JP3932263B2 - 燃料改質機構を備えた固体酸化物形燃料電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料改質機構を備えた固体酸化物形燃料電池、さらに詳細には固体酸化物形燃料電池用改質機構に関するものであり、特に発電装置との組み合わせに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
酸化物を電解質に持つ固体酸化物形燃料電池(以下:SOFC)では、効率を左右するイオン伝導度を充分確保するため、動作温度が高温である。加えて、水の電気分解と逆の反応で発電するため、発熱反応になっており、且つ発電時にジュール熱が発生する。そのため、SOFCでは、発電の際、豊富な熱エネルギーが余剰になっている。
【0003】
高効率のエネルギー変換効率のためには、この高温の熱エネルギーを電気エネルギーに変換することが有効であり、加圧型のSOFCとガスタービンを組み合わせたコンバインドシステムが考案されている。
【0004】
また、熱エネルギーを直接利用することで効率を高くしたコジェネレーションシステムが考えられている。
【0005】
一方、燃料電池の燃料としては、水素以外に炭化水素ガスが有望である。炭化水素ガスを燃料電池に適用する場合、通常、水を加熱した水蒸気改質と呼ばれる吸熱反応である触媒反応によって炭化水素ガスを水素に変換し、燃料電池に供給する改質装置が必要である。しかしながら、SOFCでは高温で動作するため、所謂、内部改質が可能になっている。また、水蒸気改質の他に、水蒸気を全く用いない部分酸化と呼ばれる方法も考えられている。部分酸化反応には酸素ポンプが必要である。この酸素ポンプの役割をSOFCにあてたものが部分酸化型固体酸化物形燃料電池(以下:POSOFC)と呼ばれる。
【0006】
POSOFCは、炭化水素燃料を用いて、例えば、メタンと酸素イオンによる反応
CH+O2−⇒CO+2H+2e (1)
によって、電気を発生するとともに燃料電池の燃料である水素を発生することを特徴とする。
【0007】
反応熱を考慮すると、SOFCの余剰熱を熱源として部分酸化反応に必要な熱にすることが可能なため、POSOFCはSOFCの余剰熱の有効的な利用法である。よって、高効率が期待される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
改質装置からSOFCに燃料を供給する場合、高温のまま燃料を供給することが重要である。また、改質装置から反応生成ガスである水素を効率よく取り出すことによって、改質反応を促進させることが可能になる。そのため、生成ガスの取り出しの効率化が課題となる。
【0009】
一方、POSOFCとSOFCの組み合わせによる高効率化には、SOFCからPOSOFCへの効率の良い熱エネルギー輸送やPOSOFCの反応ガス、即ちSOFCの燃料である水素や一酸化炭素を効率よく輸送することが課題になる。
【0010】
また、水蒸気改質より高い効率を生ずるためには、POSOFCの作動電圧をSOFCの作動電圧より高くすることが求められているが(参考文献:横尾等、第10回SOFC研究発表会講演要旨集、P1)、そのためにはPOSOFCの燃料雰囲気が炭化水素燃料リッチになっていなければならないという課題がある。
【0011】
本発明は、固体酸化物形燃料電池の熱エネルギーを効率よく改質機構に利用し、且つ改質機構の効率向上の手段を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものである。したがって、本発明による燃料改質機構を備えた固体酸化物形燃料電池は、空気極と燃料極とを固体酸化物電解質を介して設けた固体酸化物形燃料電池セルおよび同様に空気極と燃料極とを固体酸化物電解質を介して設けた部分酸化型固体酸化物形燃料電池セルの燃料極と前記固体酸化物形燃料電池セルの燃料極とを多孔質接続材を介して設け、かつ改質すべき部分酸化型固体酸化物形燃料電池セルの燃料ガスを前記多孔質接続材より導入することを特徴とする。
【0013】
高温部と低温部のように温度差がつくよう一対の器壁がある場合、反応生成物のうち、分子量の大きい(重い)分子は低温部に、軽い分子は高温部に拡散していくという熱拡散が起きる。本発明は、この現象を積極的に利用して、メタン(炭化水素ガス)と水素を効率よく移送する。特に、高温部を上部に位置付けることによって、軽い水素はSOFCに良く拡散していく。
【0014】
また、POSOFCセルの生成ガス排出方向を上部方向にし、且つ多孔質接続材の多孔度を傾斜させる(多孔度を徐々に小さくする)ことによって、拡散の効果を増強する。また、バイポーラ接続することによって、熱エネルギーの効率の良い輸送を実現できる。
【0015】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
【0016】
【実施例1】
図1は本発明の改質機構を備えた固体酸化物形燃料電池を説明する図であって、1はSOFCセルであり、2はPOSOFCセルであって、1のSOFCセルの燃料(水素)を供給する。3は多孔質接続材であって、例えばニッケルフェルトなどが考えられる。
【0017】
前記SOFCセル1は、空気極5と固体酸化物電解質6を介して接続する燃料極7を有しており、一方POSOFCセル2も空気極5’と固体酸化物電解質6’を介して接続する燃料極7’を備えた構造になっている。
【0018】
本発明においては、前記SOFCセル1とPOSOFCセル2の燃料極7,7’が多孔質接続材3を介して対向するように配置し、SOFCセル1とPOSOFCセル2がバイポーラ接続される。前記多孔質接続材3は前記SOFCセル1の方向(上部方向)に向かって多孔度が小さくなるように配置してある。このため水素より重いメタンが前記SOFCセル1の方向(上部方向)に拡散しにくいようになっている。
【0019】
また、前記多孔質接続材3には電流の取り出し線を付随させることにより、電流取出しにも使用することができる。
【0020】
4はPOSOFCセル2の燃料ガス(改質されるガス)であって、炭化水素ガスである。炭化水素ガスは前記多孔質接続材3の流路もしくは合金パイプにより、前記多孔質接続材3のx方向の中央部で2のPOSOFCに近いところ(y方向で前記多孔質接続材3の下半分より下方)より導入される。
【0021】
前記SOFCセル1及びPOSOFCセル2の空気極5、5’には集電帯が付随しており、電気の取り出しに用いられる。
【0022】
このように構成される本発明の改質機構を備えた固体酸化物形燃料電池にインターコネクタを設置すれば、複数の改質機構を備えた固体酸化物形燃料電池を接続することができ、スタック化も可能となる。
【0023】
前記多孔質接続材3にPOSOFCセル2の燃料ガス4を導入すると、燃料ガスの炭化水素ガスは、POSOFCセル2において、前記式(1)に基づき、水素と炭酸ガスを発生するるとともに、発電を行う。このとき必要な熱はSOFCセル1の余剰の熱より供給される。
【0024】
このとき、前述のように分子量の大きい分子は低温部に、分子量の小さな分子は高温部に拡散していくため、水素より重い炭化水素ガスは、低温のPOSOFCセル2方向へ、一方軽い水素ガスはSOFCセル1方向に拡散していく。すなわち前記式(1)の反応より発生した水素は、多孔質接続材3の多孔に導かれて上方に拡散し、SOFCセル1の燃料極7に到達して、水素ガスが酸素と化合して発電を行うことになる。このとき、SOFCセル1をPOSOFCセル2の上部に設けることにより、軽い水素は効率的に上方(SOFCセル1)に拡散する。さらに多孔質接続材3の多孔度は上部に行くほど小さくなっているため、炭化水素ガスの上方への拡散が防止され、その結果、上方への水素の拡散効率が良好となる。
【0025】
さらに、多孔質接続材3の下部よりPOSOFCセル2の燃料ガスを導入することによって、前記燃料ガスをPOSOFCセル2の燃料極7’に良好に接触することができる。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による改質機構を備えた固体酸化物形燃料電池によれば、SOFCセルおよび燃料極とPOSOFCセルの燃料極とを多孔質接続材を介して設け、かつ改質すべきPOSOFCセルの燃料ガスを前記多孔質接続材より導入することにより、SOFCセルの余剰の熱を利用してPOSOFCセルの発電及び燃料ガスの改質を行い、かつ多孔質接続材により、改質により発生した水素をSOFCセルに効率的に移送することが可能であるため、熱エネルギーの効率のよい利用と、改質効率の向上を達成できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の改質機構を備えた固体酸化物形燃料電池を説明する図。
【符号の説明】
1 SOFC
2 POSOFC
3 多孔質接続材
4 炭化水素ガス
5 空気極
6 固体酸化物電解質
7 燃料極

Claims (5)

  1. 空気極と燃料極とを固体酸化物電解質を介して設けた固体酸化物形燃料電池セルおよび同様に空気極と燃料極とを固体酸化物電解質を介して設けた部分酸化型固体酸化物形燃料電池セルの燃料極と前記固体酸化物形燃料電池セルの燃料極とを多孔質接続材を介して設け、かつ改質すべき部分酸化型固体酸化物形燃料電池セルの燃料ガスを前記多孔質接続材より導入することを特徴とする燃料改質機構を備えた固体酸化物形燃料電池。
  2. 前記固体酸化物形燃料電池セルと部分酸化型固体酸化物形燃料電池セルを前記多孔質接続材を介して上下方向に接続したとき、前記固体酸化物形燃料電池セルを上部に配することを特徴とする請求項1記載の燃料改質機構を備えた固体酸化物形燃料電池。
  3. 前記多孔質接続材は固体酸化物形燃料電池セル側方向に向かってその多孔度が小さくなっていくことを特徴とする請求項1または2記載の燃料改質機構を備えた固体酸化物形燃料電池。
  4. 前記改質すべき部分酸化型固体酸化物形燃料電池セルの燃料ガスは前記多孔質接続材の部分酸化型固体酸化物形燃料電池セル側に導入されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の燃料改質機構を備えた固体酸化物形燃料電池。
  5. 前記改質すべき部分酸化型固体酸化物形燃料電池セルの燃料ガスは炭化水素ガスであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の燃料改質機構を備えた固体酸化物形燃料電池。
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