JP5826092B2 - 固体酸化物形燃料電池 - Google Patents
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Description
本発明に係る固体酸化物形燃料電池の第一実施形態について図1を参照しつつ説明する。図1における固体酸化物燃料電池は、燃料ガス6と酸化剤ガス7とを導入するためのガスラインを備える反応器8と、当該反応器内に設置された固体酸化物形燃料電池セル1と、燃料極2上に設置された酸化触媒層5からなる。前記固体酸化物形燃料電池セル1は、固体酸化物電解質3と、この固体酸化物電解質3の一方の面に設置された燃料極2と、固体酸化物電解質3を挟んで燃料極2と反対側の面に設置される空気極4と、を備える。
本発明に係る固体酸化物形燃料電池の第二実施形態について図2を参照しつつ説明する。本実施形態が第一実施形態と異なるのは、酸化触媒層5の代わりに酸化触媒5´を燃料ガス供給ライン上に設置した点であるので、その他の構成については説明を省略する。
本発明に係る固体酸化物形燃料電池の第三実施形態について図3を参照しつつ説明する。図3における固体酸化物燃料電池は、燃料ガス6と酸化剤ガス7とを導入する為のガスラインを備える反応器8と、当該反応器内に設置された固体酸化物形燃料電池セル1と、燃料極2上に設置された酸化触媒層5からなり、一般に単室型と呼ばれる形の反応器の形態をとる。前記固体酸化物形燃料電池セル1は、固体酸化物電解質3と、この固体酸化物電解質3の一方の面に設置された燃料極2と、燃料極2と同一の面に離間して設置される空気極4と、を備える。
本発明に係る固体酸化物形燃料電池の第四実施形態について図4を参照しつつ説明する。本実施形態は第三実施形態のうち、酸化触媒層5の代わりに酸化触媒5´を燃料ガス供給ライン上に設置した点のみが異なるため、その他の構成については説明を省略する。
本発明における固体酸化物電解質3は、燃料極2および空気極4が設置されている固体酸化物電解質であり、空気極4で生成した酸素イオンが燃料極2に移動する際に通過する部分を指す。
燃料極は、燃料ガスと、空気極で生じて固体酸化物電解質を介して燃料極へ移動してきた酸素イオンとを反応させる極であり、反応後には燃料排ガス6aを排出する。
空気極は、空気の他、酸素を含むガスが導入される極であり、当該極において酸素は酸素イオンとなり、固体酸化物電解質を介して燃料極に移動する。
酸化触媒層5は、燃料ガスを酸化燃焼させるための酸化触媒を含む層であり、触媒活性成分と固体電解質粒子により形成され、必要に応じて担体を含んでも良い。
酸化触媒5´は、燃料ガスを酸化燃焼させるための酸化触媒を含む成形体であり、触媒活性成分と担体により形成される。
燃料ガス分解反応とは、炭化水素系燃料ガスにおける水蒸気改質反応や、アンモニアを燃料ガスとした場合の改質反応のように、燃料ガスを水素含有ガスに分解する反応のうち、吸熱反応であるものを表す。燃料ガス分解反応により消費される燃料の消費速度rDは、酸化触媒1g当たり、1秒間に水素含有ガスへの分解反応によって消費される燃料ガスのモル数により定義する。
燃料ガス燃焼反応とは、炭化水素系燃料ガスにおける部分酸化反応や自己熱改質反応、アンモニアを燃料とした場合に進行する反応式4で表される反応であり、燃料ガスを酸素により燃焼させる発熱反応である。
本発明による固体酸化物形燃料電池セル1は、従来の一般的な燃料電池と同様、固体酸化物電解質3と、固体酸化物電解質3の一方の面に形成された燃料極2と、固体酸化物電解質3を挟んで燃料極2と反対の面に形成された空気極4とを含むセルとして構成される。
当該電池セル1を成形し、燃料極2に燃料ガス6を導入し、空気極4に酸化剤ガスを導入する。燃料電池としての発電自体は反応式1で進行する。本発明は、吸熱反応等を伴い反応式1を生じることに不利な燃料であっても、2燃料極に対して燃料ガス供給ラインの上流側に酸化触媒5を設置することで熱を得ることができるので、単に燃料を電池セルに導入するだけで導電率等を向上させることにより、電池セルの発電効率を向上させることができる。
燃料ガス6には本発明にかかる燃料電池に燃料として用いることができるガスであれば何れのガスであっても良いが、好ましくは水素、水素を含む化合物ガスであり、更に好ましくはアンモニア、ヒドラジンである。当該燃料ガスは単体もしくは適宜混合して使用することができる。また、燃料ガス6には発電効率が落ちない程度に窒素や希ガスなどの不活性ガスや水蒸気を含んでいてもよい。
酸化剤ガス7としては燃料ガスを酸化する能力を有するものであれば特に問わないが、空気を主に含有するガスのほか、酸素などを用いることができる。
(酸化触媒層材料)
触媒活性成分の原料として、市販のジニトロジアンミン白金溶液(田中貴金属製)、固体電解質粒子として、市販の10モル%スカンジア1モル%セリア安定化ジルコニア粒子(第一稀元素化学工業社製;製品名:10Sc1CeSZ、平均粒子径:0.6μm、比表面積:10.8m2/g)を、白金2重量%(金属換算)と安定化ジルコニア粒子98重量%となるよう攪拌混合して混合物とし、300℃で1時間焼成して酸化触媒層材料を調製した。
電極触媒として、市販の酸化ニッケル粉末(正同化学社製:製品名:Green、平均粒子径:0.7μm、比表面積:3.5m2/g)および、固体電解質粒子として、市販の10モル%スカンジア1モル%安定化ジルコニア粒子(第一稀元素化学工業社製;製品名:10Sc1CeSZ、平均粒子径:0.6μm、比表面積:10.8m2/g)を、当該酸化ニッケル粉末55体積%と安定化ジルコニア粒子45体積%とを攪拌混合して混合物とし、燃料極材料を調製した。
市販の酸化ランタン、炭酸ストロンチウム、酸化コバルトおよび酸化鉄粉末から固相法で合成したランタンストロンチウムコバルトフェライト粉末La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3(平均粒子径:0.7μm、比表面積:3.5m2/g)80質量%と、市販の酸化サマリウムおよび酸化セリア粉末から固相法で合成した30モル%サマリアドープセリア(平均粒子径:1.9μm、比表面積:2.4m2/g)20質量%とを攪拌混合して空気極材料とした。
電解質支持型燃料電池用セルの燃料極は、ドクターブレード法を用いて作成した10モル%スカンジア1モル%安定化ジルコニアシート(直径:120mm、厚さ300μm)の一方に面に、上記の燃料極材料にバインダー(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、n−パラフィン、テレピン油、セルロース系樹脂)を加えた後混練して調製した燃料極ペーストをスクリーン印刷法で塗布し、乾燥後、1300℃で2時間焼成して形成した。なお、燃料極の厚さは40μmで気孔率は35%であった。
次いで、上記安定化ジルコニアシートの他方の面に、上記の空気極材料とバインダーを用い、同様にして空気極ペーストを調製し、950℃で焼成した以外は同様にして空気極を形成し、電極有効面積が95cm2の固体酸化物形燃料電池用セルを作製した。
実施例1において、酸化触媒層を形成しなかった以外は、実施例1と全く同様にして、セルを作製した。
上記実施例1と比較例1で得たセルを用い、電気炉設定温度600℃および700℃で 発電試験を行った。まず当該セルの燃料極側にニッケル網(80メッシュ)を、空気極側に白金網(80メッシュ)によりセル挟持し、さらに当該ニッケル網と白金網の両側に金属マニホルドを設け、燃料ガスとしてボンベのアンモニア(流量100cc/min)、酸化剤ガスとして酸素(流量100cc/min)を供給した。
結果を表1に示す。
2:燃料極
3:固体酸化物電解質
4:空気極
5:酸化触媒層
5´:酸化触媒
6:燃料ガス
6a:燃料排ガス
7:酸化剤ガス
7a:酸化剤排ガス
8:反応器
9:電気負荷
Claims (5)
- 水素源を含むガスを燃料とする固体酸化物形燃料電池であって、当該水素源を含むガスがアンモニアまたはヒドラジンの少なくとも1種を含み、かつ当該固体酸化物燃料電池の燃料極に対して燃料ガス供給ラインの上流側に、燃料ガスを酸化する能力を有する酸化触媒が配設されていることを特徴とする固体酸化物形燃料電池。
- 前記酸化触媒が、前記固体酸化物形燃料電池の燃料極の上部に形成されていることを特徴とする請求項1記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記酸化触媒が、前記固体酸化物形燃料電池の燃料ガス供給ライン上に配設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記酸化触媒の反応温度700℃におけるrA/rDが0.2以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。
(なお、燃料ガス、酸素の分圧をそれぞれ40kPa、4kPaとした場合、吸熱反応による燃料の消費速度をrD、発熱反応による燃料の消費速度をrAで示す。) - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電池を用いて電気を得る方法。
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