JP3551318B2 - 起泡済ピーナッツフィリングとその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、菓子やパンなどに使用される起泡済水中油型乳化食品でピーナッツフィリングとして用いられ、特にピーナッツ風味が良好で食感が軽く、状態が安定していて、且つ優れた保存性を有する起泡済ピーナッツフィリング及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来ピーナッツフィリングは、製菓 製パンメーカーでパンや菓子への塗布材やフィリング材として、落花生を焙煎加工して得られたピーナッツバターや、これを原料として使用、加工したピーナッツクリーム等が広く利用され、受け入れられてきた。これらのピーナッツフィリング材には、パンや菓子とのピーナッツ風味のバランスや口溶け、食感の軽さ、塗布材としての伸展性やクリーム性、フィリング材としての保型性、安定性、保存性等の機能が要求されている。
【0003】
従来からこれらの機能を満たすフィリング材としては、ピーナッツバターやその加工品をはじめ、ショートニングやマーガリン等の油脂類を主成分とし、ピーナッツ原料を練りこんだ油脂加工品。或いは、水分を多く含有し、ピーナッツ原料、糖類等を添加し水中油滴型に乳化、加熱殺菌しペースト状にした素材がある。
【0004】
前者の油脂加工品は、油脂分を主成分とし、水分は含まないか又は微量に含んでいる程度であることから、風味の点で油っこさやしつこさを感じる。又、食感の軽さを付与するために多くは起泡を行う為にホイップさせているが、風味の点では同様で、温度上昇からの離水耐性や保型性などの物性を維持するために主成分である油脂の融点を上げた場合、口溶けが損なわれ油っこさを増す等の欠点がある。つまり、保存性や状態の安定性を維持させると食感が損なわれるのが現状であった。又最近の健康志向により、低脂肪、低カロリーの商品が消費者に望まれているが、油脂加工品はこれら消費者のニーズに合わず、敬遠されがちである。
【0005】
一方、水中油滴型乳化素材は、保型性や経時的安定性を維持するために、小麦粉や澱粉、増粘安定剤等を添加する必要があり、これらの添加物質が食感を損ねている。また、食感を軽くするために起泡させホイップした場合、水中油滴型乳化素材は、均質化処理に特段の注意力を要し、気泡の保持力、経時的安定性、温度耐性に乏しく、気泡や状態を安定させる物質を別に添加すると起泡力が低下したり、粘性が増して、食感が損なわれる欠点がある。つまり、水中油滴型乳化素材においても食感の軽さと状態の安定性が同時に成り立たないのが現状である。又、製菓 製パンメーカーに安定したフィリング材を継続的に供給するためには、状態維持、保存性を考慮すると低温管理を必要とする場合があり、商品保管、流通上の制約を受けることになる。水中油滴型乳化素材はその高い水分含量から微生物の増殖が速く保存性が乏しくなることから、製造段階においても殺菌工程を必要とし、無菌的、衛生的に含気性能を具備した製造技術が必要となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決する課題は、製菓 製パンメーカーに安定した品質で供給できる風味、食感が良好で、且つ経時安定性、保存性を有する起泡済ピーナッツフィリング及びその製造方法についてである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来のピーナッツフィリングの問題点である風味と食感を解決するため、水中油滴乳化型素材に安定的に起泡させたホイップ工程を経て、経時的に保持し、且つ優れた保存性を有する起泡済ピーナッツフィリングの製造方法を得るべく研究を重ねた。その結果、ピーナッツバターとショートニング又はマーガリンを組成の必須原料とし混合調合液の糖度を特定の糖度調整にし、これを製造する手段として加熱殺菌後に連続的、無菌的に起泡ホイップして多数の気泡を取り込ませる方法に着目して、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明に係る起泡済ピーナッツフィリングは、必須原料としてピーナッツバター8%〜30%(重量)、ショートニングもしくはマーガリン8%〜25%および糖類を含有し、糖類の含量は、水中油型乳化組成物の糖度が屈折計示度63〜73%に保ち得る量であり、さらに必要に応じて乳製品、調味成分を含有せしめた組成材料としてなることを特徴とする。
【0009】
このときに使用されるピーナッツバターには天然に蛋白質が含まれ、油脂成分と水分を均一に混合均質化処理した場合、このピーナッツバター由来の蛋白が乳化剤としての性質を示し、水中油滴型乳化を安定なものにし、又起泡ホイップした際には気泡を安定させる働きがある。
【0010】
一方、ショートニング又はマーガリンは配合させると、冷却により結晶性を示し、起泡ホイップの際、脂肪球の凝集で気泡の表面に吸着取り込み、連鎖網目構造を強固に形成し、気泡は安定化し良好なピーナッツフィリングが得られる。
このとき、特定数値の糖度においてフィリングに保型性を与え、乳化構造や気泡は安定なものになるとともに、フィリング自体に保存性を付与することができる。
【0011】
さらに、よりフィリングに保型性を付与する場合、必要に応じて小麦粉や澱粉等を添加することができる。
【0012】
又、本発明に係る起泡済ピーナッツフィリングの製造方法については、上記組成原料の配合内容を混合溶解し均質化し、一定温度以上で加熱殺菌し、冷却後エージングやテンパリング等を行わず、連続的に起泡ホイップを行うものである。つまりこの製造方法は、加熱殺菌から充填包装に至るまでの一連の工程を連続製法で行うことにより、水中油滴型乳化の起泡済ピーナッツクリームを衛生的に製造することを特徴とする。
以上のように、本発明は従来のピーナッツフィリングと比較して、風味良好で食感が軽く、且つ経時的に安定で保存性に優れた起泡済ピーナッツフィリングである。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に本発明の起泡済ピーナッツフィリングの製造方法について具体的に説明する。まず、水、ピーナッツバター、ショートニング又はマーガリン、油脂類、糖類、乳製品、その他原料を混合溶解し、調合した後均質化処理を行う。ショートニング又はマーガリンの添加量は8%〜25%が好ましい。これより少ないと脂肪球の凝集力が低下し、起泡の際取り込んだ気泡の安定性、状態の安定性が低下する。又、これより多いと、脂肪球の結晶性、凝集力が増しフィリングが硬くなることにより、軽い食感及び風味が得られなくなる。
【0014】
又、ピーナッツバターの添加量は8%〜30%が好ましい。これより少ないとピーナッツバター由来の蛋白量が減少し、安定な水中油滴型乳化構造が崩れ、気泡や状態の安定性が得られなくなる。これより多くなった場合、ピーナッツバターに天然に含まれる常温で液状の油脂分が増加し、冷却した際、この液状脂が分離し、フィリングの乳化構造が壊れ、気泡や状態の安定性が低下する。又、上記原料をすべて溶解混合した調合液の糖度は63%〜73%の範囲であることが好ましい。ここで言う糖度とは屈折糖度計の示す屈折計示度を言い、この数値が上記数値より低いと、水分量が増加することによりフィリングの保型性や気泡の安定性が低下するとともに、フィリング自体の保存性も低下する。この数値より高いと粘性が高くなり、起泡しづらくなったり、軽い食感や風味が得られなくなったりする。
【0015】
ついで、上記原料を調合後、高圧型均質機を使用して均質化圧50〜200kg/cm2程度の圧力をかけて均質化する。その後加熱殺菌処理を行う。加熱殺菌処理はジャケット式熱交換器や掻き取り式熱交換器により殺菌する。
加熱殺菌後冷却を行う。冷却温度は10℃〜50℃の範囲で、これは油脂の脂肪球の凝集や、必要により小麦粉や澱粉を使用したときの粘性が現れる温度であり、後に行う起泡ホイップ工程での気泡性を安定にする。この時の冷却装置は、掻き取り式熱交換器が挙げられる。加熱冷却された調合液は次に起泡ホイップを行う。起泡ホイップは連続式のホイップマシンにより行う。起泡ホイップされたピーナッツフィリングは最後に充填包装される。
以上の製造工程は、加熱殺菌以後、冷却、起泡、充填包装に至るまで衛生的に行われるため、保存性に優れた水中油滴型乳化の起泡済ピーナッツフィリングを製造することが可能である。
【0016】
以下に本発明に係る起泡済ピーナッツフィリングの実施例と比較例を挙げて、状態安定性、食感、保存性について優れていることを明らかにする。
【0017】
【表1】
表1に示した原料組成を用いて、以下の工程で起泡済ピーナッツフィリングを製造した。又得られた起泡済ピーナッツフィリングの起泡性、食感、経時安定性の評価を表2に示す。
【0018】
【表2】
【0019】
製造工程は、原料を原料投入タンクに入れ、分散、溶解、混合を行い後均質化処理を加圧式均質機にて行う。この調合液はジャケット式熱交換器により、80℃まで加熱し殺菌する。その後掻き取り式熱交換器により18℃まで冷却を行い、連続ホイップマシンで起泡ホイップさせて、起泡済ピーナッツフィリングを得た。
【0020】
表2に示す通りに、本発明の起泡済ピーナッツフィリングは、気泡性、食感、経時安定性の点で優れていることは明らかである。
また、本発明が保存性を備えていることは、表3により明らかである。
【0021】
【表3】
【0022】
【発明の効果】
以上のように本発明の起泡済ピーナッツフィリングは、従来のピーナッツフィリングに比較して、風味、食感が良好で且つ経時安定性、保存性を有しており、製菓 製パン業界におけるピーナッツフィリング材として画期的な意義を有する。
Claims (2)
- 必須原料としてのピーナッツバター8%〜30%(重量)、ショートニングもしくはマーガリン8%〜25%および糖類を含有し、さらに必要に応じて乳製品、調味成分を含有せしめた原料組成物を、水と混合、調合して水中油型乳化組成物を調整し、上記糖類の含量は、水中油型乳化組成物の糖度が屈折計示度63〜73%に保ち得る量であり、次いで該水中油型乳化組成物を均質化処理した後、加熱殺菌処理工程、冷却工程および起泡ホイップ工程を順次連続して行うことにより得られることを特徴とする起泡済ピーナッツフィリング。
- 必須原料としてのピーナッツバター8%〜30%(重量)、ショートニングもしくはマーガリン8%〜25%および糖類を含有し、さらに必要に応じて乳製品、調味成分を含有せしめた原料組成物を、水と混合、調合して水中油型乳化組成物を調整し、上記糖類の含量は、水中油型乳化組成物の糖度が屈折計示度63〜73%に保ち得る量であり、次いで該水中油型乳化組成物を均質化処理した後、加熱殺菌処理工程、冷却工程、起泡ホイップ工程および充填包装工程を順次連続して行うことを特徴とする起泡済ピーナッツフィリングの製造方法。
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