JP3550037B2 - 露光装置および液晶ディスプレイの製造方法 - Google Patents

露光装置および液晶ディスプレイの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、大面積の基板を露光するのに適した露光装置に関する。また、そのような露光装置を用いた液晶ディスプレイの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来、この種の露光装置としては、所定のマスクパターンを基板上に投影して露光パターンを形成する投影露光法を採用したものが知られている。この投影露光法による場合、光学系の分解能と1回当たりの露光面積との間のトレードオフから、基板面を複数のブロックに区分し、ブロック毎の照射を繰り返して基板全体を露光するステッパ方式が用いられている。
【0003】
しかしながら、ステッパ方式による露光装置は、照射の繰り返し回数が基板の対角サイズの2乗に比例して増大するため、大面積の基板ほど露光時間が増大するという問題がある。例えば、現在A4版程度の液晶ディスプレイの製造用露光装置において主流となっているステッパ方式露光装置の1回の露光時間は5分間程度であるが、今後市場の拡大が見込まれる40インチ(1m角以上)の大型ディスプレイの露光を検討すると、面積の2乗に比例して露光時間が増大するため、1回の露光時間は50分間以上と長くなって実用的な露光時間を大幅に逸脱する。さらに基板の大型化に伴いステージにかかる慣性力が大きくなり、ステッパ方式のように移動と停止を繰り返す方式では短時間に高精度にステージ移動を行うことがますます困難になる。さらに、ステッパ方式により基板面を複数のブロックに区分して露光する場合、ブロック間の重ね合わせ精度の甘さにより、ブロック間の継ぎ目にコントラストの差(いわゆるブロック別れ)が発生し、量産時の良品率低下を引き起こす。また、1回に露光できる面積を拡大させるには大口径露光用レンズを用いる方式があるが、分解能と露光面積の原理的な制限の他、レンズの製造が非常に困難となり、露光装置が著しく高価になるという問題がある。また、直径数インチの基板を用いるLSI製造工程ではサブミクロンの解像度まで実現されているが、液晶ディスプレイの製造工程のように大型ガラス基板を露光するような場合は、ある程度の焦点深度を確保することとのトレードオフから、サブミクロン単位までの線幅を実現することは非常に困難である。
【0004】
これに対して別のタイプの露光装置として、マスクを介することなく、配線パターン等のCADデータに基づいて、収束したレーザビームや電子ビームなどのエネルギービームを基板に照射して、一筆書きの要領で露光を行う直描方式を採用したものが知られている。この直描方式では、ステッパ方式のようにブロック毎にステージの移動と停止を繰り返すわけではないから、ステージ移動が容易になる。さらに、基板面を複数のブロックに区分して露光するわけではないから、いわゆるブロック別れが生じることはない。また、サブミクロン単位までの線幅を実現することが容易になる。
【0005】
この直描方式による露光装置の例として、光源のアルゴンレーザビームを8本のビームに分岐させた後、各々の分岐されたレーザビームのオン/オフを一台の超音波変調素子により行ってパターンを形成する装置が提案されている(特開昭62−26819号公報)。また、直描方式による類似の露光装置として、光源に半導体レーザを用いる例がある(特開平2−74022号公報)。さらに、液晶ディスプレイの製造工程で大面積の基板を露光する場合に、スループット低下と光学系の高コスト化を避けるために、複数の半導体レーザ光源をアレイ状に配置し、それとアレイ状の安価な光学系を組み合わせて構成された装置が提案され(特開平6−53105号公報)、また、レーザ光源を同じようにアレイ状に配列させ、これに非線形結晶を用いた波長変換を加えて紫外レーザ光源としたものが提案されている(特開平8−334803号公報)。
【0006】
しかしながら、直描方式による従来の露光装置では、光源がアレイ上に固定されており、所望のピッチで露光を行うためにはアレイごと交換するか、もしくは装置に必要な分だけアレイを大量に設けなければならないという問題がある。また、紫外レーザ光源を用いたものでは、非線形結晶を用いた波長変換を行う際の変換効率が低いため、十分な光出力が得られず露光時間が長くなる。さらに光源モジュールを作る際のコストも、半導体レーザからの出射光を直接用いた場合に比して高価になることは避けられない。
【0007】
そこで、この発明の目的は、大面積の基板を高スループットかつ高解像度で露光でき、しかも簡単な構造で安価に構成できる露光装置を提供することにある。
【0008】
また、この発明の目的は、そのような露光装置を用いた液晶ディスプレイの製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の露光装置は、露光すべき基板が載置されたステージと、それぞれ半導体レーザチップを有する複数のレーザモジュールが列をなして搭載されたアレイユニットとを互いに平行に対向させた状態で、上記複数のレーザモジュールの半導体レーザチップが出射したレーザ光をそれぞれ基板面に対して垂直に照射しながら上記ステージとアレイユニットとを相対的に移動させて上記基板上を走査する露光装置において、上記各レーザモジュールは上記アレイユニット上で列方向に移動可能に設けられ、上記基板を露光すべきパターンを表すデータに基づいて、上記アレイユニット上で上記各レーザモジュールの上記列方向の位置を設定する位置決め手段を備え、上記アレイユニットは、X方向に延びるXアレイユニットとY方向に延びるYアレイユニットとを組み合わせて構成され、上記複数のレーザモジュールは、それぞれ上記Xアレイユニット、Yアレイユニットの長手方向に沿って所定のピッチになるように、上記Xアレイユニット、Yアレイユニットの長手方向の中心に関して対称に配置されることを特徴とする。
【0010】
この請求項1の露光装置では、位置決め手段が、基板を露光すべきパターンを表すデータに基づいて、アレイユニット上で列をなして並ぶ各レーザモジュールの列方向の位置を設定する。そして、上記各レーザモジュールの半導体レーザチップのオン/オフを制御しながら、上記基板が載置されたステージとアレイユニットとが平行状態を保ったまま上記列方向に対して垂直な方向に関して相対的に移動される。これにより、1回の走査でもって、上記基板上の上記各レーザモジュールに対応した位置にそれぞれライン状の露光パターンが形成される。したがって、各レーザモジュールの列方向の位置を変更することによって、アレイユニットを交換等することなく、上記基板上に様々なピッチの露光パターンが比較的少ない走査回数で形成される。この結果、大面積の基板を高スループットで露光できる。また、この露光装置は直描方式に属するので、高解像度で露光できる。しかも、光源として半導体レーザを採用しているので、複雑な光学系を採用する必要がなく、簡単な構造で安価に構成できる。
【0011】
また、この露光装置では、位置決め手段が、基板を露光すべきパターンを表すデータに基づいて、アレイユニット上で列をなして並ぶ各レーザモジュールの列方向の位置を設定する。このとき、複数のレーザモジュールは、それぞれ上記Xアレイユニット、Yアレイユニットの長手方向に沿って所定のピッチ(これを「モジュールピッチ」と呼ぶ。)になるように、上記Xアレイユニット、Yアレイユニットの長手方向の中心に関して対称に配置される。例えば、比較的小面積の基板を小ピッチで露光する場合は、比較的少ない走査回数で済むように、上記複数のレーザモジュールが上記Xアレイユニット、Yアレイユニットの長手方向中央部に密集するように配置される。一方、比較的大面積の基板を露光する場合は、上記複数のレーザモジュールが上記Xアレイユニット、Yアレイユニットの長手方向全域にわたって分散するように配置される。そして、X方向に走査する場合、上記Yアレイユニット上の各レーザモジュールの半導体レーザチップのオン/オフを制御しながら、上記基板が載置されたステージとアレイユニットとがX方向に関して相対的に移動される。これにより、1回の走査でもって、X方向に直線状に延び、かつY方向に関して上記Yアレイユニット上のモジュールピッチに対応したピッチを有する複数の露光ラインが形成される。また、Y方向に走査する場合、上記Xアレイユニットの各レーザモジュールの半導体レーザチップのオン/オフを制御しながら、上記基板が載置されたステージとアレイユニットとがX方向に関して相対的に移動される。これにより、1回の走査でもって、Y方向に直線状に延び、かつX方向に関して上記Xアレイユニット上のモジュールピッチに対応したピッチを有する複数の露光ラインが形成される。したがって、上記Xアレイユニット、Yアレイユニット上のモジュールピッチを変更することによって、アレイユニットを交換等することなく、上記基板上に、X方向、Y方向に様々なピッチを有する露光パターンが比較的少ない走査回数で形成される。この結果、大面積の基板を高スループットで露光できる。
【0012】
なお、X方向に直線状に延び、かつY方向に関して上記Yアレイユニット上のレーザモジュールがとり得る最小ピッチよりも小さいピッチ(目標ピッチ)を有する露光ラインを形成したい場合は、上記Yアレイユニット上のモジュールピッチを上記目標ピッチの整数倍に設定し、上記アレイユニットをY方向に関して上記目標ピッチ分だけずらしながらX方向の走査を繰り返せば良い。同様に、Y方向に直線状に延び、かつX方向に関して上記Yアレイユニット上のレーザモジュールがとり得る最小ピッチよりも小さいピッチ(目標ピッチ)を有する露光ラインを形成したい場合は、上記Xアレイユニット上のモジュールピッチを上記目標ピッチの整数倍に設定し、上記アレイユニットをX方向に関して上記目標ピッチ分だけずらしながらY方向の走査を繰り返せば良い。
【0013】
請求項2に記載の露光装置は、請求項1に記載の露光装置において、上記各レーザモジュールの半導体レーザチップは青色のレーザ光を出射することを特徴とする。
【0014】
この請求項2の露光装置では、各レーザモジュールの半導体レーザチップは青色のレーザ光を出射するので、レーザ光のビーム径、したがって露光ラインの線幅をサブミクロンオーダ(青色光の回折限界である0.5μm)まで絞ることができ、解像度をさらに向上させることができる。また、レーザ光のビーム径をサブミクロンオーダまで絞ることができる結果、基板上に照射されるレーザ光のエネルギ密度が高まるので、高速の走査が可能となり、さらにスループットが高まる。
【0015】
請求項3に記載の露光装置は、請求項1または2に記載の露光装置において、上記各レーザモジュールは、半導体レーザチップとこの半導体レーザチップの出力を検出するフォトディテクタとを少なくとも含むレーザ系を2組搭載し、上記フォトディテクタの出力に基づいて、上記2組のレーザ系を切り替えて動作させる制御手段を備えたことを特徴とする。
【0016】
この請求項3の露光装置では、通常は2組のレーザ系のうち一方のレーザ系(これを「本来のレーザ系」と呼ぶ。)のみが使用され、この本来のレーザ系が出射したレーザ光が基板面に照射される。そして、本来のレーザ系に異常が生じた場合、制御手段は上記本来のレーザ系のフォトディテクタの出力に基づいてそのことを認識し、瞬時に他方のレーザ系(これを「予備のレーザ系」と呼ぶ。)に切り替えて動作させることができる。そして、この予備のレーザ系が出射したレーザ光が基板面に照射される。このようにした場合、或る基板の露光中に或るレーザモジュールの本来のレーザ系に異常が生じたとしても、走査を中断することなく、そのレーザモジュールの予備のレーザ系によって露光を継続することができる。
【0017】
なお、上記本来のレーザ系に異常が生じた旨の警告を外部に発することもできる。
【0018】
請求項4に記載の露光装置は、請求項3に記載の露光装置において、上記制御手段は、或る基板を露光している間に上記フォトディテクタの出力に基づいて或るレーザモジュールに異常が発生したことを認識したとき、別のレーザモジュールを選択して、上記基板面のうち上記異常が発生したレーザモジュールが照射すべき箇所に上記別のレーザモジュールが出射したレーザ光を照射させる露光シーケンスを付加する制御を行うことを特徴とする。
【0019】
この請求項4の露光装置によれば、或る基板を露光している間に或るレーザモジュールに異常が発生したとき、基板面のうち上記異常が発生したレーザモジュールが照射すべき箇所に別のレーザモジュールが出射したレーザ光が照射される。したがって、上記基板の露光が確実に行われる。
【0020】
また、請求項5に記載の液晶ディスプレイの製造方法は、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の露光装置を用いた露光により、少なくとも絵素電極をパターン加工することを特徴とする。
【0021】
この請求項5の液晶ディスプレイの製造方法では、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の露光装置を用いた露光により、少なくとも絵素電極をパターン加工するので、液晶ディスプレイを高スループットで生産できる。また、上記露光装置は直描方式に属するので、高解像度で露光できる。すなわち、レーザモジュールが出射するレーザ光のビーム系を絞ることによって、絵素電極同士の隙間(線幅)の寸法がサブミクロンオーダに仕上げられ、高開口率が実現される。なお、ステッパ方式のごとく基板面を複数のブロックに区分して露光するわけではないから、いわゆるブロック別れが生じることはない。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0023】
図1は一実施形態の露光装置100を斜め上方から見たところを示している。
【0024】
ガラス基板1がXYZステージ8上に置かれ、それらの上方に十字型のアレイユニット10が配置されている。このアレイユニット10は、X方向に延びる全長2mのXアレイユニット6とY方向に延びる全長2mのYアレイユニット7とを十字に組み合わせて構成されている。Xアレイユニット6は細長い3列のサブアレイ61,62,63を備え、同様に、Yアレイユニット7は細長い3列のサブアレイ71,72,73を備えている。各サブアレイ61,62,63,71,72,73には、それぞれ201個のレーザモジュール601がそのサブアレイの長手方向(以下、単に「長手方向」という。)に1列に並べて搭載されている。X,Y方向に交差している1組のサブアレイは、原点(長手方向の中央)に位置する1個のレーザモジュール601が重複し、結果的に合計401個のレーザモジュールで構成されている。したがって、アレイユニット10は合計1203個のレーザモジュール601を含んでいる。各レーザモジュール601のX,Y方向のサイズは5mm×5mmに設定されている。各レーザモジュール601が基板1へ照射する青色レーザ光の照射パターンは、青色光の回折限界である直径0.5μmの円形である。
【0025】
図2に示すように、X方向に延びるサブアレイ61上では、各レーザモジュール601が長手方向に沿って移動できるようになっている。長手方向に並ぶレーザモジュール601のピッチ(以下「モジュールピッチ」という。)は5〜10mmの範囲で調節され、モジュールピッチが10mmに設定されたときはレーザモジュール601,601,…がサブアレイ61の全長(約2m)にわたって分散して配置される一方、モジュールピッチが5mmに設定されたときはレーザモジュール601,601,…が原点を中心として長手方向中央部(約1mの範囲)に密集して配置される。他のサブアレイ62,63,71,72,73でも、それぞれレーザモジュール601が長手方向に沿って同様に移動できるようになっている。
【0026】
図1中に示すモジュールコントローラ3には、アレイユニット10に含まれた各レーザモジュール601が並列的に接続されている。したがって、モジュールコントローラ3は、メインコントローラ2からの制御信号に基づいて複数のレーザモジュール601,601,…を互いに独立にオン/オフ制御することができる。
【0027】
位置決めコントローラ4は、メインコントローラ2が出力したモジュール位置決めデータに基づいて、サブアレイ61,62,63,71,72,73上にそれぞれ複数のレーザモジュール601,601,…を位置決めする。
【0028】
ステージコントローラ5は、メインコントローラ2からの制御信号に基づいてXYZステージ8を移動させる。なお、XYZステージ8は、X,Y方向に関して基板1を端から端まで走査するように移動されるが、Z方向に関してはビーム照射時のフォーカス調整等の僅かな変位を補正するために用いられる。
【0029】
メインコントローラ2は、この露光装置100全体の制御を行う。すなわち、アライメントユニット9を制御するとともに、露光パターンデータに基づいてステージコントローラ5とモジュールコントローラ3のための制御信号を生成する。そして、露光パターンデータに従って、XYZステージ8の移動に同期させてアレイユニット10に含まれた各レーザモジュール601のオン/オフをモジュールコントローラ3に行わせる。これにより、所望のパターンの露光を行うことができる。
【0030】
図3(a),(b)は上記レーザモジュール601の構成を示している。図3(a)に示すように、このレーザモジュール601は、ヒートシンク612に取り付けられた半導体レーザチップ611と、レーザチップ611からの出射光L1を平面波L2にするコリメートレンズ613と、このコリメートレンズ613の出射光L2を基板を照射するための光L3とレーザチップ611の動作状態をモニタするための光L4とに分離するビームスプリッタ614と、ビームスプリッタ614からの光L4を受けてレーザチップ611の動作状態をモニタするフォトディテクタ615と、フォトディテクタ615が発生した光強度モニタ電圧を信号処理に必要な電気信号に変換する制御信号発信器616と、前記ビームスプリッタ614からの出射光L3を集光して基板1に照射させる集光レンズ617と、この集光レンズ617の位置を上下に動かして出力ビームLの径を調節する集光レンズ駆動ユニット618を有している。ここで用いる半導体レーザチップ611は、波長420nm(青色)、出力10mWのものとする。レーザチップ611、制御信号発信器616および集光レンズ駆動ユニット618は、それぞれモジュール側面に設けられた接続端子619a,619b,619cを介して上述のモジュールコントローラ3に接続されている。モジュールコントローラ3は、制御信号発信器616からの信号に基づいて、レーザチップ611の出力が所定レベルになるように公知の手法によりフィードバック制御を行う。
【0031】
図3(b)に示すように、レーザモジュール601内には、上記本来のレーザ系611,613,614,615,617,618(これらをまとめて符号610で表す)に加えて、予備のレーザ系611′,613′,614′,615′,617′(これらをまとめて符号610′で表す)が組み込まれている。本来のレーザ系610を使用していてレーザチップ611やフォトディテクタ615の動作異常が検出された場合、瞬時に予備のレーザ系610′が稼働するようにモジュールコントローラ3が命令を出す。この時、露光位置に若干の差が生じるので、その露光位置の差が補正されるようにメインコントローラ2がモジュールコントローラ3とステージコントローラ5の動きを制御する。また、露光シーケンスに無駄が生じないようにするため、1つのレーザモジュール内の2つのレーザ系610,610′の位置はビーム走査方向に対して平行に配置されている。
【0032】
本露光装置100は、図7に示す露光シーケンスに従って次のように動作する。
【0033】
なお、この例では、1m×1mのガラス基板1上に絵素電極を形成するために、X方向、Y方向に関して、各サブアレイ上でレーザモジュール601がとり得る最小ピッチ5mmよりも小さいピッチ、すなわちX方向に50μmのピッチ、Y方向に100μmのピッチを持つ格子状の露光パターンを形成するものとする。
【0034】
(1) まず最初に、メインコントローラ2は露光パターンデータを読み込み、その露光パターンデータに基づいて、ステージコントローラ5とモジュールコントローラ3のための制御データ及び位置決めコントローラ4へ送信すべきモジュール位置決めデータを生成し、それらのデータを蓄積する(図7のS1)。このモジュール位置決めデータに基づいて、位置決めコントローラ4は、サブアレイ61,62,63,71,72,73上にそれぞれレーザモジュール601,601,…を位置決めする。この例では、図4(a)に示すように、Y方向のモジュールピッチはサブアレイ71,72,73のいずれにおいても6mmとし、隣り合うサブアレイ71,72,73の間ではレーザモジュール601の位置を2mmずつずらした配置とする。同様に、図5(e)に示すように、X方向のモジュールピッチはサブアレイ61,62,63いずれにおいても6mmとし、隣り合うサブアレイ61,62,63の間ではレーザモジュール601の位置を2mmずつずらした配置とする。このようにレーザモジュール601を配置することにより、後に述べるように個々のレーザモジュール601のサイズ(1辺5mm)よりも小さいピッチのパターンを形成することができる。
【0035】
(2) 次に、図1中に示したXYZステージ8及びアライメントユニット9を用いて基板1の高さ調整及びアライメントを行う。この時、照射されるレーザビームLの径が所望の値(ここでは0.5μm)となるように高さ調整が行われ、同時にレーザモジュール601内でも集光レンズ駆動ユニット618が動作し、最適位置に調整される(S2)。
【0036】
なお、露光用の光源として波長420nmの青色半導体レーザチップ611を使用していることから、基板1上の感光剤としては、ステッパで使用される紫外光感光性のレジストを使用する(波長が近いので、分光感度は十分と考える。)。
【0037】
(3) 次に、露光を開始する(S3)。すなわち、
i)図4(a)に示すように、基板1を載せたステージ8を一旦スタート位置(Yアレイユニット7の左方の位置)に移動させた後、ステージ8を+X方向に加速し始め、基板1の左端がYアレイユニット7の照射位置にかかったときから一定速度1m/sで移動させる。このステージ移動中にYアレイユニット7の各レーザモジュール601のオン/オフを露光パターンデータに従って制御する。このようにしてX方向の1回目の走査を行って、図4(b)に示すように、0.5μmの線幅でX方向に直線状に延び、Y方向のピッチが2mmの複数の露光ライン1xを形成する。なお、露光中のステージ8のX,Y方向の速度を1m/sと比較的高速に設定できる理由は、集光レンズ617によって出力ビームLの径を0.5μmとサブミクロンオーダまで絞っているからである(光エネルギが十分であると考える。)。
【0038】
続いて、ステージ8がYアレイユニット7の右方に存在する状態でステージ8を100μmだけY方向に移動させる。そして、1回目とは逆向きに−X方向に移動させてX方向の2回目の走査を行う。これにより、図5(c)に示すように、1回目に形成された各露光ライン1xに対してそれぞれY方向に100μmだけずれた位置に、それぞれ0.5μmの線幅を持つ新たな露光ライン1xを形成する。このようにして、Yアレイユニット7の各レーザモジュール601のオン/オフを制御しながらステージ移動を繰り返してX方向に10往復させることにより、図5(d)に示すように、0.5μmの線幅でそれぞれX方向に直線状に延び、Y方向のピッチが100μmであるような露光パターン1x,1x,…を形成する。
【0039】
ii)この後、X方向の走査と同様の手順で、ステージ8を+Y方向に速度1m/sで移動させながらXアレイユニット6の各レーザモジュール601のオン/オフを制御する。このようにしてY方向の1回目の走査を行って、図5(e)に示すように、0.5μmの線幅でY方向に直線状に延び、X方向のピッチが2mmの複数の露光ライン1yを形成する(なお、図5(e),図6(f)では、理解の容易のため、既に形成したX方向の露光ラインが省略されている。)。続いて、ステージ8を50μmだけX方向に移動させてY方向の2回目の走査を行って、図6(f)に示すように、1回目に形成された各露光ライン1yに対してそれぞれX方向に50μmだけずれた位置に、それぞれ0.5μmの線幅を持つ新たな露光ライン1yを形成する。このようにしてXアレイユニット6の各レーザモジュール601のオン/オフを制御しながらステージ移動を繰り返してY方向に20往復させることにより、0.5μmの線幅でそれぞれX方向に直線状に延び、Y方向のピッチが50μmであるような露光パターン1y,1y,…を形成する。
【0040】
上記i),ii)の結果として、図6(g)に示すように、ガラス基板1上に、それぞれ0.5μmの線幅を持つ複数のライン1x,1yからなり、X方向に50μmのピッチ、Y方向に100μmのピッチを持つ格子状のパターンが形成される。
【0041】
ステージ8の移動1往復に要する時間を2秒とすると、この露光工程による基板1枚当たりの処理時間は、アライメントや基板の交換等を考慮しても3分と予想される。従来のステッパ法を用いた場合の処理時間は50分であるから、この露光工程により処理時間を大幅に短縮でき、大型液晶ディスプレイ基板を実用的なスループットで露光できることが分かる。
【0042】
(4) なお、上述の露光を行っている間、モジュールコントローラ3は、各レーザモジュール601の制御信号発信器616からの信号に基づいて、レーザ出力強度が最適になるように各レーザモジュール601への注入電流を制御するとともに、各レーザモジュール601の動作に異常がないか否かをモニタする(図7のS4)。異常が発生することなく走査が終了すれば、この露光工程をそのまま終了する(S5)。
【0043】
一方、いずれかのレーザモジュール601に制御しきれない出力低下等の異常が発生した場合は、メインコントローラ2及びモジュールコントローラ3が制御手段として働いて、そのレーザモジュール601の半導体レーザ611への電流供給を停止し、オペレータへの警告を発するとともに、直ちにそのレーザモジュール601内の予備の半導体レーザ611′を動作させて(S6)、予備のレーザ系610′によって露光を継続する(S7)。なお、異常を引き起こしたのが半導体レーザ611ではなくフォトディデクタ615である場合も、同様に予備のレーザ系610′に切り替えて露光を継続する。引き続き、モジュールコントローラ3は、各レーザモジュール601の動作に異常がないか否かをモニタし(S8)、異常が発生することなく走査が終了すれば、この露光工程を終了する(S5)。
【0044】
もし、予備のレーザ系610′によって動作しているレーザモジュール601内で予備のレーザ系610′までも異常になったり、その他何らかの異常が発生した場合は(S8)、直ちにそのレーザモジュール601の動作を停止し、オペレータへの警告を発するとともに、その時の基板1の照射位置を記憶する(S9)。そして、正常データに基づく露光を一旦終了した後(S10)、修正パターンデータを生成して読み込み(S11,S12)、基板1内で先程露光が行われなかった領域のみ露光を行う(S3〜S5)。
【0045】
このようにした場合、露光中にレーザモジュール601に突然異常が発生したとしても、仕掛かっている基板1の露光を最後まで実行でき、露光の歩留まりを向上させることができる。また、いずれかのレーザモジュール601に異常が発生したときは直ちにオペレータに対して警告を発するので、その警告に基づいて露光終了後にレーザモジュールの交換を行うことができる。
【0046】
また、この実施形態では、基板1に塗布するレジストを紫外光用のものにしているので、ステッパとの組み合わせ露光が可能となる。例えば、画素内の0.5μmパターンを本露光装置100で露光し、ドライバ部等の線幅が太いパターンをステッパで露光すれば、それぞれの露光装置のスループットや特徴を考慮した最適な露光が可能となる。もちろん、ドライバ部でサブミクロンオーダの線幅が必要な場合も、本露光装置100ではサブアレイ61,62,63,71,72,73上でモジュールピッチが可変であるから、アレイを交換することなく、1回の露光処理で連続して露光を行うことができる。
【0047】
また、本露光装置100では、Xアレイユニット6、Yアレイユニット7に含まれるサブアレイの数や長さを可変して設定することができ、必要な生産規模や装置コストに容易に適合させることができる。
【0048】
現在液晶ディスプレイの生産で広く使用されているような、線幅2μmの抜きパターンを形成できるステッパにより、寸法50μm×100μmの絵素電極を作製した場合、単純計算では開口率が94.08%となる。これに対して、本露光装置100により線幅0.5μmの抜きパターンを形成すれば、開口率が98.505%となり、従来に比して4.425ポイントだけ開口率を高めることができる。しかも、液晶ディスプレイにおける絵素電極とソースバスライン等との間の重ね合わせ精度を考慮すると、ステッパで94%の開口率を実現するのは困難であるから、実際には本露光装置100により10ポイント以上も開口率を高められると期待できる。さらに、ステッパ方式では基板上で絵素部を複数のブロックに区分して露光するため、重ね合わせ精度が甘いとブロック別れ(ブロック間でコントラストの差)が生じることがあるが、本露光装置100によれば基板上を連続的に走査して露光するので、そのような懸念は全くない。したがって、液晶ディスプレイの良品率を向上させることができる。
【0049】
【発明の効果】
以上より明らかなように、この発明の露光装置によれば、大面積の基板を高スループットかつ高解像度で露光できる。しかも、この発明の露光装置は、簡単な構造で安価に構成され得る。
【0050】
また、この発明の液晶ディスプレイの製造方法は、そのような露光装置を用いて液晶ディスプレイを高スループットで生産できる。また、絵素電極同士の隙間(線幅)の寸法がサブミクロンオーダに仕上げることができ、高開口率を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態の露光装置が稼動している状態を表す斜視図である。
【図2】上記露光装置のサブアレイ中のレーザモジュールの移動を説明する図である。
【図3】上記レーザモジュールの構造を示す図である。
【図4】上記露光装置による露光工程を説明する図である。
【図5】上記露光装置による露光工程を説明する図である。
【図6】上記露光装置による露光工程を説明する図である。
【図7】上記露光装置のための露光シーケンスを示すフロー図である。
【符号の説明】
1 基板
2 メインコントローラ
3 モジュールコントローラ
4 位置決めコントローラ
5 ステージコントローラ
6 Xアレイ
7 Yアレイ
8 XYZステージ
9 アライメントユニット
61,62,63,71,72,73 サブアレイ
601 レーザモジュール

Claims (5)

  1. 露光すべき基板が載置されたステージと、それぞれ半導体レーザチップを有する複数のレーザモジュールが列をなして搭載されたアレイユニットとを互いに平行に対向させた状態で、上記複数のレーザモジュールの半導体レーザチップが出射したレーザ光をそれぞれ基板面に対して垂直に照射しながら上記ステージとアレイユニットとを相対的に移動させて上記基板上を走査する露光装置において、
    上記各レーザモジュールは上記アレイユニット上で列方向に移動可能に設けられ、
    上記基板を露光すべきパターンを表すデータに基づいて、上記アレイユニット上で上記各レーザモジュールの上記列方向の位置を設定する位置決め手段を備え、
    上記アレイユニットは、X方向に延びるXアレイユニットとY方向に延びるYアレイユニットとを組み合わせて構成され、
    上記複数のレーザモジュールは、それぞれ上記Xアレイユニット、Yアレイユニットの長手方向に沿って所定のピッチになるように、上記Xアレイユニット、Yアレイユニットの長手方向の中心に関して対称に配置されることを特徴とする露光装置。
  2. 請求項1に記載の露光装置において、
    上記各レーザモジュールの半導体レーザチップは青色のレーザ光を出射することを特徴とする露光装置。
  3. 請求項1または2に記載の露光装置において、
    上記各レーザモジュールは、半導体レーザチップとこの半導体レーザチップの出力を検出するフォトディテクタとを少なくとも含むレーザ系を2組搭載し、
    上記フォトディテクタの出力に基づいて、上記2組のレーザ系を切り替えて動作させる制御手段を備えたことを特徴とする露光装置。
  4. 請求項3に記載の露光装置において、
    上記制御手段は、或る基板を露光している間に上記フォトディテクタの出力に基づいて或るレーザモジュールに異常が発生したことを認識したとき、別のレーザモジュールを選択して、上記基板面のうち上記異常が発生したレーザモジュールが照射すべき箇所に上記別のレーザモジュールが出射したレーザ光を照射させる露光シーケンスを付加する制御を行うことを特徴とする露光装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一つに記載の露光装置を用いた露光により、少なくとも絵素電極をパターン加工することを特徴とする液晶ディスプレイの製造方法。
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