JP3556458B2 - データ分析通信装置、データ分析通信方法及びデータ分析通信プログラムを記録した媒体 - Google Patents

データ分析通信装置、データ分析通信方法及びデータ分析通信プログラムを記録した媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の遠隔保守点検サービスに用いられる、通信回線を利用したデータ分析通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、自動車等には、その安全性を確保するために、一定期間ごとに定期点検が義務づけられている。しかしながら、定期点検の対象項目以外の部分に故障が生じたり、定期点検が終了した直後に故障が生じる可能性も高い。また、オイル漏れ等の早急に対応しなければならない異常が発生する場合もある。
このように一定期間ごとの定期点検システムでは、実際の車の状態に基づいた的確な保守整備が実現できないという問題があった。
【0003】
また、自動車等の保守点検を行うサービスセンターでは、各顧客の自動車の走行状態や保守整備の状況を、常時、正確に把握することはできないため、適切な保守・点検を実施していれば未然に防ぐことができた故障や、その故障に起因する事故の発生を回避することができなかった。
【0004】
このような問題点を解決すべく、特開平7−223516号公報に記載された発明が提案されている。
すなわち、前記公報に示された自動車保守サービス通信装置は、自動車に設けられた自動車通信サービス装置によって、まず、自動車側のデータを収集し、これをサービスセンター側のデータ分析装置に送信するように構成されている。なお、この発明は、自動車の走行中にだけ送信を行い、自動車が走行していない時には送信を行わないように構成されている。
【0005】
また、前記自動車通信サービス装置本体は、前記公報に示されているように、装置全体の制御を行うCPUと、一時的な記憶装置であるRAMと、プログラミング等を記憶しているROMと、入出力インターフェースと、これらを相互に接続するバスから構成されている。
この自動車通信サービス装置は、自動車の各部に取り付けられたセンサからのデータを、前記RAMに一時的に記憶し、このデータを所定時間ごとに更新し、データが更新されるたびに更新データを記録するように構成されている。そして、サービスセンターへの送信が可能である場合には、所定時間ごとに前記記録したデータをサービスセンターに設けられたデータ分析装置に送信するように構成されている。
【0006】
一方、サービスセンターには、自動車から送られたデータを分析し、その分析結果を自動車に知らせる必要があるか否かを判断するデータ分析装置が設けられている。このデータ分析装置は、自動車側から送信されてきた各種データを所定値と比較したり、各種データの経時変化を調べることによって、分析するように構成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来の自動車保守サービス通信装置には、以下に述べるような問題点があった。
すなわち、従来の自動車保守サービス通信装置は、走行中の自動車の異常の検出と、その旨の通知を主目的としているため、自動車の走行中以外は送信を行わない。従って、長期間の駐車等によるバッテリ上がりや、エンジンオイルの劣化等の異常を検出することはできなかった。
【0008】
また、従来の自動車保守サービス通信装置においては、自動車の各部に取り付けられたセンサから送られた情報を、車内の記憶装置に一時的に蓄積し、蓄積された情報を定期的に(例えば、30分間隔で)サービスセンターに送信するように構成されているため、異常の発生の有無にかかわらず、定期的に通信回線を使用する必要があった。
【0009】
さらに、サービスセンターへの通信は定期的になされるので、前回の通信の直後に異常が発生した場合には、その情報がサービスセンターへ送信されるまでに時間がかかり、迅速な対応ができないという欠点もあった。
また、一つのサービスセンターに多数の車が契約している場合には、そのサービスセンターへの定常的なアクセス数が膨大な量となるため、サービスセンターのデータ分析装置にかかる負荷が増大していた。
【0010】
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解消するために提案されたもので、その目的は、自動車の保守サービス通信装置として使用するデータ分析通信装置であって、常に変化するデータを的確に把握し、異常の有無の一次判断をデータの採取側に設けた第1の判定手段によって行い、異常があると判断した場合にのみ、第2の判定手段による判断を仰ぐことによって、高効率で精度の高い保守点検を可能としたデータ分析通信装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、サービスマンのような専門家の判断内容も加味して、自動車に返信することができるデータ分析通信装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載のデータ分析通信装置は、自動車の所定の部位に取り付けられたセンサと、このセンサによる検出値について一次判定を行う第1の判定手段と、前記第1の判定手段によって「異常あり」と認められた判定結果を、通信回線を介して、第2のデータ分析通信装置に送信する送信手段と、前記第2のデータ分析通信装置より送信される判定結果を受信する受信手段を有する第1のデータ分析通信装置が自動車に搭載され、前記第1のデータ分析通信装置から送信された判定結果を受信する受信手段と、受信された判定結果について独自の判定を行う第2の判定手段と、サービスマンの判断内容を入力する端末と、前記第2の判定手段の判定結果および前記端末から入力されたサービスマンの判断内容を、前記第1のデータ分析通信装置に送信する送信手段を有する第2のデータ分析通信装置が、前記自動車の保守点検を行うサービスセンターに配設されていることを特徴とするものである。
【0012】
上記の様な構成を有する請求項1に記載のデータ分析通信装置によれば、自動車の所定の部位に取り付けられたセンサによる検出値について、自動車に搭載された第1の判定手段によって「異常あり」と判定された場合にのみ、その判定結果がサービスセンターに配設された第2のデータ分析通信装置に送られ、第2の判定手段によって独自の判断がなされ、その結果が自動車の運転者等に返信されるので、自動車の走行中及び駐停車中の如何にかかわらず、異常の発生に迅速に対処できる。また、自動車に搭載された第1の判定手段による一次判定で、「異常あり」と判定された場合にのみ、サービスセンターに配設された第2のデータ分析通信装置に送信されるので、通信回線にかかる負荷、及び第2のデータ分析通信装置にかかる負荷が大幅に低減される。
【0013】
特に、第1のデータ分析通信装置から送信された一次判定の結果について、さらに第2の判定手段によって独自の分析・判断を加味することができ、その結果を第1のデータ分析通信装置に返信することにより、より精度の高いデータ分析が可能となる。また、第2のデータ分析通信装置から返信された分析結果に基づいて、適切な対応が可能となる。また、第2のデータ分析通信装置に端末を設けて専門家の判断内容も入力するようにしたので、第2の判定手段による判定結果に、さらに専門家の判断を加味することができるので、より精度の高い判断結果を得ることができる。このように、本発明によれば、自動車の走行中及び駐停車中に発生した異常を検出した場合に、直ちにその情報がサービスセンターに配設された第2のデータ分析通信装置に送られ、サービスセンターにおいてさらに独自の判断がなされ、その結果が自動車の運転者等に返信されるので、異常の発生に迅速に対処できる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
なお、以下に示す実施の形態の各機能は、所定のソフトウェアがコンピュータ及び周辺機器を制御することで実現されるものであり、本明細書では、発明及び実施の形態を、各機能や各処理に対応する「〜手段」などの仮想的回路ブロックを想定して説明している。このため、各ブロックに対して、各ハードウェア要素やソフトウェア要素は1対1には対応しない。
【0029】
[1.構成]
図1は、本発明のデータ分析通信装置の全体構成を示す概略図である。
すなわち、自動車側に搭載される自動車側データ分析通信装置1(請求項1における第1のデータ分析通信装置に対応)と、サービスセンター内に配設されるサービスセンター側データ分析通信装置2(請求項1における第2のデータ分析通信装置に対応)が、通信回線3を介して、データの送受信が可能に構成されている。また、前記通信回線3を介して、自動車の所有者の端末4及び携帯電話5にも送信可能に構成されている。
【0030】
また、前記自動車側データ分析通信装置1には、後述するように、車の所定の部位に取り付けられたセンサ群11と、このセンサ群より送出された検出値に異常があるか否かを分析・判定する車載用異常判定手段13(請求項1における第1の判定手段に対応)が設けられている。
【0031】
一方、前記サービスセンター側データ分析通信装置2には、後述するように、自動車側データ分析通信装置1より、「異常あり」との通知がなされたデータについて、このデータが真に「異常」であるか否かについて、サービスセンター側で独自の分析・判定を行うサービスセンター側異常判定手段23(請求項1における第2の判定手段に対応)が設けられている。
また、前記サービスセンター側データ分析通信装置2には、さらに端末25が設けられ、より専門的な判断を加味することができるように構成されている。
【0032】
[1−1.自動車側データ分析通信装置の構成]
図2は、図1に示したデータ分析通信装置のうち、自動車側に搭載される自動車側データ分析通信装置1の構成を示す機能ブロック図である。
すなわち、図2に示したように、自動車の所定の部位に取り付けられたセンサ群11によって検出されたデータは、制御手段12を介して、車載用異常判定手段(以下、第1の異常判定手段という)13及び記録手段14に送出されるように構成されている。
【0033】
また、前記第1の異常判定手段13によって、「異常あり」と認められた分析結果が、送信手段16により、所定の通信回線3を介して、所定のサービスセンター等へ随時送信されるように構成されている。
さらに、前記第1の異常判定手段13による分析結果は、緊急性判断手段17に送られ、この緊急性判断手段17によって、急を要する異常が発生していると判断された場合には、出力手段18によって、直ちに運転者に危険を通知するように構成されている。
また、前記通信回線3を介して、所定のサービスセンター等から返送された情報を受信する受信手段19が設けられ、受信した情報が前記出力手段18によって運転者に通知されるように構成されている。
【0034】
なお、前記センサ群11のうち、自動車の状態を調べるセンサとしては、例えば、タイヤの摩耗・劣化、潤滑油の劣化・減少、ブレーキパッドの摩耗、クラッチのへたり、バッテリの充電状況等を調べるためのセンサが挙げられる。また、自動車の走行状態を調べるセンサとしては、例えば、車の走行速度、エンジンの回転速度、アクセルやブレーキの踏み具合、燃料の残量等を調べるためのセンサが挙げられる。
【0035】
また、前記制御手段12は、前記センサ群11の情報に基づいて、エンジンの制御等を行ったり、前記センサ群11の情報や車の制御情報を、車内LAN(図示せず)へ流すものである。
前記記録手段14は、車の走行時における経時的なデータである走行ログや、センサの検出値を経時的に記録する検出記録のログ等を随時記録するものである。
【0036】
また、前記第1の異常判定手段13は、前記制御手段12からの情報と、前記記録手段14に蓄えられているログや、各自動車ごとに予め設定されている判断ルール15に基づいて車の状態を分析し、異常があるか否かを判定するものである。
さらに、前記出力手段18としては、カーナビのディスプレイ、音声による警報、警告灯の点灯等を用いることができる。また、前記通信回線としては、衛星通信網、電話回線、携帯電話等を利用することができる。
【0037】
[1−2.サービスセンター側データ分析通信装置の構成]
図3は、図1に示したデータ分析通信装置のうち、サービスセンター側に配設されるサービスセンター側データ分析通信装置2の構成を示す機能ブロック図である。
すなわち、図3に示したように、前記通信回線3を介して、複数の車から送られる異常の可能性がある旨の情報を受信する受信手段21が設けられ、この受信手段21によって受信された情報が、受信データ記録手段22及びサービスセンター側異常判定手段(以下、第2の異常判定手段という)23に送出されるように構成されている。
【0038】
また、前記第2の異常判定手段23による分析結果は、送信手段24により、前記通信回線3を介して、判断対象となった車やその所有者等へ随時送信されるように構成されている。
さらに、前記第2の異常判定手段23による判定結果は、サービスセンター内に設置された端末25に送られ、サービスマン(整備士)の判断を加味することができるように構成されている。すなわち、前記端末25には、出力情報作成手段26が設けられ、入力手段27を介して入力されたサービスマンの判断内容を加味して、判断対象となった車やその所有者等へ返送する情報を作成するように構成されている。また、この情報は、前記通信回線3を介して送信されるだけでなく、表示手段28によって、サービスセンター内の端末にも表示することができるように構成されている。
【0039】
なお、前記第2の異常判定手段23は、前記受信手段21からの情報と、前記受信データ記録手段22に蓄えられている受信データログ29、予め設定された判断ルール30、異常判定ログ31及び顧客情報32等に基づいて、判断対象となっている車の状態を分析し、点検等が必要か否か、その異常が緊急性を有するものであるか否か、また、サービスマンの判断を必要とするか否かといった判定をするものである。
【0040】
[2.作用]
上述したような構成を有する本実施形態のデータ分析通信装置は、以下に述べるように作用する。
[2−1.自動車側データ分析通信装置の動作]
図4は、本実施形態の自動車側データ分析通信装置1の動作を示すフローチャートである。なお、このフローチャートは、バッテリ液の残量を検出するセンサからのデータの処理を例にしたものである。
すなわち、バッテリ液の残量を検出するセンサから、バッテリ液の残量が通知されると(ステップ41)、自動車側に設けられた第1の異常判定手段によって、このバッテリ液の残量が保守・点検を要する値であるか否か、すなわち、サービスセンターへ通知すべき状態であるか否かが判断される(ステップ42)。
【0041】
そして、バッテリ液の残量が正常であると判断された場合には、サービスセンターへ通知する必要はないので、そのまま終了する。
一方、バッテリ液の残量が所定のレベルより少なく、点検を要するものであると判断された場合には、サービスセンターへ通知する必要があるので、次のステップへ進む。
【0042】
次に、このバッテリ液の残量の異常について、すでにサービスセンターに通知済みであるか否かが判断され(ステップ43)、通知済みの場合は、重複して通知する必要はないので、そのまま終了する。
一方、通知がされていない場合には、直ちに「バッテリ異常」の通知をする必要があるので、通信回線が使用できるか否かが判断され(ステップ44)、通信回線が使用できる場合には、通信回線を介して、サービスセンターへ送信される(ステップ45)。また、通信回線が使用できない場合には、再接続待機状態とされる。
【0043】
[2−2.サービスセンター側データ分析通信装置の動作]
図5は、本実施形態のサービスセンター側データ分析通信装置2の動作を示すフローチャートである。なお、このフローチャートも、図4に対応して、バッテリ液の残量を検出するセンサからのデータの処理を例にしたものである。
すなわち、図4のフローチャートに示したようにして自動車側データ分析通信装置1から、「バッテリ異常」の通知を受信すると(ステップ51)、受信手段21によって、異常通知を受信したか否かが判断される(ステップ52)。
【0044】
異常通知を受信した場合には、サービスセンター側に設けられた第2の異常判定手段によって、自動車側で「異常である」と判断されたバッテリ液の残量が、保守・点検を要する値であるか否か、すなわち、「保守・点検を要する」旨の通知を車の所有者に通知すべき状態であるか否かが判断される(ステップ53)。
【0045】
そして、自動車側の第1の異常判定手段では「異常である」と判断されたものの、サービスセンター側の判断基準による判定では、「異常なし」と判断された場合には、保守・点検は必要ないので、車の所有者に通知せずにそのまま終了する。
一方、サービスセンター側の判断基準によっても「異常あり」と判断された場合には、早急に保守・点検を行う必要があるので、その旨を車の所有者に通知するために、通信回線が使用できるか否かが判断され(ステップ54)、通信回線が使用できる場合には、通信回線を介して、車の所有者に送信される(ステップ55)。また、通信回線が使用できない場合には、再接続待機状態とされる。
【0046】
[3.効果]
以上述べたように、本実施形態によれば、まず、自動車側データ分析通信装置において、走行データのログファイルや検出記録のログファイル等に基づいて、各センサからの検出値に異常があるか否かの一次判定がなされる。そして、この判定の結果、問題がある可能性がある場合にだけ、通信回線を介して、その情報がサービスセンターへ通知される。従って、定期的にサービスセンターに情報を送信していたのに比べて、通信の回数を大幅に低減することができる。
また、異常の可能性があると判断されたときには、直ちにサービスセンターへ通知することができるので、定期的に送信していた場合に比べて、異常の検出までの所要時間が短縮される。
【0047】
さらに、走行時に限らず、駐停車時においても、センサによる検出値をチェックすることができるので、長期間の駐車等によるバッテリ上がりや、エンジンオイルの劣化等の異常を検出することも可能となる。また、車の異常な移動を検出することにより、盗難等の異常を所有者に通知することも可能となる。
また、一つのサービスセンターに多数の車が契約している場合でも、そのサービスセンターへの定常的なアクセス数が減少するので、サービスセンター側のデータ分析通信装置にかかる負荷が大幅に軽減される。
【0048】
なお、自動車側のデータ分析通信装置では詳細な分析や判定は行わず、最終的な判断は専門業者であるサービスセンターに任せることにより、自動車側に設けられる第1の異常判定装置を簡略化することもできる。
また、サービスセンターにおいては、必要に応じてサービスマンの判断を加味することもできるので、より正確な異常診断を実施できる。さらに、重大な事故につながる異常の場合には、常にサービスマンの判断を仰ぐように構成すれば、車載用異常判定装置及びサービスセンター側の異常判定装置とも、その分析能力はある程度の精度を有するもので十分である。また、部品の劣化による部品交換の必要性等、経験の豊富なサービスマンの判断が重要な場合には、サービスマンの判断を加味することは非常に有効である。
【0049】
以下には、本発明のより具体的な実施例について説明する。
[実施例1…車の遠隔点検サービス]
本実施例は、無線を利用して、サービスセンターに要点検警報を発するものである。すなわち、車の点検内容ごとに、車載センサの検出値が臨界点を超えるなどした場合に、その情報をサービスセンターへ送ることにより、サービスセンター側で、点検整備の要・不要を判定し、その分析結果を所有者に伝えるサービスである。これにより、車の所有者の日常的な点検が容易になる。
【0050】
[実施例2…走行中の異常警報]
本実施例は、走行中の異常に対して直ちに運転者に警報を発するものである。すなわち、
(1)車載センサの情報をもとに、自動車に搭載された第1の異常判定手段は、このセンサの検出値が臨界点を超えるなどの状態になった時、サービスセンターへ無線でその旨の情報を送る。
(2)サービスセンターでは、顧客の車両の履歴を持っており、この履歴情報と第1の異常判定手段の結果とを複合的に用いて、第2の異常判定手段によって、車の運転者に警告を与えるべきか否かを判定する。
(3)(2)において、必要に応じてサービスマンの判断を仰ぐ。
(4)車の運転者に警告を与える必要があると判断された場合、無線装置を用いて、自動車側データ分析通信装置にその旨を伝える。
(5)自動車側データ分析通信装置は、サービスセンターからの情報を受けて、運転者に表示装置、音声などの手段により警報を発する。
【0051】
本実施例においては、車側の第1の異常判定手段で分析した結果、「異常あり」とされた場合にのみ、サービスセンターにその分析結果を送信するため、通信の頻度が少なくなる。また、自動車側で異常と判定された直後に、すぐサービスセンターへ送信するため、サービスセンター側で分析して警報を出すまでの時間を短縮することができる。
【0052】
さらに、異常が発生しているか否かの判断を、すべて車側の異常判定手段だけで行う場合と比較して、サービスセンターの判断が加味されるので、車側の異常判定手段の簡略化が可能となる。例えば、センサの検出値と臨界点との比較程度で良くなる。
一方、サービスセンター側では、車単位の警報や走行距離などの経年変化に基づいて、複雑な分析も可能であり、また、専門家による判定を行うことも可能である。
【0053】
[実施例3…車の点検作業の遠隔化]
本実施例は、車の所有者の点検作業の簡素化を目的とするもので、無線を利用して、車の所有者に要点検警報を発するものである。すなわち、バッテリの電圧や比重計等をもとに、それらの値が臨界点を超えるなどした際に、車の所有者のコンピュータ等へ警報を送ることにより、バッテリ上がりなどの異常を遠隔から監視することができる。
【0054】
[実施例4…車の盗難対策]
本実施例は、無線を利用して、車の所有者にドアのインロック情報などを伝えるものである。すなわち、車の所有者のコンピュータ、携帯端末、携帯電話、ポケベルなどに、ドアのインロック状態などを送ることにより、盗難の防止が可能となる。
【0055】
[2.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、以下の態様が考えられる。
すなわち、図2に示したログを記録する手段は必ずしも必要ではない。走行ログ等のデータを必要とせずに判別できる異常の場合には、走行ログからのデータは不要だからである。
【0056】
一方、走行ログに基づいて判断できる場合も多い。例えば、オイルの劣化や残量は走行距離に比例して進むものであるが、新しいオイルを入れたにもかかわらず、非常に短い走行距離でオイルの残量が少なくなるという現象が起きた場合には、オイル漏れなどの早急に保守点検が必要な異常が発生した可能性が高い。一方、車の走行距離に対応して、オイルが徐々に減少している場合には、緊急を要する異常ではないので、所有者への通知には緊急性がないことが判明する。
【0057】
また、レンタカーのように走行ログを採っておけば、ナビゲータの信号から車両がどの位置を走行しているかは簡単に分かるので、予め決められた貸し出し範囲を超えて車両が運用された場合、このような不法な運行も「異常」と判定して、所有者に通報することもできる。同様なことは、タクシーやトラックの運行についても適用できる。
【0058】
さらに、走行ログを採ることは車両の走行状態を監視することになるので、ブレーキをかけてから所定のスピードに減速するまでの記録をとっておき、これを適当な間隔で比較することにより、ブレーキパッドの摩耗や、ブレーキオイルの減少など、ブレーキ系統の故障を早期に発見することもできる。
【0059】
なお、走行ログの外にセンサの検出値を経時的に記録する検出記録のログを採ることもできる。このようにすると、センサの値それ自体の変化によって、異常を検出することができる。
【0060】
また、異常の有無を最終的に判定するには、以下の3つの態様が考えられる。すなわち、(a)車載用の異常判定装置による一次判定の結果を受け取ったサービスセンター側の異常判定装置によって最終判定する場合、(b)(a)の結果をサービスマンに提示して、サービスマンが最終判定する場合、(c)(b)の結果をサービスマンが車の所有者に提示して、車の所有者が最終判定する場合が考えられる。
【0061】
また、サービスセンターがその判定結果を知らせる対象としては、(a)車の所有者や管理者、(b)車の運転者、(c)サービスセンターがそのまま記録しておく等、(a)〜(c)の単独あるいは組み合わせが考えられる。
さらに、長期間の駐車等によるバッテリ上がりや盗難等の通知は、サービスセンターへ通知するのではなく、車の所有者の家やオフィスにあるコンピュータに通知を行うように構成することもできる。
また、例えば、盗難・いたずら等、駐停車時のトラブルに即時に対応できるように、車の所有者の携帯電話や、ポケベル等に通知を行うように構成することもできる。
【0062】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、常に変化するデータを的確に把握し、異常の有無の一次判断をデータの採取側に設けた第1の判定手段によって行い、異常があると判断した場合にのみ、第2の判定手段による判断を仰ぐことによって、高効率で精度の高い保守点検を可能としたデータ分析通信装置及びデータ分析通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるデータ分析通信装置の一実施形態の全体構成を示す概略図
【図2】図1に示したデータ分析通信装置のうち、自動車側に搭載される自動車側データ分析通信装置の構成を示す機能ブロック図
【図3】図1に示したデータ分析通信装置のうち、サービスセンター側に配設されるサービスセンター側データ分析通信装置の構成を示す機能ブロック図
【図4】自動車側データ分析通信装置の動作を示すフローチャート
【図5】サービスセンター側データ分析通信装置の動作を示すフローチャート
【符号の説明】
1…自動車側データ分析通信装置
2…サービスセンター側データ分析通信装置
3…通信回線
4…端末
5…携帯電話
11…センサ群
12…制御手段
13…車載用異常判定手段(第1の異常判定手段)
14…記録手段
15…判断ルール
16…送信手段
17…緊急性判断手段
18…出力手段
19…受信手段
21…受信手段
22…受信データ記録手段
23…サービスセンター側異常判定手段(第2の異常判定手段)
24…送信手段
25…端末
26…出力情報作成手段
27…入力手段
28…表示手段
29…受信データログ
30…判断ルール
31…異常判定ログ
32…顧客情報

Claims (1)

  1. 自動車の所定の部位に取り付けられたセンサと、このセンサによる検出値について一次判定を行う第1の判定手段と、前記第1の判定手段によって「異常あり」と認められた判定結果を、通信回線を介して、第2のデータ分析通信装置に送信する送信手段と、前記第2のデータ分析通信装置より送信される判定結果を受信する受信手段を有する第1のデータ分析通信装置が自動車に搭載され、
    前記第1のデータ分析通信装置から送信された判定結果を受信する受信手段と、受信された判定結果について独自の判定を行う第2の判定手段と、サービスマンの判断内容を入力する端末と、前記第2の判定手段の判定結果および前記端末から入力されたサービスマンの判断内容を、前記第1のデータ分析通信装置に送信する送信手段を有する第2のデータ分析通信装置が、前記自動車の保守点検を行うサービスセンターに配設されていることを特徴とするデータ分析通信装置。
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