JP3552180B2 - 画像の2値化方法および装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、画素の配列として与えられた原画像を、画像出力装置に出力し得る2値の複製画像信号に変換する画像の2値化方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、いったん記録された網点画像を走査して読取り、得られた画像信号から再び2値信号を得るためには、走査して得られたアナログ画像信号値を一定のしきい値と比較し、単純に2値化する方式が採られていた。この単純2値化方式においては、原画像そのものが有する濃淡周期と走査周期との干渉により、いわゆるモアレと呼ばれる干渉縞が発生し、記録画像の品質を損なう原因となっていた。
【0003】
そしてこのようなモアレを除去する方法として、特公平1−29349号などに開示された方法が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特公平1−29349号などに開示された技術は、網点画像などの濃度の周期性をもつ原画を走査し、2値化された画像信号を得るに際しては、一度マトリクス走査によって画素値の再配分を行っておき、その後各画素について2値化を行わなければならない。したがってこのような従来の技術は、2段階の処理を必要とするため、処理が完了するまでに多大な時間を要する欠点を有している。
【0005】
この発明は、上記のような課題に鑑み、モアレを良好に除去するとともに、高速に処理が行える画像の2値化方法および装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、画素の配列として与えられた原画像から注目画素を順次に選択して2値化し、2値化後の論理レベルに対応する画素値からの2値化前の画素値の誤差を前記注目画素の近辺の2値化前画素の画素値に加算しつつ、前記原画像の各画素についての2値化を行う方法であって、注目画素の近辺に存在する複数の2値化前画素のうち、前記注目画素の2値化後の画素値から遠い画素値を有する画素の順序に従って特定画素を選択して前記特定画素の画素値に前記誤差を加算することにより、前記特定画素の前記画素値を更新し、
新たに選択された注目画素が、前記特定画素として既に前記加算を受けた後のものである場合には、前記更新を受けた後の画素値に基づいて前記2値化を行うようにしている。

【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1の方法において、前記順序に従って指定された第1加算候補画素の画素値が、前記加算によって前記原画像の画像値に許容される所定の画素値レンジを越えるときには、前記誤差のうち前記第1加算候補画素について前記画素値レンジを越える部分を、前記順序において次の候補となる第2加算候補画素に繰り越して加算するようにしている。

【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2の方法において、前記2値化後の論理レベルは1または0であり、前記注目画素についての前記2値化後の論理レベルが1であるときには、前記複数の2値化前画素のうち、画素値の昇順で前記加算候補画素の順序を指定し、前記注目画素についての前記2値化後の論理レベルが0であるときには、前記複数の2値化前画素のうち、画素値の降順で前記加算候補画素の順序を指定するようにしている。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかの方法において、前記原画像は、網点画像を光電的に読取って得られた画像である。
【0010】
請求項5に記載の発明は、画素の配列として与えられた原画像を画素ごとに2値化する装置であって、前記画素の配列から選択された注目画素の画素値を2値化する2値化手段と、前記注目画素について、2値化後の論理レベルに対応する画素値からの2値化前の画素値の誤差を算出する誤差算出手段と、前記注目画素の近辺に存在し、かつまだ前記2値化の対象となっていない複数の画素の中のうち、前記注目画素の2値化後の論理レベルに対応する画素値から遠い画素値を有する順序に従って特定画素を選択する特定画素選択手段と、前記特定画素の画素値に前記誤差を加算することにより、前記特定画素の前記画素値を更新する誤差加算手段と、前記原画像の各画素を前記注目画素として順次に選択して前記2値化の対象とするとともに、新たに選択された注目画素が、前記特定画素として既に前記加算を受けた後のものである場合には、前記更新を受けた後の画素値に基づいて前記2値化を行う2値化繰返し手段と、を備えている。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5の装置において、前記特定画素選択手段は、前記複数の2値化前画素のうち、前記注目画素の2値化後の論理レベルに対応する画素値から遠い順に加算候補画素の順序を決定する順序決定手段と、前記順序に従って指定された第1加算候補画素の画素値が前記加算によって前記原画像の画像値に許容される所定の画素値レンジを越えるときに、前記誤差のうち前記第1加算候補画素について前記画素値レンジを越える部分を、前記順序において次の候補となる第2加算候補画素に繰り越して加算する繰越し加算手段を有している。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項6の装置において、前記2値化後の論理レベルは1または0であり、前記順序決定手段が、前記注目画素についての前記2値化後の論理レベルが1であるときに、前記複数の2値化前画素のうち、画素値の昇順で前記加算候補画素の順序を決定する手段と、前記注目画素についての前記2値化後の論理レベルが0であるときに、前記複数の2値化前画素のうち、画素値の降順で前記加算候補画素の順序を決定する手段と、を有している。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項5ないし請求項7のいずれかの装置において、前記原画像は、網点画像を光電的に読取って得られた画像である。
【0014】
【発明の実施の形態】
<全体構成>
図1はこの発明の実施の一形態を示すブロック図である。図1の画像入力装置1としては、網点画像として記録された原画像を走査することによって光電的な読取りを行うものであり、この実施の形態ではイメージスキャナなどを使用している。また画像出力装置4としては、この実施の形態ではインクジェットプリンターなどを使用している。画像入力装置1によって原画像を画素毎に読取り、得られた画像信号は多階調のデジタル信号としてメモリー3に格納される。CPU2はこの格納された画像信号を画素毎に読み出して2値化を行う。ここでCPU2によってメモリー3から読み出され、その時点で2値化の対象となっている画素を注目画素と呼ぶ。注目画素の2値化の結果およびそれに伴う誤差の補償結果(後述)は、再びメモリー3に格納される。そして画像信号のすべての画素について2値化が完了すると、この2値画像信号を画像出力装置4に転送するように構成されている。
【0015】
<2値化と誤差配分の原理>
画像入力装置1で網点画像を読取って、得られた多値の画像信号は図2のようになる。この図2は画像信号を構成する画素の配列を示す図であり、原画像における1個の網点Pを読み取ったときの各画素の信号値(画素値)を示している。なお、この実施の形態において、画素値のダイナミックレンジ(画素値レンジ)は0から255である。図2に示すように、1つの画素(例えば第2行,第2列の画素)全体が網点Pに覆われる場合は、その画素値は255となる。これに対し、1つの画素(例えば第0行,第0列の画素)と網点Pとが交わる部分が全く存在しない場合は、その画素値は0となる。また、1つの画素(例えば第0行,第1列の画素)において網点Pと交わる部分が存在する場合、その画素値は、画素全体の面積と、網点Pと交わる部分の面積との割合に対応した値となる。なお、以下の説明において、第m行,第n列(m,nはともに0または自然数)の画素を示すときは、画素(m,n)とする。
【0016】
はじめ、図2に示す画像信号において注目画素を画素(0,0)とする。注目画素は画素(0,0)から図中のXの方向(主走査方向)に順次移動し、原画像を2値化していく。注目画素が画素(0,n)まで到達したときは、注目画素を1つY方向(副走査方向)に移動させ、再び第0列から主走査方向Xに順次2値化していく。このように注目画素を走査させ、画素(m,n)の2値化が完了すれば、全画素の2値化が完了する。
【0017】
この発明の実施形態において実際に注目画素を2値化する場合、2値化のしきい値として128を使用する。このため2値化前の画素値が画素値レンジの50%未満(この実施形態の場合127以下)であるとすると、2値化した結果は0となり、2値化前の画素値レンジでは0に対応する。また2値化前の画素値が画素値レンジの50%以上(この実施形態の場合128以上)であるとすると、2値化した結果は1となり、2値化前の画素値レンジでは255に対応する。
【0018】
2値化した結果において生ずる誤差をつぎのように定める。つまり、誤差をE,注目画素の2値化前の画素値をSとしたときで、2値化した結果が0のときは、
E=S
であり、同じく2値化した結果が1のときは、
E=S−255
である。ここで図2でいくつかの例を考える。注目画素が画素(0,1)のとき、画素値が15であるため、2値化した結果は0になる。しかしこの場合、もともとこの画素が保有していた15の情報が欠落したことになる。これがすなわち誤差であり、ここでの誤差Eは+15となる。つぎに、注目画素が画素(1,1)のとき、画素値が180であるため、2値化した結果は1になる。この場合は、もともとこの画素が保有していた180の情報よりも75が余分に加わったことになる。すなわち誤差Eは−75となる。注目画素の2値化前の画素値が0または255のときは、誤差Eは勿論0である。
【0019】
2値化によって発生した誤差は、原画像に含まれていた信号を失ったり、余分な信号を付加したりしているため、原画像における網点が変形することになる。したがって、この誤差を注目画素の近辺に存在する2値化前の画素に加算することによって、網点の変形を少なくすることができる。すなわち注目画素を2値化した結果、原画像に含まれていた信号の一部を失った場合は、注目画素の近辺に存在する2値化前の画素に失った信号分だけ加え、また原画像に含まれない余分な信号が加わった場合は、注目画素の近辺に存在する2値化前の画素から余分な信号分を減じることになる。なお後者の場合の減算は、「マイナスの符号を持つ誤差の加算」と等価であるため、このような誤差の補償は一般に「誤差の加算」と考えることができる。
【0020】
この実施の形態では、図3(a)に示すように注目画素の近辺に存在する2値化前の画素を4画素とし、誤差の加算対象としている。注目画素が主走査方向Xまたは副走査方向Yに走査していくと、この誤差の加算対象の数は当然変化する。図3(b)は注目画素が第0列(ただし画素(m,0)は除く)に位置するときの誤差の加算対象を示し、図3(c)は注目画素が第n列(ただし画素(m,n)は除く)に位置するときの誤差の加算対象である。図3(d)は注目画素が第m行(ただし画素(m,n)は除く)に位置するときであるが、この場合は2値化前の画素が1つしかないため、必然的に誤差の加算もその画素が対象となる。また図3(e)は注目画素が画素(m,n)であるときであるが、この場合は全画素について2値化が完了しているため、ここで発生する誤差は捨てるものとする。なお、図3(b)〜(e)は原画像の画素の中では例外的なものであるため、図3(a)の場合を中心として考えることができる。
【0021】
つぎに誤差の加算について説明する。図4(a)は、注目画素Zaと、その近辺に存在する2値化前の4画素Z1,Z2,Z3,Z4との画素値の例である。注目画素Zaの画素値は192であり、2値化前の4画素Z1,Z2,Z3,Z4は、それぞれ224,160,32,96である。このとき注目画素Zaを2値化すれば1となり、生ずる誤差は−63である。注目画素Zaの2値化結果が1のときは、2値化前の4画素Z1,Z2,Z3,Z4のうちで画素値が最小のものを加算候補とし、その誤差−63を加算する。そして加算(具体的には63を減算)を行った結果、加算候補画素の画素値が画素値レンジの下限値0より小さくなる場合は、加算候補画素の画素値は下限値0とし、残った誤差はつぎの加算候補画素に加算する。図4(a)の場合は画素Z3が最小値32であるので、この画素値に前記の誤差−63を加算する。そして画素Z3の画素値が0となるが、さらに誤差−31が残った状態である。そのため残りの2値化前の3画素Z1,Z2,Z4のうちから同様に最小のものに、残りの誤差−31を加算する。このようにして図4(a)において注目画素Zaを2値化し、生じた誤差を加算配分した結果を図4(b)に示す。2値化前の画素Z3,Z4の画素値が更新されている。
【0022】
さらに図5(a)について考える。注目画素Zbの画素値は64であり、2値化前の4画素Z5,Z6,Z7,Z8は、それぞれ160,224,32,96である。このとき注目画素Zbを2値化すれば0となり、生ずる誤差は64である。注目画素Zbの2値化結果が0のときは、2値化前の4画素Z5,Z6,Z7,Z8のうちで画素値が最大のものを加算候補画素とし、その誤差64を加算する。そして加算を行った結果、加算候補画素の画素値が画素値レンジの上限値255より大きくなる場合は、加算候補画素の画素値は上限値255とし、残った誤差をつぎの加算候補画素に加算する。図5(a)の場合は画素Z6が最大値224であるので、この画素値に前記の誤差64を加算する。そして画素Z6の画素値が255となるが、さらに誤差33が残った状態である。そのため残りの2値化前の3画素Z5,Z7,Z8のうちから同様に最大のものに、残りの誤差33を加算する。このようにして図5(a)において注目画素Zbを2値化し、生じた誤差を加算配分した結果を図5(b)に示す。2値化前の画素Z5,Z6の画素値が更新されている。
【0023】
なお、このような誤差配分を進めて行った結果として、配分すべき誤差がまだ残っているにもかかわらず、加算候補画素として4画素を使い切ってしまった場合には、その誤差はつぎに2値化を行う画素に加算する。この結果つぎに2値化を行う画素の画素値は、画素値レンジからオーバーフロー(255より大きい値)もしくはアンダーフロー(0より小さい値)してもよい。すなわち、つぎに2値化を行う画素の画素値は、画素値レンジとは関係なく任意の値となり得る。これは注目画素の近辺において情報の欠落をなるべく小さくするためであるため、注目画素が第n列であるときは適用しない。
【0024】
<具体例>
ここでこの発明に基づき2値化処理を行っていく過程において、個々の画素の画素値が更新されていく様子を説明する。図2に示す画像信号から第0行から第4行,第0列から第5列の範囲に位置する画素について考え、その他の画素は存在しないものとする。
【0025】
◎注目画素(0,0)
まず、注目画素が画素(0,0)であるとき、画素値は0であるから、2値化の結果は0である。ここでの誤差は0であるから他の画素は更新されない。この2値化の結果を図6に示す。
【0026】
◎注目画素(0,1)
つぎに注目画素が画素(0,1)に移動する。このとき、画素値は15であるから、2値化の結果は0となり、15の誤差が発生する。この誤差の加算の対象となる画素は画素(0,2),画素(1,0),画素(1,1),画素(1,2)の4画素であり、このうちで画素値が最大のものは画素(1,2)である。しかし画素(1,2)は画素値が255であり、画素値レンジの上限値である。このため画素(1,2)には誤差の加算を行えないため、画素(0,2),画素(1,0),画素(1,1)のうちで画素値が最大のものに加算を行う。ここでは画素(1,1)が画素値180であり最大であるため、加算候補となり、誤差である15が加算される。この処理の結果を図7に示す。
【0027】
◎注目画素(0,2)
つぎに注目画素が画素(0,2)に移動する。この画素値は121であるから、2値化の結果は0であり、121の誤差が発生する。まず第1に加算候補画素となる画素(1,1)に、誤差121のうち60が加算され画素(1,1)の画素値は255になる。残った誤差61は第2の加算候補である画素(0,3)に加算される。この処理の結果を図8に示す。
【0028】
◎注目画素(0,3)
つぎに注目画素が画素(0,3)に移る。この画素値が222であるため、2値化の結果は1となり、誤差は−33となる。この誤差は画素(0,4),画素(1,2),画素(1,3),画素(1,4)のうち画素値が最小である画素(0,4)に加算される。その結果、画素(0,4)の画素値は120と更新される。この処理の結果を図9に示す。
【0029】
◎注目画素(0,4)
つぎに注目画素が画素(0,4)に移動する。この画素値が120であるため、2値化の結果は0であり、誤差は120である。この誤差は画素(1,3),画素(1,4)の画素値が255であるため、画素(1,5)に加算される。この処理の結果を図10に示す。
【0030】
◎注目画素(0,5)
つぎに注目画素が画素(0,5)に移動する。この画素値が16であるため、2値化の結果は0であり、誤差は16である。この場合、加算の対象となり得るのは画素(1,4)と画素(1,5)の2画素しか存在しないが、この2つのうちで画素(1,5)の方が小さいために、この画素に誤差が加算される。この結果を図11に示す。
【0031】
◎以後の処理
以上で第0行の2値化が完了するが、続いて第1行から第4行まで同様の処理を施すことによって、すべての画素につて2値化を行う。その結果を図12に示す。図12で画素(4,5)を2値化した結果、その画素の右に示すように−47の誤差が発生するが、この誤差は加算対象が存在しないためつぎに2値化を行う画素に加算する。このようにして2値化処理が完了したことになるが、図12に示すように、2値化結果が1であるものは、まとまった塊を形成し、2値化結果が0であるものは、いくつか接合した塊を形成している。このことは、すなわち原画像の網点としての形状が良好に保たれていること示す。
【0032】
<装置における処理フロー>
つぎに図1のCPU2が行う処理のフローを図13,図14に示す。図13は全画素について2値化を行うための処理全体の流れである。図14は、図13の誤差の加算配分(ステップS5)の処理について、詳解したフローチャートである。
【0033】
まず図13において、ステップS1で注目画素を画素(0,0)にし、ステップS2で注目画素を2値化したときに発生する誤差の加算対象となる画素の画素値を読み出す。そしてステップS3により注目画素の2値化を行い、ステップS4で注目画素の画素値を2値化結果に更新する。そしてステップS5で誤差の加算配分が行われる。図14より、ステップS10で注目画素を2値化した結果発生した誤差Eを算出し、ステップ11でこの誤差Eが0であるか判定する。E=0なら誤差の加算配分(ステップS5)の処理は終了であるが、誤差Eが0でないならステップS12に処理が移る。
【0034】
ステップS12では、誤差Eが0以上かどうか判定する。誤差EがE>0なら、ステップS13で誤差の加算対象画素のうち画素値が254以下のものを抽出し、抽出されなければ(ステップS14)、誤差をつぎに2値化を行う画素(次画素)に加算し(ステップS21)、誤差の加算配分処理(ステップS5)は終了する。抽出できていれば、そのうちからさらに画素値が最大であるものを選び出す(ステップS15)。そしてその画素に255を上限として誤差Eを加算し、更新する(ステップS16)。そして再びステップS11に処理を戻す。またステップS12で誤差EがE>0でないなら、ステップS17で誤差の加算対象画素のうち画素値が1以上のものを抽出し、抽出されなければ(ステップS18)、誤差をつぎに2値化を行う画素(次画素)に加算し(ステップS21)、誤差の加算配分処理(ステップS5)は終了する。抽出できていれば、そのうちからさらに画素値が最小であるものを選び出す(ステップS19)。そしてその画素に0を下限として誤差Eを加算し、更新する(ステップS20)。そして先と同様にステップS11に処理を戻す。このような流れで誤差の加算配分(ステップS5)を行っている。
【0035】
図13に戻り、ステップS5が終了すれば、ステップS6,S7またはステップS8,S9によって注目画素を走査していく。そして全画素について2値化が完了すればすべての処理は終了する。
【0036】
ここまでの説明では、注目画素の近辺に存在する2値化前の画素であり誤差の加算の対象となり得る画素として、図3(a)に示すような4画素を選んだが、図15に示す斜線部分のように12画素を選んでもよい。また注目画素の近辺に存在する2値化前の画素であれば、他の画素構成でもよい。
【0037】
<処理の一般化>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、このような処理を一般化すると次のようになる。
【0038】
すなわち、図4の例では、注目画素Zaの2値化によって生じる誤差:
E=192−255=−63
を、注目画素Zaの近辺に存在する複数の2値化前画素Z1〜Z4のうち、
・その注目画素Zaの2値化後の画素値255(出力論理レベル=1)に近い画素値を有する画素(Z1=224など)よりも、
・遠い画素値を有する画素(Z3=32など)へ優先的に加算する。
【0039】
具体的には、注目画素Zaの2値化後の画素値255から遠い画素値を有する順(32,96,…)に加算候補画素の順序を指定する。そして、上記順序に従って指定された第1加算候補画素(Z3=32)の画素値が、誤差−63の加算によって画素値レンジ0〜255を越える(この場合は0より小さくなる)場合は、誤差−63のうちこのレンジを越える部分−31を、上記順序において次の候補となる第2候補画素Z4の画素値96に加算する。
【0040】
図5の場合にも、同様の表現をすることができる。すなわち、注目画素Zbの2値化によって生じる誤差:
E=64−0=64
を、注目画素Zbの近辺に存在する複数の2値化前画素Z5〜Z8のうち、
・その注目画素Zbの2値化後の画素値0(出力論理レベル=0)に近い画素値を有する画素(Z7=32など)よりも、
・遠い画素値を有する画素(Z6=224など)へ優先的に加算する。
【0041】
具体的には、注目画素Zbの2値化後の画素値0から遠い画素値を有する順(224,160,…)に加算候補画素の順序を指定する。そして、上記順序に従って指定された第1加算候補画素(Z6=224)の画素値が、誤差64の加算によって画素値レンジ0〜255を越える(この場合は255より大きくなる)場合は、誤差64のうちこのレンジを越える部分33を、上記順序において次の候補となる第2候補画素Z5の画素値160に加算する。
【0042】
以上のように、この発明は、「注目画素の2値化によって生じる誤差(E)を、注目画素の近辺に存在する複数の2値化前画素のうち、その注目画素の2値化後の論理レベル(0または1)に対応する画素値(0または255)に近い画素値を有する画素よりも、遠い画素値を有する画素へ優先的に加算する」という形で一般的に表現可能である。ただし、ここで括弧内はダイナミックレンジが0〜255である場合についての例示である。
【0043】
【発明の効果】
請求項1または請求項5に記載の発明によれば、2値化の結果が例えば1となった場合は、その近辺の画素でなるべく0が増えるように誤差を配分している。このため2値化の前後において、整合性が良好に保たれている。
【0044】
さらに請求項2,請求項3,請求項6および請求項7に記載の発明によれば、誤差の加算によって加算候補画素が画素値レンジを越えた場合でも、誤差は切り捨てられず次の加算候補画素に加算されるため、発生した誤差で、失われる誤差信号を極力小さくしている。このため請求項1または請求項5に記載の場合よりも2値化前後における整合性がさらに良好に保たれる。
【0045】
すなわち上記結果として、網点としての形状を維持することができ、モアレが発生しない。
【0046】
また注目画素を2値化することにより発生した誤差の加算配分が完了すれば、その時点で注目画素に対する2値化処理は完了するため、高速な処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】画像信号を構成する画素の配列を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態における注目画素とその近辺に存在する2値化前の画素の構成を示す図である。
【図4】2値化結果が1になる場合のその注目画素と、その近辺に存在する2値化前の4画素との画素値を示す図である。
【図5】2値化結果が0になる場合のその注目画素と、その近辺に存在する2値化前の4画素との画素値を示す図である。
【図6】注目画素(0,0)を2値化した結果を示す図である。
【図7】注目画素(0,1)を2値化した結果を示す図である。
【図8】注目画素(0,2)を2値化した結果を示す図である。
【図9】注目画素(0,3)を2値化した結果を示す図である。
【図10】注目画素(0,4)を2値化した結果を示す図である。
【図11】注目画素(0,5)を2値化した結果を示す図である。
【図12】注目画素(4,5)を2値化した結果を示す図である。
【図13】この発明の実施の形態の全体の処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】この発明の実施の形態の誤差の加算配分の処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】注目画素とその近辺に存在する2値化前の画素の構成でその他の例を示す図である。
【符号の説明】
P 原画像の網点
X 注目画素の主走査方向
Y 注目画素の副走査方向
1 画像入力装置
2 CPU
3 メモリー
4 画像出力装置

Claims (8)

  1. 画素の配列として与えられた原画像から注目画素を順次に選択して2値化し、2値化後の論理レベルに対応する画素値からの2値化前の画素値の誤差を前記注目画素の近辺の2値化前画素の画素値に加算しつつ、前記原画像の各画素についての2値化を行う方法であって、
    注目画素の近辺に存在する複数の2値化前画素のうち、前記注目画素の2値化後の論理レベルに対応する画素値から遠い画素値を有する画素の順序に従って特定画素を選択して前記特定画素の画素値に前記誤差を加算することにより、前記特定画素の前記画素値を更新し、
    新たに選択された注目画素が、前記特定画素として既に前記加算を受けた後のものである場合には、前記更新を受けた後の画素値に基づいて前記2値化を行うことを特徴とする、画像の2値化方法。
  2. 請求項1の方法において
    記順序に従って指定された第1加算候補画素の画素値が、前記加算によって前記原画像の画像値に許容される所定の画素値レンジを越えるときには、前記誤差のうち前記第1加算候補画素について前記画素値レンジを越える部分を、前記順序において次の候補となる第2加算候補画素に繰り越して加算することを特徴とする、画像の2値化方法。
  3. 請求項2の方法において、
    前記2値化後の論理レベルは1または0であり、
    前記注目画素についての前記2値化後の論理レベルが1であるときには、前記複数の2値化前画素のうち、画素値の昇順で前記加算候補画素の順序を指定し、前記注目画素についての前記2値化後の論理レベルが0であるときには、前記複数の2値化前画素のうち、画素値の降順で前記加算候補画素の順序を指定すること、
    を特徴とする、画像の2値化方法。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかの方法において、
    前記原画像は、網点画像を光電的に読取って得られた画像であることを特徴とする、画像の2値化方法。
  5. 画素の配列として与えられた原画像を画素ごとに2値化する装置であって、
    前記画素の配列から選択された注目画素の画素値を2値化する2値化手段と、前記注目画素について、2値化後の論理レベルに対応する画素値からの2値化前の画素値の誤差を算出する誤差算出手段と、
    前記注目画素の近辺に存在し、かつまだ前記2値化の対象となっていない複数の画素の中のうち、前記注目画素の2値化後の論理レベルに対応する画素値から遠い画素値を有する順序に従って特定画素を選択する特定画素選択手段と、
    前記特定画素の画素値に前記誤差を加算することにより、前記特定画素の前記画素値を更新する誤差加算手段と、
    前記原画像の各画素を前記注目画素として順次に選択して前記2値化の対象とするとともに、新たに選択された注目画素が、前記特定画素として既に前記加算を受けた後のものである場合には、前記更新を受けた後の画素値に基づいて前記2値化を行う2値化繰返し手段と、
    を備えることを特徴とする、画像の2値化装置。
  6. 請求項5の装置において、
    前記特定画素選択手段は、
    前記複数の2値化前画素のうち、前記注目画素の2値化後の論理レベルに対応する画素値から遠い順に加算候補画素の順序を決定する順序決定手段と、
    前記順序に従って指定された第1加算候補画素の画素値が前記加算によって前記原画像の画像値に許容される所定の画素値レンジを越えるときに、前記誤差のうち前記第1加算候補画素について前記画素値レンジを越える部分を、前記順序において次の候補となる第2加算候補画素に繰り越して加算する繰越し加算手段を有することを特徴とする、画像の2値化装置。
  7. 請求項6の装置において、
    前記2値化後の論理レベルは1または0であり、
    前記順序決定手段が、
    前記注目画素についての前記2値化後の論理レベルが1であるときに、前記複数の2値化前画素のうち、画素値の昇順で前記加算候補画素の順序を決定する手段と、
    前記注目画素についての前記2値化後の論理レベルが0であるときに、前記複数の2値化前画素のうち、画素値の降順で前記加算候補画素の順序を決定する手段と、
    を有することを特徴とする、画像の2値化装置。
  8. 請求項5ないし請求項7のいずれかの装置において、
    前記原画像は、網点画像を光電的に読取って得られた画像であることを特徴とする、画像の2値化装置。
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