JP3553099B2 - 金属ガスケット - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、内燃機関を構成するシリンダーヘッドとシリンダーブロックとの接合面に介装して燃焼ガス,冷却水及び潤滑油等の漏洩を防止する金属ガスケットに関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関では、シリンダーブロックとシリンダーヘッドとの接合面に、ガスケットを介装して締付けることによりシール機能を付加している。特に燃焼室回りのシールは重要であり、この部分のシールが不十分であると、燃焼室内部の燃焼ガスの利用が不完全となり、圧力低下となって現われる。したがって、金属ガスケットの弾性基板には、燃焼室孔と同心円状にビードを設け、この金属ガスケットがボルトによって締付けられるとき発生するビードの反発力を利用して、燃焼室周縁にシール機能を付与する構成としている。この際、ビードの疲労破壊を防止するため、例えば金属ガスケットの燃焼室孔とビードとの間にある平坦部にストッパーを設け、ビード振幅の大きさを制限している。ストッパーの設置位置及び形状等は種々の提案がなされているが、例えば特願昭63−85232号に示されるもの(図6)、又は特開昭62−261760号に示されるもの(図7)等がある。この内前者は、ビード5を形成する1枚の基板1と、基板に形成されたビードよりボア孔平坦部に基板より板厚の薄い副板をシム板として固着するものであり、後者は基板1に副板を併設し、その端部を折返すことにより副板分だけ厚くし、エンジンに装着締付時にビードの全屈防止と運転時の振動振幅を防止するストッパーとして利用する方式である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
最近、内燃機関の急速な技術革新により、エンジンの小型軽量化,高出力化,省エネ化が進み、これによる稀薄燃料のために燃焼温度が上昇する傾向にある。更に過給器等の補器が取付けられ、燃焼温度が高い上に補器類の重量により振動振幅が更に拡大する傾向にある。そして排気量の割りにエンジンを小さくしようとしているために、シリンダーボア間が非常に狭く、したがって現在までの技術ではストッパー幅を広くとることができず、ストッパー幅を狭い状態で使用すると、高温と振動でアルミエンジンのストッパー部分を凹ますことになる。又、1枚の基板の有するバネリフト量から副板の板厚分だけバネリフト量が減少し、高性能エンジンでは完全シールが難しくなってきている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構造でエンジンの高性能化に対処し得る金属ガスケットを提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1による金属ガスケットは、1枚の弾性金属板に形成したシリンダーボア孔と、前記シリンダーボア孔の周縁に沿って設けたフルビードと、水孔,油孔に対して圧力シールを行なうフルビード又はハーフビードを設けた金属ガスケットにおいて、前記シリンダーボア孔周縁にのみ副板を設け、前記副板には基板と同じ幅のフルビードを形成すると共に、前記副板のビード軌跡はボルト間の中央位置では基板と同一軌跡とし、ボルト孔中心とボア孔中心とを結んだ線とビードとの交差する部分では、基板ビードと副板ビードとのビードセンターをビード幅の1/4ずらし、前記ボルト間の中央位置と前記ビード幅を1/4ずらした位置との間を、ビード幅を一定にし、円弧で結ぶと共に、シリンダーボア孔端部を揃えて基板に積層し、前記フルビード位置よりシリンダーボア孔寄り平坦部を全周にわたって固着した。
本発明の請求項2による金属ガスケットは、請求項1において、副板の幅を、シリンダーボアとシリンダーボア間の最小幅と同幅か、あるいはそれ以下とした。
本発明の請求項3による金属ガスケットは、請求項1において、副板の板厚を、基板と同等か、あるいは基板より薄くした。
本発明の請求項4による金属ガスケットは、請求項1において、基板と副板に形成するビードの幅を、基板,副板共にボルト間位置を最小幅とし、ボルト近傍位置に向って幅広に徐変させるようにした。
【0005】
【作用】
本発明の請求項1の金属ガスケットは、副板のビード軌跡がボルト間の中央位置では基板と同一軌跡となっている。又、ボルト孔中心とボア孔中心とを結んだ線とビードとの交差する部分では、基板ビードと副板ビードとのビードセンターをビード幅の1/4ずらしている。このことからわかることは、基板,副板ビードセンターの揃っているボルト間の中央位置はバネ常数が高く、基板ビードと副板ビードセンターを1/4ずらしたボルト孔中心とボア孔中心を結んだ線に交差する部分(ボルト近傍)はバネ常数が低い。この結果、基板と副板とが同一板厚であるとすればボルト近傍に比してボルト間はビードの面圧が高く、ボルト近傍と同様に有効なシールが得られる。又、ボルト間の中央位置とビード幅を1/4ずらした位置とは副板の軌跡が基板ビードの曲率である円弧で結ばれているため、その間はなだらかな面圧変化となって接続される。
本発明の請求項2の金属ガスケットは、副板の幅をシリンダーボアとシリンダーボア間の最小幅と同幅、あるいはそれ以下としているため、副板の存在個所はシリンダーボア周縁のごく限られた部分だけである。したがって締付ボルト部は基板のみが存在する。そのためボルトを締付けると、ボルト部とシリンダーボア部には副板の板厚分の傾斜が発生する。このことはエンジンをたわましてエンジンの剛性によるバネを利用していることになる。このたわみを基板と副板との2枚に設けたビードがエンジンの変形に追従し、効果的なシール機能が得られる。本発明の請求項3の金属ガスケットは、副板の板厚を、基板の板厚と同等か、それ以下としているため、バネ常数を変化させることが可能であるばかりか、ボルト部とシリンダーボア部との間の傾斜も変化させることができる。
本発明の請求項4の金属ガスケットは、副板に形成するビードの幅を、ボルト間位置を最小幅とし、ボルト近傍位置に向って徐変させるようにしているため、ビードの面圧を無理なく所定値にできる。
【0006】
【実施例】
以下図面を参照して実施例を説明する。
図2は本発明による金属ガスケットの平面構成を説明する一部切欠して示した概要平面図であり、図3は図2の一部拡大図である。以下では図2,図3に関し同時に説明する。なお、図2ではまぎらわしいため、基板ビードと副板ビードを同幅として描いているが、実際は図3のように場所によって所定距離だけずらしている。
各図において、10は金属ガスケット本体で、弾性材からなる1枚の基板1からなる。2は開口部で図示しないシリンダーブロック側のボアに対応して複数個設けられる。3は基板と同等か、それより薄い板厚の副板である。そしてこの副板はシリンダーボア孔2の回りにのみ設けられ、副板側のビードも基板側と同様にフルビードである。又、基板1と副板3とはビードセンターよりボア寄り平坦部の固着ライン6で固定されている。8はボルト孔、11は油孔である。なお、4は副板ビード、5は基板ビードであり、ボルト間では基板ビード5と副板ビード4−1との軌跡が一致し、ボルト中心とシリンダーボア中心とを結んだ線とビードとの交差する部分では基板ビード5と副板ビード4−2とは所定距離、例えばビード幅の1/4までずらしている(後述する)。更にボルト間の中央位置と前記ビード幅を1/4ずらした位置との間をビード幅を一定にし、かつ基板ビードと同一曲率である円弧にて結んでいる。
【0007】
次に図1によって断面構成を説明する。
ここで図1(a) は図2のA−A′断面、図1(b) は図2のC−C′断面、図1(c) は図2のB−B′断面を示す。前記した通り4−1 は副板側のボルト間のビードであり、A−A′断面で言えば基板ビード5と同一寸法である。又、図1(b) に示される4−2 は副板側のボルト近傍のビードラインで、基板ビードラインとはビード幅の1/4ずらしてある。即ち、締付面圧の低いボルト間は基板ビードと副板ビードの軌線を同一とすることにより、締付時に発生するビードの変形を図4のようにしてバネ常数を大とする方法としてもよいし、又はビード幅を狭くしてバネ常数を大として面圧を大とするようにしてもよい。
一方、ボルト近傍は図1(b) に示されるように、基板ビードに対し、副板ビード軌跡をビード幅の1/4だけ、内側又は外側にずらすことにより、締付時に発生するビードの変形を図5の圧縮変形過程図に示すように、ボルト間ビードの変形に比べバネ常数を下げている。以上によりシリンダーボア回りのビード上の面圧の平均化をはかっている。
【0008】
そして図1(b) ,図1(c) の各断面図に示されるように、副板はシリンダーボア孔の回りのみに設けられているため、ボルト締結部は基板の板厚のみである。一方、ボア回りは基板と副板との加算された板厚となって、エンジン稼働時、副板の板厚分だけエンジンをたわまして使用する。なお、図4は図1(a) に示されるA−A′断面の、又、図5は図1(b) に示されるC−C′断面の圧縮変形過程図である。そして各図において、7−1 は基板ビード変形突出部、7−2 は副板ビード変形突出部である。又、本実施例では基板ビード5と副板ビード4(図1(a) ,図1(c) では4−1 、図1(b) では4−2 として示す)のビード幅を徐変したり、ビードの軌線を同一としてボルト近傍のビードよりバネ常数を高くするようにしてボア回りの面圧を平均化することを考慮している。図1(a) は両シリンダーボア同志が最も隣接した部分であるため、固着部6は両端平坦部にある。したがって図1(a) のバネ常数は他の図1(b) ,図1(c) に比して高くなり、エンジンを締付けた時に1番締結力の弱いボア間の面圧を補間している。更に、基板ビード高さより副板ビード高さを低くすることで基板ビードの全屈を制限できて、1番締結力の弱いボア間の面圧を補間することもできる。
【0009】
次に作用について説明する。
先ず、金属ガスケットをエンジンに装着して締付けると、副板と基板が同一板厚の場合、副板の板幅が狭いためにバネ常数が少し小さく、その結果、早く変形し始めるが、基板もほゞ同時に変形を開始する。しかし、副板はシリンダーボア周縁にのみ存在し、締付ボルト部は基板のみであるため、締付時にボルト部とシリンダーボア部では副板の板厚分の傾斜が発生する。即ち、エンジンをたわましていることになる。この現象そのものは従来と同じであるが、本発明のものは副板にストッパー機能とビード機能を併せて持たせたことに特徴を有している。又、ボア回りのビードの面圧を平均化するために、締付条件の優位なボルト近傍は基板ビードに対し副板のビード軌跡をビード幅の1/4ずらすことによりバネ常数を低く抑え、ボルト近傍に対しボルト間はビード幅を狭くしたり、ビード軌線を基板と副板と同一にすることや副板のビード高さを基板ビードより部分的に低くすることで、面圧の平均化をはかっている。したがって軽量化した剛性の弱いエンジンの真円度が確保できる。
【0010】
実際には、締付時に基板と副板の積層部分でもボルト近傍では全屈し、ボルト間はエンジン剛性と均衡するため多少の隙間が発生する。この状態で運転した時、振動振幅が発生する。しかしボルト近傍は密着しており、ボルト間に発生する僅少の隙間を、基板と副板との2枚のビードにて分散して受持つため、疲労破壊することはなく、構造が簡単で高性能、かつ耐久性のある金属ガスケットが提供できる。なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、基板,副板の各面にシール材を塗布又は貼付してもよい。
【0011】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によればボア孔周縁にのみ副板を設け、基板,副板にはフルビードを設けると共に、ボルト位置近傍では基板のビード幅と副板のビード幅とをずらせ、ボルト間では基板と副板のビード幅を合せその間を徐変して接合する構成としたので、ボルト間ではバネ常数を大きく、ボルト位置近傍ではバネ常数を小さくでき、その結果、ボア回りの面圧を一定範囲とできてシール効果が大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による金属ガスケットの一実施例の断面図。
【図2】金属ガスケットの平面構成を説明する一部切欠図。
【図3】図2の部分拡大図。
【図4】図1(a) の圧縮変形過程図。
【図5】図1(b) の圧縮変形過程図。
【図6】従来技術の金属ガスケットの構造図。
【図7】従来技術の他の金属ガスケットの構造図。
【符号の説明】
1 基板
2 シリンダー開口部
3 副板
4−1 ボルト間副板ビード
4−2 ボルト近傍副板ビード
5 基板ビード
6 固着ライン
7−1 基板ビード変形突出部
7−2 副板ビード変形突出部
8 ボルト孔
9 水孔
10 金属ガスケット本体
11 油孔
【産業上の利用分野】
本発明は、内燃機関を構成するシリンダーヘッドとシリンダーブロックとの接合面に介装して燃焼ガス,冷却水及び潤滑油等の漏洩を防止する金属ガスケットに関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関では、シリンダーブロックとシリンダーヘッドとの接合面に、ガスケットを介装して締付けることによりシール機能を付加している。特に燃焼室回りのシールは重要であり、この部分のシールが不十分であると、燃焼室内部の燃焼ガスの利用が不完全となり、圧力低下となって現われる。したがって、金属ガスケットの弾性基板には、燃焼室孔と同心円状にビードを設け、この金属ガスケットがボルトによって締付けられるとき発生するビードの反発力を利用して、燃焼室周縁にシール機能を付与する構成としている。この際、ビードの疲労破壊を防止するため、例えば金属ガスケットの燃焼室孔とビードとの間にある平坦部にストッパーを設け、ビード振幅の大きさを制限している。ストッパーの設置位置及び形状等は種々の提案がなされているが、例えば特願昭63−85232号に示されるもの(図6)、又は特開昭62−261760号に示されるもの(図7)等がある。この内前者は、ビード5を形成する1枚の基板1と、基板に形成されたビードよりボア孔平坦部に基板より板厚の薄い副板をシム板として固着するものであり、後者は基板1に副板を併設し、その端部を折返すことにより副板分だけ厚くし、エンジンに装着締付時にビードの全屈防止と運転時の振動振幅を防止するストッパーとして利用する方式である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
最近、内燃機関の急速な技術革新により、エンジンの小型軽量化,高出力化,省エネ化が進み、これによる稀薄燃料のために燃焼温度が上昇する傾向にある。更に過給器等の補器が取付けられ、燃焼温度が高い上に補器類の重量により振動振幅が更に拡大する傾向にある。そして排気量の割りにエンジンを小さくしようとしているために、シリンダーボア間が非常に狭く、したがって現在までの技術ではストッパー幅を広くとることができず、ストッパー幅を狭い状態で使用すると、高温と振動でアルミエンジンのストッパー部分を凹ますことになる。又、1枚の基板の有するバネリフト量から副板の板厚分だけバネリフト量が減少し、高性能エンジンでは完全シールが難しくなってきている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構造でエンジンの高性能化に対処し得る金属ガスケットを提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1による金属ガスケットは、1枚の弾性金属板に形成したシリンダーボア孔と、前記シリンダーボア孔の周縁に沿って設けたフルビードと、水孔,油孔に対して圧力シールを行なうフルビード又はハーフビードを設けた金属ガスケットにおいて、前記シリンダーボア孔周縁にのみ副板を設け、前記副板には基板と同じ幅のフルビードを形成すると共に、前記副板のビード軌跡はボルト間の中央位置では基板と同一軌跡とし、ボルト孔中心とボア孔中心とを結んだ線とビードとの交差する部分では、基板ビードと副板ビードとのビードセンターをビード幅の1/4ずらし、前記ボルト間の中央位置と前記ビード幅を1/4ずらした位置との間を、ビード幅を一定にし、円弧で結ぶと共に、シリンダーボア孔端部を揃えて基板に積層し、前記フルビード位置よりシリンダーボア孔寄り平坦部を全周にわたって固着した。
本発明の請求項2による金属ガスケットは、請求項1において、副板の幅を、シリンダーボアとシリンダーボア間の最小幅と同幅か、あるいはそれ以下とした。
本発明の請求項3による金属ガスケットは、請求項1において、副板の板厚を、基板と同等か、あるいは基板より薄くした。
本発明の請求項4による金属ガスケットは、請求項1において、基板と副板に形成するビードの幅を、基板,副板共にボルト間位置を最小幅とし、ボルト近傍位置に向って幅広に徐変させるようにした。
【0005】
【作用】
本発明の請求項1の金属ガスケットは、副板のビード軌跡がボルト間の中央位置では基板と同一軌跡となっている。又、ボルト孔中心とボア孔中心とを結んだ線とビードとの交差する部分では、基板ビードと副板ビードとのビードセンターをビード幅の1/4ずらしている。このことからわかることは、基板,副板ビードセンターの揃っているボルト間の中央位置はバネ常数が高く、基板ビードと副板ビードセンターを1/4ずらしたボルト孔中心とボア孔中心を結んだ線に交差する部分(ボルト近傍)はバネ常数が低い。この結果、基板と副板とが同一板厚であるとすればボルト近傍に比してボルト間はビードの面圧が高く、ボルト近傍と同様に有効なシールが得られる。又、ボルト間の中央位置とビード幅を1/4ずらした位置とは副板の軌跡が基板ビードの曲率である円弧で結ばれているため、その間はなだらかな面圧変化となって接続される。
本発明の請求項2の金属ガスケットは、副板の幅をシリンダーボアとシリンダーボア間の最小幅と同幅、あるいはそれ以下としているため、副板の存在個所はシリンダーボア周縁のごく限られた部分だけである。したがって締付ボルト部は基板のみが存在する。そのためボルトを締付けると、ボルト部とシリンダーボア部には副板の板厚分の傾斜が発生する。このことはエンジンをたわましてエンジンの剛性によるバネを利用していることになる。このたわみを基板と副板との2枚に設けたビードがエンジンの変形に追従し、効果的なシール機能が得られる。本発明の請求項3の金属ガスケットは、副板の板厚を、基板の板厚と同等か、それ以下としているため、バネ常数を変化させることが可能であるばかりか、ボルト部とシリンダーボア部との間の傾斜も変化させることができる。
本発明の請求項4の金属ガスケットは、副板に形成するビードの幅を、ボルト間位置を最小幅とし、ボルト近傍位置に向って徐変させるようにしているため、ビードの面圧を無理なく所定値にできる。
【0006】
【実施例】
以下図面を参照して実施例を説明する。
図2は本発明による金属ガスケットの平面構成を説明する一部切欠して示した概要平面図であり、図3は図2の一部拡大図である。以下では図2,図3に関し同時に説明する。なお、図2ではまぎらわしいため、基板ビードと副板ビードを同幅として描いているが、実際は図3のように場所によって所定距離だけずらしている。
各図において、10は金属ガスケット本体で、弾性材からなる1枚の基板1からなる。2は開口部で図示しないシリンダーブロック側のボアに対応して複数個設けられる。3は基板と同等か、それより薄い板厚の副板である。そしてこの副板はシリンダーボア孔2の回りにのみ設けられ、副板側のビードも基板側と同様にフルビードである。又、基板1と副板3とはビードセンターよりボア寄り平坦部の固着ライン6で固定されている。8はボルト孔、11は油孔である。なお、4は副板ビード、5は基板ビードであり、ボルト間では基板ビード5と副板ビード4−1との軌跡が一致し、ボルト中心とシリンダーボア中心とを結んだ線とビードとの交差する部分では基板ビード5と副板ビード4−2とは所定距離、例えばビード幅の1/4までずらしている(後述する)。更にボルト間の中央位置と前記ビード幅を1/4ずらした位置との間をビード幅を一定にし、かつ基板ビードと同一曲率である円弧にて結んでいる。
【0007】
次に図1によって断面構成を説明する。
ここで図1(a) は図2のA−A′断面、図1(b) は図2のC−C′断面、図1(c) は図2のB−B′断面を示す。前記した通り4−1 は副板側のボルト間のビードであり、A−A′断面で言えば基板ビード5と同一寸法である。又、図1(b) に示される4−2 は副板側のボルト近傍のビードラインで、基板ビードラインとはビード幅の1/4ずらしてある。即ち、締付面圧の低いボルト間は基板ビードと副板ビードの軌線を同一とすることにより、締付時に発生するビードの変形を図4のようにしてバネ常数を大とする方法としてもよいし、又はビード幅を狭くしてバネ常数を大として面圧を大とするようにしてもよい。
一方、ボルト近傍は図1(b) に示されるように、基板ビードに対し、副板ビード軌跡をビード幅の1/4だけ、内側又は外側にずらすことにより、締付時に発生するビードの変形を図5の圧縮変形過程図に示すように、ボルト間ビードの変形に比べバネ常数を下げている。以上によりシリンダーボア回りのビード上の面圧の平均化をはかっている。
【0008】
そして図1(b) ,図1(c) の各断面図に示されるように、副板はシリンダーボア孔の回りのみに設けられているため、ボルト締結部は基板の板厚のみである。一方、ボア回りは基板と副板との加算された板厚となって、エンジン稼働時、副板の板厚分だけエンジンをたわまして使用する。なお、図4は図1(a) に示されるA−A′断面の、又、図5は図1(b) に示されるC−C′断面の圧縮変形過程図である。そして各図において、7−1 は基板ビード変形突出部、7−2 は副板ビード変形突出部である。又、本実施例では基板ビード5と副板ビード4(図1(a) ,図1(c) では4−1 、図1(b) では4−2 として示す)のビード幅を徐変したり、ビードの軌線を同一としてボルト近傍のビードよりバネ常数を高くするようにしてボア回りの面圧を平均化することを考慮している。図1(a) は両シリンダーボア同志が最も隣接した部分であるため、固着部6は両端平坦部にある。したがって図1(a) のバネ常数は他の図1(b) ,図1(c) に比して高くなり、エンジンを締付けた時に1番締結力の弱いボア間の面圧を補間している。更に、基板ビード高さより副板ビード高さを低くすることで基板ビードの全屈を制限できて、1番締結力の弱いボア間の面圧を補間することもできる。
【0009】
次に作用について説明する。
先ず、金属ガスケットをエンジンに装着して締付けると、副板と基板が同一板厚の場合、副板の板幅が狭いためにバネ常数が少し小さく、その結果、早く変形し始めるが、基板もほゞ同時に変形を開始する。しかし、副板はシリンダーボア周縁にのみ存在し、締付ボルト部は基板のみであるため、締付時にボルト部とシリンダーボア部では副板の板厚分の傾斜が発生する。即ち、エンジンをたわましていることになる。この現象そのものは従来と同じであるが、本発明のものは副板にストッパー機能とビード機能を併せて持たせたことに特徴を有している。又、ボア回りのビードの面圧を平均化するために、締付条件の優位なボルト近傍は基板ビードに対し副板のビード軌跡をビード幅の1/4ずらすことによりバネ常数を低く抑え、ボルト近傍に対しボルト間はビード幅を狭くしたり、ビード軌線を基板と副板と同一にすることや副板のビード高さを基板ビードより部分的に低くすることで、面圧の平均化をはかっている。したがって軽量化した剛性の弱いエンジンの真円度が確保できる。
【0010】
実際には、締付時に基板と副板の積層部分でもボルト近傍では全屈し、ボルト間はエンジン剛性と均衡するため多少の隙間が発生する。この状態で運転した時、振動振幅が発生する。しかしボルト近傍は密着しており、ボルト間に発生する僅少の隙間を、基板と副板との2枚のビードにて分散して受持つため、疲労破壊することはなく、構造が簡単で高性能、かつ耐久性のある金属ガスケットが提供できる。なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、基板,副板の各面にシール材を塗布又は貼付してもよい。
【0011】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によればボア孔周縁にのみ副板を設け、基板,副板にはフルビードを設けると共に、ボルト位置近傍では基板のビード幅と副板のビード幅とをずらせ、ボルト間では基板と副板のビード幅を合せその間を徐変して接合する構成としたので、ボルト間ではバネ常数を大きく、ボルト位置近傍ではバネ常数を小さくでき、その結果、ボア回りの面圧を一定範囲とできてシール効果が大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による金属ガスケットの一実施例の断面図。
【図2】金属ガスケットの平面構成を説明する一部切欠図。
【図3】図2の部分拡大図。
【図4】図1(a) の圧縮変形過程図。
【図5】図1(b) の圧縮変形過程図。
【図6】従来技術の金属ガスケットの構造図。
【図7】従来技術の他の金属ガスケットの構造図。
【符号の説明】
1 基板
2 シリンダー開口部
3 副板
4−1 ボルト間副板ビード
4−2 ボルト近傍副板ビード
5 基板ビード
6 固着ライン
7−1 基板ビード変形突出部
7−2 副板ビード変形突出部
8 ボルト孔
9 水孔
10 金属ガスケット本体
11 油孔
Claims (4)
- 1枚の弾性金属板に形成したシリンダーボア孔と、前記シリンダーボア孔の周縁に沿って設けたフルビードと、水孔,油孔に対して圧力シールを行なうフルビード又はハーフビードを設けた金属ガスケットにおいて、前記シリンダーボア孔周縁にのみ副板を設け、前記副板には基板と同じ幅のフルビードを形成すると共に、前記副板のビード軌跡はボルト間の中央位置では基板と同一軌跡とし、ボルト孔中心とボア孔中心とを結んだ線とビードとの交差する部分では、基板ビードと副板ビードとのビードセンターをビード幅の1/4ずらし、前記ボルト間の中央位置と前記ビード幅を1/4ずらした位置との間を、ビード幅を一定にし、円弧で結ぶと共に、シリンダーボア孔端部を揃えて基板に積層し、前記フルビード位置よりシリンダーボア孔寄り平坦部を全周にわたって固着したことを特徴とする金属ガスケット。
- 副板の幅はシリンダーボアとシリンダーボア間の最小幅と同幅か、あるいはそれ以下であることを特徴とする請求項1記載の金属ガスケット。
- 副板の板厚は、基板と同等か、あるいは基板より薄い板厚であることを特徴とする請求項1記載の金属ガスケット。
- 基板と副板に形成するビードの幅は、基板,副板共にボルト間位置を最小幅とし、ボルト近傍位置に向って幅広に徐変させることを特徴とする請求項1記載の金属ガスケット。
Priority Applications (1)
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