JP4157176B2 - 新規な1,5′−ビテトラゾール系化合物とその製造法及び該1,5′−ビテトラール系化合物を主剤とするガス発生剤 - Google Patents

新規な1,5′−ビテトラゾール系化合物とその製造法及び該1,5′−ビテトラール系化合物を主剤とするガス発生剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は樹脂の精密成形用発泡剤、成型品を軽量化するための発泡剤又は農薬、殺虫剤等の薬剤を効率よく拡散するための薫煙剤、自動車安全装置のエアバッグ用インフレーター等に使用することを目的とする摩擦感度等の安定な新規な1,5′−ビテトラゾール系化合物とその製造法及び1,5′−ビテトラゾール系化合物を主剤とするカス発生剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、結晶性樹脂は当然のことながら、成型後の冷却過程で結晶化が起こり収縮するため、金型通りの成型品が得難く、従来は結晶性樹脂の精密成型は金型を工夫することで経験的に見掛けの収縮を回避してきた。しかしながら、その場合でも完全な精密成型は困難であるため、更に成型物のコア部に物理的にガスを吹き込み、成型物の収縮を防止する工夫がなされていた(特公昭48−41264、特公昭57−14968)、また化学発泡剤を添加する発明もある(特開昭50−129563、特開昭53−12864、特開昭56−61435、US.4871861)。従来から一般的にはアゾジカルボアミド(ADCA)等が主として樹脂の発泡成形を目的として、長い間、広く使用されてきた。またエアバッグ用ガス発生剤もしくは薫煙剤は人畜無害の上に、安全で無臭であることが必要条件であるが、現在使用のエアバッグ用ガス発生剤又は薫煙剤は必ずしも上記の必須条件を満足しているとはいい難い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記ADCAはガス発生剤として現在一般に広く使用されているが、成形温度に対して分解温度範囲が広すぎるため成型物の表面に気泡が走り、美観を損ねるなど、必ずしも精密成形もしくは軽量化のための高発泡成形としては満足のいくものではない。更にその上、該分解ガスもしくは分解残渣にアンモニアやビウレア或はイソシアヌル酸のような有害物を排出するため、人畜もしくは環境に優しいとは言えるものではない。またその分解残渣は金型を汚染し、成形効率及び成型品の歩留まりを低下せしめているのが現状である。テトラゾールは完全分解するため、上記の問題点はすべてクリヤーされるものの、分解性と安定性とは裏腹の関係にあり、摩擦感度等の物理的感度が高く、使用上安全性に欠ける場合もある。本発明は前記の目的を達成するために、温度によってのみ敏感に反応し、シャープに分解して清浄なガスを発生する新規な1,5′−ビテトラゾール系化合物とその製造法及び該1,5′−ビテトラゾール系化合物を主剤とするガス発生剤に関するものである。
【0004】
課題を解決するための手段】
本発明はガス発生剤を完全に分解せしめることから、構造的にも分解残渣が殆ど残らない1,5′−ビテトラゾールを選び、有機アミンによる物理的感度を安定化させる方法を採用したもので、その第1は、下記[化学式(1)]で示される化合物からなる群から選択される1,5′ビテトラゾールアミン塩である。
【0005】
【化学式(1)】
Figure 0004157176
【0006】
その第2は、1,5−ビテトラゾ−ル又はそのアルカリ金属塩を水又はアルコ−ル又はジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させ、ついで上記第1記載の化学式(1) で表される当モルのそれぞれのアミン塩又は炭酸塩又はハロゲン化物を添加、撹拌して製造することを特徴とする1,5−ビテトラゾ−ルアミン塩の製造法であり。
【0007】
その第3は、前記第1記載の1,5−ビテトラゾ−ルアミン塩を主剤とすることを特徴とするガス発生剤に関するものである。
であり。
【0008】
前記第3記載のガス発生剤は、樹脂成型品の発泡剤又は薬剤を拡散するための薫煙剤又は自動車の安全装置のエアバッグ用に使用することができる。
【0009】
本発明は有機アミンとして、モノメチルアミン、モノエチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、t−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、オレイルアミン、アリルアミン、3−ジメチルアミノプロピルアミン、3−ジブチルアミノプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、2−エチルヘキシルオキシプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ジシアンジアミド、グアニジン、アミノグアニジン、アミノトリアゾール、モノエタノールアミン等の1級モノアミン類。
エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミン、キシレンジアミン、キシリレンジアミン、アセトグアナミン、ヒドラジン、ウレア、カルボヒドラジド、チオカルボヒドラジド、N−アセチル−m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノ−6−メチル−sym−トリアジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン等の1級ジアミン類、メラミン等の1級トリアミン類、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、エタノールアミン、ピペラジン、ピペリジン、ジフェニルアミン等の2級モノアミンもしくはジアミン類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエタノールアミン等の3級アミン等を使用することができる。更にまた勿論アンモニウムも使用することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の新規なビテトラゾー系のアミン塩の製造方法としては、1,5′−ビテトラゾール乃至該アルカリの金属塩等を水もしくはアルコール或はまたDMF等に溶解させ、それぞれのアミンもしくは炭酸塩或はハロゲン化物の当モルを添加し撹拌することによって得られる。金属のハロゲン化物が水溶性もしくはアルコール或はまたDMF可溶性のものを選べば結晶を濾過することによって容易に1,5′−ビテトラゾールのアミン塩が得られる。
【0011】
【実施例1】
撹拌機、温度計付きの500mlの4口フラスコをオイルバスにセットし、これに1,5′−ビテトラゾール(分子量:138.09)の50g(0.362モル)を仕込み、ついで300mlの水を仕込んだ。撹拌下にピペラジン(分子量:86.14)の15.6g(0.181モル)を添加した。添加と同時に結晶が析出し、反応液は微黄色となった。撹拌下に室温まで冷却した後、2号濾紙を使用して吸引濾過した。1,5′−ビテトラゾールのピペラジン塩(分子量:362.32)を濾取した。収率は85%であった。
【0012】
【実施例2】
50mlのビーカーに1,5′−ビテトラゾール2gを採取し、メタノール50mlで溶解させる。これに飽和アンモニア水0.87gを添加しよく撹拌した後、メタノールを自然蒸発させて晶析した。結晶をアセトンで洗浄した後、それぞれの分析を行った。
【0013】
【実施例3】
50mlのビーカーに1,5′−ビテトラゾール2gを採取し、メタノール50mlを加えて溶解させ、10mlの水を加え、これにベンジルアミン1.37gを添加した。結晶は実施例2と同様にアセトンで洗浄し、乾燥した後、各種の分析を行った。
【0014】
【実施例4】
実施例1,2又は3に記載した以外のアミン類についても、実施例1,2或は3の方法で得ることができる。
【0015】
【実施例5】
実施例1,2又は3と同様にして得られたアミン塩の融点、分解温度、元素分析、赤外分析、NMRを測定し、その結果を下記[表1]〜[表8]に示した。
【0016】
【表1】
Figure 0004157176
【表1】
Figure 0004157176
【0017】
【表2】
Figure 0004157176
【0018】
【表3】
Figure 0004157176
【表3】
Figure 0004157176
【0019】
【表4】
Figure 0004157176
【0020】
【表5】
Figure 0004157176
【表5】
Figure 0004157176
【表5】
Figure 0004157176
【0021】
【表6】
Figure 0004157176
【0022】
【表7】
Figure 0004157176
【表7】
Figure 0004157176
【0023】
【表8】
Figure 0004157176
上記の元素分析及び赤外分光分析及びNMR分析の結果より本発明の化合物は新規物質である。
【0024】
【実施例6】
実施例1で得られた1,5′−ビテトラゾールのピペラジン塩の結晶を乳鉢で微粉化し、低密度ポリエチレン(融点90℃)に対して5重量%を添着させ、押し出し機を使用して樹脂温度140℃で押し出し、およそ直径3mm、長さ3mmのマスターチップを調整した。
【0025】
【実施例7】
実施例4で得られた1,5′−ビテトラゾールのグアニジン塩の結晶を乳鉢で微粉化し、アクリロニトリルスチレン樹脂(AS樹脂)(ビカー軟化点104℃)に対して5重量%を添着させ、押し出し機を使用して樹脂温度140℃で押し出し、およそ直径3mm、長さ3mmのマスターチップを調整した。
【0026】
【実施例8】
実施例6で調整したマスターチップを成形しようとするポリプロピレン樹脂に対して2重量%を添加し、厚み3mm×幅100mm×長さ100mmに4mm、5mm、6mmの3種のリブを設けたテスト金型を使用して220℃で射出成形した。発泡剤を入れないブランクの成型品と比較し効果を確認した。ブランク製品はリブ裏にヒケが確認され商品価値のないものであったが、発泡剤を添加したものは完全にヒケが修復されていた。
【0027】
【実施例9】
実施例7で調整したマスターチップを成形しようとするポリアセタール樹脂に対して2重量%を添加し、厚み3mm×幅100mm×長さ100mmに4mm、5mm、6mmの3種のリブを設けたテスト金型を使用して210℃で射出成形した。発泡剤を入れないブランクの成型品と比較し効果を確認した。ブランク製品はリブ裏にヒケが確認され商品価値のないものであったが、発泡剤を添加したものは完全にヒケが修復され、かつスキン層が綺麗なものであった。
【0028】
【比較例1】
実施例6と同様にしてADCA20%添加して調整したマスターチップを成形しようとするポリプロピレン樹脂に対して2重量%を添加し、厚み3mm×幅100mm×長さ100mmに4mm、5mm、6mmの3種のリブを設けたテスト金型を使用して220℃で射出成形した。発泡剤を入れないブランクの成型品及び実施例6と比較し効果を確認した。発泡性は問題ないものの成型物表面に気泡が表れるシルバーマーク現象が起き、繰り返しテスト中に金型がひどく汚染される問題が起きた。
【0029】
【比較例2】
実施例7と同様にしてADCA20%添加して調整したマスターチップをポリアセタール樹脂に対して2重量%添加し射出成形し、比較例1と同様の確認をした。発泡するものの成型物表面に気泡が表れるシルバーマーク現象が起き、成型品のエッジが形成されなかった。また繰り返しテスト中に金型がひどく汚染される問題が起きた。
【0030】
【発明の効果】
本発明の化学式(1)で示される1,5′−ビテトラゾールアミン塩は新規な物質であり、その性質に関しては爆轟性は勿論のこと摩擦感度等物理的衝撃に安定であり、かつ使用に際しては完全分解することから、分解ガスは清浄でADCA等に見られるような分解ガス及び分解残渣の毒性が回避できるため、エヤーバッグ、薫煙剤等として完全に使用され、かつ分解がシャープであることから、射出成形などにおいて、ADCA等の使用時には見られない美しいスキン層が形成され、ヒケ・ソリのない精密成形が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】例として1,5′BHTグアニジン塩の示差熱分析結果を示す図。
【図2】同様に1,5′BHTグアニジン塩の赤外線吸収スペクトルの図。
【図3】同様に1,5′BHTグアニジン塩のNMRによる測定結果を示す図。

Claims (3)

  1. 下記〔化学式(1)〕で示される化合物からなる群から選択される1,5−ビテトラゾ−ルアミン塩。
    【化学式(1)】
    Figure 0004157176
  2. 1,5−ビテトラゾ−ル又はそのアルカリ金属塩を水又はアルコ−ル又はジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させ、ついで請求項1記載の〔化学式(1) 〕で表される当モルのそれぞれのアミン塩又は炭酸塩又はハロゲン化物を添加、撹拌して製造することを特徴とする1,5−ビテトラゾ−ルアミン塩の製造法。
  3. 請求項1記載の1,5−ビテトラゾ−ルアミン塩を主剤とすることを特徴とするガス発生剤。
JP12024297A 1997-04-22 1997-04-22 新規な1,5′−ビテトラゾール系化合物とその製造法及び該1,5′−ビテトラール系化合物を主剤とするガス発生剤 Expired - Lifetime JP4157176B2 (ja)

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