JP3551438B2 - カセットプレーヤー - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はカセットプレーヤー、特にいわゆるオートリバース機能を備えたカセットプレーヤーに関し、その駆動機構部におけるギヤ機構に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にオートリバース機能を備えたカセットプレーヤーは、テープの通常走行(フォワードプレイ、以下FWDと記す)、反転走行(リバースプレイ、以下REVと記す)、早送り(ファストフォワード、以下FFと記す)、巻戻し(リワインド、以下REWと記す)の各動作が行われ、プレーヤー内部に構成されるギヤ機構によって、テープカセットの巻取側ハブと供給側ハブに係合される一対のハブ軸即ち巻取側ハブ軸と供給側ハブ軸の回転が切換えられるようになっている。
【0003】
従来のこのオートリバース機におけるハブ軸の回転切換機構の構成の一例を簡単に説明する。
先ず巻取側ハブ軸と供給側ハブ軸との間には、FWD/REV切換用の第1の移動ギヤが配されており、この第1の移動ギヤはモーターによって回転されるメインギヤに常時噛合されていると共に、FWDモードでは巻取側ハブ軸側に移動してメインギヤの回転を巻取側ハブ軸に伝え、REVモードでは供給側ハブ軸側に移動してメインギヤの回転を供給側ハブ軸側に伝え、夫々巻取側ハブ軸、供給側ハブ軸を回転させる。この第1の移動ギヤは、モーターによって回転されるカムギヤによって移動動作される。
【0004】
さらに巻取側ハブ軸と供給側ハブ軸との間にはFF/REW切換用の第2の移動ギヤが配されており、この第2の移動ギヤは通常時メインギヤに噛合されていると共に、FFモードでは巻取側ハブ軸側に移動してメインギヤの回転を巻取側ハブ軸に伝え、REWモードでは供給側ハブ軸側に移動してメインギヤの回転を供給側ハブ軸に伝え、夫々巻取側ハブ軸、供給側ハブ軸を回転させる。
【0005】
この第2の移動ギヤは、メインギヤの回転力を利用して移動される構造となっており、即ちFF時にはメインギヤの正方向回転によって巻取側ハブ軸側に振られ、REW時にはメインギヤの逆方向回転によって供給側ハブ軸側に振られ、夫々巻取側ハブ軸、供給側ハブ軸にメインギヤの回転を伝える。
【0006】
このようなFWD/REV切換用の第1の移動ギヤとFF/REW切換用の第2の移動ギヤとを有する機構においては、FWD及びREV時には第2の移動ギヤをメインギヤから外し、その状態で保持させておく必要があるが、従来のこの種の機構においては、上記第2の移動ギヤをメインギヤから外した状態で保持するための専用の機構を特別に設けていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このため従来は構成が複雑であり、部品点数が多くコスト高となると共に、特に携帯用のカセットプレーヤーにおいては機構配置スペースの点で問題があり小型薄型化の妨げとなっていた。
【0008】
本発明は上記の問題点を解消することを目的としてなされたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明のカセットプレーヤーは、テープの通常走行モードと反転走行モードとで夫々テープに接して再生を行なう2つの磁気ヘッドと、テープカセットの巻取側ハブ及び供給側ハブに夫々係合される巻取側ハブ軸及び供給側ハブ軸と、モーターによって正逆方向に回転されるメインギヤと、テープの通常走行モードと反転走行モードとで巻取側ハブ軸側と供給側ハブ軸側とに選択的に移動し、メインギヤの回転を巻取側ハブ軸または供給側ハブ軸に伝達する第1の移動ギヤと、モーターによって回転され、第1の移動ギヤを移動させるカムギヤと、テープの早送りモードと巻戻しモードとでメインギヤの回転によって巻取側ハブ軸側と供給側ハブ軸側とに選択的に移動し、メインギヤの回転を巻取側ハブ軸または供給側ハブ軸に伝達する第2の移動ギヤと、テープの通常走行モードと反転走行モードにおいて第2の移動ギヤをメインギヤから外すギヤ外し機構と、を備え、カムギヤに、第2の移動ギヤをメインギヤから外れた状態で保持させるためのカム部が設けられ、さらにカムギヤに、テープの通常走行モードと反転走行モードに応じて2つの磁気ヘッドを夫々テープに接する方向に移動させるためのカム部が設けられてなるものである。
【0010】
【作用】
上記の如く構成される本発明のカセットプレーヤーは、メインギヤから外された第2の移動ギヤの保持を第1の移動ギヤを移動させるためのカムギヤによって行なうようにした構成であるため、従来に比して構成が簡素化し、さらにこのカセットプラーヤーでは、テープの通常走行モードと反転走行モードに応じて2つの磁気ヘッドを移動させる動作もカムギヤによって行なう構成としたので、構成がさらに簡素化し、その結果部品点数が少なく抑えられコストダウンに繋がると共に小型薄型化に有利となる。
【0011】
【実施例】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例について詳細に説明する。
【0012】
ここに例示するカセットプレーヤーは、いわゆるオートリバース機で、図には表われていない操作ボタンの操作によってFWD,REV,FF,REWの各動作が行われる。
【0013】
図1はカセットプレーヤーの全体を示しており、図において1はプレーヤー本体、2はこのプレーヤー本体1のカセット装着部3を開閉するカセット蓋である。このカセット蓋2は、プレーヤー本体1のメカシャーシ4に枢軸5を介して起状回動可能に枢着されているカセットホルダー6に一体的に取り付けてあり、テープカセットをプレーヤー本体1のカセット装着部3に装着するときにはカセット蓋2の内面側に沿わせるようにしてテープカセットをカセットホルダー6の左右両側の保持部6aと6bの間に挿入し、この状態でカセット蓋2を閉じることによりテープカセットがカセット装着部3に装着されるようになっている。尚、テープカセットはその前面開口部(テープ露出部)を前方にした状態でカセットホルダー6に挿入される。またカセットホルダー6の左右に設けられている7a,7bはテープカセットのガタ防止用の押えばねである。
【0014】
またカセット蓋2が完全に閉じられた状態では、プレーヤー本体1側に設けられた係止爪8がカセット蓋2の係着部9に係着されることによってカセット蓋2は開かないようにロックされる。10はこのカセット蓋2のロックを解除するための解除ボタンである。
【0015】
カセット装着部3はメカシャーシ4の表面側に構成され、このメカシャーシ4の表面側には図2からも明らかなようにテープカセットの巻取側ハブと供給側ハブに夫々係合される一対のハブ軸、即ち巻取側ハブ軸11と供給側ハブ軸12が突出され、さらにテープを定速走行させるためのキャプスタン13が突出されている。尚、本例のカセットプレーヤーは、いわゆるシングルキャプスタン方式のオートリバース機で、即ち1本のキャプスタン13を正逆両方向に回転駆動させることによってFWDとREV動作が行なわれる機構となっている。14はテープカセットの位置決め用の基準ピンである。
【0016】
また15はキャプスタン13に圧着されるピンチローラー、16及び17は磁気ヘッド(本例では再生専用)で、このうちの一方の磁気ヘッド16はFWD用、他方の磁気ヘッド17はREV用である。これらピンチローラー13と磁気ヘッド16,17は何れもカセット蓋2と一体のカセットホルダー6に取り付けられており、即ちカセットホルダー6にテープカセットが挿入されると同時にこれらピンチローラー13と磁気ヘッド16,17がテープカセットの前面開口部に挿入され、テープと対応される如くなされている。尚、このときREV用の磁気ヘッド17はテープカセット内に配される圧着パッドと対向されるが、FWD用の磁気ヘッド16に対してはテープカセット内にはこれに相当するものがないので、本例のカセットプレーヤーにおいてはメカシャーシ4の表面側のカセット装着部3に、FWD用の磁気ヘッド16と対向して先端部に圧着パッド18aを取り付けてなる圧着パッド取付柱18が突出されている。
【0017】
カセットホルダーにおけるピンチローラーと磁気ヘッドの取付部の構造を図10〜図12において更に詳しく説明すると、先ずカセットホルダー6の中央板部6cに支軸19が立設され、この支軸にレバー20が、カセットホルダーに挿入保持されるテープカセットに対し進退する方向に回動可能に軸支されており、このレバー20の遊端部にピンチローラー15が回転自在に枢支されている。さらに、このレバー20(以下ピンチローラーレバーという)におけるピンチローラー枢支部の下方には突起20aが突出され、この突起20aが後述する押圧レバーで押圧されることによってピンチローラー15の移動動作が行なわれる。
【0018】
さらにカセットホルダー6の中央板部6cには支軸21が立設され、この支軸21に一対のレバー22及び23がテープカセットに対し進退する方向に回動可能に軸支されており、このレバー22,23に夫々磁気ヘッド16,17が支持されている。またこの磁気ヘッド16,17の両側には夫々テープガイド24,25を有し、その上下の突起24aと24b,25aと25bの間に磁気テープを通してこれを磁気ヘッドに正確にガイドする。
【0019】
上記レバー(以下磁気ヘッド支持レバーという)22,23の軸支部にはばね部材26が嵌合装着され、このばね部材26の一端末部を一方の磁気ヘッド支持レバー22に突設された係止片27に係着し、他端末部を他方の磁気ヘッド支持レバー23に突設された係着片28に係着してあり、これによって両側の磁気ヘッド支持レバー22,23に対し常に戻し方向即ちテープカセットから離れる方向の回動力を付与している。
【0020】
また磁気ヘッド支持レバー22,23は夫々その後側縁が傾斜カム縁22a,23aとなされており、この傾斜カム縁が後述する押圧ピンで押圧されることによって磁気ヘッド支持レバー22,23はばね部材26の力に抗して前方へ回動され、即ち磁気ヘッド16,17がテープカセットの磁気テープに接する方向に突出されるようになっている。
【0021】
一方、メカシャーシ4の裏面側には、FWD,REV,FF,REWの各モードに応じてハブ軸11,12とキャプスタン13の回転駆動、ピンチローラー15及び磁気ヘッド16,17の移動動作を行なうための駆動機構が構成されている(図3参照)。
【0022】
30は駆動源としてのモーターで、このモーター30は正逆両方向の回転が可能であり、このモーター30の回転駆動軸に取り付けられたプーリー30aとフライホイール31との間にはベルト32が張架されている。フライホイール31はメカシャーシ4の表面側に突出されるキャプスタン13と一体に回転されるもので、即ちモーター30の回転がベルト32を介してフライホイール31に伝達され、キャプスタン13が回転駆動される如くなされている。またフライホイール31にはその下面側にギヤ31aが一体に形成されており、このギヤ31aにはメカシャーシ4の中央部に枢支されたメインギヤ33が噛合されている。
【0023】
34及び35は夫々メカシャーシ4の表面側に突出される巻取側ハブ軸11及び供給側ハブ軸12と一体に回転されるハブ軸駆動ギヤで、このハブ軸駆動ギヤ34,35は夫々伝達ギヤ36,37の下面側に一体に形成された小径ギヤ36a,37aと噛合している。
【0024】
そしてこの伝達ギヤ36,37とメインギヤ33との間には第1の移動ギヤ38及び第2の移動ギヤ64が配されており、FWDまたはREV時には第1の移動ギヤ38が伝達ギヤ36または37に噛合してメインギヤ33の回転を巻取側ハブ軸駆動ギヤ34または供給側ハブ軸駆動ギヤ35に伝え、FFまたはREW時には第2の移動ギヤ64が伝達ギヤ36または37に噛合してメインギヤ33の回転を巻取側ハブ軸駆動ギヤ34または供給側ハブ軸駆動ギヤ35に伝えるようになっている。
【0025】
先ず、第1の移動ギヤ38を伝達ギヤ36または37に選択的に噛合させるための移動機構について説明する。
メインギヤ33の下にはメインギヤ33と同軸に揺動板39が回動自在に枢支されており、この揺動板39上に第1の移動ギヤ38が回転自在に枢支されている。メインギヤ33にはその下面側に小径ギヤ33aが設けられ、この小径ギヤ33aに第1の移動ギヤ38が常時噛合している。尚、メインギヤ33においては図には表われていないが小径ギヤ部33aとの間にトルクリミッター機構(スリップ機構)が内蔵されている。
【0026】
第1の移動ギヤ38が枢支される揺動板39に対応してメカシャーシ4の中央部には第1のスライド板40が横方向にスライド可能に配されており、この第1のスライド板40の一部には凹部41が形成され、この凹部41の左右両側の傾斜縁41a,41bに上記揺動板39の左右に突出形成された接片部39a,39bが対接している。
【0027】
そしてこの第1のスライド板40が図において左方にスライドされると右側の傾斜縁41bが揺動板39の右側の接片部39bを押し上げ、これによって揺動板39は左方へ傾倒回動されて第1の移動ギヤ38が巻取側ハブ軸側の伝達ギヤ36に噛合し、またこれとは反対に第1のスライド板40が右方にスライドされた場合には左側の傾斜縁41aが揺動板39の左側の接片部39aを押し上げ、これによって揺動板39は右方へ傾倒回動されて第1の移動ギヤ38が供給側ハブ軸側の伝達ギヤ37に噛合する如く動作される。
【0028】
またこの第1のスライド板40は、メカシャーシ4に立設された固定柱42に取り付けられるばね部材43によって常に中立位置、即ち第1の移動ギヤ38が伝達ギヤ36と37の何れも噛合されないスライド位置に復帰されるように偏倚されている。即ちこのばね部材43はねじりコイルばねによりなり、そのコイル部において固定柱42に嵌合して取り付けられ、左右の両腕部がメカシャーシ4に立設されたストッパー突起44を両側から挟んでいる。そしてこのばね部材43の両腕部の先端部間に第1のスライド板40の端部に起立形成された突片40aが挟まれており、第1のスライド板40が図において左方にスライドされたときにはばね部材43の左側の腕部が傾斜変形し、その弾性復元力によって第1のスライド板40は中立位置に復帰され、またこれとは逆に第1のスライド板40が右方にスライドされた場合にはばね部材43の右側の腕部が傾斜変形し、その弾性復元力によって第1のスライド板40が中立位置に復帰されるようになっている。
【0029】
45はこの第1のスライド板40を左右にスライドさせて第1の移動ギヤ38を選択的に移動させるカムギヤである。このカムギヤ45は、その下面側に図7に示すようなカム部46が形成されており、即ちこのカム部46は、内側カム面47と外側カム面48とを有し、カムギヤ45が時計方向に回転されたときには第1のスライド板40の端部に立設されたピン40bが上記外側カム面48で連続的に押圧されることによって第1のスライド板40は右方にスライドし、カムギヤ45が反時計方向に回転されたときにはピン40bが内側カム面47で連続的に押圧されることによって第1のスライド板40は左方にスライドされる。
【0030】
また内側カム面47と外側カム面48には夫々中途部に傾斜段差部47aと48aが形成されており、後述するようにカムギヤ45が初期状態から180°回転されてロックされた状態ではこの傾斜段差部47aまたは48aに第1のスライド板40のピン40bが対応されるようになっている。
【0031】
続いてこのカムギヤ45を回転駆動させるための機構を説明する。
カムギヤ45とメインギヤ33の間にはカムギヤ駆動用ギヤ50が配されており、このカムギヤ駆動用ギヤ50はメインギヤ33の上面側に一体に形成されたギヤ33bと噛合している。また、このカムギヤ駆動用ギヤ50の下面側にはカムギヤと噛合される小径ギヤ50aが一体に形成され、さらにこの小径ギヤ50aの下方には図14に示すようにこの小径ギヤ50aと同径のサブギヤ51を有している。このサブギヤ51はカムギヤ駆動用ギヤ50とは独立して回転可能であるも、サブギヤ51とカムギヤ駆動用ギヤ50との間には図には表われていないがフリクション部材が介在されており、このためサブギヤ51はカムギヤ駆動用ギヤ50の回転の影響を大きく受ける構造となっている。
【0032】
一方カムギヤ45は図13に示すようにその周面の歯の一部に欠歯部52を有し、さらにこの欠歯部52と180°対向する位置には段違い歯部53が形成されている。即ちこの段違い歯部53は、歯の一部を下方にずらせて形成したもので、この段違い歯部53に上記カムギヤ駆動用ギヤ50のサブギヤ51が噛合されている。
【0033】
またカムギヤ45はロック機構によって所定の回転位置でロックされる構造となされている。このカムギヤのロック機構について説明すると、先ずカムギヤ45の上面側には楕円状のガイド溝54が形成されており、このガイド溝54には互いに180°対向して内側に第1及び第2の凹部55a及び55bが設けられている。またこれに対応してカムギヤ45の近傍部に立設された支軸56にはロックレバー57が回動自在に軸支されており、このロックレバー57の先端部にはカムギヤ45のガイド溝54に係合される係合ピン57aが設けられている。またこのロックレバー57は、ばね部材58によって常に係合ピン57aがガイド溝54の凹部55aまたは55bに係合される方向に回動偏倚されている。
【0034】
さらに支軸56にはロック解除レバー59が軸支されており、このロック解除レバー59がソレノイド60によって回動されることにより、これと連動してロックレバー57が回動し、カムギヤ45のロックが解除されるようになっている。即ちロック解除レバー59は、メカシャーシに固定されたソレノイド60に嵌挿されるプランジャ61に連結されており、ソレノイド60に通電されるとプランジャ61がソレノイド60から抜け出る方向に動き、これに伴ってロック解除レバー59がばね部材62の力を補助としてソレノイド60から離れる方向に回動され、このときロック解除レバー59がロックレバー57の一部縁面57bに当接係合されることによってロックレバー57はロック解除レバー59と一体に回動し、係合ピン57aがカムギヤ45のガイド溝54の第1の凹部55aから外れてカムギヤ45のロックが解除される如く動作する。
【0035】
次に第2の移動ギヤ64の支持構造について説明する。
第2の移動ギヤ64は図15により明らかな如く支持板65の一端部に枢軸66によって枢支されているもので、この支持板65の他端部及び中央部には凹部67及び穴部68を有し、夫々がメカシャーシ4に設けられた突起69,70と係合している。穴部68は支持板65が自由に動くに充分な大きさを有し、即ち第2の移動ギヤ64は穴部68の大きさの範囲内で突起69を支点として伝達ギ36,37とメインギヤ33の間を自由に動くことができるようになっている。
【0036】
そしてこの第2の移動ギヤ64はアーム板71によってメインギヤ33に対し接離する方向に移動される如くなされており、即ちこのアーム板71はメカシャーシ4に枢軸72を支点として回動可能に枢着され、その一端部には横方向に長い長穴73を有し、この長穴73に第2の移動ギヤ64の枢軸66が挿通係合されており、これによってアーム板71の回動に伴って第2の移動ギヤ64が移動される構造となされている。またアーム板71はばね部材74の力によって常に第2の移動ギヤ64がメインギヤ33に噛合する方向に偏倚されている。
【0037】
またアーム板71の一部には被押圧片部71aが形成されており、前述したようにカムギヤ45のロックが解除されたときにはこの被押圧片部71aがロックレバー57の一部に設けられた押圧ピン57cによって押圧されることによりアーム板71はばね部材74の力に抗して回動され、第2の移動ギヤ64がメインギヤ33から外れる如く動作する。
【0038】
そしてこの第2の移動ギヤ64がメインギヤ33から外れた状態では、この状態がカムギヤ45によって保持されるように構成されている。即ち、カムギヤ45の下面側には図7に示すようにカムギヤ45の回転中心部を中心とする内周カム面49が略全周にわたって形成されており、その一部には抜き凹部49aが設けられている。そして初期状態ではこの抜き凹部49aにアーム板71の端部に立設されたピン71bが位置し、カムギヤ45が回転された状態では上記内周カム面49にピン71bが当接係止されることによってアーム板71は第2の移動ギヤ64がメインギヤ33から外れた状態で保持される如くなされている。
【0039】
またメカシャーシ4の中央部には左右の伝達ギヤ36と37の中間に位置して山形の穴部75が形成され、この穴部75にも第2の移動ギヤ64の枢軸66が挿通されており、上記のように第2の移動ギヤ64がメインギヤ33から外れた状態ではこの山形の穴部75の頂部に枢軸66が位置される状態となり、これによって第2の移動ギヤ64は左右の伝達ギヤ36と37の何れにも噛合されないようにその移動範囲が規制される構造となっている。
【0040】
次にピンチローラー15及び磁気ヘッド16,17の移動動作を行なう機構について説明する。
メカシャーシ4には表側のピンチローラー15及び磁気ヘッド16,17の取付部と対応する位置に第2のスライド板77が上記第1のスライド板40と平行に横方向にスライド可能に配されている。この第2のスライド板77と第1のスライド板40との間に位置してメカシャーシ4には連動板78が枢軸86を支点として回動可能に枢着されており、この連動板78を介して第2のスライド板77は第1のスライド板40と連動してスライド動作される如くなされている。
【0041】
即ち、連動板78はその両端部に係合凹部78a,78bを有し、一方の係合凹部78aが第1のスライド板40に突設された突片79と係合され、他方の係合凹部78bが第2のスライド板77に突設されたピン80と係合されており、前述したようにカムギヤ45の回転によって第1のスライド板40がスライドされると、これと同時に連動板78が回動されて第2のスライド板77に駆動力を伝え、第2のスライド板77が第1のスライド板40と逆方向にスライドされる。
【0042】
この第2のスライド板77にはピンチローラーレバー20を押圧する押圧レバー81が取り付けられていると共に、磁気ヘッド支持レバー22,23を押圧する押圧ピン82,83が植設されており、これら押圧レバー81と押圧ピン82,83とは穴部84を介してメカシャーシ4の表面側に表出されている。
【0043】
押圧レバー81はその前側縁部に両側を傾斜面とした凹部81aを有し、カセット蓋2を閉じた状態ではこの凹部81aにピンチローラーレバー20の突起20aが対応されるようになっている。また押圧レバー81はピンチローラーレバー20の突起20aから逃げる方向に後退移動可能に第2のスライド板77に取り付けられているも、ばね部材85によって常に復帰方向の力を付与されている。また押圧ピン82,83はカセット蓋2を閉じた状態で夫々磁気ヘッド支持レバー22,23の後方に対応されるようになっている。
【0044】
続いて以上の如く構成される本例のカセットプレーヤーの動作について説明する。
【0045】
a.ストップ(停止)時の状態
はじめに、本例のカセットプレーヤーのストップ時の状態を説明すると、先ずカムギヤ45はロックレバー57の係合ピン57aがガイド溝54の第1の凹部55aに係合されてロックされており、この状態ではカムギヤ45の段違い歯部53がカムギヤ駆動用ギヤ50のサブギヤ51と噛合されている。
【0046】
この状態では第1のスライド板40はばね部材43によって中立位置に保持されており、従って第1の移動ギヤ38は巻取側ハブ軸側の伝達ギヤ36と供給側ハブ軸側の伝達ギヤ37の何れにも噛合しない状態に位置している。
【0047】
またこの状態では第2の移動ギヤ64はばね部材74の力によってメインギヤ33に押し付けられるように噛合されている。尚、このときアーム板71の端部のピン71bはカムギヤ45の内周カム面49の抜き凹部49aに位置している。
【0048】
さらにこの状態では第2のスライド板77も中立位置にあり、このためピンチローラー15及び磁気ヘッド16,17は何れもテープカセットのテープに対し引込んだ状態にある。
【0049】
b.FF(早送り)動作
上記のストップ状態から図示しない操作部のFFボタンを操作すると、モーター30が時計方向に回転駆動し、これに伴ってメインギヤ33が反時計方向に回転される。するとこのメインギヤ33の回転力によってその回転方向に従って第2の移動ギヤ64が左方に移動し、その下面側に一体に形成された小径ギヤ64aが巻取側ハブ軸側の伝達ギヤ36に噛合される。従ってモーター30の駆動によるメインギヤ33の回転力がメインギヤ33→第2の移動ギヤ64→伝達ギヤ36→巻取側ハブ軸駆動ギヤ34と伝達され、これによって巻取側ハブ軸11がテープ巻取り方向に高速回転されてテープの早送り動作が行なわれる(図3の状態)。
【0050】
尚、このFF動作時には、メインギヤ33の回転に伴ってカムギヤ駆動用ギヤ50は回転されるが、カムギヤ45はロックレバー57によってロックされているため、回転されることがない。即ちこの状態ではカムギヤ45は段違い歯部53においてカムギヤ駆動用ギヤ50のサブギヤ51と噛合され、前述したようにこのサブギヤ51とカムギヤ駆動用ギヤ50とは別個に回転可能であるため、ロック状態にあるカムギヤ45の段違い歯部53と噛合しているサブギヤ51は回転せず、カムギヤ駆動用ギヤ50だけが空回り状に回転される状態となる。
【0051】
従って、第1の移動ギヤ38は伝達ギヤ36と37の何れにも噛合しない中立位置に保持され、またピンチローラー15及び磁気ヘッド16,17は引込状態に保持されている。
【0052】
c.REW(巻戻し)動作
また操作部のREWボタンを操作すると、以上とは逆にモーター30が反時計方向に回転駆動し、これに伴ってメインギヤ33が時計方向に回転される。するとこのメインギヤ33の回転力によってその回転方向に従って第2の移動ギヤ64が右方に移動し、その小径ギヤ64aが供給側ハブ軸側の伝達ギヤ37に噛合される。従ってモーター30の駆動によるメインギヤ33の回転力がメインギヤ33→第2の移動ギヤ64→伝達ギヤ37→供給側ハブ軸駆動ギヤ35と伝達され、これによって供給側ハブ軸12がテープ巻取り方向に高速回転されてテープの巻取り動作が行われる。
【0053】
またこのREW動作時においても上記FF動作時と同様にカムギヤ45は回転されることがなく、従って第1の移動ギヤ38は伝達ギヤ36と37の何れにも噛合しない中立位置に保持され、またピンチローラー15及び磁気ヘッド16,17は引込状態に保持されている。
【0054】
尚、以上のFF動作及びREW動作から操作部のストップボタンを操作すると、モーター30が直ちに止まり、その状態で動作が停止される。
【0055】
d.FWD(通常走行)動作
操作部のFWDボタンを操作すると、モーター30が時計方向に回転駆動されると共に、ソレノイド60に通電され、これによって図4に示す如くプランジャ61がソレノイド60から抜け出る方向に動き、これに伴ってロック解除レバー59がばね部材62の力を補助としてソレノイド60から離れる方向に回動され、このときロック解除レバー59がロックレバー57の一部縁面57bに当接係合されることによってロックレバー57はばね部材58の力に抗してロック解除レバー59と一体に回動し、係合ピン57aがカムギヤ45の第1の凹部55aから外れてカムギヤ45のロックが解除される。
【0056】
またこれと同時にロックレバー57の押圧ピン57aがアーム板71の被押圧片部71aに当たってこれを押圧し、これによってアーム板71はばね部材74の力に抗して回動されて第2の移動ギヤ64がメインギヤ33から外れた状態となる。
【0057】
そして上記のようにしてカムギヤ45のロックが解除されると、カムギヤ45はカムギヤ駆動用ギヤ50から伝わる回動力によって回転される。即ち、カムギヤ45のロックが解除されると、カムギヤ駆動用ギヤ50からサブギヤ51にその間に配されるフリクション部材を介して伝わる回動力によってカムギヤ45が送り出されるように回転し、こうしてカムギヤ45が少し送り出されるとカムギヤ駆動用ギヤの小径ギヤ50aにカムギヤ45の通常の歯部(段違い歯部53以外の歯部)が噛合し、これによってカムギヤ45が回転される。
【0058】
このFWDモードでは前述の如くモーター30が時計方向に回転されることにより、カムギヤ45は反時計方向に回転し、これによって第1のスライド板40のピン40bがカムギヤ45の内側カム面47で連続的に押圧されることにより、第1のスライド板40はばね部材43の力に抗して左方にスライドされる。
【0059】
このようにして第1のスライド板40が左方にスライドされると揺動板39が左方に傾倒して第1の移動ギヤ38が巻取側ハブ軸側の伝達ギヤ36に噛合される。
【0060】
そして以上の如くカムギヤ45の回転によって第1の移動ギヤ38が巻取側ハブ軸側の伝達ギヤ36に噛合されると、ロックレバー57の係合ピン57aがカムギヤ45のガイド溝54の第2の凹部55bに係合し、これによってカムギヤ45は再びロックされる(図5の状態)。このロック状態ではカムギヤ45の欠歯部52がカムギヤ駆動用ギヤ50の小径ギヤ50aと対応し、このためカムギヤ駆動用ギヤ50は空回り状に回転される状態となる。またこの状態においては、図8により明らかなようにカムギヤ45は内側カム面47の傾斜段差部47aに第1のスライド板40のピン40bが当たっている状態でロックされている。
【0061】
さらにこの状態においては、第2の移動ギヤ64はカムギヤ45によってメインギヤ33から外れた状態を保持されている。即ち、前述したカムギヤ45のロック解除時にロックレバー57の押圧ピン57cで押圧され、ばね部材74の力に抗して第2の移動ギヤ64がメインギヤ33から外れる方向に回動されたアーム板71は、カムギヤ45が回転された状態ではピン71bがカムギヤ45の内周カム面49に当接されることによってロックレバー57の押圧ピン57cによる押圧解除後もその状態を保持され、従って第2の移動ギヤ64はメインギヤ33から外れた状態に保持されることになる。
【0062】
そして以上のようにして第1の移動ギヤ38が巻取側ハブ軸側の伝達ギヤ36に噛合すると共に第2の移動ギヤ64がメインギヤ33から外された状態では、モーター30の駆動によるメインギヤ33の回転力がメインギヤ33→第1の移動ギヤ38→伝達ギヤ36→巻取側ハブ軸駆動ギヤ34と伝達され、これによって巻取側ハブ軸11がテープ巻取り方向に回転されてテープの正方向の走行動作が行なわれる。
【0063】
また、上記の如くカムギヤ45の反時計方向の回転によって第1のスライド板40が左方へスライドされると、これと連動して第2のスライド板77が第1のスライド板40と逆方向の右方にスライドされ、これによってピンチローラー15及び磁気ヘッド16,17の移動動作が行なわれる。
【0064】
即ち、第2のスライド板77右方にスライドされると、押圧レバー81の凹部81aの左側の傾斜面がピンチローラーレバー20の突起20aを押圧することによってピンチローラーレバー20は前方へ回動され、このためピンチローラー15はキャプスタン13に圧着される。
【0065】
尚、このピンチローラー15の圧着状態では押圧レバー81はばね部材85の力に抗して僅かに後退移動される状態となり、このためばね部材85の力が押圧レバー81を介してピンチローラーレバー20に伝わり、ピンチローラー15はキャプスタン13に対し確実に圧着される。
【0066】
また第2のスライド板77が右方にスライドされることにより、図11に示す如く一方の押圧ピン82が一方の磁気ヘッド支持レバー22の後側縁の傾斜カム縁22aに当接してこれを押圧し、このため磁気ヘッド支持レバー22はばね部材26の力に抗して前方へ回動され、即ちFWD用の磁気ヘッド16が突出されてテープカセットのテープと接し、いわゆるA面側の再生が行なわれる。
【0067】
このFWD動作状態(図5)から操作部のストップボタンが操作されると、再びソレノイド60に通電されてプランジャ61が動作し、ロックレバー57の係合ピン57aが第2の凹部55bから外れてカムギヤ45のロックが解除される。
【0068】
このようにカムギヤ45のロックが解除されると、それまで欠歯部52がカムギヤ駆動用ギヤ50の小径ギヤ50aに対応していたカムギヤ45は、僅かに送り出されるように回転して直ちにカムギヤ駆動用ギヤ50の小径ギヤ50aと噛合され、再び反時計方向に回動される。
【0069】
このカムギヤ45の送り出し動作さらに詳しく説明すると、前述したようにカムギヤ45は、図8に示す如く内側カム面47の傾斜段差部47aに第1のスライド板40のピン40bが当接した状態でロックされていたため、ロックが解除されるとばね部材43による第1のスライド板40の復帰力によってピン40bが傾斜段差部47aの傾斜面を押圧し、これによってカムギヤ45は送り出し方向に若干回転されることになり、直ちにカムギヤ駆動用ギヤ50の小径ギヤ50aと噛合して回転される。
【0070】
そして再びロックレバー57の係合ピン57aがカムギヤ45の第1の凹部55aに係合してカムギヤ45がロックされると、初期状態に戻り、即ち第1のスライド板40はピン40bが内側カム面47から離れてばね部材43の力によって中立位置に復帰し、また第2の移動ギヤ64はアーム板71のピン71bがカムギヤ45の内周カム面49の抜き凹部49aに位置される状態となってばね部材43の力で再びメインギヤ33に噛合し、さらにピンチローラー15及び磁気ヘッド16,17はテープカセットのテープに対し引込んだ状態に戻り、この初期状態に戻ったところでモーター30が止まり、その状態で動作が停止される。
【0071】
e.REV(反転走行)動作
また操作部のREVボタンを操作すると、モーター30が反時計方向に回転駆動されると共に、ソレノイド60に通電されることによってカムギヤ45のロックが解除される。このカムギヤ45のロック解除動作及びこれに伴う第2の移動ギヤ64の移動動作(メインギヤ33から外れる動作)は前述したFWD動作の場合と同様である。
【0072】
そしてカムギヤ45のロックが解除されると、前述した如くしてカムギヤ駆動用ギヤ50から回転力が伝わってカムギヤ45が時計方向に回転し、これによって第1のスライド板40のピン40bがカムギヤ45の外側カム面48で連続的に押圧されることにより、第1のスライド板40はばね部材43の力に抗して右方にスライドされる。
【0073】
このようにして第1のスライド板40が右方にスライドされると、揺動板39が右方に傾倒して第1の移動ギヤ38が供給側ハブ軸側の伝達ギヤ37に噛合される。
【0074】
そして以上のようにカムギヤ45の回転によって第1の移動ギヤ38が供給側ハブ軸側の伝達ギヤ37に噛合されると、ロックレバー57の係合ピン57aがカムギヤ45の第2の凹部55bに係合し、これによってカムギヤ45は再びロックされる(図6の状態)。このロック状態では、前述したFWD動作時と同様るカムギヤ45の欠歯部52がカムギヤ駆動用ギヤ50の小径ギヤ50aと対応し、このためカムギヤ駆動用ギヤ50は空回り状に回転される状態となる。またこの状態においては、図9により明らかなようにカムギヤ45は外側カム面48の傾斜段差部48aに第1のスライド板40のピン40bが当たっている状態でロックされている。
【0075】
さらにこの状態では、前述したFWD動作時と同様に、第2の移動ギヤ64はアーム板71のピン71bがカムギヤ45の内周カム面49に当接されることによってメインギヤ33から外れた状態を保持されている。
【0076】
そして以上の如くして第1の移動ギヤ38が供給側ハブ軸側の伝達ギヤ37に噛合すると共に第2の移動ギヤ64がメインギヤ33から外された状態では、モーター30の駆動によるメインギヤ33の回転力がメインギヤ33→第1の移動ギヤ38→伝達ギヤ37→供給側ハブ軸駆動ギヤ35と伝達され、これによって供給側ハブ軸12がテープ巻取り方向に回転されてテープの反転方向の走行動作が行なわれる。
【0077】
また、上記の如くカムギヤ45の時計方向の回転によって第1のスライド板40が右方へスライドされると、これと連動して第2のスライド板77が第1のスライド板40と逆方向の左方へスライドされ、これによってピンチローラー15及び磁気ヘッド16,17の移動動作が行なわれる。
【0078】
即ち、第2のスライド板77が左方にスライドされると、押圧レバー81の凹部81aの右側の傾斜面がピンチローラーレバー20の突起20aを押圧することによってピンチローラーレバー20は前方へ回動され、このためピンチローラー15はキャプスタン13に圧着される。
【0079】
また第2のスライド板77が左方にスライドされることにより、図12に示す如く押圧ピン83が磁気ヘッド支持レバー23の後側縁の傾斜カム縁23aに当接してこれを押圧し、このため磁気ヘッド支持レバー23はばね部材26の力に抗して前方へ回動され、即ちREV用の磁気ヘッド17が突出されてテープカセットのテープと接し、いわゆるB面側の再生が行われる。
【0080】
このREV動作状態(図6)から操作部のストップボタンが操作されると、前述したFWD動作時と同様に、再びソレノイド60に通電されてプランジャ61が動作し、ロックレバー57の係合ピン57aが第2の凹部55bから外れてカムギヤ45のロックが解除される。
【0081】
このようにカムギヤ45のロックが解除されると、それまで欠歯部52がカムギヤ駆動用ギヤ50の小径ギヤ50aに対応していたカムギヤ45は、僅かに送り出されるように回転して直ちにカムギヤ駆動用ギヤ50の小径ギヤ50aと噛合され、再び時計方向に回転される。
【0082】
即ち、前述したようにカムギヤ45は、図9に示す如く外側カム面48の傾斜段差部48aに第1のスライド板40のピン40bが当接した状態でロックされていたため、ロックが解除されるとばね部材43による第1のスライド板40の復帰力によってピン40bが傾斜段差部48aの傾斜面を押圧し、これによってカムギヤ45は送り出し方向に若干回転されることになり、直ちにカムギヤ駆動用ギヤ50の小径ギヤ50aと噛合して回転される。
【0083】
そして再びロックレバー57の係合ピン57aがカムギヤ45の第1の凹部55aに係合してカムギヤ45がロックされると、初期状態に戻り、即ち第1のスライド板40はピン40bが外側カム面48から離れてばね部材43の力によって中立位置に復帰し、また第2の移動ギヤ64はアーム板71のピン71bがカムギヤ45の内周カム面49の抜き凹部49aに位置される状態となってばね部材74の力で再びメインギヤ33に噛合し、さらにピンチローラー15及び磁気ヘッド16,17はテープカセットのテープに対し引込んだ状態に戻り、この初期状態に戻ったところでモーターが止まり、その状態で動作が停止される。
【0084】
【発明の効果】
以上に説明した如く本発明は、テープの通常走行モードと反転走行モードとで夫々テープに接して再生を行なう2つの磁気ヘッドと、テープカセットの巻取側ハブ及び供給側ハブに夫々係合される巻取側ハブ軸及び供給側ハブ軸と、モーターによって正逆方向に回転されるメインギヤと、テープの通常走行モードと反転走行モードとで巻取側ハブ軸側と供給側ハブ軸側とに選択的に移動し、メインギヤの回転を巻取側ハブ軸または供給側ハブ軸に伝達する第1の移動ギヤと、モーターによって回転され、第1の移動ギヤを移動させるカムギヤと、テープの早送りモードと巻戻しモードとでメインギヤの回転によって巻取側ハブ軸側と供給側ハブ軸側とに選択的に移動し、メインギヤの回転を巻取側ハブ軸または供給側ハブ軸に伝達する第2の移動ギヤと、テープの通常走行モードと反転走行モードにおいて第2の移動ギヤをメインギヤから外すギヤ外し機構と、を備えたカセットプレーヤーにおいて、メインギヤから外された第2の移動ギヤの保持を、第1の移動ギヤを移動させるためのカムギヤによって行なうように構成したので、従来に比して構成が簡単となり、さらにこのカセットプラーヤーでは、テープの通常走行モードと反転走行モードに応じて2つの磁気ヘッドを移動させる動作もカムギヤによって行なう構成としたので、構成がさらに簡単になり、その結果部品点数が少なく抑えられてコストダウンに繋がると共に、カセットプレーヤーの一層の小型薄型化に有利となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】カセットプレーヤーの外観を示す斜視図である。
【図2】メカシャーシの表面側(カセット装着部側)の平面図である。
【図3】メカシャーシの裏面側(駆動機構部側)の平面図である。
【図4】同、カムギヤのロックが解除された状態である。
【図5】同、FWDモードの状態である。
【図6】同、REVモードの状態である。
【図7】カムギヤの説明図である。
【図8】同、FWDモードの状態である。
【図9】同、REVモードの状態である。
【図10】ピンチローラー及び磁気ヘッドの取付部の分解斜視図である。
【図11】磁気ヘッドの動作説明図で、FWDモードの状態である。
【図12】同、REVモードの状態である。
【図13】カムギヤの斜視図である。
【図14】カムギヤ駆動用ギヤの下方から見た斜視図である。
【図15】第2の移動ギヤの支持機構部の平面図である。
【符号の説明】
11・・・・巻取側ハブ軸、12・・・・供給側ハブ軸、16・・・・磁気ヘッド(通常走行用)、17・・・・磁気ヘッド(反転走行用)、30・・・・モーター、33・・・・メインギヤ、34・・・・巻取側ハブ軸駆動ギヤ、35・・・・供給側ハブ軸駆動ギヤ、36・・・・伝達ギヤ、37・・・・伝達ギヤ、38・・・・第1の移動ギヤ、40・・・・第1のスライド板、40b・・・・ピン、45・・・・カムギヤ、46・・・・カム部、47・・・・内側カム面、47a・・・・傾斜段差部、48・・・・外側カム面、48a・・・・傾斜段差部、49・・・・内周カム面、52・・・・欠歯部、64・・・・第2の移動ギヤ、71・・・・アーム板、71b・・・・ピン、77・・・・第2のスライド板、78・・・・連動板
【産業上の利用分野】
本発明はカセットプレーヤー、特にいわゆるオートリバース機能を備えたカセットプレーヤーに関し、その駆動機構部におけるギヤ機構に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にオートリバース機能を備えたカセットプレーヤーは、テープの通常走行(フォワードプレイ、以下FWDと記す)、反転走行(リバースプレイ、以下REVと記す)、早送り(ファストフォワード、以下FFと記す)、巻戻し(リワインド、以下REWと記す)の各動作が行われ、プレーヤー内部に構成されるギヤ機構によって、テープカセットの巻取側ハブと供給側ハブに係合される一対のハブ軸即ち巻取側ハブ軸と供給側ハブ軸の回転が切換えられるようになっている。
【0003】
従来のこのオートリバース機におけるハブ軸の回転切換機構の構成の一例を簡単に説明する。
先ず巻取側ハブ軸と供給側ハブ軸との間には、FWD/REV切換用の第1の移動ギヤが配されており、この第1の移動ギヤはモーターによって回転されるメインギヤに常時噛合されていると共に、FWDモードでは巻取側ハブ軸側に移動してメインギヤの回転を巻取側ハブ軸に伝え、REVモードでは供給側ハブ軸側に移動してメインギヤの回転を供給側ハブ軸側に伝え、夫々巻取側ハブ軸、供給側ハブ軸を回転させる。この第1の移動ギヤは、モーターによって回転されるカムギヤによって移動動作される。
【0004】
さらに巻取側ハブ軸と供給側ハブ軸との間にはFF/REW切換用の第2の移動ギヤが配されており、この第2の移動ギヤは通常時メインギヤに噛合されていると共に、FFモードでは巻取側ハブ軸側に移動してメインギヤの回転を巻取側ハブ軸に伝え、REWモードでは供給側ハブ軸側に移動してメインギヤの回転を供給側ハブ軸に伝え、夫々巻取側ハブ軸、供給側ハブ軸を回転させる。
【0005】
この第2の移動ギヤは、メインギヤの回転力を利用して移動される構造となっており、即ちFF時にはメインギヤの正方向回転によって巻取側ハブ軸側に振られ、REW時にはメインギヤの逆方向回転によって供給側ハブ軸側に振られ、夫々巻取側ハブ軸、供給側ハブ軸にメインギヤの回転を伝える。
【0006】
このようなFWD/REV切換用の第1の移動ギヤとFF/REW切換用の第2の移動ギヤとを有する機構においては、FWD及びREV時には第2の移動ギヤをメインギヤから外し、その状態で保持させておく必要があるが、従来のこの種の機構においては、上記第2の移動ギヤをメインギヤから外した状態で保持するための専用の機構を特別に設けていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このため従来は構成が複雑であり、部品点数が多くコスト高となると共に、特に携帯用のカセットプレーヤーにおいては機構配置スペースの点で問題があり小型薄型化の妨げとなっていた。
【0008】
本発明は上記の問題点を解消することを目的としてなされたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明のカセットプレーヤーは、テープの通常走行モードと反転走行モードとで夫々テープに接して再生を行なう2つの磁気ヘッドと、テープカセットの巻取側ハブ及び供給側ハブに夫々係合される巻取側ハブ軸及び供給側ハブ軸と、モーターによって正逆方向に回転されるメインギヤと、テープの通常走行モードと反転走行モードとで巻取側ハブ軸側と供給側ハブ軸側とに選択的に移動し、メインギヤの回転を巻取側ハブ軸または供給側ハブ軸に伝達する第1の移動ギヤと、モーターによって回転され、第1の移動ギヤを移動させるカムギヤと、テープの早送りモードと巻戻しモードとでメインギヤの回転によって巻取側ハブ軸側と供給側ハブ軸側とに選択的に移動し、メインギヤの回転を巻取側ハブ軸または供給側ハブ軸に伝達する第2の移動ギヤと、テープの通常走行モードと反転走行モードにおいて第2の移動ギヤをメインギヤから外すギヤ外し機構と、を備え、カムギヤに、第2の移動ギヤをメインギヤから外れた状態で保持させるためのカム部が設けられ、さらにカムギヤに、テープの通常走行モードと反転走行モードに応じて2つの磁気ヘッドを夫々テープに接する方向に移動させるためのカム部が設けられてなるものである。
【0010】
【作用】
上記の如く構成される本発明のカセットプレーヤーは、メインギヤから外された第2の移動ギヤの保持を第1の移動ギヤを移動させるためのカムギヤによって行なうようにした構成であるため、従来に比して構成が簡素化し、さらにこのカセットプラーヤーでは、テープの通常走行モードと反転走行モードに応じて2つの磁気ヘッドを移動させる動作もカムギヤによって行なう構成としたので、構成がさらに簡素化し、その結果部品点数が少なく抑えられコストダウンに繋がると共に小型薄型化に有利となる。
【0011】
【実施例】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例について詳細に説明する。
【0012】
ここに例示するカセットプレーヤーは、いわゆるオートリバース機で、図には表われていない操作ボタンの操作によってFWD,REV,FF,REWの各動作が行われる。
【0013】
図1はカセットプレーヤーの全体を示しており、図において1はプレーヤー本体、2はこのプレーヤー本体1のカセット装着部3を開閉するカセット蓋である。このカセット蓋2は、プレーヤー本体1のメカシャーシ4に枢軸5を介して起状回動可能に枢着されているカセットホルダー6に一体的に取り付けてあり、テープカセットをプレーヤー本体1のカセット装着部3に装着するときにはカセット蓋2の内面側に沿わせるようにしてテープカセットをカセットホルダー6の左右両側の保持部6aと6bの間に挿入し、この状態でカセット蓋2を閉じることによりテープカセットがカセット装着部3に装着されるようになっている。尚、テープカセットはその前面開口部(テープ露出部)を前方にした状態でカセットホルダー6に挿入される。またカセットホルダー6の左右に設けられている7a,7bはテープカセットのガタ防止用の押えばねである。
【0014】
またカセット蓋2が完全に閉じられた状態では、プレーヤー本体1側に設けられた係止爪8がカセット蓋2の係着部9に係着されることによってカセット蓋2は開かないようにロックされる。10はこのカセット蓋2のロックを解除するための解除ボタンである。
【0015】
カセット装着部3はメカシャーシ4の表面側に構成され、このメカシャーシ4の表面側には図2からも明らかなようにテープカセットの巻取側ハブと供給側ハブに夫々係合される一対のハブ軸、即ち巻取側ハブ軸11と供給側ハブ軸12が突出され、さらにテープを定速走行させるためのキャプスタン13が突出されている。尚、本例のカセットプレーヤーは、いわゆるシングルキャプスタン方式のオートリバース機で、即ち1本のキャプスタン13を正逆両方向に回転駆動させることによってFWDとREV動作が行なわれる機構となっている。14はテープカセットの位置決め用の基準ピンである。
【0016】
また15はキャプスタン13に圧着されるピンチローラー、16及び17は磁気ヘッド(本例では再生専用)で、このうちの一方の磁気ヘッド16はFWD用、他方の磁気ヘッド17はREV用である。これらピンチローラー13と磁気ヘッド16,17は何れもカセット蓋2と一体のカセットホルダー6に取り付けられており、即ちカセットホルダー6にテープカセットが挿入されると同時にこれらピンチローラー13と磁気ヘッド16,17がテープカセットの前面開口部に挿入され、テープと対応される如くなされている。尚、このときREV用の磁気ヘッド17はテープカセット内に配される圧着パッドと対向されるが、FWD用の磁気ヘッド16に対してはテープカセット内にはこれに相当するものがないので、本例のカセットプレーヤーにおいてはメカシャーシ4の表面側のカセット装着部3に、FWD用の磁気ヘッド16と対向して先端部に圧着パッド18aを取り付けてなる圧着パッド取付柱18が突出されている。
【0017】
カセットホルダーにおけるピンチローラーと磁気ヘッドの取付部の構造を図10〜図12において更に詳しく説明すると、先ずカセットホルダー6の中央板部6cに支軸19が立設され、この支軸にレバー20が、カセットホルダーに挿入保持されるテープカセットに対し進退する方向に回動可能に軸支されており、このレバー20の遊端部にピンチローラー15が回転自在に枢支されている。さらに、このレバー20(以下ピンチローラーレバーという)におけるピンチローラー枢支部の下方には突起20aが突出され、この突起20aが後述する押圧レバーで押圧されることによってピンチローラー15の移動動作が行なわれる。
【0018】
さらにカセットホルダー6の中央板部6cには支軸21が立設され、この支軸21に一対のレバー22及び23がテープカセットに対し進退する方向に回動可能に軸支されており、このレバー22,23に夫々磁気ヘッド16,17が支持されている。またこの磁気ヘッド16,17の両側には夫々テープガイド24,25を有し、その上下の突起24aと24b,25aと25bの間に磁気テープを通してこれを磁気ヘッドに正確にガイドする。
【0019】
上記レバー(以下磁気ヘッド支持レバーという)22,23の軸支部にはばね部材26が嵌合装着され、このばね部材26の一端末部を一方の磁気ヘッド支持レバー22に突設された係止片27に係着し、他端末部を他方の磁気ヘッド支持レバー23に突設された係着片28に係着してあり、これによって両側の磁気ヘッド支持レバー22,23に対し常に戻し方向即ちテープカセットから離れる方向の回動力を付与している。
【0020】
また磁気ヘッド支持レバー22,23は夫々その後側縁が傾斜カム縁22a,23aとなされており、この傾斜カム縁が後述する押圧ピンで押圧されることによって磁気ヘッド支持レバー22,23はばね部材26の力に抗して前方へ回動され、即ち磁気ヘッド16,17がテープカセットの磁気テープに接する方向に突出されるようになっている。
【0021】
一方、メカシャーシ4の裏面側には、FWD,REV,FF,REWの各モードに応じてハブ軸11,12とキャプスタン13の回転駆動、ピンチローラー15及び磁気ヘッド16,17の移動動作を行なうための駆動機構が構成されている(図3参照)。
【0022】
30は駆動源としてのモーターで、このモーター30は正逆両方向の回転が可能であり、このモーター30の回転駆動軸に取り付けられたプーリー30aとフライホイール31との間にはベルト32が張架されている。フライホイール31はメカシャーシ4の表面側に突出されるキャプスタン13と一体に回転されるもので、即ちモーター30の回転がベルト32を介してフライホイール31に伝達され、キャプスタン13が回転駆動される如くなされている。またフライホイール31にはその下面側にギヤ31aが一体に形成されており、このギヤ31aにはメカシャーシ4の中央部に枢支されたメインギヤ33が噛合されている。
【0023】
34及び35は夫々メカシャーシ4の表面側に突出される巻取側ハブ軸11及び供給側ハブ軸12と一体に回転されるハブ軸駆動ギヤで、このハブ軸駆動ギヤ34,35は夫々伝達ギヤ36,37の下面側に一体に形成された小径ギヤ36a,37aと噛合している。
【0024】
そしてこの伝達ギヤ36,37とメインギヤ33との間には第1の移動ギヤ38及び第2の移動ギヤ64が配されており、FWDまたはREV時には第1の移動ギヤ38が伝達ギヤ36または37に噛合してメインギヤ33の回転を巻取側ハブ軸駆動ギヤ34または供給側ハブ軸駆動ギヤ35に伝え、FFまたはREW時には第2の移動ギヤ64が伝達ギヤ36または37に噛合してメインギヤ33の回転を巻取側ハブ軸駆動ギヤ34または供給側ハブ軸駆動ギヤ35に伝えるようになっている。
【0025】
先ず、第1の移動ギヤ38を伝達ギヤ36または37に選択的に噛合させるための移動機構について説明する。
メインギヤ33の下にはメインギヤ33と同軸に揺動板39が回動自在に枢支されており、この揺動板39上に第1の移動ギヤ38が回転自在に枢支されている。メインギヤ33にはその下面側に小径ギヤ33aが設けられ、この小径ギヤ33aに第1の移動ギヤ38が常時噛合している。尚、メインギヤ33においては図には表われていないが小径ギヤ部33aとの間にトルクリミッター機構(スリップ機構)が内蔵されている。
【0026】
第1の移動ギヤ38が枢支される揺動板39に対応してメカシャーシ4の中央部には第1のスライド板40が横方向にスライド可能に配されており、この第1のスライド板40の一部には凹部41が形成され、この凹部41の左右両側の傾斜縁41a,41bに上記揺動板39の左右に突出形成された接片部39a,39bが対接している。
【0027】
そしてこの第1のスライド板40が図において左方にスライドされると右側の傾斜縁41bが揺動板39の右側の接片部39bを押し上げ、これによって揺動板39は左方へ傾倒回動されて第1の移動ギヤ38が巻取側ハブ軸側の伝達ギヤ36に噛合し、またこれとは反対に第1のスライド板40が右方にスライドされた場合には左側の傾斜縁41aが揺動板39の左側の接片部39aを押し上げ、これによって揺動板39は右方へ傾倒回動されて第1の移動ギヤ38が供給側ハブ軸側の伝達ギヤ37に噛合する如く動作される。
【0028】
またこの第1のスライド板40は、メカシャーシ4に立設された固定柱42に取り付けられるばね部材43によって常に中立位置、即ち第1の移動ギヤ38が伝達ギヤ36と37の何れも噛合されないスライド位置に復帰されるように偏倚されている。即ちこのばね部材43はねじりコイルばねによりなり、そのコイル部において固定柱42に嵌合して取り付けられ、左右の両腕部がメカシャーシ4に立設されたストッパー突起44を両側から挟んでいる。そしてこのばね部材43の両腕部の先端部間に第1のスライド板40の端部に起立形成された突片40aが挟まれており、第1のスライド板40が図において左方にスライドされたときにはばね部材43の左側の腕部が傾斜変形し、その弾性復元力によって第1のスライド板40は中立位置に復帰され、またこれとは逆に第1のスライド板40が右方にスライドされた場合にはばね部材43の右側の腕部が傾斜変形し、その弾性復元力によって第1のスライド板40が中立位置に復帰されるようになっている。
【0029】
45はこの第1のスライド板40を左右にスライドさせて第1の移動ギヤ38を選択的に移動させるカムギヤである。このカムギヤ45は、その下面側に図7に示すようなカム部46が形成されており、即ちこのカム部46は、内側カム面47と外側カム面48とを有し、カムギヤ45が時計方向に回転されたときには第1のスライド板40の端部に立設されたピン40bが上記外側カム面48で連続的に押圧されることによって第1のスライド板40は右方にスライドし、カムギヤ45が反時計方向に回転されたときにはピン40bが内側カム面47で連続的に押圧されることによって第1のスライド板40は左方にスライドされる。
【0030】
また内側カム面47と外側カム面48には夫々中途部に傾斜段差部47aと48aが形成されており、後述するようにカムギヤ45が初期状態から180°回転されてロックされた状態ではこの傾斜段差部47aまたは48aに第1のスライド板40のピン40bが対応されるようになっている。
【0031】
続いてこのカムギヤ45を回転駆動させるための機構を説明する。
カムギヤ45とメインギヤ33の間にはカムギヤ駆動用ギヤ50が配されており、このカムギヤ駆動用ギヤ50はメインギヤ33の上面側に一体に形成されたギヤ33bと噛合している。また、このカムギヤ駆動用ギヤ50の下面側にはカムギヤと噛合される小径ギヤ50aが一体に形成され、さらにこの小径ギヤ50aの下方には図14に示すようにこの小径ギヤ50aと同径のサブギヤ51を有している。このサブギヤ51はカムギヤ駆動用ギヤ50とは独立して回転可能であるも、サブギヤ51とカムギヤ駆動用ギヤ50との間には図には表われていないがフリクション部材が介在されており、このためサブギヤ51はカムギヤ駆動用ギヤ50の回転の影響を大きく受ける構造となっている。
【0032】
一方カムギヤ45は図13に示すようにその周面の歯の一部に欠歯部52を有し、さらにこの欠歯部52と180°対向する位置には段違い歯部53が形成されている。即ちこの段違い歯部53は、歯の一部を下方にずらせて形成したもので、この段違い歯部53に上記カムギヤ駆動用ギヤ50のサブギヤ51が噛合されている。
【0033】
またカムギヤ45はロック機構によって所定の回転位置でロックされる構造となされている。このカムギヤのロック機構について説明すると、先ずカムギヤ45の上面側には楕円状のガイド溝54が形成されており、このガイド溝54には互いに180°対向して内側に第1及び第2の凹部55a及び55bが設けられている。またこれに対応してカムギヤ45の近傍部に立設された支軸56にはロックレバー57が回動自在に軸支されており、このロックレバー57の先端部にはカムギヤ45のガイド溝54に係合される係合ピン57aが設けられている。またこのロックレバー57は、ばね部材58によって常に係合ピン57aがガイド溝54の凹部55aまたは55bに係合される方向に回動偏倚されている。
【0034】
さらに支軸56にはロック解除レバー59が軸支されており、このロック解除レバー59がソレノイド60によって回動されることにより、これと連動してロックレバー57が回動し、カムギヤ45のロックが解除されるようになっている。即ちロック解除レバー59は、メカシャーシに固定されたソレノイド60に嵌挿されるプランジャ61に連結されており、ソレノイド60に通電されるとプランジャ61がソレノイド60から抜け出る方向に動き、これに伴ってロック解除レバー59がばね部材62の力を補助としてソレノイド60から離れる方向に回動され、このときロック解除レバー59がロックレバー57の一部縁面57bに当接係合されることによってロックレバー57はロック解除レバー59と一体に回動し、係合ピン57aがカムギヤ45のガイド溝54の第1の凹部55aから外れてカムギヤ45のロックが解除される如く動作する。
【0035】
次に第2の移動ギヤ64の支持構造について説明する。
第2の移動ギヤ64は図15により明らかな如く支持板65の一端部に枢軸66によって枢支されているもので、この支持板65の他端部及び中央部には凹部67及び穴部68を有し、夫々がメカシャーシ4に設けられた突起69,70と係合している。穴部68は支持板65が自由に動くに充分な大きさを有し、即ち第2の移動ギヤ64は穴部68の大きさの範囲内で突起69を支点として伝達ギ36,37とメインギヤ33の間を自由に動くことができるようになっている。
【0036】
そしてこの第2の移動ギヤ64はアーム板71によってメインギヤ33に対し接離する方向に移動される如くなされており、即ちこのアーム板71はメカシャーシ4に枢軸72を支点として回動可能に枢着され、その一端部には横方向に長い長穴73を有し、この長穴73に第2の移動ギヤ64の枢軸66が挿通係合されており、これによってアーム板71の回動に伴って第2の移動ギヤ64が移動される構造となされている。またアーム板71はばね部材74の力によって常に第2の移動ギヤ64がメインギヤ33に噛合する方向に偏倚されている。
【0037】
またアーム板71の一部には被押圧片部71aが形成されており、前述したようにカムギヤ45のロックが解除されたときにはこの被押圧片部71aがロックレバー57の一部に設けられた押圧ピン57cによって押圧されることによりアーム板71はばね部材74の力に抗して回動され、第2の移動ギヤ64がメインギヤ33から外れる如く動作する。
【0038】
そしてこの第2の移動ギヤ64がメインギヤ33から外れた状態では、この状態がカムギヤ45によって保持されるように構成されている。即ち、カムギヤ45の下面側には図7に示すようにカムギヤ45の回転中心部を中心とする内周カム面49が略全周にわたって形成されており、その一部には抜き凹部49aが設けられている。そして初期状態ではこの抜き凹部49aにアーム板71の端部に立設されたピン71bが位置し、カムギヤ45が回転された状態では上記内周カム面49にピン71bが当接係止されることによってアーム板71は第2の移動ギヤ64がメインギヤ33から外れた状態で保持される如くなされている。
【0039】
またメカシャーシ4の中央部には左右の伝達ギヤ36と37の中間に位置して山形の穴部75が形成され、この穴部75にも第2の移動ギヤ64の枢軸66が挿通されており、上記のように第2の移動ギヤ64がメインギヤ33から外れた状態ではこの山形の穴部75の頂部に枢軸66が位置される状態となり、これによって第2の移動ギヤ64は左右の伝達ギヤ36と37の何れにも噛合されないようにその移動範囲が規制される構造となっている。
【0040】
次にピンチローラー15及び磁気ヘッド16,17の移動動作を行なう機構について説明する。
メカシャーシ4には表側のピンチローラー15及び磁気ヘッド16,17の取付部と対応する位置に第2のスライド板77が上記第1のスライド板40と平行に横方向にスライド可能に配されている。この第2のスライド板77と第1のスライド板40との間に位置してメカシャーシ4には連動板78が枢軸86を支点として回動可能に枢着されており、この連動板78を介して第2のスライド板77は第1のスライド板40と連動してスライド動作される如くなされている。
【0041】
即ち、連動板78はその両端部に係合凹部78a,78bを有し、一方の係合凹部78aが第1のスライド板40に突設された突片79と係合され、他方の係合凹部78bが第2のスライド板77に突設されたピン80と係合されており、前述したようにカムギヤ45の回転によって第1のスライド板40がスライドされると、これと同時に連動板78が回動されて第2のスライド板77に駆動力を伝え、第2のスライド板77が第1のスライド板40と逆方向にスライドされる。
【0042】
この第2のスライド板77にはピンチローラーレバー20を押圧する押圧レバー81が取り付けられていると共に、磁気ヘッド支持レバー22,23を押圧する押圧ピン82,83が植設されており、これら押圧レバー81と押圧ピン82,83とは穴部84を介してメカシャーシ4の表面側に表出されている。
【0043】
押圧レバー81はその前側縁部に両側を傾斜面とした凹部81aを有し、カセット蓋2を閉じた状態ではこの凹部81aにピンチローラーレバー20の突起20aが対応されるようになっている。また押圧レバー81はピンチローラーレバー20の突起20aから逃げる方向に後退移動可能に第2のスライド板77に取り付けられているも、ばね部材85によって常に復帰方向の力を付与されている。また押圧ピン82,83はカセット蓋2を閉じた状態で夫々磁気ヘッド支持レバー22,23の後方に対応されるようになっている。
【0044】
続いて以上の如く構成される本例のカセットプレーヤーの動作について説明する。
【0045】
a.ストップ(停止)時の状態
はじめに、本例のカセットプレーヤーのストップ時の状態を説明すると、先ずカムギヤ45はロックレバー57の係合ピン57aがガイド溝54の第1の凹部55aに係合されてロックされており、この状態ではカムギヤ45の段違い歯部53がカムギヤ駆動用ギヤ50のサブギヤ51と噛合されている。
【0046】
この状態では第1のスライド板40はばね部材43によって中立位置に保持されており、従って第1の移動ギヤ38は巻取側ハブ軸側の伝達ギヤ36と供給側ハブ軸側の伝達ギヤ37の何れにも噛合しない状態に位置している。
【0047】
またこの状態では第2の移動ギヤ64はばね部材74の力によってメインギヤ33に押し付けられるように噛合されている。尚、このときアーム板71の端部のピン71bはカムギヤ45の内周カム面49の抜き凹部49aに位置している。
【0048】
さらにこの状態では第2のスライド板77も中立位置にあり、このためピンチローラー15及び磁気ヘッド16,17は何れもテープカセットのテープに対し引込んだ状態にある。
【0049】
b.FF(早送り)動作
上記のストップ状態から図示しない操作部のFFボタンを操作すると、モーター30が時計方向に回転駆動し、これに伴ってメインギヤ33が反時計方向に回転される。するとこのメインギヤ33の回転力によってその回転方向に従って第2の移動ギヤ64が左方に移動し、その下面側に一体に形成された小径ギヤ64aが巻取側ハブ軸側の伝達ギヤ36に噛合される。従ってモーター30の駆動によるメインギヤ33の回転力がメインギヤ33→第2の移動ギヤ64→伝達ギヤ36→巻取側ハブ軸駆動ギヤ34と伝達され、これによって巻取側ハブ軸11がテープ巻取り方向に高速回転されてテープの早送り動作が行なわれる(図3の状態)。
【0050】
尚、このFF動作時には、メインギヤ33の回転に伴ってカムギヤ駆動用ギヤ50は回転されるが、カムギヤ45はロックレバー57によってロックされているため、回転されることがない。即ちこの状態ではカムギヤ45は段違い歯部53においてカムギヤ駆動用ギヤ50のサブギヤ51と噛合され、前述したようにこのサブギヤ51とカムギヤ駆動用ギヤ50とは別個に回転可能であるため、ロック状態にあるカムギヤ45の段違い歯部53と噛合しているサブギヤ51は回転せず、カムギヤ駆動用ギヤ50だけが空回り状に回転される状態となる。
【0051】
従って、第1の移動ギヤ38は伝達ギヤ36と37の何れにも噛合しない中立位置に保持され、またピンチローラー15及び磁気ヘッド16,17は引込状態に保持されている。
【0052】
c.REW(巻戻し)動作
また操作部のREWボタンを操作すると、以上とは逆にモーター30が反時計方向に回転駆動し、これに伴ってメインギヤ33が時計方向に回転される。するとこのメインギヤ33の回転力によってその回転方向に従って第2の移動ギヤ64が右方に移動し、その小径ギヤ64aが供給側ハブ軸側の伝達ギヤ37に噛合される。従ってモーター30の駆動によるメインギヤ33の回転力がメインギヤ33→第2の移動ギヤ64→伝達ギヤ37→供給側ハブ軸駆動ギヤ35と伝達され、これによって供給側ハブ軸12がテープ巻取り方向に高速回転されてテープの巻取り動作が行われる。
【0053】
またこのREW動作時においても上記FF動作時と同様にカムギヤ45は回転されることがなく、従って第1の移動ギヤ38は伝達ギヤ36と37の何れにも噛合しない中立位置に保持され、またピンチローラー15及び磁気ヘッド16,17は引込状態に保持されている。
【0054】
尚、以上のFF動作及びREW動作から操作部のストップボタンを操作すると、モーター30が直ちに止まり、その状態で動作が停止される。
【0055】
d.FWD(通常走行)動作
操作部のFWDボタンを操作すると、モーター30が時計方向に回転駆動されると共に、ソレノイド60に通電され、これによって図4に示す如くプランジャ61がソレノイド60から抜け出る方向に動き、これに伴ってロック解除レバー59がばね部材62の力を補助としてソレノイド60から離れる方向に回動され、このときロック解除レバー59がロックレバー57の一部縁面57bに当接係合されることによってロックレバー57はばね部材58の力に抗してロック解除レバー59と一体に回動し、係合ピン57aがカムギヤ45の第1の凹部55aから外れてカムギヤ45のロックが解除される。
【0056】
またこれと同時にロックレバー57の押圧ピン57aがアーム板71の被押圧片部71aに当たってこれを押圧し、これによってアーム板71はばね部材74の力に抗して回動されて第2の移動ギヤ64がメインギヤ33から外れた状態となる。
【0057】
そして上記のようにしてカムギヤ45のロックが解除されると、カムギヤ45はカムギヤ駆動用ギヤ50から伝わる回動力によって回転される。即ち、カムギヤ45のロックが解除されると、カムギヤ駆動用ギヤ50からサブギヤ51にその間に配されるフリクション部材を介して伝わる回動力によってカムギヤ45が送り出されるように回転し、こうしてカムギヤ45が少し送り出されるとカムギヤ駆動用ギヤの小径ギヤ50aにカムギヤ45の通常の歯部(段違い歯部53以外の歯部)が噛合し、これによってカムギヤ45が回転される。
【0058】
このFWDモードでは前述の如くモーター30が時計方向に回転されることにより、カムギヤ45は反時計方向に回転し、これによって第1のスライド板40のピン40bがカムギヤ45の内側カム面47で連続的に押圧されることにより、第1のスライド板40はばね部材43の力に抗して左方にスライドされる。
【0059】
このようにして第1のスライド板40が左方にスライドされると揺動板39が左方に傾倒して第1の移動ギヤ38が巻取側ハブ軸側の伝達ギヤ36に噛合される。
【0060】
そして以上の如くカムギヤ45の回転によって第1の移動ギヤ38が巻取側ハブ軸側の伝達ギヤ36に噛合されると、ロックレバー57の係合ピン57aがカムギヤ45のガイド溝54の第2の凹部55bに係合し、これによってカムギヤ45は再びロックされる(図5の状態)。このロック状態ではカムギヤ45の欠歯部52がカムギヤ駆動用ギヤ50の小径ギヤ50aと対応し、このためカムギヤ駆動用ギヤ50は空回り状に回転される状態となる。またこの状態においては、図8により明らかなようにカムギヤ45は内側カム面47の傾斜段差部47aに第1のスライド板40のピン40bが当たっている状態でロックされている。
【0061】
さらにこの状態においては、第2の移動ギヤ64はカムギヤ45によってメインギヤ33から外れた状態を保持されている。即ち、前述したカムギヤ45のロック解除時にロックレバー57の押圧ピン57cで押圧され、ばね部材74の力に抗して第2の移動ギヤ64がメインギヤ33から外れる方向に回動されたアーム板71は、カムギヤ45が回転された状態ではピン71bがカムギヤ45の内周カム面49に当接されることによってロックレバー57の押圧ピン57cによる押圧解除後もその状態を保持され、従って第2の移動ギヤ64はメインギヤ33から外れた状態に保持されることになる。
【0062】
そして以上のようにして第1の移動ギヤ38が巻取側ハブ軸側の伝達ギヤ36に噛合すると共に第2の移動ギヤ64がメインギヤ33から外された状態では、モーター30の駆動によるメインギヤ33の回転力がメインギヤ33→第1の移動ギヤ38→伝達ギヤ36→巻取側ハブ軸駆動ギヤ34と伝達され、これによって巻取側ハブ軸11がテープ巻取り方向に回転されてテープの正方向の走行動作が行なわれる。
【0063】
また、上記の如くカムギヤ45の反時計方向の回転によって第1のスライド板40が左方へスライドされると、これと連動して第2のスライド板77が第1のスライド板40と逆方向の右方にスライドされ、これによってピンチローラー15及び磁気ヘッド16,17の移動動作が行なわれる。
【0064】
即ち、第2のスライド板77右方にスライドされると、押圧レバー81の凹部81aの左側の傾斜面がピンチローラーレバー20の突起20aを押圧することによってピンチローラーレバー20は前方へ回動され、このためピンチローラー15はキャプスタン13に圧着される。
【0065】
尚、このピンチローラー15の圧着状態では押圧レバー81はばね部材85の力に抗して僅かに後退移動される状態となり、このためばね部材85の力が押圧レバー81を介してピンチローラーレバー20に伝わり、ピンチローラー15はキャプスタン13に対し確実に圧着される。
【0066】
また第2のスライド板77が右方にスライドされることにより、図11に示す如く一方の押圧ピン82が一方の磁気ヘッド支持レバー22の後側縁の傾斜カム縁22aに当接してこれを押圧し、このため磁気ヘッド支持レバー22はばね部材26の力に抗して前方へ回動され、即ちFWD用の磁気ヘッド16が突出されてテープカセットのテープと接し、いわゆるA面側の再生が行なわれる。
【0067】
このFWD動作状態(図5)から操作部のストップボタンが操作されると、再びソレノイド60に通電されてプランジャ61が動作し、ロックレバー57の係合ピン57aが第2の凹部55bから外れてカムギヤ45のロックが解除される。
【0068】
このようにカムギヤ45のロックが解除されると、それまで欠歯部52がカムギヤ駆動用ギヤ50の小径ギヤ50aに対応していたカムギヤ45は、僅かに送り出されるように回転して直ちにカムギヤ駆動用ギヤ50の小径ギヤ50aと噛合され、再び反時計方向に回動される。
【0069】
このカムギヤ45の送り出し動作さらに詳しく説明すると、前述したようにカムギヤ45は、図8に示す如く内側カム面47の傾斜段差部47aに第1のスライド板40のピン40bが当接した状態でロックされていたため、ロックが解除されるとばね部材43による第1のスライド板40の復帰力によってピン40bが傾斜段差部47aの傾斜面を押圧し、これによってカムギヤ45は送り出し方向に若干回転されることになり、直ちにカムギヤ駆動用ギヤ50の小径ギヤ50aと噛合して回転される。
【0070】
そして再びロックレバー57の係合ピン57aがカムギヤ45の第1の凹部55aに係合してカムギヤ45がロックされると、初期状態に戻り、即ち第1のスライド板40はピン40bが内側カム面47から離れてばね部材43の力によって中立位置に復帰し、また第2の移動ギヤ64はアーム板71のピン71bがカムギヤ45の内周カム面49の抜き凹部49aに位置される状態となってばね部材43の力で再びメインギヤ33に噛合し、さらにピンチローラー15及び磁気ヘッド16,17はテープカセットのテープに対し引込んだ状態に戻り、この初期状態に戻ったところでモーター30が止まり、その状態で動作が停止される。
【0071】
e.REV(反転走行)動作
また操作部のREVボタンを操作すると、モーター30が反時計方向に回転駆動されると共に、ソレノイド60に通電されることによってカムギヤ45のロックが解除される。このカムギヤ45のロック解除動作及びこれに伴う第2の移動ギヤ64の移動動作(メインギヤ33から外れる動作)は前述したFWD動作の場合と同様である。
【0072】
そしてカムギヤ45のロックが解除されると、前述した如くしてカムギヤ駆動用ギヤ50から回転力が伝わってカムギヤ45が時計方向に回転し、これによって第1のスライド板40のピン40bがカムギヤ45の外側カム面48で連続的に押圧されることにより、第1のスライド板40はばね部材43の力に抗して右方にスライドされる。
【0073】
このようにして第1のスライド板40が右方にスライドされると、揺動板39が右方に傾倒して第1の移動ギヤ38が供給側ハブ軸側の伝達ギヤ37に噛合される。
【0074】
そして以上のようにカムギヤ45の回転によって第1の移動ギヤ38が供給側ハブ軸側の伝達ギヤ37に噛合されると、ロックレバー57の係合ピン57aがカムギヤ45の第2の凹部55bに係合し、これによってカムギヤ45は再びロックされる(図6の状態)。このロック状態では、前述したFWD動作時と同様るカムギヤ45の欠歯部52がカムギヤ駆動用ギヤ50の小径ギヤ50aと対応し、このためカムギヤ駆動用ギヤ50は空回り状に回転される状態となる。またこの状態においては、図9により明らかなようにカムギヤ45は外側カム面48の傾斜段差部48aに第1のスライド板40のピン40bが当たっている状態でロックされている。
【0075】
さらにこの状態では、前述したFWD動作時と同様に、第2の移動ギヤ64はアーム板71のピン71bがカムギヤ45の内周カム面49に当接されることによってメインギヤ33から外れた状態を保持されている。
【0076】
そして以上の如くして第1の移動ギヤ38が供給側ハブ軸側の伝達ギヤ37に噛合すると共に第2の移動ギヤ64がメインギヤ33から外された状態では、モーター30の駆動によるメインギヤ33の回転力がメインギヤ33→第1の移動ギヤ38→伝達ギヤ37→供給側ハブ軸駆動ギヤ35と伝達され、これによって供給側ハブ軸12がテープ巻取り方向に回転されてテープの反転方向の走行動作が行なわれる。
【0077】
また、上記の如くカムギヤ45の時計方向の回転によって第1のスライド板40が右方へスライドされると、これと連動して第2のスライド板77が第1のスライド板40と逆方向の左方へスライドされ、これによってピンチローラー15及び磁気ヘッド16,17の移動動作が行なわれる。
【0078】
即ち、第2のスライド板77が左方にスライドされると、押圧レバー81の凹部81aの右側の傾斜面がピンチローラーレバー20の突起20aを押圧することによってピンチローラーレバー20は前方へ回動され、このためピンチローラー15はキャプスタン13に圧着される。
【0079】
また第2のスライド板77が左方にスライドされることにより、図12に示す如く押圧ピン83が磁気ヘッド支持レバー23の後側縁の傾斜カム縁23aに当接してこれを押圧し、このため磁気ヘッド支持レバー23はばね部材26の力に抗して前方へ回動され、即ちREV用の磁気ヘッド17が突出されてテープカセットのテープと接し、いわゆるB面側の再生が行われる。
【0080】
このREV動作状態(図6)から操作部のストップボタンが操作されると、前述したFWD動作時と同様に、再びソレノイド60に通電されてプランジャ61が動作し、ロックレバー57の係合ピン57aが第2の凹部55bから外れてカムギヤ45のロックが解除される。
【0081】
このようにカムギヤ45のロックが解除されると、それまで欠歯部52がカムギヤ駆動用ギヤ50の小径ギヤ50aに対応していたカムギヤ45は、僅かに送り出されるように回転して直ちにカムギヤ駆動用ギヤ50の小径ギヤ50aと噛合され、再び時計方向に回転される。
【0082】
即ち、前述したようにカムギヤ45は、図9に示す如く外側カム面48の傾斜段差部48aに第1のスライド板40のピン40bが当接した状態でロックされていたため、ロックが解除されるとばね部材43による第1のスライド板40の復帰力によってピン40bが傾斜段差部48aの傾斜面を押圧し、これによってカムギヤ45は送り出し方向に若干回転されることになり、直ちにカムギヤ駆動用ギヤ50の小径ギヤ50aと噛合して回転される。
【0083】
そして再びロックレバー57の係合ピン57aがカムギヤ45の第1の凹部55aに係合してカムギヤ45がロックされると、初期状態に戻り、即ち第1のスライド板40はピン40bが外側カム面48から離れてばね部材43の力によって中立位置に復帰し、また第2の移動ギヤ64はアーム板71のピン71bがカムギヤ45の内周カム面49の抜き凹部49aに位置される状態となってばね部材74の力で再びメインギヤ33に噛合し、さらにピンチローラー15及び磁気ヘッド16,17はテープカセットのテープに対し引込んだ状態に戻り、この初期状態に戻ったところでモーターが止まり、その状態で動作が停止される。
【0084】
【発明の効果】
以上に説明した如く本発明は、テープの通常走行モードと反転走行モードとで夫々テープに接して再生を行なう2つの磁気ヘッドと、テープカセットの巻取側ハブ及び供給側ハブに夫々係合される巻取側ハブ軸及び供給側ハブ軸と、モーターによって正逆方向に回転されるメインギヤと、テープの通常走行モードと反転走行モードとで巻取側ハブ軸側と供給側ハブ軸側とに選択的に移動し、メインギヤの回転を巻取側ハブ軸または供給側ハブ軸に伝達する第1の移動ギヤと、モーターによって回転され、第1の移動ギヤを移動させるカムギヤと、テープの早送りモードと巻戻しモードとでメインギヤの回転によって巻取側ハブ軸側と供給側ハブ軸側とに選択的に移動し、メインギヤの回転を巻取側ハブ軸または供給側ハブ軸に伝達する第2の移動ギヤと、テープの通常走行モードと反転走行モードにおいて第2の移動ギヤをメインギヤから外すギヤ外し機構と、を備えたカセットプレーヤーにおいて、メインギヤから外された第2の移動ギヤの保持を、第1の移動ギヤを移動させるためのカムギヤによって行なうように構成したので、従来に比して構成が簡単となり、さらにこのカセットプラーヤーでは、テープの通常走行モードと反転走行モードに応じて2つの磁気ヘッドを移動させる動作もカムギヤによって行なう構成としたので、構成がさらに簡単になり、その結果部品点数が少なく抑えられてコストダウンに繋がると共に、カセットプレーヤーの一層の小型薄型化に有利となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】カセットプレーヤーの外観を示す斜視図である。
【図2】メカシャーシの表面側(カセット装着部側)の平面図である。
【図3】メカシャーシの裏面側(駆動機構部側)の平面図である。
【図4】同、カムギヤのロックが解除された状態である。
【図5】同、FWDモードの状態である。
【図6】同、REVモードの状態である。
【図7】カムギヤの説明図である。
【図8】同、FWDモードの状態である。
【図9】同、REVモードの状態である。
【図10】ピンチローラー及び磁気ヘッドの取付部の分解斜視図である。
【図11】磁気ヘッドの動作説明図で、FWDモードの状態である。
【図12】同、REVモードの状態である。
【図13】カムギヤの斜視図である。
【図14】カムギヤ駆動用ギヤの下方から見た斜視図である。
【図15】第2の移動ギヤの支持機構部の平面図である。
【符号の説明】
11・・・・巻取側ハブ軸、12・・・・供給側ハブ軸、16・・・・磁気ヘッド(通常走行用)、17・・・・磁気ヘッド(反転走行用)、30・・・・モーター、33・・・・メインギヤ、34・・・・巻取側ハブ軸駆動ギヤ、35・・・・供給側ハブ軸駆動ギヤ、36・・・・伝達ギヤ、37・・・・伝達ギヤ、38・・・・第1の移動ギヤ、40・・・・第1のスライド板、40b・・・・ピン、45・・・・カムギヤ、46・・・・カム部、47・・・・内側カム面、47a・・・・傾斜段差部、48・・・・外側カム面、48a・・・・傾斜段差部、49・・・・内周カム面、52・・・・欠歯部、64・・・・第2の移動ギヤ、71・・・・アーム板、71b・・・・ピン、77・・・・第2のスライド板、78・・・・連動板
Claims (1)
- テープの通常走行モードと反転走行モードとで夫々テープに接して再生を行なう2つの磁気ヘッドと、テープカセットの巻取側ハブ及び供給側ハブに夫々係合される巻取側ハブ軸及び供給側ハブ軸と、モーターによって正逆方向に回転されるメインギヤと、テープの通常走行モードと反転走行モードとで上記巻取側ハブ軸側と供給側ハブ軸側とに選択的に移動し、上記メインギヤの回転を巻取側ハブ軸または供給側ハブ軸に伝達する第1の移動ギヤと、上記モーターによって回転され、上記第1の移動ギヤを移動させるカムギヤと、テープの早送りモードと巻戻しモードとで上記メインギヤの回転によって上記巻取側ハブ軸側と供給側ハブ軸側とに選択的に移動し、上記メインギヤの回転を巻取側ハブ軸または供給側ハブ軸に伝達する第2の移動ギヤと、テープの通常走行モードと反転走行モードにおいて上記第2の移動ギヤを上記メインギヤから外すギヤ外し機構と、を備え、上記カムギヤに、上記第2の移動ギヤを上記メインギヤから外れた状態で保持させるためのカム部が設けられ、さらに上記カムギヤに、テープの通常走行モードと反転走行モードに応じて上記2つの磁気ヘッドを夫々テープに接する方向に移動させるためのカム部が設けられてなるオートリバース機能を備えたカセットプレーヤー。
Priority Applications (1)
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Applications Claiming Priority (1)
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Family Applications (1)
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JP33364092A Expired - Fee Related JP3551438B2 (ja) | 1992-11-19 | 1992-11-19 | カセットプレーヤー |
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JP (1) | JP3551438B2 (ja) |
-
1992
- 1992-11-19 JP JP33364092A patent/JP3551438B2/ja not_active Expired - Fee Related
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