JP3555407B2 - エッジ検出方法及びその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像の濃淡から検査対象のエッジ位置を検出するエッジ検出方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のエッジ検出方法としては、例えば、特開平2−96287号公報に記載された方法がある。これは、画像から一般化Hough変換手法に基づいて特定形状の図形を検出する方法である。また、同上と異なる特開平2−171875号公報に記載された方法がある。これは、多値画像のエッジ検出方法である。
【0003】
上記従来例のうち前者の方法は、テレビカメラにて撮像された画像信号を電気信号に変換して入力し、入力した画像を微分して画像内の図形を示すエッジ強度を算出し、算出したエッジ強度情報から一般化Hough変換手法に基づいてこの図形の基準点予想位置を算出する方法である。このHough変換は、エッジを形成する各境界点における法線方向φがφ=φ1のときに、φ=φ1のときインクリメントすべきパラメータ平面上の点の値と、φ=φ1+πのときインクリメントすべきパラメータ平面上の点の値とを共にインクリメントすることによって基準点予想位置を算出し、この基準点予想位置の算出結果による算出値を累積し、この累積値から基準点を検出するものである。
【0004】
したがって、撮像画像であるパラメータ平面において、エッジ点を挟む両側の累積値をインクリメントする構成としているので、同一画像内に背景に対して明るい白図形と暗い黒図形とが混在している場合でも、検出すべき特定の図形に対応した図形を図形の白黒に関わりなく検出できる。
【0005】
また、後者の方法では、メモリに記憶された画像のエッジを求めるための基準点を中心として、N行N列(Nは3以上の奇数)の画素の輝度のうち最下行の輝度の和と最上行の輝度の和との差Yd及び最右列の輝度の和と最左列の輝度の和との差Xdを用い、Yd,Xdを要素とする方向ベクトルの大きさ、つまりYd+Xdの平方根を求め、この方向ベクトルの大きさがあるしきい値以上であれば、エッジが存在するとする。そして、このエッジの検出は、まず3×3画素から始め、これにより求めた方向ベクトルの大きさがしきい値を超えない場合には、Nの数を増加して方向ベクトル大きさを求め直すというものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来のエッジ検出方法のうち前者では、エッジが不明瞭な場合、、例えばエッジ近傍に微少な凹凸がある場合や、エッジ近傍に模様がある場合などにおいて、エッジ近傍の明暗差が小さいために微分絶対値が小さくなり、エッジ位置の検出精度が低くなるいう問題があった。
【0007】
また、後者では、まずある領域の輝度より方向ベクトルを求め、しきい値を超えない場合には、領域を拡大して再び演算を行わなければならない。このため、処理時間が長くなるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記事由に鑑みてなしたもので、その目的とするところは、エッジが不明瞭な場合、例えばエッジ近傍に微少な凹凸がある場合や、エッジ近傍に模様がある場合などにおいて、エッジ近傍の明暗差が小さいために微分絶対値が小さくても、容易に高精度なエッジ位置の検出ができるとともに、しきい値の設定を行わずに処理時間が短くできるエッジ検出方法及びその装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、画像の濃淡から検査対象のエッジ位置を検出するエッジ検出方法において、以下の(A)〜(E)の過程を経てエッジ位置を特定し、エッジ位置を求めることを特徴として構成している。
(A)エッジ2を含む検査対象1を撮像して濃淡画像3を得る画像入力過程。
(B)得られた濃淡画像3内のエッジ2近傍における淡側から濃側へ向かう方向をエッジ方向として、このエッジ方向を特定するエッジ方向特定過程。
(C)エッジ2にまたがる領域に複数の画素4よりなるマスク5を設定し、同マスク5の各画素4ごとの輝度情報に基づく空間微分演算を行う空間微分演算過程。
(D)微分方向コード値が特定されたエッジ方向と一致する画素4aを、エッジ方向と直交する画素列ごとに累積演算した累積値分布を求めるエッジ方向累積演算過程。
(E)エッジ方向累積演算過程で得られた累積値分布の最大値を有する画素列を求め、この画素列位置をエッジ位置とするエッジ位置特定過程。
【0010】
このようなエッジ検出方法では、エッジ2にまたがる領域に設定したマスク5内で、微分方向コード値がエッジ方向と一致する画素4aを、エッジ方向と直交する画素列ごとに累積した累積値分布を求め、この累積値分布からエッジ位置を検出するため、エッジ2の特徴が強調されて検出できる。
【0011】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、エッジ方向累積演算過程において、画素数の累積値分布の画素列間を連続曲線M2で補間し、この連続曲線M2を累積値分布とすることを特徴として構成している。
【0012】
このようなエッジ検出方法では、累積値分布の画素列間を連続曲線M2で補間しているため、連続曲線M2の最大値における画素列間位置を求めるエッジ位置として検出できる。
【0013】
また、請求項3記載の発明は、画像の濃淡から検査対象のエッジ位置を検出するエッジ検出方法において、以下の(A)〜(E)の過程を経てエッジ位置を特定し、エッジ位置を求めることを特徴として構成している。
(A)エッジ2を含む検査対象1を撮像して濃淡画像3を得る画像入力過程。
(B)得られた濃淡画像3内のエッジ2近傍における淡側から濃側へ向かう方向をエッジ方向として、このエッジ方向を特定するエッジ方向特定過程。
(C)エッジ2にまたがる領域に複数の画素4よりなるマスク5を設定し、同マスク5の各画素4ごとの輝度情報に基づく空間微分演算を行う空間微分演算過程。
(D)微分方向コード値がエッジ方向と一致する画素4における空間微分絶対値を、特定されたエッジ方向と直交する画素列ごとに累積した累積値分布を求める微分絶対値累積演算過程。
(E)微分絶対値累積演算過程で得られた累積値分布の最大値を有する画素列を求め、この画素列位置をエッジ位置とするエッジ位置特定過程。
【0014】
このようなエッジ検出方法では、エッジ2にまたがる領域に設定したマスク5内で、微分方向コード値がエッジ方向と一致する画素4における微分絶対値を、エッジ方向と直交する画素列ごとに累積した累積値分布を求め、この累積値分布からエッジ位置を検出するため、微分絶対値で重み付けられてエッジ2の特徴がより強調されて検出できる。
【0015】
また、請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、微分絶対値累積演算過程において、累積値分布の画素列間を連続曲線M4で補間し、この連続曲線M4を累積値分布とすることを特徴として構成している。
【0016】
このようなエッジ検出方法では、累積値分布の画素列間を連続曲線M4で補間しているため、連続曲線M4の最大値における画素列間位置を求めるエッジ位置として検出できる。
【0017】
また、請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、エッジ方向特定過程において、エッジ2にまたがる領域に複数の画素4よりなる方向特定マスク6を設定し、同方向特定マスク6の各画素4ごとの輝度情報に基づいて空間微分演算を行って各画素4の微分方向コード値を求め、この微分方向コード値の同方向特定マスク6内における頻度分布を演算して、この頻度分布の最大微分方向コード値をエッジ方向とすることを特徴として構成している。
【0018】
このようなエッジ検出方法では、エッジ2にまたがる領域に設定された方向特定マスク65内の各画素4の微分方向コード値を検出し、この微分方向コード値の同方向特定マスク65内における頻度分布からエッジ方向を特定している。
【0019】
また、請求項6記載の発明は、画像の濃淡から検査対象のエッジ位置を検出するエッジ検出装置において、エッジ2を含む検査対象1を撮像して濃淡画像3を得る画像入力手段10と、得られた濃淡画像3内のエッジ2近傍における淡側から濃側へ向かう方向をエッジ方向として、このエッジ方向を特定するエッジ方向特定手段と、エッジ2にまたがる領域に複数の画素4よりなるマスク5を設定し、同マスク5の各画素4ごとの輝度情報に基づく空間微分演算を行う空間微分演算手段と、微分方向コード値が特定されたエッジ方向と一致する画素4aをエッジ方向と直交する画素列ごとに累積演算した累積値分布から求めるエッジ方向累積演算手段とを有してなることを特徴として構成している。
【0020】
このようなエッジ検出装置では、空間微分演算を行う手段により、エッジ2にまたがる領域に複数の画素4よりなるマスク5を設定し、同マスク5の各画素4ごとの輝度情報に基づく空間微分演算を行い、累積値分布を求める手段により、微分方向コード値がエッジ方向と一致する画素4aを、エッジ方向と直交する画素列ごとに累積した累積値分布からエッジ位置を検出するため、エッジの特徴が強調されて検出できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態のエッジ検出方法及びその装置を図1乃至図5に基づいて説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態のエッジ検出方法を示す説明図である。
【0023】
図2は、同上のエッジ検出方法に用いるエッジ検出装置の構成を示すブロック図である。
【0024】
図3は、同上の装置における空間微分処理の説明図である。
【0025】
図4は、同上の装置におけるエッジ検出方法のための処理手順を示すフローチャートである。
【0026】
図1〜図4に示すように、このエッジ検出装置は、画像の濃淡から検査対象のエッジ位置を検出するものである。そして、エッジ2を含む検査対象1を撮像して濃淡画像3を得る画像入力手段10と、得られた濃淡画像3内のエッジ2近傍における淡側から濃側へ向かう方向をエッジ方向として、このエッジ方向を特定するエッジ方向特定手段と、エッジ2にまたがる領域に複数の画素4よりなるマスク5を設定し、同マスク5の各画素4ごとの輝度情報に基づく空間微分演算を行う空間微分演算手段と、微分方向コード値が特定されたエッジ方向と一致する画素4aをエッジ方向と直交する画素列ごとに累積演算した累積値分布から求めるエッジ方向累積演算手段とを有している。ここでは、画像入力手段10としてテレビカメラを用い、エッジ方向特定手段、空間微分演算手段及び方向累積演算手段は画像処理装置の中に組み込まれている。
【0027】
この装置におけるエッジ検出方法のための処理は、以下の(A)〜(E)の過程を経て行われる。
(A)エッジ2を含む検査対象1を撮像して濃淡画像3を得る画像入力過程。
(B)得られた濃淡画像3内のエッジ2近傍における淡側から濃側へ向かう方向をエッジ方向として、このエッジ方向を特定するエッジ方向特定過程。
(C)エッジ2にまたがる領域に複数の画素4よりなるマスク5を設定し、同マスク5の各画素4ごとの輝度情報に基づく空間微分演算を行う空間微分演算過程。
(D)微分方向コード値が特定されたエッジ方向と一致する画素4aを、エッジ方向と直交する画素列ごとに累積演算した累積値分布を求めるエッジ方向累積演算過程。
(E)エッジ方向累積演算過程で得られた累積値分布の最大値を有する画素列を求め、この画素列位置をエッジ位置とするエッジ位置特定過程。
【0028】
エッジを含む検査対象1として、ここでは、上面が、水平面1aとこの水平面1aの一端より下り傾斜する傾斜面1bとから形成された板状のものを用いている。一般にエッジとは、濃淡画像において、輝度が急激に変化する部分を指しており、この場合では、この水平面1aと傾斜面1bとの境界部をエッジ2としている。
【0029】
以下、同上の装置を用いてエッジ位置を検出する方法について説明する。
【0030】
まず、画像入力手段による画像入力過程において、検査対象1の上面の真上にテレビカメラを水平に設置している。この濃淡画像3は、水平面1aに相当する画素4では周囲光を全反射して淡く映り、傾斜面1bに相当する画素4では周囲光を一部反射して濃く映る。したがって、この濃淡画像3のエッジ2を境界として片側が淡くもう片側が濃くなる。また、エッジ方向として、ここでは、得られた濃淡画像3内のエッジ2近傍における淡側から濃側へ向かう方向をエッジ方向としている。
【0031】
なお、エッジ2として、ここでは上記の水平面1aと傾斜面1bとの立体物の略直線状の境界線を例示しているが、このようなエッジ2以外でも検出できる。例えば、立体物の角度の異なる面同士の境界線が曲線状のもの、あるいは、白黒の模様が描かれた平面を有する物体の白黒の境界線をエッジとして、このエッジを検出することもできる。
【0032】
次に、エッジ方向特定手段によるエッジ方向特定過程において、検査対象1のエッジ2を直接目視確認して特定する方法や、画像3から特定する方法が挙げられるが、上記のような検査対象1ではエッジ方向が目視で十分確認できるため、目視確認でエッジ方向を特定している。
【0033】
次に、空間微分演算手段による空間微分演算過程において、まず、図3(a)、(b)を用い、3×3画素の局所並列ウインドウを用いて空間微分演算を行う処理について以下に説明する。
【0034】
図3(a)に示すように、注目する画素Eと、この画素Eの周囲の8画素A〜D,F〜Iからなる3×3画素の局所並列ウインドウWを入力した濃淡画像に設定する。ここで、A〜Iは各画素の濃度値である。上記画素Eの縦方向・横方向の濃度変化を各々ΔV,ΔHとすると、
【0035】
ΔV=(A+B+C)−(G+H+I) ・・・(1)
ΔH=(A+D+G)−(C+F+I) ・・・(2)
となる。この画素Eの微分絶対値|e|は、
|e|=(ΔV+ΔH1/2 ・・・(3)
となる。また、画素Eの微分絶対方向値∠eは、
∠e=tan−1(ΔV/ΔH+π/2) ・・・(4)
となる。
【0036】
つまり、画素Eを中心とする周囲の8画素のデータを同時に取り出し、上記演算を行い、その結果を画素Eのデータとする。
【0037】
以上の計算を例えば256×256画素の全画面について行うことによって、画面内の物体の輪郭や欠陥などの濃度変化の大きい部分と、その変化の方向を抽出することができる。なお、図3(b)に示すように、微分方向は、例えば8方向でコード化されて、微分方向コード値Cが、
【0038】
1≦C≦8 (Cは整数)
で表される。すなわち、この微分方向コード値Cと微分方向との対応は、中心点Oより45度の均等角度の放射状の各矢印a1〜a8を設定し、中心点Oより真上方向の矢印a1を微分方向コード値C=1の方向とする。そして、この中心点Oより反時計回りの矢印a2〜a8順に各々微分方向コード値C=2〜C=8に対応する方向とする。さらに、(4)式で求めた微分絶対方向値∠eの方向に近い角度の微分方向コードに振り分け、各画素における微分方向コード値を決定する。
【0039】
さらに、エッジ方向累積演算手段によるエッジ方向累積演算過程において、図1(a)に示すように、この手段により、エッジ2にまたがる領域に設定されたエッジ2を中心とするm×n画素からなるマスク5において、微分方向コードがエッジ方向と一致する画素4aを抽出し、この画素4aをエッジに沿う方向の画素列ごとに累積していく。
【0040】
ここでは、マスク5を9×9画素から構成された正方形状の領域としている。図中、○印が付与された画素が、微分方向コードがエッジ方向と一致する画素4aであり、○印が付与されていない画素が、微分方向コードがエッジ方向と一致しない画素4bである。図中、マスク5内エッジ左側の白色部分20が、検査対象1の水平面1aに相当し、エッジ右側の黒色部分23が傾斜面1bに相当している。この白色部分20と黒色部分23との境界がエッジ2であり、境界近傍の白色部分側から淡灰色、濃灰色の順に濃度が変化している。この淡灰色部分21又は濃灰色部分22では、輝度が急激に変化しているため、微分方向コードがエッジ方向と一致する画素4aが多いが、エッジ2から遠ざかるにつれて、輝度変化が小さく微分方向コードがエッジ方向と一致する画素4aが少ない。なお、この白色部分20又は黒色部分23では、表面の微妙な凹凸や表面色の違いなどにより、偶然に、微分方向コードがエッジ方向と一致する画素4aが見られる。(図中矢印bで示された画素)
【0041】
そして、エッジ2に沿う方向(図中Y方向)の9個の画素4からなる画素列に対して、この画素列内での微分方向コードがエッジ方向と一致する画素数を累積する。この画素列はエッジ方向(図中X方向)に9列が並列し、各画素列において、上記の累積を行う。このマスク5の各画素列のX座標を左側からL1〜L9としている。そして、図1(b)に示すように、X軸に画素列のX座標をとり、Y軸に累積された画素列ごとの画素数をとって累積値分布を求める。
【0042】
そして、エッジ位置特定過程において、この累積値分布における最大値を有する画素列の位置を、求めるエッジ2の位置とする。この場合、X座標L5の画素列の累積画素数が8個で最大となり、X座標L5が求めるエッジ2の位置である。
【0043】
このようなエッジ検出方法及びその装置では、エッジ2にまたがる領域に設定したマスク5内で、微分方向コード値がエッジ方向と一致する画素4aを、エッジ方向と直交する画素列ごとに累積した累積値分布を求め、この累積値分布からエッジ位置を検出するため、エッジ2の特徴が強調されて高精度に検出できる。
【0044】
図5は、同上と異なるエッジ検出方法を示す説明図である。
【0045】
図5に示すように、このエッジ検出方法は、図4に示す処理手順と略同様の処理手順で行われる。異なる点は、エッジ方向累積演算過程において、画素数の累積値分布の画素列間を連続曲線M2で補間し、新たにこの連続曲線M2をエッジ検出に用いる累積値分布としていることである。画素数の累積値分布から累積値を滑らかに変化する連続曲線M2で近似し、この連続曲線M2の最大値を有する画素列間の位置(X座標LP)をエッジ位置としている。それ以外の処理手順は図4に示す処理手順と同等である。
【0046】
このようなエッジ検出方法では、図1の処理で、画素列L5をエッジ位置としたのに対し、画素列L4と画素列L5との間にエッジ位置が特定され、よりエッジ位置の検出精度が向上している。すなわち、画素列のX座標とエッジのX座標とは、必ずしも一致することなく、累積値分布の画素列間を連続曲線M2で補間されてより高精度に検出できる。
【0047】
図6は、同上と異なるエッジ検出方法を示す説明図である。
【0048】
図6に示すように、このエッジ検出方法は、図4に示す処理手順と略同様の処理手順で行われる。異なる点は、エッジ方向累積演算過程において、微分方向コード値がエッジ方向と一致する画素数を累積するのではなく、微分方向コード値がエッジ方向と一致する画素における微分絶対値を、エッジ方向と直交する画素列ごとに累積して累積値分布を求めていることである。すなわち、内部に数字が記載されている画素が微分方向コード値がエッジ方向と一致する画素4aであり、その数字が各画素4aにおける微分絶対値を示している。この微分絶対値は(3)式で計算される。
【0049】
こうして、マスク5内における各画素4の微分絶対値を明確にした上で、エッジ2に沿う方向の画素列ごとに微分絶対値を累積した累積値分布を求める。そして、この累積値分布における最大値を有する画素列の位置を、求めるエッジ2の位置とする。この例では、画素列L5が最大累積値を有しているため、この画素列L5の位置がエッジ位置である。
【0050】
このようなエッジ検出方法では、エッジ2にまたがる領域に設定したマスク5内で、微分方向コード値がエッジ方向と一致する画素4における微分絶対値を、エッジ方向と直交する画素列ごとに累積した累積値分布を求め、この累積値分布からエッジ位置を検出するため、微分絶対値で重み付けられてエッジ2の特徴がより強調されてより高精度に検出できる。
【0051】
図7は、同上と異なるエッジ検出方法を示す説明図である。
【0052】
図7に示すように、このエッジ検出方法は、図6に示す処理手順と略同様の処理手順で行われる。異なる点は、エッジ方向累積演算過程において、微分絶対値の累積値分布の画素列間を連続曲線M4で補間し、新たにこの連続曲線M4をエッジ検出に用いる累積値分布としていることである。微分絶対値の累積値分布から累積値を滑らかに変化する連続曲線M4で近似し、この連続曲線M4の最大値を有する画素列間の位置であるX座標LQをエッジ位置としている。それ以外の処理手順は図6に示す処理手順と同等である。
【0053】
このようなエッジ検出方法では、累積値分布の画素列間を連続曲線M4で補間しているため、より高精度に検出できる。
【0054】
図8は、同上のエッジ検出方法におけるエッジ方向検出方法の一例を示す説明図である。
【0055】
図8(a)に示すように、エッジ方向検出過程において、エッジ2にまたがる領域に複数の画素よりなる方向特定マスク6を設定し、同方向特定マスク6の各画素4ごとの輝度情報に基づいて空間微分演算を行い、各画素4の微分方向コード値を検出し、この微分方向コード値の同方向特定マスク6内における頻度分布を求め、この頻度分布の最大微分方向コード値をエッジ方向としている。
【0056】
方向特定マスク6を例えば9×9画素の正方形状に設定し、各画素4の微分方向コード値を(4)式を用いて計算する。図中、エッジ2は帯状の淡灰色部分21又は濃灰色部分22に方向に沿う方向に形成されており、このエッジ2近傍の画素では、エッジ方向と一致する特定の微分方向コード値(この場合の微分方向コード値C=6)を示している。それ以外の白色部分20又は黒色部分23における画素4の微分方向コード値は、表面の微妙な凹凸や表面色の違いなどにより、ランダムな値を示している。
【0057】
そして、図8(b)に示すように、この方向特定マスク6内での微分方向コード値の頻度分布を横軸に微分方向コード値をとり、縦軸に微分方向コード値の頻度をとってグラフ化する。この頻度分布の最大値を有する微分方向コード値(C=6)を、求めるエッジ方向として特定する。
【0058】
このようなエッジ検出方法では、エッジ2にまたがる領域に設定された方向特定マスク6内の各画素4の微分方向コード値を検出し、この微分方向コード値の同方向特定マスク6内における頻度分布からエッジ方向を特定しているため、エッジが目視で特定できない場合においてもエッジ方向を特定できる。
【0059】
【発明の効果】
請求項1記載の発明では、エッジにまたがる領域に設定したマスク内で、微分方向コード値がエッジ方向と一致する画素を、エッジ方向と直交する画素列ごとに累積した累積値分布からエッジ位置を検出するため、特に、エッジ近傍領域での微分方向値のばらつきが大きい場合や、微分方向値が小さい場合などのエッジの不明瞭なときに、エッジの特徴が強調され容易に高精度なエッジ位置検出ができる。また、しきい値を設定して比較検討処理を行っていないため処理時間が短くできる。
【0060】
また、請求項2記載の発明では、累積値分布の画素列間を連続曲線で補間しているため、より高精度に検出できる。
【0061】
また、請求項3記載の発明では、エッジにまたがる領域に設定したマスク内で、各画素における微分絶対値を、エッジ方向と直交する画素列ごとに累積した累積値分布を求め、この累積値分布からエッジ位置を検出するため、特に、エッジ近傍領域での微分方向値のばらつきが大きい場合や、微分方向値が小さい場合などのエッジの不明瞭なときに、微分絶対値で重み付けられてエッジの特徴がより強調され、より高精度に検出できる。
【0062】
また、請求項4記載の発明では、累積値分布の画素列間を連続曲線で補間しているため、より高精度に検出できる。
【0063】
また、請求項5記載の発明では、エッジにまたがる領域に設定された方向特定マスク6内の各画素の微分方向コード値を検出し、この微分方向コード値の同方向特定マスク6内における頻度分布からエッジの方向を特定しているため、エッジの方向を目視確認できない場合や、エッジの方向がランダムに変化する場合などに、エッジの方向を特定できる。
【0064】
また、請求項6記載の発明では、空間微分演算を行う手段により、エッジにまたがる領域に複数の画素よりなるマスクを設定し、同マスクの各画素ごとの輝度情報に基づく空間微分演算を行い、累積値分布を求める手段により、微分方向コード値がエッジ方向と一致する画素を、エッジ方向と直交する画素列ごとに累積した累積値分布からエッジ位置を検出するため、特に、エッジ近傍領域での微分方向値のばらつきが大きい場合や、微分方向値が小さい場合などのエッジの不明瞭なときに、エッジの特徴が強調され容易に高精度なエッジ位置検出ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態のエッジ検出方法を示す説明図である。
【図2】同上のエッジ検出方法に用いるエッジ検出装置の構成を示すブロック図である。
【図3】同上の装置における空間微分処理の説明図である。
【図4】同上の装置におけるエッジ検出方法のための処理手順を示すフローチャートである。
【図5】同上と異なるエッジ検出方法を示す説明図である。
【図6】同上と異なるエッジ検出方法を示す説明図である。
【図7】同上と異なるエッジ検出方法を示す説明図である。
【図8】同上のエッジ検出方法におけるエッジ方向検出方法の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 検査対象
1a 水平面
1b 傾斜面
2 エッジ
3 濃淡画像
4 画素
4a 微分方向コード値がエッジ方向と一致する画素
4b 微分方向コード値がエッジ方向と一致しない画素
5 マスク
6 方向特定マスク
10 画像入力手段
20 白色部分
21 淡灰色部分
22 濃灰色部分
23 黒色部分

Claims (6)

  1. 画像の濃淡から検査対象のエッジ位置を検出するエッジ検出方法において、以下の(A)〜(E)の過程を経てエッジ位置を特定し、エッジ位置を求めることを特徴とするエッジ検出方法。
    (A)エッジを含む検査対象を撮像して濃淡画像を得る画像入力過程。
    (B)得られた濃淡画像内のエッジ近傍の淡側から濃側へ向かう方向をエッジ方向として、このエッジ方向を特定するエッジ方向特定過程。
    (C)エッジにまたがる領域に複数の画素よりなるマスクを設定し、同マスクの各画素ごとの輝度情報に基づく空間微分演算を行う空間微分演算過程。
    (D)微分方向コード値が特定されたエッジ方向と一致する画素を、エッジ方向と直交する画素列ごとに累積演算した累積値分布を求めるエッジ方向累積演算過程。
    (E)エッジ方向累積演算過程で得られた累積値分布の最大値を有する画素列を求め、この画素列位置をエッジ位置とするエッジ位置特定過程。
  2. エッジ方向累積演算過程において、画素数の累積値分布の画素列間を連続曲線で補間し、この連続曲線を累積値分布とすることを特徴とする請求項1記載のエッジ検出方法。
  3. 画像の濃淡から検査対象のエッジ位置を検出するエッジ検出方法において、以下の(A)〜(E)の過程を経てエッジ位置を特定し、エッジ位置を求めることを特徴とするエッジ検出方法。
    (A)エッジを含む検査対象を撮像して濃淡画像を得る画像入力過程。
    (B)得られた濃淡画像内のエッジ近傍における淡側から濃側へ向かう方向をエッジ方向として、このエッジ方向を特定するエッジ方向特定過程。
    (C)エッジにまたがる領域に複数の画素よりなるマスクを設定し、同マスクの各画素ごとの輝度情報に基づく空間微分演算を行う空間微分演算過程。
    (D)微分方向コード値がエッジ方向と一致する画素における空間微分絶対値を、特定されたエッジ方向と直交する画素列ごとに累積した累積値分布を求める微分絶対値累積演算過程。
    (E)微分絶対値累積演算過程で得られた累積値分布の最大値を有する画素列を求め、この画素列位置をエッジ位置とするエッジ位置特定過程。
  4. 微分絶対値累積演算過程において、累積値分布の画素列間を連続曲線で補間し、この連続曲線を累積値分布とすることを特徴とする請求項3記載のエッジ検出方法。
  5. エッジ方向特定過程において、エッジにまたがる領域に複数の画素よりなる方向特定マスク6を設定し、同方向特定マスク6の各画素ごとの輝度情報に基づいて空間微分演算を行って各画素の微分方向コード値を求め、この微分方向コード値の同方向特定マスク6内における頻度分布を演算して、この頻度分布の最大微分方向コード値をエッジ方向とすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のエッジ検出方法。
  6. 画像の濃淡から検査対象のエッジ位置を検出するエッジ検出装置において、エッジを含む検査対象を撮像して濃淡画像を得る画像入力手段と、得られた濃淡画像内のエッジ近傍における淡側から濃側へ向かう方向をエッジ方向として、このエッジ方向を特定するエッジ方向特定手段と、エッジにまたがる領域に複数の画素よりなるマスクを設定し、同マスクの各画素ごとの輝度情報に基づく空間微分演算を行う空間微分演算手段と、微分方向コード値が特定されたエッジ方向と一致する画素をエッジ方向と直交する画素列ごとに累積演算した累積値分布から求めるエッジ方向累積演算手段とを有してなることを特徴とするエッジ検出装置。
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