JP3551983B2 - 二連結ガバナ装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は建設用エレベータなどに使用されるガバナ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建設用エレベータにおいては、そのエレベータの昇降方向に設けられたラックに噛み合うようにして、安全装置であるガバナが設置されている。図3から図6に示すように、このガバナ1′は、一つのドラム2と、そのドラム2内に回転可能にして配置され前記ラックとピニオンとの噛み合いで回転する回転体3とからなるものである。前記回転体3は、ドラム中心線上に位置する回転軸4の周りに複数の係止部5を有していて、回転軸4周りのベース6に外方へ突没可能にした枢支部材7(スプリング7aによって押し込み力に抗する)を設け、この枢支部材7に摺接体8が回転軸4に対して遠心方向に回動可能にして設けられ、さらに、前記ベース6から延設されたステー9と前記摺接体8との間にその摺接体8を付勢する付勢手段10を介在させることにより係止部5が構成されている。
【0003】
上記係止部5において、回転体3が所定の速度内で回転している時には、上記摺接体8がドラム2に接触せず、そして回転体3が所定の速度を越えて回転した時に摺接体8がドラム2の内面に当接し、その抵抗によって回転体の回転を減速させたり止めるようにしたものである。
さらに説明すると、摺接体8が回転軸4側に位置している状態において、その摺接体8の軸周りの外側部となる位置を連結部11として前記付勢手段10の一端が回転自由に連結され、また、摺接体8の回動に伴って逆方向に回動することができるように他端が上記ステー9に対して回転可能に支持されている。
前記回転体3が所定の速度内で回転している時(回動体の回転方向を矢印Aで示す)には、前記付勢手段10がその長手方向に押圧力Bを摺接体8に対して作用させ、その摺接体8はベース6の基端側に突設した受け部6aに当接し、この受け部6aに生じる反力Cと前記押圧力Bに対して、上記枢支部材7とベース6との係止によって位置決めされた枢支部材7における回動体3の枢支部分に生じた反力Dが釣り合い、摺接体8が待機位置Eに定置されている。この時点において摺接体8に作用する遠心力は前記各力に対して小さいものとなっている。(図4)
【0004】
つぎに回転体3の回転速度が大きくなると、摺接体8に大きな遠心力Fが加わるようになり、力が釣り合う位置まで摺接体8が遠心方向に回動する(その摺接体8の回動方向を矢印Gで示す)。即ち、増大した前記遠心力Fとその遠心力Fに対してほぼ逆方向の上記反力D(遠心力の増大により減少する)と増大する押圧力Bとが釣り合う位置まで摺接体8が回動する。
このように回転体3の回転速度が大きくなるに従って摺接体8が遠心方向に回動し、付勢手段10は回動する摺接体8に対して逆方向に付勢力を作用せるものであって、回転軸4側の待機位置Eから回動方向Gの所定角度位置(付勢手段のステー側端部と連結部側端部と摺接体の枢支点とが並ぶ状態)までの非接触範囲で反回動方向に付勢させて、ドラム2に接触させないように設けられている。(図5)
【0005】
回転体3の回転速度が上記の状態から大きくなり所定の速度を越えて過速度で回転した時には、さらに増大した遠心力が付勢手段10の押圧力に勝り、これによって摺接体8が遠心方向へ回動してドラム2の内面に当接するようになる。そして付勢手段10は、前記摺接体8が所定角度位置を過ぎるとその摺接体8に対して回動方向Gに付勢し、摺接体8のドラム2の内面への当接状態を維持させるようになる。
回転する回転体の摺接体8がドラム2の内面に当接すると、その摺接体8とドラム内面との間での抵抗によって摺接体8が押し込まれ、その押し込みによって生じるスプリング7aの反力Iが増大することにより、前記ドラム2の内面と摺接体8との間での抵抗力J(回転方向Aと逆方向に働く力)が大きくなり、回転する回転体に対して制動が加わるようになる。この制動が加わることにより回動体が適正に減速、又は確実に停止される。(図6)Kはドラム2側から前記反力Iに対して生じる反力である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、建設用エレベータの高速化、大型化に対応するため、駆動モータの台数を増やしたりすることが行われているが、上記ガバナは一台で賄われているのが現状である。仮に駆動モータを二〜三台使用して昇降しているエレベータが落下する場合、全荷重をカバナ側のピニオンで受けなければならない。このため、高速化、大型化されたエレベータの安全装置にあっては、その設計段階でラック、ピニオンなどの強度を高くしておく必要があり、新たな設計などによるコスト上昇を招く結果となっている。
そこでこれらの対応策として駆動モータの台数を増やすと同様に上記カバナの台数を増やすことが挙げられる。しかしながら、ガバナが作動開始する速度には多少の誤差があり、単純に二台設置しても、一方のガバナと他方のガバナとで作動開始する速度が異なっていると、先に一方のガバナが作動してそのガバナにより速度が減速され、もう一方のガバナが作動し出す速度に達しなくなる。よって、二台が同時に作動せず、適正な減速や完全な停止ができなくなることが考えられる。
【0007】
そこで本発明は上記事情に鑑み、二台のガバナを用いて建設用エレベータの安全装置を構成し、必要時にその二台のガバナが同時に作動するようにすることを課題とし、大型化、高速化された建設用エレベータが落下するような場合にあっても適正に減速させたり、確実に停止させるようにすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、ドラム内に回転体を回転可能に配置して該回転体の所定速度以上の回転時にドラム内面に付勢状態で摺接する係止部が前記回転体に設けられているガバナを二体並設して、前記係止部それぞれの側面にドラム中心線方向にしてピンが突設され、前記ガバナ間中心に一方のドラムの内部から他方のドラムの内部に亘る連結レバーを枢支して、ドラム内部の径方向に回動可能とした連結レバーの自由端部それぞれを回転体のドラム中心線方向での側方に位置させ、前記連結レバーの自由端部それぞれの回転体側の側面に、ドラム内面に摺接した係止部の前記ピンが摺接して前記自由端部をドラム内面側に案内する外側案内手段と、前記自由端部がドラム内面側に移動した際に、ドラム内面に非摺接の係止部の前記ピンが摺接して該非摺接の係止部をドラム内面側に案内する内側案内手段とが設けられていることを特徴とする二連結ガバナ装置を提供して、上記した課題を解消するものである。
【0009】
【作用】
本発明においては、ドラム内に回転体を回転可能に配置して、回転体が所定速度以上で回転した時に、その回転体に設けられている係止部がドラム内面に付勢状態で摺接して制動力を生じさせるようにした上記のガバナを二体用いたものであって、回転体が所定速度を越えていずれかの係止部がドラム内面に摺接してドラム内面に沿いながら移動し、その係止部のピンが連結レバーにおける自由端部の外側案内手段に摺接すると、移動する係止部のピンと前記外側案内手段との摺接により前記自由端部がドラム内面側に移動するように連結レバーが回転し、他方の自由端部も同様にしてドラム内面側に移動することになる。そして、ドラム内面側に位置した自由端部それぞれに、ドラム内面に対して非摺接状態となっている係止部が差しかかると、自由端部の内側案内手段に前記非摺接状態の係止部それぞれのピンが摺接してその係止部がドラム内面側に案内され、ドラム内面に摺接するようになる。このようにして係止部全てがドラム内面に摺接し、二体のガバナそれぞれに同等の制動力が生じるようになる。
【0010】
【実施例】
つぎに本発明を図1と図2に示す一実施例に基づいて詳細に説明する。なお、図3から図6に示す従来例と構成が重複する部分は同符号を付してその説明を省略する。
図中1は二連結ガバナ装置で、該二連結ガバナ装置1は、図1に示すように、ドラム中心線が平行となるように上下に並設された二体のドラム2と、そのドラム2それぞれの内部に、ドラム中心線上に位置する回転軸4の周りに三つの係止部5を有した回転体3を回転可能にして配置している。前記回転体3それぞれは上記従来例の回転体と同構造でドラム2との関係において同じ作用をなすものであり、所定の速度内での回転では係止部5の摺接体8が非接触範囲内に位置してドラム2の内面と接触せず、また回転体3が所定の速度より早く回転すると係止部5の摺接体8が非接触範囲から所定角度位置を越えてドラム内面に摺接し、付勢手段10によりドラム2の内面側(遠心方向)に付勢されるものである(図4から図6参照)。
【0011】
本発明においては、一方のドラム2の内部から他方のドラム2の内部に亘る連結バー12を有していて、この連結バー12はドラム間中心13に枢支されている。連結バー12の自由端部14それぞれはドラム2の内部においてその径方向に回動可能に配置されており、各回転体3における摺接体8の側方(ドラム中心線方向)に隣り合うように位置している。そして前記摺接体8の連結バー2側の側面にはドラム中心線方向にピン15が突設されているとともに、前記連結バー2の各自由端部14の回転体3側の側面には、通路部16を間にしてドラム内面側に位置し、後述するように自由端部自体をドラム内面側に移動させるための外側案内手段である外側ピンガイド17と、ドラム中心側に位置し、後述するようにこの自由端部がドラム内面側に位置した時点で非接触範囲内の摺接体をドラム内面側に案内する内側案内手段である内側ピンガイド18とが設けられている。上記連結バー12は自由端部14がドラム径方向に対して通常時に所定の角度を呈するように支持されており、図1に示すように、その状態において前記通路部16は、非接触範囲に位置している摺接体8のピン15が通過できるものである。また外側ピンガイド17はドラム内面に摺接した摺接体8のピン15が摺接するものであって、前記ピン15(摺接状態にある摺接体のピン)が摺接して移動することによって自由端部14がドラム内面側に回動するように設けられており、内側ピンガイド18にあっては自由端部14がドラム内面側に移動した時点において非接触範囲にある摺接体8のピン15が摺接するものであって、前記ピン15が摺接して移動することによりその内側ピンガイド18に案内されて前記摺接体8が遠心方向に回動するように設けられている。
【0012】
このように上記構造の二連結ガバナ装置1では連結バー12を備えていることから、回転体3が過速度で回転するようになると、つぎの動作を行うことになる。回転体3が過速度となり、少なくとも一つの摺接体8がドラム2の内面側に位置して摺接移動すると、その摺接体8の側面から突出しているピン15が通常位置にある自由端部14の外側ピンガイド17に摺接するようになる。そして摺接体8の移動とともにそのピン15が移動すると前記自由端部14がドラム内面側に移動するようになる。なお、通常位置での外側ピンガイド17と前記ピン15(摺接状態にある摺接体のピン)とが接することによって摺接体8側がドラム中心線側に押し返されることはなく、自由端部14は前記ピン15の摺接により容易に回動するように支持されているものである。
前記連結バー12はドラム間中心13に枢支されているため、上記ピン15との摺接が生じると、両方の自由端部14が同時に回動することになる。
【0013】
このドラム内面側に回動位置した自由端部14それぞれに、非接触範囲に位置している摺接体8それぞれが差し掛かると、その摺接体8のピン15が上記内側ピンガイド18に摺接するようになる。そしてこの内側ピンガイド18の案内により前記ピン15が摺接移動することによって、前記摺接体8が非接触範囲から所定角度位置を越えて回動するように遠心方向に案内されるようになる。内側ピンガイド18で摺接体8を遠心方向に案内させる際には、自由端部を引き起こさせる程の抵抗が生じるものではないが、一旦ドラム内面側に回動した自由端部が引き起こされないように位置決めする手段を設けるようにしておいてもよい。
上述のように二体のドラム2の内部それぞれにおいて自由端部14の内側ピンガイド18が摺接体8を遠心方向に案内し所定角度位置を起こさせることから、回転体3が一回転した後にはすべての摺接体8がドラム内面に当接する状態となり(図2参照)、上位のドラム側と下位のドラム側と同等の抵抗力が生じるようになり、総じて抵抗力が極めて大きくなって回転体3の回転速度が大きく減じたり、また完全に停止するようになる。
【0014】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の二連結ガバナ装置は、ドラム内に回転体を回転可能に配置して該回転体の所定速度以上の回転時にドラム内面に付勢状態で摺接する係止部が前記回転体に設けられているガバナを二体並設して、前記係止部それぞれの側面にドラム中心線方向にしてピンが突設され、前記ガバナ間中心に一方のドラムの内部から他方のドラムの内部に亘る連結レバーを枢支して、ドラム内部の径方向に回動可能とした連結レバーの自由端部それぞれを回転体のドラム中心線方向での側方に位置させ、前記連結レバーの自由端部それぞれの回転体側の側面に、ドラム内面に摺接した係止部の前記ピンが摺接して前記自由端部をドラム内面側に案内する外側案内手段と、前記自由端部がドラム内面側に移動した際に、ドラム内面に非摺接の係止部の前記ピンが摺接して該非摺接の係止部をドラム内面側に案内する内側案内手段とが設けられていることを特徴とするものである。
【0015】
これによって各ドラム内の回転体が過速度になって少なくとも一つの摺接体がドラム内面に摺接状態となると、その摺接体のピンによる摺接移動によって傾斜した連結バーにより全ての摺接体がドラム内面側に回動して摺接状態になり、一方のドラム側で生じる抵抗力と他方のドラム側で生じる抵抗力とが同時に同等になり、二連結ガバナ装置として瞬時に大きな制動力を発揮させることができるようになる。このため、建設用エレベータの大型化、高速化に伴い制動トルクの大きな装置を新規に設計する場合に比べて、従来の制動トルクの小さい装置を二台用いて連結することによるコスト低下が確実に見込めるようになり、さらに二連結ガバナ装置を従来のガバナを用いて作成すれば、この二連結ガバナ装置に対して、ラック、ピニオンなどの強度を合わせて新たに製作する必要がない。さらに、ドラムと回転体とからなる二組の制動機構部分が同時に、かつ確実に作動するようになり、これを用いたエレベータの安全性を向上させることができるようになるなど、実用性に優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る二連結ガバナ装置の一実施例における非制動状態時を示す説明図である。
【図2】同じく一実施例における制動状態時を示す説明図である。
【図3】従来例を示す説明図である。
【図4】従来例において摺接体が待機位置にある状態を示す説明図である。
【図5】同じく従来例において摺接体が待機位置から回動した状態を示す説明図である。
【図6】同じく従来例において摺接体がドラムに摺接する状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1…二連結ガバナ装置
2…ドラム
3…回転体
5…係止部
8…摺接体
10…付勢手段
12…連結バー
14…自由端部
15…ピン
16…通路部
17…外側ピンガイド
18…内側ピンガイド
【産業上の利用分野】
本発明は建設用エレベータなどに使用されるガバナ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建設用エレベータにおいては、そのエレベータの昇降方向に設けられたラックに噛み合うようにして、安全装置であるガバナが設置されている。図3から図6に示すように、このガバナ1′は、一つのドラム2と、そのドラム2内に回転可能にして配置され前記ラックとピニオンとの噛み合いで回転する回転体3とからなるものである。前記回転体3は、ドラム中心線上に位置する回転軸4の周りに複数の係止部5を有していて、回転軸4周りのベース6に外方へ突没可能にした枢支部材7(スプリング7aによって押し込み力に抗する)を設け、この枢支部材7に摺接体8が回転軸4に対して遠心方向に回動可能にして設けられ、さらに、前記ベース6から延設されたステー9と前記摺接体8との間にその摺接体8を付勢する付勢手段10を介在させることにより係止部5が構成されている。
【0003】
上記係止部5において、回転体3が所定の速度内で回転している時には、上記摺接体8がドラム2に接触せず、そして回転体3が所定の速度を越えて回転した時に摺接体8がドラム2の内面に当接し、その抵抗によって回転体の回転を減速させたり止めるようにしたものである。
さらに説明すると、摺接体8が回転軸4側に位置している状態において、その摺接体8の軸周りの外側部となる位置を連結部11として前記付勢手段10の一端が回転自由に連結され、また、摺接体8の回動に伴って逆方向に回動することができるように他端が上記ステー9に対して回転可能に支持されている。
前記回転体3が所定の速度内で回転している時(回動体の回転方向を矢印Aで示す)には、前記付勢手段10がその長手方向に押圧力Bを摺接体8に対して作用させ、その摺接体8はベース6の基端側に突設した受け部6aに当接し、この受け部6aに生じる反力Cと前記押圧力Bに対して、上記枢支部材7とベース6との係止によって位置決めされた枢支部材7における回動体3の枢支部分に生じた反力Dが釣り合い、摺接体8が待機位置Eに定置されている。この時点において摺接体8に作用する遠心力は前記各力に対して小さいものとなっている。(図4)
【0004】
つぎに回転体3の回転速度が大きくなると、摺接体8に大きな遠心力Fが加わるようになり、力が釣り合う位置まで摺接体8が遠心方向に回動する(その摺接体8の回動方向を矢印Gで示す)。即ち、増大した前記遠心力Fとその遠心力Fに対してほぼ逆方向の上記反力D(遠心力の増大により減少する)と増大する押圧力Bとが釣り合う位置まで摺接体8が回動する。
このように回転体3の回転速度が大きくなるに従って摺接体8が遠心方向に回動し、付勢手段10は回動する摺接体8に対して逆方向に付勢力を作用せるものであって、回転軸4側の待機位置Eから回動方向Gの所定角度位置(付勢手段のステー側端部と連結部側端部と摺接体の枢支点とが並ぶ状態)までの非接触範囲で反回動方向に付勢させて、ドラム2に接触させないように設けられている。(図5)
【0005】
回転体3の回転速度が上記の状態から大きくなり所定の速度を越えて過速度で回転した時には、さらに増大した遠心力が付勢手段10の押圧力に勝り、これによって摺接体8が遠心方向へ回動してドラム2の内面に当接するようになる。そして付勢手段10は、前記摺接体8が所定角度位置を過ぎるとその摺接体8に対して回動方向Gに付勢し、摺接体8のドラム2の内面への当接状態を維持させるようになる。
回転する回転体の摺接体8がドラム2の内面に当接すると、その摺接体8とドラム内面との間での抵抗によって摺接体8が押し込まれ、その押し込みによって生じるスプリング7aの反力Iが増大することにより、前記ドラム2の内面と摺接体8との間での抵抗力J(回転方向Aと逆方向に働く力)が大きくなり、回転する回転体に対して制動が加わるようになる。この制動が加わることにより回動体が適正に減速、又は確実に停止される。(図6)Kはドラム2側から前記反力Iに対して生じる反力である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、建設用エレベータの高速化、大型化に対応するため、駆動モータの台数を増やしたりすることが行われているが、上記ガバナは一台で賄われているのが現状である。仮に駆動モータを二〜三台使用して昇降しているエレベータが落下する場合、全荷重をカバナ側のピニオンで受けなければならない。このため、高速化、大型化されたエレベータの安全装置にあっては、その設計段階でラック、ピニオンなどの強度を高くしておく必要があり、新たな設計などによるコスト上昇を招く結果となっている。
そこでこれらの対応策として駆動モータの台数を増やすと同様に上記カバナの台数を増やすことが挙げられる。しかしながら、ガバナが作動開始する速度には多少の誤差があり、単純に二台設置しても、一方のガバナと他方のガバナとで作動開始する速度が異なっていると、先に一方のガバナが作動してそのガバナにより速度が減速され、もう一方のガバナが作動し出す速度に達しなくなる。よって、二台が同時に作動せず、適正な減速や完全な停止ができなくなることが考えられる。
【0007】
そこで本発明は上記事情に鑑み、二台のガバナを用いて建設用エレベータの安全装置を構成し、必要時にその二台のガバナが同時に作動するようにすることを課題とし、大型化、高速化された建設用エレベータが落下するような場合にあっても適正に減速させたり、確実に停止させるようにすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、ドラム内に回転体を回転可能に配置して該回転体の所定速度以上の回転時にドラム内面に付勢状態で摺接する係止部が前記回転体に設けられているガバナを二体並設して、前記係止部それぞれの側面にドラム中心線方向にしてピンが突設され、前記ガバナ間中心に一方のドラムの内部から他方のドラムの内部に亘る連結レバーを枢支して、ドラム内部の径方向に回動可能とした連結レバーの自由端部それぞれを回転体のドラム中心線方向での側方に位置させ、前記連結レバーの自由端部それぞれの回転体側の側面に、ドラム内面に摺接した係止部の前記ピンが摺接して前記自由端部をドラム内面側に案内する外側案内手段と、前記自由端部がドラム内面側に移動した際に、ドラム内面に非摺接の係止部の前記ピンが摺接して該非摺接の係止部をドラム内面側に案内する内側案内手段とが設けられていることを特徴とする二連結ガバナ装置を提供して、上記した課題を解消するものである。
【0009】
【作用】
本発明においては、ドラム内に回転体を回転可能に配置して、回転体が所定速度以上で回転した時に、その回転体に設けられている係止部がドラム内面に付勢状態で摺接して制動力を生じさせるようにした上記のガバナを二体用いたものであって、回転体が所定速度を越えていずれかの係止部がドラム内面に摺接してドラム内面に沿いながら移動し、その係止部のピンが連結レバーにおける自由端部の外側案内手段に摺接すると、移動する係止部のピンと前記外側案内手段との摺接により前記自由端部がドラム内面側に移動するように連結レバーが回転し、他方の自由端部も同様にしてドラム内面側に移動することになる。そして、ドラム内面側に位置した自由端部それぞれに、ドラム内面に対して非摺接状態となっている係止部が差しかかると、自由端部の内側案内手段に前記非摺接状態の係止部それぞれのピンが摺接してその係止部がドラム内面側に案内され、ドラム内面に摺接するようになる。このようにして係止部全てがドラム内面に摺接し、二体のガバナそれぞれに同等の制動力が生じるようになる。
【0010】
【実施例】
つぎに本発明を図1と図2に示す一実施例に基づいて詳細に説明する。なお、図3から図6に示す従来例と構成が重複する部分は同符号を付してその説明を省略する。
図中1は二連結ガバナ装置で、該二連結ガバナ装置1は、図1に示すように、ドラム中心線が平行となるように上下に並設された二体のドラム2と、そのドラム2それぞれの内部に、ドラム中心線上に位置する回転軸4の周りに三つの係止部5を有した回転体3を回転可能にして配置している。前記回転体3それぞれは上記従来例の回転体と同構造でドラム2との関係において同じ作用をなすものであり、所定の速度内での回転では係止部5の摺接体8が非接触範囲内に位置してドラム2の内面と接触せず、また回転体3が所定の速度より早く回転すると係止部5の摺接体8が非接触範囲から所定角度位置を越えてドラム内面に摺接し、付勢手段10によりドラム2の内面側(遠心方向)に付勢されるものである(図4から図6参照)。
【0011】
本発明においては、一方のドラム2の内部から他方のドラム2の内部に亘る連結バー12を有していて、この連結バー12はドラム間中心13に枢支されている。連結バー12の自由端部14それぞれはドラム2の内部においてその径方向に回動可能に配置されており、各回転体3における摺接体8の側方(ドラム中心線方向)に隣り合うように位置している。そして前記摺接体8の連結バー2側の側面にはドラム中心線方向にピン15が突設されているとともに、前記連結バー2の各自由端部14の回転体3側の側面には、通路部16を間にしてドラム内面側に位置し、後述するように自由端部自体をドラム内面側に移動させるための外側案内手段である外側ピンガイド17と、ドラム中心側に位置し、後述するようにこの自由端部がドラム内面側に位置した時点で非接触範囲内の摺接体をドラム内面側に案内する内側案内手段である内側ピンガイド18とが設けられている。上記連結バー12は自由端部14がドラム径方向に対して通常時に所定の角度を呈するように支持されており、図1に示すように、その状態において前記通路部16は、非接触範囲に位置している摺接体8のピン15が通過できるものである。また外側ピンガイド17はドラム内面に摺接した摺接体8のピン15が摺接するものであって、前記ピン15(摺接状態にある摺接体のピン)が摺接して移動することによって自由端部14がドラム内面側に回動するように設けられており、内側ピンガイド18にあっては自由端部14がドラム内面側に移動した時点において非接触範囲にある摺接体8のピン15が摺接するものであって、前記ピン15が摺接して移動することによりその内側ピンガイド18に案内されて前記摺接体8が遠心方向に回動するように設けられている。
【0012】
このように上記構造の二連結ガバナ装置1では連結バー12を備えていることから、回転体3が過速度で回転するようになると、つぎの動作を行うことになる。回転体3が過速度となり、少なくとも一つの摺接体8がドラム2の内面側に位置して摺接移動すると、その摺接体8の側面から突出しているピン15が通常位置にある自由端部14の外側ピンガイド17に摺接するようになる。そして摺接体8の移動とともにそのピン15が移動すると前記自由端部14がドラム内面側に移動するようになる。なお、通常位置での外側ピンガイド17と前記ピン15(摺接状態にある摺接体のピン)とが接することによって摺接体8側がドラム中心線側に押し返されることはなく、自由端部14は前記ピン15の摺接により容易に回動するように支持されているものである。
前記連結バー12はドラム間中心13に枢支されているため、上記ピン15との摺接が生じると、両方の自由端部14が同時に回動することになる。
【0013】
このドラム内面側に回動位置した自由端部14それぞれに、非接触範囲に位置している摺接体8それぞれが差し掛かると、その摺接体8のピン15が上記内側ピンガイド18に摺接するようになる。そしてこの内側ピンガイド18の案内により前記ピン15が摺接移動することによって、前記摺接体8が非接触範囲から所定角度位置を越えて回動するように遠心方向に案内されるようになる。内側ピンガイド18で摺接体8を遠心方向に案内させる際には、自由端部を引き起こさせる程の抵抗が生じるものではないが、一旦ドラム内面側に回動した自由端部が引き起こされないように位置決めする手段を設けるようにしておいてもよい。
上述のように二体のドラム2の内部それぞれにおいて自由端部14の内側ピンガイド18が摺接体8を遠心方向に案内し所定角度位置を起こさせることから、回転体3が一回転した後にはすべての摺接体8がドラム内面に当接する状態となり(図2参照)、上位のドラム側と下位のドラム側と同等の抵抗力が生じるようになり、総じて抵抗力が極めて大きくなって回転体3の回転速度が大きく減じたり、また完全に停止するようになる。
【0014】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の二連結ガバナ装置は、ドラム内に回転体を回転可能に配置して該回転体の所定速度以上の回転時にドラム内面に付勢状態で摺接する係止部が前記回転体に設けられているガバナを二体並設して、前記係止部それぞれの側面にドラム中心線方向にしてピンが突設され、前記ガバナ間中心に一方のドラムの内部から他方のドラムの内部に亘る連結レバーを枢支して、ドラム内部の径方向に回動可能とした連結レバーの自由端部それぞれを回転体のドラム中心線方向での側方に位置させ、前記連結レバーの自由端部それぞれの回転体側の側面に、ドラム内面に摺接した係止部の前記ピンが摺接して前記自由端部をドラム内面側に案内する外側案内手段と、前記自由端部がドラム内面側に移動した際に、ドラム内面に非摺接の係止部の前記ピンが摺接して該非摺接の係止部をドラム内面側に案内する内側案内手段とが設けられていることを特徴とするものである。
【0015】
これによって各ドラム内の回転体が過速度になって少なくとも一つの摺接体がドラム内面に摺接状態となると、その摺接体のピンによる摺接移動によって傾斜した連結バーにより全ての摺接体がドラム内面側に回動して摺接状態になり、一方のドラム側で生じる抵抗力と他方のドラム側で生じる抵抗力とが同時に同等になり、二連結ガバナ装置として瞬時に大きな制動力を発揮させることができるようになる。このため、建設用エレベータの大型化、高速化に伴い制動トルクの大きな装置を新規に設計する場合に比べて、従来の制動トルクの小さい装置を二台用いて連結することによるコスト低下が確実に見込めるようになり、さらに二連結ガバナ装置を従来のガバナを用いて作成すれば、この二連結ガバナ装置に対して、ラック、ピニオンなどの強度を合わせて新たに製作する必要がない。さらに、ドラムと回転体とからなる二組の制動機構部分が同時に、かつ確実に作動するようになり、これを用いたエレベータの安全性を向上させることができるようになるなど、実用性に優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る二連結ガバナ装置の一実施例における非制動状態時を示す説明図である。
【図2】同じく一実施例における制動状態時を示す説明図である。
【図3】従来例を示す説明図である。
【図4】従来例において摺接体が待機位置にある状態を示す説明図である。
【図5】同じく従来例において摺接体が待機位置から回動した状態を示す説明図である。
【図6】同じく従来例において摺接体がドラムに摺接する状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1…二連結ガバナ装置
2…ドラム
3…回転体
5…係止部
8…摺接体
10…付勢手段
12…連結バー
14…自由端部
15…ピン
16…通路部
17…外側ピンガイド
18…内側ピンガイド
Claims (1)
- ドラム内に回転体を回転可能に配置して該回転体の所定速度以上の回転時にドラム内面に付勢状態で摺接する係止部が前記回転体に設けられているガバナを二体並設して、前記係止部それぞれの側面にドラム中心線方向にしてピンが突設され、
前記ガバナ間中心に一方のドラムの内部から他方のドラムの内部に亘る連結レバーを枢支して、ドラム内部の径方向に回動可能とした連結レバーの自由端部それぞれを回転体のドラム中心線方向での側方に位置させ、
前記連結レバーの自由端部それぞれの回転体側の側面に、ドラム内面に摺接した係止部の前記ピンが摺接して前記自由端部をドラム内面側に案内する外側案内手段と、前記自由端部がドラム内面側に移動した際に、ドラム内面に非摺接の係止部の前記ピンが摺接して該非摺接の係止部をドラム内面側に案内する内側案内手段とが設けられていることを特徴とする二連結ガバナ装置。
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Publications (2)
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ID=15697248
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-
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