JP3553440B2 - インバータトランス - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置の背面を照明する冷陰極放電管等(以下、放電灯という)を点灯させるインバータに係り、特に二つの二次巻線を有するインバータトランスの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のインバータトランスは、インバータ回路ユニットに組み込まれて動作したときの磁性体コアの電位が高く、数百ボルト程度になっていた。このため、インバータトランスをプリント基板に実装したときトランスの下にプリント基板の配線パターンがあると、この配線パターンとコアとの間で放電が起こり、インバータトランスとしての機能が損なわれたり、放電による火花が原因で火災が発生する等のおそれがあった。そこで、高電圧を出力するインバータ回路ユニット用のプリント基板の場合、インバータトランス下の部分を避けて配線パターンを形成するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
インバータ回路ユニットにおいて、インバータトランスはプリント基板上の比較的広い面積を占める。ところが、トランス取付部分を避けて配線パターンを形成することにより、プリント基板上の配線可能なスペースが大きく減ることになる。このため、プリント基板の幅を拡大したり、あるいはスルーホールによってプリント基板の裏面に配線パターンを設けるなどしているが、その結果、プリント基板が大型化したり、コスト高になるという問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によるインバータトランスは、一つの一次巻線30と、一次巻線30にほぼ同一の結合度で電磁結合する二つの二次巻線40a、40bと、脚51、52、53を有し突き合わされて閉磁路を形成する一対のコア50、60とを備え、脚51を幅狭の細長い形状とし、脚52及び脚53を脚51の長手方向に沿って配置して脚51の一側面に対向させ、一次巻線30の中心に脚51を挿入し、各二次巻線40a、40bの中心にそれぞれ脚52、脚53を挿入するとともに、二つの二次巻線40a、40bの巻線方向を互いに逆方向とした構成を特徴とする。
【0005】
【実施例】
図1〜図4は本発明のインバータトランスの一実施例を示すものである。10、20は横に並べて配置された絶縁性のボビンである。図4から明らかなように、一つのボビン10に対向して二つのボビン20が取付けてある。ボビン10には一側面に複数の端子18を取付けてあり、二つのボビン20の一側面には複数の端子28、29が取付けてある。端子28はプリント基板接続用、短い端子29は二次巻線40のリード線接続用であり、一本ずつの端子28、29がボビン20の内部で一体的に繋がっている。
【0006】
ボビン10には低圧側の一次巻線30を巻回し、そのリード線は端子18に接続してある。二つのボビン20には、それぞれ高圧側の二次巻線40a、40bを巻回し、リード線を短い方の端子29に接続してある。二つの二次巻線40a、40bは巻数が同じで、かつ一次巻線30から等距離にあり、同じ結合度で一次巻線30にそれぞれ電磁結合している。図5は各巻線と端子の輪郭のみを示す平面図で、二次巻線40a、40bの巻回方向を矢印で示してある。この図から明らかなように、二次巻線40a、40bは、それぞれ、ボビンに対する巻回方向が逆方向となっている。
【0007】
50、60は磁性体からなる一対のコアである。図6に示すように下側のコア50には、上方に突出した幅狭で細長い形状の脚51と、円柱状の脚52、53と、細長い突起54が形成してある。二つの脚52、53は突起54を介して細長い脚51の一側面に対向し、脚51の長手方向に沿って位置している。脚51と脚52、53との間に設けた細長い突起54は、脚51、52、53よりも背が低くなされている。脚51は一次側のボビン10の巻軸の孔に挿入され、脚52、53はそれぞれ異なる二次側のボビン20の巻軸の孔に挿入されている。
【0008】
コア50には、二次巻線40a、40bの中心にそれぞれ挿入される脚52と脚53の間の位置に切欠部55を設けてある。また、コア60にも、この切欠部55に対向する位置に切欠部65を形成してある。これらの切欠部55、65を設けることによって、二つの二次巻線40a、40b間の電磁結合が弱まり、脚52及び脚53を通る磁束の干渉が防止される。周りに凹凸を有する平板形のコア60が、脚51、52、53の部分でコア50に突き合わされて閉磁路を形成している。
【0009】
二つのボビン10、20は、コア50とコア60に挟まれ、互いに接着したコア50、60によって固定されている。コア50の突起54は、図4から明らかなように二つの二次巻線40a、40bと一次巻線30との間に位置しており、一次巻線30と二次巻線40a、40b間の電磁結合を弱める作用をする。なお、突起54は必ずしも形成しなくてもよい。また、脚52、53は上側のコア60側に設けてもよく、あるいは両方のコア50、60に設けてもよい。
【0010】
以上の説明及び図4から明らかなように、このインバータトランスは、コア50の脚51の中央と二つの脚52、53の中間点を通るB−B線を境にして、コア50、60の形やボビン10、20の位置、二次巻線40a、40bの配置とその巻き方向などが線対称の関係にある。
【0011】
図7は、図1〜4に示したインバータトランスTを使用して2本の放電灯1、2を同時に点灯する場合のインバータ回路の例である。70は前述の説明では省略したが、例えばボビン10に一次巻線30と共に巻回され、リード線が端子18に接続される帰還巻線である。また、Q 、Q はプッシュプル接続されたスイッチングトランジスタ、Rはバイアス抵抗、C は一次巻線30に並列に接続された共振コンデンサであり、一次巻線30の中間タップはチョークコイルLを介して図示しない入力電源に接続される。一端を接地した二次巻線40aの他端は放電灯1に直列接続してあり、放電灯1の他端は接地される。また、一端を接地した二次巻線40bの他端は放電灯2に直列接続してあり、放電灯2の他端は接地してある。
【0012】
前述の図5において、たとえば二次巻線40aは端子28a 側から巻き始めて巻き終わりを端子28a 側とし、二次巻線40bは端子28b 側から巻き始めて巻き終わりを端子28b 側とされる。このインバータトランスを図7のインバータ回路に組み込んだとき、端子28a と端子28b は、それぞれ接続点P 、接続点P に相当し、端子28a と端子28b は共に接続点P に相当する。
【0013】
インバータ回路の動作時には、コア50の脚51及びコア60、脚53を通る第1の磁束と、コア50の脚51及びコア60、脚52を通る第2の磁束が発生する。第1の磁束と第2の磁束は同じ向きになるが、二次巻線40a、40bは巻数が同じで巻き方向が異なるため、各々の二次巻線40a、40bから出力される電圧、すなわち接続点P 及び接続点P における電位は、それぞれ大きさが同一で逆の極性となる。一方、二次巻線40a、40bの中点である接続点P は零電位となる。
【0014】
このインバータトランスは前述のように二次巻線40a、40bの巻き方向を含めて、トランスの中心線であるB−B線を境にして全く対称に作られている。したがって、二次巻線40aとコア50、60との間、および二次巻線40bとコア50、60との間における絶縁抵抗や分布容量等は等しくなる。このため、コア50、60の電位は、二次巻線40a、40bの中点の電位と等しい零電位となる。
【0015】
図7のインバータ回路ではインバータトランスを2出力として使用し2本の放電灯を点灯するようにしたが、このインバータトランスを図8に示すように倍電圧の1出力型として使用することもできる。すなわち、インバータトランスTの二次巻線40a及び二次巻線40bの一端をそれぞれ接地するとともに、二次巻線40a及び二次巻線40bの接地してない方の端部をそれぞれ放電灯1の両端に直列接続して、2倍の電圧で1本の放電灯1を点灯するものである。なお、インバータトランスTの一次側は図7の回路と同一の構成である。
【0016】
【発明の効果】
本発明によれば、コアが零電位になるので、プリント基板の配線パターンをトランスの下となる部分に形成しても、コアと配線パターンとの間で放電が発生するおそれがない。したがって、プリント基板の幅や面積を一層小さくできるばかりでなく、信頼性の高いインバータトランスが得られる。また、コアが零電位になることで、トランス周辺の電子部品への悪影響が低減される効果もある。さらに、1個のインバータトランスで二つの放電灯を点灯したとき、各放電灯の駆動周波数が同一で同期がとれ、ちらつきを生じることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインバータトランスの一実施例を示す正面図
【図2】同インバータトランスの平面図
【図3】図2のA−A線に沿う拡大断面図
【図4】同インバータトランスの上側のコアを除いて示す平面図
【図5】同インバータトランスの要部の構成を示す平面図
【図6】コアの分解斜視図
【図7】放電灯点灯回路の一例を示す回路図
【図8】放電灯点灯回路の他の例を示す回路図
【符号の説明】
10、20 ボビン
30 一次巻線
40 二次巻線
50、60 コア
55、65 切欠部

Claims (2)

  1. 一つの一次巻線と、該一次巻線にほぼ同一の結合度で電磁結合する二つの二次巻線と、第1、第2、第3の脚を有し突き合わされて閉磁路を形成する一対のコアとを備え、第1の脚を幅狭の細長い形状とし、第2の脚及び第3の脚を第1の脚の長手方向に沿って配置して第1の脚の一側面に対向させ、一次巻線の中心に第1の脚を挿入し、各二次巻線の中心にそれぞれ第2の脚、第3の脚を挿入するとともに、二つの二次巻線の巻線方向を互いに逆方向としたことを特徴とするインバータトランス。
  2. 第2の脚と第3の脚との間に位置する切欠部を両方のコアに形成した請求項1のインバータトランス。
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