JP3550501B2 - ゲル状組成物 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に外用に適している、ゲル状組成物に関する技術分野の発明である。
【０００２】
【従来の技術】
シリコーン油は、のびが軽くさっぱりとした使用感を有する等の特徴から、メイクアップ化粧料，頭皮・頭髪用化粧料をはじめとする様々な製品に配合されている。シリコーン油は、特にゲル状製品、例えば、ゲル状ファンデーション，サンスクリーンジェル，モイスチャージェル，ヘアジェル，制汗ジェル等において、その特徴を生かして使用されている。
【０００３】
シリコーン油を含有するゲル状組成物としては、シリコーン油１００重量部にデキストリン脂肪酸エステル２〜３０重量部を含有するゲル状組成物（特公平３−６１７９号公報）、オルガノハイドロジェンポリシロキサン架橋重合物と低粘度シリコーン油からなるゲル状組成物（特開昭６３−１５２３０８号公報）等が既に提案されている。
【０００４】
ところが、これら従来の、シリコーン油含有ゲル状組成物は、経時での安定性が悪く、シリコーン油が分離するという問題があった。
そこで、最近、経時安定性に優れたシリコーン油含有ゲル状化粧料（特願平５−２６８１６８号公報）が提案されているものの、使用感に若干のべたつきがあり、水々しさが不足しているという問題が指摘されていた。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明が解決すべき課題は、経時安定性に優れていると同時に、使用感にべたつきがなく、水々しい、シリコーン油含有ゲル状組成物を提供することである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、この課題の解決に向けて鋭意研究を重ねた結果、特定のシリコーン化合物及び低級アルコールを配合することにより、この課題を解決し得ることを見いだし、本発明を完成した。
【０００７】
すなわち本発明は、下記（ｉ）〜（iv）を含有し、かつ、有機変性粘土鉱物の含有量が組成物全量に対して０〜０．１重量％未満である、皮膚外用油中水型ゲル状組成物を提供する発明である。
（ｉ）１種または２種以上のシリコーン油［ただし、下記式［α］の高分子量シリコーン
【化３】
（Ｒ _１ はメチル基又は一部がフェニル基を表し、Ｒ _２ はメチル基又は水酸基を表す。また、ｐは３０００〜２００００の整数を表す。）
を除く］；
（ii）１種または２種以上の、下記一般式（Ｉ）：
【化４】
〔式中、Ａは、互いに無関係に、メチル基、フェニル基及び一般式（II）： −Ｃ₃ Ｈ₆ Ｏ（Ｃ₂ Ｈ₄ Ｏ）_a （Ｃ₃ Ｈ₆ Ｏ）_b Ｒ' （II）
（式中、Ｒ' は水素原子、アシル基及び炭素数１〜４のアルキル基からなる群から選択される基であり、ａ、ｂはそれぞれ０〜５０の整数であるが、ａ及びｂの両方が０である場合を除く）で示されるポリオキシアルキレン基からなる群から選択される基であり、Ｒは、互いに無関係に、メチル基又はフェニル基であり、ｍは１〜４９の整数、ｎは１〜４０の整数である。但し、メチル基、フェニル基及びポリオキシアルキレン基の一部がフッ素原子により置換されていてもよく、また、１分子中のポリオキシアルキレン基の含有量は４０〜５０重量％である〕で示されるポリエーテル変性シリコーン；
（iii)水；
（iv）１種または２種以上の低級アルコール；
【０００８】
本発明ゲル状組成物において、低級アルコールの含有量が、組成物全量に対して、１．０〜２５．０重量％である場合、低級アルコールがエタノール又はｉ−プロパノールである場合、シリコーン油が環状ジメチルポリシロキサンである場合が、特に所期の効果を良好に発揮し得る。
【０００９】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明ゲル状組成物は、１種又は２種以上のシリコーン油を含有するゲル状組成物である。
本発明ゲル状組成物において配合されるシリコーン油は特に限定されず、例えば、ジメチルポリシロキサン，メチルフェニルポリシロキサン，ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等の、低粘度から高粘度までのジオルガノポリシロキサン；オクタメチルシクロテトラシロキサン，デカメチルシクロペンタシロキサン，テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン等の環状ポリシロキサン；高重合度のガム状ジメチルポリシロキサン，ガム状ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体，ガム状ジメチルポリシロキサンの環状シロキン溶液；トリメチルシロキシケイ酸，トリメチルシロキシケイ酸の環状シロキサン溶液等を挙げることができ、さらに、炭素数６〜５０のアルキル基を有するジオルガノポリシロキサン，アミノ変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等を挙げることができる。
これらの中で、環状ポリシロキサン、特に、オクタメチルシクロテトラシロキサン，デカメチルシクロペンタシロキサン等の環状ジメチルポリシロキサンが、本発明ゲル状組成物の極めて優れた経時安定性をもたらすことから、好ましい。
【００１０】
本発明ゲル状組成物において、シリコーン油の含有量は特に限定されないが、組成物全量に対して、８０．０重量％以下であることが好ましい。シリコーン油の含有量が、組成物全量に対して８０．０重量％を超えると、ゲルの経時安定性を悪くするため、好ましくない。
【００１１】
本発明ゲル状組成物は、さらに、１種又は２種以上の、上記一般式（Ｉ）で示されるポリエーテル変性シリコーンを含有する。このポリエーテル変性シリコーン（Ｉ）は、１分子中に少なくとも１つのポリオキシアルキレン基を有するオルガノポリシロキサンである。
【００１２】
式（Ｉ）中、Ａは、互いに無関係に、メチル基、フェニル基又は一般式（ＩＩ） ：
−Ｃ_３ Ｈ_６ Ｏ（Ｃ_２ Ｈ_４ Ｏ）_ａ （Ｃ_３ Ｈ_６ Ｏ）_ｂ Ｒ’ （ＩＩ）
で示されるポリオキシアルキレン基である。式（ＩＩ） 中、ａ個の−Ｃ_２ Ｈ_４ Ｏ−基及びｂ個の−Ｃ_３ Ｈ_６ Ｏ−基はランダムに重合していてもブロック状に重合していてもよい。
【００１３】
式（ＩＩ）中、Ｒ’ は水素原子、アシル基又は炭素数１〜４のアルキル基である。Ｒ’ のアシル基としては、具体的には、ホルミル基，アセチル基，プロピオニル基，ブチリル基，アクリロイル基，ベンゾイル基，トルオイル基等を挙げることができ、炭素数１〜４のアルキル基としては、具体的には、メチル基，エチル基，ｉ−プロピル基，ｎ−プロピル基，ｔ−ブチル基，ｎ−ブチル基を挙げることができる。
【００１４】
また、ａ、ｂはそれぞれ０〜５０の整数であるが、ａ及びｂの両方が０である場合は除かれる。ａ及びｂが共に０である場合には、ポリエーテル変性シリコーンが十分な増粘効果を示さなくなり、好ましくなく、また、ａ及び／又はｂが５０を超える場合には、得られるゲル状組成物が、べたついた使用感を有するようになり、好ましくない。
【００１５】
式（Ｉ）中、ｍは１〜５０の整数であり、ｎは１〜４０の整数である。ｍが０である場合及び／又はｎが０である場合には、ポリエーテル変性シリコーンが十分な増粘効果を示さなくなり、好ましくなく、また、ｍが５０を超える場合及び／又はｎが４０を超える場合には、得られるゲル状組成物が、べたついた使用感を有するようになり、好ましくない。
【００１６】
また、その一部がフッ素原子により置換されているメチル基としては、例えば、フルオロメチル基，ジフルオロメチル基等を挙げることができ、その一部がフッ素原子により置換されているフェニル基としては、例えば、フルオロフェニル基等を挙げることができる。
【００１７】
ポリエーテル変性シリコーン（Ｉ）の、ポリオキシアルキレン基（ＩＩ）の含有量は、特に限定されないが、２０〜７０重量％（但し、２０重量％は含まない）であることが好ましく、４０〜５０重量％であることが特に好ましい。ポリオキシアルキレン基の含有量が２０重量％以下である場合には、ポリエーテル変性シリコーンの増粘効果が著しく低下し、好ましくなく、また、７０重量％を超える場合には、シリコーン油との相溶性が低下し、好ましくない。
また、本発明ゲル状組成物に配合されるポリエーテル変性シリコーン（Ｉ）の分子量は、特に限定されず、また、その２５℃における粘度も特に限定されない。
【００１８】
本発明ゲル状組成物において、ポリエーテル変性シリコーン（Ｉ）の含有量は特に限定されないが、組成物全量に対して、２．０〜５０．０重量％であることが好ましく、５．０〜４０．０重量％であることが特に好ましい。ポリエーテル変性シリコーンの含有量が、組成物全量に対して、２．０重量％未満であると、安定なゲル状組成物を得ることが困難となり、好ましくなく、また、５０．０重量％を超えると、得られるゲル状組成物が、べたついた使用感を有するようになり、好ましくない。
【００１９】
本発明ゲル状組成物は、さらに、水を含有する。
本発明ゲル状組成物において、水の含有量は特に限定されないが、組成物全量に対して、０．２〜８０．０重量％であることが好ましく、１０．０〜４０．０重量％であることが特に好ましい。水の含有量が、組成物全量に対して、０．２重量％未満であると、十分に安定なゲル状組成物を得ることが困難となり、好ましくなく、また、８０．０重量％を超えると、ゲル状組成物から水が分離し易くなり、十分に安定なゲル状組成物を得ることができず、好ましくない。
【００２０】
本発明ゲル状組成物は、さらに、１種又は２種以上の低級アルコールを含有する。
本発明ゲル状組成物において用いられる低級アルコールは特に限定されないが、メタノール，エタノール，ｉ−プロパノール，ｎ−プロパノール，ｔ−ブタノール，ｓ−ブタノール等が好ましい。これらの低級アルコールは、ゲル状組成物の経時安定性を著しく向上させる効果を有する。これらの低級アルコールの中ではエタノール及びｉ−プロパノールが好ましく、エタノールが特に好ましい。
【００２１】
本発明ゲル状組成物において、低級アルコールの含有量は、組成物全量に対して、１．０〜２５．０重量％であることが好ましく、５．０〜１０．０重量％であることが特に好ましい。低級アルコールの含有量が、組成物全量に対して、１．０重量％未満である場合又は２５．０重量％を超える場合には、得られるゲル状組成物の経時安定性が低下し、好ましくない。
【００２２】
本発明ゲル状組成物には、上記した必須成分に加えて、必要により適宜、保湿剤，界面活性剤，紫外線吸収剤，酸化防止剤，防腐剤，防黴剤，薬剤，体質顔料，着色顔料，香料等の、通常ゲル状組成物に用いられる成分を、発明の効果を損なわない範囲で、配合することができる。
【００２３】
本発明ゲル状組成物は、特に医薬品，医薬部外品又は化粧品の分野において用いられ、殊に外用に適している。本発明ゲル状組成物は、例えば、ゲル状ファンデーション，サンスクリーンジェル，モイスチャージェル，ゲル状化粧下地，洗浄・メーク落とし用ジェル，ヘアジェル，制汗ジェル等として用いることができる。
【００２４】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて具体的に説明する。但し、これらの実施例により、本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
なお、これらの実施例等における配合量は、特に断らない限り、その成分が配合される系全体に対する重量％である。
これらの実施例等の組成物について、官能評価及び経時安定性の測定は、次に示す方法により行った。
【００２５】
＜官能評価＞
化粧品専門パネル１０名を用いて、▲１▼のび、▲２▼さっぱりさ、▲３▼肌なじみ、▲４▼べたつきのなさ及び▲５▼化粧持ちの官能評価を行ない、１０人中８名以上が良いと判断した場合を◎、６〜７名が良いと判断した場合を○、４〜５名が良いと判断した場合を△、３人以下が良いと判断した場合を×として、評価した。
なお、化粧持ちについては、２時間の歩行運動による実使用試験を実施した後の化粧崩れの度合いを観察し、化粧持ちが良い、とは、本人による化粧崩れの目視観察において、化粧崩れがない又は僅かでありほとんど化粧が残っている状態を示す。
【００２６】
＜経時安定性の測定＞
得られた各ゲル状組成物を、それぞれ４個のガラス瓶に充填し、５０℃、４０℃、２０℃及び０℃の恒温槽に放置し、１ヶ月間、分離、色縞、凝集、沈降等の外観上の変化を観察し、恒温槽に放置する前と比べていずれのガラス瓶にも何ら変化がない場合を○、４個のガラス瓶の中の一部にでも分離等が見られた場合を×と評価した。
【００２７】
実施例１〜２及び比較例１〜６ ファンデーション
以下に示す配合のファンデーションを、後述する製造方法に従って調製し、官能評価及び経時安定性の測定を行い、その結果を、使用した（８）ポリエーテル変性シリコーンの種類，得られたファンデーションの状態及び硬度と共に、第１表に示す。
なお、第１表に示すＡ〜Ｅのポリエーテル変性シリコーンは、一般式（ＩＩＩ）で示されるポリエーテル変性シリコーンであって、ｍ，ｎ，ａ，ｂ，ポリオキシアルキレン基の含有量及び分子量（計算値）が第２表に示すものである。
【００２８】
なお、比較例１においては、ポリエーテル変性シリコーンの代わりに、デカメチルペンタシクロシロキサン、比較例５においてはマイクロクリスタリンワックス（Ｆ）、比較例６においては、デキストリン脂肪酸エステル（Ｇ）を使用した。
【００２９】
【００３０】
＜製造方法＞
（７）に（６）を分散した後、（１）〜（５）の粉末を分散する。次いで、ここに（８）及び（９）を溶解し、油相パーツとする。（１０）と（１１）を混合して調製した水相パーツを、油相パーツ中に攪拌しながら添加する。脱気後容器に充填し、ファンデーションを得た。
【００３１】
【表１】
【００３２】
【化３】
【００３３】
【表２】
【００３４】
第１表及び第２表から、ポリエーテル変性シリコーン（Ｉ）中のポリオキシアルキレン基の含有量が、４０〜５０重量％である場合に、経時安定性に優れていると同時に、使用感にべたつきがなく、しかも、肌上でののびが軽くさっぱりとした使用感を有し、肌なじみ及び化粧持ちもよい、ゲル状のファンデーションが得られることがわかる。
【００３５】
以下、さらに他の本発明ゲル状組成物の処方例を示す。
【００３６】
実施例３ サンスクリーンジェル
【化４】
【００３７】
＜製造方法＞
（１）〜（３）及び（７）〜（１０）を室温で混合し溶解した後、ホモミキサーで攪拌しながら（５）を加えて完全に混合した。その後、ホモミキサーで攪拌を続けながら（４）及び（６）を添加しゲル化させ、サンスクリーンジェルを得た。
このサンスクリーンジェルは、使用感にべたつきがなく、かつ経時安定性に極めて優れていて、しかも、肌上でののびが軽くさっぱりとした使用感を有していた。
【００４０】
実施例５ モイスチャージェル
【化６】
【００４１】
＜製造方法＞
実施例４と同様にして、モイスチャージェルを得た。
このモイスチャージェルは、経時安定性が極めて優れていると共に、べたついた使用感がなく、しかも、肌上でののびが軽くさっぱりとした使用感を有していた。
【００４２】
実施例６ ゲル状化粧下地
【化７】
【００４３】
＜製造方法＞
（３）〜（７）を混合して４０℃で溶解し、そこに（８）を均一に分散し油相を調製する。この油相に（１），（２）及び（９）を十分に撹拌しながら添加し、ホモミキサーで均一に混合し、脱気、ろ過してゲル状化粧下地を得た。
このゲル状化粧下地は、経時安定性が極めて優れていると共に、べたついた使用感がなく、しかも、肌上でののびが軽くさっぱりとした使用感を有していた。
【００４４】
【発明の効果】
本発明によれば、経時的安定性が極めて優れていると同時に、べたついた使用感がなく、しかも、肌上でののびが軽くさっぱりとした使用感を有するゲル状組成物が提供される。

Claims (4)

1. 下記（ｉ）〜（iv）を含有し、かつ、有機変性粘土鉱物の含有量が組成物全量に対して０〜０．１重量％未満である、皮膚外用油中水型ゲル状組成物。
   （ｉ）１種または２種以上のシリコーン油［ただし、下記式［α］の高分子量シリコーン
   （Ｒ _１ はメチル基又は一部がフェニル基を表し、Ｒ _２ はメチル基又は水酸基を表す。また、ｐは３０００〜２００００の整数を表す。）
   を除く］；
   （ii）１種または２種以上の、下記一般式（Ｉ）：
   〔式中、Ａは、互いに無関係に、メチル基、フェニル基及び一般式（II）： −Ｃ₃ Ｈ₆ Ｏ（Ｃ₂ Ｈ₄ Ｏ）_a （Ｃ₃ Ｈ₆ Ｏ）_b Ｒ' （II）
   （式中、Ｒ' は水素原子、アシル基及び炭素数１〜４のアルキル基からなる群から選択される基であり、ａ、ｂはそれぞれ０〜５０の整数であるが、ａ及びｂの両方が０である場合を除く）で示されるポリオキシアルキレン基からなる群から選択される基であり、Ｒは、互いに無関係に、メチル基又はフェニル基であり、ｍは１〜４９の整数、ｎは１〜４０の整数である。但し、メチル基、フェニル基及びポリオキシアルキレン基の一部がフッ素原子により置換されていてもよく、また、１分子中のポリオキシアルキレン基の含有量は４０〜５０重量％である〕で示されるポリエーテル変性シリコーン；
   （iii)水；
   （iv）１種または２種以上の低級アルコール；
2. 低級アルコールの含有量が、組成物全量に対して１．０〜２５．０重量％である、請求項１記載のゲル状組成物。
3. 低級アルコールがエタノール又はｉ−プロパノールである、請求項１又は２記載のゲル状組成物。
4. シリコーン油が環状ジメチルポリシロキサンである、請求項１〜３のいずれかに記載のゲル状組成物。