JP3552862B2 - 光式変位センサ及び光式厚さセンサ - Google Patents

光式変位センサ及び光式厚さセンサ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は投光ビームを検知領域に照射し、三角測量法によって物体までの距離や変位又は透明物体の厚さを測定するための光式変位センサ及び光式厚さセンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の光式変位センサは、光ビームを検知領域に照射し、それと一定距離隔てて配置された位置検出素子であるポジションセンシティブディバイス(PSD)に得られる反射光の受光位置に基づいて物体までの距離を検知するようにしている。図6は従来の光式変位センサの構成を示すブロック図である。本図において光源駆動回路1より投光素子2を駆動して集束レンズ3を介して検知領域に投光ビームを照射しており、これと所定角度隔てた位置に受光レンズ4を介して位置検出素子としてPSD5を配置する。このとき光ビームの照射方向に物体があれば反射光が得られるが、物体の位置によってPSD5の受光位置が変化し、その両端の電流出力も変化する。従ってPSD5の両端に得られる光電流出力をI/V変換器6及び7によって電圧信号に変換し、その出力を加算器8,減算器9によって加算及び減算する。そしてこれらの出力の比を割算器10によって算出することによって、物体までの変位を示す信号を出力している。こうすれば物体の表面に反射率や受光量の総和にかかわらず受光信号を正規化して、物体までの距離又は変位に対応する信号が得られる。ここで変位は光式変位センサから物体までの所定の距離を基準位置とすると、その変化分を示している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ここで被測定対象物がガラス板等のような透明物体である場合、図7に示すように物体に対して投光ビームを傾け、物体からの正反射光を受光するようにすればガラス板の表面から十分な反射光が受光できる。しかし透明なガラス板等の物体の場合には、その裏面からの反射光も同時に受光することとなる。従ってPSD5の位置に対して図8(a)に示すように表面に対応するx及び裏面のxにピークを持つ反射光が得られる。PSD5では受光した光の重心の位置xが電流出力として得られ、この光電流がI/V変換器6,7によって電圧信号に変換される。このため結果的に物体までの変位出力はガラス表面より遠い場所に位置するものとして検出されてしまうという欠点があった。
【0004】
特にガラス板の背景に不透明の物体が存在する場合には、例えば図8(b)に示すように背景の不透明物体からの反射光(x)の方がガラス表面の反射光のレベルより大きく、受光の重心位置が例えばxのように大きくずれるため、透明ガラス板の正確な変位や距離の測定ができなくなるという欠点があった。
【0005】
本願発明はこのような従来の問題点に着目してなされたものであって、検出対象が透明物体である場合にも正確にその距離や変位を測定できるようにすることを目的とする。また本願発明の他の目的は反射光から透明物体の厚さを測定できるようにすることである
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1の発明は、投光素子を有し、投光ビームを被測定対象物に対して斜め方向に照射する投光部と、被測定対象物までの距離に対応して受光位置が変化するCCDラインセンサを有し、投光ビームに対する測定対象物からの反射光を受光する受光部と、前記CCDラインセンサ上の受光分布のピーク位置から前記測定対象物の表面に対応する受光位置を識別する信号処理部と、を具備する光式変位センサであって、前記信号処理部は、前記CCDラインセンサに受光される受光レベルにつき2つの閾値を設定し、受光レベルがこのレベルを超えて変化する受光位置から2本の直線を求め、その交点を受光分布のピーク位置として検出することを特徴とする。
【0007】
本願の請求項2の発明は、投光素子を有し、投光ビームを透明の被測定対象物に対して斜め方向に照射する投光部と、被測定対象物までの距離に対応して受光位置が変化するCCDラインセンサを有し、投光ビームに対する測定対象物からの反射光を受光する受光部と、前記CCDラインセンサの第1,第2の受光分布のピーク位置からその被測定対象物の厚さを算出する信号処理部と、を具備する光式厚さセンサであって、前記信号処理部は、前記CCDラインセンサに受光される受光レベルにつき2つの閾値を設定し、受光レベルがこのレベルを超えて変化する受光位置から2本の直線を求め、その交点を受光分布のピーク位置として夫々第1,第2のピーク位置を算出することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第1の実施の形態による光式変位センサの全体構成を示すブロック図である。本図において前述した従来例と同一部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。この実施の形態においても光源駆動回路1より投光素子2を駆動し、投光レンズ3を介して投光ビームを物体検知領域に投光する。物体検知領域にガラス板等の被測定対象物があれば、その反射光が受光レンズ4を介して受光素子に受光される。この実施の形態では受光素子として従来のPSDでなく、1次元のCCDラインセンサ20を用いている。CCDラインセンサ20はCCD駆動回路21によって駆動され、1ビット出力毎にサンプルホールド回路(S/H回路)22にその出力が与えられる。そしてこのヘッド部に対して信号処理部30が接続される。信号処理部30には、マイクロコンピュータ31、及びサンプルホールド回路22の出力をA/D変換するA/D変換器32、メモリ33及びマイクロコンピュータ31の出力をアナログ変位信号として出力するD/A変換器34が設けられている。マイクロコンピュータ31は前述した光源駆動回路1を駆動すると共に、CCD駆動回路21に駆動信号を出力する。そしてCCDラインセンサ20からの全ライン出力をサンプルホールド回路22,A/D変換器32を介して取込み、そのピーク位置に基づいて被測定対象物までの距離又は変位及び透明物体の厚さを算出するものである。
【0011】
次にこのマイクロコンピュータ31の動作例について詳細に説明する。図2はCCDラインセンサ20の位置に対する受光レベルの変化を示す図である。被測定対象物がガラス板等の透明物体であれば、前述したようにその表面と裏面からの反射光とが同時にCCDラインセンサ20に受光される。従って受光レベルは2つのピークを有するものとなる。ここでCCDラインセンサ20の光源から離れた端点をx=0とし、X軸の正方向、即ち光源に向けてCCDラインセンサ20を駆動するものとすると、受光信号は図2(b)に示すように第1,第2のピークを有する。ここで第1のピークはガラス板の表面からの反射光であり、第2のピークはガラス板の裏面からの反射光である。従ってガラス板の表面までの距離又はガラス板の変位を検出する場合には、第1のピークが得られる点のみを検出すれば足りる。
【0012】
図3は信号処理部30のピーク位置検出処理の第1の手法を示すフローチャートである。CCDラインセンサ20の受光位置の座標をxとし、その位置でのCCDの受光レベルをV(x)とすると、図3のフローチャートにおいてまずステップS1で初期設定として位置座標xを0とする。そしてステップS2に進んでxをインクリメントし、V(x+1)とV(x)とを比較する。V(x)の方が小さければステップS2に戻って同様の処理を繰り返し、V(x+1)が小さくなればステップS4に進んでそのときの位置座標xを第1のピーク位置P1とする。次いでステップS5に進んで位置座標xをインクリメントし、ステップS6においてV(x+1)とV(x)とを比較する。V(x)の方が大きければステップS5に戻って同様の処理を繰り返し、V(x+1)の方が大きくなればステップS7に進んで位置座標xをインクリメントし、ステップS8においてV(x+1)とV(x)とを比較する。V(x)の方が小さければステップS7に戻って同様の処理を繰り返し、V(x+1)の方が小さくなればステップS9に進んでそのときのx座標の位置を第2のピーク位置P2として保持する。こうすれば2つのピーク位置を確認することができる。物体の表面までの距離又は変位は第1のピーク位置P1に対応するものであるため、P1から物体までの距離又は変位を検出することができる。又ピーク位置P1,P2の差からガラス板の厚さを検出することが可能となる。
【0013】
次に信号処理部30のピーク位置検出処理の第2の手法について図4のフローチャートを用いて説明する。ピーク位置検出処理の第2の手法は図2(c)に示すようにCCDラインセンサ20の位置xに対して受光される受光レベルにつき2つの閾値L1,L2 を設定し、このレベルを越えて変化する受光位置から直線A,Bを求め、その交点をピーク位置として検出するものである。即ち直交座標系(X,L)について受光レベルと閾値の交差する点1(T1,L1),点2(T3,L2),点3(T2,L1),点4(T4,L2)が求まり、これらを結ぶ直線A,Bの交点(T,L)のx座標Tをピーク値の位置とする。図4のフローチャートにおいてまずT1〜T4を算出する。即ちステップS11において位置xを0、ピーク数sを1とする。そしてステップS12においてxをインクリメントし、V(x)が第1の閾値L1を越えているかどうかをチェックする。この値以下であればステップS12に戻って同様の処理を繰り返し、閾値L1を越えている場合にはそのときのxの値をT1とする。次いでステップS15に進んで更にxをインクリメントし、そのときの受光レベルV(x)が第2の閾値L2を越えているかどうかをチェックする。この値以下であればステップS15に戻って同様の処理を繰り返し、L2を越えている場合にはそのときのxの値をT3とする。そしてステップS18に進んでxをインクリメントし、受光レベルV(x)が第2の閾値L2より小さくなるかどうかをチェックする。このL2以上であればステップS18によって同様の処理を繰り返し、L2より小さくなればステップS20においてそのときの位置xをT4とする。そしてステップS21に進んでxをインクリメントし、受光レベルV(x)がL1より小さくなるかどうかをチェックする。L1以上である場合にはステップS21に戻り、L1より小さくなればステップS23に進んでそのときのxをT2とする。こうすれば前述した4点の座標が求められる。
【0014】
次いでステップS24に進んで以下に算出したT1〜T4と閾値T1,T2を用いて直線A,Bを算出する。ここで直線Aは次式で示される。
L=ax+Vb
又直線Bは次式で示される。
L=cx+d
これらの係数a〜dは夫々直線A,Bが夫々点1,3及び2,4を通ることから、S24において次式のように算出することができる。
a=(L1−L2)/(T1−T3)
b=(T1L2−T3L1)/(T1−T3)
c=(L1−L2)/(T2−T4)
d=(T2L2−T4L1)/(T2−T4)
更にステップS25において次式によりピーク対応の位置Tを算出する。
=(d−a)/(a−c)
このときの位置Tがピークの位置となる。そしてステップS26に進んでピーク数sをインクリメントし、このピーク数が3に達しているかどうかをチェックする(ステップS27)。3以下であればステップS12に戻って同様の処理を繰り返す。こうすれば2つのピーク値の位置TP1,TP2を算出することができる。
【0015】
この場合には2つの閾値L1,L2を用いて2本の直線からピークの位置を算出しているため、受光レベルの全体形状から正確にピーク位置が算出できる。又2つのピーク位置の差(TP2−TP1)からガラス板等の測定対象物の厚さを検出することができることはピーク位置検出処理の第1の手法と同様である。
【0016】
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態ではCCDラインセンサ20に代えて2次元の受光領域を有する2次元CCD23を用いたものである。その他の構成は第1の実施の形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。この場合には受光した後に図5(a)に示すよう変位方向XのX座標,これと垂直なY方向の座標の夫々の受光レベルをV(x,y)とすると、Y方向の全ての座標の受光レベルをX軸方向にまとめる前処理を行う。即ち図5(b)に示すフローチャートにおいて、まずステップS31でxを0とし、ステップS32に進んでxをインクリメントする。次いでステップS33においてyを0とし、ステップS34においてyをインクリメントする。そしてステップS35に進んでV(x)をV(x)+V(x+y)とし、Y軸の座標yがY軸の最大値Yに達したかどうかをチェックする(ステップS36)。最大値に達していなければステップS34に戻って同様の処理を繰り返し、最大値Yに達するとステップS37においてX軸の値xがX軸の最大値Xに達したかどうかをチェックする。この値に達していなければステップS32に戻って同様の処理を繰り返す。X軸方向も最大値Xに達すると前処理を終え、前述した図3又は図4のフローチャートを用いてピーク位置の検出処理を行う。こうすれば光が正確に1次元CCDラインセンサに受光されず、そのY軸方向に分散する場合にも正確に被測定対象物までの距離又は変位を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による光式変位センサの全体構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は第1の実施の形態の受光素子であるCCDイメージセンサとその受光レベルを示す図、(b)はCCDラインセンサの位置に対する受光レベルの変化を示す図、(c)はこの受光センサの位置と受光レベルからピーク位置を算出するための算出処理を示す説明図である。
【図3】第1の実施の形態による光式変位センサのピーク位置検出処理の第1の手法を示すフローチャートである。
【図4】第1の実施の形態による光式変位センサのピーク位置検出処理の第2の手法を示すフローチャートである。
【図5】(a)は二次元CCDの座標と受光レベルを示す図、(b)は本発明の第2の実施の形態による光式変位センサの出力信号の前処理を示すフローチャートである。
【図6】従来の光式変位センサの構成を示すブロック図である。
【図7】従来の光式変位センサにおいて透明体を検出する場合の光学系の構成を示す図である。
【図8】従来の光式変位センサにおいてPSDの位置に対する受光レベルの変化を示すグラフである。

Claims (2)

  1. 投光素子を有し、投光ビームを被測定対象物に対して斜め方向に照射する投光部と、
    被測定対象物までの距離に対応して受光位置が変化するCCDラインセンサを有し、投光ビームに対する測定対象物からの反射光を受光する受光部と、
    前記CCDラインセンサ上の受光分布のピーク位置から前記測定対象物の表面に対応する受光位置を識別する信号処理部と、を具備する光式変位センサであって、
    前記信号処理部は、前記CCDラインセンサに受光される受光レベルにつき2つの閾値を設定し、受光レベルがこのレベルを超えて変化する受光位置から2本の直線を求め、その交点を受光分布のピーク位置として検出することを特徴とする光式変位センサ。
  2. 投光素子を有し、投光ビームを透明の被測定対象物に対して斜め方向に照射する投光部と、
    被測定対象物までの距離に対応して受光位置が変化するCCDラインセンサを有し、投光ビームに対する測定対象物からの反射光を受光する受光部と、
    前記CCDラインセンサの第1,第2の受光分布のピーク位置からその被測定対象物の厚さを算出する信号処理部と、を具備する光式厚さセンサであって、
    前記信号処理部は、前記CCDラインセンサに受光される受光レベルにつき2つの閾値を設定し、受光レベルがこのレベルを超えて変化する受光位置から2本の直線を求め、その交点を受光分布のピーク位置として夫々第1,第2のピーク位置を算出することを特徴とする光式厚さセンサ。
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