JP3554166B2 - 電子回路基板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子が収容搭載される半導体素子収納用のパッケージ、半導体素子とコンデンサ及び抵抗体等の各種電子部品が搭載される混成集積回路装置等に好適な電子回路基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子収納用のパッケージや混成集積回路装置等に用いられる電子回路基板は、一般にアルミナ質焼結体等の電気絶縁性に優れたセラミックからなる絶縁基板を用いて構成される。そして、その絶縁基板の一主面、内部、あるいは一主面に形成された電子部品搭載用の凹部周辺に、タングステン(W),モリブデン(Mo),マンガン(Mn)等の高融点金属からなる複数の配線が形成される。また、前記配線の少なくとも一部は、絶縁基板内部に設けた前記高融点金属からなるスルーホール導体やビアホール導体で接続されている。
【0003】
このような電子回路基板において、例えば半導体素子収納用のパッケージでは、絶縁基板中央部の凹部の底面に半導体素子をガラス、樹脂あるいはロウ材等の接着剤を介して接着固定する。その際、半導体素子の各端子電極を、前記凹部周辺の配線にボンディングワイヤを介して電気的に接続し、金属やセラミックからなる蓋体で前記凹部を塞ぐように、前記接着剤と同様の封止材を介して蓋体を接合し、前記凹部内に半導体素子を気密に収納することにより半導体装置としていた。
【0004】
しかしながら、近年のICやLSI等の半導体素子の高速化、高集積化に伴い、半導体素子搭載用の電子回路基板は配線パターンの細線化が行われ、高密度な配線パターンが形成されるようになっている。また、半導体素子の大パワー化に伴い、大パワー電送用のパワー配線が用いられている。従来、このパワー配線はワイヤー,金属板等から成り、また電子回路基板の回路構成により屈曲部を有する場合が多々ある。そして、パワー配線は、例えば制御回路に接続される制御信号電送用配線に流れる電流(数mA)よりも大きな電流(数A〜数10A)が流れる。
【0005】
そして、パワー配線の抵抗によりそれ自体でジュール熱が生じ易く、パワー配線が形成された電子回路基板全体が発熱してしまうことがある。近年、制御回路とパワー配線を同一の電子回路基板に実装するような構造や、パワートランジスタ等のパワー半導体素子を搭載する電子回路基板においては、パワー半導体素子自体の発熱に加え、パワー配線及び電子回路基板の発熱が問題となる場合がある。
【0006】
また、半導体素子を搭載した各種電子装置の用途の拡大により、その使用環境は従来よりも多彩かつより厳しいものとなっており、特に自動車の電子制御化に伴って車載用の電子装置の場合、使用環境が厳しい上に高い信頼性が要求される。
【0007】
上記車載用の電子装置においては、高い信頼性を確保する上で重要となるのが、放熱性を考慮した回路設計である。即ち、電子装置用の電子回路基板に搭載されたパワー半導体素子自体の放熱性の確保と、パワー配線自体の発熱の低減とによって、電子装置全体をパワー半導体素子の適正な動作温度以下に保つことである。そこで、高い放熱性を確保し、パワー配線の発熱を低減するために、パワー配線材料の改良、基板構造の改良、放熱板の追加、改良等の対策が採られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、低抵抗の配線材料は基本的に銅(Cu、融点約1085℃)等の低融点金属であり、高温焼成して作製されるアルミナ質セラミック材料等からなる電子回路基板では、前記低抵抗の配線材料は同時焼成で形成できない。また、パワー配線の断面積の増大(太線化)による低抵抗化は、高密度実装の観点からは実装密度を低下させるため、好ましくない。放熱板等を用いた高放熱構造の電子回路基板は、現状では高コストなものであり実用性が低い。
【0009】
上記の通り、配線材料の改良、パワー配線の断面積の増大(太線化)、電子回路基板構造の改良のいずれをとってみても、製造工程の煩雑さや実装密度の低下及びコストの問題等により、放熱性の向上が困難である。
【0010】
従って、電子回路基板上でのパワー半導体素子の配置等に加えて、パワー配線の配線パターンに十分考慮する必要がある。特に、パワー配線が屈曲部を有する場合は、屈曲部での電流の流れ特性により電流が最短経路を流れようとするため、屈曲部の内側に電流が集中し、前記内側でのジュール熱の発生が大きくなる。そして、屈曲部近傍にパワー半導体素子、制御用IC等の半導体素子があると、前記ジュール熱により、その適正な動作温度範囲を超えてしまい誤動作を起こすことがある。
【0011】
従って、本発明は上記事情に鑑みて完成されたもので、その目的は、パワー配線の屈曲部で生じるジュール熱による発熱を低減し、電子回路基板の温度上昇を抑制することにより、半導体素子等の電子部品の誤動作を招かないものとすることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子回路基板は、アルミナ質セラミックから成る絶縁基板の表面に、メタライズペーストをパターン印刷し、前記絶縁基板と同時焼成して形成されて成り、かつ実抵抗が1mΩ/□・mm以上であり1A以上の大電流が流れるパワー配線を有する電子回路基板であって、前記パワー配線の屈曲角が45°〜135°の屈曲部を内側に向かって幅広に形成するとともに、前記屈曲部の最大幅をwm1、パワー配線の直線部を一定の線幅wで単純屈曲した時の単純屈曲部の最大幅をwm とした場合、wm1≧1.1×wm であることを特徴とする。
【0013】
上記構成により、大電流が流れるパワー配線の屈曲部を内側に向かって幅広に形成し、前記屈曲部での電流経路を短くすることができ、屈曲部での電流密度の偏りを抑制し、ジュール熱による局所的な発熱が低減できる。その結果、大電流印加時の前記屈曲部での局所的温度上昇によるパワー配線の溶断等が防止され、パワー配線の屈曲部近くに配置された半導体素子の、適正な動作温度上限以上への昇温による誤動作等の不具合を生じないという、高い信頼性を有することとなる。
【0014】
本発明において、好ましくは、前記屈曲部の内側の形状が、単純屈曲部を形成する基準線に内接する曲率半径0.5w以上の円弧状であり、前記メタライズペーストが、W、Mo又はMnを主成分とし、前記絶縁基板が、アルミナ、窒化アルミ、窒化珪素、サイアロン、ムライト又は炭化珪素を主成分とするセラミックスからなり、前記パワー配線が、1A以上の大電流の送電ように使用される
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の電子回路基板について以下に説明する。図1〜図3は、本発明の電子回路基板Kを示し、図1はパワー配線2の屈曲部の拡大平面図、図2(a),(b)はそれぞれ本発明の他の実施形態の拡大平面図、図3は屈曲角θを説明するための屈曲部の拡大平面図である。
【0016】
図1において、1は電子回路基板用のセラミックから成る絶縁基板、2は絶縁基板1表面に形成されたパワー配線である。本発明の絶縁基板1はアルミナ、窒化アルミ、窒化ケイ素、サイアロン(Si,Al,O,Nを含有)、ムライト又は炭化ケイ素等を主成分とするセラミックから成る。
【0017】
本発明のパワー配線2は、単位長さ(例えば1mm)当たりの実抵抗Re が1mΩ/□・mm以上と比較的大きいものであり、このRe はパワー配線2のシート抵抗Rs (mΩ/□)を線幅w(mm)で除した値である。尚、Rs =ρ/t(ρ:比抵抗、t:厚さ)である。例えば、W,Mo等の場合、Rs =5〜10mΩ/□、線幅wは高密度配線を行うためには5mm以下がよいことから、Re は1mΩ/□・mm以上となる。この場合、パワー配線2の焼成後の厚さtは一般的に10〜100μm程度である。
【0018】
また、W,Mo等の金属粒子の平均粒径は1〜5μmがよく、1μm未満では凝集粒が生じ易く、その場合パワー配線2のパターン印刷時に金属粒子の充填性(緻密性)が失われ抵抗値が増大する。一方、5μmを超えると、パターン印刷時にパターンが滲み、正確な配線形状が形成し難い。
【0019】
前記パワー配線2は、一般には数A〜数10Aの大電流の電送用に使用されるものであり、少なくとも1A以上、特に5A以上、更には10A以上の大電流の電送用のものをいう。1A未満では発熱量が小さく、本発明による屈曲部でのジュール熱の抑制効果が得難い。
【0020】
また、前記パワー配線2の屈曲部は、図3に示すように、屈曲角θが45°〜135°のものであり、45°未満ではジュール熱抑制の効果が小さいかほとんどなく、135°を超えると屈曲部の最大幅wm1が非常に大きくなり本発明の効果が発揮されず、また一般的に実施し難い角度及び形状である。
【0021】
更に、パワー配線2の直線部を一定の線幅wで単純屈曲した時の単純屈曲部の最大幅をwm とした場合、前記屈曲部の最大幅wm1がwm1≧1.1×wm である。好ましくはwm1≧1.2×wm 、より好ましくはwm1≧1.3×wm である。wm1<1.1×wm では、電子回路基板Kの温度上昇が従来とほぼ同等となる。
【0022】
また好ましくは、前記屈曲部の内側の形状が、単純屈曲部を形成する基準線s,sに内接する曲率半径0.5w以上の円弧状である。この場合、屈曲部の最大幅wm1は、1.414w+1.414r−r=1.414w+0.414rであり、r=0.5wでwm1=1.621wとなり、wm =1.414wであるから、wm1=1.15×wm となることが判る。
【0023】
本発明のパワー配線2の線幅wは、具体的には0.1〜10mmがよく、0.1mm未満では1A以上の電流を印加した際、パワー配線2の電気抵抗が大きく、そのためパワー配線2のみならず絶縁基板1の温度上昇が大きくなり、場合によってはパワー配線2が断線する。また、10mmを超えると絶縁基板1に実装する他の部品の実装密度が低下し、一方実装密度を高めようとすると複雑で無理な配線パターンとなり易く、配線パターンのスクリーン印刷法による形成が困難になる。好ましくは、0.1〜5mmがよい。
【0024】
また、パワー配線2の材質は、抵抗率が5×10−8Ω・m以上の金属、例えばW(抵抗率=5.5×10−8Ω・m),Mo(抵抗率=5.6×10−8Ω・m),Mn(抵抗率=42×10−8〜48×10−8Ω・m)等を主成分とするメタライズペーストをパターン印刷し、前記絶縁基板1と同時焼成により形成可能なものが好ましい。これらの金属は電気的な抵抗率は大きいものの、融点が高く(W:3387℃,Mo:2610℃,Mn:1244℃)、このため絶縁基板1と同時焼成することができる。
【0025】
図2は、パワー配線2の他の実施形態であり、(a)は屈曲部の内側の形状が、単純屈曲部を形成する基準線s,sと一本の直線L1 によって三角形状としたものであり、(b)は屈曲部の内側の形状が、基準線s,sと二本の直線L2 ,L3 によって四角形状としたものである。上記(a)において直線L1 を凸状の曲線としたり、(b)において直線L2 ,L3 のなす角を鈍角としてもよく、更には基準線s,sと三本以上の直線で構成してもよい。
【0026】
尚、図4は従来のパワー配線12を示し、その直線部の線幅はwで一定であり、屈曲角90°の単純屈曲部の最大幅wm は約1.4wである。
【0027】
かくして、本発明は、パワー配線2の屈曲部で生じる電流密度の偏りを均一化して、ジュール熱による発熱を低減し、電子回路基板Kの温度上昇を抑制することにより、半導体素子等の電子部品の誤動作を防止できるという作用効果を有する。
【0028】
尚、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更は何等差し支えない。
【0029】
【実施例】
本発明の電子回路基板Kを、アルミナ質焼結体からなる絶縁基板1を用いて以下の工程(1)〜(3)により作製した。
【0030】
(1)平均粒径1μmのAl粉末に、SiO、MgO、CaO等の助剤を5重量%添加し、有機バインダー、可塑剤、溶剤を添加混合して泥漿を調整し、その泥漿を公知のドクターブレード法、カレンダーロール法等のテープ成形技術により、厚さ約300μmのセラミックグリーンシートとして成形した。
【0031】
(2)平均粒径2μmのW粉末にアルミナ粉末2重量%添加し、有機バインダー、可塑剤、溶剤を添加混合して得たメタライズペーストを、前記セラミックグリーンシート上に所望の回路パターンとなるようスクリーン印刷した。尚、回路パターンは、焼結後の厚さtが20μm、線幅4mmであった。
【0032】
そして、前記回路パターンについて、本発明の効果を調べるため、
〔D1〕屈曲部の形状が図1の円弧状のタイプ
〔D2〕屈曲部の形状が図2(a)の直線L1 による三角形状のタイプ
〔D3〕屈曲部の形状が図1の円弧状のタイプで、屈曲角θが90°以外の20°,45°,135°の3種類のもの
〔D4〕比較例として、図4のようなパワー配線2の屈曲部が幅広になっていない、単純屈曲部のもの
を作製した。
【0033】
(3)回路パターンをスクリーン印刷したグリーンシートを積層し、これをHとNの混合ガスから成る還元性雰囲気中で、約1600℃の温度で同時焼成して、厚さ約1mmの4層から成る電子回路基板Kを作製した。
【0034】
このようにして作製したパワー配線2のシート抵抗Rs は、4端子法により測定した結果8mΩ/□であり、そしてパワー配線2の1mm長さ当たりの実抵抗Re は4mΩ/□・mmであった。
【0035】
かくして、これらの電子回路基板Kの表層に形成されたパワー配線2の入出力の両端部にリード線を半田付けし、直流安定化電源からリード線に電流を流し、その際の電子回路基板Kの温度状態をサーモグラフにより観察し、各電子回路基板Kの温度状態を調べた。各電子回路基板Kの温度状態について、屈曲部及びその周囲が定常状態に達した時の最高温度と、屈曲部が幅広になっていないパワー配線2の単純屈曲部及びその周囲が定常状態に達した時の最高温度との比をとり、本発明のパワー配線2を評価した。その結果を表1に示す。尚、表1中の屈曲部形状のrは、上記D1タイプにおける円弧状部の曲率半径であり、wはパワー配線2の直線部の線幅である。
【0036】
【表1】
Figure 0003554166
【0037】
表1から明らかなように、試料番号9(比較例)と比較して、試料番号1〜8(実施例)は、パワー配線2の屈曲部及びその周囲の最高温度が低下した。
【0038】
また、屈曲角θが45°である、試料番号10(実施例)と試料番号11(比較例)の場合、試料番号10はパワー配線2の屈曲部及びその周囲の最高温度が低下した。
【0039】
θ=135°の場合においても、試料番号12(実施例)と試料番号13(比較例)を比較すると、試料番号12はパワー配線2の屈曲部及びその周囲の最高温度が低下した。
【0040】
θが45°未満のθ=20°の場合、試料番号14(実施例)と試料番号15(比較例)を比較すると、θが小さいため、屈曲部での電流密度の偏りがほとんどなくなり、試料番号14には本発明の効果が現れなかった。
【0041】
また、試料番号16〜18は図2(a)のD2タイプであるが、これらのものも屈曲部及びその周囲の最高温度が低下した。
【0042】
【発明の効果】
本発明は、パワー配線の屈曲角が45°〜135°の屈曲部を内側に向かって幅広に形成し、パワー配線の直線部を一定の線幅wで単純屈曲した時の単純屈曲部の最大幅をwm とした場合、屈曲部の最大幅wm1がwm1≧1.1×wm であることにより、屈曲部での電流密度が均一化され、屈曲部での電気抵抗によるジュール熱の発生が抑制される。その結果、電子回路基板の温度上昇が従来のものよりも低減され、熱的に信頼性の高い電子回路基板となる。また、屈曲部での発熱が抑制されるので、屈曲部近傍にも半導体素子を搭載することができ、実装密度が向上するという効果も有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子回路基板Kを示し、パワー配線の屈曲部の拡大平面図である。
【図2】本発明の他の実施形態であり、(a)は屈曲部を三角形状とした場合の拡大平面図、(b)は屈曲部を四角形状とした場合の拡大平面図である。
【図3】本発明の屈曲角θを説明するための屈曲部の拡大平面図である。
【図4】従来のパワー配線の単純屈曲部の拡大平面図である。
【符号の説明】
1:絶縁基板
2:パワー配線

Claims (5)

  1. セラミックから成る絶縁基板の表面に、メタライズペーストをパターン印刷し、前記絶縁基板と同時焼成して形成されて成り、かつ単位長さ当たりの実抵抗が1mΩ/□・mm以上であり1A以上の大電流が流れるパワー配線を有する電子回路基板であって、前記パワー配線の屈曲角が45°〜135°の屈曲部を内側に向かって幅広に形成するとともに、前記屈曲部の最大幅をwm1、パワー配線の直線部を一定の線幅wで単純屈曲した時の単純屈曲部の最大幅をwmとした場合、wm1≧1.1×wmであることを特徴とする電子回路基板。
  2. 前記屈曲部の内側の形状が、単純屈曲部を形成する基準線に内接する曲率半径0.5w以上の円弧状である請求項1記載の電子回路基板。
  3. 前記メタライズペーストが、W、Mo又はMnを主成分とすることを特徴とする請求項1又は2記載の電子回路基板
  4. 前記絶縁基板が、アルミナ、窒化アルミ、窒化珪素、サイアロン、ムライト又は炭化珪素を主成分とするセラミックスからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子回路基板
  5. 前記パワー配線の幅が5mm以下、厚みが10〜100μmであって、該パワー配線に1A以上の大電流が流れることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子回路基板
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