JP3554082B2 - 固体電解質型燃料電池用アノード、それを用いた固体電解質型燃料電池及び固体電解質型燃料電池の運転方法 - Google Patents

固体電解質型燃料電池用アノード、それを用いた固体電解質型燃料電池及び固体電解質型燃料電池の運転方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体電解質型燃料電池の面内での温度分布のバラツキを改善し、電池寿命を長期間維持しうる固体電解質型燃料電池用アノード、それを用いた固体電解質型燃料電池及び該電池の運転方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池において、メタンなどの炭化水素を燃料ガスに用い、水蒸気改質などの改質反応により燃料ガスを水素等に変換させ、これを実質的な燃料ガスとして利用することが広く行われているが、このようなものを含め、一般に大型化した燃料電池はセル面内の温度分布の上下幅が大きいという問題があった。
すなわち、燃料電池の作動時において、通常燃料ガスはセルの各供給部分に均等に供給、分配されているが、その場合、セル面内の温度分布は、燃料ガスの流路についてみると入り口側の方が低温、出口側の方が高温であり、しかも燃料ガス及び空気などの酸化剤ガスの各流路の出口寄りの交差部付近が最高温となる。このような温度分布のバラツキのため、低温部では電池性能の低下が生じ、また高温部では腐食などが進行しやすく電池寿命を長期間維持するのが困難となり、特に大型のスタック構造のものでは深刻な問題となる。このため、冷却ユニットを数セルごとに挟むなどの措置がなされているが、部材点数が多くなり、コスト高となるのを免れなかった。
【0003】
このため、溶融炭酸塩型燃料電池、なかんずく直接内部改質式のものにおいては、セル面内の温度分布の制御を改質触媒の充填密度を最適化することなどで行っている。
この直接内部改質式のものは、一般に、溶融炭酸塩型燃料電池が、それに供給する燃料の改質方式により、改質装置を燃料電池本体とは別に設ける外部改質方式と、電池内部で燃料を改質する内部改質方式とに大別され、特に後者はシステムの小型化、発電効率の向上などの点で優れているが、この内部改質方式の中で有望視されている、燃料電池本体の燃料ガス通路内に改質触媒を配置する方式のものである。
【0004】
他方、固体電解質型燃料電池においては、前記溶融炭酸塩型燃料電池のように改質触媒が電極材料とは別に配置されるのではなく、アノードがそのまま改質触媒として作用し、改質反応は速い反応速度で主に燃料ガスと接するアノード表面上で起こる。
このため、改質反応は燃料ガス流路入り口側に偏って起こり、中でも水蒸気改質反応を利用する場合には、該反応が吸熱反応であるため、燃料ガス流路入り口側のセル面において急激な温度低下を招き、セル面内の温度分布が一層拡大するのを免れず、さらに、熱応力による歪が不均一に発生するため、この温度分布の制御が強く要望されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情の下、温度分布のバラツキを改善し、電池寿命を長期間維持しうる固体電解質型燃料電池用アノードを提供するとともに、該アノードを有効に利用した、所定固体電解質型燃料電池及び該電池の運転方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記した好ましい特性を有する固体電解質型燃料電池用アノードを開発すべく、鋭意研究を重ねた結果、先に改質触媒能をもつアノードの燃料ガスとの接触面のうち、燃料ガス入口側の箇所に、改質反応の触媒作用を示さないセラミックスからなる所定厚さ、所定孔径のガス透過性多孔質層を設けた所定燃料電池用アノードを提案した(特願平7−92500号)。
このアノードは、水蒸気改質反応などの改質反応を燃料ガス入口側に集中して偏らせることなく、それより下流側へも広げて行わせ、改質反応の起こる箇所の中心部を下流側へシフトさせてセル面内の温度分布を制御するようにしたものである。
本発明者らは、さらに研究を重ねた結果、このアノードのように反応箇所を偏らせないため別の被覆層を設けることなく、改質触媒能をもつアノード材料、中でも同質素材、例えば均一組成のサーメットなどの該アノード材料のみで形成し、かつアノードの少なくとも燃料ガスとの接触表面部の比表面積についてその燃料ガス入口側よりも燃料ガス出口側の方を大きくすることにより、このアノードを用いたセルにおいて、長期間にわたりセル面内の温度分布を十分制御することができ、セル性能を長期間安定に維持しうることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)固体電解質の両面にそれぞれカソード及びアノードを設けた単位セル、両面にそれぞれ各原料ガス通路を互いに交差方向に設けたセパレータ及び片面に各原料ガス通路を単位セルの積層方向の上下末端に設けた外部端子を備え、これらを集積して成る固体電解質型燃料電池において、アノードとして、それにおける少なくとも燃料ガスと接触する表面部について、その材料として燃料ガスの改質反応の触媒作用を示し、かつその比表面積について燃料ガス入口側の箇所よりも燃料ガス出口側の箇所の方を大きくしたサーメットを用いたことを特徴とする固体電解質型燃料電池、
(2)アノードを、二分した一方の燃料ガス出口側分については単層とするとともに、他方の燃料ガス入口側分については燃料ガス出口側分と同じ下層とそれに比し比表面積が小さい上層との積層構造とした前記(1)記載の固体電解質型燃料電池、及び(3)燃料ガスとして、炭化水素を用い、これを水蒸気とともに燃料ガス通路へ均等に供給することを特徴とする前記(1)項又は(2)項記載の固体電解質型燃料電池の運転方法を提供するものである。
本発明の好ましい態様としては、
(5)アノードがニッケルとセラミックスのサーメットである前記(1)項又は(2)項記載の固体電解質型燃料電池
(6) 比表面積が、燃料ガス入口側の箇所で0.01〜0.2m2/g、燃料ガス出口側の箇所で0.5〜2.0m2/gである前記(1)項又は(2)項記載の固体電解質型燃料電池
(7) セラミックスがジルコニア、安定化ジルコニア、セリア、アルミナ、窒化ケイ素及びその他酸素分圧1×10-20atmの雰囲気下1200℃で溶融しないセラミックスの中から選ばれた少なくとも1種である前記(5)項又は(6)項記載の固体電解質型燃料電池
(8) サーメットがニッケルとジルコニアのサーメット又はニッケルとセリアのサーメットである前記(5)項、(6)項又は(7)項記載の固体電解質型燃料電池
が挙げられる。
最も好ましいアノードの態様としては、
(10) アノードと固体電解質との界面付近のアノード部位が0.5〜2.0m2/gの比表面積を有する前記(1)項、(2)項、(5)項、(6)項、(7)項及び(8)項のいずれかに記載の固体電解質型燃料電池
が挙げられる。
【0008】
本発明のアノードにおいては、少なくとも燃料ガスと接触する表面部、好ましくはこの表面部に限らずアノード全体が燃料ガスの改質反応の触媒作用を示すサーメット材料からなる。この材料は同質素材、例えば均一組成であるのが好ましい。
【0009】
このアノード材料については、燃料ガス、特に炭化水素の改質反応の触媒作用を示すもの、すなわち改質触媒能をもつものであれば特に制限されないが、好ましくはメタン、エタン、プロパン、ブタン、LNG等の炭化水素の改質反応、特に水蒸気改質反応の触媒作用を示すもの、例えばニッケルとセラミックスのサーメットなどが挙げられる。
【0010】
上記サーメットを構成するセラミックスとしては、ジルコニア、イットリア安定化ジルコニア(以下、YSZという)などの安定化ジルコニア、セリア、アルミナ、窒化ケイ素、その他酸素分圧1×10−20atmの雰囲気下1200℃で溶融しないセラミックスなどが挙げられる。
【0011】
上記サーメットとしては、好ましくは、ニッケル−ジルコニア、酸化ニッケル−ジルコニア、ニッケル−セリア、酸化ニッケル−セリア、ニッケル−YSZ、酸化ニッケル−YSZが挙げられる。
【0012】
本発明のアノードの前記表面部について、その材料の比表面積は、燃料ガス入口側の箇所よりも燃料ガス出口側の箇所の方を大きくすることが必要である。この比表面積は、燃料ガス入口側の箇所において好ましくは0.01〜0.2m/g、より好ましくは0.01〜0.1m/g、燃料ガス出口側の箇所において好ましくは0.5〜2.0m/g、より好ましくは0.5〜1.0m/gの範囲で選ばれる。
また、本発明のアノードの形態としては、例えばこの表面部を適当な比率、例えば1/2ずつに二分し、その一方の燃料ガス入口側分と他方の燃料ガス出口側分とでその材料の比表面積について上記のように変えたものなどが挙げられるが、好ましくは、表面部に限らずアノード全体を適当な比率に二分し、その燃料ガス出口側分については単層とするとともに、燃料ガス入口側分については2層構造、例えば燃料ガス出口側分と全く同じ下層とそれに比し比表面積が小さい上層との積層構造などとするのがよい。
また、アノードと固体電解質との界面付近のアノード部位、中でもアノードの固体電解質と接する部位における比表面積の多寡は端的に電極活性ひいては分極抵抗などに影響するため、この比表面積は大きい方が好ましいが、アノード全体を他の部材と共に組み込んだ電池全体としては、全体的にバランスのよいセル性能、すなわち変換効率、出力密度、耐久性、安定性などの総合バランスの優れたセル性能が要求されるため、この比表面積として好適なのは0.5〜2.0m/gの範囲である。
【0013】
本発明のアノードの固体電解質への被着方法としては、例えばスクリーン印刷法、はけ塗り法などが挙げられる。この際用いられる原料としては、通常ペーストが用いられ、これはアノード原料粉体や粒体、バインダー、分散剤、増孔剤などの原材料の使用割合やアノード原料粒径等を適宜調整して、混合することによって調製することができる。
【0014】
また、本発明のアノードを有効に利用した固体電解質型燃料電池としては、固体電解質の両面にそれぞれカソード及びアノードを設けたセル及び片面に各原料ガス通路を設けた2種の外部端子を備え、これらを集積して成るか、あるいは固体電解質の両面にそれぞれカソード及びアノードを設けた単位セル、両面にそれぞれ各原料ガス通路を互いに交差方向に設けたセパレータ及び片面に各原料ガス通路を単位セルの積層方向の上下末端に設けた外部端子を備え、これらを集積して成る固体電解質型燃料電池において、アノードとして本発明のアノードを用いたものが挙げられる。このような固体電解質型燃料電池の中でも特に外部マニホールドを配設したスタック構造のものが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明の固体電解質型燃料電池の1例としての平板状3段直列セルのものについて、その集積様式の展開説明図を示す。これに従い、固体電解質1の両面にそれぞれカソード2及び本発明アノード3を設けた単位セルとセパレータ4とを交互に積層し、その両端の単位セルにそれぞれ外部端子5を積層配設することによって所望の集積セルを作製することができる。
【0016】
このような固体電解質型燃料電池を運転するには、燃料ガスとして、炭化水素を用い、これを燃料ガス通路へほぼ均等に供給するのがよい。炭化水素としては、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、LNGなどが挙げられる。燃料ガスは、好ましくは水蒸気改質のため水蒸気、さらには必要に応じ窒素ガスとともに、供給するのがよい。
また、運転時のアノードにおける燃料ガスの流速は、好ましくは0.05〜5m/sec、より好ましくは0.05〜2m/sec、中でも特に0.05〜1m/secの範囲に制御するのがよい。流速は大きい方が改質率が低下するので、セパレータの溝形状を浅くしたり、細くするか、あるいは不活性ガスを導入することで流速を増大させて改質率を低下させることができる。
【0017】
【発明の効果】
本発明のアノードは、固体電解質型燃料電池用として好適であり、これを用いた本発明の固体電解質型燃料電池は、セル面内の温度分布のバラツキが改善される。
さらに、本発明のアノードとしては、固体電解質と接する部位における比表面積が0.5〜2.0m/gのものが、セル性能の全体バランスに優れるので特に好ましい。
また、本発明の運転方法によれば、セル面内での温度分布のバラツキを改善し、電池寿命を長期間維持しうる。
【0018】
【実施例】
次に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
実施例1
図2に示すように、ジルコニアにイットリアを8モル%ドープしたイットリア安定化ジルコニア(以下、8YSZという)からなる15cm角の固体電解質板の片面に、次のようにして燃料極を形成した。燃料極の全面積を1/2ずつに二分し、そのうちの燃料ガス入口側分についてはニッケルとジルコニアの重量比1:1のサーメットを、その粉末(比表面積0.01m/g)を有機系バインダー(エチルセルロース)に分散した塗布液を用いた塗布法により被着し、また燃料ガス出口側分についてはニッケルとジルコニアの重量比1:1のサーメットを、その粉末(比表面積0.7m/g)を有機系バインダー(エチルセルロース)に分散した塗布液を用いた塗布法により被着し、それぞれ厚さ95μmに形成した。
また、固体電解質板の他方の片面には、LaMnOを、その粉末(平均粒径5μm)を有機系バインダー(エチルセルロース)に分散した塗布液を用いた塗布法により被着し厚さ95μmの空気極とした。
【0019】
実施例2
図3に示すように、8YSZからなる15cm角の固体電解質板の片面に、次のようにして燃料極を形成した。燃料極の全面積を1/2ずつに二分し、そのうちの燃料ガス入口側分についてはニッケルとジルコニアの重量比1:1のサーメットを、その粉末(比表面積0.7m/g)を有機系バインダー(エチルセルロース)に分散した塗布液を用いた塗布法により被着して厚さ30μmに形成し、次いでニッケルとジルコニアの重量比1:1のサーメットを、その粉末(比表面積0.01m/g)を有機系バインダー(エチルセルロース)に分散した塗布液を用いた塗布法により被着して厚さ65μmに形成した。燃料ガス出口側分についてはニッケルとジルコニアの重量比1:1のサーメットを、その粉末(比表面積0.7m/g)を有機系バインダー(エチルセルロース)に分散した塗布液を用いた塗布法により被着して厚さ95μmに形成した。
また、固体電解質板の他方の片面には、LaMnOを、その粉末(平均粒径5μm)を有機系バインダー(エチルセルロース)に分散した塗布液を用いた塗布法により被着し厚さ95μmの空気極とした。
【0020】
実施例3
図4に示すように、8YSZからなる15cm角の固体電解質板の片面に、次のようにして燃料極を形成した。燃料極は2層構造になっており、一層目は全面にニッケルとジルコニアの重量比1:1のサーメットを、その粉末(比表面積0.7m/g)を有機系バインダー(エチルセルロース)に分散した塗布液を用いた塗布法により被着して厚さ90μmに形成し、二層目は全面積の1/2に当たる燃料ガス入口側分についてのみニッケルとジルコニアの重量比1:1のサーメットを、その粉末(比表面積0.01m/g)を有機系バインダー(エチルセルロース)に分散した塗布液を用いた塗布法により被着して厚さ10μmに形成した。
また、固体電解質板の他方の片面には、LaMnOを、その粉末(平均粒径5μm)を有機系バインダー(エチルセルロース)に分散した塗布液を用いた塗布法により被着し厚さ95μmの空気極とした。
【0021】
比較例1
図5に示すように、8YSZからなる15cm角の固体電解質板の片面に、ニッケルとジルコニアの重量比1:1のサーメットを、その粉末(比表面積0.7m/g)を有機系バインダー(エチルセルロース)に分散した塗布液を用いた塗布法により被着して厚さ95μmの燃料極とした。また、固体電解質板の他方の片面には、LaMnOを、その粉末(平均粒径5μm)を有機系バインダー(エチルセルロース)に分散した塗布液を用いた塗布法により被着して厚さ95μmの空気極とした。
【0022】
比較例2
図6に示すように、比較例1のサーメットに代えてニッケルとジルコニアの重量比1:1のサーメット粉末(比表面積0.01m/g)を用いた以外は比較例1と同様にして固体電解質板の両面にそれぞれ燃料極及び空気極を形成した。
【0023】
実施例4
実施例1ないし実施例3で得られた電極付き固体電解質板とそれと同じ大きさの2種の端子板とを集積し、固体電解質型燃料電池を作製した。各端子板はそれぞれ燃料及び空気を流す溝が集積時に互いに直交するように配設されるLa0.8Sr0.2CrOから成る集電体で構成した。
このようにして作製した燃料電池を加熱した。室温から350℃までは加熱空気を流し、350℃から1000℃までは燃料側にアノード酸化を防止するために窒素ガスを流した。その後、10℃に保持してアノード側に水素、カソード側に空気をそれぞれ供給し、0.3A/cmの電流密度で電流を流し発電を開始した。
発電時の燃料電池面内の温度分布を測定した結果を図7に示す。図のように面内の温度は発電による発熱とセル表面からの放熱により、中央付近でややガスの出口よりに温度の高い部分ができることが分る。
次に、このセルの燃料極側にメタンガスを水蒸気とともに供給し同じ電流密度での発電を行った。メタンガスと水蒸気の比率は水蒸気/炭素比が3になるように設定した。このときの燃料電池面内の温度分布を図8に示す。
この結果は、次のように推測される。すなわち、メタンガスは燃料極材料であるニッケルとジルコニアのサーメットにより水素、水蒸気、一酸化炭素、二酸化炭素に改質される。この改質反応は吸熱反応であるため、発電によって発生する熱を吸収し、燃料電池面内の温度を低下させる。また、さらに入口側、出口側の燃料極の比表面積が異なるため改質反応速度が異なり、出口側での反応が進みやすいため、温度が上昇しやすい出口側の温度上昇が抑制される。
【0024】
比較例3
電極付き固体電解質板を比較例1で得られたものに代えた以外は実施例1と同様にして発電試験を行った。このときの燃料電池面内の温度分布を図9に示す。これより、燃料ガスの入口付近の温度が低くなっている。これは、メタン改質が入口だけで起こり、その付近の温度を下げていることを示すものである。
【0025】
比較例4
電極付き固体電解質板を比較例2で得られたものに代えた以外は実施例1と同様にして発電試験を行った。このときの燃料電池面内の温度分布を図10に示す。
これより、改質による温度低下の効果が少ないことが分る。
【0026】
これらの発電試験でセルを連続運転した結果を図11に示す。図中、実線は実施例4の場合の連続運転特性で実施例1ないし3のいずれのアノード付き固体電解質板を用いても同様の結果を示し、長時間にわたって安定した運転が可能であるのに対し、点線は比較例3及び比較例4の場合の連続運転特性であって、面内に多様な温度分布が生じるために、運転を長時間行うと安定性が低下し、電池性能が劣化することが分る。
【0027】
以上のように、アノード表面部について、燃料ガス入口側の箇所と燃料ガス出口側の箇所とで比表面積を変えることにより、効果が変動することが分る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の固体電解質型燃料電池の1例の集積様式の展開説明図。
【図2】本発明のアノードを被着させた電極付き固体電解質板の1例の断面図。
【図3】本発明のアノードを被着させた電極付き固体電解質板の別の例の断面図。
【図4】本発明のアノードを被着させた電極付き固体電解質板のさらに別の例の断面図。
【図5】従来のアノードを被着させた電極付き固体電解質板の1例の断面図。
【図6】従来のアノードを被着させた電極付き固体電解質板の別の例の断面図。
【図7】水素を燃料ガスに用いた、本発明のセルの運転時のセル面内温度分布を示す等温図。
【図8】メタンを燃料ガスに用いた、本発明のセルの運転時のセル面内温度分布を示す等温図。
【図9】比較例3のセルの運転時のセル面内温度分布を示す等温図。
【図10】比較例4のセルの運転時のセル面内温度分布を示す等温図。
【図11】本発明のセルと比較例3及び4のセルの連続運転結果を示すグラフ。
【符号の説明】
1 固体電解質板
2 カソード
3 アノード
4 セパレータ
5 外部端子

Claims (3)

  1. 固体電解質の両面にそれぞれカソード及びアノードを設けた単位セル、両面にそれぞれ各原料ガス通路を互いに交差方向に設けたセパレータ及び片面に各原料ガス通路を単位セルの積層方向の上下末端に設けた外部端子を備え、これらを集積して成る固体電解質型燃料電池において、アノードとして、それにおける少なくとも燃料ガスと接触する表面部について、その材料として燃料ガスの改質反応の触媒作用を示し、かつその比表面積について燃料ガス入口側の箇所よりも燃料ガス出口側の箇所の方を大きくしたサーメットを用いたことを特徴とする固体電解質型燃料電池。
  2. アノードを、二分した一方の燃料ガス出口側分については単層とするとともに、他方の燃料ガス入口側分については燃料ガス出口側分と同じ下層とそれに比し比表面積が小さい上層との積層構造とした請求項1記載の固体電解質型燃料電池。
  3. 燃料ガスとして、炭化水素を用い、これを水蒸気とともに燃料ガス通路へ均等に供給することを特徴とする請求項1又は2記載の固体電解質型燃料電池の運転方法。
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