JP3555775B2 - ファンフィルタユニット - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、クリーンルームや手術室の天井、生産装置の上、クリーンブースなどのクリーン機器に配置されて使用されるファンフィルタユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、クリーンルームの天井には、空調空気をフィルタを介して室内に供給するために、例えば、特開平3−264799号公報,特開平3−262508号公報等に開示されるファンフィルタユニット(FFU)が配置されている。
【0003】
図3および図4は、特開平3−264799号公報に開示されるファンフィルタユニットを示すもので、図において符号11は、矩形筒状のユニット本体を示している。
【0004】
このユニット本体11の下端開口部には、フィルタ13が配置され、また、フィルタ13の上方には、整流用多孔板15が配置されている。
ユニット本体11の上面には、吸気用開口部17が形成され、この吸気用開口部17にシロッコファン,ターボファン等の遠心型のファン19が配置されている。
【0005】
このファンフィルタユニットでは、ファン19により吸気用開口部17から吸引された空気が、整流用多孔板15により整流された後、フィルタ13により浄化され室内に供給される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のファンフィルタユニットでは、ファン19に遠心型のファンを使用しているため、気流の吐出方向と吐出範囲が限定され、フィルタ13への吐出動圧が偏り、フィルタ13からの吐出風速分布が不均一になるという問題があった。
【0007】
そして、吐出風速分布を均一にするために、整流用多孔板15を使用すると、吐出抵抗が増大し、この結果、吐出風量が減少し、ファン19の動力を大きくする必要があるという問題があった。
【0008】
本発明は、かかる従来の問題を解決するためになされたもので、吐出抵抗を増大することなく、フィルタからの吐出風速分布を均一にすることができるファンフィルタユニットを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1のファンフィルタユニットは、矩形筒状のユニット本体の下端開口部にフィルタを配置するとともに、前記ユニット本体の上面に形成される吸気用開口部に軸流型のファンを配置してなるファンフィルタユニットにおいて、前記ファンの下部と前記フィルタの上部に挟まれた空間に遮音板を配置し、前記ファンのケーシングの下流にあたる前記ユニット本体の内周の上部に、内方に向けて突出し前記ファンの回転により発生する旋回流の旋回を抑制する複数の整流板を配置してなるものである。
【0010】
請求項2のファンフィルタユニットは、請求項1において、前記ユニット本体は、横断面正方形形状をしており、その中心に前記ファンおよび正方形状の遮音板の中心が配置されているものである。
【0011】
請求項3のファンフィルタユニットは、請求項2において、前記遮音板の中心部に、下方に向けて窪む正方形状の凹部を形成し、前記凹部の内周面を底面側に向けて傾斜してなるものである。
【0012】
請求項4のファンフィルタユニットは、請求項2または3において、前記ユニット本体の前記遮音板の下方に、内周部が前記遮音板に重なる矩形環状の外側遮音板を配置してなるものである。
【0014】
【作用】
請求項1のファンフィルタユニットでは、軸流型のファンを使用するため、ファンの回転によりファンを中心にして外方に広がる旋回流が発生するが、この旋回流が、外周部においてユニット本体の内周の上部に配置される複数の整流板に衝突し抑制され、下方に向かう流れになり、フィルタを介して室内に吹き出される。
【0015】
また、ファンとフィルタとの間に配置される遮音板により、ファンから発生する騒音が遮音される。
請求項2のファンフィルタユニットでは、ユニット本体を横断面正方形形状にし、その中心にファンおよび正方形状の遮音板の中心を配置したので、フィルタの四方から同一条件で空気が吐出される。
【0016】
請求項3のファンフィルタユニットでは、遮音板の中心部に下方に向けて窪む正方形状の凹部を形成し、凹部の内周面を底面側に向けて傾斜したので、凹部の底面に衝突した空気が、傾斜面に案内されて外側に向けて円滑に流れる。
【0017】
請求項4のファンフィルタユニットでは、ユニット本体の遮音板の下方に、外側遮音板の内周が重なるように配置したので、ファンから発生する騒音が直接フィルタに達することが防止される。
【0019】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1および図2は、本発明のファンフィルタユニットの一実施例を示しており、図において符号31は、筒状のユニット本体を示している。
【0020】
このユニット本体31は、横断面正方形形状とされている。
ユニット本体31の下端開口部33には、ULPAフィルタ,HEPAフィルタ等のフィルタ35が配置されている。
【0021】
ユニット本体31の上面37の中心には、吸気用開口部39が形成され、この吸気用開口部39に軸流型ファン41が配置されている。
この軸流型ファン41は、吸気用開口部39に嵌挿されるべルマウス43を有している。
【0022】
べルマウス43の中央には、ボス部45が配置され、ボス部45の外周に羽根47が固定されている。
ボス部45には、モータ49が連結され、モータ49は、ブラケット51を介してべルマウス43に固定されている。
【0023】
そして、ボス部45には、吸い込み方向に向けて突出する先端先細り状の気流案内カバー53が装着されている。
ユニット本体31の内周の上部には、内方に向けて突出し軸流型ファン41の回転により発生する旋回流の旋回を抑制する複数の整流板55が固定されている。
【0024】
この整流板55には、グラスウール,ロックウール等からなる吸音材57が装着されている。
ユニット本体31の軸流型ファン41の下方には、遮音板59が配置されている。
【0025】
この遮音板59は、正方形状をしており、その中心が軸流型ファン41の下方に位置されている。
遮音板59には、グラスウール,ロックウール等からなる吸音材61が装着されており、遮音板59は、ブラケット63によりユニット本体31の内面に固定されている。
【0026】
遮音板59の中心部には、下方に向けて窪む正方形状の凹部65が形成されている。
そして、凹部65の内周面が、底面側に向けて傾斜する傾斜面67とされている。
【0027】
ユニット本体31の遮音板59の下方には、矩形環状の外側遮音板69が配置されている。
この外側遮音板69は、その内周部が遮音板59に重なるように配置されている。
【0028】
そして、外側遮音板69には、グラスウール,ロックウール等からなる吸音材71が装着されている。
上述したファンフィルタユニットでは、軸流型ファン41により吸気用開口部39から吸引された空気が、旋回流とされた後、この旋回流が、外周部において整流板55に衝突し抑制され、下方に向かう流れになり、遮音板59と外側遮音板69との間を通過した後フィルタ35に達し、フィルタ35で浄化された後室内に吹き出される。
【0029】
しかして、上述したファンフィルタユニットでは、軸流型ファン41の使用により軸流型ファン41の外方に向けて旋回流が発生するが、この旋回流が、外周部においてユニット本体31の内周の上部に配置される複数の整流板55に衝突し抑制され、下方に向かう流れになり、フィルタ35を介して室内に吹き出されるため、フィルタ35からの吐出風速分布を均一にすることができる。
【0030】
また、整流用多孔板等により整流する必要がなくなるため、吐出抵抗が増大することを防止できる。
さらに、軸流型ファン41とフィルタ35との間に配置される遮音板59により、軸流型ファン41から発生する騒音を確実に遮音することができる。
【0031】
また、上述したファンフィルタユニットでは、ユニット本体31を横断面正方形形状にし、その中心に軸流型ファン41および正方形状の遮音板59の中心を配置したので、フィルタ35の四方から同一条件で空気が吐出されることになり、フィルタ35からの吐出風速分布をより均一にすることができる。
【0032】
さらに、遮音板59の中心部に下方に向けて窪む正方形状の凹部65を形成し、凹部65の内周面を底面側に向けて傾斜したので、凹部65の底面に衝突した空気が、傾斜面67に案内されて外側に向けて円滑に流れ気流が乱されることがなくなり、気流騒音の減少、吐出抵抗の減少が図られ、また、フィルタ35からの吐出風速分布をより均一にすることができる。
【0033】
また、上述したファンフィルタユニットでは、ユニット本体31の遮音板59の下方に、外側遮音板69の内周が重なるように配置したので、軸流型ファン41から発生する騒音が直接フィルタ35に達することが防止され、消音効果を向上することができる。
【0034】
さらに、軸流型ファン41のボス部45に気流案内カバー53を配置したので、空気の流れが円滑になり、軸流型ファン41の騒音を低減し、また、軸流型ファン41の効率を向上することができる。
【0035】
また、上述したファンフィルタユニットでは、軸流型ファン41を使用したため、遠心型のファンを使用する場合に比較して重量が非常に軽くなり、また、ユニット本体31の軸長方向長さを短くすることができる。
【0036】
従って、従来の遠心型のファンを使用したファンフィルタユニットでは、幅×長さが600mm×1200mm程度の大きさが限度であったが、1200mm×1200mm程度の大きさのファンフィルタユニットを容易に提供することが可能になった。
【0037】
なお、上述したファンフィルタユニットに、本出願人が開発した冷媒循環マルチシステム(RCM)を設けることにより、部分負荷および部分高清浄に容易に対応することが可能になる。
【0038】
また、フィルタにパラボラ型のフィルタを使用することにより、清浄度エリアを拡大することが容易に可能になる。
【0039】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1のファンフィルタユニットでは、軸流型のファンの使用により発生する旋回流が、外周部においてユニット本体の内周の上部に配置される複数の整流板に衝突し抑制され、下方に向かう流れになり、フィルタを介して室内に吹き出されるため、フィルタからの吐出風速分布を均一にすることができる。
【0040】
また、整流用多孔板等により整流する必要がなくなるため、吐出抵抗が増大することを防止できる。
さらに、ファンとフィルタとの間に配置される遮音板により、ファンから発生する騒音を確実に遮音することができる。
【0041】
請求項2のファンフィルタユニットでは、ユニット本体を横断面正方形形状にし、その中心にファンおよび正方形状の遮音板の中心を配置したので、フィルタの四方から同一条件で空気が吐出されることになり、フィルタからの吐出風速分布をより均一にすることができる。
【0042】
請求項3のファンフィルタユニットでは、凹部の底面に衝突した空気が、傾斜面に案内されて外側に向けて円滑に流れ、気流が乱されることがなくなり、気流騒音の減少、吐出抵抗の減少が図られ、また、フィルタからの吐出風速分布をより均一にすることができる。
【0043】
請求項4のファンフィルタユニットでは、ユニット本体の遮音板の下方に、外側遮音板の内周が重なるように配置したので、ファンから発生する騒音が直接フィルタに達することが防止され、消音効果を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のファンフィルタユニットの一実施例を示す断面図である。
【図2】図1のファンフィルタユニットを上方から見た説明図である。
【図3】従来のファンフィルタユニットを示す斜視図である。
【図4】図3の断面図である。
【符号の説明】
31 ユニット本体
33 下端開口部
35 フィルタ
37 上面
39 吸気用開口部
41 軸流型ファン
53 気流案内カバー
55 整流板
59 遮音板
65 凹部
67 傾斜面
69 外側遮音板
Claims (4)
- 矩形筒状のユニット本体の下端開口部にフィルタを配置するとともに、前記ユニット本体の上面に形成される吸気用開口部に軸流型のファンを配置してなるファンフィルタユニットにおいて、
前記ファンの下部と前記フィルタの上部に挟まれた空間に遮音板を配置し、前記ファンのケーシングの下流にあたる前記ユニット本体の内周の上部に、内方に向けて突出し前記ファンの回転により発生する旋回流の旋回を抑制する複数の整流板を配置してなることを特徴とするファンフィルタユニット。 - 請求項1記載のファンフィルタユニットにおいて、
前記ユニット本体は、横断面正方形形状をしており、その中心に前記ファンおよび正方形状の遮音板の中心が配置されていることを特徴とするファンフィルタユニット。 - 請求項2記載のファンフィルタユニットにおいて、
前記遮音板の中心部に、下方に向けて窪む正方形状の凹部を形成し、前記凹部の内周面を底面側に向けて傾斜してなることを特徴とするファンフィルタユニット。 - 請求項2または請求項3記載のファンフィルタユニットにおいて、
前記ユニット本体の前記遮音板の下方に、内周部が前記遮音板に重なる矩形環状の外側遮音板を配置してなることを特徴とするファンフィルタユニット。
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