JP3553369B2 - 薄板連続鋳造装置のサイド堰 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は双ドラム式の薄板連続鋳造装置のサイド堰に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4(a)、(b)は双ドラム式の薄板連続鋳造装置の正面図及び側面図、図5(a)は前記薄板連続鋳造装置に備えた従来のサイド堰の正面図、図5(b)は図5(a)のVb−Vb線矢視断面図、図6は図5(a)のVI−VI線矢視断面拡大図である。
【0003】
図4に示すように、薄板連続鋳造装置は、互いに相反する方向に回転する一対の冷却ドラムBと、これらの冷却ドラムBの両端面にそれぞれ装設された一対のサイド堰Cとで湯溜まり部hが形成されており、この湯溜まり部hへ溶鋼等の溶融金属gを連続的に供給し、冷却ドラムBの回転に伴って、溶融金属gを冷却ドラムBの間隙寸法に相当する厚さの板状に凝固させて薄板10を連続鋳造するものである。
【0004】
そして、図5に示すように、サイド堰Cは、金属製のケース4に収容された不定形耐火物(断熱材)5と、この不定形耐火物5に植設されたベース部材3と、このベース部材3に冷却ドラムBの端面摺動部7と摺接するように植設されたセラミクス当板1,2と、ベース部材3に埋設されたヒータ6とから構成されている。なお、不定形耐火物5は、ケース4に固着されたYアンカ4aによって固定されている。
【0005】
また、冷却ドラムBの端面の周縁部には、他の部分よりも突き出して端面摺動部7が形成されており(図6参照)、セラミクス当板1,2は、後述のサイド堰Cの揺動によっても冷却ドラムBの端面摺動部7がセラミクス当板1,2から外れない充分な幅をもち、1枚又は図示の如く多数枚に分割されて冷却ドラムBの端面周縁部の形状に沿う形に配置されている。
【0006】
従って、上記の薄板連続鋳造装置では、サイド堰Cを図示しない押圧装置によって所定の圧力で冷却ドラムBの両端面に押圧し、湯溜まり部hに溶融金属gを連続的に供給すると共に、ヒータ6で溶融金属gを加熱して溶融金属gの凝着及び薄板10の両端部の過冷却を防止しながら、冷却ドラムBの回転に伴って薄板10を連続的に鋳造する。このときサイド堰Cでは、ベース部材3が溶融金属gによって加熱されるが、不定形耐火物5よりも高温になるので不定形耐火物5によりベース部材3の熱膨張が拘束されて圧縮力が作用するため、前記加熱による熱応力によってベース部材3に割れが発生しても開口せず、溶融金属gの湯差し(割れ部への侵入)を防止することができるようになっている。
【0007】
そして、この薄板10の連続鋳造に当たっては、冷却ドラムBの回転と同時に、図5(a)に矢印で示すようにサイド堰Cを冷却ドラム軸と垂直な方向に揺動させている。このため、図6に示すように、セラミクス当板1,2(図6にはセラミクス当板1のみを示す)は、冷却ドラムBの端面摺動部7に対してサイド堰Cの揺動方向に摺動する。なお、このとき冷却ドラムBとセラミクス当板1,2との間には潤滑材を添加して、冷却ドラムBとセラミクス当板1,2との間の摺動が滑らかになるようにしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来のサイド堰Cでは、セラミクス当板1の摺動面に、鋳造時間の経過とともに冷却ドラムBの端面摺動部7との摩擦による摩耗が進展するにしたがって、図7(a)に示すような形状の溝1aが形成される。即ち、端面摺動部7の湯溜まり部側の側面7aは冷却ドラムBの外周面と面一でサイド堰Cに対して垂直となっている一方、反湯溜まり部側の側面7bは冷却ドラムBを緊急開放する際に冷却ドラムBの移動を容易にするために傾斜させているので、溝1aの湯溜まり部側の側面1a−1(サイド堰Cの揺動の一方の死点付近)は、端面摺動部7の側面7aに対応した垂直面となる一方、反湯溜まり部側の側面1a−2(サイド堰Cの揺動の他方の死点付近)は、端面摺動部7の側面7bに対応した傾斜面となる。
【0010】
このため、図7(b)に示すように、サイド堰Cが揺動して一方の死点付近に達したときに、端面摺動部7の側面7bが溝1aの側面1a−2に乗り上げてしまい、その結果、サイド堰Cが冷却ドラム軸方向に許容量以上に変位してセラミクス当板1と端面摺動部7との間に隙間Lが生じ、この隙間Lに溶融金属gが侵入して薄板10にバリが形成され、鋳造の続行が不可能になるという不具合があった。なお、セラミクス当板2においても同様の不具合を生じる虞がある。
【0011】
従って本発明は上記従来技術に鑑み、セラミクス当板の摩耗に伴ってサイド堰が冷却ドラム軸方向に変位するのを防止することができる薄板連続鋳造装置のサイド堰を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する第1発明の薄板連続鋳造装置のサイド堰は、各々一対の冷却ドラム及びサイド堰からなる湯溜まり部へ溶融金属を連続的に供給し板状に凝固させて薄板を連続鋳造する薄板連続鋳造装置におけるサイド堰であって、ケース内に収容した不定形耐火物と、この不定形耐火物に植設したベース部材と、このベース部材に前記冷却ドラムの端面摺動部と摺接するように植設したセラミクス当板と、前記ベース部材に埋設したヒータとを有してなる薄板連続鋳造装置のサイド堰において、
前記セラミクス当板には、前記冷却ドラムの端面摺動部に摺接する部分を、前記セラミック当板の他の部分よりも突き出して摺動部を形成し、且つ、この摺動部の幅は、前記端面摺動部の摺動面の幅からサイド堰の揺動振幅を差し引いた値を最大として設定して、サイド堰が前記揺動振幅で揺動しても、前記摺動部の摺動面が前記端面摺動部の摺動面から外れないようにしたことを特徴とする。
【0013】
また、第2発明の薄板連続鋳造装置のサイド堰は、各々一対の冷却ドラム及びサイド堰からなる湯溜まり部へ溶融金属を連続的に供給し板状に凝固させて薄板を連続鋳造する薄板連続鋳造装置におけるサイド堰であって、ケース内に収容した不定形耐火物と、この不定形耐火物に植設したベース部材と、このベース部材に前記冷却ドラムの端面摺動部と摺接するように植設したセラミクス当板と、前記ベース部材に埋設したヒータとを有してなる薄板連続鋳造装置のサイド堰において、
前記セラミクス当板には、前記セラミクス当板の前記冷却ドラムの端面摺動部に摺接する部分を摺動部とし、且つ、前記摺動部は、前記摺動部のうちの反湯溜まり部側が、この反湯溜まり部側と隣り合う前記セラミック当板の他の部分よりも突き出され、前記摺動部の接触面が、前記摺動部のうちの湯溜まり部側と隣り合う前記セラミック当板の他の部分と面一になっており、且つ、サイド堰が所定の振幅で揺動しても、前記反湯溜まり部側が、前記端面摺動部の摺動面から外れないように形成されていることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。なお、本発明は薄板連続鋳造装置のサイド堰の構造に工夫を施したものであるため、以下では、この点を詳細に説明し、薄板連続鋳造装置の全体的な構成については従来と同様とし説明及び図示を省略する。
【0015】
[実施の形態1]
図1(a)は本発明の実施の形態1に係る薄板連続鋳造装置のサイド堰の正面図、図1(b)は図1(a)のIb−Ib線矢視断面図、図2は図1(a)のII−II線矢視断面拡大図である。なお、図中、従来と同様の部分には同一の符号を付した。
【0016】
<構成>
図1に示すように、本実施の形態の係るサイド堰Aは、金属製のケース4に収容された不定形耐火物5(断熱材)と、この不定形耐火物5に植設されたベース部材3と、このベース部材3に冷却ドラムBの端面摺動部7と摺接するように植設されたセラミクス当板11,12と、ベース部材3に埋設されたヒータ6とから構成されている。なお、不定形耐火物5は、ケース4に固着されたYアンカ4aによって固定されている。
【0017】
また、冷却ドラムBの端面の周縁部には、他の部分よりも突き出して摺動部7が形成されており(図2参照)、セラミクス当板11,12は、後述のサイド堰Aの揺動によっても冷却ドラムBの端面摺動部7がセラミクス当板11,12から外れない充分な幅をもち、1枚又は図示の如く多数枚に分割されて冷却ドラムBの端面周縁部の形状に沿う形に配置されている。
【0018】
従って、このサイド堰Aを備えた薄板連続鋳造装置では、従来と同様に、サイド堰Aを図示しない押圧装置によって所定の圧力で冷却ドラムBの両端面に押圧し、各々一対の冷却ドラムB及びサイド堰Aからなる湯溜まり部hへ溶鋼等の溶融金属gを連続的に供給すると共に、ヒータ6で溶融金属gを加熱して溶融金属gの凝着及び薄板10の両端部の過冷却を防止しながら、冷却ドラムBの回転に伴って薄板10を連続的に鋳造する。
【0019】
また、この薄板10の連続鋳造に当たっては、冷却ドラムBの回転と同時に、図1(a)に矢印で示すようにサイド堰Aを冷却ドラム軸と垂直な方向に揺動させる。
【0020】
そして、本実施の形態1では、図2に示すように、セラミクス当板1の冷却ドラムBの端面摺動部7に摺接する部分を、セラミック当板1の他の部分よりも突き出して摺動部15が形成されている。
【0021】
この摺動部15は台形に形成されている。即ち、セラミクス当板1の端面摺動部7に摺接する部分の湯溜まり部側と反湯溜まり部側の両方が他の部分よりも突き出ている。また、この摺動部15の摺動面15aの幅W1は、端面摺動部7の摺動面7cの幅W2から、サイド堰Aの揺動振幅W3を差し引いた値(W1=W2−W3)を最大として設定されており、サイド堰AがW3の振幅で揺動しても、摺動部15の摺動面15aが端面摺動部7の摺動面7cから外れないようになっている。また、図2中のθは摺動部15の両側面15b,15cの傾斜角であり、適宜設定される。
【0022】
なお、セラミクス当板1の摺動部15の形状は、台形に限定するものではなく、矩形等であってもよい。但し、この場合には摺動面端の角部が欠損を生じ易くなる。
【0023】
<作用・効果>
上記構成のサイド堰Aによれば、セラミクス当板1の冷却ドラムBの端面摺動部7に摺接する部分の湯溜まり部側と反湯溜まり部側の両方を他の部分よりも突き出して台形の摺動部15を形成したことにより、端面摺動部7との摩擦によって摺動部15の摺動面15a全体が摩耗するため、この摺動面15に溝が形成されることはない。
【0024】
このため、サイド堰Aが揺動して一方の死点付近に達しても、端面摺動部7の側面7bが溝の側面(傾斜面)に乗り上げることはなく、サイド堰Aが冷却ドラム軸方向に変位することはない。従って、湯差し(隙間への溶融金属の侵入)の発生はなく、長時間連続して薄板10の鋳造が可能である。
【0025】
なお、上記ではセラミクス当板1について説明したが、セラミクス当板2についてもセラミクス当板1と同様である。
【0026】
<実施例1>
ここで、セラミクス当板1,2に、端面摺動部7との摺接部の両側を他の部分よりも突き出して台形の摺動部15を形成した場合の実施例を示す。
【0027】
実施条件は次の通りである。
▲1▼ 冷却ドラムBの端面摺動部7の幅は10mmとした。
▲2▼ サイド堰Aのセラミクス当板1,2は、材質を窒化珪素とボロンナイトライドと微量の結合材として焼結成形し、摺動面15aの幅W1を9mm、高さHを4mm、傾斜角θを60度とした。
▲3▼ サイド堰Aの振動(揺動)の周波数は5H、振幅W3は0.5mmとした。
▲4▼ ベース部材3の材質は高アルミナ系、不定形耐火物(断熱材)5の材質は高シリカ系とした。
【0028】
上記条件で構成したサイド堰Aと冷却ドラムBとからなる湯溜まり部hに、スレンレス鋼SUS304の溶融金属gを連続的に供給し、冷却ドラムBを回転させて薄板10を連続的に鋳造した。
【0029】
その結果、湯差しの発生及びセラミクス当板1,2の亀裂発生はなく、連続して薄板10の鋳造が可能であった。
【0030】
[実施の形態2]
図3は本発明の実施の形態2に係る薄板連続鋳造装置のサイド堰の要部構成図であって図2に相当する断面図である。
【0031】
<構成>
図3に示すように、本実施の形態2に係るサイド堰Aでは、セラミクス当板1の冷却ドラムBの端面摺動部7に摺接する部分を、他の部分よりも突き出して摺動部16が形成されている。
【0032】
この摺動部16は、セラミクス当板1の端面摺動部7に摺接する部分であり、且つ、摺動部16のうちの反湯溜まり部側が、この反湯溜まり部側と隣り合うセラミック当板1の他の部分よりも突き出され、摺動部16の接触面16aが、摺動部16のうちの湯溜まり部側と隣り合うセラミック当板1の他の部分と面一になっている。また、サイド堰Aが所定の振幅で揺動しても、摺動部16の摺動面16aの反湯溜まり部側は端面摺動部7の摺動面7cから外れないように形成されている。また、図3中のθは摺動部16の反湯溜まり部側の側面16bの傾斜角であり、適宜設定される。
【0033】
本サイド堰Aのセラミクス当板以外の構成は、上記実施の形態1のサイド堰Aと同様の構成である。
【0034】
なお、この摺動部16の反湯溜まり部側の側面16bは傾斜させずに、垂直な面としてもよい。但し、この場合には摺動面端の角部が欠損を生じ易くなる。
【0035】
<作用・効果>
上記構成のサイド堰Aによれば、セラミクス当板1の端面摺動部7に摺接する部分の反湯溜まり部側を他の部分よりも突き出して摺動部16を形成したことにより、端面摺動部7との摩擦によって摺動部16の摺動面16aが摩耗しても、この摺動面16aの反湯溜まり部側には、端面摺動部7の側面7bに対応した傾斜面が形成されることはない。
【0036】
このため、サイド堰Aが揺動して一方の死点付近に達しても、端面摺動部7の側面7bが溝の側面(傾斜面)に乗り上げることはなく、サイド堰Aが冷却ドラム軸方向に変位することはない。従って、湯差し(隙間への溶融金属の侵入)の発生はなく、長時間連続して薄板10の鋳造が可能である。
【0037】
なお、セラミクス当板1の摺動部16の湯溜まり部側には、端面摺動部7との摩擦による摩耗によって端面摺動部7の側面7aに対応した面16cが形成されるが、この面16cは垂直面となる。従って、サイド堰Aが揺動して他方の死点付近に達しても、端面摺動部7の側面7aは垂直面16cに当たるだけであり、垂直面16cに乗り上げることはない。従って、サイド堰Aが冷却ドラム軸方向に変位することはない。
【0038】
上記ではセラミクス当板1について説明したが、セラミクス当板2(図1参照)についてもセラミクス当板1と同様である。
【0039】
<実施例2>
ここで、セラミクス当板1,2に、端面摺動部7との摺接部の反湯溜まり部側を他の部分よりも突き出して摺動部16を形成した場合の実施例を示す。
【0040】
実施条件は次の通りである。
▲1▼ 冷却ドラムBの端面摺動部7の幅は10mmとした。
▲2▼ サイド堰Aのセラミクス当板1,2は、材質を窒化珪素とボロンナイトライドと微量の結合材として焼結成形し、高さHを4mm、傾斜角θを45度とした。但し、反湯溜まり部側のみを他の部分(摺接部以外の部分)よりも突き出し、湯溜まり部側は他の部分と面一である。
▲3▼ サイド堰Aの振動(揺動)の周波数は10H、振幅は0.7mmとした。
▲4▼ ベース部材3の材質は高アルミナ系、不定形耐火物(断熱材)5の材質は高シリカ系とした。
【0041】
上記条件で構成したサイド堰Aと冷却ドラムBとからなる湯溜まり部hに、スレンレス鋼SUS304の溶融金属gを連続的に供給し、冷却ドラムBを回転させて薄板10(図1参照)を連続的に鋳造した。
【0042】
その結果、湯差しの発生はなく、連続して長時間の薄板10の鋳造が可能であった。
【0043】
【発明の効果】
以上、発明の実施の形態と共に具体的に説明したように、第1発明の薄板連続鋳造装置のサイド堰は、各々一対の冷却ドラム及びサイド堰からなる湯溜まり部へ溶融金属を連続的に供給し板状に凝固させて薄板を連続鋳造する薄板連続鋳造装置におけるサイド堰であって、ケース内に収容した不定形耐火物と、この不定形耐火物に植設したベース部材と、このベース部材に前記冷却ドラムの端面摺動部と摺接するように植設したセラミクス当板と、前記ベース部材に埋設したヒータとを有してなる薄板連続鋳造装置のサイド堰において、
前記セラミクス当板には、前記冷却ドラムの端面摺動部に摺接する部分を、前記セラミック当板の他の部分よりも突き出して摺動部を形成し、且つ、この摺動部の幅は、前記端面摺動部の摺動面の幅からサイド堰の揺動振幅を差し引いた値を最大として設定して、サイド堰が前記揺動振幅で揺動しても、前記摺動部の摺動面が前記端面摺動部の摺動面から外れないようにしたことを特徴とする。
【0044】
従って、この第1発明の薄板連続鋳造装置のサイド堰によれば、セラミクス当板には、冷却ドラムの端面摺動部に摺接する部分を、前記セラミック当板の他の部分よりも突き出して摺動部を形成し、且つ、この摺動部の幅は、前記端面摺動部の摺動面の幅からサイド堰の揺動振幅を差し引いた値を最大として設定して、サイド堰が前記揺動振幅で揺動しても、前記摺動部の摺動面が前記端面摺動部の摺動面から外れないようにしたことにより、端面摺動部との摩擦によってセラミクス当板の摺動部の摺動面全体が摩耗するため、この摺動面に溝が形成されることはない。
【0045】
このため、サイド堰が揺動して一方の死点付近に達しても、端面摺動部の側面が溝の側面(傾斜面)に乗り上げることはなく、サイド堰が冷却ドラム軸方向に変位することはない。従って、湯差し(隙間への溶融金属の侵入)の発生はなく、長時間連続して薄板の鋳造が可能である。
【0046】
また、第2発明の薄板連続鋳造装置のサイド堰は、各々一対の冷却ドラム及びサイド堰からなる湯溜まり部へ溶融金属を連続的に供給し板状に凝固させて薄板を連続鋳造する薄板連続鋳造装置におけるサイド堰であって、ケース内に収容した不定形耐火物と、この不定形耐火物に植設したベース部材と、このベース部材に前記冷却ドラムの端面摺動部と摺接するように植設したセラミクス当板と、前記ベース部材に埋設したヒータとを有してなる薄板連続鋳造装置のサイド堰において、
前記セラミクス当板には、前記セラミクス当板の前記冷却ドラムの端面摺動部に摺接する部分を摺動部とし、且つ、前記摺動部は、前記摺動部のうちの反湯溜まり部側が、この反湯溜まり部側と隣り合う前記セラミック当板の他の部分よりも突き出され、前記摺動部の接触面が、前記摺動部のうちの湯溜まり部側と隣り合う前記セラミック当板の他の部分と面一になっており、且つ、サイド堰が所定の振幅で揺動しても、前記反湯溜まり部側が、前記端面摺動部の摺動面から外れないように形成されていることを特徴とする。
【0047】
従って、この第2発明の薄板連続鋳造装置のサイド堰によれば、セラミクス当板には、セラミクス当板の冷却ドラムの端面摺動部に摺接する部分を摺動部とし、且つ、前記摺動部は、前記摺動部のうちの反湯溜まり部側が、この反湯溜まり部側と隣り合うセラミック当板の他の部分よりも突き出され、前記摺動部の接触面が、前記摺動部のうちの湯溜まり部側と隣り合うセラミック当板の他の部分と面一になっており、且つ、サイド堰が所定の振幅で揺動しても、前記反湯溜まり部側が、前記端面摺動部の摺動面から外れないように形成されていることにより、端面摺動部との摩擦によってセラミクス当板の摺動部の摺動面が摩耗しても、この摺動面の反湯溜まり部側には、端面摺動部の側面に対応した傾斜面が形成されることはない。

【0048】
このため、サイド堰が揺動して一方の死点付近に達しても、端面摺動部の側面が溝の側面(傾斜面)に乗り上げることはなく、サイド堰が冷却ドラム軸方向に変位することはない。従って、湯差し(隙間への溶融金属の侵入)の発生はなく、長時間連続して薄板の鋳造が可能である。
【0049】
なお、セラミクス当板の摺動部の湯溜まり部側には、端面摺動部との摩擦による摩耗によって端面摺動部の側面に対応した面が形成されるが、この面は垂直面となる。従って、サイド堰が揺動して他方の死点付近に達しても、端面摺動部の側面は垂直面に当たるだけであり、垂直面に乗り上げることはない。従って、サイド堰が冷却ドラム軸方向に変位することはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の実施の形態1に係る薄板連続鋳造装置のサイド堰の正面図、(b)は(a)のIb−Ib線矢視断面図である。
【図2】図1(a)のII−II線矢視断面拡大図である。
【図3】本発明の実施の形態2に係る薄板連続鋳造装置のサイド堰の要部構成図であって図2に相当する断面図である。
【図4】(a)は双ドラム式の薄板連続鋳造装置の正面図、(b)は前記薄板連続鋳造装置の側面図である。
【図5】(a)は前記薄板連続鋳造装置に備えた従来のサイド堰の正面図、(b)は(a)のVb−Vb線矢視断面図である。
【図6】図5(a)のVI−VI線矢視断面拡大図である。
【図7】従来のサイド堰のセラミクス当板に形成される溝とサイド堰の冷却ドラム軸方向変位とを示す説明図である。
【符号の説明】
3 ベース部材
4 ケース
4a Yアンカ
5 不定形耐火物(断熱材)
6 ヒータ
7 端面摺動部
7a,7b 側面
7c 摺動面
10 薄板
11,12 セラミクス当板
15,16 摺動部
15a,16a 摺動面
15b,15c,16b 側面
A サイド堰
B 冷却ドラム
g 溶融金属
h 湯溜まり部

Claims (2)

  1. 各々一対の冷却ドラム及びサイド堰からなる湯溜まり部へ溶融金属を連続的に供給し板状に凝固させて薄板を連続鋳造する薄板連続鋳造装置におけるサイド堰であって、ケース内に収容した不定形耐火物と、この不定形耐火物に植設したベース部材と、このベース部材に前記冷却ドラムの端面摺動部と摺接するように植設したセラミクス当板と、前記ベース部材に埋設したヒータとを有してなる薄板連続鋳造装置のサイド堰において、
    前記セラミクス当板には、前記冷却ドラムの端面摺動部に摺接する部分を、前記セラミック当板の他の部分よりも突き出して摺動部を形成し、且つ、この摺動部の幅は、前記端面摺動部の摺動面の幅からサイド堰の揺動振幅を差し引いた値を最大として設定して、サイド堰が前記揺動振幅で揺動しても、前記摺動部の摺動面が前記端面摺動部の摺動面から外れないようにしたことを特徴とする薄板連続鋳造装置のサイド堰。
  2. 各々一対の冷却ドラム及びサイド堰からなる湯溜まり部へ溶融金属を連続的に供給し板状に凝固させて薄板を連続鋳造する薄板連続鋳造装置におけるサイド堰であって、ケース内に収容した不定形耐火物と、この不定形耐火物に植設したベース部材と、このベース部材に前記冷却ドラムの端面摺動部と摺接するように植設したセラミクス当板と、前記ベース部材に埋設したヒータとを有してなる薄板連続鋳造装置のサイド堰において、
    前記セラミクス当板には、前記セラミクス当板の前記冷却ドラムの端面摺動部に摺接する部分を摺動部とし、且つ、前記摺動部は、前記摺動部のうちの反湯溜まり部側が、この反湯溜まり部側と隣り合う前記セラミック当板の他の部分よりも突き出され、前記摺動部の接触面が、前記摺動部のうちの湯溜まり部側と隣り合う前記セラミック当板の他の部分と面一になっており、且つ、サイド堰が所定の振幅で揺動しても、前記反湯溜まり部側が、前記端面摺動部の摺動面から外れないように形成されていることを特徴とする薄板連続鋳造装置のサイド堰。
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