JP3555357B2 - インバータ装置の直流ブレーキにおける制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インバータ装置の直流ブレーキにおけ制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インバータ装置は図1に示すように順変換用のダイオードブリッジ2及び平滑コンデンサ3と、スイッチング素子にIGBT素子又はバイポーラトランジスタを用いモータ6に出力する三相インバータ4及びその制御回路5等で構成されている。
【0003】
インバータ装置における直流ブレーキ制動は、モータ停止直前(極低周波運転後)図6に示すように、インバータ4からモータ6にステップパルス状の直流電圧を印加し、モータの回転を停止する目的で使用する。この際、印加される電圧及び印加時間はユーザによりパラメータ変数としてユーザ変数入力回路9から制御回路5に与えられる(図1)。この印加される電圧の相は、インバータ停止時の相によって決められ、基本的にはランダムな相に直流ブレーキ電圧が印加される。これにより、モータ内の決まった巻線のみに電圧が印加されるのを防止している。
【0004】
また、通常図1に示すように、インバータ装置の出力ラインには二相の電流検出器7,8が設置されており、ランダムに印加される出力電圧(電流)を監視し、モータの過負荷検出及びインバータ装置の過電流を防止している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
低コスト型インバータ装置においては、出力電流検出器は一相のみ設置する場合が多い。この際の出力電流検出は、一相分の電流検出値から推定して他の二相電流値を求める方式をとっている。この方式において、電流検出器の設置されていない相に電圧が印加された場合には、正確な電流値が得られず、十分なモータ保護をとることができない。
【0006】
また、この電流検出方式は、図7に示すように、60°毎の0ベクトル位置での電流i1〜i6を、1週期分電流データとして取り込み、i1,i3,i5を0°における三相分の電流値とし、同様に、i2,i4,i6を0°における三相分の電流値として、(1)式を演算して実効値I1rmsを検出している。
【0007】
【数1】
【0008】
この電流検出方式は、極低周波領では電流検出周期が長くなり(0.5Hzでは1データを得るのに約2sec必要となる。)、直流ブレーキ制動の際に応答の良い制御を行うことができない。
【0009】
本発明は、従来のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、一相のみ電流検出器の設置されたインバータ装置において、直流ブレーキ時の電流を検出でき、またこれにより印加ブレーキ電圧制御が確実にできるインバータ装置の直流ブレーキにおける制御方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1は、三相インバータの出力側の一相のみに電流検出器を設け、この電流検出器による検出電流に基づいて交流のモータに直流電流を流すよう構成されたインバータ装置の直流ブレーキにおける制御方法であって、
直流ブレーキ時に、前記電流検出器に流れる相電流が正又は負の最大となる時点でのみ印加直流電圧が出力するように直流ブレーキの直流電圧印加パターンを固定して直流ブレーキをかけて電流検出器で相電流の最大電流値を検出し、この電流値で直流ブレーキの印加直流電圧を制御することを特徴とするものである。
【0011】
本発明の第2は、三相インバータの出力側の一相のみに電流検出器を設け、この電流検出器による検出電流に基づいて交流のモータに直流電流を流すよう構成されたインバータ装置の直流ブレーキにおける制御方法であって、
直流ブレーキ時に、前記電流検出器に流れる相電流が正又は負の最大となる時点でのみ印加直流電圧が出力するように直流ブレーキの直流電圧印加パターンを固定して直流ブレーキをかけて電流検出器で相電流の最大電流値を検出し、この電流値で直流ブレーキの印加直流電圧を制御すると共に、前記電流検出器による検出電流値と直流ブレーキ印加電圧 指令値と電流保護レベル設定値から最大印加可能電圧を求め、検出電流値が電流保護レベル設定値を超えた場合、直流ブレーキ印加電圧指令値を前記最大印加可能電圧で制限することを特徴とするものである。
【0012】
本発明の第3は、三相インバータの出力側の一相のみに電流検出器を設け、この電流検出器による検出電流に基づいて交流のモータに直流電流を流すよう構成されたインバータ装置の直流ブレーキにおける制御方法であって、
直流ブレーキ時に前記電流検出器から出力される60°毎の1週期分の電流をインバータPWM制御用の搬送波信号の最大時点で同期サンプルし、この電流の瞬時値を検出電流値として直流ブレーキの印加直流電圧を制御すると共に、前記電流検出器による検出電流値と直流ブレーキ印加電圧指令値と電流保護レベル設定値から最大印加可能電圧を求め、検出電流値が電流保護レベル設定値を超えた場合、直流ブレーキ印加電圧指令値を前記最大印加可能電圧で制限することを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
実施の形態1
図1に示すように、一相のみ電流検出器が設置されているインバータ装置において、直流ブレーキ制動電圧を印加する相が、従来図2に示すa〜fの6つのポイントでランダムに印加されていたのを、この発明では、電流検出器7が設置されたU相に必ず最大電流が流れるように図2のb又はeのポイントのみで直流制動電圧を印加して電流検出器7でb又はeのポイントに流れる最大電流を検出する。
【0014】
この場合、インバータの直流電圧印加パターンを固定化することにより、確実に最大電流を検出することができる。また、この検出電流Ibrkを制御回路5にフィードバックすることで、印加ブレーキ電圧の制御が可能になりブレーキ時における過電流を抑制することができる。
【0015】
図3に上記b又はeのポイントで直流ブレーキ制動を実施した場合のU相の電圧,電流波形を示す。
【0016】
実施の形態2
図1のインバータ装置において、直流ブレーキ制動中、電流検出周期をキャリア周波数周期とし、電流検出器5から出力される60°毎の1週分の電流を図4に示すようにキャリア周波数信号fのピーク点(点線で示す3角波の0印点)で同期サンプルし、検出周期を短くして瞬時値を出力電流として取り扱う。
【0017】
この電流値はキャリア周波数周期のサンプル電流であるから、60°毎1週期のサンプル電流に比し、低周波領域での電流検出が高速化され、応答の良い電流検出が得られる。
【0018】
実施の形態3
上記実施の形態1又は2で検出した直流ブレーキ制動時の検出電流値とユーザ変数である直流ブレーキ印加電圧設定値とから、モータ内部直流抵抗分を推定し、最大印加可能電圧Vmaxを算出し、検出電流が保護上規定されたレベルILMTを超えた場合には直流ブレーキ印加電圧設定を最大印加可能電圧レベルに自動的に制限する。
【0019】
この制御は制御回路5(図1)において図5のフローで行う。まず、101で制御電圧指令値Vbrkと検出電流値Ibrkを処理のためメモリに移し、102で電流保護レベル設定値ILMTと制御電圧指令値Vbrk及び検出電流値Ibrkから最大印加可能電圧Vmaxを求め、103でユーザ設定値VSで制動電圧指令値を設定し、104でIbrk>ILMTの判断を行い、その結果がNであれば、103のユーザ設定値VSによる制動電圧指令値Vbrkで、Yであれば105でこの制動電圧指令値を最大印加可能電圧Vmaxで制限する。
【0020】
この実施の形態によれば、電流検出値により直流ブレーキ印加電圧を過電流とならないように制御することができるので、過大な設定によるモータの過負荷,インバータの過電流トリップの発生を抑制できる。
【0021】
【発明の効果】
本発明は、上述のように構成されているので、次に記載する効果を奏する。
【0022】
(1)一相のみ電流検出器の設置されたインバータ装置において、直流電圧印加パターンを固定化することにより、確実に最大電流を検出することができる。
【0023】
(2)60°毎1週期サンプルの電流からキャリア周波数同期サンプルの電流とすることで、低周波領域での電流検出が高速化され、応答のよい電流検出ができる。
【0024】
(3)電流検出値により直流ブレーキ印加電圧を制御することにより、過大な設定によるモータの過負荷,インバータの過電流トリップの発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】直流ブレーキを備えたインバータ装置の構成を示すブロック図。
【図2】実施の形態1を説明するモータ停止直前の極低周波運転電流波図。
【図3】制動中の電流波形と電圧波形を示す波形図。
【図4】実施の形態2を説明する電流波形とキャリア周波数信号波形を示す波形図。
【図5】実施の形態3にかかる直流ブレーキ印加電圧設定を最大印加可能電圧レベルに自動制限する処理フロー図。
【図6】直流ブレーキ電圧と時間を示すグラフ。
【図7】従来例にかかる一相電流検出による実行値サンプルを説明する波形図。
【符号の説明】
4…インバータ
5…制御回路
6…モータ
7,8…電流検出器
9…ユーザ変数入力装置
Ibrk…電流検出値
ILMT…電流保護レベル設定値
VS…制動電圧設定値(ユーザ設定値)
Vbrk…制動電圧指令値
Vmax…最大印加可能電圧。
Claims (3)
- 三相インバータの出力側の一相のみに電流検出器を設け、この電流検出器による検出電流に基づいて交流のモータに直流電流を流すよう構成されたインバータ装置の直流ブレーキにおける制御方法であって、
直流ブレーキ時に、前記電流検出器に流れる相電流が正又は負の最大となる時点でのみ印加直流電圧が出力するように直流ブレーキの直流電圧印加パターンを固定して直流ブレーキをかけて電流検出器で相電流の最大電流値を検出し、この電流値で直流ブレーキの印加直流電圧を制御することを特徴とするインバータ装置の直流ブレーキにおける制御方法。 - 三相インバータの出力側の一相のみに電流検出器を設け、この電流検出器による検出電流に基づいて交流のモータに直流電流を流すよう構成されたインバータ装置の直流ブレーキにおける制御方法であって、
直流ブレーキ時に、前記電流検出器に流れる相電流が正又は負の最大となる時点でのみ印加直流電圧が出力するように直流ブレーキの直流電圧印加パターンを固定して直流ブレーキをかけて電流検出器で相電流の最大電流値を検出し、この電流値で直流ブレーキの印加直流電圧を制御すると共に、前記電流検出器による検出電流値と直流ブレーキ印加電圧指令値と電流保護レベル設定値から最大印加可能電圧を求め、検出電流値が電流保護レベル設定値を超えた場合、直流ブレーキ印加電圧指令値を前記最大印加可能電圧で制限することを特徴とするインバータ装置の直流ブレーキにおける制御方法。 - 三相インバータの出力側の一相のみに電流検出器を設け、この電流検出器による検出電流に基づいて交流のモータに直流電流を流すよう構成されたインバータ装置の直流ブレーキにおける制御方法であって、
直流ブレーキ時に前記電流検出器から出力される60°毎の1週期分の電流をインバータPWM制御用の搬送波信号の最大時点で同期サンプルし、この電流の瞬時値を検出電流値として直流ブレーキの印加直流電圧を制御すると共に、前記電流検出器による検出電流値と直流ブレーキ印加電圧指令値と電流保護レベル設定値から最大印加可能電圧を求め、検出電流値が電流保護レベル設定値を超えた場合、直流ブレーキ印加電圧指令値を前記最大印加可能電圧で制限することを特徴とするインバータ装置の直流ブレーキにおける制御方法。
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JP28784396A JP3555357B2 (ja) | 1996-10-30 | 1996-10-30 | インバータ装置の直流ブレーキにおける制御方法 |
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