JP3556553B2 - 複合光学部材及びこの複合光学部材を備えた複合光学ユニット及びこの複合光学部材又はこの複合光学ユニットを備えた光ピックアップ装置 - Google Patents

複合光学部材及びこの複合光学部材を備えた複合光学ユニット及びこの複合光学部材又はこの複合光学ユニットを備えた光ピックアップ装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクの記録又は再生を行うために、光ディスクに光ビームを照射し、光ディスクからの戻り光を受光するための複合光学部材及びこの複合光学部材を備えた複合光学ユニット及びこの複合光学部材又はこの複合光学ユニットを備えた光ピックアップ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
CD(コンパクト・ディスク)、CD−R(追記型CD)、DVD(デジタル・バーサタイル・ディスク又はデジタル・ビデオ・ディスク)、DVD−ROM(DVD−リード・オンリー・メモリ)、DVD−R(DVD−レコーダブル)、DVD−RAM(DVD−ランダム・アクセス・メモリ)等の光ディスクに情報を記録したり、あるいは、光ディスクの情報記録面の情報を再生するために光ピックアップ装置が用いられる。
【0003】
近年、CDに比べて記録密度の高い光ディスクであるDVDを記録・再生するDVD装置が製品化されている。DVD装置では、CD(CD−R/RW等を含む)との互換性が要求されている。そのために、DVD(DVD−R/ROM/RAM等を含む)用の短波長レーザ光源(650nm帯)と、650nm帯のレーザ光源では再生できないCD−Rを記録あるいは再生するための長波長レーザ光源(780nm帯)の波長の異なる2つのレーザ光源を備える必要があった。
【0004】
図16は、従来の第1の光ピックアップ装置の光学系30を説明するための説明図、図17は、従来の第2の光ピックアップ装置の光学系50を説明するための説明図、図18は、従来の第3の光ピックアップ装置の光学系70を説明するための説明図である。
【0005】
まず、図16を用いて、CD専用の1つの波長のみを備えた1波長光学系について説明する。
【0006】
光学系30において、31はキュービック状のビームスプリッタであり、このビームスプリッタ31の側方には受光レンズ32、及び1つの受光素子(図示せず)を内部に備えた受光部材33がそれぞれ所定の間隔をもって同軸上に配置されている。また、ビームスプリッタ31の受光レンズ32とは反対側の側方には反射ミラー34が配置されている。
【0007】
また、受光部材33と反射ミラー34とを結ぶ光軸とは直交する方向で、ビームスプリッタ31の下方には回折格子35とCD61用のレーザダイオード36がそれぞれ同軸上に配置され、また、反射ミラー34の上方にはコリメートレンズ37と対物レンズ38がそれぞれ同軸上に配置されている。そして、これらの光学部材は図示しないキャリッジ等に取付られるようになっている。なお、図中の光ディスクすなわちCD61は一部のみを示してある(以下同様)。
【0008】
次に、CD61の再生動作について説明する。
【0009】
CD61を再生するときには、レーザダイオード36から発振波長780nm帯の波長で出射されたレーザ光は、回折格子35を通過する。このとき、この回折格子35で3ビームが形成されたレーザ光はビームスプリッタ31に入射する。そしてビームスプリッタ31に入射したレーザ光は、90度角度を偏向するように反射して、反射ミラー34に出射される。
【0010】
反射ミラー34でレーザ光は90度角度を偏向するように上方に反射して、反射ミラー34の上方に配置したコリメートレンズ37に入射する。このコリメートレンズ37で平行光に変換されたレーザ光は対物レンズ38へ入射する。そして対物レンズ38の集光作用により、CD61の情報記録面に結像される。
【0011】
その後CD61で反射されたレーザ光(戻り光)は、再び対物レンズ38及びコリメートレンズ37を透過し、反射ミラー34で反射された後、ビームスプリッタ31を透過して、受光レンズ32に入射する。受光レンズ32において戻り光が受光部材33内の受光素子で受光するために最適なスポットに変換された後受光部材33に入射される。このとき、前記受光素子で受光された戻り光は光電変換されることによりCD61の情報記録面の信号に応じた電流出力を電圧信号に変換した再生信号が形成され図示しない外部端子から出力される。また、受光素子で受光された戻り光の一部はフォーカス制御及び3ビーム法によるトラッキング制御のために用いられる。
【0012】
このように、第1の従来例のように、1つの波長のレーザ光を出射するレーザダイオード36を用いて、1つの波長に対応させて構成される光学系30では、主に、1つのビームスプリッタと、1つの受光素子を有した受光部材とから構成できるので、構成が簡単であり、また、光学系30の調整に関しては、CD61からの前記した戻り光を受光素子によって最適な位置で受光できるように受光部材33のみを位置合わせするだけでよかったので、調整が簡単なものであった。
【0013】
次に、図17を用いて、CD及びDVD用の2つの波長に対応した2波長光学系の従来例について説明する。
【0014】
51はキュービック状の第1ビームスプリッタであり、この第1ビームスプリッタ51の側方には同様にキュービック状の第2ビームスプリッタ52、受光レンズ53、及び1つの受光素子(図示せず)を内部に備えた受光部材54がそれぞれ所定の間隔をもって同軸上に配置されている。また、第1ビームスプリッタ51の第2ビームスプリッタ52とは反対側の側方には反射ミラー55が配置されている。
【0015】
また、受光部材54と反射ミラー55とを結ぶ光軸とは直交する方向で、第1ビームスプリッタ51の下方には回折格子56とCD61用のレーザダイオード57がそれぞれ同軸上に配置され、また、第2ビームスプリッタ52の上方にはDVD62用のレーザダイオード58が配置され、さらに、反射ミラー55の上方にはコリメートレンズ59と対物レンズ60がそれぞれ同軸上に配置されている。なお、対物レンズ60はCD61及びDVD62用の2波長のレーザ光に対応可能な構成になっている。そして、これらの光学部材は図示しないキャリッジ等に取付られるようになっている。なお、図中の光ディスクすなわちCD61(DVD62)は一部のみを示してある(以下同様)。
【0016】
次に、CD61とDVD62の再生動作について説明する。
【0017】
まず、CD61を再生するときには、レーザダイオード57から発振波長780nm帯の波長で出射されたレーザ光は、回折格子56を通過する。このとき、この回折格子56で3ビームが形成されたレーザ光は第1ビームスプリッタ51に入射する。そして第1ビームスプリッタ51に入射したレーザ光は、90度角度を偏向するように反射して、反射ミラー55に出射される。
【0018】
反射ミラー55でレーザ光は90度角度を偏向するように上方に反射して、反射ミラー55の上方に配置したコリメートレンズ59に入射する。このコリメートレンズ59で平行光に変換されたレーザ光は対物レンズ60へ入射する。そして対物レンズ60の集光作用により、CD61の情報記録面に結像される。
【0019】
その後CD61で反射されたレーザ光(戻り光)は、再び対物レンズ60及びコリメートレンズ59を透過し、反射ミラー55で反射された後、第1ビームスプリッタ51、第2ビームスプリッタ52を透過して、受光レンズ53に入射する。受光レンズ53において戻り光が受光部材54内の受光素子で受光するために最適なスポットに変換された後受光部材54に入射される。このとき、前記受光部材54に入射された戻り光は光電変換されることによりCD61の情報記録面の信号に応じた電流出力を電圧信号に変換した再生信号が形成され図示しない外部端子から出力される。また、受光部材54に入射された戻り光の一部はフォーカス制御及び3ビーム法によるトラッキング制御のために用いられる。
【0020】
一方、DVD62を再生するときには、レーザダイオード58から発振波長650nm帯の波長で出射されたレーザ光は、第2ビームスプリッタ52に入射する。そして第2ビームスプリッタ52で入射してきたレーザ光は、第2ビームスプリッタ52で90度角度を偏向するように反射して、隣接して配置された第1ビームスプリッタ51をそのまま透過して反射ミラー55に入射する。
【0021】
反射ミラー55でレーザ光は90度角度を偏向するように上方に反射して、反射ミラー55の上方に配置したコリメートレンズ59に入射する。このコリメートレンズ59で平行光に変換されたレーザ光は対物レンズ60に入射し、対物レンズ60の集光作用により、DVD62の情報記録面に結像される。
【0022】
その後DVD62で反射された戻り光は、再び対物レンズ60及びコリメートレンズ59を透過し、反射ミラー55で反射された後、第1ビームスプリッタ51、第2ビームスプリッタ52を透過して、受光レンズ53に入射する。受光レンズ53において戻り光は受光部材54で受光するために最適なスポットに変換された後受光部材54に入射される。このとき、前記受光部材54に入射された戻り光は光電変換されることによりDVD62の情報記録面の信号に応じた電流出力を電圧信号に変換した再生信号が形成され図示しない外部端子から出力される。また、受光部材54に入射された戻り光の一部はフォーカス制御及びトラッキング制御のために用いられる。
【0023】
このように、第2の従来例では、2つの波長の異なるレーザダイオード57、58と、レーザダイオード57、58から出射したそれぞれのレーザ光をCD61又はDVD62方向の同一光路に導き、かつそれぞれの戻り光を1つの受光素子で受光できるように受光部材54に導く機能を有する第1及び第2ビームスプリッタ51、52とを主に用いて、2波長光学系を実現していた。
【0024】
次に、図18を用いて、CDとDVDの2つの波長に対応した2波長光学系のもう1つの従来例について説明する。
【0025】
71はキュービック状のビームスプリッタであり、この第1ビームスプリッタ71の側方には受光レンズ72、及び2つの受光素子(図示せず)を内部に備えた受光部材73がそれぞれ所定の間隔をもって同軸上に配置されている。また、ビームスプリッタ71の受光レンズ72とは反対側の側方には反射ミラー74が配置されている。
【0026】
また、受光部材73と反射ミラー74とを結ぶ光軸とは直交する方向で、ビームスプリッタ71の下方には回折格子75と、CD61用のレーザ光76aとDVD62用のレーザ光76bの2つの波長の異なるレーザ光を出射する1つの2波長レーザダイオード76とがそれぞれ同軸上に配置され、また、反射ミラー74の上方にはコリメートレンズ77と対物レンズ78がそれぞれ同軸上に配置されている。なお、対物レンズ78はCD61及びDVD62用の2波長のレーザ光に対応可能な構成になっている。そして、これらの光学部材は図示しないキャリッジ等に取付られるようになっている。
【0027】
なお、2波長レーザダイオード76の内部にはCD用及びDVD用の2つ光源すなわちレーザダイオードチップ(図示せず)が所定の間隔に近接して並設されており、それぞれのレーザダイオードチップから出射するレーザ光76a、76bは相互に平行となるように設定されている。また、2波長レーザダイオード76を製作する工程では、2つレーザダイオードチップは基板面上に半導体プロセス類似のプロセスにより加工されるので、各レーザダイオードチップ間の間隔は容易に所定の値に高精度で均一に形成することができる。また、そのためディスクリート部品として大量生産も可能となるので2波長レーザダイオードのコストも安価なものにすることができる。
【0028】
次に、CD61とDVD62の再生動作について説明する。
【0029】
まず、CD61を再生するときには、2波長レーザダイオード76から発振波長780nm帯の波長で出射されたレーザ光76aは、回折格子75を通過する。このとき、この回折格子75で3ビームが形成されたレーザ光76aはビームスプリッタ71に入射する。そしてビームスプリッタ71に入射したレーザ光76aは、90度角度を偏向するように反射して、反射ミラー74に出射される。
【0030】
反射ミラー74でレーザ光76aは90度角度を偏向するように上方に反射して、反射ミラー74の上方に配置したコリメートレンズ77に入射する。このコリメートレンズ77で平行光に変換されたレーザ光76aは対物レンズ78へ入射する。そして対物レンズ78の集光作用により、CD61の情報記録面に結像される。
【0031】
その後CD61で反射されたレーザ光(戻り光)76aは、再び対物レンズ78及びコリメートレンズ77を透過し、反射ミラー74で反射された後、ビームスプリッタ71を透過して、受光レンズ72に入射する。受光レンズ72において戻り光76aが受光部材73内の2つの受光素子のうちの一方の受光素子で受光するために最適なスポットに変換された後受光部材73に入射される。このとき、前記一方の受光素子で受光した戻り光は光電変換されることによりCD61の情報記録面の信号に応じた電流出力を電圧信号に変換した再生信号が形成され図示しない外部端子から出力される。また、一方の受光素子で受光された戻り光76aの一部はフォーカス制御及び3ビーム法によるトラッキング制御のために用いられる。
【0032】
一方、DVD62を再生するときには、2波長レーザダイオード76から発振波長650nm帯の波長でレーザ光76aの光軸と所定の間隔を持って平行に出射されたレーザ光76bは、回折格子75を透過しビームスプリッタ71に入射する。そしてビームスプリッタ71で入射してきたレーザ光76bは、ビームスプリッタ71で90度角度を偏向するように反射して、反射ミラー74に入射する。
【0033】
反射ミラー74でレーザ光76bは90度角度を偏向するように上方に反射して、反射ミラー74の上方に配置したコリメートレンズ77に入射する。このコリメートレンズ77で平行光に変換されたレーザ光76bは対物レンズ78に入射し、対物レンズ78の集光作用により、DVD62の情報記録面に結像される。
【0034】
その後DVD62で反射された戻り光76bは上述したCD61からの戻り光76aと所定の間隔を持って、再び対物レンズ78及びコリメートレンズ77を透過し、反射ミラー74で反射された後、ビームスプリッタ71を透過して、受光レンズ72に入射する。受光レンズ72において戻り光76bは受光部材73内の他方の受光素子で受光するために最適なスポットに変換された後受光部材73に入射される。このとき、前記他方の受光素子で受光された戻り光76bは光電変換されることによりDVD62の情報記録面の信号に応じた電流出力を電圧信号に変換した再生信号が形成され図示しない外部端子から出力される。また、他方の受光素子で受光された戻り光76bの一部はフォーカス制御及びトラッキング制御のために用いられる。
【0035】
このように、第3の従来例では、1つの2波長レーザダイオード76と、この2波長レーザダイオード76から互いに平行に出射したそれぞれのレーザ光76a、76bをCD61又はDVD62方向に導き、かつそれぞれの戻り光を受光部材54に導く機能を有する1つのビームスプリッタ71と、2波長のレーザ光76a、76bにそれぞれ対応した2つの受光素子を内蔵した受光部材73とを主に用いて、2波長光学系を実現していた。
【0036】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図17に示す第2の従来例では、比較的安価なディスクリート部品であるレーザダイオード57、58を用いることができるが、その一方、DVD用のレーザダイオード58の設置位置に対して受光部材54の位置を調整して所定の位置に合わせ、また受光レンズ53から受光部材54に向かって出射する戻り光に対して受光部材54内の受光素子への焦点合わせのために受光部材54の光軸方向への調整を行う必要があるとともに、1つの受光素子でCD及びDVD用双方のレーザ光を受光するために、上述した調整の後にさらにCD用のレーザダイオード57の位置がレーザダイオード58の位置と等価となるように、レーザダイオード57の位置調整を精密に行わなければならず、精密で熟練を要する調整工程が増えるとともに、それに伴う調整のためのコストが増大する。また、ビームスプリッタも多数の精密プロセスを経て製作されるため比較的高価な光学素子であるが、本従来例では、レーザダイオード57、58にそれぞれ対応する2つのビームスプリッタ51、52が必要となりコストを増大させる要因となっており、光ピックアップ装置のコストが増大する問題点があった。また、2つのレーザダイオード57、58と、これら2つのレーザダイオード57、58にそれぞれ対応する2つのビームスプリッタ51、52を用いた構成であるので、図16に示す1波長に対応した光学系30に比べ構造が複雑になる問題点があった。
【0037】
一方、図18に示す第3の従来例では、1つの2波長レーザダイオード76と1つのビームスプリッタ71を用いるので図17に示す第2の従来例に比べ部品点数を減らせることができ、また安価な2波長レーザダイオードを用いることができるメリットが得られるが、所定の間隔を持って互いに平行な双方の戻り光76a、76bを受光するために受光部材73内には2つの受光素子を形成しなければならず、それら受光素子への外部から接続のために受光部材に設けられる外部端子の数が増え回路基板などへの接続が煩雑になるなど使いにくいという問題点があった。また、多くの光ピックアップ装置で一般的に用いられている図16、図17で示したような1つの受光素子を有した受光部材を用いることができないため、2つの受光素子を有する特殊な受光部材を限定された数量で新たに製作しなければならないので、受光部材の単価が増大し光ピックアップ装置がコスト高になる問題点が発生した。
【0038】
本発明の目的は、光学系が簡素化でき、調整工程が簡単で、コストを低減できる複合光学部材及びこの複合光学部材を備えた複合光学ユニット及びこの複合光学ユニットを備えた光ピックアップ装置を提供することにある。
【0039】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための第1の解決手段として、波長が異なり光軸が相互に平行なレーザ光が入射する入射面と、該入射面に入射された前記各レーザ光が出射される出射面と、該出射面から出射された各レーザ光の各戻り光が入射される戻り光入射面と、該戻り光入射面に入射された前記各戻り光が出射される戻り光出射面と、前記戻り光入射面に入射された前記各戻り光を反射させて前記戻り光出射面に導く戻り光反射面とを備え、前記戻り光入射面には、前記各戻り光を回折して前記戻り光反射面の同一位置に導く第1の回折手段を設け、前記戻り光反射面には、該戻り光反射面に導かれた前記各戻り光の前記戻り光反射面に対する入射角の相違を補正し反射した後の前記各戻り光の光軸を一致させて前記戻り光出射面へ導く第2の回折手段を設け、光軸の一致した前記各戻り光を前記出射面から出射させたことを特徴とするものである。
【0040】
さらに、第2の解決手段として、請求項1に記載の複合光学部材を備え、ハウジングに、発光部材と受光部材と前記複合光学部材を取付固定し、前記発光部材は、前記レーザ光を出射する複数の光源を有し、前記受光部材は、前記戻り光出射面から出射した前記各戻り光を受光する受光素子を有し、前記ハウジングには、前記出射面から出射された前記各レーザ光を出射し前記各戻り光を入射する入射口を設けたことを特徴とするものである。
【0041】
さらに、第3の解決手段として、前記発光部材は1つのパッケージに収納されたことを特徴とするものである。
【0042】
さらに、第4の解決手段として、前記第1及び第2の回折手段は前記戻り光入射面及び前記戻り光反射面にそれぞれ直接形成した凹凸部からなる回折格子であることを特徴とするものである。
【0043】
さらに、第5の解決手段として、前記発光部材は780nm帯と650nm帯のレーザ光をそれぞれ出射する2つの光源を有したことを特徴とするものである。
【0044】
さらに、第6の解決手段として、前記入射面には3ビーム用回折格子が設けられ、前記各レーザ光を3ビームに変換して前記出射面から出射し、前記光ディスクからの前記各戻り光を前記受光素子で受光して、前記780nm帯のレーザ光に対しては3ビーム法によるトラッキング制御を、前記650nm帯のレーザ光に対してはDPP(ディファレンシャル・プッシュ・プル)法とDPD法(位相差法)の両方のトラッキング制御を行えるようにしたことを特徴とするものである。
【0045】
さらに、第7の解決手段として、前記第1及び第2の回折手段と3ビーム用回折格子を備えた前記複合光学部材は樹脂であり、成形により一体形成されたことを特徴とするものである。
【0046】
さらに、第8の解決手段として、複合光学部材と、波長が異なり光軸が所定の間隔で相互に平行なレーザ光を出射する複数の光源を有する発光部材と、前記戻り光出射面から出射した前記各戻り光を受光する受光素子を有する受光部材と、前記出射面から出射される前記各レーザ光を光ディスクに集光するための対物レンズを備えたことを特徴とするものである。
【0047】
さらに、第9の解決手段として、複合光学ユニットと、前記出射面から出射される前記各レーザ光を光ディスクに集光するための対物レンズを備えたことを特徴とするものである。
【0048】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態である光ピックアップ装置100について図面を用いて以下に説明する。
【0049】
図1は本発明の実施の形態である光ピックアップ装置100の一部断面平面図、図2は光ピックアップ装置100の一部断面側面図、図3は2波長レーザダイオード102の一部断面斜視図である。
【0050】
図1、図2に示すように、光ピックアップ装置100はキャリッジ500と、このキャリッジ500内に配設された、複合光学ユニット101と、平板状の反射ミラー300と、コリメートレンズ400と、対物レンズ200とから主として構成されている。そして、光ピックアップ装置100は光ディスクすなわちCD61あるいはDVD62に対面して配置されており、CD61(DVD62)面と直交する方向であるフォーカシング(F)方向及びCD61(DVD62)の半径方向であるトラッキング(T)方向に対物レンズ200が可動支持されている。なお、対物レンズ200はCD61及びDVD62の双方に対応できるように構成されたものである。なお、CD61はCD−R/RW等を含み、DVD62はDVD−R/RW/ROM/RAM等を含むものとする。
【0051】
上記の複合光学ユニット101は、受発光一体型光学素子であり、レーザ光を光ディスクに照射し、光ディスクからの反射光(戻り光)を受光することにより光ディスクに記録された情報を再生したり、あるいは光ディスクに対して情報を記録するために用いられる。
【0052】
次に、複合光学ユニット101の詳細について説明する。
【0053】
複合光学ユニット101は、図1に示すように、主として、発光部材すなわち2波長レーザダイオード102と、受光素子104aを内蔵した受光部材104と、複合光学部材105と、これらの部材が取付固定されるハウジング106とからなっている。
【0054】
2波長レーザダイオード102は、図3に示すように、円板状の基板部102aと、基板部102aの一方の平面部102a′から突設した直方体状の基台102bと、基台102bの側壁面に位置決めされ固着されたレーザチップ103と、基台102bを包含するように平面部102a′に取付固定され筒状の胴部102cと開口部102d′を形成した天板102dとからなるキャップ部102eと、開口部102d′をキャップ部102eの内側から塞ぐように固着された透明な円板状のガラス板102fとから構成されている。こうして、基板部102aとキャップ部102eとガラス板102fとから構成される1つのパッケージの中に密閉された空間にレーザチップ103が配置されるようになっている。
【0055】
そして、レーザチップ103にはDVD用の短波長(波長650nm帯)のレーザ光103a′を出射する光源103aと、CD用の長波長(波長780nm帯)のレーザ光103b′を出射する光源103bが間隔Dとなるように近接させて形成されている。なお、本実施の形態では、Dは120μmに設定している。また、DVD用の650nm帯は、具体的には、635nmあるいは650nmがDVD規格として採用されている。
【0056】
また、光源103a、103bからそれぞれ出射されるレーザ光103a′、103b′は基板部102aの一方の平面部102a′と直交する方向に相互に平行となるようにガラス板102fから出射されるようになっている。なお、レーザ光103a′、103b′の出射位置はレーザチップ103の先端面103′(平面部102a′と平行となるように配置されている)の同一平面上となるように構成されている。また、基板部102aの一方の平面部102a′とは反対側の他方の平面部からは複数の外部接続端子102g(図1参照)が突設してあり、この外部接続端子102gを介してレーザチップ103への駆動電流の供給等を行っている。
【0057】
また、2波長レーザダイオード102を製作する工程では、2つの光源103a、103bを備えたレーザチップ103は所定の基板面上に半導体プロセス類似のプロセスにより加工されるので、各光源103a、103b間の間隔Dは容易に所定の値に高精度で均一に形成することができる。また、そのためディスクリート部品として大量生産も可能となるので2波長レーザダイオード102のコストも安価なものにすることができる。
【0058】
受光部材104は、図1に示すように、受光素子104aを内蔵したパッケージ104bとパッケージ104bから両側に突設した外部接続端子104cとから構成されている。外部接続端子104cを介して、受光素子104a用の電源電圧を供給したり、受光素子104aで光電変換された信号を外部に出力したりできるようになっている。
【0059】
また、図4は図1における受光素子104aの方向4から見た一部平面図である。受光素子104aは、中央部に配置され4つの方形状のフォトダイオードA、B、C、Dを上下左右対称に並べた4分割フォトダイオード104dと、この4分割フォトダイオード105dの両側にそれぞれ配置された4分割フォトダイオード104e、104fとから構成される受光パターンPを有している。4分割フォトダイオード104eは小さい方形状のフォトダイオードE1とE4、及び大きい方形状のフォトダイオードE2とE3を上下対称に配置されたパターンであり、同様に4分割フォトダイオード104fも小さい方形状のフォトダイオードF2とF3、及び大きい方形状のフォトダイオードF1とF4を上下対称に配置されたパターンである。なお、受光素子104aとして、フォトダイオードを用いているが、これに限らず他の受光素子であってもかまわない。
【0060】
図1に示す複合光学部材105は、高透過性を有する樹脂からなり、平行に配置された入射面105aと出射面(戻り光入射面)105bを両端面に有した柱状部分105cと、入射面105aから突出するように一体形成した傾斜面部105d′を有する台形状の突出部105dとから構成されている。
【0061】
また、出射面105bには第1の回折手段すなわち第1の回折格子105fが形成されている。また、傾斜面部105d′の表面には図示しない光学膜がコーティングされることによって、傾斜面部105d′の内壁面には戻り光反射面105d″が形成されている。また、戻り光反射面105d″には第2の回折手段すなわち反射型の第2の回折格子105gが、入射面105aには3ビーム用回折格子105hが形成されている。さらに、突出部105dの戻り光反射面105dとは反対側の面にはフォーカス制御方式である非点収差法のためのシリンダー面105iが形成されており、シリンダー面105iの図中下部側面が戻り光出射面105pとなっている。本実施の形態では、複合光学部材105は第1及び第2の回折格子105f、105g並びに3ビーム用回折格子105h、シリンダー面105iとともに成形型を用いた一体成形により形成されている。
【0062】
複合光学部材105の材質として樹脂を用いたが、これに限らず、ガラス材を用いてもかまわない。また、本実施の形態では、出射面105bと戻り光入射面を同一面としたが、出射面と戻り光入射面を別々に設け、この戻り光入射面に第1の回折格子を形成するようにしてもよい。なお、複合光学部材105の形状の詳細、また、第1及び第2の回折格子105f、105g、並びに3ビーム用回折格子105hについての詳細は後述する。
【0063】
図1に示すハウジング106は、金属製の筒状のブロックからなり、図中左方の端部側には2波長レーザダイオード102を挿入するための挿入穴106aが、左端面には2波長レーザダイオード102を位置決めして取り付けるための取付穴106bが形成されている。また、ハウジング106の右方の端部側には複合光学部材105の挿入するための挿入穴106cが挿入穴106aと連結するように形成されている。また、挿入穴106cの右側端部には複合光学部材105を位置決めするための突き当て面106c′が形成されている。さらに、挿入穴106aの図中下方側の側壁部には貫通孔106dが形成されている。また、貫通孔106dを覆う外壁面には受光部材104を配置して取り付けるための取付面106eが形成されている。一方、挿入穴106cの突き当て面106c′には右方に開口した入出射口すなわち開口部106fが形成されており、複合光学部材105に設けた第1の回折格子105fが露出するようになっている。
【0064】
なお、ハウジング106に用いるブロックはアルミダイキャスト、亜鉛ダイキャスト、マグネシウム合金、あるいは他の金属等で構成されるものである。また、形状は円柱状、直方体状、他の多角形の柱状、あるいは、所定の形状の断面を有する柱状のものなどを用いれば良い。また、ハウジング106を金属製とせずに、樹脂製のブロックから構成してもかまわない。
【0065】
次に、図1を参照して、ハウジング106への2波長レーザダイオード102、受光部材104、及び複合光学部材105の組み立て状態について説明する。
【0066】
まず、複合光学部材105は、所定の治具(図示せず)によりその柱状部分105cがハウジング106の挿入穴106cに挿入され、出射面105bの縁部がハウジング106の挿入穴106cに形成した突き当て面106c′に当接されることによって、ハウジング106に位置決めされ保持された状態で、その柱状部分105cの外周面が挿入穴106cの内壁面等の所定の個所で接着剤等で固着される(接着剤及び接着状態は図示せず)。
【0067】
次に、2波長レーザダイオード102は、そのキャップ部102e(図3参照)側がハウジング106の挿入穴106a内に挿入されるとともに、基板部102aにおける一方の平面部102a′側の外縁部がハウジング106に形成した取付穴106bに嵌合することによって、ハウジング106に位置決めされ接着剤等で固着される(接着剤及び接着状態は図示せず)。
【0068】
また、受光部材104は、その受光素子104aがハウジング106の貫通孔106dに対面するように所定の位置でハウジング106に形成した取付面106eに位置決めされ接着剤等で固着される(接着剤及び接着状態は図示せず)。なお、受光部材104は2波長レーザダイオード102に対して複合光学部材105を起点として90度の角度をなすように配置されている。また、受光部材104は予め、所定の基準光学系により光源103a、103bから出射されるレーザ光103a′、103b′に対する光ディスクからの戻り光が第1及び第2の回折格子105fと105gで回折されたときに、受光素子104aの所定パターンPに最適に導かれるように調整された後、取付面106eに固着されるものである。
【0069】
次に、DVD62とCD61の再生動作について説明する。
【0070】
上述した構成において、DVD62を再生するときには、図1に示すように、2波長レーザダイオード102の光源103aから出射したレーザ光103a′は、複合光学部材105の入射面105aに形成した3ビーム用回折格子105hを透過し3ビームに変換された後、第1の回折格子105fを透過し、出射面105bから出射される。そして、図2に示すように、そのレーザ光103a′はレーザ光103a′の進行方向と45度となるように配置された反射ミラー300により90度その角度を偏向して反射ミラー300の上方に配置したコリメートレンズ400に入射されるようになっている。そしてこのコリメートレンズ400で略平行光とされたレーザ光103a′は対物レンズ200に入射し、対物レンズ200の集光作用により、DVD62の情報記録面に結像される。
【0071】
その後DVD62で反射されたレーザ光(戻り光)103a′は、再び対物レンズ200、コリメートレンズ400を透過し、反射ミラー300で反射した後、図1に示す戻り光入射面すなわち出射面105bに形成した第1の回折格子105fに入射し、所定の回折角度に回折された1次回折光である戻り光103a′−2となる。戻り光103a′−2はさらに複合光学部材105に形成した戻り光反射面105d″で反射して受光部材104の受光素子104aにおける受光パターンPに入射する。このとき、受光素子104aで受光された戻り光103a′−2は光電変換されることによりDVD62の情報記録面の信号に応じた電流出力が電圧信号に変換されることによって再生信号が生成され、受光部材104の外部接続端子104bから出力される。また、受光素子104aで受光された戻り光103a′−2の一部はフォーカス及びトラッキング制御のために用いられる。
【0072】
一方、CD61を再生するときには、2波長レーザダイオード102の光源103bから出射したレーザ光103b′は、図1に示すように、複合光学部材105の入射面105aに形成した3ビーム用回折格子105hを透過して3ビームに変換された後、第1の回折格子105fを透過し、出射面105bから出射される。そして、そのレーザ光103b′はDVD62の場合と同様に対物レンズ200へ導かれ、対物レンズ200の集光作用により、CD61の情報記録面に結像される。
【0073】
その後CD61で反射された戻り光103b′は、再び対物レンズ200、コリメートレンズ400を透過して反射ミラー300で反射した後、第1の回折格子105fに入射し、所定の回折角度に回折された1次回折光である戻り光103b′−2となる。戻り光103b′−2はさらに複合光学部材105に形成した戻り光反射面105d″により反射されて受光部材54の受光素子104aにおける受光パターンPで受光される。このとき、受光素子104aで受光された戻り光103b′−2は光電変換されることによりCD61の情報記録面の信号に応じた電流出力が電圧信号に変換されることによって再生信号が生成され、受光部材104の外部接続端子104bから出力される。また、受光素子104aで受光された戻り光103b′−2の一部はフォーカス及びトラッキング制御のために用いられる。
【0074】
なお、光ピックアップ装置100において、出射面105bから出射したレーザ光103a′、103b′の光束の径を規制する波長フィルタ等を出射面105bと対物レンズ200との間の光路に設けるようにしてもよい。
【0075】
次に、複合光学部材105の形状、及びこの複合光学部材105に形成した第1、第2の回折格子105f、105g及び3ビーム用回折格子105hについての詳細、並びに複合光学部材105の機能について図5を参照して説明する。
【0076】
図5Aは複合光学部材105の平面図、Bは複合光学部材105の入射面105a側から見た側面図、Cは第2の回折格子105gと3ビーム用回折格子105h部分を説明するための一部拡大図、Dは複合光学部材105の出射面105b側から見た側面図、Eは複合光学部材105の正面図である。
【0077】
まず、図5A、Dに示すように、複合光学部材105は、直径が4mmで長さがLL(=4.7mm、図面には公差まで示してある。以下同様)の円柱状樹脂(中心線をNとする)の外周面のうち4面105j、k、m、nを面105jとk及び面105mとnが互いに間隔が3.5mmで平行となるように90度おきにカットし、さらに入射面105aと突出部105dとが形成されるように出射面105bとは反対側の端部を切り欠いた様な形状となっている。なお、入射面105aと出射面105bとの距離は4.0mmである。また、図5Aに示すように、突出部105dに形成した傾斜面部105d′の傾斜は入射面105aにおける中心線Nから0.3mmだけ面105j側に寄った位置から開始しており、その傾斜角度は中心線Nに対して45度である。
【0078】
また、図5Eに示すように、面105jの突出部105d側の端部からは中心線Nと35度の角度をなす基準線N′に沿って半径Rが1.0mmのシリンダー面105iのR溝が形成されている。このシリンダー面105iの基準線N′に沿った長さは出射面105bから4.32mmの位置で中心線Nと交わる点Qから0.7mm(minimum、minと省略する。以下同様)である。なお、この点Qから図1に示す戻り光103a′−2(103b′−2)が受光パターンPに向かって出射されるようになっており、シリンダー面105iのR溝が戻り光出射面105pとなっている。
【0079】
一方、図5Dに示すように、出射面105bに形成した第1の回折格子105fは、1.5mm(min)角の正方形状であり、第1の回折格子105fの中心がxy中心に位置するように、そして回折格子のピッチがy軸方向に並ぶように配置されている。また、図5Cに示すように、反射面105d″に形成した第2の回折格子105gは、0.8mm(min)×0.84mm(min)の長方形状であり、回折格子のピッチがy軸方向に並ぶように配置されている。また、入射面105aに形成した3ビーム用回折格子105hは、0.8mm(min)×0.64mm(min)の長方形状であり、回折格子のピッチがx軸方向に並ぶように配置されている。
【0080】
また、図5Bに示すように、3ビーム用回折格子105hの格子の形成方向(回折格子のピッチと直交する方向)がx軸と反時計回りに1.19度傾くようにして、変換された3ビームが光ディスクの情報記録面に最適な配置となるように3ビーム用回折格子105hが形成されている。なお、図5Bに示すように、第2の回折格子105gと3ビーム用回折格子105hは共にその長方形状の0.8mmである一辺がxy中心からx+、x−方向にそれぞれ0.4mm振り分けるように配置されている。
【0081】
次に、第1、第2の回折格子105f、105g及び3ビーム用回折格子105hについて図6乃至8を用いて詳細に説明する。
【0082】
図6Aは複合光学部材105の平面図、Bは第1の回折格子105fの一部拡大図、Cは第2の回折格子105gの一部拡大図、Dは3ビーム用回折格子105hの一部拡大図である。図7は第1の回折格子105fの分岐効率を説明するためのグラフである。図8は3ビーム用回折格子105hの分岐効率を説明するためのグラフである。図9は複合光学ユニット101を説明するための説明図である。
【0083】
まず、図6Bに示すように、第1の回折格子105fは、のこぎり刃状(ブレーズ型)の一様な凹凸部で形成されており、刃と刃(凸と凸)のピッチp1は3.08μm、刃の高さh1は0.61μm(センター値、以下同様)に設定されている。また、図7は第1の回折格子105fの分岐効率の特性を説明するためのグラフである。すなわち、図6Aに示す出射面105bから出射されたレーザ光103a′(103b′)(図1参照)の光ディスクからの戻り光に対する、この第1の回折格子105fで回折された1次回折光である戻り光103a′−2(103b′−2)の割合を効率(%)で表したものである。なお、第1の回折格子105fにおける0次光(第1の回折格子105fを回折されずに素通りするレーザ光)は図6A中103a′−0(103b′−0)で示しており、再生信号とフォーカス及びトラッキング制御信号の生成には使われないレーザ光である。図7において、第1の回折格子105fの刃の高さh1=610nm(=0.61μm)(センター値)でDVD62に対する戻り光103a′−2の効率はほぼ40%、CD61に対する戻り光103b′−2の効率はほぼ28%であり、再生信号とフォーカス及びトラッキング制御信号の生成のために十分な値が得られている。
【0084】
また、図6Cに示すように、第2の回折格子105gは、上述したのこぎり刃を変形させた変形ブレーズ型の凹凸部で形成されており、刃と刃のピッチp2は4.76μm、刃の高さh2は0.33μmに設定されている。また、1つの刃はそれぞれ長さが異なる二辺LL1、LL2で構成されており、その一辺LL1が入射面105aと平行な直線Hとの角度θ2が53度となるように形成されている。
【0085】
また、図6Dに示すように、3ビーム用回折格子105hは、1つの刃が二等辺である三角型の凹凸部で形成されており、刃と刃のピッチp3は11.09μm、刃の高さh3は0.32μmに設定されている。この3ビーム用回折格子105hでは、光源103a(103b)から出射されたレーザ光103a′(103b′)(図3参照)を、図6Aに示すように、0次光であるメインビーム103a′MAIN(103b′MAIN)と1次回折光である2つのサブビーム103a′SUB(103b′SUB)に分岐して3ビームを形成するようになっている。
【0086】
図8は3ビーム用回折格子105hの分岐効率の特性を説明するためのグラフである。すなわち、上記のレーザ光103a′(103b′)に対する、メインビーム103a′MAIN(103b′MAIN)の割合を0次効率(%)として、サブビーム103a′SUB(103b′SUB)の割合を1次効率(%)として表したものである。図8において、3ビーム用回折格子105hの刃の高さh3=320nm(=0.32μm)(センター値)でDVD62に対するメインビーム103a′MAINの0次効率はほぼ78%、サブビーム103a′SUBの1次効率はほぼ10%であり、また、CD61に対するメインビーム103b′MAINの0次効率はほぼ85%、サブビーム103b′SUBの1次効率はほぼ7.2%であり、再生信号とフォーカス及びトラッキング制御信号の生成のために十分な値が得られている。
【0087】
このように構成された複合光学部材105は、図9に示すように、ハウジング106内において、2波長レーザダイオード102に内蔵されたレーザチップ103の先端面103′と、複合光学部材105の入射面105aとが平行でそれらの距離が1.93mmとなるように配置され固着されている。このとき、複合光学部材105の中心軸Nは光源103a(図2参照)から出射されるレーザ光103a′の光軸と一致するように構成されている。
【0088】
次に、複合光学部材105の機能について説明する。
【0089】
図9に示したように、複合光学部材105の出射面105bから出射したレーザ光103a′、103b′に対するそれぞれのDVD62及びCD61からの戻り光は出射面105bに形成した第1の回折格子105fで回折されてそれぞれ戻り光103a′−2及び103b′−2となる。そのとき、CD61に対応する戻り光103b′−2はDVD62に対応する戻り光103a′−2よりも波長が長いため、戻り光103b′−2の回折角度は、図9に示すように戻り光103a′−2の回折角度よりも大きくなっている(回折格子では波長が長いほど回折角度が大きくなるという原理を利用している)。そして、この回折角度の差を利用して、回折される前にレーザ光103a′、103b′のそれぞれの光軸間距離がDであったものを反射面105d″に戻り光103a′−2、103b′−2が到達するときには両者の到達位置が一致するようになっている。
【0090】
しかし、複合光学部材105の反射面105d″において、戻り光103a′−2及び103b′−2を単に反射させただけでは、双方のレーザ光の入射角が異なるため受光素子104aの受光パターンPに2つの戻り光103a′−2及び103b′−2を一致させて向わせることはできない。これを補正するために反射面105d″には第2の回折格子105gを設けている。すなわち、第2の回折格子105gに入射した戻り光103a′−2及び103b′−2を再度波長の違いによる回折角度の差を利用して反射面105″で反射した戻り光103a′−2及び103b′−2の双方の光軸を一致させるようにしている。
【0091】
このようにして、第1の回折格子105fでそれぞれ回折された戻り光103a′−2及び103b′−2を、共に受光素子104aの受光パターンPに受光されるように補正することができ、2波長の光源103a、103bを用いても1つの受光素子104aを有する受光部材104で双方のレーザ光が受光可能になっている。
【0092】
次に、受光部材104の受光素子104aにおけるフォーカス及びトラッキング制御信号の生成方法について説明する。
【0093】
図10は3ビームに変換されたレーザ光103a′及び103b′が光ディスクの情報記録面に集光して照射された状態を示す模式図である。
【0094】
最初に、複合光学部材105の入射面105aに形成した3ビーム用回折格子105h(図6参照)で3ビームに変換された後のレーザ光103a′(103b′)が光ディスクすなわちDVD62(CD61)の情報記録面に集光して照射された状態を図10により説明する。
【0095】
光ディスクの情報記録面(記録型の光ディスクでは情報が書き込まれた後のもの)には、トラックTRKが形成されている。トラックTRK同士の間隔はトラックピッチTPと呼ばれ所定の値に設定される。そして、トラックTRKにはピットPITと呼ばれるそれぞれ所定の長さを有してトラックTRKに形成された長円状の溝(又はそれに相当するもの)が連続して形成されている。そして、3ビームに変換されたレーザ光103a′(103b′)のうち0次光であるメインビーム103a′MAIN(103b′MAIN)によってトラックTRK上を走査し、ピットPIT列の情報を読み取ることにより光ディスクの再生を行うようになっている。
【0096】
また、レーザ光103a′(103b′)のうち1次光である2つのサブビーム103a′SUB(103b′SUB)は、トラックTRKに沿った方向及び直交する方向でメインビーム103a′MAIN(103b′MAIN)を挟んでそれらの間隔がそれぞれL及びδとなるように配置され、後述するトラッキング制御のために用いられる。なお、記録型の光ディスク(CD−R、DVD−RAMなど)の場合には、ピットPITを記録するための溝が光ディスクの一部あるいは全面に予め形成されていて、ピットPITをこの溝に記録するようになっている。そして、ピットPITが書き込まれた溝は再生専用のCDあるいはDVDにおけるトラックTRKと等価となるものである。また、記録時にはこの溝を利用してトラッキング制御を行うようになっている。
【0097】
次に、図11乃至15を用いて、CD、DVD、DVD−RAMそれぞれの光ディスクについて具体的に本実施の形態で採用したサーボ制御方式であるフォーカス及びトラッキング制御方法を順次説明する
【0098】
図11はCDに形成されたピットPIT1の列の一部拡大図、図12はDVDに形成されたピットPIT2の列の一部拡大図、図13はDVD−RAM(記憶容量2.6GBあるいは4.7GB)に形成されたピットPIT3の列の一部拡大図、図14はCDのフォーカス及びトラッキング制御を説明するための説明図、図15はDVD及びDVD−RAMのフォーカス及びトラッキング制御を説明するための説明図である。
【0099】
まず、CD(CD−R/RW等を含む)においてはフォーカス制御として非点収差法、トラッキング制御として3ビーム法を用いている。図11に示すように、CDの規格ではトラックピッチTP1が1.6μm(センター値、以下同様)である。そして、CD用のレーザ光103b′の2つのサブビーム103b′SUB間の距離δ1は3ビーム法のトラッキング制御で最適な値であるトラックピッチTP1の1/2すなわち0.8μmに設定している。
【0100】
一方、図14は上記CD用のレーザ光103b′のメインビーム103b′MAINと2つのサブビーム103b′SUBに対する戻り光103b′−2のメインビーム103b′−2MAINと2つのサブビーム103b′−2SUBを受光素子104aの受光パターンPで受光した状態を示している。
【0101】
メインビーム103b′−2MAINは非点収差法のためのシリンダー面105i(図9参照)を透過させたことにより、CD61へ集光したメインビーム103b′MAINがジャストフォーカスしたときには4分割フォトダイオード104dの4つのフォトダイオードA、B、C、Dにそれぞれ均等に光量が受光され、また、ジャストフォーカス位置よりも前後にずれたときにはAとCあるいはBとDに偏って光量が受光されるので、フォトダイオードA、B、C、Dにそれぞれ均等に光量が受光されるようにフォーカス制御が行われる。したがって、フォーカス制御信号FE1はFE1=(VA+VC)−(VB+VD)(ただし、VA〜VDはフォトダイオードA、B、C、Dで光電変換された後のそれぞれの出力電圧を表す)によって生成することができる。また、再生信号はフォトダイオードA、B、C、Dの総和すなわちA+B+C+Dによって生成できる。これは、DVDあるいはDVD−RAMにおいても同様であり以下では説明を省略する。
【0102】
また、2つのサブビーム103b′−2SUBはそれぞれ4分割フォトダイオード104e、fのフォトダイオードE2、E3及びF1、F4で受光するようにサブビーム103b′−2SUB間距離L1′が設計されている。そして、フォトダイオードE2、E3で受光される光量とフォトダイオードF1、F4で受光される光量が等量となるようにトラッキング制御が行われる。したがって、トラッキング制御信号TE1はTE1=(VF1+VF4)−(VE2+VE3)(ただし、VF1、VF4、VE2、VE3はフォトダイオードF1、F4、E2、E3で光電変換された後のそれぞれの出力電圧を表す)によって生成される。
【0103】
次に、DVD(DVD−R/RW/ROM等を含む)においてはフォーカス制御として非点収差法、トラッキング制御としてDPD(ディファレンシャル・フェーズ・ディテクション)法を用いている。図12に示すように、DVDの規格ではトラックピッチTP2が0.8μmである。そして、DVD用のレーザ光103a′の2つのサブビーム103a′SUB間の距離δ2は波長に依存し、CD用の2つのサブビーム103b′SUB間の距離δ1(図 参照)を0.8μmに設定してあることから、δ2=(650nm/780nm)*δ1=0.67μmとなる。また、サブビーム103a′SUB間のトラック方向の距離L2も同様にL2=(650nm/780nm)*L1となり、L1よりも短くなる。
【0104】
一方、図15は上記DVD用のレーザ光103a′のメインビーム103a′MAINと2つのサブビーム103a′SUBに対する戻り光103a′−2のメインビーム103a′−2MAINと2つのサブビーム103a′−2SUBを受光素子104aの受光パターンPで受光した状態を示している。
【0105】
メインビーム103a′−2MAINは非点収差法のためのシリンダー面105iを透過させたことにより、CDディスクの場合と同様に、フォーカス制御信号FE2はFE2=(VA+VC)−(VB+VD)によって生成することができる。
【0106】
また、2つのサブビーム103a′−2SUBはそれぞれ4分割フォトダイオード104e、fのフォトダイオードE1〜E4及びF1〜F4で受光されるようにサブビーム103a′−2SUB間距離L2′((650nm/780nm)*L1′)が設計されているが、DVDにおけるトラッキング制御では4分割フォトダイオード104e、fからの出力信号は利用せずに4分割フォトダイオード104dからの出力信号を使用するようになっている。すなわち、TE2=PHASE((VA+VC)−(VB+VD)つまり(VA+VC)と(VB+VD)の位相差によってトラッキング制御信号が生成されるようになっている。
【0107】
次に、DVD−RAMにおいてはフォーカス制御として非点収差法、トラッキング制御としてDPP(ディファレンシャル・プッシュ・プル)法を用いている。DVD−RAMの規格ではディスク容量が2.6GBのものと4.7GBのもの(いずれも片面の容量である)が規格化されており、図13に示すように、容量が2.6GBの場合のトラックピッチTP3は0.74μm、容量が4.7GBの場合は0.59μmである。そして、トラッキング制御のDPP法は2つのサブビーム103a′SUB間の距離δ2がトラックピッチTP3と等しいときが最適な設定となる。本実施の形態では、δ2=0.67μmであり、この値は2.6GBと4.7GB容量の場合のそれぞれのトラックピッチ0.74μmと0.59μmの平均に等しくなるように設定しているので、したがって、容量が2.6GBと4.7GBの双方のDVD−RAMディスクにおいてDPP法によるトラッキング制御が可能になっている。
【0108】
一方、図15は上記DVD用のレーザ光103a′のメインビーム103a′MAINと2つのサブビーム103a′SUBに対するDVD−RAMからの戻り光103a′−2のメインビーム103a′−2MAINと2つのサブビーム103a′−2SUBを受光素子104aの受光パターンPで受光した状態を示している(DVDの場合と同様である)。
【0109】
メインビーム103a′−2MAINは非点収差法のためのシリンダー面105iを透過させたことにより、DVDディスクの場合と同様に、フォーカス制御信号FE3はFE3=(VA+VC)−(VB+VD)によって生成することができる。
【0110】
また、2つのサブビーム103a’−2SUBはそれぞれ4分割フォトダイオード104e、fのフォトダイオードE1〜E4及びF1〜F4でそれぞれ均等に受光されるようにサブビーム103a’−2SUB間距離L2’((650nm/780nm)*L1’)が設計されており、DPPにおけるトラッキング制御ではこれら4分割フォトダイオード104e、fからの出力信号を利用するようになっている。すなわち、トラッキング制御信号TE3はTE3=(VA+VD)−(VB+VC)−k1((VEF1+VEF4)−(VEF2+VEF3))(ただし、VEF1〜VEF4はフォトダイオードE1とF1、E2とF2、E3とF3、E4とF4のそれぞれを合計した電圧を表す。また、k1は所定の係数である。)によって生成される。
【0111】
以上のように、CD、DVD、DVD−RAMいずれの光ディスクにおいても1つの受光素子104aを有する受光部材104を用いて再生信号とフォーカス及びトラッキング制御信号の生成できるようになっている。
【0112】
以上説明したように、本実施の形態によれば、図1、2に示すように、ハウジング106に、複合光学部材105と、相互に平行なDVD用のレーザ光103a′(波長650nm帯)とCD用のレーザ光103a′(波長780nm帯)103b′をそれぞれ出射する発光部材102と、戻り光103a′−2、103b′−2を受光する受光素子104aを有する受光部材104とが取付固定された複合光学ユニット101、並びに対物レンズ200、反射ミラー300、コリメートレンズ400をキャリッジ500に備えて光ピックアップ装置100を構成し、複合光学部材105によって各戻り光103a′−2、103b′−2を光軸を一致させて戻り光出射面105pから受光部材104に向かって出射させることができるので、この戻り光103a′−2、103b′−2を1つの受光素子104aで受光することが可能となり、受光部材104として広く一般的に使用されている1つの受光素子を備えた受光部材を用いることができ、したがって、2波長を用いる光学系であっても例えばCD専用の1波長光学系と同等に簡素化することができる。また、受光部材104は従来のものを用いることができることからコストを低減でき、したがって、光ピックアップ装置100のコストを低減できる。
【0113】
また、複合光学ユニット101は、発光部材102と受光部材104と複合光学部材105をハウジング106内に取付固定しユニット化しているので、光学系の調整は複合光学ユニット101ごとその位置調整を行うことができ、そのとき発光部材102の発光位置と受光部材104の受光位置の相対関係が変化しないので、複合光学ユニット101の位置調整の許容範囲が大きく取れ、精密な調整が必要なくなり、調整工程がより簡単にできる効果が得られる。
【0114】
また、図3に示すように、発光部材102は1つのパッケージに収納されたことにより、光源103a、103bを有するレーザチップ103は所定の基板面上に半導体プロセス類似のプロセスにより加工できるので、発光部材102はディスクリート部品として大量生産も可能となり発光部材102のコストを安価なものにすることができる。したがって、光ピックアップ装置100のコストを低減できる。
【0115】
また、複合光学部材105は樹脂であり、複合光学部材105の成形型による成形時に、第1及び第2の回折格子105f、105g並びに3ビーム用回折格子105hを、それぞれ出射面105b及び戻り光反射面105d″並びに入射面105aに同時に直接形成したので、各回折格子を複合光学部材105と別体で設ける必要がなく、複合光学部材105のコストをより低減できる。また、複合光学部材105を樹脂で形成したのでガラスで形成した場合に比べて素材のコストが安価で、成形もし易くなるメリットが得られる。
【0116】
また、CD61とDVD62のそれぞれの光ディスクに好ましいトラッキング制御である3ビーム法及びDPP法を採用し、受光部材104でそれらのトラッキング制御信号を生成できるようにしたので、信頼性のある光ピックアップ装置を実現できるものである。
【0117】
なお、本実施の形態では、光ピックアップ装置100に複合光学ユニット101を用いたが、これに限らず、例えば、図18に示す従来の2波長光学系におけるビームスプリッタ71の代わりに複合光学部材105を用いて光ピックアップ装置を構成するようにしてもよい。
【0118】
なお、本発明の複合光学部材及び複合光学ユニットは、光ピックアップ装置への適用のみに限らず、波長の異なる複数個の光源を使用する光学装置にも適用が可能である。
【0119】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、波長が異なり光軸が相互に平行なレーザ光が入射する入射面と、該入射面に入射された前記各レーザ光が出射される出射面と、該出射面から出射された各レーザ光の各戻り光が入射される戻り光入射面と、該戻り光入射面に入射された前記各戻り光が出射される戻り光出射面と、前記戻り光入射面に入射された前記各戻り光を反射させて前記戻り光出射面に導く戻り光反射面とを備え、前記戻り光入射面には、前記各戻り光を回折して前記戻り光反射面の同一位置に導く第1の回折手段を設け、前記戻り光反射面には、該戻り光反射面に導かれた前記各戻り光の前記戻り光反射面に対する入射角の相違を補正し反射した後の前記各戻り光の光軸を一致させて前記戻り光出射面へ導く第2の回折手段を設け、光軸の一致した前記各戻り光を前記出射面から出射させたことにより、例えば複数の光源を有する光学装置の光学系に本発明の複合光学部材を適用した場合では、複合光学部材によって各レーザ光を光軸を一致させて戻り光出射面から出射させることができるので、この戻り光を1つの受光素子で受光することが可能となり、受光部材として広く一般的に使用されている1つの受光素子を備えた受光部材を用いることができ、したがって、複数の波長を用いる光学系であっても1波長のみを用いる光学系と同等に簡素化することができる。また、受光部材は従来のものを用いることができることからコストを低減できる。また、光学系の調整では受光部材のみの位置調整を行えばよいので調整工程も簡単にできる。
【0120】
さらに、ハウジングに、発光部材と受光部材と複合光学部材を取付固定し、前記発光部材は、レーザ光を出射する複数の光源を有し、前記受光部材は、戻り光出射面から出射した各戻り光を受光する受光素子を有し、前記ハウジングには、出射面から出射された前記各レーザ光を出射し前記各戻り光を入射する入出射口を設けたことにより、各部材がユニット化されるので、例えば複数の光源を用いる光学装置の光学系に本発明の複合光学ユニットを適用した場合では、光学系は主にこのモジュール化された複合光学ユニットを用いることにより簡単に構成することができる。また、光学系の調整は複合光学ユニットごとその位置調整を行うことができ、そのとき発光部材の発光位置と受光部材の受光位置の相対関係が変化しないので複合光学ユニットの位置調整の許容範囲が大きく取れ、精密な調整は必要なくなり、調整工程がより簡単にできる。
【0121】
さらに、発光部材は1つのパッケージに収納されたことにより、各光源は所定の基板面上に半導体プロセス類似のプロセスにより加工できるので、受光部材はディスクリート部品として大量生産も可能となり受光部材のコストを安価なものにすることができる。したがって、複合光学ユニットのコストを低減できる。
【0122】
さらに、第1及び第2の回折手段は戻り光入射面及び戻り光反射面にそれぞれ直接形成した凹凸部からなる回折格子であることにより、複合光学部材と一体で形成できるので、回折格子を別体で設ける必要がなく複合光学部材のコストをより低減でき、複合光学ユニットのコストを低減できる。
【0123】
さらに、発光部材は780nm帯と650nm帯のレーザ光をそれぞれ出射する2つの光源を有したことにより、DVD及びCDを記録あるいは再生するための2波長レーザ光を備えたDVD用光ピックアップ装置に適用でき、安価な光ピックアップ装置を実現できる。
【0124】
さらに、入射面には3ビーム用回折格子が設けられ、各レーザ光を3ビームに変換して出射面から出射し、光ディスクからの各戻り光を受光素子で受光して、780nm帯のレーザ光に対しては3ビーム法によるトラッキング制御を、650nm帯のレーザ光に対してはDPP(ディファレンシャル・プッシュ・プル)法とDPD法(位相差法)の両方のトラッキング制御を行えるようにしたことにより、1つの受光素子で各戻り光を受光するようにした受光部材であっても、780nm帯のレーザ光を用いるCD(CD−R)と、650nm帯のレーザ光を用いるDVDにそれぞれ好ましいトラッキング制御である3ビーム法及びDPP法を採用することができ、信頼性のある光ピックアップ装置を実現できる。
【0125】
さらに、第1及び第2の回折手段と3ビーム用回折格子を備えた複合光学部材は樹脂であり、成形により一体形成されたことにより、複合光学部材をガラスで形成した場合に比べて素材のコストが安価で、成形もし易くなり、また、第1及び第2の回折手段と3ビーム用回折格子を複合光学部材の成形時に同じ成形型を用いて同時に形成することで成形時間も短縮でき、複合光学部材のコストをより低減でき、したがって光学ユニットのコストを低減できる。
【0126】
さらに、複合光学部材と、波長が異なり光軸が所定の間隔で相互に平行なレーザ光を出射する複数の光源を有する発光部材と、戻り光出射面から出射した各戻り光を受光する受光素子を有する受光部材と、出射面から出射される前記各レーザ光を光ディスクに集光するための対物レンズを備えたことにより、複数の光源を有する光ピックアップ装置の光学系であっても、複合光学部材によって各戻り光を光軸を一致させて戻り光出射面から出射させることができるので、この戻り光を1つの受光素子で受光することが可能となり、受光部材として広く一般的に使用されている1つの受光素子を備えた受光部材を用いることができ、したがって、例えばCD専用の1波長光学系と同等に簡素化された光学系を有する光ピックアップ装置を実現できる。また、受光部材は従来のものを用いることができることから光ピックアップ装置のコストを低減できる。また、光学系の調整では受光部材のみの位置調整を行えばよいので調整工程も簡単にできる。
【0127】
さらに、複合光学ユニットと、出射面から出射される各レーザ光を光ディスクに集光するための対物レンズを備えたことにより、複合光学ユニットは各部材がユニット化されて構成されるので、複数の光源を有する光学系であっても、この光学系は主としてこの複合光学ユニットと対物レンズを用いればよく、したがって、構成が簡単な光ピックアップ装置を実現できる。また、光ピックアップ装置の光学系の調整は複合光学ユニットごとその位置調整を行うことができ、そのとき発光部材の発光位置と受光部材の受光位置の相対関係が変化しないので複合光学ユニットの位置調整の許容範囲が大きく取れ、調整工程がより簡単にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態である光ピックアップ装置100の一部断面平面図である。
【図2】本発明の実施の形態である光ピックアップ装置100の一部断面側面図である。
【図3】本発明の実施の形態である光ピックアップ装置100に係り、2波長レーザダイオード102の一部断面斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態である光ピックアップ装置100に係り、図1における受光素子104aの方向4から見た一部平面図である。
【図5】本発明の実施の形態である光ピックアップ装置100に係り、Aは複合光学部材105の平面図、Bは複合光学部材105の入射面105a側から見た側面図、Cは第2の回折格子105gと3ビーム用回折格子105h部分を説明するための一部拡大図、Dは複合光学部材105の出射面105b側から見た側面図、Eは複合光学部材105の正面図である。
【図6】本発明の実施の形態である光ピックアップ装置100に係り、Aは複合光学部材105の平面図、Bは第1の回折格子105fの一部拡大図、Cは第2の回折格子105gの一部拡大図、Dは3ビーム用回折格子105hの一部拡大図である。
【図7】本発明の実施の形態である光ピックアップ装置100に係り、第1の回折格子105fの分岐効率を説明するためのグラフである。
【図8】本発明の実施の形態である光ピックアップ装置100に係り、3ビーム用回折格子105hの分岐効率を説明するためのグラフである。
【図9】本発明の実施の形態である光ピックアップ装置100に係り、複合光学ユニット101を説明するための説明図である。
【図10】本発明の実施の形態である光ピックアップ装置100に係り、3ビームに変換されたレーザ光103a′(103b′)が光ディスクの情報記録面に集光して照射された状態を示す模式図である。
【図11】本発明の実施の形態である光ピックアップ装置100に係り、CDに形成されたピットPIT1の列の一部拡大図である。
【図12】本発明の実施の形態である光ピックアップ装置100に係り、DVDに形成されたピットPIT2の列の一部拡大図である。
【図13】本発明の実施の形態である光ピックアップ装置100に係り、DVD−RAM(記憶容量2.6GBあるいは4.7GB)に形成されたピットPIT3の列の一部拡大図である。
【図14】本発明の実施の形態である光ピックアップ装置100に係り、CDのフォーカス及びトラッキング制御を説明するための説明図である。
【図15】本発明の実施の形態である光ピックアップ装置100に係り、DVD及びDVD−RAMのフォーカス及びトラッキング制御を説明するための説明図である。
【図16】従来の第1の光ピックアップ装置の光学系30を説明するための説明図である。
【図17】従来の第2の光ピックアップ装置の光学系50を説明するための説明図である。
【図18】従来の第3の光ピックアップ装置の光学系70を説明するための説明図である。
【符号の説明】
100 光ピックアップ装置
101 複合光学ユニット
102 2波長レーザダイオード
103a、103b 光源
104 受光部材
104a 受光素子
105 複合光学部材
105a 入射面
105b 出射面
105d″ 戻り光反射面
105f 第1の回折格子
105g 第2の回折格子
105h 3ビーム用回折格子105h
105p 戻り光出射面
106 ハウジング
200 対物レンズ
300 反射ミラー
400 コリメートレンズ
500 キャリッジ

Claims (9)

  1. 波長が異なり光軸が相互に平行なレーザ光が入射する入射面と、該入射面に入射された前記各レーザ光が出射される出射面と、該出射面から出射された各レーザ光の各戻り光が入射される戻り光入射面と、該戻り光入射面に入射された前記各戻り光が出射される戻り光出射面と、前記戻り光入射面に入射された前記各戻り光を反射させて前記戻り光出射面に導く戻り光反射面とを備え、前記戻り光入射面には、前記各戻り光を回折して前記戻り光反射面の同一位置に導く第1の回折手段を設け、前記戻り光反射面には、該戻り光反射面に導かれた前記各戻り光の前記戻り光反射面に対する入射角の相違を補正し反射した後の前記各戻り光の光軸を一致させて前記戻り光出射面へ導く第2の回折手段を設け、光軸の一致した前記各戻り光を前記出射面から出射させたことを特徴とする複合光学部材。
  2. 請求項1に記載の複合光学部材を備え、ハウジングに、発光部材と受光部材と前記複合光学部材を取付固定し、前記発光部材は、前記レーザ光を出射する複数の光源を有し、前記受光部材は、前記戻り光出射面から出射した前記各戻り光を受光する受光素子を有し、前記ハウジングには、前記出射面から出射された前記各レーザ光を出射し前記各戻り光を入射する入出射口を設けたことを特徴とする複合光学ユニット。
  3. 前記発光部材は1つのパッケージに収納されたことを特徴とする請求項2に記載の複合光学ユニット。
  4. 前記第1及び第2の回折手段は前記戻り光入射面及び前記戻り光反射面にそれぞれ直接形成した凹凸部からなる回折格子であることを特徴とする請求項2又は3に記載の複合光学ユニット。
  5. 前記発光部材は780nm帯と650nm帯のレーザ光をそれぞれ出射する2つの光源を有したことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の複合光学ユニット。
  6. 前記入射面には3ビーム用回折格子が設けられ、前記各レーザ光を3ビームに変換して前記出射面から出射し、光ディスクからの前記各戻り光を前記受光素子で受光して、前記780nm帯のレーザ光に対しては3ビーム法によるトラッキング制御用信号を、前記650nm帯のレーザ光に対してはDPP(ディファレンシャル・プッシュ・プル)法とDPD法(位相差法)の両方のトラッキング制御を行えるようにしたことを特徴とする請求項5に記載の複合光学ユニット。
  7. 前記第1及び第2の回折手段と3ビーム用回折格子を備えた前記複合光学部材は樹脂であり、成形により一体形成されたことを特徴とする請求項6に記載の複合光学ユニット。
  8. 請求項1に記載の複合光学部材と、波長が異なり光軸が所定の間隔で相互に平行なレーザ光を出射する複数の光源を有する発光部材と、前記戻り光出射面から出射した前記各戻り光を受光する受光素子を有する受光部材と、前記出射面から出射される前記各レーザ光を光ディスクに集光するための対物レンズを備えたことを特徴とする光ピックアップ装置。
  9. 請求項2乃至6のいずれかに記載の複合光学ユニットと、前記出射面から出射される前記各レーザ光を光ディスクに集光するための対物レンズを備えたことを特徴とする光ピックアップ装置。
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