JP3554734B2 - コンタクトレンズ洗浄・消毒・保存剤組成物及び洗浄・消毒・保存容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンタクトレンズに付着した汚れを、複合二酸化チタンによる光触媒作用及び吸着作用により洗浄・消毒する方法、当該方法に用いる洗浄・消毒・保存剤組成物及びそのための容器に関するものである。更に詳しくは、本発明は、コンタクトレンズの使用後に、汚れの付着したコンタクトレンズを、光触媒作用及び吸着作用を有する特定の成分からなる溶液中に浸漬し、これに光を照射することにより生じる光触媒作用及び吸着作用に基づき、コンタクトレンズを洗浄・消毒・保存することを可能とする新しいコンタクトレンズ洗浄・消毒方法、当該洗浄・消毒方法に用いる洗浄・消毒・保存剤組成物、及びそのための容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、コンタクトレンズは、その材質及び形態の技術的発達が著しく、わが国でのコンタクトレンズ装用者は、すでに1,000万人を超え、今後、その利用者は更に増大するものと予測される。また、コンタクトレンズの多様化も著しく、ガス透過性ハードコンタクトレンズ(RGP レンズ:rigid gaspermeable hard contactlens)が50%、ソフトコンタクトレンズが40%、PMMA〔poly(methylmethacrylate)〕ハードコンタクトレンズが10%、のシェアを有しているが、近年、各種ディスポーザブルソフトコンタクトレンズもシェアが拡大している。また、コンタクトレンズの消毒方法やケア用品も複雑多岐にわたっている。ディスポーザブルコンタクトレンズと非含水ソフトコンタクトレンズ以外のソフトコンタクトレンズに対しては、カビや微生物学的な汚染防止のために、わが国では、脱後のコンタクトレンズに煮沸消毒を毎日行うことが義務付けられている。しかし、熱消毒を毎日繰り返すことによりコンタクトレンズが劣化することと、その消毒作業の繁雑さが指摘されている。これに対し、欧米ではコールド消毒が主流であるが、薬剤による過敏障害が指摘されている。
【0003】
コンタクトレンズの洗浄・消毒を行う方法としては、従来、種々の方法が提案されているが、コンタクトレンズの汚染の程度が一様でないために、種々の方法を併用したり、夫々の方法に一長一短があるために、その特徴により使い分ける等の必要が生じている。これらの代表的なものとして、例えば、以下のものが例示される。
<洗浄方法>
1)こすり洗い
これは、ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズともに水道水で、指又は手のひらでこすり洗いをする方法である。また、汚染の度合いに応じてクリーナーを併用することもある。すすぎには、水道水保存液、生理食塩水がコンタクトレンズの素材に応じて使い分けられる。
2)化学的洗浄
これは、酸素を用いてコンタクトレンズに付着している蛋白、脂肪を分解除去する方法である。汚染が高度の場合、漂白剤が併用される場合もあるが、この方法は、全てのコンタクトレンズには適合しない。これらは、蛋白、脂肪分解酵素の他に、非イオン界面活性剤、塩化ナトリウム剤、グルコン酸クロルヘキジン、両性・陰イオン・非イオン界面活性剤等を主成分とした洗浄剤が主流である。
【0004】
<消毒方法>
これは、洗浄により、汚染物質に付着している微生物を機械的に除去する方法である。ハードコンタクトレンズは、こすり洗いと、界面活性剤を含む保存液中で保存することによる微生物対策が採られている。これに対し、ソフトコンタクトレンズでは、以下のような消毒が義務付けられている。
1)煮沸消毒
これは、100℃で10〜20分間加熱する方法であるが、温度不十分な場合、効果が得られないことがあり、注意を要する。この方法では、一般的な細菌、微生物は、殺菌、滅菌法における高温によって細菌、微生物の蛋白変質が生じ、死滅する。
2)コールド消毒
(a)3%過酸化水素による消毒法は、わが国では2製品が認可されている。過酸化水素から生じるスーパーオキサイド(活性酸素)は、その細胞毒性が指摘されており、中和剤の併用が義務付けられている。時として、過酸化水素が、その中和が不十分で、残留した場合、角結膜障害を起こす可能性がある。
(b)MPS(multi−purpose solution)は、洗浄・消毒・保存を1液で行うシステムである。消毒剤の主成分は、0.001%ポリクオードであり、その殺菌力は、3%過酸化水素より弱く、遅延性の過敏症を起こす例があることも報告されている。
【0005】
また、ハードコンタクトレンズの素材がPMMAからRGPに変化し、また、ソフトコンタクトレンズの素材が高分子ポリマーHEMA(hydroxy−ethyl−methacrylate)であり、生体浸出液中に含まれる蛋白質、脂質のコンタクトレンズへの付着は避けられない。従って、ハードコンタクトレンズであっても、RGPは、消毒を行う方向にある。
一方、保存液に使用できる薬剤が制限されていることにより、コンタクトレンズの消毒後、保存中に菌が増殖してくることがある。MPSは、低濃度の消毒液であり、保存中に菌の増殖を抑えることができるが、長期間の使用による、遅延性の過敏反応の発症例が報告されている。
【0006】
ところで、コンタクトレンズの洗浄・消毒に用いられる洗浄剤、消毒・保存剤及びそれらの方法については、1)作業が簡易であること、2)安全性が高いこと、3)効果が確実であること、4)長期間使用によるコンタクトレンズの材質に物性的劣化を生じさせないこと、5)1液で洗浄・消毒・保存の作用を有すこと、などの諸条件が要求される。
以上の条件を備えた洗浄・消毒・保存剤及びそれらの方法であれば、コンタクトレンズの素材が何であれ、確実で安全、簡易なコンタクトレンズの洗浄・消毒・保存が可能であり、その効果は顕著であるといえる。しかし、従来用いられていた洗浄剤、消毒剤、保存剤あるいは洗浄・消毒・保存方法は、作業の繁雑さ、素材の劣化、効果不足による障害の発生等、種々の不備が指摘されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題を解決し、実際の使用に際し、コンタクトレンズの優れた洗浄・消毒効果が得られ、更に、安全性に優れ、保存効果も高い新しい洗浄・消毒・保存組成物、それらの方法及びそれらの方法に使用するための容器を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)コンタクトレンズに付着した汚れを、光照射により光触媒反応を生じる二酸化チタンによる光触媒作用と、有機物の吸着活性を有するアパタイトによる吸着作用により洗浄・消毒するための組成物であって、次の成分;
光照射により光触媒作用を生じる二酸化チタンにリン酸カルシウム化合物がコーティングされている複合二酸化チタン、及び
pH調整剤、
を含むことを特徴とするコンタクトレンズ洗浄・消毒・保存剤組成物。
(2)二酸化チタンが、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型のいずれかである、前記(1)に記載のコンタクトレンズ洗浄・消毒・保存剤組成物。
(3)前記コンタクトレンズ洗浄・消毒・保存剤組成物のpH調整剤が、リン酸塩の中から選ばれる少なくとも1種のリン酸塩である、前記(1)に記載のコンタクトレンズ洗浄・消毒・保存剤組成物。
(4)前記(1)から(3)のいずれかに記載のコンタクトレンズ洗浄・消毒・保存剤組成物を用いて、更に、これに光を照射して、コンタクトレンズに付着した汚れを、上記複合二酸化チタンの光触媒作用及び吸着作用により洗浄・消毒することを特徴とする、コンタクトレンズの洗浄・消毒方法。
(5)コンタクトレンズを洗浄・消毒・保存するための容器であって、次の手段;
前記(1)から(3)のいずれかに記載のコンタクトレンズ洗浄・消毒・保存剤組成物を主成分とする溶液を収容する1種以上の槽、
上記槽中の上記溶液中に浸漬したコンタクトレンズに光を照射する機能を有する光照射手段、
を構成要素として含むことを特徴とする、コンタクトレンズ洗浄・消毒・保存容器。
(6)光照射手段により照射される光の波長が253nm以上である、前記(5)に記載のコンタクトレンズ洗浄・消毒・保存容器。
(7)光照射手段が、LED(発光ダイオード)、半導体レーザー、UVランプ、白熱灯、石英ランプ、水銀灯、キセノンランプ、メタルハライトランプ、ブラックライト、蛍光灯、発熱灯、ハロゲンランプ、冷陰極ランプから選ばれる1種である、前記(5)に記載のコンタクトレンズ洗浄・消毒・保存容器。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明について更に詳細に説明する。
前記の課題を解決するために、本発明は、光照射により光触媒反応を生じる二酸化チタンと、これにコートした有機物の吸着活性を有するアパタイト、及びpHを調整するリン酸塩、を含有するコンタクトレンズ洗浄・消毒・保存剤組成物を用いることを特徴としている。これにより、本発明は、汚染されたコンタクトレンズに対し、高い洗浄・消毒・保存効果を発揮する。
本発明のコンタクトレンズ洗浄・消毒・保存剤組成物の好ましい態様の一つは、リン酸カルシウムコーティング複合二酸化チタンと水溶液のpHを調整するリン酸塩から構成される組成物である。ここで、二酸化チタンとしては、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型の、光触媒作用を生じる二酸化チタンであれば、その形態、性状を問わずいかなるものも使用することができる。この場合、好ましくは、アナターゼ型の二酸化チタンを使用し、その表面にリン酸カルシウム化合物をコーティングしたものが上記効果を高めることができるものとして例示される。二酸化チタンの粒子径は、使用する二酸化チタンの形態、性状によって異なるが、好ましくは1〜500nmであり、より好ましくは5〜100nmである。リン酸カルシウム、例えば、アパタイトやOCP、TCPの配合量も、使用する二酸化チタンの形態、性状によって異なるが、光の透過を阻害しない範囲で組成物中、好ましくは0.001〜10wt%である。二酸化チタンをリン酸化合物でコーティングした複合二酸化チタンを製造する方法としては、擬似体液中に二酸化チタンを浸漬させることによる方法が例示される。複合二酸化チタンの配合量は、0.001〜20wt%、より好ましくは0.001〜10wt%である。
【0010】
また、本発明において、リン酸カルシウム化合物とは、Ca10(PO4 ,X)6 (OH4 ,X)2 (X=CO3 )で示されるオルトリン酸化合物のことであり、これらの化合物として、例えば、水酸化アパタイト〔Ca10(PO4 )6 (OH)2 〕、フッ化アパタイト、炭酸アパタイト、銀アパタイト、などのアパタイトや、リン酸カルシウム、リン酸八カルシウムなどが好適なものとして例示される。これらは、リン酸イオン、カルシウムイオンを含む溶液に酸化チタンを浸漬し、酸化チタンの表面にアパタイトの結晶を析出させて作製される。これは、その表面全体に均一にアパタイトがコーティングされているのではなく、一定の間隔をおいてアパタイト結晶が付され、その形状はバラの花びら状を呈している。この際、使用される二酸化チタンとしては、前述のように、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型のいずれかであるが、好ましくは、アナターゼ型である。
【0011】
この形状により、酸化チタン単位では期待できない有機物の吸着作用が実現し、この有機物(タンパク質、脂質、微生物など)は、二酸化チタンの光触媒作用により分解される。また、コンタクトレンズの素材は、ハードコンタクトレンズがpoly(methyl methacrylate)であり、ソフトコンタクトレンズがhydroxy−ethyl methacrylateであり、いずれも高分子ポリマーであるため、二酸化チタンが直接コンタクトレンズの表面に付着し、光照射を受けると、コンタクトレンズ表面で光触媒作用が発生し、コンタクトレンズの素材の劣化を生じさせることになる。
しかしながら、本発明の場合は、二酸化チタンは、リン酸カルシウム化合物によってコーティングされているため、コンタクトレンズ表面に直接接触するのはリン酸カルシウム化合物であり、そのために、コンタクトレンズ表面では、リン酸カルシウム化合物による吸着作用のみが行われ、コンタクトレンズに直接光触媒作用が及ばない。このことは、連続して長期間、本発明の洗浄・消毒・保存剤組成物及び容器を使用しても、コンタクトレンズの素材に劣化等の変質を生じることはないことを意味している。このように、上記複合二酸化チタンは、コンタクトレンズの素材を劣化させないという格別の機能を有している。
【0012】
本発明において、pH調整剤と用いられるリン酸塩は、トリポリリン酸ソーダ、ピロリン酸ソーダ、ピロリン酸カリであり、好ましくは、トリポリリン酸ソーダである。その配合量は、0.5〜15wt%、より好ましくは、0.5〜5.0wt%である。コンタクトレンズ洗浄・消毒・保存剤組成物の溶液は、その素材の性状により、中性又はアルカリ性が好ましく、pH調整剤は、長期間使用することにより生じるコンタクトレンズの酸化劣化を防ぐ上で重要である。pHは、5.5〜9.0、より好ましくは、6.0〜6.9である。更に、コンタクトレンズに付着する汚れの中には一般的に油性物質が多量に存在し、その中に遊離脂肪酸が30%以上含まれており、その上、体内浸出物から排出される脂肪物質も加わり、コンタクトレンズ表面に付着する脂肪物質は汚れの主要因となる。これらは、アルカリの存在下でけん化し、油性物質(グリース)をその乳化作用により、乳化分散し、コンタクトレンズ表面から取り除く。一方、汚れの中の固体微粒子は、多くの場合、凝集状態にある。そして、これらを分散させることが洗浄性に大きく寄与することが知られている。汚れの中に存在する固体粒子の種類は、広範囲にわたり多種多様であり、一次粒子が凝集し、付着しているが、リン酸塩の分散作用により取り除かれる。このような固体粒子の分散・凝集に関し、粒子間に作用する引力と斥力との力関係は粒子間の距離に存在する。このうち、引力は周囲の媒体にそれほど大きく依存しないが、斥力の方はまわりの影響を大きく受ける。そして、その斥力が固体粒子を液中に分散させる大きな役割を果たしている。
本発明の組成物は、好適には、複合二酸化チタン0.03〜0.09wt%、リン酸塩1.0〜5.0wt%(pH6〜6.9)、精製水98.97〜98.91wt%である。
【0013】
この粒子間の反発力を関係づけるものに静電気的メカニズムがある。これは、固体粒子の電気二重層に関連し、表面電荷と媒体のイオン含量によって定量的反発力を求めることができる。
このような場合、トリポリリン酸ナトリウムの〔P2 O10〕5−陰イオンが粒子に吸着し固体粒子表面の負の電位を上げて液中への分散を増大する。
また、汚れの中には固体粒子を中心に、Ca2+,Mg2+,Fe3+,Al3+,などの多価陽イオンが存在し、負に帯電した汚れ粒子との間に多価陽イオンブリッジを形成している。したがって、これの金属イオン、特にCa2+をキレートする作用を有するトリポリリン酸ナトリウムにより洗浄効果は増大する。
このように、トリポリリン酸ソーダは、1)アルカリ緩衝作用、2)固体粒子分散作用、3)金属キレート作用等を有し、コンタクトレンズ表面に付着する汚れに対し複合的に作用し、洗浄効果を増大する効果を有している。
【0014】
本発明に用いられる光照射手段(光照射器具)としては、例えば、LED(発光ダイオード)、半導体レーザー、UVランプ、白熱灯、石英ランプ、水銀灯、キセノンランプ、メタルハライトランプ、蛍光灯、発熱灯、ハロゲンランプ、冷陰極ランプなどが例示される。照射される光としては、これらの光源からの光を、適当なフィルターを介して不要な波長をカットした後、適当な手段によって導光することによって得られた光が用いられる。これらの光は、光触媒作用による活性酸素の発生及びその酸化還元作用の点から、紫外線などエネルギーの大きな短波長を多く含む光が望ましく、例えば、石英ランプ、水銀灯、UVランプの光が例示されるが、本発明においては、その使用特性に鑑み、ランプ寿命が長いこと等の要件を備えているLED(発光ダイオード)で、ピークが360nmの波長を持つものが好適である。
【0015】
上記、洗浄・消毒・保存剤組成物の溶液中にコンタクトレンズを浸漬し、1〜3時間で洗浄・消毒は終了する。再装用までの間に、ランプの電源はONの状態で保存する。保存中は洗浄・消毒作用が継続しているため、二次的汚染は起こることなく、いつでも再装用が可能である。LEDの発熱量は小さく、連続24時間使用しても溶液の温度は上昇しない。また、LEDランプの寿命は半永久的である。
【0016】
本発明の洗浄・消毒・保存剤組成物の主たる作用は、二酸化チタン光触媒作用、リン酸カルシウム化合物の吸着作用、リン酸塩による洗浄作用(アルカリ緩衝作用、固体粒子分散作用、金属キレート作用)による相乗作用による洗浄・消毒・保存である。すなわち、リン酸塩による洗浄作用及びリン酸カルシウム化合物の吸着作用により吸着分離された汚染物(タンパク質、脂肪、微生物、その他)は、二酸化チタン光触媒に光を照射すると電子と正孔を生じ、活性酸素を生じる。
この活性酸素は、オゾンよりはるかに強力な酸化力を持ち、ほぼ全ての有機物を炭酸ガスにまで酸化分解することができる。これにより、本剤溶液で洗浄・消毒・保存が可能となり、従来の過酸化水素残留による炎症の恐れもなく、消毒力の弱さによる遅延性障害の問題も解消する。また、保存液中必要であった過酸化水素中和剤も不要となる。更に、本発明の方法は、コールド消毒の分類に属するため、煮沸による高熱がコンタクトレンズに及ぼす素材劣化も生じない。
【0017】
本発明は、コンタクトレンズを、ランプを備えた容器中に浸漬し、その表面に光を照射することにより生ずる光触媒作用と洗浄作用・分離吸着作用に基づきコンタクトレンズを洗浄・消毒・保存するためのコンタクトレンズ洗浄・消毒・保存剤組成物、及びランプを備えた容器から成る装置であって、光照射により光触媒作用を生じる二酸化チタンとこれをコーティングするリン酸化カルシウム化合物、更に、リン酸塩を組み合わせてなることを特徴とするコンタクトレンズ洗浄・消毒・保存剤組成物、及び当該組成物を主成分とする溶液を収容する1種以上の槽とランプを備えた容器から成る装置に係るものであり、本発明によれば、1)作業が簡易で、1液で洗浄・消毒・保存が可能となる、2)洗浄・消毒効果が確実で安全性が高い、3)長期間の使用にも素材の劣化が生じない、4)角結膜に対する障害を生じることがない、5)携帯の利便性が高い、などの顕著な効果が得られるので、本発明によるコンタクトレンズの洗浄・消毒・保存に対する寄与は大である。
【0018】
【実施例】
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例
(1)洗浄・消毒・保存剤組成物
以下の配合により、洗浄・消毒・保存剤組成物を作製した。
アパタイト複合二酸化チタン 0.06wt%
トリポリリン酸ソーダ 5.00wt%
精製水 94.04wt%
【0019】
(2)ランプ及び容器本体
以下の手段を組み合わせて、コンタクトレンズ洗浄・消毒・保存容器を作製した。
1)容器の素材 UV透過樹脂
2)素材の厚さ 1.0mm
3)容器の外寸 高さ5cm、一辺5cm×4cmの長方立方体
4)容器の内寸 高さ2.5cm、一辺2.5cm×2cm
5)容器壁面寸方 一辺5cm×4cm、一辺5cm×5cm
6)容器槽内の中隔壁面寸方(左右内槽寸方)
高さ2.5cm、一辺2.5cm×2cm、厚さ1mm
8)LEDの位置
底部中隔左右に各3ケ 計6ケ
側面の一辺に各2ケ 計8ケ
フタの内面中隔左右に各1ケ 計2ケ
9)電源
5W、100W
10)自動制御手段
スイッチONの後、自動的にタイマーが作動し、60分後に洗浄・消毒をランプ点滅により表示。その後は自動的に保存作用が作動する。
【0020】
(3)洗浄・消毒・保存方法
1)上記組成物の溶液を上記容器本体の左右の槽に夫々3.5ml注入した。
2)コンタクトレンズを水洗いした。
3)コンタクトレンズをテフロン加工ピンセットで左右の槽に各1つ入れた。
4)上記容器本体のスイッチをONにした後、上記溶液に光を照射し、1時間後、自動タイマーにより、洗浄・消毒の終了が通知された。
5)上記洗浄・消毒の終了後も、再装用まで自動的にスイッチONの状態を続けた。
【0021】
【発明の効果】
本発明は、コンタクトレンズを、光源装置を内蔵した専用の容器中に収容した、汚染物質の吸着分離、光触媒活性、洗浄作用を有する特定の組成からなる溶液に浸漬させ、当該溶液に光を照射することにより生じる光触媒作用に基づきコンタクトレンズを洗浄・消毒・保存することを可能とするコンタクトレンズの洗浄・消毒・保存剤組成物、当該組成物を用いてコンタクトレンズを洗浄・消毒する方法、及びその専用装置に係るものであり、本発明によれば、1)作業が簡易で、1液で洗浄・消毒・保存が可能となる、2)洗浄・消毒効果が確実で安全性が高い、3)長期間の使用にも素材の劣化が生じない、4)角結膜に対する障害を生じることがない、5)携帯の利便性が高い、6)本発明によるコンタクトレンズの洗浄・消毒・保存に対する寄与はきわめて大である、という格別の効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンタクトレンズ・洗浄・保存容器の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
A 容器本体側面
B 容器本体表・裏面
1 槽
1′槽
2 中間壁
3 内槽底部
4 電気コード
5 蓋
6 LED
7 容器
Claims (7)
- コンタクトレンズに付着した汚れを、光照射により光触媒反応を生じる二酸化チタンによる光触媒作用と、有機物の吸着活性を有するアパタイトによる吸着作用により洗浄・消毒するための組成物であって、次の成分;
光照射により光触媒作用を生じる二酸化チタンにリン酸カルシウム化合物がコーティングされている複合二酸化チタン、及び
pH調整剤、
を含むことを特徴とするコンタクトレンズ洗浄・消毒・保存剤組成物。 - 二酸化チタンが、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型のいずれかである、請求項1に記載のコンタクトレンズ洗浄・消毒・保存剤組成物。
- 前記コンタクトレンズ洗浄・消毒・保存剤組成物のpH調整剤が、リン酸塩の中から選ばれる少なくとも1種のリン酸塩である、請求項1に記載のコンタクトレンズ洗浄・消毒・保存剤組成物。
- 請求項1から3のいずれかに記載のコンタクトレンズ洗浄・消毒・保存剤組成物を用いて、更に、これに光を照射して、コンタクトレンズに付着した汚れを、上記複合二酸化チタンの光触媒作用及び吸着作用により洗浄・消毒することを特徴とする、コンタクトレンズの洗浄・消毒方法。
- コンタクトレンズを洗浄・消毒・保存するための容器であって、次の手段;
請求項1から3のいずれかに記載のコンタクトレンズ洗浄・消毒・保存剤組成物を主成分とする溶液を収容する1種以上の槽、
上記槽中の上記溶液中に浸漬したコンタクトレンズに光を照射する機能を有する光照射手段、
を構成要素として含むことを特徴とする、コンタクトレンズ洗浄・消毒・保存容器。 - 光照射手段により照射される光の波長が253nm以上である、請求項5に記載のコンタクトレンズ洗浄・消毒・保存容器。
- 光照射手段が、LED(発光ダイオード)、半導体レーザー、UVランプ、白熱灯、石英ランプ、水銀灯、キセノンランプ、メタルハライトランプ、ブラックライト、蛍光灯、発熱灯、ハロゲンランプ、冷陰極ランプから選ばれる1種である、請求項5に記載のコンタクトレンズ洗浄・消毒・保存容器。
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