JP3554215B2 - 液晶装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶素子に駆動用素子を取り付けて構成された液晶装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、液晶を利用して種々の情報を表示する液晶装置が種々の分野で利用されている。
【0003】
図1は、そのような液晶装置の従来構造の一例を示す図であるが、この図に示す液晶装置1は液晶パネルP を備えている。そして、この液晶パネルP は、間隙を開けて配置された一対のガラス基板2,3と、これらのガラス基板2,3の間に挟持された液晶(不図示)と、を備えており、これらのガラス基板2,3の内面には情報電極5や走査電極6がそれぞれ形成されている(図では一部のみ図示)。
【0004】
一方、この液晶パネルP の周囲には周辺回路基板(PCB基板)7,8,9が配置されており、この周辺回路基板7,8,9と液晶パネル側の電極5,6とは複数のTCP(Tape Carrier Package)10を介して接続されている。
【0005】
図2は、このTCP10の詳細構造の一例を示す図であるが、図示のように、TCP10は、ポリイミド樹脂からなるフレキシブルフィルム10aを有しており、このフレキシブルフィルム10aには、駆動用IC10bがTAB法(TapeAutomated Bonding法)により搭載されている。また、駆動用IC10bからフィルム10aの端縁にかけては多数の出力リード10cが形成されており(図では一部のみ図示)、これらの出力リード10cと液晶パネル側の電極5,6とが接続されている。なお、図中の符号10dは、周辺回路基板7,8,9の方に接続される入力リードを示す。
【0006】
ところで、上述のようなTCP10においては、フレキシブルフィルム10aに剛体である駆動用IC10bが取り付けられていたため、TCP10に外力が作用した場合には駆動用IC10bの電極接続部に応力集中が起こるおそれがあった。したがって、このような応力集中を回避すべく種々の手段を採らなければならないという問題があった。
【0007】
そこで、図3に示すような液晶装置20が提案されている。
【0008】
この液晶装置20では、上述のようなTCP10を用いずに、駆動用IC21をガラス基板22に直接取り付けると共に、周辺回路基板23を異方性導電接着剤等によってガラス基板22に直接接続するようになっていた。すなわち、ガラス基板22(特に、周辺回路基板23が接続される部分)の側には多数の電極21a(以下、“パネル側電極21a”とする)を一定ピッチで形成すると共に、他方の周辺回路基板23の側にも多数の電極23a(以下、“回路基板側電極23a”とする)を同じピッチで形成し、ガラス基板22と周辺回路基板23との間で相対向する電極どうしを電気的に接続するようになっていた。
【0009】
このような液晶装置20によれば、駆動用IC21は変形しにくいガラス基板22に取り付けられているため、駆動用IC21の電極接続部への応力集中が緩和されることとなる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図3に示す液晶装置20においては、回路基板側電極23aの位置が正規位置からずれて、しかも、そのずれ量がパネル側電極21aの電極幅よりも大きくなった場合には、当然のことながら、両電極の電気的接続が確保できなくなる。したがって、回路基板側電極23aの位置ずれ量がパネル側電極21aの電極幅よりも小さくなるように、周辺回路基板23の製造誤差の管理及び取り付け位置の管理を行う必要がある。
【0011】
しかしながら、周辺回路基板23が長くなれば該回路基板23の製造誤差の程度も大きくなり、回路基板側電極23aとパネル側電極21aとの電気的接続を確保するには、周辺回路基板23の取り付け位置の管理を充分に行う必要が生じ、製造歩留りが低下するという問題があった。また、周辺回路基板23がさらに長いものは、回路基板側電極23aの位置ずれ量がパネル側電極21aの電極幅を越えてしまい、製造できないという問題があった。特に、近年の液晶パネルには大画面化の傾向があるが、大画面化に伴って周辺回路基板も長尺化せざるを得ず、上記問題点は顕著であった。
【0012】
例えば、周辺回路基板としてFPC(フレキシブル・プリンテッド・サーキット)を用いた場合にはFPCの製造過程の熱処理等やFPCの吸湿の度合いによりフィルム基材が寸法変化を起こし易いために、電極パターンの寸法精度に誤差が生じ、寸法公差は±0.1%程度、或は、寸法のずれを調整するために、パターン形成時に使用するマスクのサイズを微調整しても±0.05%程度であり、表示エリアが17インチサイズの液晶パネルの場合には周辺回路基板の長さは340mm程度となる。したがって、この場合の周辺回路基板の寸法誤差は最大で±0.34mm程度となり、回路基板中央部の電極を基準に位置合わせを行った場合には、端部側の電極の位置ずれ量はその半分(±0.17mm程度)となる。一方、一般的に、パネル側電極21aの幅は0.15〜0.2mm程度であるが、理論的には、該幅が0.17mm以上である場合には電気的接続は確保されるものの位置合わせが困難で製造歩留りが低下してしまい、該幅が0.17mm未満である場合には製造自体ができなくなってしまうことになる。
【0013】
なお、液晶パネルの解像度を上げたり動画を表示させる場合には、電極のピッチを微小化させて電極数を増加させる必要があるが、電極幅がより一層微小化されるため、上述の問題はより顕著となる。
【0014】
そこで、本発明は、一の配線基板と液晶素子との電気的接続を確保する液晶装置を提供することを目的とするものである。
【0015】
また、本発明は、製造歩留りの低下を防止する液晶装置を提供することを目的とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記事情を考慮してなされたものであり、一対の基板、これら一対の基板に挟持された液晶、及びこれら一対の基板の少なくとも一方に形成された一の電極群を有する液晶素子と、前記基板の端縁に沿って取り付けられて前記一の電極群に電気的に接続された複数個の駆動用素子と、これら複数個の駆動用素子に沿って配置されてこれらの駆動用素子に信号を供給する一の配線基板と、を備え、前記液晶素子を駆動するための信号が前記一の配線基板及び前記駆動用素子を介して前記一の電極群に伝達される液晶装置において、
前記複数の駆動用素子に電気的に接続されるように前記基板に形成された他の電極群と、
前記一の配線基板と前記基板との間に複数個併設されて、前記他の電極群を介して各駆動用素子と前記一の配線基板とを電気的に接続する他の配線基板と、を備え、
該他の配線基板は、複数の駆動用素子に対して1つずつ配置され、かつ、
前記液晶素子を駆動するための信号が、前記一の配線基板、前記他の配線基板、前記他の電極群及び前記駆動用素子を介して前記一の電極群に伝達される、ことを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図4乃至図7を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
図4は、本発明に係る液晶装置の一実施の形態を示す図である。この液晶装置30は、一対の基板31,32、これら一対の基板31,32に挟持された不図示の液晶、及びこれら一対の基板31,32の少なくとも一方に形成された一の電極群33(一部のみ図示)を有する液晶素子P を備えている。また、この基板32には、前記一の電極群33に電気的に接続される駆動用素子34が基板32の端縁に沿って複数個取り付けられており、これらの駆動用素子34に電気的に接続されるように他の電極群35が形成されている。
【0021】
さらに、液晶装置30においては、前記駆動用素子34に信号を供給する一の配線基板36が、前記複数の駆動用素子34に沿って配置されている。そして、これら一の配線基板36と基板32との間には他の配線基板37が複数個併設されており、他の配線基板37は、前記他の電極群35を介して各1つの駆動用素子34と前記一の配線基板36とを電気的に接続するようになっている。この場合、前記他の配線基板37を、前記一の配線基板36よりも短く(基板32の端縁方向に短く)形成すれば良い。
【0022】
ここで、図7(a) 及び(b) に詳示するように、前記他の電極群35は、併設された複数の電極35aからなり、前記一の配線基板36並びに前記他の配線基板37は、共に併設された複数の電極36a,37aを有し、かつ、前記一の配線基板36並びに前記他の配線基板37における対向する電極どうし36a,37aが電気的に接続され、該他の配線基板37並びに前記他の電極群35における対向する電極どうし37a,35aが電気的に接続された、ようにすると良い。
【0023】
この場合、前記他の配線基板37を、フレキシブルなテープに電極37aを形成して構成しても良い。なお、電極37aはフォトリソ法によって形成すれば良い。
【0024】
また、前記一の配線基板36は、FPCでも良いが、セラミックを基材とするものや、Al等の金属を基材とするものであっても良い。
【0025】
さらに、前記他の配線基板37を、図8(a) に示すような1層構造(すなわち、フレキシブルなテープであるベースフィルム37bの表面に、接着剤37cを介して1層の電極(銅箔)37aを貼付し、該電極37aの表面に、接着剤37cを介してカバーフィルム37dを貼付した構造)としても良い。配線基板37は、このような1層構造とすることによってフレキシブルになり、前記一の配線基板36と基板32との間の応力伝達を緩和できる。他方の前記一の配線基板36は、図8(b) に示すような2層以上の構造(すなわち、一対のソルダーレジスト36bのそれぞれの表面に電極(銅箔)36aを1層ずつ形成し、これら2層の電極36aの間に絶縁層36cを形成した構造)としても良い。なお、同図の符号36dはスルーホールを示す。
【0026】
またさらに、前記基板32及び前記他の配線基板37、並びに該他の配線基板37及び前記一の配線基板36が、それぞれ、厚さ方向に導電性を有すると共に面方向に絶縁性を有する異方性導電接着部材により接着されたようにしてもよい。
【0027】
なお、上述した液晶素子P が透過型である場合には、図5(a) 乃至(d) に示すように液晶素子P の背面側にバックライト装置40を配置すれば良い。ここで、同図(a) 乃至(d) は、一の配線基板36の配置位置についての異なる態様を示すものであり、同図(a) は、一の配線基板36を液晶素子P の側方に配置した態様を示し、同図(b) は、一の配線基板36をバックライト装置40の側方に配置した態様を示し、同図(c) は、一の配線基板36を液晶素子P の背面に配置した態様を示し、同図(d) は、一の配線基板36をバックライト装置40の背面側に配置した態様を示す。なお、図示のバックライト装置40は、線光源41が液晶素子P の端部に配置されたエッジ式のバックライト装置であるが、もちろんこれに限る必要はなく、直下式のバックライト装置を用いても良い。ここで、線光源41としては蛍光管等を挙げることができ、また、エッジ式のバックライト装置の場合には導光体を配置するようにしてもよい。
【0028】
次に、本発明に係る液晶装置の製造方法の一実施の形態について、図6及び図7を参照して説明する。
【0029】
上述のように駆動用素子34を取り付けた液晶素子P を用意する。
【0030】
次に、図7(a) に詳示するように、一の配線基板36に形成した複数の電極36aが前記他の電極群35における複数の電極35aとそれぞれ対向するように、前記一の配線基板36と前記基板32との位置合わせを行い、これらを適正位置に配置する。なお、これらの位置合わせは、図6に示すように、一の配線基板36や基板32に予め形成しておいた位置合わせ用のマーク(アライメントマーク)A1,A2,B1,B2を用い、これらのアライメントマークA1,A2,B1,B2をカメラで認識することによって行っても良く、一の配線基板36や基板32に形成された電極36a,35のパターンをカメラで認識することによって行っても良い。
【0031】
さらに、一の配線基板36や液晶素子P に対して他の配線基板37の位置合わせを行い、一の配線基板36と他の配線基板37と液晶素子P とを適正位置に配置する。そして、他の配線基板37に形成した複数の電極37aのうち各電極を、前記一の配線基板36における対向する電極36aに接続し、前記他の配線基板37に形成した複数の電極37aのうち各電極を、前記他の電極群35における対向する電極35aに接続する。なお、前記他の配線基板37と前記一の配線基板36との位置合わせは、これらに形成されたアライメントマークD1,D2,E1,E2又は電極パターンを用いて行い、かつ、前記他の配線基板37と前記基板32との位置合わせは、これらに形成されたアライメントマークC1,C2,D1,D2又は電極パターンを用いて行えば良い。
【0032】
ここで、これらのアライメントマークを認識するためのカメラは、アライメントマークに対向する位置に配置すれば良いが、例えば、基板32や他の配線基板37が透明である場合には、アライメントマークはこれら基板32等を介して認識できるのでアライメントマークに対向しない側に配置しても良い。また、基板32が透明でない場合にはアライメントマークD1,D2を基板32に重ならない部分に設けると共にカメラを液晶素子P の裏側に配置する必要があるが、基板32が透明である場合には、アライメントマークD1,D2の認識は基板32を介して行うことができるため、アライメントマークD1,D2を基板32に重なる部分に設けても良い。
【0033】
次に、本実施の形態の作用について説明する。
【0034】
本実施の形態によれば、一の配線基板36と駆動用素子34とは、前記他の配線基板37及び前記他の電極群35を介して電気的に接続されているため、前記液晶素子P を駆動するための信号は、前記一の配線基板36、前記他の配線基板37、前記他の電極群35及び前記駆動用素子34を介して前記一の電極群33に伝達され、液晶素子P が駆動される。
【0035】
次に、本実施の形態の効果について説明する。
【0036】
本実施の形態によれば、図7(a) に示すように、前記一の配線基板36側の電極36aが正規の位置からdだけずれていても(例えば、基板32側の対向すべき電極32aと対向しないようになっていても)、同図(b) に示すように(すなわち、電極37aと電極35aとのずれ量d1が電極37aの幅以下となり、電極37aと電極36aとのずれ量d2が電極37aの幅以下となるように)他の配線基板37を配置することにより、前記一の配線基板36並びに前記他の配線基板37における対向する電極どうし36a,37aが電気的に接続され、該他の配線基板37並びに前記他の電極群35における対向する電極どうし37a,35aが電気的に接続され、一の配線基板36、他の配線基板37並びに前記他の電極群35の電気的接続を充分に確保できる。但し、ずれ量dは、電極35の中心と電極36の中心のずれ幅である。その結果、液晶装置を量産する場合において製造歩留りを向上できる。また、一の配線基板36は、長尺であって製造誤差が大きいものであっても良く、大画面の液晶素子を製造することも可能となる。さらに、解像度が高い液晶装置や、動画表示が可能な液晶装置を提供できる。
【0037】
【実施例】
本実施例に係る液晶装置30においては、基板31,32としてガラス基板を用い、これらのガラス基板31,32の内面には、図4に示すように、一の電極群としての走査電極及び情報電極を形成した。なお、これらの電極は、ガラス基板31,32の端縁付近にまで延設した(符号33参照、一部のみ図示)。
【0038】
一方、駆動用素子としての駆動用IC34は、電極の延設部分にそれぞれ配置し、ガラス基板の端縁に沿って複数個取り付けた。なお、ガラス基板32に搭載した駆動用IC34の個数は12個とした(図4では、図を見やすくするために駆動用IC34の個数を少なめに示している)。
【0039】
また、ガラス基板31,32の端縁部(正確には、駆動用IC34とガラス基板31,32の端縁との間)には、他の電極群としての中間電極35を形成した。この中間電極35は、多数のストライプ状の電極を併設させて形成し(図7の符号35a参照)、1つの駆動用IC34に対して50本ずつ電気的に接続されるようにした。さらに、各ガラス基板31,32の外面には偏光板38を貼付した。
【0040】
一方、一の配線基板36としては多層PCB(プリンテッド・サーキット・ボード)を使用した。ここで、PCB36は、液晶パネルP の縦横寸法とほぼ同等の長さとし、液晶パネルP の端縁に沿うように配置した。つまり、PCB36は、複数個の駆動用IC34に沿って1個配置されることとなる。なお、このPCB36には、ストライプ状の電極36aを一定ピッチで多数形成した。
【0041】
また、他の配線基板37としては、1層構造のFPC(フレキシブル・プリンテッド・サーキット)を使用した。このFPC37は、PCB36よりも短く(ガラス基板32の端縁方向に短く)形成し、各1つの駆動用IC34とPCB36とを接続するように複数個(ガラス基板32に対しては12個)配置した。このFPC37は、厚さが15〜75μmのポリイミドからなるフレキシブルなテープを使用し、このテープの表面にフォトリソ法によってストライプ状の電極37aを形成して構成した。なお、フレキシブルテープの少なくとも1か所にはスリットを形成し、このスリット部分においては電極37aを軟性ポリイミドにてコーティングし、FPC37の折り曲げがこのスリット部分において可能となるようにした。
【0042】
なお、本実施例においては、パネル側の電極35a、PCB36の電極36a及びFPC側の電極37aは、ピッチをいずれも0.4mmとし、電極幅を0.2mmとした。
【0043】
さらに、上述したPCB36とFPC37、並びにFPC37と中間電極35とは、共に異方性導電接着剤(異方性導電接着部材)にて接着し、対向する電極どうし36a,37a、並びに対向する電極どうし37a,35aを電気的に接続させた。
【0044】
また、PCB36は、FPC39を介して不図示の制御回路部に接続した。
【0045】
一方、上述したガラス基板31,32の角部にはアライメントマークA1,A2を形成し、PCB36の側であって、これらのアライメントマークA1,A2に対向する部分にはアライメントマークB1,B2を形成した。また、ガラス基板32の表面であって、FPC37が接続される箇所の近傍にはアライメントマークC1,C2を形成し、PCB36の側であって、これらのアライメントマークC1,C2に対向する部分にはアライメントマークE1,E2を形成した。さらに、FPC37の裏側にはアライメントマークD1,D2を形成した(図6参照)。
【0046】
次に、本実施例に係る液晶装置の製造方法について、図6を参照して説明する。
【0047】
上述のように駆動用IC34を取り付けた液晶パネルP を用意した。なお、ガラス基板32、FPC37及びPCB36の接続部分には異方性導電接着剤を予め配置しておいた。
【0048】
次に、アライメントマークA1,A2とアライメントマークB1,B2とを使って、ガラス基板32とPCB36との位置合わせを行った。
【0049】
なお、この状態でも両者の間に相対位置ずれがある場合(PCB36とガラス基板32の配線接続部の両端部のパターン間距離に差が生じている場合)には、アライメントマークD1,D2とアライメントマークC1,C2とを認識して位置合わせをし、上記パターン間距離の差量を各FPC37の搭載位置に応じて演算し、PCB36の電極とのずれ量を想定して位置をずらすこととした。
【0050】
次に、アライメントマークD1,D2とアライメントマークC1,C2とアライメントマークE1,E2とを認識し、ガラス基板32やPCB36に対してFPC37の位置合わせを行い、FPC37をガラス基板32やPCB36に接着した。なお、この接着は、加熱したヒータヘッドにより熱圧着することにより行った。但し、この熱圧着は二段階に分け、一段階目は、温度・圧力・時間が小さい条件で行い(仮付け)、二段階目は、温度・圧力・時間が大きい条件で行った(本付け)。
【0051】
なお、図4で示す液晶装置30においては、FPC37は駆動用IC34に対して1つずつ設けてFPC37の数と駆動用IC34の数とを同じにしたが、もちろんこれに限る必要はない。例えば、図9に示すように2つの駆動用IC34に対して1つのFPC37を配置しても良く、さらに3つ以上の駆動用IC34に対して1つのFPC37を配置しても良い。駆動用IC34のサイズが小さく多数の駆動用IC34を搭載する場合には、複数個の駆動用IC34に対して1つのFPC37で入力信号を供給するのが効率的である。
【0052】
次に、本実施例の効果について説明する。
【0053】
本実施例によれば、PCB36の電極36aとパネル側の電極35aとの電気的接続が達成された。
【0054】
この点について以下に考察する。
【0055】
例えば、PCB36の長さが340mmであって±0.05%の寸法公差が生ずる場合、その寸法公差の値は±0.17mmとなる。かかる場合に、ガラス基板32とPCB36とを、それらの中央部の電極を基準にして±0.015mmの精度で位置合わせをしたとき、両端部の電極のズレ量(図7(a) の符号d参照)の最大は±0.1mm(=±0.17mm/2+0.015mm)となる。
【0056】
ここで、仮に、FPC37の電極37aを電極35aに位置合わせしたとすると、これらの電極37a,35aのズレ量d1は0となって(すなわち、それらの電極37a,35aの重なり幅が電極幅と同じ0.2mmとなって)それらの電気的接続は十分に確保されるものの、他方の電極36aと電極37aとのズレ量d2は±0.1mmとなって(すなわち、これらの電極36a,37aの重なり幅が電極幅の半分以下となって)それらの電気的接続が不十分になってしまう。
【0057】
これに対し、本発明では、図7(b) に示すように、電極35aと電極37aとの間、並びに電極37aと電極36aとの間のいずれにもズレ量d1,d2を与えることにより、電極35aと電極37aとの電気的接続、並びに電極37aと電極36aとの電気的接続を両方共に確保している。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、前記一の配線基板側の電極が正規の位置からずれていても(例えば、基板側の対向すべき電極と対向しないようになっていても)、前記一の配線基板並びに前記他の配線基板における対向する電極どうしが電気的に接続され、該他の配線基板並びに前記他の電極群における対向する電極どうしが電気的に接続されるように他の配線基板を配置することにより、一の配線基板、他の配線基板並びに前記他の電極群の電気的接続を充分に確保できる。その結果、液晶装置を量産する場合において製造歩留りを向上できる。また、一の配線基板は、長尺であって製造誤差が大きいものであっても良く、大画面の液晶素子を製造することも可能となる。さらに、解像度が高い液晶装置や、動画表示が可能な液晶装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液晶装置の従来構造の一例を示す図。
【図2】TCPの詳細構造の一例を示す図。
【図3】液晶装置の従来構造の他の例を示す図。
【図4】本発明に係る液晶装置の一実施の形態を示す図。
【図5】本発明に係る液晶装置におけるバックライト装置の構造等を説明するための図。
【図6】本発明に係る液晶装置におけるアライメントマークの位置等を説明するための図。
【図7】ガラス基板、FPC及びPCBにおける各電極の相対位置関係等を説明するための図。
【図8】(a) はFPC37の構造の一例を示す断面図であり、(b) はPCB36の構造の一例を示す断面図。
【図9】本発明に係る液晶装置の他の実施の形態を示す図。
【符号の説明】
30 液晶装置
31,32 ガラス基板(基板)
33 走査電極(一の電極群)
34 駆動用IC(駆動用素子)
35 他の電極群
36 PCB(一の配線基板)
37 FPC(他の配線基板)
A1,A2 アライメントマーク
B1,B2 アライメントマーク
C1,C2 アライメントマーク
D1,D2 アライメントマーク
E1,E2 アライメントマーク
液晶パネル(液晶素子)

Claims (1)

  1. 一対の基板、これら一対の基板に挟持された液晶、及びこれら一対の基板の少なくとも一方に形成された一の電極群を有する液晶素子と、前記基板の端縁に沿って取り付けられて前記一の電極群に電気的に接続された複数個の駆動用素子と、これら複数個の駆動用素子に沿って配置されてこれらの駆動用素子に信号を供給する一の配線基板と、を備え、前記液晶素子を駆動するための信号が前記一の配線基板及び前記駆動用素子を介して前記一の電極群に伝達される液晶装置において、
    前記複数の駆動用素子に電気的に接続されるように前記基板に形成された他の電極群と、
    前記一の配線基板と前記基板との間に複数個併設されて、前記他の電極群を介して各駆動用素子と前記一の配線基板とを電気的に接続する他の配線基板と、を備え、
    該他の配線基板は、複数の駆動用素子に対して1つずつ配置され、かつ、
    前記液晶素子を駆動するための信号が、前記一の配線基板、前記他の配線基板、前記他の電極群及び前記駆動用素子を介して前記一の電極群に伝達される、
    ことを特徴とする液晶装置。
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