JP3550588B2 - ジルコニア質グリットおよびその製造方法 - Google Patents

ジルコニア質グリットおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ショットブラストなどに用いられる、とがった形状を持つグリットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
とがった形状を持つグリットの材質としては、溶融アルミナ、炭化けい素、酸化けい素、スチール、鋳鉄、ジルコンなどが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ショットブラストに用いられるグリットは、比重が大きく、機械的強度が大きく、衝撃で破砕し難いものがよいとされている。
【0004】
溶融アルミナや酸化けい素は、切削性に優れているので錆やバリの除去などのブラストに用いられるが、酸化けい素は針状結晶なので折れやすく、溶融アルミナも1回の使用で破砕され、どちらも再使用が難しい。ステンレス鋼やアルミニウム合金などの被処理材の表面をスチールグリットや鋳鉄グリットで処理するとグリットが表面に食い込んだり突き刺さる象眼現象を起こし、この部分から錆が発生したり、湿分存在下ではグリット自体に錆が発生し、処理後に被処理材も含めて酸洗浄が必要となる。
【0005】
本発明は、これらの問題の解決された、すなわち、湿式で用いてもグリット自体に錆が発生することなく、ジルコンや溶融アルミナより比重が大きく、とがった形状を持っているので打撃作用、研磨、研掃などの除去作用に優れており、しかも被処理材に象眼現象を起こさせず、十分な衝撃強度があって砕けることがなく、被処理材に錆を発生させないための被処理材の酸洗浄などの後工程も不必要であり、耐摩耗性が高く、繰り返して使用しても被処理材に対して一定のブラスト処理を維持することができるグリットの提供を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、目開き4mmの篩下が実質上100%であり、対理論密度が90%以上であり、衝撃強度が420kgf/cm以上であり、とがった形状を持ち、かつ、正方晶系の結晶構造のものが50モル%以上であるジルコニア質焼結体からなるジルコニア質グリット、を要旨とするものである。
【0007】
本明細書において「衝撃強度」とは、分銅(重さ:W=0.120(kg))をグリット(体積:V(cm3))上に落下させ、破砕する最小限の高さ
(h(cm))から、式
Wh/V(kgf/cm2
によって求められるものをいう。
【0008】
本発明のジルコニア質グリットは、50モル%以上の正方晶系の結晶構造を持つジルコニア質焼結体でなければならない。正方晶系の結晶構造のジルコニア相の含有量が小さいと、高い強度および靭性を持たせることができないからである。該ジルコニア質焼結体の安定化剤として、マグネシア、カルシア、イットリア、セリアなどの稀土類酸化物が多く使用されている。たとえば、イットリアが安定化剤として含まれている場合は、Y23/ZrO2のモル比で1.5/ 98.5〜5.0/95.0好ましくは2.0/98.0〜4.0/96.0とすることにより、50モル%以上の正方晶系の結晶構造を持つジルコニア質焼結体となる。これら安定化剤のほか、焼結助剤のアルミナ、スピネル、チタニア、シリカなどが共存していてもよい。これらは、酸化ジルコニウムと安定化剤との合計に対し、0.05〜50wt%の範囲内で用いられている。その含有量が 50wt%より多くなると靭性が低くなるなどジルコニア本来の特性が低下し、投射時に破砕したり、摩耗量が多くなる。
【0009】
ジルコニア質グリットの焼結体密度は、対理論密度で90%以上、好ましくは95%以上でなければならない。対理論密度が90%より小さいと、衝撃強度が420kg/cmより低くなって、被処理材の表面に投射されたときに破砕されたり、繰り返し処理すると摩耗量が増加してしまうからである。すなわち、グリットの衝撃強度は、420kgf/cm以上、好ましくは500kgf/cm以上でなければならない。
【0010】
グリットの大きさは、目開き4mmの篩下が実質上100%のものでなければならず、とくに篩の目開きで0.025〜2mmのものがよい。粒径が大きいほど打撃作用は高くなるが、大きすぎるとブラスト処理により被処理材表面が荒れ過ぎ、歪を生じるので処理後に被処理材の電解研磨処理などを行い、表面を滑らかにする必要が生じ、また、被処理材の単位面積に対するグリットの数が少なくなるので、スケ−ルや古くなったコ−ティング膜などの除去処理に使用する場合、その皮膜を完全に除去することができないからである。一方、粒径が小さいほど、近年の被処理材の形状の複雑化や表面の平滑さ、寸法精度、反射率などの表面特性に係わる要求の高度化に対応することができるが、篩の目開きで 0.025mmより小さいと、研掃された被処理材のクズとグリットとの分離に手数がかかる。
【0011】
以上の本発明のグリットは、
(1)正方晶の結晶構造のジルコニア相を50モル%以上有する焼結体を生成させるに必要な量の安定化剤またはその前駆体を含む、ジルコニア質スラリーまたはジルコニアゾルを、乾燥し、
a 1300〜1600℃で焼成し、破砕し、分級して目開き4mmの篩下を採取するかまたは
b 粗砕し、分級して次の焼成によって目開き4mmの篩下が実質上 100%となる大きさのものを採取し、1300〜1600℃で焼成する
(2)正方晶の結晶構造のジルコニア相を50モル%以上有する焼結体を生成させるに必要な量の安定化剤またはその前駆体を含む、ジルコニア質成形体を切断するかまたは粗砕した後、
a 分級して次の焼成によって目開き4mmの篩下が実質上100% となる大きさのものを採取し、1300〜1600℃で焼成するかまたは
b 1300〜1600℃で焼成し、分級して目開き4mmの篩下を採取する
(3)対理論密度が90%以上であり、かつ、正方晶系の結晶構造のものが50モル%以上であるジルコニア質焼結体を250℃以上好ましくは 350℃以上に加熱した後、水中に投入し急冷し、
a 得られた細片を分級して目開き4mmの篩下を採取するかまたは
b 上記の急冷により表面にクラックの発生した焼結体を破砕し、分級して目開き4mmの篩下を採取する
などの方法によって、製造することができる。
【0012】
(1)および(2)における、安定化剤またはその前駆体の量は、たとえば、イットリアまたはその前駆体であるイットリウム化合物にあっては、前述の
23/ZrO2換算モル比で1.5/98.5〜5.0/95.0である。 (1)におけるジルコニア質スラリーは、ジルコニア質粉末を水によってスラリー化したものであって、そのジルコニア質粉末としてはジルコニアと電融法、加水分解法、中和共沈法、加水分解−中和法、水熱酸化法、熱分解法、アルコキシド法などによって得られたジルコニア質粉末を用いればよい。そのスラリー濃度は、乾燥を容易にするために25wt%以上とするのが望ましい。ジルコニア質粉末の特性としては、粉末の平均粒子径が、0.1〜2.0μm、好ましくは、0.3〜1.5μmの範囲にあり、BET比表面積が3〜20m2/g、好ましくは、5〜18m2/gの範囲にあることがよい。このような粉末をベース粉末とすることで、成形が容易になり、均質で高密度の成形体が得られ、かつ成形体の焼結性がよく、緻密で機械的特性に優れたグリットを得ることができる。ジルコニア質スラリーの乾燥後の厚さは10mm以下が好ましく、乾燥物表面にクラックがはいり、シートなどから剥がれる時に、ある程度粗砕された状態になるからである。また、ジルコニアゾルを乾燥して得られたゲルを仮焼したジルコニア粉末を粉砕することにより、粉砕された微粒子が焼成時に緻密化を促進するので、塊状のゲル粉末をそのまま焼成してグリットとするより、粒の衝撃強度の高いより緻密なジルコニア質グリットが得られる。この仮焼温度は、600〜1250℃で行うのがよく、1000℃以下がより好ましく、保持は、15分〜10時間程度とするのが好ましい。温度が1250℃を超えると、粉砕し、再スラリー化するのが困難となったり、粗粒によりグリットの強度が低下する。
【0013】
焼結助剤のアルミナ、スピネル、チタニア、シリカなどを含ませる場合は、それらの粉末粒子径は5μm以下のものが好ましく、ジルコニア粉末に添加し、ボ−ルミル、振動ボ−ルミル、媒体攪拌ミルなどによって湿式混合するのが好ましく、その際の粉砕媒体としては、直径5mm以下のジルコニアあるいはアルミナ製が好ましい。これらを共存させることによって、硬度、耐摩耗性などが向上し、また、焼結温度が低下するので製造が容易となる。例えば、アルミナやスピネルであれば、ジルコニアと安定化剤との合計に対し、0.05〜40wt%添加することが好ましく、焼結温度を1300℃まで下げることが可能であるとともに硬度、耐摩耗性を向上させることができる。
【0014】
(1)における、ジルコニアゾルとしては、加水分解法、中和共沈法、加水分解−中和法、アルコキシド法などによるジルコニア質粉末の製造において中間体としてえられるジルコニアゾルを挙げることができる。
【0015】
(1)における、乾燥は、箱型、バンド型、シート型などの乾燥装置によって50〜300℃好ましくは95〜200℃で行えばよい。
【0016】
(1)および(2)における粗砕は、ロール解砕装置などによって行えばよい。
【0017】
(1)および(2)における焼成温度が1300℃に満たないと、得られる粒の衝撃強度が不十分である。1600℃を超えても、得られるグリットのブラスト効果などの特性が低下するわけでないが、塊状物同士が焼結を起こし、塊が形成される(この塊は、投射により分離されるが、篩だけによる分級作業では分離しにくい)。焼成時間は、15分〜10時間程度とすればよい。
【0018】
(2)における、ジルコニア質成形体は、ジルコニア質粉末をタブレッティングやロールプレスによる圧縮成形、ロール成形、テープ成形、押出成形、鋳込成形、射出成形、メッシュ成形などの方法によって成形し、その成形に水や有機バインダーを使用した場合は乾燥や脱脂によってそれらを除去してから切断や粗砕に供する。成形体を押出成形によって得る場合は、押出成形機に付属している切断機によって切断すればよく、その他の方法によって得られる成形体は、上記のロール解砕装置によって粗砕するのがよい。他の用途を目的とする焼結体の製造における成形工程で得られた成形体が寸法や形状が狂ったような場合、それを (2)の原料の成形体として用いることができる。
【0019】
成形体の強度は粉末の平均粒子径に反比例し、BET比表面積に比例するので、平均粒子径が2.0μmより大きく、BET比表面積が3m2/gより小さいと成形体の機械的強度や保形性が低下し、後工程の乾燥や焼結操作において外的荷重に耐えられず成形体が壊れてしまったり、焼結性が下がり緻密な焼結体が得られなくなり、グリットの機械的特性も低下する。平均粒子径が0.1μmより小さく、BET比表面積が20m2/gより大きいと粉末の軽装嵩密度が小さく、高密度の成形体が得られにくくなり、生産性が悪くなる。
【0020】
このような特性の粉末を用いて成形体を製造する方法としては、流動性のあるジルコニア質スラリーを出発原料とする場合は、テープ成形、鋳込成形など;低湿のジルコニア質坏土を出発原料とする場合は、メッシュ成形、押出成形、射出成形など;乾燥したジルコニア質粉末を出発原料とする場合は、タブレッティングやロールプレスなどの圧縮成形などがある。圧縮成形により得られた成形体は、冷間静水圧装置(CIP)などを用いて、更に、成形体密度を上昇させた方が、より緻密で衝撃強度のよいジルコニア質グリットを得ることができる。
【0021】
また、CIP成形時に水漏れなどのトラブルにより使用不可能となった成形体についても、同様に粗砕し粒度調整して使用することができる。篩分けした任意の粒度以下の粉末やCIP成形後の加工研削クズなどについても再スラリー化することにより使用することができる。
【0022】
(3)の方法において、細片がえられたり、焼結体にクラックが発生したりするのは、加熱により表面層に正方晶→単斜晶の相変態が起こって亀裂が発生し、急冷で急激に収縮して亀裂が進展することによるものと推定される。1回の加熱・急冷で収量が低い場合はそれを繰り返せばよいが、実質上正方晶含有量が50モル%を切るまえに止めなければならない。
【0023】
(3)の原料となる焼結体も、他の用途の規格外れの焼結体や磨耗したりクラックが発生したりした使い古しの材料を用いることができる。破砕は、ハンマーミルによって行えばよく、破砕後酸洗浄してハンマーからの汚染を除去する。
【0024】
対理論密度90%以上、正方晶70モル%以上の焼結体を(3)におけるように加熱し、急冷しても、対理論密度が90%より低くなることはなく、かつ、正方晶が70モル%より低くなることはない。
【0025】
(1)〜(3)における分級は、篩によって行えばよく、製品グリットの所望の大きさに応じて4mm以下の範囲から篩の目開きの大きさを選択すればよい。以上のようにして得られた焼結体は、グリットとして用いうるが、それを熱間静水圧プレス(HIP)処理すれば、さらに衝撃強度を向上させることができる。
【0026】
【発明の効果】
以上の如く、本発明のジルコニア質グリットは、とがった形状を持っているので、打撃力、研磨力、研掃力などに優れているにもかかわらず、被処理材表面に象眼現象を起こさせず、被処理材やグリット自体に錆を発生させることがないので、後工程でスチールグリットなどを用いた場合になされる酸洗浄の必要がなく、かつ、耐摩耗性、衝撃強度、硬度などに優れているので回収再使用が容易である。
【0027】
このジルコニア質グリットを用いることで、溶射皮膜や塗装などコーティングの前処理の表面下地加工などのショットブラスト処理による表面荒しが容易に行え、その皮膜などの付着力も優れている。
【0028】
ジルコニア質グリットは、焼結体密度が約6なので、ガラスの2.5、アルミナの3.8に比べてかなり大きく、スチールの7に近い。スチールなど焼結体密度が大きいほうが、その反力により被処理材に反り返り(歪)を生じさせやすいが、ジルコニア質グリットは、ブラスト後、被処理材表面に錆を発生させることもなく、衝撃強度が高いのでジルコンやアルミナのようにグリット自体が砕けたり摩耗することもなく、理由は定かでないが、スチールのようにステンレス系被処理材の表面に傷をつけたり、歪を生じることも少ない。
【0029】
また、分級により、任意の大きさにグリットの粒度調整がしてあるので、きめ細かい処理が可能であって、被処理材の複雑な形状や表面粗さ精度、寸法精度など外観的な表面特性などに関する厳しい要求にも対応することができる。
【0030】
本発明のジルコニア質グリットは、金属、樹脂、ガラス、木材、石材、セラミックスなどの表面研掃;各種機械加工部品や押出、鋳込み、射出成形などで成形された金属、樹脂、フェライト、セラミックス製品などのバリ取り、表面研掃;接着剤、塗料、釉薬、溶射材の付着や接着効果向上のための表面荒し;ろう接面の不純物、放電加工後の硬化膜、鋼材の焼入れ後や各溶接後のスケール、錆、酸化皮膜、古くなった溶射皮膜、メッキ、塗装膜、琺瑯質などの除去;各種金型や金型部品、自動車部品、各種車両部品や機械部品類の仕上げ時の研磨や清掃あるいは修理前のブラストクリーニングとして用いられるほか;フロントアクスルビーム、ホイルキャップ、板ばね、クランクシャフト、ピストンリング、ロッカアーム、カムシャフト、歯車部品、シリンダ、ステヤリングナックル、巻ばね、コネクチングロッドなどの自動車部品や各種車両の機関部品,ジェットエンジンのタービンブレードなどの航空機部品やその機関部品,スクリューなどの船舶部品やその機関部品,化学あるいは石油化学プラントの反応装置類など,プレスなどの機械関連機器,割出台、センター、チャックなどの工作機工具,メス、ピンセット、注射針などの医療部品,ステムなどの人工骨材料,歯、歯根などの歯科材料,各種ステンレス鋼やその溶接面など金属の疲労や応力腐食による破壊の限界の延長を目的としたショットピーニングなどに用いることができる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び、比較例により具体的に説明する。
【0032】
実施例1
ZrO2換算濃度50g/lのオキシ塩化ジルコニウム水溶液にY23
ZrO2とY23との合計に対するY23換算3モル%となるように添加し、還流下に加水分解率が90%になるまで加水分解し、さらに該水溶液が300g/lになるまで濃縮して水和ジルコニアゾルを得た。このゾルを磁製の容器に厚さ5mmになるように入れ、箱型乾燥装置を用いて熱風温度150℃で乾燥を行い、塊状のゲル粉末を得た。このゲル粉末を14メッシュおよび21.9メッシュ(目開き1.18mmおよび0.71mm)の樹脂製の篩で分級し、この範囲内のものを大気雰囲気下で電気炉により1500℃、保持4時間の条件で焼成し、ジルコニア質焼結体を得た。更に、該ジルコニア質焼結体を16メッシュおよび25.6メッシュ(目開き1mmおよび0.6mm)の標準篩で分級してこの範囲の大きさのジルコニア質グリットを得、ショットブラストテストに供すると共に、ブラスト後プラズマ溶射した皮膜の付着力テストを行った。
【0033】
実施例2
実施例1で得た水和ジルコニアゾルを加圧ノズル方式の噴霧乾燥装置を用いて熱風温度150℃で乾燥を行い、ゲル粉末を得た。このゲル粉末を大気雰囲気下でプロパンを熱源とするガス炉により900℃、保持2時間の条件で仮焼し、ジルコニア質粉末を得た。該ジルコニア質粉末に分散剤としてアニオン界面活性剤(サンノプコ社製 ノプコサントRFA)を粉末に対して0.5wt%添加し、振動ボールミルを用いて8時間湿式粉砕し、スラリー濃度65wt%のジルコニア質スラリーとした。このスラリーをシート成形機(津川精機社製 DP−150)を用いて、厚さ2mm、幅150mm、長さ800mmのシートを作製し、シート乾燥機(津川精機社製 KP−200)を用いて、熱風温度100℃で乾燥を行いジルコニア質成形体を得た。この成形体をロールクラッシャー(牧野鉄工所社MRCA−1)を用いて粗砕し、10メッシュおよび14メッシュ(目開き1.7mmおよび1.18mm)の標準篩で分級し、この範囲内のものを大気雰囲気下で電気炉により1450℃、保持4時間の条件で焼成し、ジルコニア質焼結体を得た。更に、該ジルコニア質焼結体を12メッシュおよび16メッシュ(目開き1.4mmおよび1mm)の標準篩で分級してこの範囲の大きさのジルコニア質グリットを得、ショットブラストテストに供すると共に、ブラスト後プラズマ溶射した皮膜の付着力テストを行った。
【0034】
実施例3
実施例2と同じ製法で得た仮焼ジルコニア質粉末をジルコニアビーズ(径
1.5mm)を用いてサンドミル(ハルエンジニアリング社製 内容積1.2リットル)により3時間湿式粉砕し、スラリー濃度60wt%のジルコニア質スラリーを得、回転ディスク方式の噴霧乾燥装置を用いて熱風温度200℃で乾燥を行い、ジルコニア質粉末を得た。この粉末をブリケッティングマシン(仲田製作所社製 1460S)で3mm程度のグリット状に成形し、大気雰囲気下で電気炉により1500℃、保持4時間の条件で焼成し、ジルコニア質焼結体を得た。更に、該ジルコニア質焼結体を5.5mmおよび7.5メッシュ(目開き3.35mmおよび2.36mm)の標準篩で分級してこの範囲の大きさのジルコニア質グリットを得、ショットブラストテストに供すと共に、ブラスト後プラズマ溶射した皮膜の付着力テストを行った。
【0035】
実施例4
実施例2と同じ製法で得た仮焼ジルコニア質粉末に、焼結助剤としてアルミナ(住友化学工業社製 AKP−30)を該仮焼ジルコニア質粉末に対して10wt%添加した後、振動ボ−ルミルにより12時間湿式粉砕混合し、スラリー濃度60wt%のジルコニア質スラリーを得た。このスラリーを真空鋳込装置(高木製作所社製 CVP−OO2H)を用いて成形し、熱風温度100℃で乾燥を行いジルコニア質成形体を得、この成形体を実施例2と同一のロールクラッシャーを用いて粗砕し、14mmおよび21.9メッシュ(目開き1.18mmおよび0.71mm)の標準篩で分級し、この範囲内のものを大気雰囲気下で電気炉により1300℃、保持4時間の条件で焼成し、ジルコニア質焼結体を得た。更に、該ジルコニア質焼結体を16メッシュおよび25.6メッシュ(目開き1mmおよび0.6mm)の標準篩で分級してこの範囲の大きさのジルコニア質グリットを得、ショットブラストテストに供すと共に、ブラスト後プラズマ溶射した皮膜の付着力テストを行った。
【0036】
実施例5
部分安定化ジルコニア粉末(東ソ−社製 TZ−3YS、Y23 3モル%)を用いて作製した成形体の加工研削クズを回転ボールミルにより粗砕し、坏土を作り、ディスクダイ式ロール押出造粒機(不二パウダル社製 ディスクペレッター)により、3mm程度のグリット状に成形し、大気雰囲気下で電気炉により1500℃、保持4時間の条件で焼成し、ジルコニア質焼結体を得た。該ジルコニア質焼結体を5.5メッシュおよび7.5メッシュ(目開き3.35mmおよび2.36mm)の標準篩で分級してこの範囲の大きさのジルコニア質グリットを得、ショットブラストテストに供すると共に、ブラスト後プラズマ溶射した皮膜の付着力テストを行った。
【0037】
実施例6
部分安定化ジルコニア粉末(東ソ−社製 TZ−3Y、Y23 3モル%)を打錠成形機(畑鉄工所社製 HT−12SS)により、直径25mm、厚さ4mm程度の円柱に成形し、ジルコニア成形体を得、更にこの成形体を冷間静水圧装置により1tonの圧力をかけ、得られた成形体を実施例2と同一のロールクラッシャーを用いて粗砕し、7.5メッシュおよび8.6メッシュ(目開き
2.36mmおよび2mm)の標準篩で分級し、この範囲内のものを大気雰囲気下で電気炉により1450℃、保持4時間の条件で焼成し、ジルコニア質焼結体を得た。更に、該ジルコニア質焼結体を7.5メッシュおよび10メッシュ(目開き2.36mmおよび1.7mm)の標準篩で分級してこの範囲の大きさのジルコニア質グリットを得、ショットブラストテストに供すると共に、ブラスト後プラズマ溶射した皮膜の付着力テストを行った。
【0038】
実施例7
実施例6と同一の粉末を外径125mm、内径50mm、長さ125mmのゴム成形型に入れ、冷間静水圧装置により加圧する際、水漏れにより使用できなくなった成形体を乾燥し、ハンマーミル(吉田製作所社 1018−A)により粗砕し、21.9メッシュおよび30.2メッシュ(目開き0.71mmおよび
0.5mm)の標準篩で分級し、この範囲内のものを大気雰囲気下で電気炉により1500℃、保持4時間の条件で焼成し、ジルコニア質焼結体を得た。更に、該ジルコニア質焼結体を30.2メッシュおよび50メッシュ(目開き0.5mmおよび0.3mm)の標準篩で分級してこの範囲の大きさのジルコニア質グリットを得、ショットブラストテストに供すると共に、ブラスト後プラズマ溶射した皮膜の付着力テストを行った。
【0039】
実施例8
実施例4で得られたジルコニア質焼結体を、更に、圧力150MPa、温度
1500℃で1時間HIP処理をしジルコニア質焼結体を得、該焼結体を16メッシュおよび25.6メッシュ(目開き1mmおよぴ0.6mm)の標準篩で分級してこの範囲の大きさのジルコニア質グリットを得、ショットブラストテストに供すると共に、ブラスト後プラズマ溶射した皮膜の付着力テストを行った。
【0040】
実施例9
磨耗やクラックが発生した、実施例1と同じ組成の正方晶70モル%のジルコニア質焼結体の廃材を電気炉中で500℃に1時間保持し、室温の水中に投入した。表面にクラックが発生するととも細片が得られた。その細片を7.5メッシュ(目開き2.36mm)および10メッシュ(目開き1.7mm)の標準篩で分級し、7.5メッシュ篩上のものは上記の加熱−急冷−分級の操作を繰り返して篩の目開きで1.7〜2.36mmのグリットを得た。それをショットブラストテストに供し、ブラスト後プラズマ溶射した皮膜の付着力テストをした。
【0041】
比較例1
市販のアルミナ質グリット(粒径0.71〜0.85mm)を用いてショットブラストテストを供すると共に、ブラスト後プラズマ溶射した皮膜の付着力テストを行った。
【0042】
しかし、ブラスト処理により破損するグリットがあった。
【0043】
比較例2
市販の鋳鉄グリット(粒径0.71〜0.85mm)を用いてショットブラストテストを供すると共に、ブラスト後プラズマ溶射した皮膜の付着力テストを行った。
【0044】
ブラスト後、被処理材とグリット表面に錆が発生し、酸洗浄が必要だった。
【0045】
比較例3
電気炉による焼成温度を1250℃とする他は、実施例2と同一の方法でジルコニア質グリットを得、ショットブラストテストに供すると共に、ブラスト後プラズマ溶射した皮膜の付着力テストを行った。
【0046】
しかし、ブラスト処理により破損するグリットがあった。
【0047】
比較例4
ZrO2とY23との合計に対するY23換算8モル%とする他は、実施例2と同一の方法でジルコニア質グリットを得、ショットブラストテストに供すると共に、ブラスト後プラズマ溶射した皮膜の付着力テストを行った。
【0048】
しかし、ブラスト処理により破損するグリットがあった。
【0049】
以上の各例で得られたグリットの特性、ショットブラストの結果およびショットブラスト後の溶射皮膜の強度を表1に示す。
【0050】
正方晶の量は、接着剤を塗布した金属板の上に試料を接着させ、表面を研磨した後、X線回折し、次式によって算出した。
【0051】
正方晶量(モル%)=[{It(111)}/{Im(11−1)+
m(111)+It(111)+Ic(111)}]×100
ここで、Im(11−1)は単斜晶の11−1面のX線強度、Im(111)は単斜晶の111面のX線強度、It(111)は正方晶の111面のX線強度、Ic(111)は立方晶の111面のX線強度である。
【0052】
グリットの焼結体密度の測定は、JIS R 6125の人造研削材の比重の測定方法により行った。
【0053】
グリットの衝撃強度の測定は、落下位置をグリット下面6cmから始め、割れなければ1cmづつおもりの位置を上げて割れるまでおこない、10個の平均値とした。
【0054】
ショットブラストテストは、ゲ−ジ圧力4kgf/cm2の圧縮空気を利用した直圧式ノズルタイプを用いて行い、厚さ5mmの炭素鋼(SS41 50×50×5mm)を被処理材として、15分間ブラスト処理を行い、グリットの破損の有無(◎:破損なし、○:若干の摩耗あり、△:破損はないが錆が発生、×:破損あり)を確認した。
【0055】
溶射皮膜の付着力テストは、炭素鋼(SS41 径40mm,長さ40mm)をショットブラストと同一の条件でブラストし、皮膜厚さ約350μmで部分安定化ジルコニア(東ソー社製、TZ−3Y:Y23 3モル%)をプラズマ溶射したものを用い、JIS H 8666のセラミック溶射試験方法に基き行い、次式で求めた。
【0056】
付着力(N/cm2)=P/A
(ここで、P:引張破断荷重(N)、A:溶射面積(cm2))
【0057】
【表1】
Figure 0003550588

Claims (4)

  1. 目開き4mmの篩下が実質上100%であり、対理論密度が90%以上であり、衝撃強度が420kgf/cm以上であり、とがった形状を持ち、かつ、正方晶系の結晶構造のものが50モル%以上であるジルコニア質焼結体からなることを特徴とする、ジルコニア質グリット。
  2. /ZrO換算モル比で1.5/98.5〜5.0/95.0のイットリウム化合物を含有する、ジルコニア質スラリーまたはジルコニアゾルを、乾燥し、
    a 1300〜1600℃で焼成し、破砕し、分級して目開き4mmの篩下を採取するかまたは
    b 粗砕し、分級して次の焼成によって目開き4mmの篩下が実質上100%となる大きさのものを採取し、1300〜1600℃で焼成することを特徴とする、請求項1記載のジルコニア質グリットの製造方法。
  3. /ZrO換算モル比で1.5/98.5〜5.0/95.0のイットリウム化合物を含有する、ジルコニア質成形体を切断するかまたは粗砕した後、
    a 分級して次の焼成によって目開き4mmの篩下が実質上100%となる大きさのものを採取し、1300〜1600℃で焼成するかまたは
    b 1300〜1600℃で焼成し、分級して目開き4mmの篩下を採取することを特徴とする、請求項1記載のジルコニア質グリットの製造方法。
  4. 対理論密度が90%以上であり、かつ、正方晶系の結晶構造のものが50モル%以上であるジルコニア質焼結体を250℃以上に加熱した後、水中に投入して急冷し、
    a 得られた細片を分級して目開き4mmの篩下を採取するかまたは
    b 上記の急冷により表面にクラックの発生した焼結体を破砕し、分級して目開き4mmの篩下を採取することを特徴とする、請求項1記載のジルコニア質グリットの製造方法。
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