JP3554629B2 - 安定化されたテトラゾ−ル系樹脂発泡剤 - Google Patents

安定化されたテトラゾ−ル系樹脂発泡剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は樹脂の精密成形もしくは成形品の軽量化のための発泡剤として、又は薬剤を拡散するための薫煙剤として使用される完全分解と安定性との大なるアゾビステトラゾ−ルのアミン塩によるテトラゾ−ル系樹脂発泡剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、結晶性樹脂は当然のことながら成形後の冷却過程で結晶化が生起する。その結果収縮することにより金型通りの成型品が得難く、これらの精密成形は金型の工夫で経験的に見掛けの収縮を回避してきた。しかしながら完全な精密成形は困難で、成形物のコア部に物理的にガスを吹き込み、収縮を防止する工夫がなされたり(特公昭48−41264、特公昭57−14968)、高価な化学発泡剤の添加が提案されてきた(特開昭50−129563、特開昭53−12864、特開昭56−61435、USP.4871861)。また一般的にはアゾジカルボアミド(ADCA)が樹脂の成形発泡を目的として長くまた広く使用されてきた。また薫煙剤は人畜無害の上、無臭であることが必須条件としてあげられるが、現在使用の薫煙剤は必ずしもこれらの条件を満足しているとはいえない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
現在広く一般的に使用されている上記(ADCA)は分解温度範囲が広く、必ずしも精密成形もしくは軽量化のための高発泡に対しては充分満足すべきものではない。その上、該分解ガスもしくはその分解残渣がアンモニア、ウレア等を排出するため、人畜もしくは環境に優しいといえるものではない。更にその分解残渣は金型を汚し<成形効率と歩留まりを落としているという問題点がある。テトラゾ−ルは完全分解をすることから上記の問題点をすべて解決するものの、完全分解と安定性とは裏腹の関係にあり、摩擦感度、落鎚感度などの物理感度が高く、使用上不安全であった。上記に鑑み、本発明は温度によってのみ完全分解して清浄なガスを発生する安定性の大なるアゾビステトラゾ−ルのアミン塩類を樹脂発泡剤又は薫煙剤として開発することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は熱分解した場合、残渣を残さないアゾビステトラゾ−ルを使用し、有機アミンで安定化されたテトラゾ−ル系樹脂発泡剤を開発することに成功したのである。即ち、本発明の第1は、下記式(1)で表されるアゾビステトラゾールのアミン塩を、合成樹脂に対してガス発生剤として使用することを特徴とする、安定化されたテトラゾ−ル系樹脂発泡剤である。
【0005】
【化2】
Figure 0003554629
[式中、Zは、
1級モノアミン類としてモノメチルアミン、モノエチルアミン、プロピルアミン、ジシアンジアミド、アミノグアニジン、アミノトリアゾ−ル;
1級ジアミン類としてエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、アセトグアナミン、ヒドラジン、ウレア、カルボヒドラジド、チオカルボヒドラジド、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン;
1級トリアミンとしてメラミン;
2級モノアミンもしくはジアミン類としてピリジン、ピペラジン、ピペリジン;
3級アミンとしてトリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン;
を表す。]
【0006】
本発明の第2は、ガス発生剤が樹脂成型品の発泡もしくは薬剤を拡散するための薫煙剤として使用されることを特徴とする、上記第1記載の安定化されたテトラゾ−ル系樹脂発泡剤である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のアゾビステトラゾ−ルの有機アミン塩の合成方法としては、アゾビステトラゾ−ルのアルカリ金属塩等の塩を水もしくはアルコ−ルに溶解させ、それぞれのアミンの炭酸塩もしくはハロゲン化物を当モル添加し、撹拌することによって製造可能である。上記によって製造されたアゾビステトラゾ−ルのアミン塩を使用して金属のハロゲン化物が水溶性もしくはアルコ−ル可溶性のものを選択すれば結晶を濾過することで、容易にアゾビステトラゾ−ルのアミン塩が得られる。本発明はかくて製造されたアゾビステトラゾ−ルの有機アミン塩を使用して合成樹脂に対して5〜2重量%程度を添加して先ずマスタ−チップを調整し、テスト金型を使用し、合成樹脂の種類によって200〜300℃の温度で射出成形して発泡製品を製造した。
【0008】
【実施例】
本発明を実施例によって説明するが本発明は実施例のみに限定されるものではない。本発明は下記に示す〔合成例〕1,2,3に従ってそれぞれのアゾビステトラゾ−ルのアミン塩を合成してマスタ−チップの調整法に従ってマスタ−チップを調整して、種々な合成樹脂に添加して加温下で成形して発泡体を製造した。
【0009】
【合成例1】
撹拌機、温度計付きの500mlの4ッ口フラスコをオイルバスにセットし、これにアゾビステトラゾ−ルのソ−ダ塩(分子量:210.072)の33.02g(0.157モル)を仕込み、次いで300mlの水を仕込んだ。昇温すると40℃で完全に溶解した。撹拌下にピペラジンの塩化物(分子量:159.06)の25g(0.157モル)を添加した。添加と同時に結晶が析出し、反応液は微黄色となった。撹拌下に室温まで冷却した後、2号濾紙を使用して吸引濾過し、アゾビステトラゾ−ルのピペラジン塩(分子量:252.25)を濾取した。収率は85%であった。アゾビステトラゾ−ルのソ−ダ塩の爆轟性は全くなくなった。
【0010】
【合成例2】
実施例1と同様にアゾビステトラゾ−ルのソ−ダ塩19.3g(0.092モル)、2当量に相当するアミノグアニジンの炭酸塩25g(分子量:0.184モル)を添加してアゾビステトラゾ−ルの2アミノグアニジン塩を85%の収率で得ることができた。アゾビステトラゾ−ルのソ−ダ塩の爆轟性は全くなくなった。
【0011】
【合成例3】
実施例1と同様にアゾビステトラゾ−ルのソ−ダ塩14.6g(0.070モル)、2当量に相当するグアニジンの炭酸塩25g(分子量:0.139モル)を添加してアゾビステトラゾ−ルの2グアニジン塩を98%の収率で得ることができた。アゾビステトラゾ−ルのソ−ダ塩の爆轟性は全くなくなった。このようにして得られた代表的なアミン塩とその分解温度、摩擦感度、落鎚感度を測定した結果を例示すると下記の表に示す通りである。
【0012】
Figure 0003554629
上記に示すように本発明のアミン塩は2−Na塩に比較して分解温度が低く、完全分解が期待され、かつ2−Na塩の摩擦感度がJIS、1級、落鎚感度がJIS、2級であるのに反して本発明のアミン塩はすべて摩擦感度、JIS、7級、落鎚感度、JIS、8級で、2−Na塩に比較して安定性が著しく大で安定化されたテトラゾ−ル系樹脂発泡剤である。
【0013】
【マスタ−チッブの調整1】
合成例2で得られたアゾビステトラゾ−ルの2アミノグアニジン塩の結晶を乳鉢で微粉化し、低密度ポリエチレン(融点90℃)に対して5重量%を添着させ、押し出し機を使用して樹脂温度140℃で押し出し、おおよそ直径3mm、長さ3mmのマスタ−チッを調整した。
【0014】
【マスタ−チッブの調整2】
2グアニジン塩についても同様にしてマスタ−チッを調整した。
【0015】
【実施例1】
マスタ−チッブの調整1によって調整したマスタ−チッブを成形しようとするポリプロピレン樹脂に対して2重量%を添加し、厚み3mm×幅100mm×長さ100mmに4mm、5mm、6mmの3種のリブを設けたテスト金型を使用して220℃で射出成形した。発泡剤を入れないブランクの成型品と比較し効果を確認した。ブランク製品はリブ裏にヒケが確認され商品価値のないものであったが、発泡剤を添加した本発明品は完全にヒケが修復されていた。
【0016】
【実施例2】
マスタ−チッブの調整2によって調整したマスタ−チッブを成形しようとするポリプロピレン樹脂に対して2重量%を添加し、厚み3mm×幅100mm×長さ100mmに4mm、5mm、6mmの3種のリブを設けたテスト金型を使用して280℃で射出成形した。発泡剤を入れないブランクの成型品と比較し効果を確認した。ブランク製品はリブ裏にヒケが確認され、商品価値のないものであったが、発泡剤を添加した本発明品は完全にヒケが修復され、かつスキン層が奇麗なものであった。
【0017】
【実施例3】
マスタ−チッブの調整1によって調整したマスタ−チッブを成形しようとするポリプロピレン樹脂に対して10重量%を添加し、180℃で厚さ2mmのシ−ト状に成形した。該シ−トを幅200mm×長さ200mmに裁断し、厚み10mm×幅200mm、長さ200mmのテスト金型に仕込み、予め220℃にセットしたギヤ−オ−ブン中に10分間晒したところ、気泡径数十ミクロンの奇麗な発泡体が得られた。
【0018】
【発明の効果】
アゾビステトラゾ−ルもしくはソ−ダ塩の爆轟性が解消され、アゾジカルボアミド(ADCA)に見られる分解ガス及び分解残渣の毒性が回避でき安定性が大で完全分解するため射出形成などにおいて、アゾジカルボアミドなどには見られない美しいスキン層の形成されたヒケ・ソリのない成形が可能になり、しかも本発明によって従来以上に低毒性の薫煙剤の開発に成功した。

Claims (2)

  1. 下記式(1)で表されるアゾビステトラゾールのアミン塩を、合成樹脂に対してガス発生剤として使用することを特徴とする、安定化されたテトラゾ−ル系樹脂発泡剤。
    Figure 0003554629
    [式中、Zは、
    1級モノアミン類としてモノメチルアミン、モノエチルアミン、プロピルアミン、ジシアンジアミド、アミノグアニジン、アミノトリアゾ−ル;
    1級ジアミン類としてエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、アセトグアナミン、ヒドラジン、ウレア、カルボヒドラジド、チオカルボヒドラジド、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン;
    1級トリアミンとしてメラミン;
    2級モノアミンもしくはジアミン類としてピリジン、ピペラジン、ピペリジン;
    3級アミンとしてトリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン;
    を表す。]
  2. ガス発生剤が樹脂成型品の発泡もしくは薬剤を拡散するための薫煙剤として使用されることを特徴とする、請求項1記載の安定化されたテトラゾ−ル系樹脂発泡剤。
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