JP3550177B2 - 画像処理装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は,カラー写真,絵画等をカラーで画像処理する画像処理装置に関する。
【0002】
カラー印刷等のために,コンピュータを使用してカラーで画像処理をする画像処理装置の開発が進められている。このようなカラーの画像処理装置は,変更する対象の色と変更後の色を指定して色相変換する等の色の編集を画面上で行うことができるものである。
【0003】
【従来の技術】
図8は従来の画像処理装置を示す。
図8において,
200は変換前の画像である。
【0004】
201は変換前の画像ブロックであって,例えば,8×8画素の集まりである。
200’は変換後の画像である。
【0005】
201’は変換後の画像ブロックである。
205は画像処理装置である。
206は変換指示部であって,変換する色相の指定等の色相変換を指示するものである(例えば,赤の色相を黄色の色相に変換する等)。
【0006】
210 画像データ入力部であって,画像200の各画素の画像データを入力するものである。各画素は均等色空間座標系の座標(L* ,a* ,b* )をもつものである。L* は明度,a* ,b* は色(色相/彩度)を表す。
【0007】
211は色相変換部であって,L* a* b* 座標系の色(a* ,b* )を,マンセル座標系(後述する)の色相Hに変換し,入力された画像データの色相が変換を指定された色相の領域に含まれるものであるかないかを判定し,指定された色相の領域に含まれるものであれば,変換された色相Hを回転して変換後の色相H’とし,色相H’をa* b* 座標系の色(a* ’,b* ’)に変換するものである。
【0008】
212は画像データ出力部であって,変換された画像データを出力するものである。
図8の構成で示すように,従来の画像処理装置は色相のみ変換するもので,明度は変換の前後で変更されることはなかった。
【0009】
図9は,従来の画像処理装置の色相変換の説明図である。
図9 (a)は従来の画像処理装置の色相変換の説明図である。
オペレータ指示の変更前色相をHorg,その色相角をRorg,変更後の色相をHchg,その色相角をRchgとすると,回転前のHに対する回転後のH’はH=Hchg−(Horg−H)×(Rchg/Rorg)で算出される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
図9 (b)により,発明が解決しようとする課題を説明する。
図9 (b)において,a* 軸は色相を表し(a* が大きくなる程彩度が高くなる),縦軸は明度L* を表す。図9 (b)は黄色の色相の明度の分布を表し,黄色の色相の明度は図のように分布し,黄色の色相空間の全部に一様に明度が分布するものでないことを示す。
【0011】
図9 (a)の変換後の色相H0 ’が黄色の色相であり,図9 (b)の座標Yに変換されたものであれば,黄色の明度の分布領域内のものであるので変換された色相は自然であるが,Y’に変換されたような場合には,現実に存在しない明度となるので不自然に表現されることとなる。
【0012】
本発明は,変換された色相に応じて不自然でない明度に自動的に明度を調整する画像処理装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
図1は本発明の基本構成を示す。
図1において,
1は画像処理装置である。
【0014】
2は画像データ入力部であって,変換前の画像データを入力するものである。
4は画像データ出力部であって,変換後の画像データを出力するものである。
5は変換指示部であって,変換する色相および変換後の色相の指定等を行うものである。
【0015】
10は色相変換部であって,画像データの色相を変換するものである。
11は明度変換部であって,明度調整テーブル12を参照して画像データの明度を変換するものである。
【0016】
12は明度調整テーブルであって,変換された色相が不自然でない明度に調整されるように調整前の明度と調整後の明度を対応付けたものである。調整前の明度と調整後の明度の対応は,例えば,変換式もしくは調整前の明度と調整後の明度を対応付けた変換表を備える等で行うものである。
【0017】
【作用】
図1の本発明の基本構成の動作を説明する。
画像データ入力部2は変換前の画像データを画素毎に入力する。色相変換部10は入力された画素の色相が変換指定された領域の色相に含まれるものであるかないかを判定し,変換を指定さた色相領域に含まれるものであれば,指定された色相に変換する。
【0018】
明度変換部11は,色相を変換された画素の明度(輝度)を判定し,明度調整テーブル12を参照し,変換された色相の明度の変換式もしくは変換データを参照する。そして,明度の変換式もしくは変換表に従って変換する。
【0019】
画像データ出力部4は変換された色相と明度の画像データを出力する。
本発明によれば,色相変換された画像データをそれぞれの色相に応じて定められる自然な明度に変換するので,見た目に自然な変換画像を得ることができる。
【0020】
【実施例】
図2は本発明の実施例構成を示す図である。図2はL* a* b* 座標系の座標(L* ,a* ,b* )の(a* ,b* )を色相角H(0〜360°)の色相変換(H変換)を行う場合の実施例構成を示す。
【0021】
図2において,
40はRGBデータ入力部であって,イメージスキャナー,撮像装置等である。
【0022】
41は色変換部1であって,RGBデータをL* a* b* 座標系の明度,色相(L* ,a* ,b* )に変換するものである。
42は色変換部2であって,L* a* b* 座標系の明度,色相(L* ,a* ,b* )をRGBデータもしくはYMCデータ(印刷出力するためのデータ)に変換するものである。
【0023】
43はディスプレイである。
44は印刷装置である。
50は画像処理装置であって,画像データの色相と明度を変換するものである。
【0024】
51は画像データ入力部である。
52は画像データ保持部であって,変換前の画像データと変換後の画像データを保持するものである。
【0025】
52’は変換前画像データである。
52”は変換後画像データである。
54は画像データ出力部である。
【0026】
55は変換指示部である。
60は色相変換部である。
61は明度変換部である。
【0027】
62は明度調整テーブルである。
70は変換前の画像データ(L* ,a* ,b* )を表す。
71はH変換された画像データ(H,L* )である。
【0028】
72はマンセル座標系で色相Hを回転することにより色相変換した座標(H’,L* )である。
73は,明度調整テーブル62を参照して明度を変換されたマンセル座標系の画像データ(H’,L* )である。
【0029】
73’は色相変換されなかった画像データ(H,L* )である。
74は(H’,L* )をL* a* b* 座標系の(L* ’,a* ’,b* ’)に変換したものである。
【0030】
図2の構成の動作は後述する。
図3は色相と最大明度の関係の説明図である。
図3 (a)は標準カラーチャートおよび色表を参考にして,各色相において最も大きい彩度の明度値を求め,色相と最大明度の関係をグラフに表したものである。図3 (b)は,上記の色相と最大明度の関係を表にしたものである。
【0031】
図3 (a)のグラフおよび図3 (b)の表に示されるように,色相と最大明度の関係は一様でなく,色相により異なるものである。従って,色相変換された明度も変換前と後のそれぞれの色相の明度の最大値を考慮して変換する必要がある。
【0032】
例えば,色相H=92を色相H=358に変更する場合を考える。色相H=92は最大明度184をもつ。一方,色相H=358は最大明度79である。そこで,本発明は,例えば,色相H=92を色相H=358に変更する場合には,その明度の最大値184と79を考慮して,変換後の色相の明度もその最大明度に応じて変換するようにする。
【0033】
図4は本発明の明度調整テーブルの作成方法の説明図である。
図4 (a)は変換式による場合である。
明度L(以後,H変換においても明度はLで表す)から明度L’へのH変換において最大明度255は最大明度255に,最小明度0(真黒)は最小明度0に変換,色相変換された画像の色が自然に表現されるように,あらかじめ実験的に明度L0とL1を求める。そして,L0,L1に対して,(1) L≦L0の場合には,L’=(L1/L0)×L,(2) L>L0の場合には,L’=255−{(L1/L0)×(255−L)}により,LをL’に変換するものである。なお,L0,L1は色相によって異なるものである。
【0034】
図4 (b)は図4 (a)の変換式の0〜255のLに対するL’を表にしたものである。明度変換は,上記のような変換式によって計算するか,あるいは変換前の明度Lと変換後の明度L’を対応付けた変換表を作成し,変換表に従って変換する。変換表による場合には処理が高速化される。
【0035】
図4の変換式もしくは変換表は色相毎もしくは色相グループ毎等に作成する。
図5は本発明の明度調整テーブルの例を示す図である。
図5 (a)は,変更方法1であって,線形変換の場合である(図4 (a)と同様である)。L0,L1は変換された明度が自然であるように実験的に求める。変更前明度Lに対して0≦L≦L0の場合にはグラフk1の式に従って,明度変換し,L0<L≦255の場合にはグラフk2の式に従って明度変換する。グラフを変換表にし,表に従って変換するようにしても良い。
【0036】
(b)は非線形に変換する場合である。図のように,非線形のグラフの表す変換式により変更前Lを変更後L’に変換するものである。グラフを変換表とし,表に従って変換するようにしても良い。
【0037】
(c)は非線形変換において,ハイライトポイントもしくはグレーポイントを変更する場合を示す。
実線(k1)はグレーポイントを明るい方に変更する場合であり,点線(k2)はハイライトポイントを変更する場合である。グラフを変換表にし,表に従って変換するようにしても良い。
【0038】
図2の本発明の実施例構成の動作を説明する。
色変換部1(41)は,RGBデータ入力部40よりRGBデータを入力し,L* a* b* 座標系での座標(L* ,a* ,b* )に変換する。画像処理装置50は色変換部1(41)の変換した画像データを画素毎に入力し,色相変換および明度変換を行う。
【0039】
画像処理装置50において,画像データ入力部51は,色変換部1(41)から,L* a* b* 座標系に変換された画像データを取り出し,画像データ保持部52に格納する。
【0040】
次に,図6により色相明度変換部の動作を説明する(図2を参照する)。
S1 色相換部60は,全画素を取り出したか判定し,全画素を取り出していればS8に進み,取り出していなければS2に進む。
【0041】
S2,S3 色相変換部60は,画像データの画素(L* ,a* ,b* )を画像データ保持部52から取り出す。取り出した画像データ(L* ,a* ,b* )(70)についてH変換し,H変換された画像データ(H,L* )(71)を得る。
【0042】
S4,S4’ Hが対象領域か判定し,H領域外であれば,それを元の(L* ,a* ,b* )(74)に変換して,画像データ保持部52の変換後画像データ52”として格納する。対象領域内であればS5に進む。
【0043】
S5 H変換された画像データ(71)を回転し,回転後の座標データ(H’,L* )(72)を得る。
この処理において,オペレータ指示の変更前色相をHorg,その色相角をRorg,変更後の色相をHchg,その色相角をRchgとすると(図9参照),回転前のHに対する回転後のH’はH=Hchg−(Horg−H)×(Rchg/Rorg)で算出される。
【0044】
S6 明度変換部61は変換部のH’により,明度調整テーブル62の,H’に対応する色相の変換式もしくは変換表を参照し,L* (変換調整テーブルのL)に基づいて変換後の明度L* を求める。
【0045】
S7 色相と明度を変換されたマンセル座標系の画像データ(H’,L* )をL* a* b* 座標系の画像データ(L* ’,a* ’,b* ’)に変換し,画像データ保持部52に変換後画像データ52”として格納する。
【0046】
S8 全画像データについて処理をしたら,画像データ出力部54は変換後画像データを色変換部2(42)に出力する。
色変換部2(42)は,RGBデータに変換してディスプレイ43に出力する。また,YMCデータに変換して印刷装置に出力する。
【0047】
図7は本発明の画像処理装置の色相変換部の実施例を示す。
L* a* b* 座標系のa* ,b* のとる範囲がそれぞれ0〜255の時は予め変換する領域の(a* ,b* )から(a* ’,b* ’)への色相変換テーブルを作成しておき,(a* ,b* )から(a* ’,b* ’)への変換を色相変換テーブルを参照して行うことにより処理を高速化することが可能になる。
【0048】
図7はそのようにした場合の色相変換部の実施例である。
図7において,
61は明度変換部である。
【0049】
62は明度調整テーブルである。
80は色相変換部である。
81は入力された画像データである。
【0050】
82は領域判定部であって,入力された画像データ81が指定された変換領域内であるかないかを判定するものである。
83は色相変換テーブル参照部であって,画像データが変換領域の内部にある場合に色相変換テーブル84を参照し,変換後の色相を求めるものである。
【0051】
84は色相変換テーブルであって,変換前の色相(a* ,b* )に対応する変換後の色相(a* ’,b* ’)を対照表として保持するものである。
85は変換後の画像データである。但し,画像データ(L* ,a* ,b* )(81)が変換領域外の色相であれば,変換されない画像データ(L* ,a* ,b* )(81)と同じものである。
【0052】
図7の構成において,色相変換部80は画像データ保持部(図示せず(図2参照))から画像データ(L* ,a* ,b* )(81)を取り込む。
領域判定部82は取り込んだ画像データが指定された変換領域内にあるか判定し,判定結果を色相変換テーブル参照部83に通知する。色相変換テーブル参照部83は取り込まれた画像データ(L* ,a* ,b* )(81)が変換を指定された領域内にあれば,色相変換テーブル84を参照し,変換する色相の画像データ(a* ’,b* ’)を取り出し,画像データ(L* ,a* ’b* ’)(85)を獲得して,明度変換部61に転送する。変換を指定された領域外であれば,取り込んだ画像データ(L* ,a* ,b* )(81)をそのまま,明度変換部61に転送する。
【0053】
明度変換部61は,受け取った画像データの色相に対応する明度調整テーブル62の明度変換式もしくは変換データを参照し,明度L* の変換データL* ’を求め,画像データ(L* ’,a* ,b* )もしくは(L* ’,a* ’,b* ’)を画像データ保持部に出力する。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば,画像処理装置において画像データの色を変更する場合に,オペレータは変更前の色と,変更後の色を指定するだけで簡単に,変換された色相に応じた自然な明度の色を得ることができる。そのため,色の編集処理において適正な色を求めることが容易になる。また,色相変換および明度変換に変換データを対応付けた変換表を使用することにより高速に色相変換,明度調整の処理を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本構成を示す図である。
【図2】本発明の実施例構成を示す図である。
【図3】色相と最大明度の関係の説明図である。
【図4】本発明の明度調整テーブルの作成方法を示す図である。
【図5】本発明の明度調整テーブルの例を示す図である。
【図6】本発明の色相明度変換部の動作のフローチャートを示す図である。
【図7】本発明の画像処理装置における色相変換部の実施例を示す図である。
【図8】従来の画像処理装置を示す図である。
【図9】従来の画像処理装置の色相変換の説明図である。
【符号の説明】
1:画像処理装置
2:画像データ入力部
5:変換指示部
10:色相変換部
11:明度変換部
12:明度調整テーブル
Claims (1)
- 均等色空間系L* a* b* で表現された画像データを変換する画像処理装置であって,
変換前の明度Lの値と変換後の明度L’の値とを対応付けた変換表を色相ごとに管理する明度調整テーブルと,
L* a* b* で表現されている入力画像データ(L* ,a* ,b* )のうち(a* ,b* )から色相Hを求める手段と,
該色相Hが変更対象であるか否かを判断する手段と,
該色相Hが変更対象である場合に,変換後の色相H’を求める手段と,
該変換後の色相H’および変換前の明度L* を用いて前記明度調整テーブルから変換後の明度L* ’を求める手段と,
変換後の色相H’および変換後の明度L* ’からL* a* b* 系画像データ(L* ’,a* ’,b* ’)を求める手段と,
変換後の画像データとして(L* ’,a* ’,b* ’)を出力する手段と
を有する画像処理装置。
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