JP3552659B2 - 引裂き性を改良した包装用ラッピングフィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は包装用ラッピングフィルムに関する。詳しくは、多層の包装用ラッピングフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
包装用ラッピングフィルムは、食品を密封するため多く用いられている。即ち、例えば青果物、鮮魚、生肉、惣菜等を適当な容器に載置し、これをこのフィルムでラッピングすることにより、小売店においては、搬送及び展示中の塵埃付着防止に効果を発揮し、また、飲食店や一般家庭においては、冷蔵庫での保存や電子レンジでの加熱時に、内容物の乾燥防止、風味等の保持、臭気の拡散や付着の防止等の面でその効果を発揮している。
【0003】
これら包装用ラッピングフィルムはその多くが、例えば幅20〜45cm、厚さ10〜25μmのフィルムとして紙管等の芯材に巻き取られ、紙箱のケースに収納して販売される。使用にあたっては、このケースからフィルムを引出し、ケースの引出口に取付けられた鋸刃様カッターでその必要量を適宜切断して食品収納容器や食品自体を包み込み、フィルムの適度の粘着性を利用して容器開口部や食品を密封する。
【0004】
従来、これら包装用ラッピングフィルムは、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン等の樹脂を用いた単層フィルムが知られている。特に、ポリ塩化ビニリデンを2軸延伸したフィルムは、包装用ラッピングフィルムとして必要な諸特性をバランス良く備えているため、実用面で好適に用いられ、今日のラッピングフィルムの主流となっている。
【0005】
しかし、ポリ塩化ビニリデン及びポリ塩化ビニルは、焼却すると塩化水素ガスを発生し、大気汚染の原因となることが明らかとなっており、これらの樹脂よりなるフィルムもまた、その廃棄処理について環境衛生上の重大な問題を抱えている。
【0006】
一方、ポリエチレンは、焼却による大気汚染の問題がないため、ラッピングフィルム材料として時流に適合している。そこで、最近では、こうしたポリエチレンや他のポリオレフィンを主材料とするフィルムを多層化し、各層に包装用ラッピングフィルムとして必要とされる諸特性を配分して受持たせることで、ポリオレフィン製ラッピングフィルムでありながら、塩化ビニリデン製ラッピングフィルムに匹敵する性能を持たせることが試みられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような多層フィルムは、Tダイ押出法により製造される場合が多い。この製造法では、溶融した樹脂をTダイより膜状に押出した後、冷却ロールにて冷却してフィルムを形成するが、形成されたフィルムは、幾つかの引張りロールにより引張られながら、巻取装置まで連続的に送られて巻き取られる。従って、その製造中、フィルムには常に巻取装置に向かってテンションがかかることとなり、フィルムを形成する樹脂は製造工程の進行方向に平行に配向しやすい(以下、この配向方向をMD方向という。)。それ故、このTダイ押出法によって製造されるフィルムは、MD方向に裂け易い、という欠点があった。
【0008】
本発明は、Tダイ押出法により製造される多層フィルムでありながら、MD方向の引裂きに対して必要な強度を備えた、食品包装用ラッピングフィルムを提供することを課題としてなされたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、両外層とベース層とを有し、更に、そのそれぞれの外層とベース層との間に、メタロセン系触媒を用いて合成された線状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)を配合した熱可塑性樹脂にて形成される層を有する多層フィルムにおいて、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0010】
即ち、本発明の包装用ラッピングフィルムは、Tダイ押出法により製造される多層フィルムであって、外層、M−LLDPEを配合した熱可塑性樹脂にて形成される層、ベース層、M−LLDPEを配合した熱可塑性樹脂にて形成される層、外層がこの順序で積層されていることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0012】
メタロセン系触媒は、2個のシクロペンタジエン環に、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン又はタングステン等の遷移金属原子がサンドイッチ状に挟まれた構造を持つ。この触媒は、活性点が均一であるという特徴を有しており、これを用いて合成された直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、シャープな分子量分布を示す。なお、LLDPEの合成は、気相法、高圧法、溶液法のいずれの方法で行っても構わない。本発明では、両外層とベース層を有する多層フィルムの、それぞれの外層とベース層との間に、このM−LLDPEを配合した熱可塑性樹脂にて形成される層を配することで、ラッピングフィルム全体の、MD方向引裂きに対する強度を付与する。
【0013】
即ち、本発明の包装用ラッピングフィルムは、外層、M−LLDPE配合熱可塑性樹脂層、ベース層、M−LLDPE配合熱可塑性樹脂層、外層がこの順序で積層されてなる。もっとも、本発明においては、これらの各層に加え、他の層が存在していても構わない。このとき他の層は、更に一層以上のM−LLDPE配合熱可塑性樹脂層であってもよい。
【0014】
M−LLDPEを配合する熱可塑性樹脂は、相溶性の観点から、低密度ポリエチレン(LDPE)を使用することが好ましい。LDPEと共に再生樹脂を使用することもできる。再生樹脂の使用により、本発明のラッピングフィルムは、より安価に製造することが可能となる。
【0015】
ちなみに、再生樹脂は、これを本発明において使用した場合に包装用ラッピングフィルムとして必要とされる諸特性を損ねるものでない限り、どの層にても、また、いかなるものでも使用することができる。しかし、再生樹脂の原料としては、コスト、廃棄物の減容化、効率性の観点から、本発明のラッピングフィルムの製造工程において生じるトリミングロスの使用が最も好ましい。こうしたトリミングロスを再生する方法について特に制限はない。トリミングロスは公知の方法により再生することができる。
【0016】
M−LLDPEを配合する樹脂として低密度ポリエチレン、又は、低密度ポリエチレンと再生樹脂を使用する場合には、LDPE10〜99重量部及び再生樹脂0〜50重量部に対して、M−LLDPE1〜40重量部を配合するとよい。M−LLDPEが1重量部未満ではMD方向への引裂き強度を十分に付与できず、これが40重量部を超えるとMD方向と直角をなす方向(CD方向)の引裂き強度が大きくなって、フィルムの使用時に、通常使用される鋸刃様カッター等では容易に切断できなくなるおそれがある。一方、50重量部を超える再生樹脂の使用は、この樹脂が経てきた様々な熱履歴が、フィルムの製造工程や出来上りのフィルムの品質に悪影響を及ぼすため、避けることが望ましい。
【0017】
また、本発明において包装用ラッピングフィルムの両外層は、環境衛生上の観点からLDPE、LLDPE、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、ポリプロピレン(PP)、α−オレフィン共重合体等のポリオレフィン系樹脂を主体として形成することが好ましい。これらのポリオレフィン系樹脂は、単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。なお、出来上がりのラップフィルムの粘着性には、この両外層の粘着性が大きく寄与する。従って、これらのポリオレフィン系樹脂にて形成された両外層が粘着性に劣る場合には、この両外層に粘着剤を配合する。ポリオレフィン系樹脂及び粘着剤の種類にもよるが、一般に、ラップフィルムに所望の粘着性を付与するための配合量は、ポリオレフィン系樹脂85〜99重量部に対し、粘着剤1〜15重量部が適当である。粘着剤が1重量部未満では、粘着性向上効果が発揮されず、これが15重量部を超えると、出来上りのフィルムは粘着性が強すぎて、その取扱いに支障をきたすようになる。ポリオレフィン系樹脂としてLDPEを用いる場合には、LDPE90〜99重量部に粘着剤1〜10重量部を配合して両外層とする。
【0018】
粘着剤としては、Tダイ押出適性やポリオレフィン系樹脂との相溶性の観点から、α−オレフィン共重合体、例えば、プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ヘキセン−1−オクテン−1共重合体、ブテン−1−ヘキセン−1−オクテン−1共重合体、プロピレン−ヘキセン−1−4−メチルペンテン−1共重合体等を好適に使用することができる。中でも、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体は、その性能と入手の容易さの点で、本発明に使用する粘着剤として特に好ましい。この場合は、プロピレン単位の含有量35〜80重量%、かつ、ブテン−1単位の含有量5〜15重量%のものを粘着剤として使用すると、粘着性及び生産性において、実用的に優れたフィルムを得ることができる。
【0019】
ベース層とは、本発明の包装用ラッピングフィルムにおいて、機械的強度と剛性の付与をその主たる機能とする層を指す。包装用ラッピングフィルムに必要とされる機械的強度と剛性を付与するため、本発明においては、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリビニル系又はポリオレフィン系の樹脂を、ベース層を形成する樹脂として好適に使用することができる。例えば、ポリエステル系樹脂としてはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート又はポリカーボネート等を、ポリアミド系樹脂としてはナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン11又はナイロン12等を、ポリビニル系樹脂としてはポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル又はポリ酢酸ビニル等を、ポリオレフィン系樹脂としてはポリプロピレン、ポリメチルペンテン等を主体として、本発明の包装用ラッピングフィルムのベース層を形成することができる。更に、このベース層を、示差走査熱量計(DSC)により測定した融点が150℃以上の樹脂を主体として形成すれば、電子レンジ加熱時において必要とされる耐熱性を確保することもできる。
【0020】
ベース層の厚みは、包装用ラッピングフィルム全体の厚みに対して5〜50%とすることが好ましい。これは、ベース層の特性(機械的強度、剛性等)と他の層の特性を、バランス良くフィルム自体の特性に反映させるためである。特に、ベース層がフィルム全体の厚みに対して10〜45%の厚みを有することが好ましい。
【0021】
なお、以上に加え、本発明の包装用ラッピングフィルムを構成する各層には、そのそれぞれに付与された特性を損ねない範囲内で、ラッピングフィルム全体としての性能を向上させるため、防曇剤、抗菌剤、滑剤等を添加してもよい。
【0022】
本発明の包装用ラッピングフィルムは、Tダイ押出法により製造することができる。例えば、外層/M−LLDPE配合熱可塑性樹脂層/ベース層/M−LLDPE配合熱可塑性樹脂層/外層という5層構造のラッピングフィルムを製造する場合には、3種5層タイプの共押出Tダイ法が、操業性、安定性及び経済性等の理由から好ましい。押出用のTダイとしては、マルチマニホールドタイプ、フィードブロックタイプのいずれでも使用することができる。
【0023】
M−LLDPEのフィルムについては、高い引裂き強度、引張強度及び衝撃強度を有することが既に知られている。しかし、本発明者らは、多層構造をしたフィルムにおいて、M−LLDPEのかかる特性を生かすためには、これをどの層に配合するかが問題であり、更に、その特性の発現は、MD方向とCD方向とで異なることを見出した。即ち、M−LLDPEをベース層に配合しても、フィルム全体としての引裂き強度は全く向上しないばかりか、耐熱性はむしろ悪化する。一方、これを、多層フィルムの一方の外層とベース層との間の層、及び、もう一方の外層とベース層との間の層に配合した場合には、CD方向引裂き強度を大きく変化させることなく、MD方向引裂き強度のみを顕著に向上させ、しかも耐熱性に何ら悪影響は及ぼさない。
【0024】
また、M−LLDPEを配合した層は粘着性が増大する。従って、この層をフィルムの外層に位置させると、フィルムの粘着性が強くなりすぎて、包装用ラッピングフィルムとしての取扱いに支障をきたすおそれがある。そこで、本発明においては、両外層とベース層を有する多層フィルムの、それぞれの外層とベース層との間の層にM−LLDPEを配合する。これにより、粘着性の増大によるトラブルを引起すことなく、このM−LLDPEを配合することができ、しかも、望ましいMD方向引裂き性及びCD方向引裂き性を有する包装用ラッピングフィルムを得ることが可能となる。
【0025】
【実施例】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。
なお、本実施例において作成したフィルムは、以下の方法によりその性能を評価した。
【0026】
(1)融点
示差走査熱量計(リガク社製DSC8230)を用いて測定した。
【0027】
(2)引裂き性▲1▼(CD方向易引裂き性)
評価フィルム20mを、長さ30cmの紙巻に巻かれた市販のラップフィルムの上に巻付け、市販のカートンボックス(エヌピーフィルム(株)製『ワンラップ』)に収納して、このボックスに取付けられた紙刃でカットを試みた際の引裂き性を、官能評価で判断した。
【0028】
◎…軽く引張るだけで、フィルムが刃に沿って切断される。
○…フィルムの切断はできるが、その際、フィルムが伸びて扱い難い。
×…フィルムが伸びるだけで切断はできない。
【0029】
(3)引裂き性▲2▼(MD方向引裂き強度)
JIS K6760に従って測定した(単位:kgf/cm)。
【0030】
(4)引張強度
幅(CD方向)1.5cm、長さ(MD方向)10cmの短冊形フィルム試片を、掴み間隔5cm、引張速度50mm/分で長さ方向に引張り、破断に要する力(単位:g/1.5cm)を測定した。
【0031】
(5)破断伸び
引張強度測定時にフィルムが破断に到るまでの伸び(単位:%)を測定した。
【0032】
(6)粘着性
幅10cm、長さ15cmのフィルム試片をガラス板に2kgのゴムローラで圧着して貼付け、これを垂直方向に300mm/分の速度で引き剥がすのに必要な力を測定し、この値を粘着性(単位:g/10cm)とした。
【0033】
(7)密着性
ガラスコップ(直径5cm、高さ10.5cm)の開口部分を覆うように、フィルム(幅30cm、長さ10cm)を密着させ、その密着性を官能評価した。
【0034】
◎…密着する。
△…密着が不十分もしくは密着してもすぐに剥がれる。または、フィルムの粘着性が強く、取扱いが困難である。
×…密着しない。又は、フィルムの粘着性が強すぎて使用できない。
【0035】
(8)透明度
幅5cm、長さ5cmの正方形のフィルムを試料として、(株)村上色彩技術研究所製ヘイズメーターにて測定した(単位:%)。
【0036】
(9)耐熱性
東京都条例1027号「ラップフィルムの品質表示」に準じて測定した(幅3cm、長さ14cmの短冊型フィルム試片の上下2.5cmを狭持し、下部に10gの過重を懸け、この状態で加熱雰囲気下に1時間放置して、フィルムが切れない最高温度を10℃単位で測定。)。
【0037】
[実施例1]
両外層(1、5層)を形成する樹脂として、融点118℃のLDPE(住友化学工業(株)製『CE3506』)95重量部及び粘着剤としてエチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体(デグサ・ヒュルスジャパン社製『ベストプラスト750』)5重量部を配合した熱可塑性樹脂組成物、ベース層(3層)を形成する樹脂として融点161℃のポリプロピレン(住友化学工業(株)製『ノーブレンY101』)、そして、上記両外層とベース層との間に位置する層(2、4層)を形成する樹脂として、融点118℃のLDPE(同上)30重量部、融点111℃のM−LLDPE(住友化学工業(株)製『FV402』)30重量部及び再生樹脂40重量部を配合した熱可塑性樹脂組成物を用い、共押出Tダイ法により3種5層に積層して多層フィルムを得た。なお、再生樹脂としては、本5層フィルムのトリミングロスを再生して得られたペレットを使用した。
【0038】
得られた5層フィルムの全厚みは12μm、各層の厚み比は1層:2層:3層:4層:5層=20%:20%:20%:20%:20%であった。このフィルムの各性能を表1に示す。
【0039】
表1より明らかなように、得られたフィルムは高いMD方向引裂き強度を示した。また、それにもかかわらず、このフィルムは、その使用時にはCD方向に容易に切断でき、加えて、他の強度特性(即ち引張強度や破断伸び)、粘着性・密着性、透明度といった、包装用ラッピングフィルムとして必要とされる諸特性を備えるものであった。
【0040】
[実施例2]
フィルム各層の厚み比を1層:2層:3層:4層:5層=15%:15%:40%:15%:15%とした以外は、実施例1と同様にして5層の多層フィルムを得た。
【0041】
得られたフィルムの各性能を表1に示す。
表1より明らかなように、ここで得られたフィルムもまた、高いMD方向引裂き強度とCD方向への易引裂き性、及び、包装用ラッピングフィルムとして必要とされる他の諸特性を備えるものであった。
【0042】
[実施例3]
フィルム各層の厚み比を1層:2層:3層:4層:5層=24%:24%:4%:24%:24%とした以外は、実施例1と同様にして5層の多層フィルムを得た。
【0043】
得られたフィルムの各性能を表1に示す。
表1より明らかなように、ここで得られたフィルムもまた、高いMD方向引裂き強度とCD方向への易引裂き性、及び、包装用ラッピングフィルムとして必要とされる他の諸特性を備えるものであった。
【0044】
[実施例4]
両外層とベース層との間に位置する層(2、4層)を形成する樹脂として、融点118℃のLDPE(同前)50重量部、融点111℃のM−LLDPE(同前)10重量部及び再生樹脂40重量部を配合した熱可塑性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして5層の多層フィルムを得た。
【0045】
得られたフィルムの各性能を表1に示す。
表1より明らかなように、ここで得られたフィルムもまた、高いMD方向引裂き強度とCD方向への易引裂き性、及び、包装用ラッピングフィルムとして必要とされる他の諸特性を備えるものであった。
【0046】
[実施例5]
両外層とベース層との間に位置する層(2、4層)を形成する樹脂として、融点118℃のLDPE(同前)15重量部、融点111℃のM−LLDPE(同前)45重量部及び再生樹脂40重量部を配合した熱可塑性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして5層の多層フィルムを得た。
【0047】
得られたフィルムの各性能を表1に示す。
表1より明らかなように、ここで得られたフィルムは、非常に高いMD方向引裂き強度を示し、CD方向への易引裂き性にはやや劣るが、包装用ラッピングフィルムとして必要とされる他の諸特性は備え、実用に耐えるものであった。
【0048】
[実施例6]
両外層とベース層との間に位置する層(2、4層)を形成する樹脂として、融点118℃のLDPE(同前)25重量部、融点111℃のM−LLDPE(同前)55重量部及び再生樹脂20重量部を配合した熱可塑性樹脂組成物を用い、フィルム各層の厚み比を1層:2層:3層:4層:5層=13%:12%:50%:12%:13%とした以外は、実施例1と同様にして5層の多層フィルムを得た。
【0049】
得られたフィルムの各性能を表1に示す。
表1より明らかなように、ここで得られたフィルムは、非常に高いMD方向引裂き強度を示し、CD方向への易引裂き性にはやや劣るが、包装用ラッピングフィルムとして必要とされる他の諸特性は備え、実用に耐えるものであった。
【0050】
[実施例7]
両外層(1、5層)を形成する樹脂として、融点161℃のポリプロピレン(出光石油化学工業(株)製『E−2900』)95重量部及び粘着剤としてエチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体(同前)5重量部を配合した熱可塑性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして5層の多層フィルムを得た。
【0051】
得られたフィルムの各性能を表1に示す。
表1より明らかなように、ここで得られたフィルムもまた、高いMD方向引裂き強度とCD方向への易引裂き性、及び、包装用ラッピングフィルムとして必要とされる他の諸特性を備えるものであった。
【0052】
[実施例8]
ベース層(3層)を形成する樹脂として融点252℃のポリエチレンテレフタレート(日本ユニペット(株)製『RT252』)を用いた以外は、実施例1と同様にして5層の多層フィルムを得た。
【0053】
得られたフィルムの各性能を表1に示す。
表1より明らかなように、ここで得られたフィルムもまた、高いMD方向引裂き強度とCD方向への易引裂き性、及び、包装用ラッピングフィルムとして必要とされる他の諸特性を備えるものであった。
【0054】
[実施例9]
ベース層(3層)を形成する樹脂として融点252℃のポリエチレンテレフタレート(同上)を用いた以外は、実施例3と同様にして5層の多層フィルムを得た。
【0055】
得られたフィルムの各性能を表1に示す。
表1より明らかなように、ここで得られたフィルムは、高いMD方向引裂き強度とCD方向への易引裂き性を示し、引張強度にはやや劣るが、包装用ラッピングフィルムとして必要とされる他の諸特性は備え、実用に耐えるものであった。
【0056】
[実施例10]
ベース層(3層)を形成する樹脂として融点220℃のナイロン6(ユニチカ(株)製『A1031BRL』)を用いた以外は、実施例1と同様にして5層の多層フィルムを得た。
【0057】
得られたフィルムの各性能を表1に示す。
表1より明らかなように、ここで得られたフィルムもまた、高いMD方向引裂き強度とCD方向への易引裂き性、及び、包装用ラッピングフィルムとして必要とされる他の諸特性を備えるものであった。
【0058】
[実施例11]
ベース層(3層)を形成する樹脂として融点220℃のナイロン6(同上)を用いた以外は、実施例3と同様にして5層の多層フィルムを得た。
【0059】
得られたフィルムの各性能を表1に示す。
表1より明らかなように、ここで得られたフィルムもまた、高いMD方向引裂き強度とCD方向への易引裂き性、及び、包装用ラッピングフィルムとして必要とされる他の諸特性を備えるものであった。
【0060】
[実施例12]
ベース層(3層)を形成する樹脂として融点200℃のポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製『エコマティAX−400TN』)を用いた以外は、実施例1と同様にして5層の多層フィルムを得た。
【0061】
得られたフィルムの各性能を表1に示す。
表1より明らかなように、ここで得られたフィルムもまた、高いMD方向引裂き強度とCD方向への易引裂き性、及び、包装用ラッピングフィルムとして必要とされる他の諸特性を備えるものであった。
【0062】
[実施例13]
ベース層(3層)を形成する樹脂として融点200℃のポリビニルアルコール(同上)を用いた以外は、実施例3と同様にして5層の多層フィルムを得た。
【0063】
得られたフィルムの各性能を表1に示す。
表1より明らかなように、ここで得られたフィルムもまた、高いMD方向引裂き強度とCD方向への易引裂き性、及び、包装用ラッピングフィルムとして必要とされる他の諸特性を備えるものであった。
【0064】
[実施例14]
ベース層(3層)を形成する樹脂として融点240℃のポリメチルペンテン(三井化学(株)製『TPXDX845』)を用いた以外は、実施例1と同様にして5層の多層フィルムを得た。
【0065】
得られたフィルムの各性能を表1に示す。
表1より明らかなように、ここで得られたフィルムもまた、高いMD方向引裂き強度とCD方向への易引裂き性、及び、包装用ラッピングフィルムとして必要とされる他の諸特性を備えるものであった。
【0066】
[実施例15]
ベース層(3層)を形成する樹脂として融点240℃のポリメチルペンテン(同上)を用いた以外は、実施例3と同様にして5層の多層フィルムを得た。
【0067】
得られたフィルムの各性能を表1に示す。
表1より明らかなように、ここで得られたフィルムもまた、高いMD方向引裂き強度とCD方向への易引裂き性、及び、包装用ラッピングフィルムとして必要とされる他の諸特性を備えるものであった。
【0068】
[実施例16]
両外層(1、5層)を形成する樹脂として、融点118℃のLDPE(同前)94重量部、抗菌剤1重量部及び粘着剤としてエチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体(同前)5重量部を配合した熱可塑性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして5層の多層フィルムを得た。
【0069】
得られたフィルムの各性能を表1に示す。
表1より明らかなように、ここで得られたフィルムもまた、高いMD方向引裂き強度とCD方向への易引裂き性、及び、包装用ラッピングフィルムとして必要とされる他の諸特性を備えるものであった。
【0070】
[比較例1]
ベース層(3層)を形成する樹脂として、融点161℃のポリプロピレン(住友化学工業(株)製『ノーブレンY101』)70重量部及び融点111℃のM−LLDPE(同前)30重量部を配合した熱可塑性樹脂組成物、両外層とベース層との間に位置する層(2、4層)を形成する樹脂として、融点118℃のLDPE(同前)60重量部及び再生樹脂40重量部を配合した熱可塑性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして5層の多層フィルムを得た。
【0071】
得られたフィルムの各性能を表1に示す。
表1より明らかなように、ここで得られたフィルムはMD方向の引裂き強度に何らの改善も認められなかった。
【0072】
[比較例2]
両外層(1、5層)を形成する樹脂として、融点118℃のLDPE(同前)65重量部及び融点111℃のM−LLDPE(同前)35重量部を配合した熱可塑性樹脂組成物、両外層とベース層との間に位置する層(2、4層)を形成する樹脂として、融点118℃のLDPE(同前)60重量部及び再生樹脂40重量部を配合した熱可塑性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして5層の多層フィルムを得た。
【0073】
得られたフィルムの各性能を表1に示す。
表1より明らかなように、ここで得られたフィルムは粘着性が高く、その取扱いが困難であった。
【0074】
[比較例3]
両外層とベース層との間に位置する層(2、4層)を形成する樹脂として、融点118℃のLDPE(同前)30重量部、融点118℃のLLDPE(住友化学工業(株)製『FZ201−0』)30重量部及び再生樹脂40重量部を配合した熱可塑性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして5層の多層フィルムを得た。
【0075】
得られたフィルムの各性能を表1に示す。
表1より明らかなように、ここで得られたフィルムは、MD方向の引裂き強度に何らの改善も認められなかった。
【0076】
【表1】
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、Tダイ押出法により製造されたフィルムでありながら、MD方向に高い引裂き強度を示す包装用ラッピングフィルムを得ることができる。しかも、このフィルムは、CD方向へは引裂きが容易で、ラッピングフィルムとしての使用時に、これを容易に切断することができる。
【0078】
従って、本発明によれば、Tダイ押出法を用いて、ラッピングフィルムとして必要な諸特性を備えたポリオレフィン系のラッピングフィルムを、安定的・経済的に製造することができる。そして、再生樹脂の利用により、この経済的メリットを一層大きくすることができる。
Claims (6)
- Tダイ押出法により製造される多層フィルムであって、外層、メタロセン系触媒を用いて合成された線状低密度ポリエチレンを配合した熱可塑性樹脂にて形成される層、ベース層、メタロセン系触媒を用いて合成された線状低密度ポリエチレンを配合した熱可塑性樹脂にて形成される層、外層がこの順序で積層されていることを特徴とする、包装用ラッピングフィルム。
- メタロセン系触媒を用いて合成された線状低密度ポリエチレンを配合した熱可塑性樹脂にて形成される層のうち少なくとも1層が、メタロセン系触媒を用いて合成された線状低密度ポリエチレンを配合した低密度ポリエチレンにて形成される、請求項1に記載の包装用ラッピングフィルム。
- メタロセン系触媒を用いて合成された線状低密度ポリエチレンを配合した低密度ポリエチレンにて形成される層が、低密度ポリエチレン10〜99重量部及び再生樹脂0〜50重量部に対して、メタロセン系触媒を用いて合成された線状低密度ポリエチレン1〜40重量部を配合して形成される、請求項2に記載の包装用ラッピングフィルム。
- 両外層がポリオレフィン系樹脂85〜99重量部に対して粘着剤1〜15重量部を配合した熱可塑性樹脂にて形成される、請求項1、2又は3に記載の包装用ラッピングフィルム。
- ベース層が、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリビニル系又はポリオレフィン系樹脂にて形成される、請求項1、2、3又は4に記載の包装用ラッピングフィルム。
- ベース層の厚みの占める割合が、当該多層フィルムの全厚みに対して5〜50%である、請求項1、2、3、4又は5に記載の包装用ラッピングフィルム
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