紙幣残量が少なく、どのATMの紙幣残量が多いかを認識し、更に、今後どのATMが多く利用されるかという予測情報も勘案して最終的にどのATMから紙幣を回収しどのATMへ紙幣を充填するかを決定する。例えば、ATM10aから紙幣を回収してATM10cへ充填する場合、サーバー30はその旨の指令を発する。
【0082】
この指令はLAN28を介してキャリアステーション32およびATM10a、10cへ入力される。ATM10a、10cは、紙幣の受渡しのためにカセットキャリア34が到着するまで待機状態となる。但し、待機状態においても、各ATM10a、10cは利用者との取引が可能となっている。
【0083】
キャリアステーション32に入力された指令はモニタ35、コンバータ36、モデム37、アンテナ38を介して送信され、更に、カセットキャリア34のアンテナ70、モデム112を介して制御部104に入力される。
【0084】
これに応じて制御部104はモータ50a、50bによって駆動輪46を回転させ、カセットキャリア34をATM10aに向かって走行させる。カセットキャリア34の走行に伴って摩擦車53が回転しエンコーダ55が回転パルスを発生する。そして、制御部104は、エンコーダ55のパルス数が学習時に設定した所定のパルス数、つまり、RAのパルス数に達した時点でモータ50a、50bの駆動を停止する。それにより、カセットキャリア34はATM10dに対応する停止位置Aに停止する。
【0085】
なお、床面25の状態によっては、駆動輪46あるいは摩擦車53がスリップしてカセットキャリア34が停止位置Aに正確に停止しない場合もあるが、距離Lがほぼ3cm程度となっていれば何等問題は生じない。
【0086】
続いて、制御部104は、反射型距離センサ68bからの検出信号に応じてカセットキャリア34とATM10a後面との間の距離Dが所定の値であることを確認しながら、反射型距離センサ68aによってATM10aのキャリアステーション32側の側縁Eが検出されるまで、カセットキャリア34を停止位置Aから更に走行させる。そして、制御部104は、側縁Eが検出された位置から、予めROM105に格納されているプログラムに従った所定距離だけ、つまり、所定のパルス数だけカセットキャリア34を走行させた後停止する。
【0087】
また、制御部104は、反射型距離センサ68a、68bからの検出信号に基づいてATM10aの後面に対するカセットキャリア34の傾き、つまり、平行度を測定し、傾いている場合には、反射型距離センサ68aによる検出距離Dと反射型距離センサ68bによる検出距離Dとが一致するように、いずれかの駆動輪46を駆動して傾きを補正する。
【0088】
以上の動作により、図13に示すように、カセットキャリア34は、その開口44bがATM10aの挿通口226とほぼ対向する位置へ移動および位置決めされる。この状態で、赤外リモコンの発光部67aからシャッタ228の開放信号が出力され、ATM10aは、受光部67bで開放信号を受信した時点でシャッタ228を開け挿通口226を開放する。
【0089】
次に、制御部104は、反射型センサ100a、100b、102からの検出信号によって下テーブル82および上テーブル83とATM10aの挿通口226との間の位置ずれを測定し、ずれている場合には微調整機構78によって下テーブル82をX方向、上テーブル83をY方向、Tzチルト、Tyチルトさせることにより、位置ずれを精密に補正する。従って、上テーブル83上に載置された配送カセット43は、その突出部43aが挿通口226と正確に対向した位置に位置決めされる。
【0090】
上述した微調整が終了した後、制御部104はスライド機構42を作動させて配送カセット43をハウジング44内の収納位置から接続位置へ移動させる。それにより、図14に示すように、配送カセット43の突出部43aはATM10aの挿通口226を通過し、突出部43aに設けられた受渡し口73は、紙幣取扱装置214後壁の紙幣搬入搬出口262と隣接対向する。それにより、配送カセット43の紙幣搬入搬出部291が紙幣取扱装置214の搬送連絡部264に接続される。また、配送カセット43のコネクタ76が紙幣取扱装置214のコネクタ230に接続され、情報の授受が可能となる。
【0091】
上述した接続作業が終了すると、制御部104により終了信号がモデム112およびアンテナ70を介してキャリアステーション32に送信され、更に、LAN28を介してサーバー30へ入力される。これを受けたサーバー30は、ATM10aに対して配送カセット43の接続終了を連絡し、ATM10aの紙幣取扱装置214に、例えば、一万円紙幣を400枚の紙幣を回収する旨の指示を入力する。
【0092】
これに応じて、紙幣取扱装置214は、メインモータ260およびモータ252を駆動するとともに、搬送連絡部264の正逆モータ280を例えば、正転方向に駆動し搬送ベルト266を正方向に走行させる。それにより、万円庫246から紙幣が一枚づつ取り出され、搬送路を通して搬送連絡部264へ搬送され、更に、搬送連絡部により搬送連絡通路268を通して搬入搬出口262から搬出される。
【0093】
また、紙幣取扱装置214は、コネクタ230、76を介して配送カセット43の第2の駆動モータを駆動する。それにより、取り出された指定枚数分の紙幣は、順次、紙幣搬入搬出口262から搬出されて配送カセット34側の紙幣搬入搬出部291へ送られ、更に、搬送ベルト304および取り込みローラ290を介して紙幣集積部286内に回収される。なお、利用者によりATM10aが使用されている場合には、その取引が終わった後に上記回収動作が開始される。
【0094】
回収動作が終了すると、ATM10aからサーバー30へ終了報告がなされ、この報告を受けたサーバー30はLAN28およびキャリアステーション32を介して終了信号をカセットキャリア34へ送る。これに応じて、カセットキャリア34の制御部104はスライド機構42を駆動して配送カセット43を装填位置から収納位置へ移動させ、ATM10aからハウジング44内へ収容する。
【0095】
続いて、図16に示すように、制御部104は上記と同様の動作によりカセットキャリア34をATM10cに対する停止位置Cまで移動させた後、ATM10cに対して位置決めする。この状態で、赤外リモコンの発光部67aからATM10cのシャッタ228の開放信号が出力され、ATM10cは、受光部67bで開放信号を受信した時点でシャッタ228を開け挿通口226を開放する。
【0096】
次に、制御部104は、微調整機構78によって配送カセット43の位置を微調整し、配送カセット43の突出部43aをATM10cの挿入口226に対して正確に位置決めする。微調整が終了した後、制御部104はスライド機構42を作動させて配送カセット43をハウジング44内の収納位置から接続位置へ移動させる。それにより、配送カセット43の突出部43aはATM10cの挿通口24を通過し、突出部43aに設けられた受渡し口73は、紙幣取扱装置214の紙幣搬入搬出口262と隣接対向する。そして、配送カセット43の紙幣搬入搬出部291が紙幣取扱装置214の搬送連絡部264に接続され、また、配送カセット43のコネクタ76が紙幣取扱装置214のコネクタ230に電気的に接続され、情報の授受が可能となる。
【0097】
配送カセット43の接続作業が終了すると、制御部104により終了信号がモデム112およびアンテナ70を介してキャリアステーション32に送信され、更に、LAN28を介してサーバー30へ入力される。これを受けたサーバー30は、ATM10cに対して配送カセット43の接続終了を連絡し、ATM10cの紙幣取扱装置214に、配送カセット34から400枚の一万円紙幣を補充する旨の指示を入力する。
【0098】
これに応じて、紙幣取扱装置214は配送カセット43の第1および第2の駆動モータ306、307を駆動し、取り出しローラ288によって紙幣集積部286の最下部から順次紙幣を取り出す。同時、紙幣取扱装置214は、メイモータ260を駆動するとともに、搬送連絡部264の正逆モータ280を逆方向に回転駆動し搬送ベルト266を逆方向に走行させる。
【0099】
それにより、配送カセット43の紙幣集積部286から取り出された紙幣は、ガイドローラ302、搬送ベルト304を介して紙幣搬入搬出部291へ送られ、受渡し口73および紙幣搬入搬出口262を通して紙幣取扱装置214の搬送連絡部264へ送られる。そして、各紙幣は、搬送連絡部264により搬送連絡通路268を通して紙幣取扱装置214内へ搬入され、更に、搬送路を通って所定の金庫、例えば、万円庫246に所定枚数補充される。なお、利用者によりATM10cが使用されている場合には、その取引が終わった後に上記補充動作が開始される。
【0100】
上述した補充動作が終了すると、配送カセット43がカセットキャリア34のハウジング44内に戻された後、カセットキャリア34は基準位置Rへ戻される。
【0101】
以上のように構成された現金処理システムによれば、現金受渡し装置12により複数のATM間で現金を自動的に受渡すことができ、作業員の労力を大幅に低減することができる。そして、現金受渡し装置12のカセットキャリア34は、ガイドレール、走行テープ等を用いることなく無軌道および無線により任意のATM間を移動することができる。そのため、ガイドレール、走行テープ等を設置する必要がなく、現金処理システムを比較的容易に、かつ、安価に設置することができるとともに、システム全体も小型にすることが可能となる。
【0102】
また、現金受渡し装置12は、ATMに対してカセットキャキャリア34を位置決めする位置決め機構に加えて、ATMの挿通口226に対する配送カセット43の位置を微調整する微調整機構78を備えているため、現金処理システムの設置面、つまり、金融機関等の床面25が多少傾いている場合でも配送カセット43をATMに対して確実に装填し現金を確実に受渡すことがができる。従って、通常の床であれば特別な工事を施すことなく現金処理システムを設置することができ、設置コストの一層の低減を図ることができるとともに、現金処理システムの設置場所を比較的自由に選択することが可能となる。
【0103】
また、上述した現金処理システムによれば、各ATMにおける紙幣取扱装置214の搬送連絡部264は、正逆回転自在な正逆モータ280を備えて構成され、1本の搬送連絡通路268を通して紙幣を搬入および搬出することができるため、搬入用の通路と搬出用の通路とが独立して設けられた搬送連絡部に比較して、構成の簡略化および、搬送ベルト、搬送ローラ等の部品点数の削減を図ることができる。その結果、搬送連絡部264を小型化して紙幣取扱装置内における搬送連絡部の設置スペースを削減することができ、また、空いたスペースを他の目的に活用することが可能となる。
【0104】
更に、上記現金受渡し装置によれば、カセットキャリア34に設けられた一対の反射型距離センサ68a、68bは、ATMに対してカセットキャリア34のX方向、つまり、走行方向の位置決めするために用いられるとともに、これらのセンサによりATM裏面に対するカセットキャリアの傾きおよび平行度を検出することもできる。従って、比較的少数のセンサによりカセットキャリアをATMに対して正確に位置決めすることができ、現金受渡し装置の構成の簡略化および製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0105】
なお、この発明は上述した実施例に限定されることなく、この発明の範囲内で種々変形可能である。例えば、上記実施例において、複数のATMは直線的に配列され、カセットキャリア34も直線的に往復移動する構成としたが、必要に応じて複数のATMを曲線的あるいは屈曲して配置するようにしてもよく、この場合においても、カセットキャリア34はATMの配列に沿って自由に移動することができる。
【0106】
また、現金処理システムはATMに限らず、他の機器、例えば、現金計数装置等を含んで構成されていてもよい。また、取扱媒体は紙幣に限らず、硬貨、通帳、カード、ジャーナル用紙等種々のものに適用することが可能であり、かつ、複数種類の取扱媒体を一度に取扱うようにしてもよい。
【0107】
更に、上記実施例では、現金受渡し装置によりいずれかのATMから現金を回収し、回収した現金を他のATMに充填する動作を示したが、これに限らず、現金受渡し装置によって、ATMからの現金の回収、あるいはATMへの現金の充填のみを行なうようにしてもよい。
【0108】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、レール、走行テープ等を設ける必要がなく比較的小型で設置が容易であるとともに、複数の媒体取扱装置間で取引媒体の受渡しが可能であり、更に、各媒体取扱装置の連絡通路部分の簡略化および小型化した媒体処理システムおよび現金処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係る現金処理システム全体を概略的に示す斜視図。
【図2】上記現金処理システム全体の構成を概略的に示すブロック図。
【図3】上記現金処理システムにおける自動取引装置を示す斜視図。
【図4】上記自動取引装置の断面図。
【図5】図5(a)は上記現金処理システムのカセットキャリアの平面図、
図5(b)は上記カセットキャリアの側面図、
図5(c)は上記カセットキャリアの正面図である。
【図6】上記カセットキャリアの台車の平面図。
【図7】上記台車を一部破断して示す側面図。
【図8】上記カセットキャリアの配送カセット、スライド機構、および微調整機構を示す正面図および断面図。
【図9】上記微調整機構の一部を概略的に示す斜視図。
【図10】上記スライド機構の駆動部を示す平面図。
【図11】上記カセットキャリア全体の構成を概略的に示すブロック図。
【図12】上記カセットキャリアを現金自動取引装置に対して位置決めする工程を説明するための概略図。
【図13】上記自動取引装置に対してカセットキャリアを位置決めした状態を示す断面図。
【図14】上記自動取引装置に対してカセットキャリアの配送カセットを接続した状態を示す断面図。
【図15】上記自動取引装置に対してカセットキャリアの配送カセットを接続し、紙幣を回収する工程を示す断面図。
【図16】上記自動取引装置に対してカセットキャリアの配送カセットを接続し、紙幣を補充する工程を示す断面図。
【符号の説明】
10a、10b,10c、10d…自動取引装置
12…現金受渡し装置 23…カセット装填部
25…床面 30…サーバー
32…キャリアステーション
34…カセットキャリア 40…台車
42…スライド機構 43…配送カセット
68a、68b…反射型距離センサ
78…微調整機構
100a、100b、102…反射型センサ
104…制御部 106…距離測定回路
214…紙幣取扱装置
226…挿通口 228…扉
262…紙幣搬入搬出口
264…搬送連絡部 268…搬送連絡通路
280…正逆モータ
291…紙幣搬入搬出部
Claims (9)
- 設置面上に並んで設置された複数の媒体処理装置と、
上記媒体処理装置間で取引媒体を受渡す受渡し装置と、を備え、
上記各媒体処理装置は、取引媒体を収納した媒体収納部と、上記媒体収納部に対して外部から取引媒体の補充および回収を行なうための媒体搬入搬出口と、上記媒体搬入搬出口へ取引媒体を搬出するとともに上記媒体搬入搬出口から取引媒体を搬入する搬送手段と、を有し、
上記搬送手段は、上記媒体搬入搬出口まで延びる連絡通路を形成した搬送部材と、上記搬送部材を一方向および逆方向に駆動し、上記連絡通路を通して取引媒体を搬出方向および搬入方向に選択的に搬送する駆動手段と、を備え、
上記受渡し装置は、
上記設置面上を任意の経路に沿って自走可能な台車本体を有する移動台車と、
上記移動台車に設けられ、上記媒体処理装置に対する上記移動台車の位置を検出する検出手段と、
上記台車本体上に設けられ上記取引媒体を収納可能な媒体保持部と、
上記台車本体上に設けられ、上記媒体搬入搬出口と上記媒体保持部との間で取引媒体を搬送する受渡し手段と、
上記検出手段の検出結果に応じて上記移動台車を任意の媒体処理装置に対して位置決めするとともに、上記受渡し手段を作動させて上記任意の媒体処理装置と移動台車との間で取引媒体を受渡す制御手段と、を備えたことを特徴とする媒体処理システム。 - 設置面上に並んで設置された複数の媒体処理装置と、
上記媒体処理装置間で取引媒体を受渡す受渡し装置と、を備え、
上記各媒体処理装置は、取引媒体を収納した媒体収納部と、上記媒体収納部に対して外部から取引媒体の補充および回収を行なうための媒体搬入搬出口と、上記媒体搬入搬出口へ取引媒体を搬出するとともに上記媒体搬入搬出口から取引媒体を搬入する搬送手段と、を有し、
上記搬送手段は、上記媒体搬入搬出口まで延びる連絡通路を形成した搬送部材と、上記搬送部材を一方向および逆方向に駆動し、上記連絡通路を通して取引媒体を搬出方向および搬入方向に選択的に搬送する駆動手段と、を備え、
上記受渡し装置は、
上記設置面上を任意の経路に沿って自走可能な台車本体を有する移動台車と、
上記移動台車に設けられ、上記媒体処理装置に対する上記移動台車の位置を検出する第1の検出手段と、
上記台車本体上に設けられ上記取引媒体を収納可能な媒体保持部と、
上記媒体搬入搬出口に対する上記媒体保持部の位置を検出する第2の検出手段と、
上記媒体搬入搬出口に対する上記媒体保持部の位置を調整する位置調整手段と、
上記台車本体上に設けられ、上記媒体搬入搬出口と上記媒体保持部との間で取引媒体を搬送する受渡し手段と、
上記第1の検出手段の検出結果に応じて上記移動台車を任意の媒体処理装置に対して位置決めし、上記第2の検出結果に応じて上記位置調整手段を作動させるとともに、上記受渡し手段を作動させて上記任意の媒体処理装置と移動台車との間で取引媒体を受渡す制御手段と、を備えたことを特徴とする媒体処理システム。 - 上記媒体保持部は、上記取引媒体を収納可能な媒体集積部を内蔵しているとともに上記取引媒体を出し入れする受渡し口を有し上記台車本体上に位置調整可能に設けられた配送カセットを備え、
上記受渡し手段は、上記配送カセット内に配設され上記媒体集積部と上記受渡し口との間で媒体を搬送する搬送機構を有し、
上記位置調整手段は、上記配送カセットを上記受渡し口が上記媒体搬入搬出口と隣接対向する接続位置と上記媒体搬入搬出口から離間する後退位置との間で移動させる移動機構を備えていることを特徴とする請求項1叉は2に記載の媒体処理システム。 - 上記位置調整手段は、上記配送カセットの高さおよび傾きを調整する調整機構を備えていることを特徴とする請求項3に記載の媒体処理システム。
- 上記搬送部材は、上記搬送連絡通路を形成した複数の搬送ローラを含み、
上記駆動手段は、上記搬送ローラを選択的に正転および逆転させる正逆モータを備えていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の媒体処理システム。 - 上記搬送部材は、上記複数の搬送ローラに掛け渡され上記現金を挟持して搬送する搬送ベルトを含んでいることを特徴とする請求項5に記載の媒体処理システム。
- 設置面上に並んで設置された複数の自動取引装置と、
上記自動取引装置間で現金を受渡す受渡し装置と、を備え、
上記各自動取引装置は、現金を収納した現金収納部と、上記現金収納部に対して外部から現金の補充および回収を行なうための現金搬入搬出口と、上記現金搬入搬出口へ現金を搬出するとともに上記現金搬入搬出口から現金を搬入する搬送手段と、を有し、
上記搬送手段は、上記現金搬入搬出口まで延びる連絡通路を形成した搬送部材と、上記搬送部材を一方向および逆方向に駆動し、上記連絡通路を通して現金を搬出方向および搬入方向に選択的に搬送する駆動手段と、を備え、
上記受渡し装置は、
上記設置面上を任意の経路に沿って自走可能な台車本体を有する移動台車と、
上記移動台車に設けられ、上記自動取引装置に対する上記移動台車の位置を検出する検出手段と、
上記台車本体上に設けられ現金を収納可能な現金保持部と、
上記台車本体上に設けられ、上記現金搬入搬出口と上記現金保持部との間で現金を搬送する受渡し手段と、
上記検出手段の検出結果に応じて上記移動台車を任意の自動取引装置に対して位置決めするとともに、上記受渡し手段を作動させて上記任意の自動取引装置と移動台車との間で現金を受渡す制御手段と、
を備えたことを特徴とする現金処理システム。 - 設置面上に並んで設置された複数の自動取引装置と、
上記自動取引装置間で現金を受渡す受渡し装置と、を備え、
上記各自動取引装置は、現金を収納した現金収納部と、上記現金収納部に対して外部から現金の補充および回収を行なうための現金搬入搬出口と、上記現金搬入搬出口へ現金を搬出するとともに上記現金搬入搬出口から現金を搬入する搬送手段と、を有し、
上記搬送手段は、上記現金搬入搬出口まで延びる連絡通路を形成した搬送部材と、上記搬送部材を一方向および逆方向に駆動し、上記連絡通路を通して現金を搬出方向および搬入方向に選択的に搬送する駆動手段と、を備え、
上記受渡し装置は、
上記設置面上を任意の経路に沿って自走可能な台車本体を有する移動台車と、
上記移動台車に設けられ、上記自動取引装置に対する上記移動台車の位置を検出する第1の検出手段と、
上記台車本体上に設けられ現金を収納可能な現金保持部と、
上記現金搬入搬出口に対する上記現金保持部の位置を検出する第2の検出手段と、
上記現金搬入搬出口に対する上記現金保持部の位置を調整する位置調整手段と、
上記台車本体上に設けられ、上記現金搬入搬出口と上記現金保持部との間で現金を搬送する受渡し手段と、
上記第1の検出手段の検出結果に応じて上記移動台車を任意の自動取引装置に対して位置決めし、上記第2の検出結果に応じて上記位置調整手段を作動させるとともに、上記受渡し手段を作動させて上記任意の自動取引装置と移動台車との間で現金を受渡す制御手段と、を備えたことを特徴とする現金処理システム。 - 設置面上に並んで設置された複数の自動取引装置と、
上記自動取引装置に対して現金の補充および回収を行なう現金受渡し装置と、を備え、
上記現金受渡し装置は、
上記設置面上を任意の経路に沿って自走する移動台車と、
上記移動台車に設けられ、現金を収納した現金収納部と、現金受渡し口と、現金受渡し口を通して現金収納部へ現金を回収するとともに現金収納部から現金を供給する搬送手段と、を有する配送カセットと、を備え、
上記各自動取引装置は、現金収納部と、上記配送カセットの現金受渡し口に連通可能に設けられ現金搬入搬出口と、上記現金収納部から上記現金搬入搬出口へ現金を搬出するとともに上記現金搬入搬出口から上記現金収納部へ現金を搬入する搬送手段と、を有し、
上記搬送手段は、上記現金搬入搬出口まで延びる連絡通路を形成した搬送部材と、上記搬送部材を一方向および逆方向に駆動し、上記連絡通路を通して現金を搬出方向および搬入方向に選択的に搬送する駆動手段と、を備えていることを特徴とする現金処理システム。
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