JP3552207B2 - 炭酸ガス吸収体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭化水素を主成分とする燃料を利用するエネルギープラントや化学プラント、自動車などから発生するガス中の炭酸ガスを分離回収するシステム、または燃料供給部における炭酸ガスの分離回収に利用される炭酸ガス吸収体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭酸ガスの分離方法としては、従来より酢酸セルロースを用いる方法、アルカノールアミン系溶媒による化学吸着プロセス等が知られている。しかしながら、いずれの方法も導入ガス温度の上限が200℃程度までと低く、高温系へのリサイクルを要する排気にもかかわらず熱交換等による冷却過程を要することになる。その結果、炭酸ガス分離のために消費するエネルギーが多くなり、幅広い利用が妨げられていた。
【0003】
高温のガスから冷却工程を経ずに炭酸ガスの分離が可能な方法として、リチウム化ジルコニアを用いた炭酸ガス分離方法が提案されている(特開平9−99214号公報)。この方法においては、取り扱いの点から粉末をペレット状に加工した吸収材を用いることが検討されている。しかしながら、ペレット状のリチウム化ジルコニアを反応容器に充填して炭酸ガスの分離に適用した場合には、圧力損失が増大するという問題があった。
【0004】
また、特開平11−262632号公報には、ハニカム状のセラミックスの上に前記炭酸ガス吸収材を塗布・形成することによって圧力損失を軽減することが提案されている。しかしながら、この場合には、ムライト、コージェライトなどの基材が存在するために、炭酸ガス吸収材の正味の量が減少してしまい、全体として十分にコンパクトな吸収体とならないという問題が残っていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたもので、炭酸ガス分離のために消費するエネルギーを少なくし、高効率、低コストでエネルギープラント排気ガスの中から炭酸ガスを吸収し濃縮することのできるコンパクトな炭酸ガス吸収体を提供することを目的とする。
【0006】
また本発明は、炭酸ガス分離に要する消費エネルギーが少なく、高効率、低コストでエネルギープラント排気ガスの中から炭酸ガスを吸収し濃縮できるコンパクトな炭酸ガス吸収体の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、リチウムおよびシリコンを含有する混合アルコキシド溶液を調製する工程と、前記混合アルコキシド溶液に蒸留水を添加して粘性ゲルを作製する工程と、前記粘性ゲルから線引きを行なって、ゲルファイバーを作製する工程と、前記ゲルファイバーを大気中で熱処理してリチウムシリケート繊維を得る工程とを具備することを特徴とする炭酸ガス吸収体の製造方法を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明の炭酸ガス吸収体は、ハニカム状の貫通した開口部を有する構造の均一なセラミックスからなる多孔質成形体により構成される。こうした成形体の開口部の連続方向に垂直な断面の一例を図1に示す。図示する成形体1は、正方形の断面を有しており、正方形の断面を有する開口部2が9個設けられている。なお、成形体の断面形状は、正方形に限定されるものではなく、長方形、楕円形などいかなる形態であっても構わない。成形体1の大きさは、例えば正方形の断面を有する場合で、一辺の長さが5cm程度から30cm程度であることが望ましい。開口部2に沿った軸方向の長さは、基本的にいかに長くとも本発明の効果を充分発揮できるものであるが、施工上の都合から、5cm程度から100cm程度のものを想定するのが実際的である。
【0014】
上述したように、本発明の炭酸ガス吸収体は、ハニカム状の連続した開口部を有し、かつ均一なセラミックスからなる多孔質成形体により構成される。言い換えれば、本発明の炭酸ガス吸収体は、断面における組成がほぼ同程度の成形体である。したがって、組成が急激に変化、すなわち減少する領域は、成形体のいずれの断面においても発生しない。これは、従来の塗布型とは異なって、骨組みとなる基材が成形体中には存在しないことを意味している。
【0015】
本発明においては、こうした成形体1の開口部に直交する断面における開口部の面積は、断面全体の面積に対して10%以上50%以下に規定している。図2を参照して、これについて詳細に説明する。
【0016】
図2には、長さLの正方形の開口部2が、厚みTを有する成形体の壁で区切られて4個隣接している単位構造を示した。開口部2の全面積S1は、開口の連続方向に垂直な断面でこの成形体を切断した場合の開口部の面積である。この場合、開口部の全面積S1、および開口部以外の部分である成形体の壁部分の面積S2は、それぞれ次のように表される。
S1=4L2
S2=T2+4LT
断面全体に対する開口部の割合Rは
R=S1/(S1+S2)
であり、図2に示す構造の場合、
R=(4L2)/(4L2+T2+4LT)
となる。
【0017】
本発明においては、このRの値を10%以上50%以下に規定している。Rが50%を越えると、単位空間における吸収材の正味量が減少してしまい、コンパクトである本発明の効果が失われてしまう。一方、Rが10%未満の場合には、ガスの流通空間が不足してしまい、圧力損失が増加してハニカム状形態とした効果が損なわれてしまう。特に好ましいRの範囲は、20%以上40%以下である。
【0018】
なお、開口部の断面形状は、必ずしも正方形である必要はなく、三角形、長方形、および楕円などいかなる形状であっても構わない。
【0019】
上述したような開口部を有する本発明の炭酸ガス吸収体は、炭酸ガスと反応して炭酸リチウムを生成する炭酸ガス吸収材粉末を主成分とする。この炭酸ガス吸収材粉末は、例えば、リチウム化ジルコニア、リチウムシリケートのような炭酸ガスと反応して炭酸リチウムを生成する炭酸ガス吸収物質粉末である。これらの炭酸ガス吸収物質は、それぞれ以下に示す反応式(1)〜(4)によって炭酸ガスを吸収し、その逆反応によって炭酸ガスを放出する。
【0020】
Li2NiO2(s)+CO2(g)→NiO(s)+Li2CO3(l) (1)
2LiFeO2(s)+CO2(g)→Fe2O3(s)+Li2CO3(l) (2)
Li2ZrO3(s)+CO2(g)→ZrO2(s)+Li2CO3(l) (3)
Li4SiO4(s)+2CO2(g)→SiO2(s)+2Li2CO3(l) (4)
これらの中でも、反応式(3)、(4)によるリチウムジルコネート、リチウムシリケートが比較的大きな反応速度を示し、多量の炭酸ガスの吸収・除去に対しては特に好ましい炭酸ガス吸収材粉末である。こうした炭酸ガス吸収材粉末の平均粒径は、解砕・粉砕のプロセスなどにより5.0μm以下に制御することが好ましく、3.0μm以下0.05μm以上の範囲であることがより好ましい。炭酸ガス吸収材粉末の粒径が5.0μmを越えて大きい場合には、速度論的な制約が大きくなって、炭酸ガスとの反応性が急激に低下してしまう。また、粒径が小さすぎると、長時間使用した場合の安定性が低下するおそれがある。なお、この粒径は粉末状態の前記炭酸ガス吸収材の粒径であるとともに、これを多孔質体に成形した炭酸ガス吸収体における構成粒子の粒径でもある。
【0021】
さらに、本発明において用いられる炭酸ガス吸収材粉末は、その比表面積が0.1〜50m2/gの範囲内であることが好ましい。
【0022】
上述したようなリチウム化酸化物は、内部からLiが表面に拡散し、表面で炭酸ガスと反応することにより炭酸ガスを吸収する。低温ではこのLiの拡散速度が小さく、表面での炭酸ガスとの反応頻度が低下するため、炭酸ガス吸収特性が著しく低下していた。吸収材粉末の比表面積が大きくなると、表面での反応頻度が増大して、炭酸ガス吸収量が向上することになる。しかしながら、ある値を上回ると、吸収材粉末の凝集が起こって実効比表面積が大きくならず、また、新たに生じた界面の存在により、炭酸ガス吸収特性は逆に低下する。
【0023】
したがって、本発明において用いられる炭酸ガス吸収材粉末の比表面積は、0.1〜50m2/gであることが好ましく、1〜10m2/gであることがより好ましい。
【0024】
また、前述した炭酸ガス吸収材は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の化合物、炭酸塩、水和物等が含有されていてもよい。具体的には、Li2CO3、Na2CO3、K2CO3、およびMgO等を挙げることができる。このような成分を配合することによって、得られる吸収材の炭酸ガスの吸収・放出反応が促進される。
【0025】
炭酸塩の添加量は、リチウムシリケートに対して5〜30mol%にすることが好ましい。炭酸塩の添加量が5mol%未満の場合には、炭酸ガスの吸収反応の促進効果を十分に発揮することが困難になる。一方、炭酸塩の添加量が30mol%を超えると、炭酸ガスの吸収反応が飽和するばかりか、吸収材の容積当たりの炭酸ガス吸収量が低下するおそれがある。より好ましい炭酸塩の添加量は、リチウムジルコネートに対して10〜20mol%である。
【0026】
上述したような炭酸ガス吸収材は、例えば、比表面積0.1〜50m2/gの粒子からなる多孔質体の形態とすることができる。この多孔質体の気孔率は、40%前後であることが好ましく、炭酸塩が含有される場合には、その細孔に保持される。
【0027】
このような多孔質体構造の炭酸ガス吸収材は、例えば、次のような方法により作製される。
【0028】
まず、二酸化珪素および炭酸リチウムを所定量秤量し、メノウ乳鉢等で0.1〜1h混合する。得られた混合粉末をアルミナるつぼに収容し、大気中、箱型電気炉等で0.5〜20h熱処理する。その後、再び遊星ボールミルで比表面積0.1〜50m2/gとなるまで粉砕し、リチウムシリケート原料粉末を得る。比表面積は、粉砕時間で制御することができる。続いて、このリチウムシリケート粉末を所定量秤量し、金型に充填し、圧縮成形して気孔率40%前後の成形体とすることにより多孔質体構造の炭酸ガス吸収材が作製される。
【0029】
あるいは、上述したような炭酸ガス吸収材は繊維の形態としてもよく、この繊維の気孔率は40%前後であることが好ましい。このような繊維において、添加されるリチウム、ナトリウムおよび、カリウムから選ばれるアルカリの炭酸塩は、その細孔に保持される。
【0030】
このような繊維状の炭酸ガス吸収材は、例えば次のような方法により作製することができる。まず、エトキシリチウムおよびテトラエトキシシランを所定量秤量し、エタノールとともにビーカー中で混合する。得られた混合アルコキシド溶液中に蒸留水を適量滴下して、粘性ゲルを作製する。ここで滴下する蒸留水の量は、繊維径、ゲル化時間等に応じて適宜決定することができるが、混合アルコキシド溶液に対してモル比で0.1〜10倍程度であることが好ましい。蒸留水の量がこの範囲を逸脱すると、線引きができないおそれがある。
【0031】
選られた粘性ゲルから線引きを行って、ゲルファイバーを作製する。最終的に、このゲルファイバーを大気中で熱処理することにより、リチウムシリケート繊維が得られる。
【0032】
こうした炭酸ガス吸収材粉末を用いて、本発明の炭酸ガス吸収体を製造することができる。本発明の炭酸ガス吸収体は、気孔率30%以上50%以下で、前記吸収材粉末が充填された状態であれば、その形態は特に限定されない。なお、気孔率は、40%以上50%以下であることがより好ましい。例えば、炭酸ガス吸収材粉末を単にプレス成型することによって、本発明の炭酸ガス吸収体を製造することができる。あるいは、有機もしくは無機バインダーを添加してスラリーを調製し、これを押し出し成型した後、焼成することにより、本発明の炭酸ガス吸収体を製造してもよい。有機バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、酢酸セルロース、流動パラフィン、およびグリセリン等を用いることができる。また、無機バインダーとしては、例えば、リチウムアルミネートおよびリチウムタンタレート等が挙げられる。こうした無機バインダーは、13〜30重量%程度の割合で添加することができる。
【0033】
特に好ましくは、まず、炭酸ガス吸収材粉末と、有機バインダーとしてのポリビニルアルコールとを混合してスラリーを調製する。このスラリーをハニカム状に対応する金型から押し出して、所望の長さで切断する。最後に、700〜1000℃程度の熱処理を施す方法である。これによって、本発明の炭酸ガス吸収体が得られる。
【0034】
なお、ハニカム状の連続した開口部を有する本発明の炭酸ガス吸収体は、上述した押し出し成形以外の方法で製造することもできる。具体的には、柱状のブロックを組み合わせることによって製造してもよく、こうした炭酸ガス吸収体について以下に説明する。
【0035】
こうしたブロックは、構造の一部に他のブロックと互いに組み合わせることのできる凹凸構造を有していてもよい。ブロックを互いに並べ、および上下に組み合わせて炭酸ガスが流れる方向に沿って空間が生じるように配置して用いることができる。
【0036】
柱状のブロックからなる炭酸ガス吸収材は、例えば次のような方法で製造することができる。まず、炭酸ガス吸収材の粉末を金型内に充填し、プレス圧100〜1000kgf/cm2で成形し、ブロック(直方体)状の成形体を得る。ここで用いられる炭酸ガス吸収材粉末は、すでに説明したような条件を満たしていることが好ましい。また、上述したような有機または無機バインダーが配合されていてもよい。
【0037】
次いで、この成形体を300〜1000℃で熱処理することにより、炭酸ガス吸収材が作製される。前述の加圧成形の工程と熱処理工程とは、順序が逆でもよく、前もって熱処理した炭酸ガス吸収材の粉末を、金型内に充填して加圧成形してもよい。
【0038】
こうして得られる炭酸ガス吸収材の成形体は、気孔率が20〜60%である多孔質体構造を有することが好ましい。この範囲の気孔率を有することによって、優れた炭酸ガス吸収能力と繰り返し特性とを安定的に保持することができる。
【0039】
また、炭酸ガス吸収材の成形体の形状や大きさは、炭酸ガス吸収反応容器の形状や大きさにあわせて任意の形状や大きさとすることができる。
【0040】
こうした炭酸ガス吸収材の成形体を炭酸ガス吸収反応容器に設置する際には、ブロック状に成形した炭酸ガス吸収材を互いに並べ、および上下に積み重ねて設置する。全体として三次元的な炭酸ガス吸収材層が形成されるが、小単位の強固なブロック構造が集まって形成されていることにより、温度変化に伴う熱衝撃や炭酸ガス吸収反応に伴う吸収材の体積変化に対する耐久性に優れる。また、繰り返し使用により炭酸ガス吸収材が破壊される部分が生じても、破壊されたブロックのみ交換することができるので、修理が容易で長期的な耐久性に優れる。
【0041】
設置する際には、炭酸ガスが流れる方向に空間が生じるように炭酸ガス吸収材の成形体を配置することが望ましい。このようにすると、炭酸ガスが流れやすくなり、炭酸ガスと反応する表面積が増加して、全体的に炭酸ガス吸収効率が向上する。
【0042】
以上説明したような本発明の炭酸ガス吸収体を用いることによって、火力電力プラント、化学プラントなど炭酸ガスを含む多量の高温ガスが流通するシステムにおいて、炭酸ガスの分離を最もコンパクトかつ少ない消費エネルギーで実施することが可能となる。
【0043】
【発明の実施の形態】
(実施例1〜5、比較例1)
表1に示す吸収材粉末を用いて、それぞれに有機バインダーとしてのポリビニルアルコールを12重量%程度加えてスラリーを調製した。このスラリーを金型から押し出すことによって、一辺の長さが100mmの正方形断面を有する長さ300mmの成形体を作製した。断面に垂直な方向には、それぞれ表1に示す割合の開口部を設け、この開口部が長さ300mmの成形体を貫通している。
【0044】
表1に示されるように、比較例1は、開口部の面積が90%と大きく、本発明の範囲から外れている。
【0045】
この成形体2を、図3に示す構造のガス流通装置3にガスの漏れがないように取り付け、成形体の温度を500℃に保持した。次いで、500℃、CO220%(バランスは空気)のガスを、ガス入り口4から毎分30リットル流通させた。ガスの流通開始から10分経過したところで、成形体の通過に関わる圧力損失を差圧計5により測定し、そのままガスの流通をさらに50分継続した。炭酸ガスが吸収された残りのガスは、ガス出口6から排気される。
【0046】
その後、成形体2をガス流通装置3から取り外して、そのCO2吸収量を測定した。下記表1にCO2吸収量と圧力損失とを併記する。
【0047】
【表1】
【0048】
表1に示されるように、比較例1の炭酸ガス吸収体は、CO2吸収量が0.15kgであり、圧力損失は10mmAqである。これに対して、本発明の炭酸ガス吸収体(実施例1〜5)は、いずれもCO2吸収量は0.7kg以上であり、圧力損失は、13〜30mmAqである。したがって、本発明の炭酸ガス吸収体は、圧力損失を特別に増大させることなく、多量の炭酸ガスを吸収していることがわかる。
【0049】
(実施例6)
純度99.9%、平均粒径0.5μmのLi2CO3粉末と、純度99.9%、平均粒径0.5μmのZrO2粉末と、純度99.9%、平均粒径0.5μmのK2CO3粉末とを、重量比で29:49:22となるように秤量して混合原料を調製した。次いで、この混合原料を900℃で10時間、大気中で熱処理して炭酸ガス吸収材を作製した。
【0050】
得られた炭酸ガス吸収材の粉末を、プレス圧500kgf/cm2で加圧成形して、直方体のブロック状(30mm×5mm×5mm)に加工した。
【0051】
直径100mm、長さ50mmの筒状の炭酸ガス吸収反応容器に、前述のブロック状の炭酸ガス吸収材約100gを格子状に積み重ねて、図3に示すガス流通装置3内に設置した。
【0052】
反応容器の入り口側から窒素ガスを導入して昇温し、500℃になった時点で、ガスをCO250%(空気バランス)ガスに切り替え、1リットル/minの条件で1時間流通させた。1時間経過後、反応容器の出口側のガス成分を質量分析により測定した。この昇温時に質量分析計で選られたガス成分中のCO2分圧低下の割合を求め、炭酸ガス吸収材の分離量(1サイクル目)を算出した。その結果、本実施例の炭酸ガス吸収体は、50サイクル目の炭酸ガス分離量は、1サイクル目の分離量と同程度の10000cm2であり、耐久性に優れていることがわかった。
【0053】
また、本実施例の炭酸ガス吸収体は、実施例1〜5と同程度の重量増加および圧力損失が確認された。
【0054】
(比較例2)
粒径2μm程度のリチウムジルコネート粉末を円筒形金型に各5gずつ収容し、プレス圧500kgf/cm2で成形して、直径20mmのディスク状成形体を得た。このディスクを、一辺の長さが100mmの正方形断面を有する長さ300mmのステンレス製容器にぴったりと収まるように充填して用いる以外は、前述と同様の装置で同様の測定を行った。その結果を表2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】
(比較例3)
粒径2μm程度のリチウムジルコネート粉末にメチルエチルケトン、ポリビニルブチラート、フタル酸ジブチルを加え、10時間程度湿式混合することによりスラリーを調製した。一方、基材として、一辺の長さが100mmの正方形断面を有する長さ300mmのコーディライト製ハニカムセラミックスを用意し、前述のスラリーをこれに塗布して炭酸ガス吸収材を作製した。この炭酸ガス吸収材を用いる以外は、前述と同様の装置で同様の測定を行った。その結果を表3に示す。
【0057】
【表3】
【0058】
ディスク状の炭酸ガス吸収体は圧力損失の点で、また塗布型の炭酸ガス吸収体は、CO2吸収量の点で本発明の炭酸ガス吸収体よりも決定的に劣っていることが、表2および表3の結果から明らかである。
【0059】
(参考例1)
実施例6と同様の炭酸ガス吸収材粉末を、プレス圧500kgf/cm2で加圧成形して、円柱状ペレット(直径約20mm、厚さ3mm)に加工した。この円柱状ペレット約100gを、直径100mm、長さ50mmの筒状の炭酸ガス吸収反応容器に充填した以外は、実施例6と同様にして炭酸ガスの分離・吸収を行った。
【0060】
その結果、1サイクル目の炭酸ガス分離量は6000cm2を示したが、50サイクル目の炭酸ガス分離量は500cm2以下であった。
【0061】
(参考例2)
平均粒径1μmの炭酸リチウム粉末と、平均粒径0.8μmの二酸化珪素粉末とをモル比で2:1となるように秤量し、メノウ乳鉢にて10min乾式混合した。得られた混合粉末を箱型電気炉にて、大気中1000℃で8h熱処理し、リチウムシリケート粉末を得た。
【0062】
続いて、このリチウムシリケート粉末を遊星ボールミルにて16h粉砕し、直径12mmの金型内に充填し、加圧成形することにより気孔率40%の成形体を作製した。
【0063】
粉砕後の比表面積を下記表4に示す。
【0064】
(参考例3)
粉砕時間を1hとした以外は、参考例2と同様の方法で成形体を作製した。粉砕後の比表面積を下記表4に示す。
【0065】
(参考例4)
二酸化珪素を酸化ジルコニウムとし、炭酸リチウムとのモル比を1:1とした以外は、参考例2と同様の方法で成形体を作製した。粉砕後の比表面積を下記表4に示す。
【0066】
(参考例5)
エトキシリチウムおよびテトラエトキシシランをモル比で2:1となるように秤量し、エタノールとともにビーカー中で混合した。得られた混合アルコキシド溶液中に等モルの蒸留水を滴下して粘性ゾルを作製した。この粘性ゾルから線引きを行い室温で12h放置してゲルファイバーを作製した。
【0067】
最後に、このゲルファイバーを箱型電気炉にて、大気中900℃で8h熱処理することにより、リチウムシリケート繊維を得た。
【0068】
繊維中の比表面積を下記表4に示す。
【0069】
(参考例6)
テトラエトキシシランをテトラエトキシジルコニウムとし、エトキシリチウムとのモル比を1:1とした以外は参考例5と同様の方法で繊維を作製した。
【0070】
熱処理後の繊維の比表面積を表1に示す。
【0071】
(参考例7)
遊星ボールミルによる粉砕処理を施さなかった以外は、参考例2と同様の方法で成形体を作製した。
【0072】
得られた成形体の比表面積を下記表4に示す。
【0073】
(参考例8)
添加する蒸留水のモル比を混合アルコキシド溶液に対して5倍とした以外は、参考例5と同様の方法で繊維を作製した。
【0074】
得られた参考例2〜8の炭酸ガス吸収材を箱型電気炉に設置し、この電気炉内に炭酸ガス20体積%および窒素ガス80体積%からなる混合ガスを流通させながら、250℃および450℃の温度で6h保持した。その前後の吸収材の重量増加を調べることにより、炭酸ガスの吸収量を測定して、得られた結果を下記表4に示す。
【0075】
なお、本測定において吸収材が設置された電気炉内に窒素ガスのみを供給して同様な実験を行ったところ、吸収材の重量増加がまったく認められないことが確認された。
【0076】
また、参考例2〜8の吸収材を、炭酸ガス20体積%および窒素ガス80体積%からなる混合ガスを流通させながら250℃に6h保持し、いったん室温に戻して重量を測定した。さらに、同様なガス条件で800℃に1h保持して重量減少を測定して、炭酸ガスの放出量を測定した。その結果を、表4にあわせて示す。
【0077】
【表4】
【0078】
表4に示されるように、参考例2〜6の吸収材は、参考例7,8の吸収材に比べて炭酸ガスの吸収量が著しく大きく、優れた炭酸ガス吸収特性を有していることがわかる。また、炭酸ガス放出量は吸収量とほぼ同一であり、吸収・放出が可能な材料であることも確認された。また、これらの結果から、炭酸ガス吸収材粉末の好ましい比表面積は0.1〜50m2/gであり、より好ましくは1〜10m2/gであることが明らかになった。
【0079】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、炭酸ガス分離のために消費するエネルギーを少なくし、高効率、低コストでエネルギープラント排気ガスの中から炭酸ガスを吸収し濃縮することのできるコンパクトな炭酸ガス吸収体が提供される。
【0080】
また本発明によれば、炭酸ガス分離に要する消費エネルギーが少なく、高効率、低コストでエネルギープラント排気ガスの中から炭酸ガスを吸収し濃縮できるコンパクトな炭酸ガス吸収体の製造方法が提供される。
【0081】
本発明は、炭化水素を主成分とする燃料を利用するエネルギープラントや化学プラント、自動車などにおいて発生するガス中の炭酸ガスを分離回収するシステム、または水素を生成する化学反応装置において非平衡状態を作り出すことによって反応収率を増大させる装置などに好適に用いられ、その工業的価値は絶大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の炭酸ガス吸収体の一例を表す断面図。
【図2】本発明の炭酸ガス吸収体の一例の断面を表す拡大図。
【図3】本発明の炭酸ガス吸収体を使用するガス流通装置の構成を表す概略図。
【符号の説明】
1…炭酸ガス吸収体
2…開口部
3…ガス流通装置
4…ガス入り口
5…差圧計
6…ガス出口
Claims (2)
- リチウムおよびシリコンを含有する混合アルコキシド溶液を調製する工程と、
前記混合アルコキシド溶液に蒸留水を添加して粘性ゲルを作製する工程と、
前記粘性ゲルから線引きを行なって、ゲルファイバーを作製する工程と、
前記ゲルファイバーを大気中で熱処理してリチウムシリケート繊維を得る工程とを具備することを特徴とする炭酸ガス吸収体の製造方法。 - 前記混合アルコキシド溶液は、エトキシリチウムおよびテトラエトキシシランをモル比で2:1となるように秤量し、エタノールとともにビーカー中で混合することにより調製され、前記蒸留水は前記混合アルコキシド溶液に対して等モル添加され、前記熱処理は900℃で8時間行なうことを特徴とする請求項1に記載の炭酸ガス吸収体の製造方法。
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