JP3557005B2 - カメラ用レンズシャッタの露光調整方法 - Google Patents

カメラ用レンズシャッタの露光調整方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、モータの回転によってシャッタ羽根に開き作動を与えるカメラ用レンズシャッタの露光調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
カメラ用レンズシャッタにおいて、露光制御を的確に行えるようにするためには、シャッタ羽根の開閉作動特性が、所期の設計通りに得られるようにする必要がある。そして、その中でも特に、シャッタ羽根が露光開口を開き始めてから開き終わるまでの特性(立上がり特性といわれている)を、より正確に得られるようにすることが重要である。しかしながら、材料・部品段階での加工誤差や組立段階での加工誤差等によって、組立てられた個々のシャッタは殆どがその特性を異にする。
【0003】
このような立上がり特性の差異(以下、バラツキという)は、被写体が暗く、小さいEV値での撮影に際しては影響が少ないが、被写体が明るく、大きいEV値での撮影に際しては影響が大きく、所定の許容範囲内における適正なEV値を得ることができなくなる。そのため、従来より、組立ての最終段階において、シャッタ全数について、特に立上がり特性を中心にした露光調整を行っており、そのことは技術の進歩した今日においても変わりがない。
【0004】
一方、カメラの自動化に伴い、モータによって直接シャッタ羽根に開き作動を行わせるようにしたレンズシャッタが知られているが、それらのものには閉じ作動をもモータで行うものと、閉じ作動はバネ力で行わせるものとが知られている。しかも、被写体の輝度によってはシャッタ羽根を全開させることなく、開き作動の途中から閉じさせるようにしたものが多く見られるようになってきた。そして、このようなシャッタの場合においても、コイルの品質等により、モータごとに起動性が異なるので、このこともまた所定の立上がり特性が得られない要因となっていた。
【0005】
そこで、モータによってシャッタ羽根に開き作動を与えるようにしたレンズシャッタの一般的な露光作動を図3を用いて説明する。この図は、シャッタ羽根の開口波形Sと、シャッタ羽根の開閉作動を制御する各種制御要素の作動のタイミングを示したものである。このシャッタにはシャッタ羽根の作動位置を検出するためのフォトセンサが設けられているが、このフォトセンサはシャッタ地板に取り付けられており、受光部が発光部からの光を受けているときにはH信号を、またシャッタ羽根によって遮られているときはL信号を発するようになされている。更に、露光制御回路はフォトセンサがL信号を発した段階で、測定された被写体輝度に対応する所定時間(以下、電気秒時という)のカウントを開始するようになっている。
【0006】
上記したように、立上がり特性のバラツキによる影響は、EV値が大きい場合程大きく受けるものであるが、図3において実線で示したシャッタ羽根の開口波形Sは、シャッタ羽根が制御可能な最小の開き口径位置から閉じる場合(この場合のEV値が最大であり、以下、EV17として説明する)を示している。また、この図において、一点鎖線で示されたS’,S”は、夫々EV16,EV15の場合におけるシャッタ羽根の開口波形を示している。
【0007】
最初に、この図にしたがってシャッタの露光作動を説明しておく。カメラのレリーズによって電源が閉じると、露光制御回路が励起され且つフォトセンサの発光部が点灯し、フォトセンサはH信号を発する。従って、この時、露光制御回路は電気秒時のカウントを開始しない。その後、A時点になるとモータに順方向への電流が供給され、シャッタ羽根は開き作動を開始する。しかし、この時点ではモータにシャッタ羽根を動かすだけの起動力がなく、B時点になってシャッタ羽根は開き作動を開始する。
【0008】
その後、C時点になり、フォトセンサの受光がシャッタ羽根によって遮られると、フォトセンサはL信号を発し、露光制御回路は電気秒時のカウントを開始する。この時、シャッタ羽根は未だ露光開口を開き始めるピンホールの位置に達していない。このようにフォトセンサが露光制御回路にL信号を発するC時点を、通常トリガー時機と称している。
【0009】
D時点において、露光制御回路がEV17に相当する電気秒時のカウントを終了すると、モータには逆方向への電流が供給され、シャッタ羽根を閉じさせる力が付与されるが、この時点ではシャッタ羽根がピンホールの位置にすら達していないし、シャッタ羽根には慣性力が働いているため、実際にはシャッタ羽根は直ちに閉じ作動を行わず、そのまま開き作動を継続する。
【0010】
シャッタ羽根は、ピンホールの位置となるE時点から露光開口を開き始め、F時点になったとき、モータの力がシャッタ羽根の慣性力に打ち勝って、所定の開口位置から閉じ作動に転じることになる。このようにモータに逆方向への電流が供給されてから、実際にシャッタ羽根が閉じ作動に転じるまでの時間的ギャップを、通常、メカ遅れと称している。その後、シャッタ羽根が露光開口を閉じると、シャッタ羽根はH時点で停止する前に、G時点でフォトセンサの受光を可能にし、フォトセンサはH信号を発することになる。そして、H信号が出た後、所定時間経過後にI時点でモータへの通電が断たれ、原位置となる。
【0011】
次に、このようなレンズシャッタにおける従来の露光調整方法を説明する。上記の説明からも分かるように、EV17の露光はシャッタ羽根の開口波形とピンホールの位置を示す線とで囲まれた略三角形の面積によって決定される。そのため、立上がり特性が図の実線に略一致しないと上記の面積が変わってしまい、適正な露光ができなくなる。従って、従来においてはこの面積を略一致させる(許容範囲があることは前に述べた)ために、組立調整時において全てのシャッタについて個々に調整が行われていた。
【0012】
上記したように、立上がり特性のバラツキによる影響は、EV値が大きい場合程大きく受けるものであるため、露光調整もEV17に照準を合わせて行われる。具体的には、上記したC時点からD時点までの電気秒時は、EV17に対応して定められた固有の時間と、その前段において一定の範囲にわたって調整可能な付加時間との和で構成されている。従って、その付加時間を長くしたり短くしたりすることにより上記C時点からD時点までの時間を変え、その結果シャッタ羽根の閉じ時機を変えることによって、上記のような面積調整を行っていた。図3におけるEV17の場合には、その付加時間が電気秒時(C,D間)のうちの大部分を占めている。そして、この付加時間を変える方法としては、経済的且つ簡単なことからシャッタ地板上でフォトセンサの位置を変えるようにすることもあるが、一般には抵抗値を変えるなど回路上で調整するのが普通である。
【0013】
尚、これまでの説明は、シャッタ羽根の開き作動のみならず、閉じ作動をもモータによって直接行うようにしたシャッタの場合で説明したが、このような露光調整方法は、シャッタ羽根の開き作動はモータによって直接行うが、閉じ作動はバネ力で行うようにし、その作動開始のタイミングだけをモータ又は電磁石で制御するようにしたシャッタにおいても同じであり、本発明は、このようなシャッタの全てを対象にしている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
然るに、上記のような従来の露光調整方法は、基本的には最大EV値のみに照準を合わせて調整するものであるから、その調整値はシャッタ羽根の全開までの立上がり特性の全てに対応できるものではなく、その他のEV値については適正範囲に収めることが非常に困難であるという問題点があった。また、逆にそれらを適正範囲に収めようとすると最大EV値近傍の調整精度について妥協せざるを得ないという問題点があった。
【0015】
更に、最近ではシャッタも小型化の一途を辿っており、シャッタ地板に形成される露光開口の口径が8〜10ミリであるのに対して、その地板の外径が26〜30ミリのものも出てきている。このような小型のシャッタを得るためにはシャッタ羽根の大きさを可能な限り小さくする必要があるが、漏光の問題を除けば、シャッタ羽根の初期作動の安定性を維持しなければならないことと、上記した付加時間のための可成り大きな調整領域を設けざるを得ないことが災いして、なかなか小型化できないという問題点があった。
【0016】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、モータの回転によってシャッタ羽根に開き作動を与えるカメラ用レンズシャッタにおいて、最大EV値の場合は基よりシャッタ羽根の全開までの立上がり特性の全てを考慮に入れた、より優れた露光調整方法を提供することである。
【0017】
本発明のもう一つの目的は、シャッタ羽根がピンホールに達するまでの作動過程に、電気秒時のカウント開始時機を調整するための付加時間の調整領域を設ける必要がないようにするか、又は設けるとしても極く僅かで済むようにし、シャッタの小型化に寄与することのできる高精度な露光調整方法を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段及び作用】
上記の目的を達成するために、本発明による露光調整方法は、モータに駆動されて開き作動を開始した後であって露光開口を開き始める前のシャッタ羽根の作動位置を検出手段で検出し、その検出信号によって露光制御回路が被写体の輝度に対応した電気秒時のカウントを開始し、そのカウントの終了でモータによる開き駆動を終わらせるようにしたカメラ用レンズシャッタにおいて、前記検出手段は、上記のようにしてシャッタ羽根の第1の作動位置を検出した後、製作時においては、第2の作動位置と第3の作動位置も順に検出できるようにしておき、先ず、複数のサンプリングしたシャッタについて、それらのシャッタ羽根の第1の作動位置から第2の作動位置までの測定時間から算定して、シャッタ羽根が露光開口を全開する前に略最大のEV値である第1EV値に対応する位置から閉じ作動を行う場合に露光制御回路によってカウントされる第1電気秒時の基準となる第1基準電気秒時を決定し、また、それらのシャッタ羽根の第1の作動位置から第3の作動位置までの測定時間から算定して、シャッタ羽根が所定の第2EV値に対応して露光開口を全開した直後に閉じ作動を行う場合に該露光制御回路によってカウントされる第2電気秒時の基準となる第2基準電気秒時を決定し、次に、個々のシャッタの製作に際しては、各々のシャッタにおける第1電気秒時と第2電気秒時とを該第1基準電気秒時と第2基準電気秒時とに設定すると共に、該第1基準電気秒時によって該第1EV値が得られるように該モータへの供給電流値を調整した後、該第2基準電気秒時によって該第2EV値が得られるように該モータへの供給電流値を第2の作動位置を検出した時点から変化させて調整する。
【0019】
また、本発明による露光調整方法は、モータに駆動されて開き作動を開始した後であって露光開口を開き始める前のシャッタ羽根の作動位置を検出手段で検出し、その検出信号によって露光制御回路が被写体の輝度に対応した電気秒時のカウントを開始し、そのカウントの終了でモータによる開き駆動を終わらせるようにしたカメラ用レンズシャッタにおいて、前記検出手段は、上記のようにしてシャッタ羽根の第1の作動位置を検出した後、製作時においては、第2の作動位置と第3の作動位置も順に検出できるようにしておき、先ず、複数のサンプリングしたシャッタについて、それらのシャッタ羽根の第1の作動位置から第2の作動位置までの測定時間から算定して、シャッタ羽根が露光開口を全開する前に略最大のEV値である第1EV値に対応する位置から閉じ作動を行う場合に露光制御回路によってカウントされる第1電気秒時の基準となる第1基準電気秒時を決定し、また、それらのシャッタ羽根の第1の作動位置から第3の作動位置までの測定時間から算定して、シャッタ羽根が所定の第2EV値に対応して露光開口を全開した直後に閉じ作動を行う場合に該露光制御回路によってカウントされる第2電気秒時の基準となる第2基準電気秒時を決定し、次に、個々のシャッタの製作に際しては、各々のシャッタにおける第1電気秒時と第2電気秒時とを該第1基準電気秒時と第2基準電気秒時とに設定すると共に、該第2基準電気秒時によって該第2EV値が得られるように該モータへの供給電流値を第2の作動位置を検出した時点から変化させるようにした後、該第1EV値が得られるように前記検出手段の位置を微調整する
【0021】
更に、上記した本発明による各露光調整方法において、好ましくは、前記検出手段が、フォトセンサであるようにする。
【0022】
【実施例】
第1実施例
本発明の第1実施例を図1及び図2を用いて説明する。図1は本発明を適用し得るレンズシャッタの平面図であり、図2は、本実施例を説明するのに用いるタイミングチャートである。先ず、図1に示したシャッタの構成を説明する。合成樹脂製の地板1には露光開口1aが形成されている。周知であるため明示していないが、地板1の背面には露光開口1aと同心的な開口部を形成したカバー板が設けられており、地板1に形成された側壁1bによって地板1との間に羽根室を形成している。
【0023】
羽根室内には、二枚のシャッタ羽根2,3が収容されており、夫々地板1の背面に設けられた軸1c,1dに枢着されている。この図においては、シャッタ羽根2,3は露光開口1aを閉じているが、全開している状態は一点鎖線で示してある。また、シャッタ羽根2には端面2aが形成されており、シャッタ羽根3には先端部の両側に端面3a,3bが形成されている。
【0024】
地板1に設けられた窪み1e内には、フォトセンサとしてフォトリフレクタ4が取り付けられている。このフォトリフレクタ4には発光部4aと受光部4bとが設けられ、それらは地板1に設けられたスロット1fから羽根室内に向けて配置されている。そして、発光部4aから発せられた光は上記したカバー板の内壁に設けられた反射板で反射され、受光部4bで受光されるようになされている。
【0025】
地板1の表側にはモータ5がネジ6,7によって取り付けられている。この種のモータは周知であるため、この平面図のみにより簡単に説明すると、永久磁石から成る回転子5aの軸受部を囲むようにしてコイル枠5bにコイル5cが巻かれており、コイル枠5bの側周部には円筒状のヨーク5dが固定されている。回転子5aには一体的に駆動部材8が取り付けられており、その先端に駆動ピン8aが形成されている。この駆動ピン8aは、地板1に設けられた窓1gを貫通して、シャッタ羽根2,3に夫々形成された周知の明示していないスロットに嵌合している。
【0026】
このモータ5の回転子5aは、コイル5cに順方向に電流を供給すると反時計方向へ回転し、逆方向に電流を供給すると時計方向へ回転する。そして、その回転は所定の角度範囲内で行われるようになされている。従って、シャッタ羽根2,3は、回転子5aが反時計方向へ回転すると、駆動ピン8aによって開き作動を行い、時計方向へ回転すると、閉じ作動を行うことになる。そして、シャッタ羽根2,3が全開する前に露光開口1aよりも小さい口径位置から閉じ得るようにすることによって、EV値の大きい露光が行えるようになされている。
【0027】
また、フォトリフレクタ4は、カメラのレリーズボタンが押されたとき電流が供給されるようになされており、発光部4aから発せられた光は上記したようにカバー板に設けられた反射板で反射され、受光部4bで受光される。そして、フォトリフレクタ4は、受光部4bの受光状態においては、露光制御回路に対してHレベルの信号を出し、非受光状態においてはLレベルの信号を出すようになされている。従って、シャッタ羽根2,3の開き作動過程においては、初期位置ではHレベルの信号を出しているが、シャッタ羽根2,3が露光開口1aを開放する前にシャッタ羽根3の端面3a,3bがフォトリフレクタ4の光路を順に横切ると、夫々Lレベル,Hレベルの信号に切り替わり、全開位置の直前ではシャッタ羽根2の端面2aが横切ることによりLレベルの信号を出すようになされている。
【0028】
図2は、本実施例の露光調整方法によって調整された後における図1に示したシャッタのタイミングチャートであって、図3と同じようにシャッタ羽根の開口波形と、シャッタ羽根の開閉作動を制御する各種制御要素の作動のタイミングを示したものである。シャッタ羽根の開口波形Sは、図3と同じようにこのシャッタにおける制御可能な最小口径位置から閉じる場合、即ち例えばEV17の場合の波形であり、開口波形Oは、シャッタ羽根が露光開口1aを全開後に閉じる場合の波形である。また、タイミング位置を示すA時点からF時点までは図3におけるA時点からF時点までと実質的に同じであるが、この図は基本的にはシャッタ羽根が全開後に閉じる場合を示しているので、J時点からM時点まではそれに合わせたタイミング位置となっている。
【0029】
本実施例の露光調整方法を説明をする前に、図1及び図2によってシャッタ羽根が露光開口1aを全開した後に閉じる場合の露光作動を、簡単に説明しておく。カメラのレリーズによって電源が閉じると、フォトリフレクタ4の発光部4aが点灯し、フォトリフレクタ4はH信号を発する。その後、A時点でモータ5のコイル5cに順方向への電流が供給され、B時点になってシャッタ羽根2,3は開き作動を開始する。C時点になるとシャッタ羽根3の端面3aがフォトリフレクタ4の位置に達するので、フォトリフレクタ4はL信号を発し電気秒時のカウントが始まる。
【0030】
D時点になると、シャッタ羽根3の端面3bがフォトリフレクタ4の位置に達するので、フォトリフレクタ4はH信号を発し、それによってコイル5cへの供給電流値が低下する。この場合、本実施例による露光調整次第では供給電流値を上昇させることもあるが、ここではその具体的な理由を説明しない。図3で説明したと同様に、EV17による撮影の場合は、この時点で電気秒時のカウントが終了し(一点鎖線)、シャッタ羽根2,3はピンホールのE時点を経て開口波形Sで示すようにF時点から閉じるが、ここでは電気秒時のカウントが続いており且つコイル5cへの供給電力が低下するだけであるから、シャッタ羽根2,3は尚も開き作動を続ける。
【0031】
シャッタ羽根2,3が全開位置直前のJ時点になると、シャッタ羽根2の端面2aの通過によりフォトリフレクタ4はL信号を発する。それによって、露光制御回路による電気秒時のカウントが終了し、コイル5cには逆方向への電流が供給される。シャッタ羽根2,3はその直後から閉じ作動に転じ、K時点でシャッタ羽根2によりフォトリフレクタ4の発信をH信号に変えた後、露光開口1aを閉じる。その後、フォトリフレクタ4はシャッタ羽根3によってL信号を発し、モータ5への電流供給が断たれ、原位置となる。
【0032】
次に、図2を参照しながらシャッタの製作時に行う本実施例における露光調整方法を説明する。先ず最初に、複数のシャッタをサンプリングする。そして、各シャッタのコイル5cに基準電流を供給し、各C時点からD時点までの時間と、D時点からJ時点までの時間を測定し、夫々の時間の平均値を算出することによって、基準時間を決定する。その場合における前者の基準時間をX時間と称し、後者の基準時間をY時間と称することにする。
【0033】
2番目には、回路設定上、ROM出しと称している作業を行う。即ち、当該シャッタにおいて制御を行い得る範囲のEV値に対して電気秒時を決定する作業である。その場合、最大EV値(例えば、EV17)の電気秒時はX時間となり、最小EV値(例えば、EV8)の電気秒時がX+Y時間となるが、当該シャッタに対する要求精度に応じて、各整数のEV値ごとに、場合によっては更に細分化されたEV値ごとに電気秒時が決定される。
【0034】
上記のようにして決定された電気秒時は(以下、基準電気秒時という)、飽くまでもサンプリングした複数のシャッタから割り出したものである。そのため、個々のシャッタはこの電気秒時で撮影しても、シャッタごとに立上がり特性にバラツキがあるため適正なEV値が得られるとは限らない。そこで、3番目に、組立て調整工程において、個々のシャッタについて、上記したように一番問題となる最大EV値の調整を行う。この調整は、個々のシャッタにおけるEV値が、正規のEV値より小さい場合にはモータ5への供給電流値を上げ、大きい場合には下げるようにして行う。尚、加工精度上又は要求仕様上から余り問題がないような場合には、必ずしも最大EV値で調整を行う必要がなく、その近傍のEV値で調整するようにしても構わない。
【0035】
最後に、X+Y時間、即ちC時点からJ時点までの基準電気秒時におけるEV値の調整を個々のシャッタについて行う。この場合にも、個々のシャッタにおけるEV値が、正規のEV値より小さい場合にはD時点からモータ5への供給電流値を上げ、大きい場合にはD時点から下げるようにして行う。従って、図1の構成のシャッタとの関係で作動説明をしたときにも述べたように、図2に実線で示されたようにD時点から下がるとは限らない。尚、調整作業としては面倒になるが、より精度を上げるために、この調整作業の後に上記ROM出しで決定した他の数種の電気秒時に対しても、所定のEV値が得られるようにモータの各電流値調整を行うようにしても構わない。
【0036】
本実施例によれば、図3を用いて説明した従来例に比べて、最大EV値のみならず、シャッタ羽根が全開する場合のEV値をも考慮して調整するので、幅広いEV値に対する調整が可能となる。また、従来のように調整用の付加時間を設ける必要がないので、ピンホール時期(E時点)が従来と同じであれば初期位置からC時点までのシャッタ羽根の作動量を大きく設定でき、シャッタ羽根の作動の安定化を図り切りむら(同一シャッタでありながら同じ条件下で撮影しても異なる露光が行われること)などを生じにくくし、露光制御の高精度化が可能となる。また、付加時間を設けない分だけシャッタ羽根の始動開始位置からピンホールまでの作動量を少なくした場合には、初期位置でのシャッタ羽根相互の重なりを少なくすることによってシャッタの小型化が可能となり、また、重なりを変えない場合には、制御可能な口径を小さくし(EV値を17より更に大きくする)更に光輝度への対応が可能となる。
【0037】
第2実施例
次に、本発明の第2実施例を説明する。図1に示したシャッタ機構が本実施例にも適用されるので、このシャッタの構成及び作動の説明は省略する。従って、本実施例における露光調整方法は、第1実施例の説明の場合と同様に図2に示されたタイミングチャートを基準にして説明する。
【0038】
本実施例においても、基準電気秒時を決定する2番目の手順までは第1実施例の場合と同じである。そして、上記の第1実施例においては、最大EV値の電気秒時にはこの基準電気秒時をそのまま採用している。しかしながら、このようにして最大EV値における電気秒時を最終的なものとして決定してしまうと、シャッタ羽根の作動初期段階におけるバラツキ、即ち主にC時点からD時点までの作動時間のバラツキが大きい場合にはモータへの供給電流の調整だけでは対応しきれない場合がある。しかも、近年、フイルム性能の向上により大きいEV値領域(シャッタの高速領域)での撮影が多くなり、この領域に対する要求精度も厳しくなってきている。
【0039】
そこで、本実施例における3番目の調整手順としては、先ず組立て調整工程において測定した個々のシャッタにおけるC時点からD時点までの電気秒時を基準電気秒時に合わせる。そのため、必然的にD時点からJ時点までの時間が変わることになり、C時点からD時点までの個々の測定した電気秒時が基準電気秒時より短い場合には長くなり、基準電気秒時より長い場合には短くなる。従って、D時点からJ時点までの時間が長くなった場合にはモータへの供給電流値を大きくし、短くなった場合にはモータへの供給電流値を図2の実線で示すように小さくして、C時点からJ時点までの基準電気秒時において正規のEV値が得られるように調整する。
【0040】
次に、個々のシャッタについて、C時点からD時点までの基準電気秒時において正規のEV値が得られているかどうかを確認する。そして、正規のEV値が得られていない場合には、正規のEV値が得られるように調整する。この調整は、フォトリフレクタ4が最初にL信号を発する時点をC時点の前後にずらすことによって行う。このような調整を行えるようにようにするためには、従来の調整方法の説明でも述べたように、正規の電気秒時の制御領域の前に調整用の付加時間領域を設けておく必要がある。しかしながら、本実施例においては、この調整を、C時点からD時点までの基準電気秒時に合わせた後で行うため、この付加時間領域を予め短い時間に設定でき、地板1に対するフォトリフレクタ4の位置調整も極めて僅かで済む。従って、シャッタの小型化への対応は従来方法の場合よりは一段と有利である。
【0041】
【発明の効果】
以上のように、本発明の露光調整方法によれば、モータの回転によってシャッタ羽根に開き作動を与えるようにしたカメラ用レンズシャッタにおいて、先ず基準電気秒時を定めてそれに個々のシャッタの電気秒時を合わせ、次にシャッタ羽根が全開作動するまでに制御するEV値を、所定の手順でモータへの供給電流値を変えて調整するようにしたため、従来のように電気秒時のカウント開始時機のみを調整するものに比較して精度的に優れた露光調整ができ、しかもシャッタ羽根の作動過程に電気秒時のカウント開始時機を調整するための領域を設ける必要がなく、また設けるとしても極く僅かでよいから、シャッタの小型化にとって極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の各実施例を適用し得るレンズシャッタの平面図である。
【図2】本発明の各実施例を説明するのに用いるタイミングチャートである。
【図3】従来の露光調整方法を説明するのに用いるタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 地板
1a 露光開口
1b 側壁
1c,1d 軸
1e 窪み
1f スロット
1g 窓
2,3 シャッタ羽根
2a,3a,3b 端面
4 フォトリフレクタ
4a 発光部
4b 受光部
5 モータ
5a 回転子
5b コイル枠
5c コイル
5d ヨーク
6,7 ネジ
8 駆動部材
8a 駆動ピン

Claims (3)

  1. モータに駆動されて開き作動を開始した後であって露光開口を開き始める前のシャッタ羽根の作動位置を検出手段で検出し、その検出信号によって露光制御回路が被写体の輝度に対応した電気秒時のカウントを開始し、そのカウントの終了でモータによる開き駆動を終わらせるようにしたカメラ用レンズシャッタにおいて、前記検出手段は、上記のようにしてシャッタ羽根の第1の作動位置を検出した後、製作時においては、第2の作動位置と第3の作動位置も順に検出できるようにしておき、先ず、複数のサンプリングしたシャッタについて、それらのシャッタ羽根の第1の作動位置から第2の作動位置までの測定時間から算定して、シャッタ羽根が露光開口を全開する前に略最大のEV値である第1EV値に対応する位置から閉じ作動を行う場合に露光制御回路によってカウントされる第1電気秒時の基準となる第1基準電気秒時を決定し、また、それらのシャッタ羽根の第1の作動位置から第3の作動位置までの測定時間から算定して、シャッタ羽根が所定の第2EV値に対応して露光開口を全開した直後に閉じ作動を行う場合に該露光制御回路によってカウントされる第2電気秒時の基準となる第2基準電気秒時を決定し、次に、個々のシャッタの製作に際しては、各々のシャッタにおける第1電気秒時と第2電気秒時とを該第1基準電気秒時と第2基準電気秒時とに設定すると共に、該第1基準電気秒時によって該第1EV値が得られるように該モータへの供給電流値を調整した後、該第2基準電気秒時によって該第2EV値が得られるように該モータへの供給電流値を第2の作動位置を検出した時点から変化させて調整するようにしたことを特徴とする露光調整方法。
  2. モータに駆動されて開き作動を開始した後であって露光開口を開き始める前のシャッタ羽根の作動位置を検出手段で検出し、その検出信号によって露光制御回路が被写体の輝度に対応した電気秒時のカウントを開始し、そのカウントの終了でモータによる開き駆動を終わらせるようにしたカメラ用レンズシャッタにおいて、前記検出手段は、上記のようにしてシャッタ羽根の第1の作動位置を検出した後、製作時においては、第2の作動位置と第3の作動位置も順に検出できるようにしておき、先ず、複数のサンプリングしたシャッタについて、それらのシャッタ羽根の第1の作動位置から第2の作動位置までの測定時間から算定して、シャッタ羽根が露光開口を全開する前に略最大のEV値である第1EV値に対応する位置から閉じ作動を行う場合に露光制御回路によってカウントされる第1電気秒時の基準となる第1基準電気秒時を決定し、また、それらのシャッタ羽根の第1の作動位置から第3の作動位置までの測定時間から算定して、シャッタ羽根が所定の第2EV値に対応して露光開口を全開した直後に閉じ作動を行う場合に該露光制御回路によってカウントされる第2電気秒時の基準となる第2基準電気秒時を決定し、次に、個々のシャッタの製作に際しては、各々のシャッタにおける第1電気秒時と第2電気秒時とを該第1基準電気秒時と第2基準電気秒時とに設定すると共に、該第2基準電気秒時によって該第2EV値が得られるように該モータへの供給電流値を第2の作動位置を検出した時点から変化させるようにした後、該第1EV値が得られるように前記検出手段の位置を微調整するようにしたことを特徴とする露光調整方法。
  3. 前記検出手段が、フォトセンサであることを特徴とする請求項1又は2に記載の露光調整方法。
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