JP3420297B2 - 金属積層型ガスケット - Google Patents

金属積層型ガスケット

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JP3420297B2 JP24968993A JP24968993A JP3420297B2 JP 3420297 B2 JP3420297 B2 JP 3420297B2 JP 24968993 A JP24968993 A JP 24968993A JP 24968993 A JP24968993 A JP 24968993A JP 3420297 B2 JP3420297 B2 JP 3420297B2
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    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02FCYLINDERS, PISTONS OR CASINGS, FOR COMBUSTION ENGINES; ARRANGEMENTS OF SEALINGS IN COMBUSTION ENGINES
    • F02F1/00Cylinders; Cylinder heads 
    • F02F1/02Cylinders; Cylinder heads  having cooling means
    • F02F1/10Cylinders; Cylinder heads  having cooling means for liquid cooling
    • F02F2001/104Cylinders; Cylinder heads  having cooling means for liquid cooling using an open deck, i.e. the water jacket is open at the block top face

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  • Gasket Seals (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は,燃焼室における
燃焼室孔であるシリンダボア孔及び該シリンダボア孔の
周囲における水孔,オイル孔,オイル戻り孔を構成する
孔部を有する多気筒エンジンにおいて,シリンダヘッド
とシリンダブロックとの対向面をシールするために使用
される金属積層形ガスケットに関する。
【0002】
【従来の技術】最近の内燃機関は,高出力化と共に軽量
化が求められており,その一環としてシリンダヘッド及
びシリンダブロックは,シリンダボア間の間隔が6mm
程度の間隔にまで狭くされるとともに,比重の大きい鉄
系鋳物等に代えて比重の小さいアルミニウム材料で製作
される傾向にある。アルミニウム材料は軽量である反
面,剛性が低いという性質があるため,また,上記のよ
うにシリンダボア間の間隔が狭いために,最近の内燃機
関のシリンダヘッドとシリンダブロックの剛性は低下す
る傾向にある。
【0003】このような傾向に対して,シリンダヘッド
とシリンダブロックとの間に配置されて締め付けられて
シリンダボア孔とその周囲における水穴等の周りにおい
て両者の対向面をシールする金属ガスケットについて
は,少なくとも二枚の基板からなる構成とし,上記基板
のうち少なくとも一枚の基板をシリンダボア孔の周縁に
沿ってビードを備えるビード基板とする金属積層形ガス
ケットが提案されている。上記のような金属積層形ガス
ケットを,図7及び図8を参照して概説する。
【0004】図7及び図8に示すように,シリンダヘッ
ドとシリンダブロックとの対向面をシールする金属積層
形ガスケット40は,弾性金属板からなるビード基板4
1に燃焼室孔即ちシリンダボア孔43とシリンダボア孔
43を囲繞するビード部44を設けたものであり,ビー
ド基板41に対してビード部44を形成した突出側とは
反対側においてやはり弾性金属板からなる副板42を積
層し,そして副板42のシリンダボア孔43側の端縁を
ビード基板41の他側表面に折り返してビード基板41
の端部を包み込むことで,ビード部44よりもシリンダ
ボア孔43側に所定の厚さの補償部としての折返し部4
5を形成したものである。金属積層形ガスケット40を
上記のように構成することにより,燃焼ガスの圧力や機
関熱の影響で,シリンダヘッドとシリンダブロックとの
対向面の間隙が収縮するのを防止し,ビード部44へ作
用する交番荷重を軽減してビード部44に生じる応力を
低減すると共に,金属積層形ガスケット40に生じる面
圧が折返し部45へと分散されるので,ガスケットのヘ
タリが防止される。更に,シリンダボア孔43の周囲が
折返し部45とビード部44との双方でシールされるた
め,燃焼ガスの漏れがより一層防止される。上記のよう
な金属積層形ガスケットとしては,例えば,特開昭62
−155376号公報や米国特許第3817540号明
細書及び図面に開示されたものがある。
【0005】金属積層ガスケット40においては,折返
し部45を形成するための副板42の折り曲げ部分が長
期の使用により亀裂を生じることがある。この亀裂の発
生防止の対策として副板42の厚さを大きくすると,副
板42の材料費が上昇するのは勿論のこと,折返し部4
5が存在する部分の板厚とそれ以外の部分の板厚の差が
副板42の厚さ分だけ大きくなっていくことを意味して
おり,その結果,ガスケットをシリンダブロックとシリ
ンダヘッドとの間で締め付けたときの面圧がシリンダボ
ア孔43の周りにおいて集中してシリンダボア孔周りの
変形を大きくしたり,ビード部44の外側の領域に設け
られる水孔49等の周りのシール能力が低下するという
不具合がある。
【0006】また,図9に示すような金属積層形ガスケ
ット50が知られている。金属積層形ガスケット50
は,弾性金属板からなるビード基板51と副板52との
間において,折返し部55以外の部分,即ちビード部5
4からシリンダボア孔53の周囲に設けられる水孔59
等が位置する部分まで中板調整板56を挟んでいる。こ
うすることにより,折返し部55が存在する部分の板厚
とそれ以外の部分の板厚の差を小さくして,折返し部5
5に面圧が過度に集中するのを回避するとともに,折返
し部55を形成するための副板52の板厚を十分の大き
さとして折り返し部分の強度を確保し,水孔59等の周
りのシール性能も確保している。
【0007】また,図10に示すような金属積層形ガス
ケット60が知られている。金属積層形ガスケット60
は,弾性金属板からなるビード基板61にシリンダボア
孔63とシリンダボア孔63を囲繞するビード部64と
を設けており,ビード基板61のビード部64の突出側
に副板62を重ね,副板62のシリンダボア孔63が形
成される側の端部を,ビード基板61側に対して,ビー
ド基板61のシリンダボア孔63側端部を包み込むこと
なく折り返した折返し部65を形成したものである。折
返し部65はビード部64の変形を制限して,ビード部
64にヘタリや亀裂等が発生するのを抑制している。こ
のような金属積層形ガスケットとしては,例えば,特開
平4−248071号公報に開示されたものがある。
【0008】図10に示されたような金属積層形ガスケ
ット60は,図7及び図8に示されたような金属積層形
ガスケット40と比較すると,副板62の折返し部65
が,ビード基板61を挟み込んでいないために亀裂が発
生し難い点で有利ではあるが,シリンダボア孔63の周
りの板厚がそれ以外の部分での板厚と比較して副板62
の板厚分だけ厚くなるという欠点が依然として存在す
る。副板62の板厚は,エンジンのシリンダブロックや
シリンダヘッドの材質,剛性等の機械的性質及び構造に
よって決められるが,シリンダヘッドとシリンダブロッ
クがアルミニウム製であるのに対して金属積層形ガスケ
ット60がステンレス製であるために両者の熱膨張係数
が異なり,エンジンが高温になったときにシリンダヘッ
ド及びシリンダブロックと金属積層形ガスケット60と
の間で熱変形に差が生じる等の基本的な不具合があり,
この前提下では副板62の板厚を薄くし過ぎると副板6
2の強度不足が原因となって変形や亀裂を生じる虞それ
がある。従って,一般的に言って副板の板厚を0.15
mm以下にすることは困難である。
【0009】また,図11と図12に示すような金属積
層形ガスケット70が知られている。図11は,金属積
層形ガスケット70の隣接するシリンダボア孔73間を
横切る切断線についての断面図であり,図12は同じ金
属積層形ガスケット70に対するシリンダボア孔73と
一つの水孔79とを結ぶ線についての断面図である。金
属積層形ガスケット70は,ビード基板71と副板72
との間において,折返し部75以外の部分,即ちビード
部74からシリンダボア孔73の周囲に設けられる水穴
79等が位置する部分を経て最外部78に至るまで中板
調整板76を挟んでいる。こうすることにより,折返し
部75が存在する部分の板厚とそれ以外の部分の板厚の
差が小さくなって,折返し部75に面圧が過度に集中す
るのを回避するとともに,副板72の板厚を十分の大き
さとして折返し部75の強度を確保しつつ,折返し部7
5以外の部分においても中板調整板76の板厚が加えら
れることにより,水孔79等の周りでも十分な板厚を得
てシール性能も確保することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,図9に
示すような金属積層形ガスケット50や,図11に示す
ような金属積層形ガスケット70は,上記の利点がある
ものの,中板調整板56,76を必要とするためにガス
ケットが3枚構成になって構成部品の点数が増え,材料
費や組立に要する等のコストが上昇する。また,中板調
整板56,76の板厚を副板52,72とそれぞれ比較
してそれほど薄くできない場合には,調整板としての本
来の役割を果たすものではなくなり,逆に,中板調整板
56,76の板厚を副板52,72とそれぞれ比較して
薄くし過ぎると,ガスケットをシリンダブロックとシリ
ンダヘッドとの間で締め付けた時に,シリンダボア孔周
りに比較して水孔等の周りにおいて耐変形性,シール性
能を十分な得ることが困難である等,中板調整板56,
76の板厚の設計や管理が非常に難しいという不具合が
ある。
【0011】更に,エンジンの水孔については,図7及
び図8に示す金属積層形ガスケット40を例にとると,
図13に示すように,一般的にシリンダブロック47に
形成される水孔49Bがシリンダヘッド46に形成され
る水孔49Hよりも大きく,間に締め付けられる金属積
層形ガスケット40に形成した水孔49で小さい穴に絞
ってからシリンダヘッド側の水孔49Hに連通してい
る。そのため,図13で示すように,金属積層形ガスケ
ット40のシリンダヘッド側の弾性金属板が水孔49の
ところで変形が生じると,シリンダヘッド46とシリン
ダブロック47とを巡る冷却水の循環が悪化し,エンジ
ン性能に悪影響を与えるおそれがある。また,副板42
は,図14に示すように,排気マニホルド側であるフラ
イホイール側に位置するシリンダボア孔程,水孔49を
含むシリンダボア孔43の周囲の部分が広範囲にわたっ
て膨らむように大きく変形48している現象が見受けら
れる。このような変形48は燃焼熱によるシリンダーの
動き,変形が要因と推定されているが,水孔49に関し
て生じるこれらの現象は,図7及び図8に示した金属積
層形ガスケットのみならず,従来のすべての金属積層形
ガスケットについて見受けられる現象である。
【0012】このような場合,副板の構造を工夫するこ
とにより,シリンダボア孔周りだけでなく,水孔等の周
りにおいても副板の剛性を高くすることにより,変形に
対する抵抗性即ち耐変形性を高めてシール性能を向上す
ることができれば,中板調整板を十分薄くし,或いは,
更に進んで中板調整板を省略することもでき,また水孔
を通ってシリンダブロックとシリンダヘッドとを巡る冷
却水の循環が悪化することも防止できるという技術的な
課題が存在する。
【0013】この発明の目的は,上記の課題を解決する
ことであり,シリンダボア孔周囲において水孔とオイル
孔を構成する孔部を設けた多気筒エンジンに使用される
金属積層形ガスケットであり,並列する各シリンダボア
孔の周縁に沿ってビード部をそれぞれ形成した弾性金属
板からなるビード基板に,該ビード基板を包み込むこと
なく,シリンダボア孔側端部を前記ビード基板側に折り
返した折返し部を備えた副板を積層し,中板調整板を備
えていなくても,又は中板調整板を備えているが,副板
の板厚が十分薄い場合でも,上記孔部の周りにおいてビ
ードの変形加工部の形状を放射状に伸びる稜線を有する
ビード形成することによって任意の剛性を確保してシー
ル性能を確保することができる金属積層形ガスケットを
提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】この発明は,並列する各
シリンダボア孔に沿ってビード部をそれぞれ形成した弾
性金属板から成るビード基板と,該ビード基板に積層さ
れ且つ折返し部を備えた薄い副板とを有し,前記ビード
基板と前記副板には水孔とオイル孔を構成する孔部が形
成され,前記副板の前記折返し部は前記ビード基板の前
記シリンダボア孔周りの端部を包み込むことなく且つ締
め付け前の自由状態で前記ビード基板に重なることな
く,前記副板のシリンダボア孔周りの端部を抱き込む形
状に前記ビード基板側に折り返えされている金属積層型
ガスケットにおいて,前記副板の剛性を高くするため前
記副板には前記孔部の近傍領域に多数の凹部又は凸部の
変形加工部が設けられ,前記変形加工部は前記シリンダ
ボア孔を中心として放射状に伸びる稜線を有するビード
で構成されていることを特徴とする金属積層型ガスケッ
トに関する。
【0015】この金属積層型ガスケットにおいて,前記
副板はシリンダブロック側に配置され,前記副板に形成
した前記変形加工部の前記凸部は前記シリンダブロック
の水穴側に対向している。
【0016】この金属積層形ガスケットは,以上のよう
に構成されているので,シリンダブロックとシリンダヘ
ッドとの間で締め付けられたときに,基本的な作用とし
て,ビード基板はその弾性金属の弾性作用により各シリ
ンダボア孔の周縁に沿って形成されたビード部が押し潰
されるように変形して,ビード基板の前記シリンダボア
孔側端部は,副板のシリンダボア孔側端部の折返し部に
押し当てられて,燃焼室内の燃焼ガス等の気体がシリン
ダボア孔の周縁から外部に漏出するのを防ぐことができ
る。
【0017】特に,前記ビード基板のビード部より前記
シリンダボア孔の半径方向外側に位置する領域に対応す
る前記副板の領域であって,前記シリンダボア孔周囲に
あって水孔とオイル孔を構成する孔部孔部を取り囲む領
域において,前記シリンダボア孔を中心とした放射状に
伸びる稜線を有するビードからなる多数の凸部又は凹部
の変形加工部によって,前記副板のこの領域の剛性及び
強度が向上して,変形に対する抵抗性が大きく即ち耐変
形性が向上すると共に,前記副板の板厚が薄くても十分
にその機能を発揮できるものであり,上記の締め付けに
より水孔,オイル孔,オイル戻り孔等の孔部の周囲領域
において十分な面圧が確保されることになり,上記孔部
からシリンダブロックとシリンダヘッドとの対向面との
間に水や油等の流体成分が漏出するのを防ぐこともでき
る。
【0018】また,この金属積層形ガスケットでは,ス
トッパ板として機能する前記副板がシリンダブロック側
に配置され,前記ビード基板がシリンダヘッド側に配置
されている。そして,前記副板に形成された変形加工部
における凸部側が前記シリンダブロックの水穴側に位置
し,それによって前記副板の変形が大きくなるのを防止
することができる。更に,エンジンの排気マニホルド側
は,燃焼ガスの熱の影響が及び易いため,金属積層形ガ
スケットにおいては,排気マニホルド側のシリンダボア
孔についてのみ設けるだけでも,熱を原因とする金属積
層形ガスケットの特に水孔の周りにおける変形等に対処
することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下,図面を参照して,この発明
による金属積層形ガスケットの実施例を説明する。図1
はこの発明による金属積層形ガスケットの一実施例を示
す平面図,図2は図1のシリンダボア孔中心から一つの
水孔を通る線A−Aについての断面図,図3はこの発明
による金属積層形ガスケットの副板についてシリンダボ
ア孔周囲にあって水孔,油孔等の孔部を取り囲む領域に
おいて成形されるビード部示す平面図,及び図4は図3
の線B−Bについての断面図である。
【0020】この発明による金属積層形ガスケット10
は,多気筒エンジンにおけるシリンダヘッドとシリンダ
ブロックとの間の対向面をシールするために使用される
ものである。図では,3気筒が図示されているが,気筒
数はこれに限るものでないことは明らかである。金属積
層形ガスケット10の基本的な構造は,従来の金属積層
形ガスケットと同様に次の通りである。金属積層形ガス
ケット10は,後述のビード基板11とストッパ板とし
ての副板12とを積層したものであり,両板11,12
には,シリンダブロックに形成されたシリンダボアとは
一対一に対応して同一径のシリンダボア孔13が形成さ
れている。また,金属積層形ガスケット10には,冷却
水を通す水孔19がシリンダボア孔13の周囲において
複数個穿設されている。水孔19の他にも,金属積層形
ガスケット10には,シリンダブロックとシリンダヘッ
ドとを互いに連結するためのボルト孔20,オイルを通
すオイル孔やオイル戻り孔21,ノック穴22,リベッ
ト止め孔(図示せず)等が複数個穿設されている。シリ
ンダブロック及びシリンダヘッドの各対向面のうち,金
属積層形ガスケット10の水孔19が設けられる部位を
取り囲むシリンダボア孔13の周囲部分はオープンデッ
キ部18と称される。
【0021】金属積層形ガスケット10では,基本的に
は,副板12はシリンダブロック側に配置されてストッ
パ板として機能するものであり,また,ビード基板11
はシリンダヘッド側に配置されている。ビード基板11
は厚さが約0.18mmの弾性金属板,即ちステンレス
製ばね板から形成されており,その材料はSUS301
H又はSUS301・3/4Hである。副板12は,板
厚をビード基板11より薄く(0.120mm以下)し
た弾性金属板,即ち厚さが約0.1mmのステンレス製
ばね板から形成されており,その材料はSUS304で
ある。
【0022】また,図示はしていないが,金属積層形ガ
スケット10のビード基板11と副板12の表面に対し
ては,耐熱性及び耐油性のゴム,樹脂等の材料で,例え
ば,10μm〜50μm程度の厚さにコーティングを施
すのが好ましい。コーティングは,ビード基板11と副
板12の各両面に施してもよく,場合によっては,シリ
ンダヘッドとシリンダブロックの当接面側だけに施して
もよい。このようにコーティングを施すことによって,
シリンダヘッド及びシリンダブロックに対して金属積層
形ガスケット10が金属対金属の直接接触状態に陥るの
を回避し,ガスケットとしての耐腐食性,耐久性等を向
上でき,そしてその強度を確保して,充分なシール機能
を果たすことができる。
【0023】図2に示すように,ビード基板11にはシ
リンダボア孔13の直近周囲を取り囲む1つの環状のビ
ード部14が形成されており,ビード部14の高さは
0.2〜0.3mmである。図1及び図2に示すよう
に,それぞれのシリンダボア孔13の周りのビード部1
4は,隣接するシリンダボア孔13について別々のもの
となっているが,隣接するシリンダボア孔13間では一
つに合体して両シリンダボア孔13に対して兼用させて
もよい。この場合,ビード部14の幅は約2.0mmで
あり,ビード部14の両側からシリンダボア孔13まで
の間隔も約2.0mmであるので,シリンダボア孔13
の最小間隔は,約6.0mmである。
【0024】副板12は,ビード基板11のビード部1
4を突出形成した側においてビード基板11に重ねられ
るが,図8に示す従来技術のものと同様にその反対側に
重ねてもよい。この実施例では,中板調整板は省略され
ており,必要であれば中板調整板をビード基板11と副
板12との間に介装させてもよいことは勿論である。副
板12は,全体としてビード基板11の形状とほぼ同じ
形状であり,本体部分は平らな状態にあるが,シリンダ
ボア孔13の周囲端縁はビード基板11側に直ちに折り
返されて折返し部15となっている。折返し部15の幅
は1.5mm程度であり,ビード基板11のビード部1
4と重なることはない。副板12はビード基板11に対
して締め付け前の自由状態ではビード部14の頂点を辿
った閉曲線で接触しており,折返し部15はシリンダボ
ア孔13側の端部ではビード基板11の平ら部16から
は隔置状態にある。また,副板12の折返し部15は,
シリンダボア孔13側の端部を抱き込むようにビード基
板11側に折り返されているが,ビード基板11に重な
らない状態にある。金属積層形ガスケット10の製作に
当たっては,ビード基板11と副板12をそれぞれ製作
した後で,ユニット化するためにビード部14上の数カ
所で仮止めしておいてもよい。
【0025】金属積層形ガスケット10の基本的な作用
は,次のとおりである。金属積層形ガスケット10のビ
ード基板11と副板12は,どちらがシリンダヘッド側
に配置されるかの制約はない。ボルト孔20にボルトを
通して金属積層形ガスケット10をシリンダヘッドとシ
リンダブロックとの間に締め付け固定すると,ビード部
14は強く押し潰されるように変形し,ビード基板11
は副板12に圧接される。副板12の折返し部15はビ
ード基板11のシリンダボア孔13の平ら部16に押し
付けられるが,層数としては3層となって他の部分より
も厚くなっているので,折返し部15はストッパとして
機能してビード部14が全圧縮するのを回避しており,
ビード部14のヘタリや亀裂を防止できる。折返し部1
5の折り返し幅は相当の自由度があるので,ビード部1
4との面圧配分を調整することができる。エンジンの運
転に伴い,シリンダヘッドとシリンダブロックとの間に
は振動,爆発に伴う引っ張り力が生じるが,ビード基板
11に積層された副板12が存在しているため,ビード
基板11にのみ振動や擦りによる損傷が生じることはな
く,副板12は,一種の緩衝作用をもってビード基板1
1を保護する作用をしている。
【0026】図1においてハッチングを付して示した副
板12のオープンデッキ部18には,図2に示す実施例
のように,変形加工部としてのビード17が形成されて
いる。図3に示す別の実施例では,ビード17は,山線
17aと谷線17bから成り,ビード17の稜線がシリ
ンダボア孔13の中心から半径方向に沿って伸びるよう
に構成されている。図4に示すように,シリンダボア孔
13の端縁に沿った周方向,即ちビードを横切る方向の
断面でみると,台形状の波形に加工されている。この場
合,稜線は,台形水平部分の中央を意味する。ビード1
7の高さは,自由状態ではビード部14の高さと同程度
であるが,設計により適宜の高さとすることができる。
隣接するビード17の稜線の間隔はシリンダボア孔13
の中心から見たピッチ角で約4°である。ビード17の
構造は図示のものに限ることなく,ビードの高さと同
様,その波形,稜線の方向及びピッチ角について適宜変
更することが可能である。
【0027】金属積層形ガスケット10をシリンダヘッ
ドとシリンダブロックとの間に締め付け固定すると,ビ
ード部14ばかりでなく,ビード17も強く押し潰され
るように変形する。シリンダヘッド及びシリンダブロッ
クに挟まれることによるオープンデッキ18の部位にお
ける面圧が,この変形に要する分だけ高くなるので,こ
の部位におけるシール性能が向上し,水孔19の周りか
ら水の漏出を防止することができる。また,副板12の
この部位の変形に対する抵抗性が向上して変形し難くな
ることにより,燃焼熱によるシリンダーの動きや変形に
よると推定される図14で示すような膨らみ状の変形4
8が防止できる。更に,水孔19の周縁も変形し難くな
り,水の通過に対する抵抗が大きくなることもなく,エ
ンジンの冷却性能に悪影響となることもない。ビード1
7による凹凸加工を施す領域は,水孔19が形成される
オープンデッキ18の部位に限らず,オイル孔やオイル
戻り孔21が形成される領域まで拡大してもよく,この
場合には,オイル孔やオイル戻り孔21の周囲における
副板12の面圧も大きくなってオイル孔やオイル戻り孔
21の周囲におけるシール性能が向上し,剛性の向上に
よる変形抵抗性も向上して,オイル孔やオイル戻り孔2
1からオイルが漏出するのを防止できるとともに,オイ
ルの循環にも悪影響がない。
【0028】次に,図5及び図6を参照して,金属積層
形ガスケットの一例を説明する。図5は,図2と同様に
シリンダボア孔と水孔とを結ぶ線についての断面図,及
び図6は副板へのディンプル加工の加工形状の例を示す
断面図である。
【0029】図5及び図6に図示された金属積層形ガス
ケット30は,副板32のオープンデッキ38に凹凸加
工を施して形成したものを変形加工部としてディンプル
に形成した例である。金属積層形ガスケット30は,ビ
ード基板31と副板32とを積層したものであり,ビー
ド基板31には,シリンダボア孔33の周りにおいてビ
ード部34が形成されており,ビード基板31と副板3
2には,ビード部34よりもシリンダボア孔33の半径
方向外側に位置する領域であるオープンデッキ38にお
いて,積層した状態で互いに位置が合う水孔39がそれ
ぞれ形成されている。その他の構成については先の実施
例である金属積層形ガスケット10と基本的に同じであ
るので,再度説明するのを省略する。この実施例におい
ては,副板32のオープンデッキ38に多数のディンプ
ル37が副板32の外側から内側に向けて窪みとなるよ
うに形成されている。
【0030】従って,金属積層形ガスケット10は,デ
ィンプル37によって副板32のオープンデッキ38の
剛性が高くなり,金属積層形ガスケット30をシリンダ
ヘッドとシリンダブロックとの間で締め付けたときに
は,先の実施例におけるビード17の作用と同様の作用
に加えて,特に副板32の剛性をアップし,耐変形性を
向上させて副板32の板厚を薄くしても変形対策に十分
に対応できるものである。即ち,ディンプル37がビー
ド基板31に対して強く押されると,ディンプル37が
変形するに必要な分だけ水孔39の周囲において面圧が
高まってシール性能を向上するとともに,副板32のこ
の部位の変形に対する抵抗も向上するので,水孔39の
周囲からの水の漏出が防止される。なお,ビード基板3
1のビード部34の直近外側周囲においてもディンプル
加工を環状に施したり,更にビード基板31の水孔39
の周囲をハーフビードとすれば,シリンダヘッドとシリ
ンダブロックとの間で締め付けたときにビード部34の
外側周囲と水孔39の周囲との領域に生じる面圧は更に
高くなるようにすることもできる。
【0031】図6はディンプル37の断面形状の実施例
を示したものであり,図6における(A)に示されたデ
ィンプル37Aはディンプルの頂点及び裾の断面形状を
なだらかな曲線とした窪みであり,図6における(B)
に示されたディンプル37Bは断面が三角形,即ち全体
の形状としては円錐形の窪みであり,更に図6における
(C)に示されたディンプル37Cは断面が台形,即ち
全体の形状としては円錐台の窪みである。他にも,窪み
形状を球形としたり,或いはディンプルの中心軸の周り
でみて非回転体の形状とするなど,適宜の形状とするこ
とができる。
【0032】
【発明の効果】この発明による金属積層形ガスケット
は,以上のように構成されているので,副板の水孔等の
孔部領域において,シリンダボア孔を中心として放射状
に伸びる稜線を有する変形加工部のビードによって,剛
性及び強度が向上して耐変形性を向上でき,上記の締め
付けにより水孔,オイル孔,オイル戻り孔等の孔部の周
囲において十分な面圧が確保されることになってシール
性能が向上する。従って,上記孔部からシリンダブロッ
クとシリンダヘッドとの対向面との間に水やオイル等の
流体成分が漏出するのを防ぐことができる。また,副板
に形成されるビードからなる凹部又は凸部の変形加工部
は,いずれもプレス加工のような機械加工により容易に
形成することができる凹凸加工部であり,副板の形成と
同時に加工を済ませることができ,加工に要するコスト
上昇も僅かである。
【0033】また,この金属積層形ガスケットは,中板
調整板に充分薄い板厚のものを使用することができ,シ
ール性能の向上の割に材料費の上昇を抑えることができ
るものである。更に,この金属積層形ガスケットによれ
ば,中板調整板を全く必要としない2層構造の形態の金
属積層形ガスケットでも,充分その機能を果たすことが
できるものであるので,上記機能を維持しつつ部品点数
を減少させることもできる。
【0034】更に,この金属積層形ガスケットによれ
ば,前記副板はシリンダブロック側に配置され,前記副
板に形成した前記変形加工部の前記凸部は前記シリンダ
ブロックの水穴側に対向されているので,前記副板の水
孔を含むオープンデッキの部位に形成された変形加工部
の凸部加工により変形に対する抵抗性が大きくなるの
で,前記副板が,水孔を通過する冷却水の通過の妨げに
なるような変形をすることも抑制されると共に,燃焼熱
に起因すると推察されるこの部位における膨れ状の変形
にも充分抵抗を示すものとすることができる。更に,エ
ンジンの排気マニホルド側は,燃焼ガスの熱の影響が及
び易いため,この金属積層形ガスケットにおいては,排
気マニホルド側のシリンダボア孔についてのみ設けるだ
けでも,熱を原因とする変形等に対処することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による金属積層形ガスケットの一実施
例を示す平面図である。
【図2】図1のシリンダボア孔中心から水孔の孔部を通
る線A−Aについての断面図である。
【図3】この金属積層形ガスケットの副板について,シ
リンダボア孔周囲にあって水孔又は油孔等の孔部を取り
囲む領域におけるビード部の他の実施例を示す平面図で
ある。
【図4】図3の線B−Bについての断面図である。
【図5】金属積層形ガスケットについて,シリンダボア
孔中心から水孔を通る面についての断面図である。
【図6】図5の金属積層形ガスケットにおけるディンプ
ルの種々の断面形状を示す断面図である。
【図7】従来の金属積層形ガスケットの一例を示す平面
図である。
【図8】従来の金属積層形ガスケットの一例を示し且つ
図7の線C−Cにおける断面図である。
【図9】従来の金属積層形ガスケットの他の例を示す部
分断面図である。
【図10】従来の金属積層形ガスケットの更に他の例を
示す部分断面図である。
【図11】従来の金属積層形ガスケットの更にまた他の
例を示し,且つ隣接するシリンダボア孔間を横切る面に
ついての部分断面図である。
【図12】図11と同じ従来の金属積層形ガスケットの
例を示し,且つシリンダボア孔と一つの水孔とを結ぶ面
についての断面図である。
【図13】従来の金属積層形ガスケットの水孔近傍にお
ける変形を説明する断面図である。
【図14】従来の金属積層形ガスケットのオープンデッ
キ部における膨れ状の変形を説明する平面図である。
【符号の説明】 10,30 金属積層形ガスケット 11,31 ビード基板 12,32 副板 13,33 シリンダボア孔 14,34 ビード部 17 ビード(変形加工部) 18,38 オープンデッキ部 19,39 水孔 21 オイル孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西谷 和宏 大阪府東大阪市加納2丁目1−1 日本 ガスケット株式会社内 (72)発明者 三浦 正彦 大阪府東大阪市加納2丁目1−1 日本 ガスケット株式会社内 (72)発明者 瀬戸 智行 大阪市北区茶屋町1番32号 ヤンマーデ ィーゼル株式会社内 (56)参考文献 特開 昭64−83843(JP,A) 実開 平1−134760(JP,U)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 並列する各シリンダボア孔に沿ってビー
    ド部をそれぞれ形成した弾性金属板から成るビード基板
    と,該ビード基板に積層され且つ折返し部を備えた薄い
    副板とを有し,前記ビード基板と前記副板には水孔とオ
    イル孔を構成する孔部が形成され,前記副板の前記折返
    し部は前記ビード基板の前記シリンダボア孔周りの端部
    を包み込むことなく且つ締め付け前の自由状態で前記ビ
    ード基板に重なることなく,前記副板のシリンダボア孔
    周りの端部を抱き込む形状に前記ビード基板側に折り返
    えされている金属積層型ガスケットにおいて, 前記副板の剛性を高くするため前記副板には前記孔部の
    近傍領域に多数の凹部又は凸部の変形加工部が設けら
    れ,前記変形加工部は前記シリンダボア孔を中心として
    放射状に伸びる稜線を有するビードで構成されているこ
    とを特徴とす る金属積層型ガスケット。
  2. 【請求項2】 前記副板はシリンダブロック側に配置さ
    れ,前記副板に形成した前記変形加工部の前記凸部は前
    記シリンダブロックの水穴側に対向されていることを特
    徴とする請求項1に記載の金属積層型ガスケット。
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