JP3555583B2 - 光学系制御装置、光学系制御方法、記録媒体および撮像装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像を取得する際のオートフォーカス技術に関するものでり、例えば、デジタルデータとして画像を取得するデジタルカメラに利用することができる。
【0002】
【従来の技術】
従来より、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等のようにCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子を用いて画像を取得する撮像装置においては、いわゆるコントラスト方式と呼ばれる技術(または山登り方式とも呼ばれる。)がオートフォーカスを行うために適用されている。コントラスト方式は、フォーカスレンズを駆動させつつ各駆動段階で得られる画像のコントラストを評価値として取得し、最も評価値の高いレンズ位置をもって合焦位置とする方式である。
【0003】
一方、特開平5−219418号公報に記載されているように、画像からエッジを抽出し、エッジの幅のヒストグラムからフォーカスレンズの合焦位置を推測するという方式(以下、「エッジ幅方式」という。)も提案されている。光学系が合焦状態にある場合に、ヒストグラムの重心に対応するエッジ幅は所定の値になるという原理を利用し、エッジ幅方式ではフォーカスレンズの複数の位置に対応するエッジ幅のヒストグラムを求めておき、複数のヒストグラムからフォーカスレンズの合焦位置が予測される。エッジ幅方式はフォーカスレンズの合焦位置を迅速に求めることができるという特徴を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来よりオートフォーカスを行う際には、計算量を減らすために画像中の固定された小領域に対してのみ演算処理が行われてきた。したがって、画像中のエッジを利用してオートフォーカスを行う場合に、その小領域の画像の空間周波数が低いとエッジが少ししか検出されないこととなる。この場合、エッジを利用して適切なオートフォーカスを行うことが困難となってしまう。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、画像のエッジを利用しつつオートフォーカス制御を適切に行うことを主たる目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、デジタルデータとして画像を取得する際にフォーカス制御用のレンズを有す光学系を制御する光学系制御装置であって、画像中に評価領域を設定する領域設定手段と、前記評価領域中のエッジを検出し、前記エッジの幅からフォーカスの程度を示す評価値を求める演算手段と、前記評価値に基づいて前記光学系を駆動する制御手段と、を備え、前記領域設定手段が前記評価値の信頼性に相当する値に基づいて前記評価領域の拡大の要否を判定し、前記領域設定手段により前記評価領域が拡大された場合に、前記レンズの合焦位置を求めるための基準値が変更され、前記演算手段が、拡大された評価領域から前記レンズが第1の位置に位置する際の前記評価値としての第1の評価値、および、前記レンズが第2の位置に位置する際の前記評価値としての第2の評価値を求め、前記制御手段が、前記第1および第2の評価値、並びに、前記基準値から前記レンズの合焦位置を求める。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光学系制御装置であって、前記信頼性に相当する値が、前記エッジの数である。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の光学系制御装置であって、前記評価値が前記エッジの幅のヒストグラムから求められる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の光学系制御装置であって、前記評価値が前記エッジの幅の平均値であり、前記領域設定手段により前記評価領域が拡大された際に、前記基準値が増大される。
【0012】
請求項5に記載の発明は、デジタルデータとして画像を取得する際にフォーカス制御用のレンズを有す光学系を制御する光学系制御方法であって、(a)フォーカスの程度を示す評価値の信頼性に相当する値に基づいて、画像中に設定される評価領域の拡大の要否を判定する工程と、(b)前記評価領域が拡大された場合に、前記レンズの合焦位置を求めるための基準値を変更する工程と、(c)拡大された評価領域からエッジを検出し、前記エッジの幅から前記レンズが第1の位置に位置する際の前記評価値としての第1の評価値、および、前記レンズが第2の位置に位置する際の前記評価値としての第2の評価値を求める工程と、(d)前記第1および第2の評価値、並びに、前記基準値から前記レンズの合焦位置を求める工程とを有する。
【0013】
請求項6に記載の発明は、デジタルデータとして画像を取得する際に、制御装置にフォーカス制御用のレンズを有す光学系を制御させるプログラムを記録した記録媒体であって、前記プログラムの制御装置による実行は、前記制御装置に、(a)フォーカスの程度を示す評価値の信頼性に相当する値に基づいて、画像中に設定される評価領域の拡大の要否を判定する工程と、(b)前記評価領域が拡大された場合に、前記レンズの合焦位置を求めるための基準値を変更する工程と、(c)拡大された評価領域からエッジを検出し、前記エッジの幅から前記レンズが第1の位置に位置する際の前記評価値としての第1の評価値、および、前記レンズが第2の位置に位置する際の前記評価値としての第2の評価値を求める工程と、(d)前記第1および第2の評価値、並びに、前記基準値から前記レンズの合焦位置を求める工程とを実行させる。
請求項7に記載の発明は、デジタルデータとして画像を取得する撮像装置であって、請求項1ないし4のいずれかに記載の光学系制御装置、を備えている。
【0014】
【発明の実施の形態】
<1. 第1の実施の形態>
<1.1 デジタルカメラの構成>
図1ないし図4は、静止画像をデジタルデータとして取得するデジタルスチルカメラ(以下、「デジタルカメラ」という。)1の外観構成の一例を示す図であり、図1は正面図、図2は背面図、図3は側面図、図4は底面図である。
【0015】
デジタルカメラ1は、図1に示すように、箱型のカメラ本体部2と直方体状の撮像部3とから構成されている。
【0016】
撮像部3の前面側には、撮影レンズであるマクロ機能付きズームレンズ301が設けられるとともに、銀塩レンズシャッターカメラと同様に、被写体からのフラッシュ光の反射光を受光する調光センサ305および光学ファインダ31が設けられる。
【0017】
カメラ本体部2の前面側には左端部にグリップ部4、そのグリップ部4の上部側に外部器機と赤外線通信を行うためのIRDA(Infrared Data Association)インターフェイス236、および中央上部に内蔵フラッシュ5が設けられ、上面側にはシャッタボタン8が設けられている。シャッタボタン8は、銀塩カメラで採用されているような半押し状態と全押し状態とが検出可能な2段階スイッチになっている。
【0018】
一方、図2に示すように、カメラ本体部2の背面側には、略中央に撮影画像のモニタ表示(ビューファインダに相当)、記録画像の再生表示等を行うための液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)10が設けられている。また、LCD10の下方に、デジタルカメラ1の操作を行うキースイッチ群221〜226および電源スイッチ227が設けられる。電源スイッチ227の左側には、電源がオン状態で点灯するLED228およびメモリカードへのアクセス中である旨を表示するLED229が配置される。
【0019】
さらに、カメラ本体部2の背面側には、「撮影モード」と「再生モード」との間でモードを切り替えるモード設定スイッチ14が設けられる。撮影モードは写真撮影を行って被写体に関する画像を生成するモードであり、再生モードはメモリカードに記録された画像を読み出してLCD10に再生するモードである。
【0020】
モード設定スイッチ14は2接点のスライドスイッチであり、下方位置にスライドセットすると撮影モードが機能し、上方位置にスライドセットすると再生モードが機能するように構成される。
【0021】
また、カメラ背面右側には、4連スイッチ230が設けられ、撮影モードにおいてはボタン231,232を押すことによりズーミング倍率の変更が行われ、ボタン233,234を押すことによって露出補正が行われる。
【0022】
撮像部3の背面には、図2に示すように、LCD10をオン/オフさせるためのLCDボタン321およびマクロボタン322が設けられる。LCDボタン321が押されるとLCD表示のオン/オフが切り替わる。例えば、専ら光学ファインダ31のみを用いて撮影するときには、節電の目的でLCD表示をオフにする。マクロ撮影(接写)時には、マクロボタン322を押すことにより、撮像部3においてマクロ撮影が可能な状態になる。
【0023】
カメラ本体部2の側面には、図3に示すように端子部235が設けられており、端子部235にはDC入力端子235aと、LCD10に表示されている内容を外部のビデオモニタに出力するためのビデオ出力端子235bとが設けられている。
【0024】
カメラ本体部2の底面には、図4に示すように、電池装填室18とカードスロット(カード装填室)17とが設けられる。カードスロット17は、撮影された画像等を記録するための着脱自在なメモリカード91等を装填するためのものである。カードスロット17および電池装填室18は、クラムシェルタイプの蓋15により開閉自在になっている。なお、このデジタルカメラ1では、4本の単三形乾電池を電池装填室18に装填することにより、これらを直列接続してなる電源電池を駆動源としている。また、図3に示すDC入力端子235aにアダプタを装着することで外部から電力を供給して使用することも可能である。
【0025】
<1.2 デジタルカメラの内部構成>
次に、デジタルカメラ1における構成についてさらに詳細に説明する。図5は、デジタルカメラ1の構成を示すブロック図である。また、図6は撮像部3における各構成の配置の概略を示す図である。
【0026】
図6に示すように、撮像部3におけるズームレンズ301の後方位置の適所にはCCD303を備えた撮像回路が設けられている。また、撮像部3の内部には、ズームレンズ301のズーム比の変更と収容位置、撮像位置間のレンズ移動を行うためのズームモータM1、自動的に合焦を行うためにズームレンズ301内のフォーカスレンズ311を移動させるオートフォーカスモータ(AFモータ)M2、ズームレンズ301内に設けられた絞り302の開口径を調整するための絞りモータM3とが設けられている。図5に示すように、ズームモータM1、AFモータM2、絞りモータM3は、カメラ本体部2に設けられたズームモータ駆動回路215、AFモータ駆動回路214、絞りモータ駆動回路216によってそれぞれ駆動される。また、各駆動回路214〜216はカメラ本体部2の全体制御部211から与えられる制御信号に基づいて各モータM1〜M3を駆動する。
【0027】
CCD303は、ズームレンズ301によって結像された被写体の光像を、R(赤)、G(緑)、B(青)の色成分の画像信号(各画素で受光された画素信号の信号列からなる信号)に光電変換して出力する。
【0028】
撮像部3における露出制御は、絞り302の調整と、CCD303の露光量、すなわちシャッタスピードに相当するCCD303の電荷蓄積時間とを調整して行われる。被写体のコントラストが低いために適切な絞りおよびシャッタースピードが設定できない場合には、CCD303から出力される画像信号のレベル調整を行うことにより露光不足による不適正露出が補正される。すなわち、低コントラスト時は、絞りとシャッタースピードとゲイン調整とを組み合わせて露出レベルが適正レベルとなるように制御が行われる。なお、画像信号のレベル調整は、信号処理回路313内のAGC(Auto Gain Control)回路313bのゲイン調整により行われる。
【0029】
タイミングジェネレータ314は、カメラ本体部2のタイミング制御回路202から送信される基準クロックに基づきCCD303の駆動制御信号を生成するものである。タイミングジェネレータ314は、例えば、積分開始/終了(露出開始/終了)のタイミング信号、各画素の受光信号の読出制御信号(水平同期信号、垂直同期信号、転送信号等)等のクロック信号を生成し、CCD303に出力する。
【0030】
信号処理回路313は、CCD303から出力される画像信号(アナログ信号)に所定のアナログ信号処理を施すものである。信号処理回路313は、CDS(相関二重サンプリング)回路313aとAGC回路313bとを有し、CDS回路313aにより画像信号のノイズの低減を行い、AGC回路313bでゲインを調整することにより画像信号のレベル調整を行う。
【0031】
調光回路304は、フラッシュ撮影における内蔵フラッシュ5の発光量を全体制御部211により設定された所定の発光量に制御するものである。フラッシュ撮影時には、露出開始と同時に被写体からのフラッシュ光の反射光が調光センサ305により受光され、この受光量が所定の発光量に達すると、調光回路304から発光停止信号が出力される。発光停止信号はカメラ本体部2に設けられた全体制御部211を介してフラッシュ制御回路217に導かれ、フラッシュ制御回路217はこの発光停止信号に応答して内蔵フラッシュ5の発光を強制的に停止し、これにより内蔵フラッシュ5の発光量が所定の発光量に制御される。
【0032】
次に、カメラ本体部2のブロックについて説明する。
【0033】
カメラ本体部2内において、A/D変換器205は、画像の各画素の信号を例えば10ビットのデジタル信号に変換するものである。A/D変換器205は、タイミング制御回路202から入力されるA/D変換用のクロックに基づいて各画素信号(アナログ信号)を10ビットのデジタル信号に変換する。
【0034】
タイミング制御回路202は、基準クロック、タイミングジェネレータ314、A/D変換器205に対するクロックを生成するように構成されている。タイミング制御回路202は、CPU(Central Processing Unit)を含む全体制御部211によって制御される。
【0035】
黒レベル補正回路206は、A/D変換された画像の黒レベルを所定の基準レベルに補正するものである。また、WB(ホワイトバランス)回路207は、γ補正後にホワイトバランスも併せて調整されるように、画素のR、G、Bの各色成分のレベル変換を行うものである。WB回路207は、全体制御部211から入力されるレベル変換テーブルを用いて画素のR、G、Bの各色成分のレベルを変換する。なお、レベル変換テーブルの各色成分の変換係数(特性の傾き)は全体制御部211により撮影画像ごとに設定される。
【0036】
γ補正回路208は、画像のγ特性を補正するものである。画像メモリ209は、γ補正回路208から出力される画像のデータを記憶するメモリである。画像メモリ209は、1フレーム分の記憶容量を有している。すなわち、画像メモリ209は、CCD303がn行m列の画素を有している場合、n×m画素分のデータの記憶容量を有し、各画素のデータが対応するアドレスに記憶される。
【0037】
VRAM(ビデオRAM)210は、LCD10に再生表示される画像のバッファメモリである。VRAM210は、LCD10の画素数に対応した画像データを格納することが可能な記憶容量を有している。
【0038】
撮影モードにおける撮影待機状態では、LCDボタン321(図2参照)によってLCD表示がオン状態となっているときに、LCD10にライブビュー表示が行われる。具体的には、撮像部3から所定間隔ごとに得られる各画像に対して、A/D変換器205〜γ補正回路208において各種の信号処理を施した後、全体制御部211が画像メモリ209に格納される画像を取得し、それをVRAM210に転送することで、LCD10に撮影された画像を表示する。そして、LCD10に表示される画像を所定時間ごとに更新することで、ライブビュー表示が行われる。ライブビュー表示により、撮影者はLCD10に表示された画像により被写体を視認することができる。なお、LCD10において画像を表示する際には、全体制御部211の制御によりバックライト16が点灯する。
【0039】
また、再生モードにおいては、メモリカード91から読み出された画像が全体制御部211で所定の信号処理が施された後、VRAM210に転送され、LCD10に再生表示される。
【0040】
カードインターフェイス212は、カードスロット17を介してメモリカード91への画像の書き込みおよび読み出しを行うためのインターフェイスである。
【0041】
フラッシュ制御回路217は、内蔵フラッシュ5の発光を制御する回路であり、全体制御部211からの制御信号に基づいて内蔵フラッシュ5を発光させる一方、既述の発光停止信号に基づいて内蔵フラッシュ5の発光を停止させる。
【0042】
RTC(リアルタイムクロック)回路219は、撮影日時を管理するための時計回路である。
【0043】
また、全体制御部211にはIRDAインターフェイス236が接続され、IRDAインターフェイス236を介してコンピュータ500や他のデジタルカメラといった外部器機と赤外線無線通信を行い、画像の無線転送等を行うことが可能となっている。
【0044】
操作部250は、上述した、各種スイッチ、ボタンを包括するものであり、ユーザによって操作入力される情報は、操作部250を介して全体制御部211に伝達される。
【0045】
全体制御部211は、上述した撮像部3内およびカメラ本体部2内の各部材の駆動を有機的に制御し、デジタルカメラ1の全体動作を司る。
【0046】
また、全体制御部211は、自動焦点合わせを効率的に行うための動作制御を行うAF(オートフォーカス)制御部211aと、自動露出を行うためのAE(オートエクスポージャ)演算部211bとを備えている。
【0047】
AF制御部211aには黒レベル補正回路206から出力される画像が入力され、オートフォーカスに用いるための評価値を求め、この評価値を用いて各部を制御することで、ズームレンズ301により形成される像の位置をCCD303の撮像面に一致させる。
【0048】
また、AE演算部211bにも黒レベル補正回路206から出力される画像が入力され、所定のプログラムに基づいて、シャッタスピードと絞り302との適正値を演算する。AE演算部211bは、被写体のコントラストに基づいて、シャッタスピードと絞り302との適正値を所定のプログラムに従って演算する。
【0049】
さらに、全体制御部211は撮影モードにおいて、シャッタボタン8により撮影が指示されると、画像メモリ209に取り込まれた画像のサムネイル画像と操作部250に含まれるスイッチから設定入力された圧縮率によりJPEG方式で圧縮された圧縮画像とを生成し、撮影画像に関するタグ情報(コマ番号、露出値、シャッタスピード、圧縮率、撮影日、撮影時のフラッシュのオンオフのデータ、シーン情報、画像の判定結果等の情報)とともに両画像をメモリカード91に記憶する。
【0050】
撮影モードおよび再生モードを切り替えるためのモード設定スイッチ14を再生モードに設定したときには、例えばメモリカード91内のコマ番号の最も大きな画像データが読み出され、全体制御部211にてデータ伸張され、その画像がVRAM210に転送されることにより、LCD10にはコマ番号の最も大きな画像、すなわち最後に撮影された画像が表示される。
【0051】
<1.3 デジタルカメラの動作の概略>
次に、デジタルカメラ1の動作の概略について説明する。図7はデジタルカメラ1の動作の概略を示す図である。
【0052】
モード設定スイッチ14によりデジタルカメラ1の動作が撮影モードに設定されると、シャッタボタン8の半押しを待機する状態となる(ステップS11)。シャッタボタン8が半押しされると、半押しを示す信号が全体制御部211に入力され、全体制御部211により撮影準備であるAE演算(ステップS12)およびAF制御(ステップS13)が実行される。すなわち、シャッタボタン8により全体制御部211への撮影準備の指示が行われる。
【0053】
AE演算では、AE演算部211bにより露出時間および絞り値が求められ、AF制御では、AF制御部211aによりズームレンズ301が合焦状態とされる。その後、シャッタボタン8の全押しを待機する状態へと移行する(ステップS14)。
【0054】
シャッタボタン8が全押しされると、CCD303からの信号がデジタル信号に変換された後、画像メモリ209に画像データとして記憶される(ステップS15)。これにより、被写体の画像が取得される。
【0055】
撮影動作の終了後、または、シャッタボタン8の半押しの後、全押しされることがなかった場合(ステップS16)、最初の段階へと戻る。
【0056】
<1.4 オートフォーカス制御>
次に、AF制御部211aの構成、および、第1の実施の形態におけるオートフォーカス(AF)制御について説明する。
【0057】
図8は図5に示すAF制御部211aの構成を周辺の構成とともに示すブロック図である。AF制御部211aは、黒レベル補正回路206から画像が入力されるヒストグラム生成回路251およびコントラスト算出回路252を有し、さらに、全体制御部211内のCPU261およびROM262がAF制御部211aとしての機能の一部を担う。
【0058】
ヒストグラム生成回路251は、画像中のエッジを検出し、エッジ幅のヒストグラムを生成する。コントラスト算出回路252は、画像のコントラストを求める。これらの構成の詳細については後述する。
【0059】
CPU261はROM262内のプログラム262aに従って動作を行うことにより、オートフォーカス動作の一部を行うとともにAFモータ駆動回路214に制御信号を送出する。プログラム262aはデジタルカメラ1を製造した際にROM262に記憶されていてもよく、プログラムを記録した記録媒体としてメモリカード91を利用し、メモリカード91からROM262にプログラムが転送されてもよい。
【0060】
図9は、オートフォーカスの際のCPU261の機能を他の構成とともにブロックにて示す図である。図9において、ヒストグラム生成回路251にて生成されたヒストグラムからノイズ成分を除去するノイズ除去部263、ヒストグラムからフォーカスの程度を示す評価値を求めるヒストグラム評価部264、フォーカスレンズ311の位置を変更するためのAFモータM2の駆動量を求める駆動量決定部265、コントラスト算出回路252からのコントラストを用いてAFモータM2の駆動方向(すなわち、フォーカスレンズ311の駆動(移動)方向)を決定する駆動方向決定部266、光学系が合焦状態であるか否かを検出する合焦検出部267、AFモータM2への制御信号を生成してAFモータ駆動回路214に与える制御信号生成部268、および、ヒストグラム評価部264からの信号によりAFエリア(後述する)を設定し直す領域設定部269が、CPU261が演算処理を行うことにより実現される機能に相当する。レンズの駆動制御は実質的には駆動量決定部265、駆動方向決定部266および合焦検出部267により実行される。
【0061】
図10はヒストグラム生成回路251におけるエッジ検出の様子を説明するための図である。図10において横軸は水平方向に関する画素の位置に対応し、縦軸の上段は画素の輝度に対応する。縦軸の下段はエッジ幅の検出値に対応する。
【0062】
図10において左から右へとエッジの検出が行われる場合、隣接する画素の輝度差がしきい値Th1以下の場合には、エッジは存在しないと判定される。一方、輝度差がしきい値Th1を超える場合には、エッジの開始端が存在すると判定される。左から右へとしきい値Th1を超える輝度差が連続する場合、エッジ幅検出値が上昇する。
【0063】
エッジ開始端の検出後、輝度差がしきい値Th1以下になるとエッジの終端が存在すると判定される。このとき、エッジの開始端に相当する画素と終端に相当する画素との輝度の差がしきい値Th2以下の場合には、適切なエッジではないと判定され、しきい値Th2を超える場合には適切なエッジであると判定される。
【0064】
以上の処理を画像中の水平方向に並ぶ画素配列に対して行うことにより、画像中の水平方向のエッジの幅の値が検出される。
【0065】
図11は、ヒストグラム生成回路251の具体的構成を示す図であり、図12ないし図14はヒストグラム生成回路251の動作の流れを示す図である。以下、これらの図を参照しながらヒストグラムの生成についてさらに詳しく説明する。ただし、図15に示すように画像400の中央にオートフォーカスを行うための領域(以下、「AFエリア」という。)401が予め設定されているものとし、図16に示すようにAFエリア401内の座標(i,j)の画素の輝度をD(i,j)と表現する。
【0066】
黒レベル補正回路206に接続されるヒストグラム生成回路251は、図11に示すように第1微分フィルタ271が設けられる左側の構造と第2微分フィルタ272が設けられる右側の構造とが対称となっており、画像中を左から右へと走査した際に、輝度の立上がりに対応するエッジが第1微分フィルタ271側の構成により検出され、輝度の立下がり対応するエッジが第2微分フィルタ272側の構成により検出される。
【0067】
ヒストグラム生成回路251では、まず、各種変数が初期化された後(ステップS101)、第1微分フィルタ271により隣接する画素間の輝度差(D(i+1,j)−D(i,j))が求められ、比較器273により輝度差がしきい値Th1を超えるか否かが確認される(ステップS102)。ここで、輝度差がしきい値Th1以下の場合には、エッジは存在しないものと判定される。
【0068】
一方、第2微分フィルタ272により隣接する画素間の輝度差(D(i,j)−D(i+1,j))も求められ、比較器273により輝度差がしきい値Th1を超えるか否かが確認される(ステップS105)。輝度差がしきい値Th1以下の場合には、エッジは存在しないものと判定される。
【0069】
その後、iを増加させつつステップS102およびステップS105が繰り返される(図14:ステップS121,S122)。
【0070】
ステップS102において、輝度差がしきい値Th1を超える場合には、エッジの開始端(輝度信号の立ち上がり)が検出されたものと判定され、第1微分フィルタ271側のエッジ幅カウンタ276によりエッジ幅を示すエッジ幅検出値C1(初期値0)がインクリメントされ、かつ、エッジ幅を検出中であることを示すフラグCF1が1にセットされる(ステップS103)。さらに、検出開始時の輝度がラッチ274に記憶される。
【0071】
以後、ステップS102において輝度差がしきい値Th1以下となるまでエッジ幅検出値C1が増加し(ステップS102,S103,S121,S122)、輝度差がしきい値Th1以下となると、フラグCF1が0にリセットされ、このときの輝度がラッチ275に記憶される(ステップS102,S104)。
【0072】
フラグCF1が0にリセットされると、ラッチ274およびラッチ275に記憶されている輝度の差Dd1が比較器277に与えられ、輝度差Dd1がしきい値Th2を超えるか否かが確認される(図13:ステップS111)。輝度差Dd1がしきい値Th2を超える場合には、適切なエッジが検出されたものと判定され、エッジ幅カウンタ276からエッジ幅検出値C1がヒストグラム生成部278に与えられ、エッジ幅がC1であるエッジの度数H[C1]がインクリメントされる(ステップS112)。これにより、エッジ幅がC1である1つのエッジの検出が完了する。
【0073】
その後、エッジ幅検出値C1が0にリセットされる(ステップS115,S116)。
【0074】
ステップS105において輝度差がしきい値Th1を超える場合も同様に、エッジの開始端(輝度信号の立ち下がり)が検出されたものと判定され、第2微分フィルタ272側のエッジ幅カウンタ276によりエッジ幅を示すエッジ幅検出値C2(初期値0)がインクリメントされ、かつ、エッジ幅を検出中であることを示すフラグCF2が1にセットされて検出開始時の輝度がラッチ274に記憶される(ステップS105,S106)。
【0075】
以後、ステップS105において輝度差がしきい値Th1以下となるまでエッジ幅検出値C2が増加し(ステップS105,S106,S121,S122)、輝度差がしきい値Th1以下となると、フラグCF2が0にリセットされ、このときの輝度がラッチ275に記憶される(ステップS105,S107)。
【0076】
フラグCF2が0にリセットされると、ラッチ274およびラッチ275に記憶されている輝度の差Dd2が比較器277に与えられ、輝度差Dd2がしきい値Th2を超えるか否かが確認される(ステップS113)。輝度差Dd2がしきい値Th2を超える場合には、ヒストグラム生成部278においてエッジ幅がC2であるエッジの度数H[C2]がインクリメントされ(ステップS114)、エッジ幅がC2である1つのエッジの検出が完了する。
【0077】
その後、エッジ幅検出値C2が0にリセットされる(ステップS117,S118)。
【0078】
以上のエッジ検出処理を繰り返し、変数iがAFエリア401外の値となると(正確には、(i+1)がAFエリア401外の値となると)、変数j以外が初期化されるとともに変数jがインクリメントされる(図14:ステップS122〜S124)。これにより、AFエリア401内の次の水平方向の画素配列に対してエッジ検出が行われる。水平方向のエッジ検出を繰り返し、やがて変数jがAFエリア401外の値になると、エッジ検出が終了する(ステップS125)。これにより、ヒストグラム生成部278にはエッジ幅と度数との関係を示すヒストグラムが生成される。
【0079】
次に、図9に示すコントラスト算出回路252について説明する。デジタルカメラ1ではAF制御の際にAFエリア401のコントラストも利用される。コントラストとしては、AFエリア401内の輝度の変化の程度を示す指標値であればどのようなものが利用されてもよいが、デジタルカメラ1では、数1にて示される値がコントラストVcとして利用される。すなわち、コントラストVcとして、水平方向に隣接する画素の輝度差の総和が利用される。
【0080】
【数1】
【0081】
ただし、数1においてxはAFエリア401の水平方向の画素数であり、yは垂直方向の画素数である(図16参照)。図示を省略しているが、コントラスト算出回路252は、図11に示す第1微分フィルタ271および第2微分フィルタ272からの出力を累積する構造となっている。なお、コントラスト検出回路を別に設けてもよいし、コントラスト検出においては隣接する画素ではなく、2つ隣の画素との差を算出しても構わない。
【0082】
図17ないし図20は、デジタルカメラ1におけるAF制御(図7:ステップS13)の全体の流れを示す図である。以下、図17ないし図20、並びに、図9を参照しながらオートフォーカスの際の動作について説明する。なお、以下の説明においてオートフォーカスの際に駆動されるフォーカスレンズ311を適宜、「レンズ」と略し、光学系が合焦状態となるフォーカスレンズ311の位置を「合焦位置」と呼ぶ。
【0083】
まず、制御信号生成部268の制御により、レンズが基準位置P2から所定量だけ最近接側(最近接する被写体に焦点を合わせる位置側)の位置P1へと移動し、コントラスト算出回路252がコントラストVc1を求め、駆動方向決定部266へと出力する(ステップS201)。続いて、レンズが基準位置P2へと戻ってコントラストVc2が求められ(ステップS202)、さらに無限遠側(無限遠の被写体に焦点を合わせる位置側)へと所定量だけ移動した位置P3にてコントラストVc3が求められる(ステップS203)。
【0084】
駆動方向決定部266では、コントラストVc1,Vc2,Vc3が条件(Vc1≧Vc2≧Vc3)を満たすか否かを確認し(ステップS204)、満たされる場合には合焦位置が現在の位置P3に対して最近接側に存在するため、駆動方向を最近接側に向かう方向に決定し、満たされない場合には駆動方向を無限遠側に向かう方向に決定する(ステップS205,S206)。
【0085】
次に、レンズが位置P3に位置する状態にて、ヒストグラム生成回路251によりエッジ幅のヒストグラムが生成され、ノイズ除去部263にてヒストグラムのノイズ成分が除去された後、ヒストグラム評価部264により検出されたエッジの個数(以下、「エッジ数」という。)Venが取得される(図18:ステップS301)。
【0086】
図21は、ノイズ除去部263の処理の詳細を示す流れ図である。また、図22および図23はノイズ除去部263の動作の様子を説明するための図である。
【0087】
ノイズ除去部263によるノイズの除去では、まず、ヒストグラムからエッジ幅が1(すなわち、1画素)の部分が削除される(ステップS401)。図22に示すようにヒストグラム410はエッジ幅が1の部分411が突出した形状となっている。これは、AFエリア401中の高周波ノイズが幅1のエッジとして検出されるためである。したがって、エッジ幅が1の部分411を削除することにより、後述する重心エッジ幅の精度向上が実現される。
【0088】
次に、ヒストグラム410において度数が所定値Th3以下の部分412,413が削除される(ステップS402)。ヒストグラム410において度数が低い部分は、一般に主被写体像以外のエッジを多く含むためである。換言すれば、ヒストグラムから度数が所定値よりも高い部分が抽出される。
【0089】
さらに、図23に示すように、度数が最大となるエッジ幅Eが検出され(ステップS403)、エッジ幅Eを中心として所定範囲内(図23においてエッジ幅が(E−E1)から(E+E1)の範囲内)の部分を抽出した新たなヒストグラム414が求められる(ステップS404)。なお、図22および図23では図示されていないが、ヒストグラムの形状によっては図22において削除される部分412,413は図23において削除される部分に必ず含まれるとは限らない。そこで、ステップS402の後にさらにステップS404が実行される。
【0090】
ステップS404における抽出範囲の中心となるエッジ幅Eは、ステップS402後のヒストグラムの重心に対応するエッジ幅であってもよい。処理を簡略化するために、単に、所定値以下のエッジ幅の部分、あるいは、所定値以上のエッジ幅の部分をヒストグラムから除去するという手法が採用されてもよい。主被写体像のエッジ(すなわち、背景像から導かれるノイズ成分を含まないエッジ)の幅は所定の範囲内に通常収まることから、このような簡略化された処理であっても主被写体像におよそ対応するヒストグラムが求められる。
【0091】
なお、図18中のステップS301において取得されるエッジ数Venとしては、ステップS402にてノイズ成分が除去されたヒストグラムにおける総度数が利用されてもよく、ステップS404にてさらにノイズ成分が除去されたヒストグラムにおける総度数が利用されてもよい。
【0092】
エッジ数Venが取得された後のステップS302〜S309はAFエリアの拡大に係る処理であるが、最初に実行される場合には繰り返しカウント値Repの初期値が0であることから、AFエリアの拡大(ステップS307,S308)は実行されることなくステップS311へと移行する。
【0093】
ステップS311では、ヒストグラム生成回路251により作成されたエッジ幅のヒストグラムからヒストグラムの代表値が求められる。ヒストグラムの代表値としては、デジタルカメラ1ではヒストグラムの重心に対応するエッジ幅(以下、「重心エッジ幅」という。)Vewが利用される。ヒストグラムの代表値としては他の統計学的値が利用されてもよく、例えば、最大度数に対応するエッジ幅、エッジ幅のメジアン等が利用可能である。
【0094】
ヒストグラム評価部264により、エッジ数Venおよび重心エッジ幅Vewが取得されると、エッジ数Venが0であるか確認され、0でない場合にはエッジ数Venが所定値以下であるか確認され、所定値以下でない場合には、さらに、重心エッジ幅Vewが8以上であるか否かが順次確認される(ステップS312,S314,S316)。
【0095】
エッジ数Venが0の場合には、駆動量決定部265により、レンズの駆動による像面の移動量が16Fδに決定され、駆動方向決定部266にて決定された方向にレンズの駆動が行われる(ステップS313)。ただし、Fは光学系のFナンバーであり、δはCCD303の画素間のピッチ(間隔)に対応する許容散乱円の直径であり、Fδは焦点深度に相当する。フォーカス用のレンズを用いてAF制御を行う場合、像面の移動量はレンズの移動量と等しいことから、実際にはレンズの移動量が16Fδに決定される。
【0096】
エッジ数Venが所定値以下の場合にはレンズが12Fδだけ移動するように駆動され(ステップS315)、重心エッジ幅Vewが8以上の場合にはレンズが8Fδだけ移動するように駆動される(ステップS317)。
【0097】
このように、AF制御部211aではエッジ数Venおよび重心エッジ幅Vewを用いてレンズの駆動量を決定するようになっている。なぜならば、これらの値はフォーカスの程度を示す評価値として利用することができる値であり、フォーカスの程度が低い、すなわち、合焦位置からレンズが遠く離れているほど、1回の駆動でレンズを大きく移動させることが許容されるからである。
【0098】
図24は、エッジ数Venがフォーカスに関する評価値として利用可能であることを説明するための図である。図24において横軸はレンズの位置に対応し、縦軸は検出されるエッジの総数(すなわち、エッジ数Ven)に対応する。図24においてレンズ位置が4の場合にレンズが合焦位置に位置する。このとき、エッジ数は最大となる。そして、レンズ位置が合焦位置から離れるほどエッジ数が減少する。このようにエッジ数はフォーカスの程度を示す評価値として利用することができる。
【0099】
一方、レンズが合焦位置に近づくほど画像がシャープになり、検出される各エッジの幅は短くなることから、当然、重心エッジ幅Vewもフォーカスの程度を示す評価値として利用することができる。この場合、フォーカスの程度が高いほど値は小さくなる。なお、仮にフォーカスの程度が高いほど評価値が大きくなると定義する場合は、重心エッジ幅Vewの逆数や所定値から重心エッジ幅Vewを減算したもの等が評価値に相当する。
【0100】
デジタルカメラ1の場合、予め実験により、エッジ数Venが0である場合に16Fδ、エッジ数Venが所定値(例えば、20)以下の場合には12Fδ、重心エッジ幅Vewが8以上の場合には8Fδだけレンズを移動させてもレンズが合焦位置を通り過ぎないことが確認されている。以上の理由により、図19に示すステップS311〜S317によるレンズの駆動制御が行われる。
【0101】
その後、図18中のステップS301へと戻り、エッジ数Venの取得が再度行われ、ステップS302〜S309の処理を経た後、ステップS311〜S317が繰り返される。すなわち、デジタルカメラ1では重心エッジ幅Vewが8未満となるまでレンズの駆動が繰り返されるようになっている。
【0102】
ところで、初期設定あるいは使用者による設定ミスにより、AFエリアが図25に示すAFエリア402のようにコントラストの低い領域に設定されている場合、つまり、AFエリア内にエッジがほとんど存在しない場合にはレンズの駆動を繰り返してもエッジ数Venが所定値以上にならなかったり、重心エッジ幅Vewが8未満とならない可能性がある。この場合、適切なAF制御を行うことが不可能となる。
【0103】
そこで、デジタルカメラ1ではこのような問題を図18中のステップS301〜S309により回避している。すなわち、一般に画像全体にわたってコントラストが低いということは希であることから、初期設定時のAFエリア402から検出されるエッジが少ない場合には図26に示すようにAFエリア402を拡大して新たなAFエリア403の設定が行われる。これにより、十分な数のエッジを取得することができ、適切なAF制御が実現される。以下、主として領域設定部269により実行されるステップS301〜S309の動作について詳細に説明する。
【0104】
まず、ヒストグラム評価部264にて取得されたエッジ数Venが領域設定部269へと転送され(ステップS301)、AFエリアが再設定されているか否かを示すAFエリア再設定フラグがOFFであるか否かが確認される(ステップS302)。AFエリア再設定フラグは初期値がOFFであるため、AFエリアの再設定が実行された後でない限りステップS303に移行する。ステップS303では、エッジ数Venが所定値以下であるか否かが確認される。所定値を越える場合には繰り返しカウント値Repが初期化され(ステップS304)、エッジ数Venが所定値を超えない場合は繰り返しカウント値Repがインクリメントされる(ステップS305)。すなわち、繰り返しカウント値Repは連続してエッジ数Venが所定値以下となる回数を示す。
【0105】
次に、繰り返しカウント値Repの値が3に達しているか否かが確認され(ステップS306)、繰り返しカウント値Repが3未満の場合は、ステップS311へと移行し、重心エッジ幅Vewが求められる(ステップS311)。その後、ステップS316において重心エッジ幅Vewが8未満とならない限り、レンズの駆動が行われ(ステップS313、S315、S317)、ステップS301へと戻る。
【0106】
ステップS301〜S306並びにステップS311〜S317の処理が繰り返された結果、エッジ数Venが連続して所定値以下となる回数が3回になると(Rep=3)、現在のAFエリアでは適切なAF制御が困難である可能性があるため、領域設定部269により現在のAFエリア(図25参照)を4倍に拡大した新たなAFエリア(図26参照)が再設定され(ステップS306,S307)、AFエリア再設定フラグがONとされる(ステップS308)。また、拡大されたAFエリアに対するエッジ数Venが再度求められる(ステップS309)。
【0107】
なお、ステップS306でエッジ数Venの比較対照となる所定値と、ステップS314でエッジ数Venの比較対照となる所定値とは独立に設定されてよく、これらの所定値の大小関係は任意であってよい。
【0108】
ただし、デジタルカメラ1ではエッジ数Venを重心エッジ幅Vewの信頼性に相当する値として利用することによりAFエリアの拡大を行うことから、ステップS316,S317にて重心エッジ幅に基づくレンズ駆動が行われる前にAFエリアの拡大の要否が判定されることが好ましい場合がある。この場合、デジタルカメラ1では、ステップS306における所定値はステップS314における所定値よりも小さく設定される。
【0109】
AFエリアの拡大が行われた後は、AFエリア再設定フラグがONであることからステップS302〜S309が実行されることなくエッジ数Venおよび重心エッジ幅Vewの取得(ステップS301,S311)、並びに、レンズの駆動が繰り返される。
【0110】
レンズの駆動が繰り返されると、AFエリアの拡大の有無に関わらず、やがてレンズが合焦位置に近づき、重心エッジ幅Vewが8(画素)未満となる。以後は、通常の山登り方式によりレンズの駆動が行われる。すなわち、コントラスト算出回路252がコントラストVcを求め(図20:ステップS321)、コントラストVcに応じて駆動量決定部265が移動量が2〜4Fδとなる範囲内でレンズの駆動量を求め、制御信号生成部268が駆動量に応じた制御信号をAFモータ駆動回路214に与えることによりAFモータM2の駆動が行われる(ステップS322)。
【0111】
その後、コントラストVcが再度取得され、コントラストVcが減少したか否かを合焦検出部267が確認しつつ駆動量決定部265がレンズを微少量ずつ移動させる(ステップS322〜S324)。コントラストVcの取得およびレンズの駆動が繰り返されると、やがてレンズが合焦位置を通り過ぎ、コントラストVcが減少する(ステップS324)。ここで、現在のレンズ位置近傍の複数のレンズ位置に対応するコントラストVcを補間することにより、コントラストVcが最大となるレンズ位置が合焦位置として求められ、さらに、レンズを振動させつつコントラストVcを取得してレンズ位置の微調整が行われる(ステップS325)。以上の動作により、AF制御が終了する。
【0112】
以上に説明したように、デジタルカメラ1ではAFエリアからエッジを検出し、エッジに関するフォーカスの程度を示す評価値を用いてレンズの1回の移動量、すなわち、レンズの駆動速度が変更される。これにより、高解像度の静止画像を取得する際の精度の高いフォーカス動作であっても迅速に行うことができる。
【0113】
また、検出されるエッジの数が少ない場合には、オートフォーカスに用いる評価値の信頼性が低いと考えられるため、AFエリアを拡大し、より多くのエッジを検出して評価値が再度求められる。すなわち、デジタルカメラ1ではエッジ数Venを評価値の信頼性に相当する値として利用している。これにより、AFエリアがローコントラストであるためAF制御不能となることが低減され、適切なAF制御が可能となる。
【0114】
なお、上記説明においてエッジ数Venおよび重心エッジ幅Vewがレンズ駆動に利用されるフォーカスの程度を示す評価値であると説明したが、エッジ数Venを評価値として捉えた場合、評価値と評価値の信頼性に相当する値とは同一となる。すなわち、評価値自体が評価値の信頼性に対応していてもよい。
【0115】
また、一般に、高度な評価値をエッジから求めるためにはエッジ幅のヒストグラムが求められ、ヒストグラムの代表値が評価値として利用されることが好ましい。ヒストグラムの代表値は演算技術を考慮した場合、統計学的値として与えられることが好ましく、統計学的値としては平均値、メジアン、ピークに相当するエッジ幅等も利用可能である。デジタルカメラ1では、評価値の信頼性および演算量を比較考慮し、ヒストグラムの重心に対応するエッジ幅(すなわち、エッジ幅の平均値)が代表値として利用される。
【0116】
また、デジタルカメラ1では重心エッジ幅Vewを求める際に、ヒストグラムからノイズに由来するノイズ成分を除去している。ノイズ成分のほとんどは幅が1(画素)のエッジであることから、エッジ幅が1の部分をヒストグラムから除去することにより効果的なノイズ除去が実現される。さらに、デジタルカメラ1では主被写体像に着目し、主被写体像以外のエッジと想定される部分もノイズとみなしてヒストグラムから除去することによりさらに適切なヒストグラムが生成される。ノイズ除去により高速かつ正確なAF制御が実現される。
【0117】
一方、デジタルカメラ1では、エッジに関するフォーカスの評価値のみならず、コントラストを用いたフォーカスの評価値も利用することにより、精度の高いオートフォーカスを実現している。具体的には、コントラストVcをレンズの駆動方向の決定に用い、最終的な制御も重心エッジ幅よりも精度を高めることが可能なコントラストVcを用いて行っている。
【0118】
オートフォーカスの際にコントラストを求めるという技術は既に用いられている技術であることから、デジタルカメラ1では既存の技術とエッジを用いる技術とを利用し、さらに、精度の異なるコントラストVc、重心エッジ幅Vewおよびエッジ数Venを使い分けることにより、迅速かつ高精度なオートフォーカスが実現されている。一般に静止画像の取得する際には、撮影準備の指示に応じてフォーカスレンズが大きく移動するため、精度の異なる評価値を利用しつつレンズの駆動速度を変更することにより、静止画像を取得する際のオートフォーカスが迅速かつ適切に実現される。
【0119】
<2. 第2の実施の形態>
第1の実施の形態では、AFエリアから抽出されるエッジを利用してフォーカスレンズの1回の駆動量(移動量)を求めるが、2つの重心エッジ幅を利用して合焦位置を予測することも可能である。以下、合焦位置を予測する基本的手法について説明した上で、この手法を利用する第2の実施の形態に係るAF制御について説明する。
【0120】
図27は、レンズが合焦位置に近づくにつれてエッジ幅のヒストグラムが変化する様子を示す図である。符号431はレンズが合焦位置から大きく離れている場合のヒストグラムを示し、符号432はヒストグラム431の場合よりもレンズが合焦位置に近い場合のヒストグラムを示す。符号433はレンズが合焦位置に位置する場合のヒストグラムを示す。また、符号Vew11,Vew12,Vewfはそれぞれ、ヒストグラム431,432,433の重心エッジ幅である。
【0121】
図27に示すように、重心エッジ幅はレンズが合焦位置に近づくにつれて小さくなる。最小の重心エッジ幅Vewfは、光学系のMTF(Modulation Transfer Function:光学系が空間周波数に対して像のコントラストをどの程度再現することができるのかを示す指標値)、撮影条件、被写体等によって若干変化するが、合焦であると判定する基準が緩やかな場合には、レンズが合焦位置に位置する際の最小の重心エッジ幅Vewfを一定の値とみなすことが可能であり、予め求めておくことができる。以下の説明において、最小の重心エッジ幅Vewfを「基準エッジ幅」という。
【0122】
図28は、レンズ位置と重心エッジ幅との関係を示す図であり、レンズ位置L1,L2に対応する重心エッジ幅がVew21,Vew22であり、合焦位置Lfに対応する基準エッジ幅がVewfである。図28に示すように、一般に、レンズ位置と重心エッジ幅とは線形の関係にあるとみなすことができる。したがって、レンズ位置L1,L2に対応する重心エッジ幅Vew21,Vew22が求められると、基準エッジ幅Vewfを利用して数2により合焦位置Lfを求めることができる。
【0123】
【数2】
【0124】
なお、重心エッジ幅に代えて、エッジ幅の平均値、ヒストグラムのピークに対応するエッジ幅、メジアン等の統計学的値を合焦位置を求める際に利用することも可能である。
【0125】
また、図26に示す手法では、少なくとも2つのレンズ位置において重心エッジ幅を求めることにより合焦位置Lfを求めることが可能であるが、より精度を高めるために、各レンズ位置L1,L2から所定距離aFδだけ前後の位置(L1±aFδ),(L2±aFδ)での重心エッジ幅を用いてレンズ位置L1,L2における重心エッジ幅の精度が高められてもよい。具体的には、位置(L1−aFδ),L1,(L1+aFδ)における重心エッジ幅がVew31,Vew32,Vew33である場合には、数3によりこれらの値にローパスフィルタを作用させた値Vew3がレンズ位置L1の重心エッジ幅として求められる。
【0126】
【数3】
【0127】
同様に、位置(L2−aFδ),L2,(L2+aFδ)における重心エッジ幅がVew41,Vew42,Vew43である場合には、数4により値Vew4がレンズ位置L2の重心エッジ幅として求められる。
【0128】
【数4】
【0129】
もちろん、3以上の任意のレンズ位置にて重心エッジ幅を求め、最小二乗法を用いてレンズ位置と重心エッジ幅との関係を示す直線が求められてもよい。
【0130】
次に、第2の実施の形態におけるAF制御の流れについて説明する。なお、第2の実施の形態に係るデジタルカメラ1の構成および基本動作(図7)は第1の実施の形態と同様であるものとする。
【0131】
図29ないし図31は、第2の実施の形態におけるAF制御の流れの一部を示す図である。オートフォーカスでは、まず、第1の実施の形態と同様の手法(図17:ステップS201〜S206)にてレンズの駆動方向が決定される。
【0132】
駆動方向が決定されると、レンズが初期位置に存在する状態にてヒストグラム評価部264によって、エッジ数Venが取得される(ステップS501)。その後、繰り返しカウント値Repが0であることから、第1の実施の形態と同様にAFエリアの拡大に係る処理がスキップされ、ステップS511へと移行する。
【0133】
取得されたエッジ数Venが0の場合、駆動量決定部265により駆動量(レンズの移動量)が16Fδに設定され(ステップS511、S512)、エッジ数Venが0ではないが所定値(例えば、20)以下の場合にはレンズの移動量が12Fδに設定される(ステップS513、S514)。
【0134】
ステップS512またはステップS514が実行された場合には、設定された駆動方向に設定された移動量だけレンズが移動し(ステップS516)、ステップS501へと戻る。そして、移動量の設定およびレンズ移動、並びに、エッジ数Venの算出が繰り返されることにより、エッジ数Venが所定値を超えるレンズ位置(以下、「位置L1」と呼ぶ。)までレンズが移動し、その位置における重心エッジ幅Vewが求められる(ステップS515)。
【0135】
このとき、第1の実施の形態と同様に、AFエリアから検出されるエッジ数が少ない場合には領域設定部269によるAFエリアの拡大が行われる。すなわち、ステップS501にて取得されるエッジ数Venが所定値以下の場合には繰り返しカウント値Repがインクリメントされ、所定値を越える場合には0に設定される(ステップS503〜S505)。レンズ移動が繰り返されることにより、繰り返しカウント値Repが3になった場合(すなわち、連続してエッジ数Venが所定値以下になると)、AFエリアが4倍に拡大され、AFエリア再設定フラグがONとされるとともに合焦位置の予測に利用される基準エッジ幅Vewfが増大される(例えば、2増加される。)(ステップS507〜S509)。その後、拡大されたAFエリアからエッジ数が再度取得される(ステップS510)。
【0136】
AFエリアが拡大されると、拡大されたAFエリアにて遠近の被写体が競合する確率が高くなる。通常、遠近の被写体が競合する場合、合焦とみなせる際の重心エッジ幅が大きくなることから、拡大前のAFエリア用に予め定められている基準エッジ幅Vewfは拡大後のAFエリアにおいては適切な値とはいえない。そこで、基準エッジ幅VewfがAFエリアの拡大に伴って大きな値に変更される(ステップS509)。
【0137】
なお、AFエリアが拡大された場合、通常、基準エッジ幅Vewfは大きく設定されるが、レンズにレインドロップあるいはほこり等が付着していてもそれらにピントを合わせる必要がないため、そのような場合には基準エッジ幅Vewfを小さく変更するように手動にて切替可能とされてもよい。
【0138】
以上のように、第2の実施の形態では、必要に応じてAFエリアを拡大しながら、エッジ数Venが所定値以下となるレンズ位置L1までレンズの駆動が行われる。
【0139】
レンズが位置L1に達し、位置L1における重心エッジ幅Vew21が求められると(ステップS515)、重心エッジ幅Vew21を記憶するとともに設定された駆動方向に予め定められた移動量だけレンズが大きく駆動される(図31:ステップS521)。移動後の位置(以下、「位置L2」と呼ぶ。)では、重心エッジ幅Vew22が再度求められる(ステップS522)。
【0140】
その後、数2による演算が行われ、およその合焦位置が求められる(ステップS523)。すなわち、合焦位置が推測される。レンズは求められた合焦位置へと速やかに移動し(ステップS524)、コントラストVcを求めつつレンズが合焦位置へと正確に一致するように微調整が行われる(ステップS525)。
【0141】
以上のように、第2の実施の形態におけるAF制御では、第1の位置L1および第2の位置L2にて重心エッジ幅Vewを求め、合焦位置の推測を行う。したがって、レンズを合焦位置へと迅速に移動させることができる。また、重心エッジ幅を用いたレンズ移動とコントラストを用いたレンズ移動とを併用するため、レンズを合焦位置に正確に位置させることも可能となる。
【0142】
また、第1の実施の形態と同様にAFエリアから検出されるエッジ数Venが所定値以下の場合には、AFエリアを拡大することによって、より適切なAF制御を行うことができる。
【0143】
さらに、AFエリアを拡大した場合に、基準エッジ幅Vewfも変更することにより、より適切なAF制御を行うことができる。
【0144】
また、第2の実施の形態では、エッジ数が所定値を超える位置L1まで予め移動させておき、その上で予め決定された駆動方向、すなわち、合焦位置へと向かう方向へとレンズを移動させて位置L2に位置させるため、合焦位置の推測を適切に行うことができる。
【0145】
なお、第2の実施の形態においても重心エッジ幅Vewに代えてヒストグラムの他の代表値がフォーカスの程度を示す評価値として利用されてもよい。
【0146】
また、第1の位置L1と第2の位置L2との間の距離は、予め一定の値に定められていてもよいが、位置L1におけるエッジ数Venや重心エッジ幅Vewに応じて変更されてもよい。すなわち、合焦位置の推測を適切に行うためにこれらの評価値が示すフォーカスの程度が低いほど、位置L1と位置L2との間の距離が大きく設定されてもよい。
【0147】
<3. 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0148】
例えば、上記実施の形態では、光学系を有する撮像部3と、光学系を制御するカメラ本体部2とが分離可能となっており、カメラ本体部2が光学系に対する制御装置となっているが、光学系と制御系とを一体的に有するデジタルカメラであってもよい。また、光学系と制御装置とをケーブルを用いて接続した構成であってもよい。この場合、制御装置としては汎用のコンピュータが利用されてもよく、コンピュータには光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク等の記録媒体を介して予め光学系制御用のプログラムがインストールされる。
【0149】
撮影準備はシャッタボタン8以外の構成によりAF制御部211aに指示されてもよい。例えば、使用者がファインダ31に目を近づけたことを検出したり、グリップ部4が把持されたことを検出するセンサがAF制御部211aに撮影準備を指示する信号を送出してもよい。シャッタボタン8以外のボタンの操作により発生する信号やセルフタイマー、インターバル撮影の際に利用されるタイマーからの信号により撮影準備が指示されてもよい。このように、撮影直前であることをAF制御部211aに指示することができるのであるならば、様々な構成を撮影準備の指示を行う構成として利用することができる。
【0150】
デジタルカメラ1では、図8に示すようにAF制御部211aにおける処理が、専用の回路による処理とCPUによるソフトウェア的処理とに分担されているが、全てCPUにより実行することも可能である。この場合、プログラムをCPUが実行することにより上記実施の形態にて説明したAF制御の全てが実行されることとなる。逆に、AF制御部211aにおける処理の全てを専用の回路により実現することも可能である。
【0151】
なお、上記実施の形態におけるエッジ検出処理は一例にすぎず、他の手法によりエッジが検出されてもよい。また、上記実施の形態におけるエッジ検出は水平方向に対してのみ行われるが、垂直方向に対してエッジが検出されてもよく、双方向からエッジ検出が行われてもよい。
【0152】
第1の実施の形態では、コントラストを評価値として用いてレンズの駆動方向が決定される。しかしながら、コントラストに代えて重心エッジ幅を用いてレンズの駆動方向を決定することも可能である。この場合、コントラストを用いることなくレンズの駆動方向が決定される。
【0153】
同様に、レンズを合焦位置に正確に合わせる際もコントラストに代えて重心エッジ幅を利用することが可能である。
【0154】
また、エッジに関する評価値としてはさらに他のものも利用可能であり、例えば、基準エッジ幅に近い幅3,4程度のエッジの度数が単純に評価値として利用されてもよく、基準エッジ幅を含む所定のエッジ幅の範囲内におけるエッジの度数が全度数に占める割合を評価値として利用することも可能である。この場合、度数が高いほどフォーカスの程度が高くなる。
【0155】
デジタルカメラ1では、フォーカスレンズの位置を制御することによりAF制御が行われるため、レンズ位置という言葉を用いてAF制御を説明したが、複数のレンズを駆動してAF制御を行う場合であっても上記実施の形態に係るAF制御を利用することができる。すなわち、上記実施の形態におけるレンズ位置は、少なくとも1つのレンズの配置に対応付けることが可能である。
【0156】
また、デジタルカメラ1では、オートフォーカス用の評価値を求めるために黒レベル補正回路206から画像信号を全体制御部211に入力するが、他の部分から全体制御部211に入力されてもよい。撮像のための少なくとも1つのレンズもズームレンズでなくてもよい。
【0157】
上記実施の形態では、エッジ数Venによってオートフォーカス用の評価値の信頼性を評価しAFエリアを拡大しているが、例えば、二つのレンズ位置による評価値を求め、その差分を評価値の信頼性に相当する値として利用することも可能である。この場合、例えば、差分がしきい値を越えない場合にAFエリアが拡大されるようにしてもよい。
【0158】
上記実施の形態では、AFエリア再設定フラグを判定することにより(図18:ステップS302および図29:ステップS502)、一度再設定が行われた後は再度AFエリアの再設定が行われることはないが、任意の回数再設定を行うようにしてもよい。例えば、第1の実施の形態において、ステップS302によりステップS303〜S308がスキップされる際に、AFエリア再設定フラグをOFFに初期化してもよい。
【0159】
また、AFエリア401の拡大率は4倍に限られるものではなく、任意に設定されてよい。
【0160】
上記実施の形態では、連続してエッジ数Venが所定値以下である回数が3回に達した場合にAFエリアがコントラストの低い状態であるとみなしているが、3回に限られるものではなく、任意の回数に設定されてよい。
【0161】
上記実施の形態では、エッジを利用することにより高速なAF制御を実現するため静止画像の取得に特に適しているが、上記実施の形態における様々な技術は動画像の取得に応用することができる。
【0162】
【発明の効果】
請求項1ないし7の発明では、必要に応じて評価領域が拡大されるため、オートフォーカスを適切に行うことができる。また、レンズの第1の位置と第2の位置とにおける評価値並びに基準値からレンズの合焦位置を求めることにより、迅速なオートフォーカスが可能となる。さらに、評価領域を拡大する際に、基準値を変更することにより、より適切なオートフォーカスが可能となる。
【0163】
請求項2の発明では、評価値の信頼性に相当する値としてエッジの数を用い、請求項3の発明では、ヒストグラムの重心エッジ幅を評価値として用いることにより、適切なオートフォーカスが実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】デジタルカメラの正面図である。
【図2】デジタルカメラの背面図である。
【図3】デジタルカメラの側面図である。
【図4】デジタルカメラの底面図である。
【図5】デジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図6】撮像部の内部構成を示す図である。
【図7】デジタルカメラの動作の概略を示す流れ図である。
【図8】AF制御部の構成を示すブロック図である。
【図9】AF制御部の機能構成を示すブロック図である。
【図10】エッジ検出の様子を説明するための図である。
【図11】ヒストグラム生成回路の構成を示すブロック図である。
【図12】ヒストグラム生成の流れを示す図である。
【図13】ヒストグラム生成の流れを示す図である。
【図14】ヒストグラム生成の流れを示す図である。
【図15】AFエリアを示す図である。
【図16】AFエリアの画素配列を示す図である。
【図17】第1の実施の形態におけるAF制御の流れを示す図である。
【図18】第1の実施の形態におけるAF制御の流れを示す図である。
【図19】第1の実施の形態におけるAF制御の流れを示す図である。
【図20】第1の実施の形態におけるAF制御の流れを示す図である。
【図21】ヒストグラムのノイズ除去の流れを示す図である。
【図22】ヒストグラムからノイズ成分を除去する様子を示す図である。
【図23】ヒストグラムからノイズ成分を除去する様子を示す図である。
【図24】レンズ位置とエッジ数との関係を示す図である。
【図25】AFエリアがコントラストの低い位置に設定される例を示す図である。
【図26】AFエリアが拡大された状態を示す図である。
【図27】レンズ位置の変化によるヒストグラムの変化を示す図である。
【図28】レンズ位置と重心エッジ幅との関係を示す図である。
【図29】第2の実施の形態におけるAF制御の流れを示す図である。
【図30】第2の実施の形態におけるAF制御の流れを示す図である。
【図31】第2の実施の形態におけるAF制御の流れを示す図である。
【符号の説明】
1 デジタルカメラ
2 本体部
8 シャッタボタン
91 記録媒体
251 ヒストグラム生成回路
261 CPU
262 ROM
262a プログラム
264 ヒストグラム評価部
265 駆動量決定部
268 制御信号生成部
269 領域設定部
301 ズームレンズ
401,402,403 AFエリア
410,414,431〜433 ヒストグラム
S201〜S206,S301〜S309,S311〜S317,S321,S401〜S404,S501〜S510,S511〜S516,S521 ステップ
Claims (7)
- デジタルデータとして画像を取得する際にフォーカス制御用のレンズを有す光学系を制御する光学系制御装置であって、
画像中に評価領域を設定する領域設定手段と、
前記評価領域中のエッジを検出し、前記エッジの幅からフォーカスの程度を示す評価値を求める演算手段と、
前記評価値に基づいて前記光学系を駆動する制御手段と、
を備え、
前記領域設定手段が前記評価値の信頼性に相当する値に基づいて前記評価領域の拡大の要否を判定し、前記領域設定手段により前記評価領域が拡大された場合に、
前記レンズの合焦位置を求めるための基準値が変更され、
前記演算手段が、拡大された評価領域から前記レンズが第1の位置に位置する際の前記評価値としての第1の評価値、および、前記レンズが第2の位置に位置する際の前記評価値としての第2の評価値を求め、
前記制御手段が、前記第1および第2の評価値、並びに、前記基準値から前記レンズの合焦位置を求めることを特徴とする光学系制御装置。 - 請求項1に記載の光学系制御装置であって、
前記信頼性に相当する値が、前記エッジの数であることを特徴とする光学系制御装置。 - 請求項1または2に記載の光学系制御装置であって、
前記評価値が前記エッジの幅のヒストグラムから求められることを特徴とする光学系制御装置。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載の光学系制御装置であって、
前記評価値が前記エッジの幅の平均値であり、
前記領域設定手段により前記評価領域が拡大された際に、前記基準値が増大されることを特徴とする光学系制御装置。 - デジタルデータとして画像を取得する際にフォーカス制御用のレンズを有す光学系を制御する光学系制御方法であって、
(a) フォーカスの程度を示す評価値の信頼性に相当する値に基づいて、画像中に設定される評価領域の拡大の要否を判定する工程と、
(b) 前記評価領域が拡大された場合に、前記レンズの合焦位置を求めるための基準値を変更する工程と、
(c) 拡大された評価領域からエッジを検出し、前記エッジの幅から前記レンズが第1の位置に位置する際の前記評価値としての第1の評価値、および、前記レンズが第2の位置に位置する際の前記評価値としての第2の評価値を求める工程と、
(d) 前記第1および第2の評価値、並びに、前記基準値から前記レンズの合焦位置を求める工程と、
を有することを特徴とする光学系制御方法。 - デジタルデータとして画像を取得する際に、制御装置にフォーカス制御用のレンズを有す光学系を制御させるプログラムを記録した記録媒体であって、前記プログラムの制御装置による実行は、前記制御装置に、
(a) フォーカスの程度を示す評価値の信頼性に相当する値に基づいて、画像中に設定される評価領域の拡大の要否を判定する工程と、
(b) 前記評価領域が拡大された場合に、前記レンズの合焦位置を求めるための基準値を変更する工程と、
(c) 拡大された評価領域からエッジを検出し、前記エッジの幅から前記レンズが第1の位置に位置する際の前記評価値としての第1の評価値、および、前記レンズが第2の位置に位置する際の前記評価値としての第2の評価値を求める工程と、
(d) 前記第1および第2の評価値、並びに、前記基準値から前記レンズの合焦位置を求める工程と、
を実行させることを特徴とする記録媒体。 - デジタルデータとして画像を取得する撮像装置であって、
請求項1ないし4のいずれかに記載の光学系制御装置、
を備えることを特徴とする撮像装置。
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