JP3552452B2 - 除雪トラック用灯器取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラックの車体前部に除雪用のプラウを設けた除雪トラック用の灯器取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の除雪トラックにおける灯器取付構造の一例を、図5ないし図7を参照して説明する。先ず、図5に示した除雪トラックの概略斜視図において、符号100は車台フレーム102の前端部に装架されたキャブ、104は前輪、106は後2軸の後輪、108は車台フレーム100の前端部分に適宜の取付部材(図示せず)を介して装着された除雪用のプラウ、110は上記前輪104と後輪106との中間部分において車台フレーム100の下方に配設されたグレーダである。上記キャブ100後方の車台フレーム上側には、駆動輪としての後輪の牽引力を増大すると共に、上記プラウ108の装着による前軸104の軸重の増大を軽減するためのバランスウエイト、上記プラウ108及びグレーダ110を上下方向に駆動すると共に車両前後方向中心線となす傾斜角度を制御する油圧装置用の油圧源、その他除雪作業に必要な機器類が搭載されている。
【0003】
上記プラウ108を取付けた除雪トラックでは、キャブ100の前端下方部分に通常配置されているヘッドランプ、車幅灯、方向指示及び非常点滅灯が、プラウ108によって隠されて除雪作業上必要な照明が得られず、また対向車から正確に除雪トラックを視認することが困難となるため、キャブ100のウインドシールド112の下端付近における車幅方向端部分に、総括的に符号114で示されている灯器スティが設けられ、同灯器スティ114にヘッドランプ116、補助ヘッドランプ又はフォグランプ118、車幅灯120、方向指示及び非常点滅灯122が取付けられている。
【0004】
また、上記ウインドシールド112の左右の縦縁に沿うフロントピラー124に弓形をなすミラースティ126の上下両端が固着され、右側のミラースティ126には、リヤビューミラー128が取付けられ、左側のミラーステー126には、リヤビューミラー128とアンダビューミラー130とサイドアンダビューミラー132とが取付けられている。
【0005】
上記灯器スティ114は、左側の灯器スティを示した図6の平面図及び図7の側面図に良く示されているように、車幅方向に延在する横スティ部材134と、同横スティ部材134をキャブ100に対し支持する縦スティ部材136から構成されている。
【0006】
上記横スティ部材134は、車幅方向内方の端部134aを、ウインドシールド112の下方横縁に沿って配置された適宜のキャブ構成部材、例えば、ダッシュボードに補強のため車幅方向に延在して装着されたダッシュボードリーンフォースにボルト、ねじ等によって固定され、また車幅方向外方付近を連結部材138を介してキャブ100の前端両側部に配置された適宜のキャブ構成部材例えば、フロントピラー124にボルト、ねじ等によって固定されている。
【0007】
横スティ部材134の連結部材138に隣接する部分に略水平方向に延びた板状のブラケット140が溶接等により固着され、同ブラケット140に上記ヘッドランプ116及び補助ヘッドランプ又はフォグランプ118が取付けられる。また、横スティ部材134の連結部材138より外方に延びた延長部分134bに、図示を省略されているブラケットを介し又は適宜のクランプ装置を介して上記車幅灯120と、方向指示及び非常点滅灯122とが取付けられている。
【0008】
さらに、上記ブラケット140の車体内方の端部に隣接する部位において横スティ部材134に下向きに係止板142が突設され、同係止板142に上記縦スティ部材136の上端がボルト、ねじ等により連結されている。また同縦スティ部材136の下端は、キャブ100の前端下側の適宜のキャブ構成部材、例えば図5では、通常ヘッドランプが配置されるスペースを閉塞した盲蓋部材に、ボルト、ねじ等に固着されている。同縦スティ部材は、謂うまでもなく、可成の重量を有するヘッドランプ116等の灯器を取付けた横スティ部材134を下から支えて安定的に支持するために設けられたものである。なお、図6及び図7は、キャブ100の前端左側に設けられる灯器取付構造に関するものであるが、右側の灯器取付構造も実質的に略同様の構成を有する。
【0009】
上記従来の灯器取付構造では、横スティ部材134の車幅方向長さ、及び縦スティ部材136の上下方向の長さが何れも大きいため、外観が著しく劣るだけでなく、稼働時にびびり振動を起して各種灯器が振動し、光束が振れるため除雪作業がやりにくい不便があり、さらに上記灯器の振動により灯器及びその給電系に断線等が発生し易い不都合があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の除雪トラックにおける灯器取付構造の欠点を改善するために創案されたもので、各種灯器を取付ける灯器スティを小型コンパクトかつ軽量なものとすることができると共に、キャブに対し安定的に、かつ強固に取付けることができ、従って、びびり振動の発生を防止し又は少くとも効果的に抑制することができると共に、外観を向上し得る灯器取付構造を提供することを、主たる目的とするものである。さらにまた、上記灯器スティのキャブに対する取付部の一部をコンシールド構造とすることが可能であり、これによって更に外観が優れた灯器取付構造を提供することを、他の目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明にかかる除雪トラック用灯器取付構造は、上端がウインドシールドの縦縁部におけるフロントピラーに固定されると共に下端がウインドシールドの下方横縁より下方における上記フロントピラーに固定された縦スティ部材、及び、一端が上記縦スティ部材の上下方向中間部分に固定されると共に他端が上記ウインドシールド下方横縁に隣接するダッシュボードリンホースに固定された横スティ部材とからなるT字状の灯器スティと、上記横スティ部材に固着されヘッドランプを取付ける第1のブラケットと、上記縦スティ部材に固着され車幅灯及び方向支持灯を取付ける第2のブラケットとを具備している。
【0012】
上記本発明の構成によれば、灯器スティを、上下方向に配置されその上下端が、ウインドシールドの縦縁部におけるフロントピラー及びウインドシールド下方横縁より下方における上記フロントピラーにそれぞれ固定された縦スティ部材と、一端が縦スティ部材の上下方向中間部分に溶接等によって固着され、他端がウインドシールド下方横縁に隣接するダッシュボードリンホースに固定された横スティ部材とからなる横置したT字状部材とすることによって、キャブに対する取付強度が高く、しかも小型軽量かつコンパクトで外観が優れた灯器スティを提供することができる。
【0013】
上記灯器スティがキャブに対し強固に取り付けられ、かつ、上記従前の灯器スティより十分小型であるので、その横スティ部材の第1ブラケットにヘッドランプや補助ヘッドランプを取り付けると共に、縦スティ部材の第2ブラケットに車幅灯や方向指示灯を取り付けた場合、灯器類のびびり振動が防止され、又は、効果的に抑制される。
さらに、上記縦スティ部材の下端取付部は、キャブ前端側部の外郭を限界するコーナパネルの透孔を貫通して上記ダッシュボードリーンフォースに固定することが可能となり、この場合、同取付部は外部から視認されないコンシールド構造となるので、小型コンパクトで外観的に一層優れた灯器取付構造を提供することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下本発明の好ましい実施形態を図1ないし図4について具体的に説明する。先ず、図1の概略斜視図において、符号10はキャブ12の前端右側部分に配設された右側の灯器スティを総括的に示し、同灯器スティ10は、キャブ12の前端にウエザストリップ14を介して装着されたウインドシールド16の右側縦縁部におけるフロントピラー18に沿って縦方向に配置される弓形の縦スティ部材20と、一端を上記縦スティ部材20の上下方向中間部分に溶接等によって固着され、上記ウインドシールド16の下方横縁に沿って延在した横スティ部材22とから形成され、全体として、正面形状が横置されたT字状をなすように形成されている。なお、キャブ12の前端左側部分にも、略対称形状を有する灯器スティ10が配設される。
【0015】
上記縦スティ部材20の上端部20aは、図2の拡大断面図に良く示されているように、フロントピラー18を構成するピラーアウタ18aに予め溶着されたウエルドナット24と、同ウエルドナットに螺合されたねじ又はボルト26とによって、シールラバー28を介し装着された取付ブラケット30に、2対のボルト32及びナット34によって緊締固着されている。図2では、上記ねじ又はボルト26によって、前記図4に示したミラースティ126の下端取付部が共締め固定されているが、ミラースティ126の下端取付部の共締め固定は必須ではなく、また左右何れか一方の灯器スティ10の縦スティ部材20の上端部20aのみを共締め固定しても良い。
【0016】
また、縦スティ部材20の下端部20bは、図3の拡大断面図に良く示されているように、上記ウインドシールド16の下方横縁より下方のフロントピラー18に対しウエルドナット36及びボルト38によって固定されたL字状の取付ブラケット40に、2対のウエルドナット42及びボルト44により緊締固着されている。図3に示されているように、フロントピラー18のウインドシールド16の下方横縁より下方に延びた部分には、ダッシュボード46がスポット溶接等適宜の固着手段によって固定されて閉断面構造を形成している。
【0017】
上記フロントピラー18の前方に、キャブ12の前端側端部をなだらかな曲面に整形するコーナパネル48がスポット溶接等によって固着され、同コーナパネル48の前端かつ車体内方の端部とフロントピラー18及びダッシュボード46との間には、上記ボルト44を緊締する工具を挿入するのに十分な開口Sが形成されている。また、同コーナパネル48の前端かつ車体内方の端部に、隣接して開閉自在のフロントパネル又はリッド50が配設され、同フロントパネル50と上記ダッシュボード46との間には、ブレーキ液タンク、ウオッシャ液タンクその他の機器及び部材が配設される空間52が形成されている。
【0018】
上記縦スティ部材20の下端部20bは、コーナパネル48に設けられた透孔54及び同透孔54に装着された環状のラバーパッキング56を貫通してコーナパネル48の裏側に挿入され、上記L字状の取付ブラケット40に固定される。従って、縦スティ部材の下端部20bの固着部は外部から見ることができず、コンシールド構造を形成するので、外観を向上し得る点で有利である。
【0019】
次に、図1に示されているように、上記横スティ部材22の車体内方の端部付近には、後方即ちウインドシールド16の下方横縁に沿い車幅方向に延在して窓枠部材を形成するウインドシールドロワパネル58側に向って延びた取付脚60が溶接等によって固着され、同取付脚60の後端には板状の取付ブラケット62が溶接等により固着されている。
【0020】
図4の拡大断面図に良く示されているように、上記取付ブラケット62はダッシュボード46に固着されたダッシュボードリーンホース64に固定される。さらに詳細には、ダッシュボードリーンホースに、ナットプレート66を介してウエルドナット68が取付けられており、上記ブラケット62はラバーシール70を介してウインドシールドロワパネル58に当接されたのち、ボルト72を上記ナット68に螺合することによって、ダッシュボードリーンホース64に固着される。なお、ブラケット62とダッシュボードリーンホース64との間には、ボルト72に締付け軸力を生起させるためのカラー74がボルト72に対し同軸的に介装されている。
【0021】
さらに、横スティ部材22には、図1に示されているように、前記ヘッドランプ116を取付けるためのブラケット76a及び補助ヘッドランプ又はフォグランプ118を取付けるためのブラケット76bからなる第1ブラケット76が溶接等により車体前方に延在して装着されている。勿論、上記ブラケット76a及び76bを単一の板状ブラケットとして上記第1ブラケット76を形成することができる。
【0022】
さらに、上記縦スティ部材20の上記コーナパネル48を貫通して突出した部分に、図1に良く示されているように、板状の第2ブラケット80が溶接等によって固着され、同第2ブラケット80には、前記車幅灯120及び方向指示及び非常点滅灯122が、直接に取付けられ又は必要な補助取付具例えばクランプ装置を介して取付けられる。
【0023】
上記、縦スティ部材20と横スティ部材22とからなる横置したT字状の灯器スティ10は、縦スティ部材20がその上下両端部20a及び20bを、十分な上下距離を存してフロントピラー18に固定され、また横スティ部材22がその一端を上記縦スティ部材20の上下方向中間部分に溶接等により固着されると共に、他端付近を取付脚60を介してウインドシールドロアパネル58後方のダッシュボードリーンホース58に固着されているので、キャブ12の構成部材、この場合フロントピラー18及びダッシュボードリーンホース64に、三点支持された小型軽量かつコンパクトで、しかも強固な灯器取付構造を提供し得る利点がある。
【0024】
また上記灯器取付構造は、小型コンパクトでキャブ12の構成部材に三点支持され強固に取付けられているので、除雪トラックの運転中、特に除雪作業中に、ヘッドランプ116、補助ヘッドランプ又はフォグランプ118、車幅灯120及び方向指示及び非常点滅灯122がびびり振動を起すことがなく、照明機能に不具合が生じたり、断線等電気的故障を招くことがない利点がある。なおまた、全体として安定感がありかつ余分なものがない簡素な形状を有するので、外観が優れ、特に縦スティ部材20の下端部20bをコーナパネル48の裏側でフロントピラー18に固定し、所謂コンシールド構造となることによって、一層外観を向上することができる。
【0025】
なお、図1において、符号82はウインドシールド16外表面を清拭するワイパ装置、84はウインドシールド16の拭き掃除その他の作業も行なう場合に利用されるグリップである。
【0026】
【発明の効果】
叙上のように、本発明に係る除雪トラック用灯器取付構造は、上端がウインドシールドの縦縁部におけるフロントピラーに固定されると共に下端がウインドシールドの下方横縁より下方におけるフロントピラーに固定された縦スティ部材、及び、一端が上記縦スティ部材の上下方向中間部分に固定されると共に他端が上記ウインドシールド下方横縁に隣接するダッシュボードリンホースに固定された横スティ部材からなるT字状の灯器スティと、上記横スティ部材に固着されヘッドランプを取付ける第1のブラケットと、上記縦スティ部材に固着され車幅灯及び方向支持灯を取付ける第2のブラケットとを具備し、各種灯器を取付ける灯器スティを小型コンパクトかつ軽量なものとすることができると共に、キャブに対し安定的にかつ強固に取付けることができ、従って、びびり振動の発生を防止し又は少くとも効果的に抑制することができると共に、外観を向上し得る利点がある。なおまた、上記構成によれば、灯器スティのキャプに対する取付部の一部を外から視認し得ないコンシールド構造とすることができ、この場合、一層の外観の向上を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る除雪トラック用灯器取付構造の好ましい実施形態を示す概略斜視図である。
【図2】図1における縦スティ部材20の上端部20aのキャブ構成部材に対する取付態様を示す拡大断面図である。
【図3】図1における縦スティ部材20の下端部20bのキャブ構成部材に対する取付態様を示す拡大断面図である。
【図4】図1における横スティ部材22の内方端付近をキャブ構成部材に対し取付ける態様を示した拡大断面図である。
【図5】従来の除雪トラックを示す概略斜視図である。
【図6】図5における灯器スティ114(車体左側のもの)を示す平面図である。
【図7】図6に示した灯器スティ114の側面図である。
【符号の説明】
10…灯器スティ、12…キャブ、14…ウエザストリップ、16…ウインドシールド、18…フロントピラー、20…縦スティ部材、20a…縦スティ部材の上端部、20b…縦スティ部材の下端部、22…横スティ部材、26及び40…取付ブラケット、46…ダッシュボード、48…コーナパネル、50…フロントパネル、54…透孔、56…ラバーパッキング、58…ウインドシールドロワパネル、64…ダッシュボードリーンホース、76a及び76b…第1ブラケット、80…第2ブラケット、108…プラウ、110…グレーダ、116…ヘッドランプ、118…補助ヘッドランプ又はフォグランプ、120…車幅灯、122…方向指示及び非常点滅灯。
Claims (1)
- 上端がウインドシールドの縦縁部におけるフロントピラーに固定されると共に下端がウインドシールドの下方横縁より下方における上記フロントピラーに固定された縦スティ部材、及び、一端が上記縦スティ部材の上下方向中間部分に固定されると共に他端が上記ウインドシールド下方横縁に隣接するダッシュボードリンホースに固定された横スティ部材とからなるT字状の灯器スティと、上記横スティ部材に固着されヘッドランプを取付ける第1のブラケットと、上記縦スティ部材に固着され車幅灯及び方向支持灯を取付ける第2のブラケットとを具備した除雪トラック用灯器取付構造。
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