JP3554906B2 - ポリプロピレンシート - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、印刷を施すことにより合板や他の基材の表面化粧シート等として使用されるポリプロピレンシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の化粧合板は、その表面の化粧シートとして、印刷を施したポリ塩化ビニルシートを使用している。けれども、ポリ塩化ビニルシートは、焼却時に有毒な塩化水素ガスを発生するため、環境保全に悪影響を与えるという問題があり、また、多量に配合した可塑剤が滲出するという問題もある。
【0003】
このため最近では、ポリ塩化ビニルシートに代わるものとして、ハロゲン元素や可塑剤を含まないポリプロピレンシートを使用することが考えられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ポリプロピレンシートを化粧合板等の表面化粧シートとして用いる場合には、ポリプロピレンシートに隠蔽性を付与して合板が見えないようにし、表面の印刷を明瞭に視認できるようにする必要がある。また、ポリプロピレンシートは耐候性に劣るため、耐候性を向上させることも必要となる。
【0005】
前者の隠蔽性付与の手段としては、酸化チタン等の無機粉末をポリプロピレンシートに含有させることが考えられ、後者の耐候性向上の手段としては、光安定剤を含有させることが考えられる。しかしながら、ポリプロピレンシートに無機粉末と光安定剤を含有させると、以下に述べるように、隠蔽性は付与できても耐候性を向上させることは難しいという問題があった。
【0006】
即ち、シート中に無機粉末が含有されていると、紫外線によるポリプロピレンの劣化が該粉末の周辺で僅かに起こっただけでも、そこを起点として亀裂が入るように破断するため、光安定剤が含有されていても殆ど効果がないという問題があった。
【0007】
その他に無機粉末を含有させ不透明にすることでポリプロピレン内部への紫外線の侵入を防止して耐候性を改良することも考えられるが、表面化粧シートの如き500μm以下の厚さではその効果が発揮できず、やはり耐候性に劣っていた。
【0008】
このように隠蔽性と耐候性を兼ね備えたポリプロピレンシートは未だ開発されていないのが実情であり、その早期開発が強く望まれている。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、隠蔽性と耐候性を兼ね備えたポリプロピレンシートを提供することを主たる目的とする。そして望ましくは、良好な曲げ加工性をも兼ね備え、曲げストレスによる白化現象を殆ど生じないポリプロピレンシートを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のポリプロピレンシートは、無機粉末を1〜10重量%含んだポリプロピレンよりなる厚さ50〜200μmの基層の表面に、光安定剤を含み無機粉末を実質的に含まないポリプロピレンよりなる厚さ5〜100μmの透光性の表面層であって且つその上に印刷が施される表面層を積層一体化したことを特徴としている。
【0011】
そして望ましくは、少なくとも基層を構成するポリプロピレンとして、オレフィン樹脂を含有させたポリプロピレン、或はエチレン−プロピレン共重合体又はエチレン−ブテン1−プロピレン三元共重合体を使用し、更に望ましくは熱可塑性エラストマーを含ませたものである。
【0012】
【作用】
本発明のポリプロピレンシートは、基層が無機粉末を含むため不透明であり、隠蔽性を有する。従って、本発明のシートの表面に印刷を施して合板等にラミネートすると、不透明な基層によって合板等が隠蔽されるので、表面の印刷を明瞭に視認することができる。
【0013】
また、本発明のシートは、透光性の表面層が光安定剤を含むため、紫外線が表面層でカットされて基層に入射することが殆どない。そのため、基層に光安定剤が含まれていなくても、基層のポリプロピレンが紫外線によって劣化する心配はない。しかも、この表面層は無機粉末を実質的に含まないので、紫外線によって表面層のポリプロピレンが僅かに劣化した程度では、亀裂や破断を生じることがない。既述したように無機粉末が含まれていると、該粉末の周辺でポリプロピレンが僅かに劣化しただけで、そこを起点として亀裂や破断を生じるが、本発明シートの表面層は、そのような亀裂や破断の発生原因となる無機粉末を含まないので、ポリプロピレンが僅かに劣化した程度では亀裂や破断を生じない。このように、本発明のシートは、紫外線が基層のポリプロピレンにまで達しないので基層が劣化せず、しかも表面層のポリプロピレンが僅かに劣化した程度では亀裂や破断を生じないので、耐候性が良好である。
【0014】
また、本発明のシートは、基層も表面層もポリプロピレンよりなるものであるから、両層の密着性が良好であり、層間剥離を生じる心配もない。
【0015】
本発明のシートにおいて、少なくとも基層を構成するポリプロピレンがオレフィン樹脂を含有したポリプロピレン、或はエチレン−プロピレン共重合体又はエチレン−ブテン1−プロピレン三元共重合体であると、プロピレンのホモポリマーを使用する場合に比べて柔軟性や伸びが向上する。そのため、シートを折曲げるときに曲げストレスが加わっても、容易に伸び変形してストレスを吸収することができるので、曲げストレスによるシートの白化現象が生じにくくなる。特に熱可塑性エラストマーが含有されていると、柔軟性や伸びが一層向上するため、白化現象をほぼ確実に防止することが可能となる。
【0016】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0017】
図1は本発明のポリプロピレンシートの一実施例を示す概略断面図であって、図示のように、このシートは基層1の表面に透光性の表面層2を積層一体化した二層構造をしている。基層1は、無機粉末3を含んだポリプロピレンよりなる不透明の層であり、表面層2は、光安定剤(不図示)を含み無機粉末を実質的に含まないポリプロピレンよりなる透光性の層である。
【0018】
基層1及び表面層2を構成するポリプロピレンとしては、プロピレンのホモポリマー、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン1−プロピレン三元共重合体、或はこれらのポリプロピレンに他のオレフィン樹脂を混合して含有させたものなど、種々のタイプのポリプロピレンを使用できるが、この中では、柔軟性や伸びが良好なエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン1−プロピレン三元共重合体、若しくはホモポリマーにポリエチレンやポリブテン等のオレフィン樹脂を1〜10重量%混合したものが好ましく使用される。特に、無機粉末3を含む基層1は、無機粉末を含まない表面層2よりも脆弱で、曲げストレスが加わったときに白化しやすいため、上記の共重合体を使用したりオレフィン樹脂を含有させて柔軟性や伸びを向上させることが望ましく、更に熱可塑性エラストマーを配合して柔軟性や伸びを一層向上させることが極めて望ましい。このように基層1の柔軟性や伸びを向上させると、曲げストレスが加わったときに容易に伸び変形してストレスを吸収できるので、曲げストレスによる白化現象が生じにくくなり、特に熱可塑性エラストマーが配合されている場合は、白化現象をほぼ確実に防止することが可能となる。また、化粧シートとして利用する際にも合板等の表面の凹凸に追従でき、貼付が容易となる。
【0019】
上記のエチレン−プロピレン共重合体はエチレンを1〜5重量%程度含むものが好適であり、ブロック共重合体よりもランダム共重合体の方が好ましい。また上記のエチレン−ブテン1−プロピレン三元共重合体は、エチレンを1〜5重量%程度、ブテン1を1〜5重量%程度含むものが好適である。
【0020】
ポリプロピレンに配合する熱可塑性エラストマーとしては、ポリプロピレンとの相溶性があるスチレン系エラストマー(スチレン−ブタジエン系、スチレン−イソプロピレン系、スチレン−エチレン−ブチレン系等)、オレフィン系エラストマー(エチレン−プロピレンゴム系、エチレン−プロピレンターポリマー系等)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体などが好適に使用される。
【0021】
熱可塑性エラストマーの配合割合は1〜40重量%程度あり、好ましくは3〜10重量%程度である。1重量%より少ない場合は柔軟性や伸びの向上効果が殆ど期待できず、40重量%より多くなるとポリプロピレン本来の物性が損なわれるといった不都合を生じる。
【0022】
基層1に含有させる無機粉末3としては、酸化チタン、タルク、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、合成シリカ等の粉末が使用される。これらの無機粉末の中でも酸化チタンが隠蔽性に優れていて好ましく用いられる。この無機粉末3は、主に基層1を不透明にして隠蔽性を付与するために配合するものであるから、その配合割合は1〜10重量%程度、好ましくは2〜6重量%程度である。1重量%より少ない場合は、基層1の不透明化が不充分となる恐れがあり、10重量%より多くなると、基層1が脆弱になるといった不都合を生じる。その他に無機粉末3を含有させることにより、艶消し作用の付与やインキ適性の付与やブロッキング防止等、表面化粧シートに必要な特性をポリプロピレンシートに付与できる。
【0023】
一方、表面層2に含有させる光安定剤としては、紫外線を吸収するベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系などの紫外線吸収剤や、ラジカルを捕捉してポリプロピレンの分解を抑制するHALS(ヒンダードアミン系光安定剤)などが使用される。この光安定剤の配合割合は0.05〜3重量%程度が適当であり、好ましくは0.2〜1重量%程度である。0.05重量%より少ない場合は、紫外線のカットが不充分となるため、基層1のポリプロピレンを紫外線劣化から守ることが困難となり また、3重量%より多く配合しても、紫外線のカット能力があまり変わらないので材料の無駄使いとなるだけである。紫外線吸収剤やHALSは単独で使用してもよく、両者を併用してもよいが、併用する場合は紫外線吸収剤とHALSの割合を重量比で1:99〜99:1、好ましくは1:5〜5:1の範囲内とするのがよい。なお、光安定剤は、表面層2だけでなく基層1に含有させてもよいことは言うまでもない。
【0024】
この表面層2は既述したように無機粉末を実質的に含まない層であるが、「無機粉末を実質的に含まない」とは、層を不透明化するために配合される前記の酸化チタン、タルク、炭酸カルシウム等の無機粉末を含まないという意味であり、従って、例えば押出成形時のブロッキングを防止するためにポリプロピレンに添加される合成シリカ等のアンチブロックキング剤は少量含まれていてもよい。また、表面層2や基層1には、上記のアンチブロッキング剤の他にゼオライト等の抗菌剤、防カビ剤、帯電防止剤などを配合してもよい。
【0025】
基層1や表面層2の厚さについては特に制限されないが、基層1の厚さは50〜200μm程度が適当であり、表面層2の厚さは5〜100μm程度が適当である。基層1が50μmより薄くなるとシートの強度が弱くなり、表面層2の厚さが5μmより薄くなると、紫外線のカットが不充分となるため基層1のポリプロピレンを紫外線劣化から満足に保護できなくなる。また、基層1が200μmより厚くなり、且つ、表面層2が100μmより厚くなると、シート全体の剛性が増し、表面化粧シート等の用途には不向きとなる。
【0026】
基層1と表面層2の積層は、無機粉末を混合したポリプロピレンと光安定剤を混合したポリプロピレンを二層に共押出しする手段によって積層してもよいし、また、無機粉末を混合したポリプロピレンフィルムと光安定剤を混合したポリプロピレンフィルムを予め作製して両者をラミネートするようにしてもよいし、光安定剤を混合したポリプロピレンフィルムを、無機粉末を混合したポリプロピレンの押出時にラミネートしてもよい。このように基層1と表面層2を積層したシートは、両層1,2の樹脂が共にポリプロピレンであるから密着性が極めて良好であり、層間剥離を起こす心配がない。
【0027】
以上のような構成のポリプロピレンシートは、無機粉末3を含む基層1が不透明で隠蔽性を有するため、例えば、図1に一点鎖線で示すように表面層2上に印刷4を施して合板等の表面にラミネートすると、不透明な基層1によって合板等が隠蔽され、表面の印刷4を明瞭に視認することができる。そして、この表面層2には光安定剤が含まれ、外部からの紫外線が表面層2によってカットされるため、基層1のポリプロピレンが紫外線劣化を起こすことは殆どなく、しかも、この表面層2には無機粉末が実質的に含まれないので、紫外線によって表面層2のポリプロピレンが僅かに劣化した程度では、亀裂や破断を生じることも殆どない。このように本発明のポリプロピレンシートは、良好な耐候性と隠蔽性を兼ね備えるため、表面化粧シート等の用途に極めて好適なものである。なお、印刷4は基層1の上に行ってもよい。
【0028】
特に、基層1を構成するポリプロピレンがエチレン−プロピレン共重合体又はエチレン−ブテン1−プロピレン三元共重合体であって、熱可塑性エラストマーが配合されているシートは、既述したように曲げストレスによる白化現象をほぼ確実に防止することができるので、曲げ加工性も良好である。
【0029】
次に、本発明の更に具体的な実施例と比較例を説明する。
【0030】
[実施例1〜8]
下記の表1に示す組成を有する厚さ80μmの表面層フィルムと、同じく表1に示す組成を有する厚さ80μmの基層フィルムを重ね、160℃で熱プレスすることにより積層一体化して、厚さ160μmのポリプロピレンシートを作製した。得られたシートはいずれも乳白色不透明で、透視が不可能であった。
【0031】
これらのポリプロピレンシートについて、ネッキングを起こすときの伸び率をJIS C 2318の試験方法で測定したところ、表1に示す結果が得られた。また、これらのポリプロピレンシートについて、ASTM D 1593の試験方法に基づき温度5℃での曲げ衝撃試験を行い、白化現象の有無を肉眼で観察したところ、表1に示す結果が得られた。更に、各ポリプロピレンシートをウエザオメーターで400時間曝露した後、伸び保持率をJIS C 2318の試験方法で測定したところ、表1に示す結果が得られた。
【0032】
そして、この400時間暴露後の伸び保持率の測定結果から耐候性(機械的強度)の良否を判定し、上記の曲げ衝撃試験の結果から耐白化性の良否を判定した。その結果を表1に示す。
【0033】
なお、表1の表面層フィルム及び基層フィルムの組成において、HOMOはプロピレンのホモポリマー(旭化成工業(株)製)を、RCはエチレン−プロピレンランダム共重合体(三井東圧化学(株)製)を、TCはエチレン−ブテン1−プロピレン三元共重合体(三井東圧化学(株)製)を、エラストマーはスチレンブタジエンラバー(日本合成ゴム(株)製)を、ポリエチレンは出光石油化学(株)製のものを、紫外線吸収剤はベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(城北化学工業(株)製)を、無機粉末は酸化チタン粉末(城北化学工業(株)製)を使用した。
【0034】
[比較例1]
下記の表1に示す組成を有する基層フィルムのみからなる厚さ160μmの乳白色ポリプロピレンシートを作製し、実施例1〜8と同様に、ネッキングを起こすときの伸び率、曲げ衝撃試験による白化現象の有無、400時間暴露後の伸び保持率を測定し、耐候性の良否と耐白化性の良否を判定した。その結果を表1に示す。
【0035】
[比較例2]
表面層フィルムと基層フィルムを下記の表1に示す組成のものに変更した以外は、実施例1〜8と同様にして厚さ160μmの乳白色ポリプロピレンシートを作製した。
【0036】
このシートについて、実施例1〜8と同様に、ネッキングを起こすときの伸び率、曲げ衝撃試験による白化現象の有無、400時間暴露後の伸び保持率を測定し、耐候性の良否と耐白化性の良否を判定した。その結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
Figure 0003554906
【0038】
この表1をみれば、紫外線吸収剤を含み無機粉末を含まない表面層フィルムを積層一体化した実施例1〜8のシートはいずれも、400時間暴露後の伸び保持率が45%以上で、耐候性の判定が良であるのに対し、紫外線吸収剤と無機粉末を混在させた比較例1の単層シートは、伸び保持率が5%以下と低く、耐候性の判定が否である。このことから、無機粉末を含んだシートに紫外線吸収剤を配合しても、その効果が殆どなく、耐候性を向上させ得ないことが判る。
【0039】
また、紫外線吸収剤と無機粉末を混在させた基層フィルムの表面に、紫外線吸収剤を含まない表面層フィルムを積層一体化させた比較例2のシートも、伸び保持率が5%以下と低く、耐候性の判定が否である。ところが、比較例2と同じ組成の基層フィルムの表面に、紫外線吸収剤を含む表面層フィルムを積層一体化した実施例8のシートは、400時間暴露後の伸び保持率が90%以上と大幅に向上し、耐候性の判定が良である。このことから、紫外線吸収剤を含む表面層フィルムを積層すると耐候性を顕著に向上させることができるが、紫外線吸収剤を含まない表面層フィルムを積層しても何ら効果のないことが判る。
【0040】
また、実施例1,2,3を対比すると、プロピレンのホモポリマーからなる表面層フィルムと基層フィルムを積層一体化した実施例1のシートは、ネッキングを起こす伸び率が10〜30%と低く、曲げ衝撃試験で白化現象を生じ、耐白化性の判定が否である。これに対し、エチレン−プロピレン共重合体からなる表面層フィルムと基層フィルムを積層一体化した実施例2のシートや、エチレン−ブテン1−プロピレン三元共重合体よりなる表面層フィルムと基層フィルムを積層一体化した実施例3のシートは、ネッキングを起こす伸び率が50〜100%と比較的高く、曲げ衝撃試験による白化現象も殆ど無しで、耐白化性の判定がやや良である。このことから、耐白化性を向上させるためには、ホモポリマーよりも上記の共重合体の方が有利であることが判る。
【0041】
また、実施例1,4を比較すると、ホモポリマーにポリエチレンを添加したシートは、ネッキングを起こす伸び率が50〜100%と比較的高くなり、曲げ衝撃試験による白化現象も殆どなくなり、ポリエチレンを添加したシートが有利であることが判る。
【0042】
更に、実施例2,5,6,7を対比すると、エチレン−プロピレン共重合体に熱可塑性エラストマーを配合した基層フィルムを使用する実施例5,6,7のシートは、いずれもネッキングをおこす伸び率が100%以上で、曲げ衝撃試験による白化現象が全くなく、耐白化性の判定が良である。これに対し、エラストマーを配合しないエチレン−プロピレン共重合体の基層フィルムを使用した実施例2のシートは、ネッキングをおこす伸び率が50〜100%で、曲げ衝撃試験による白化現象が殆どなく(若干有り)、耐白化性の判定がやや良である。このことから、耐白化性を向上させるためには、上記の共重合体の単独よりも、熱可塑性エラストマーを配合した方が更に有利であることが判る。
【0043】
また、実施例5,6を対比すると、熱可塑性エラストマーの配合量が多い基層フィルムを用いた実施例6のシートは、熱可塑性エラストマーの配合量が少ない基層フィルムを用いた実施例5のシートよりも、400時間暴露後の伸び保持率が若干低下している。このことから、耐候性を向上させるためには、熱可塑性エラストマーをあまり多量に配合してはならないことが判る。
【0044】
更に、実施例5,8を対比すると、紫外線吸収剤を表面層フィルムのみならず基層フィルムにも含ませると、400時間暴露後の伸び保持率が90%以上と大幅に向上している。このことから、紫外線吸収剤を表面層と基層の両フィルムに含ませることにより耐候性を大幅に向上させ得ることが判る。
【0045】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のポリプロピレンシートは、良好な耐候性と隠蔽性を兼ね備えるため、短期間で劣化することがなく、表面に印刷等を施せば明瞭に視認できるといった効果を奏し、特に、基層のポリプロピレンとしてポリエチレンを含有させたもの、或はエチレン−プロピレン共重合体又はエチレン−ブテン1−プロピレン三元共重合体を使用し、更に熱可塑性エラストマーを配合したものは、曲げストレスによる白化現象が殆ど見られなくなるといった効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリプロピレンシートの一実施例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 基層
2 表面層
3 無機粉末

Claims (4)

  1. 無機粉末を1〜10重量%含んだポリプロピレンよりなる厚さ50〜200μmの基層の表面に、光安定剤を含み無機粉末を実質的に含まないポリプロピレンよりなる厚さ5〜100μmの透光性の表面層であって且つその上に印刷が施される表面層を積層一体化したことを特徴とするポリプロピレンシート。
  2. 少なくとも基層を構成するポリプロピレンが、ポリプロピレンを除く他のオレフィン樹脂を含有したものである請求項1に記載のポリプロピレンシート。
  3. 少なくとも基層を構成するポリプロピレンが、エチレン−プロピレン共重合体又はエチレン−ブテン1−プロピレン三元共重合体である請求項1又は請求項2に記載のポリプロピレンシート。
  4. 少なくとも基層を構成するポリプロピレンが、熱可塑性エラストマーを含むものである請求項1又は請求項2又は請求項3に記載のポリプロピレンシート。
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