JP2011044502A - 光照射装置及びアニール装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】微小スポットに絞り込んだレーザ光を走査することによってアニールを行うにあたり、タクトタイムを短縮することを目的とする。またさらには、タクトタイムの短縮を安価で容易な装置構成で実現することを目的とする。
【解決手段】光源1と、光源から出射する光を走査する走査部8と、光源1から出射された光を走査部8へ導く第1の光学系7と、走査部8により走査された光を複数の光路に分割する光束分割素子19とを含む。そしてさらに、走査部8により走査された光を光束分割素子19に導く第2の光学系10と、複数に分割された光をそれぞれ被照射面45に集光する対物レンズ42と、複数に分割された光を対物レンズ42に導く第3の光学系40と、を含む光照射装置とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザ等の光を照射する装置に関する。特に複数本のビームを照射可能であり、レーザアニールに好適な光照射装置及びアニール装置に関する。
液晶表示装置や有機EL(Electro-Luminescence)表示装置などの薄型表示装置において、スイッチング素子として用いられる薄膜トランジスタ(TFT)として、キャリアの移動度が大きいことから多結晶シリコンTFTが主流となっている。このようなディスプレイ用の多結晶シリコンTFTの製造工程においては、非晶質シリコン基板をアニールして多結晶化する方法として通常エキシマレーザが用いられる。このエキシマレーザを用いた方法は、パルス発振するレーザ光をライン状に成形して非晶質シリコンに照射してアニールを行うものである。この方法で製造した多結晶シリコンTFTは、シリコン結晶粒が大きいため比較的大きな電流を流しやすい。しかしその反面、ガスレーザを利用するためパルス間エネルギの安定性が低く、結晶粒の大きさがばらつきやすい。このため輝度ムラ等の要因となり、TFTの特性ばらつきが大きくなってしまうという問題があった。
したがって、アニール用光源としてはエキシマレーザの代わりに半導体レーザや固体レーザを用いるとエネルギが安定であり、さらに寿命が長いことから好ましい。ところが、半導体レーザや固体レーザはエキシマレーザと比較すると干渉性が高いため、被照射領域における光の強度分布が不均一となってしまい、結局結晶粒の大きさにばらつきが生じてしまう。
このため、下記特許文献1ではビームスプリッタと反射鏡により一本のレーザ光を互いに干渉性のない4本のレーザ光に分割し、それを再び一本のレーザ光に合成することで強度分布を均一とすることを提案している。
また下記特許文献2においては、下記特許文献1に記載された方法によりアニールを行う際に、ビームの照射径以下のピッチを保って平行に走査させることが開示されている。この場合には、一回の走査毎に形成される結晶粒が、隣の領域の結晶粒の結晶性を引き継ぐように形成されるため、帯状に融合した結晶粒を規則的に形成することができる。
国際公開2003/049175号 特開2007−281421号公報
上記特許文献2に記載の方法では、高精度にパワー制御された微小スポットをスキャンしてアニールを行う。したがって結晶粒の大きさや結晶粒界などの結晶品質をコントロールすることが可能である。このため、比較的大きな結晶粒が得られると同時に、TFTの特性ばらつきも抑制することができる。
しかしながら上記の方法は、例えば波長405nmのレーザ光において0.5〜0.6nmの微小スポットに絞り込んだレーザ光を走査して照射を行う。このため、ライン状のビームを照射するエキシマレーザアニールに比べ、アニールのタクトタイムが非常に長くなってしまう。このタクトタイムの問題を解決するために、例えばスポットを照射する光学ヘッドを複数並べて構成するといったマルチヘッド方式をとることも可能ではある。しかしこれでは、並べたヘッドの数だけ部品が必要となり、装置のコストが高くなってしまう。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものである。すなわち、微小スポットに絞り込んだレーザ光を走査することによってアニールを行うにあたり、タクトタイムを短縮することを目的とする。またさらには、タクトタイムの短縮を小型な装置構成で実現することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明による光照射装置は、光源と、光源から出射する光を走査する走査部と、光源から出射された光を走査部へ導く第1の光学系を含む。また、走査部により走査された光を複数の光路に分割する光束分割素子と、走査部により走査された光を分割素子に導く第2の光学系と、複数に分割された光をそれぞれ被照射面に集光する対物レンズと、複数に分割された光を対物レンズに導く第3の光学系とを含む。
また、本発明によるアニール装置は、上述の光照射装置と、被照射基板を設置する移動ステージと、前記光照射装置と移動ステージとを連動させて制御するコントロールユニットとを含む。
これにより、本発明による光照射装置及びアニール装置では、一つの光源からの光が同一光学系によって複数の光線に分割される。したがって、被照射体には複数の光線が照射されることになり、アニールを行う際のタクトを短縮することが可能となる。
本発明によれば、複数の光線を被照射体に照射することができる。したがって、この照射装置を用いてアニールを行えばアニールにかかるタクトを短縮することができる。また、複数の光源を必要としないため部品点数を削減することができ、装置を小型化することができる。
第1の実施の形態による光照射装置の光学系を示す構成図である。 第1の実施の形態による光照射装置を構成する光学部品の共役関係を示す構成図である。 音響光学偏向素子の特性を示す説明図であり、図3Aは走査速度の変化を示す図、図3Bはそれに伴うアニール領域の変化を示す図、図3Cは一回の走査における光量の変化を示す図、図3Dはそれに伴うアニール領域の変化を示す図である。 第2の実施の形態によるアニール装置を示す斜視図である。 第2の実施の形態によるアニール装置を示す上面図である。 第2の実施の形態によるアニール装置によるレーザ光の走査方法を示す説明図である。 レーザ光の走査量と、XYステージの移動量との関係を示す説明図である。 第2の実施の形態によるアニール装置によるレーザ光の走査方法を示す説明図である。 レーザ光の走査量と、XYステージの移動量との関係を示す説明図である。 第2の実施の形態によるアニール装置によるレーザ光の走査方法を示す説明図である。 レーザ光の走査量と、XYステージの移動量との関係を示す説明図である。 図12Aは第2の実施の形態によるアニール装置によってアニールをおこなったアモルファスシリコンの上面図である。図12Bは図12Aの拡大上面図である。
以下本発明を実施するための最良の形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
2−1.アニール装置の構成
2−2.レーザ光の照射方法
2−3.実験結果
1.第1の実施の形態
図1は本実施の形態における光照射装置100の光学系を示す構成図である。本実施の形態による光照射装置100は、半導体レーザ等の固体レーザより成る光源1と、光源1から出射されたレーザ光を走査する音響光学偏向素子(AOD:Acoustic Optical Deflector)等の走査部8と、を備える。更に、光源1から出射されたレーザ光を走査部8に導く第1の光学系を備える。また、走査部8により走査されたレーザ光を分割する回折格子等の光束分割素子19と、走査部8により走査されたレーザ光を光束分割素子19へ導く第2の光学系を備える。そして、走査部8により分割されたレーザ光を被照射体へ集光する対物レンズ42と、走査部8により分割されたレーザ光を対物レンズ43へと導く第3の光学系とを備える。
第1の光学系は例えば光源1からのレーザ光をコリメートするコリメートレンズ2と、コリメートされたレーザ光の径を成型する開口絞り3と、成型されたレーザ光の径を所定のサイズに調節するエキスパンダーレンズ7とによって構成することができる。
この場合、光源1から出射したレーザ光はコリメートレンズ2によってコリメートされ、開口絞り3によって外径を成型される。そしてエキスパンダーレンズ7によって音響光学素子8の入射口に適したサイズの径に調整され、音響光学素子8に入射する。
また第1の光学系の光路中、開口絞り3の出射側にはビームスプリッタ4を設け、これによって反射された光を集光レンズ5によってフォトディテクタ(PD)6に集光する構成としてもよい。この場合、フォトディテクタ6に検出されたレーザ光の強度に基づいて、オートパワーコントロール装置44により、光源1の出射光強度が常に一定になるように出力を制御することができる。
なお、ビームスプリッタ4は光源1からのレーザ光のうち一部を反射するのみとして、ほとんどの光は透過して走査部8へと入射することが好ましい。このようにすることで、被照射体に照射する光エネルギの損失を抑えることができる。
走査部8は、制御装置44により、入射したレーザ光を所定の偏向角と光量で走査するように制御される。
なお、走査部8としては、ガルバノミラーやポリゴンミラーを用いることもできる。ただし、これらは機械的に走査を行うのに対して、音響光学偏向素子は圧電素子等を用いた音響光学効果によりレーザ光を回折させるため、電気的な補正が可能であり、またスキャン速度が速いので好ましい。
走査部8によって走査されたレーザ光は第2の光学系によって光束分割素子19へ導かれる。この第2の光学系は、例えば走査部8によって走査されたレーザ光を光束分割素子19に導くリレーレンズ10によって構成することができる。図1に示す例では、走査部8とリレーレンズ10との間に進行方向を変えるミラー9を設けているが、省略可能である。また、図1中リレーレンズ10と光束分割素子19との間に設けるビームスプリッタ12については、後述する。
光束分割素子19としては、例えば回折格子やホログラム等を用いることができる。回折格子等を用いる場合、入射したレーザ光は例えば0次光、±1次光、±2次光等のレーザ光に分割される。この各回折光の光量比は回折格子やホログラムの設計により精度よく調整可能である。本実施の形態において例えばレーザ光を2本に分割する場合は、±1次光の回折光量が互いに等しく、且つその他の回折光が極力発生しないように回折格子を選択するのが好ましい。
他にも光束分割素子19としては、回折格子の代わりにホログラムを用いてレーザ光を分割しても構わない。
また走査部8から回折格子19までの光路上には、音響光学偏向素子等の走査部8の偏光特性を補正するために、必要に応じてλ/2板11を配置してもよい。
そして光束分割素子19によって分割されたレーザ光は、第3の光学系により対物レンズ42へと導かれる。
光束分割素子19により分割されたレーザ光は、例えば偏光ビームスプリッタ20を透過し、第3の光学系である例えばリレーレンズ40等によって1/4波長板41を介して対物レンズ42に入射する。これにより、対物レンズ42に入射したレーザ光はそれぞれ被照射体45上の二箇所の微小スポットに集光される。なお、ここでは光束分割素子19によって2本のレーザ光に分割する例としたが、3本以上の本数のレーザ光に分割し、アニールを行うようにしても構わない。
ところで、分割された複数のレーザ光によってアニールを行う際には、それぞれのレーザ光がばらつきなく均等に照射されなければ、均一な結晶粒を形成することができない。このため本実施の形態においては、走査部8がレーザ光を偏向させている面(偏向面)と、光束分割素子19がレーザ光を分割させる面(分割面)とは、第2の光学系である例えばリレーレンズ10により互いに共役な位置に配置されることが好ましい。
また、光束分割素子19の分割面と対物レンズ42の入射瞳面も、第3の光学系である例えばリレーレンズ40等によって互いに共役な位置に配置されることが好ましい。
このような構成とすることで、走査部8によって走査される光のけられを抑えることができる。この様子を、図2を参照して説明する。図2において、図1と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。すなわちこの場合、図2に示すように、走査部8から出射するレーザ光が矢印S1の方向に走査されても、走査されたレーザ光は全て光束分割素子19に同じ口径をもって入射する。また、光束分割素子19により分割された2本のレーザ光が、走査部8での走査により矢印S2、S3の方向にそれぞれ走査されても、対物レンズ42の入射瞳、例えば絞り421の開口に全て入射する。そして対物レンズ42によって集光され、被照射体の表面をそれぞれS4、S5の方向に走査する。
このように、走査部8の走査面8Sと光束分割素子19の回折面19S、光束分割素子19の回折面19Sと対物レンズ42の入射瞳面421Sとが互いに共役な位置に配置されることが好ましい。
このようにすることで、走査部8の偏向角や光束分割素子19で分割された光束の進行方向によらず、すべてのレーザ光がけられることなく被照射体に入射させることが可能である。したがって、分割された複数のレーザ光を均等に照射することができ、ばらつきを抑制することができる。
また、少なくとも上述の走査面8Sと回折面19S、回折面19Sと入射瞳面421Sとを、共役点の近く、微少量ずれた位置に配置することが好ましい。共役点から微小量ずれる場合でも、けられが生じないようにするか、又は許容範囲内とすればよい。本実施の形態において、例えばレーザ光のビーム径の大きさを対物レンズの入射瞳径の80%程度として、対物レンズの入射瞳径よりも小さくする場合は、このように共役点から微少量ずれた配置とする場合でも、入射瞳面421Sにおいてけられが発生しにくい。
ここで図1に戻って、往路及び復路で分岐された光をそれぞれモニタする構成について説明する。この場合、被照射体45によって反射されたレーザ光は、再び対物レンズ42、リレーレンズ40を経由して偏光ビームスプリッタ20に入射する。なお、偏光ビームスプリッタ20と被照射体45間にはλ/4板41が配置されており、往路光に対して復路光は偏光方向が90度回転される。したがって、被照射体45からの反射光は偏光ビームスプリッタ20により反射される。
偏光ビームスプリッタ20によって反射されたレーザ光は、リレーレンズ21によって撮像部24に導かれ、像を結ぶ。撮像部24としては、CCD(Charge Coupled device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ等を用いることができる。この撮像部24によって、レーザ光の照射された被照射体45上の二箇所のスポットのプロファイルを確認することができる。また、偏光ビームスプリッタ20によって反射されたレーザ光の光路中にビームスプリッタ23を配置してその一部を反射させる。そしてその光を集光レンズ25によってもう一つの撮像部26に結像させてもよい。この場合には、撮像部24と撮像部26とで異なる倍率の映像を確認することができる。
また本実施の形態においてはさらに、リレーレンズ21とビームスプリッタ23との間にもう一つのビームスプリッタ22を設け、このビームスプリッタ22によって被照射体45からの反射光の一部を取り出し、レーザ光量やスキャン速度の測定に用いてもよい。図1の例では、ビームスプリッタ22を透過した光を、CCDやCMOSカメラ等の撮像部24、26に入射して、プロファイル確認に用いる。
一方、ビームスプリッタ22によって反射されたレーザ光はビーム分離ミラー27によって分離され、被照射体45上の二箇所のスポットからの反射光は、それぞれのスポット毎に別の光路へと分けられる。
片方のスポットからの光は、リレーレンズ34、集光レンズ36を介してポジションセンサ(PSD)37に入射する。また、例えばリレーレンズ34及び集光レンズ36の間に配置したビームスプリッタ35によって一部の光を反射し、その反射した光を集光レンズ38によってフォトディテクタ39に入射させる。
もう一方のスポットからの光も同様に、ビーム分離ミラー27によって別の方向に分離されると、例えばリレーレンズ28を経由後ビームスプリッタ29によってさらに二方向に分割される。ビームスプリッタ29を透過した光は集光レンズ30によってポジションセンサ31に入射する。また、ビームスプリッタ29によって反射された光は集光レンズ32によってフォトディテクタ33に入射する。
ポジションセンサ31、37により、それぞれのスポットの位置を検出することによってレーザ光のスキャン速度を測定することができる。また、フォトディテクタ33、39により、それぞれのスポットにおける光量を測定することができる。
またポジションセンサ31、及びフォトディテクタ33を制御装置44に接続して、測定されたスキャン速度、及び光量を送信する構成としてもよい。この場合、制御装置44により、この測定されたスキャン速度及び光量に基づき、スキャン速度とレーザ光量が一定になるように走査部8をフィードバック制御することができる。
スキャン速度やレーザ光量が変化すると、被照射体における熱の伝わり方や、与える熱量も変化する。このため例えばアニールを行う際には、結晶粒の大きさも変わってしまい、ムラが大きくなってしまう。
これに対して、本実施の形態ではスキャン速度とレーザ光量を検出しながらフィードバック制御を行うことで、一定のスポットを維持しながら安定したアニールを行うことが可能である。
例えば図3は音響光学偏向素子の一般的な走査特性を示したものである。図3Aはレーザ光の一回の走査周期Tにおけるスキャン位置を示す。実線L1に示すように、音響光学偏向素子は一回のスキャン開始から終了までにおいて初めはスキャン速度が遅く、そして次第に速くなる特性を有している。
このような場合には、図3Bに被照射面でのスポットの動きを模式的に示すように、初期位置Dpに照射されたレーザ光を矢印S6の方向に走査すると、走査が進むにつれてスキャン速度が速くなるため、そのアニール領域A1は先細りの状態となってしまう。
このため、本実施の形態では制御装置44によって図3A中破線L2で示すように駆動出力をスキャン開始時に高くする補正を行い、一点鎖線L3のようにスキャン速度が一定となるようにフィードバックを行う。
また、図3Cは音響光学偏向素子のスキャン周期Tにおけるレーザ光の光量を示したものである。実線L4に示すように音響光学偏向素子はその周期Tの初めにおいて光量が小さく、スキャンが進むにつれて光量が大きくなる。そして周期の終わりに近づくにつれて再び光量が小さくなる特性を有している。
この場合には、図3Dに同様に被照射面でのスポットの動きを模式的に示すように、初期位置Dpに照射されたレーザ光を矢印S7の方向に走査すると、走査が進むにつれて一度光量が大きくなる。そしてその後再び小さくなるため、そのアニール領域A2は中太りの状態となってしまう。
このように、一回の走査によってアニールされる領域の幅が一定でない場合には、これを補正しないと、所望の領域全面に渡って均一にアニールを行うことが難しい。
このため本実施の形態では、制御装置44によって、図3Cにおいて破線L5で示すように駆動出力の補正を行うことで、実際に出射される光量を一点鎖線L6のように一定に制御することが望ましい。
なお、スキャン速度や光量の検出は、スポットからの反射光によらず、被照射体に入射する前のレーザ光を用いてもよい。例えば図1のλ/2板11と光束分割素子19の間の光路上にビームスプリッタ12を配置し、レーザ光の一部を反射させる。ビームスプリッタ12によって反射されたレーザ光はビームスプリッタ13に入射し、二方向へ分けられる。ビームスプリッタ13を透過したレーザ光は集光レンズ17によってポジションセンサ18に集光される。またビームスプリッタ13を反射したレーザ光は、例えばミラー14を経由して集光レンズ15によりフォトディテクタ16に集光する。
このフォトディテクタ16及びポジションセンサ18によって検出された光量、位置情報に基づいてレーザ光のスキャン速度や光量を制御するようにしてもかまわない。ただし、被照射体からの反射光を用いる場合には、その光に被照射体表面の情報も含まれるため、アニール状態をモニタすることもできる。また、往路において光を分岐する場合は、被照射体45に向かう光の光量を確保するため、分岐される光路に向かう光量の比を小さく抑えることが好ましい。
以上説明したように、本実施の形態の光照射装置は、一つの光源から出射されたレーザ光を複数本のレーザ光に分割し、同一光学系を経由して照射する。このため、複数の光学ヘッドを並べて装置を構成する場合に比べて部品点数を抑制することができる。またこの光学系は特殊なカスタマイズを必要とせず、光学部品を一般的なリレーレンズ、回折格子等の汎用品によって構成できるので、コストも低い。
また、従来のように光源にエキシマレーザを用いる場合は、大きい出力を得られるものの、パルス間のエネルギのばらつきが大きい。これに対して本実施の形態による光照射装置は、半導体レーザや半導体レーザを励起光源とするレーザ等の固体レーザを光源として用いることで、安定したエネルギ出力が得られる。またレーザ光を微小スポットに集光し、等速で走査しながら照射を行うため、アモルファスシリコンのアニールに用いる場合には、走査速度やレーザ光のエネルギを調節することにより、結晶粒のサイズや粒界の配置を均一に制御することが可能である。
また、従来のようにエキシマレーザを用いる場合に比べて、ガスを必要としないので配管のイニシャルコストやメンテナンスコスト、さらにはランニングコストを抑えることができ、配管が不要となる分、小型化も可能である。
2.第2の実施の形態
2−1.アニール装置の構成
図4は、第2の実施の形態におけるアニール装置200を示す斜視図である。本実施の形態によるアニール装置200は、被照射基板250を設置するXYステージ220と、被照射基板250に複数のレーザ光を照射するマルチビーム光学ヘッド210を含む。またマルチビーム光学ヘッド210とXYステージ220を制御するコントロールユニット230とを含む。
また、図5はXYステージ220の上面図である。なおこのXYステージ220上には、マルチビーム光学ヘッド210の外形と、マルチビーム光学ヘッドに内蔵された対物レンズ211の外形を投影してある。
マルチビーム光学ヘッド210には、第1の実施の形態(図1)に示した光照射装置100を用いることができる。したがって、マルチビーム光学ヘッド210に内蔵された対物レンズ211からは2本以上、例えば2本のレーザ光240が出射され、被照射基板250上を走査する。
また、XYステージ220は、図5中矢印S8で示すX軸方向及び矢印S9で示すY軸方向に稼動する。例えばX方向には等速で移動し、Y方向へは次のアニール領域にむかってステップ移動する。そして、コントロールユニット230がマルチビーム光学ヘッド210とXYステージ220とを連動させて制御することによって、レーザ光の照射領域251から未照射領域252へとスポットを移動させ、所望の全領域をアニールすることができる。
2−2.レーザ光の照射方法
a.2つの領域を同時にアニールする例
例えばこの被照射基板250上における二箇所の領域を、2本のレーザ光によって同時にアニールする際の挙動について、図6〜図11を用いて以下に説明する。
図6A〜図6Iは、被照射基板250の領域253、254をマルチビーム光学ヘッド210から出射される2本のレーザビームによって同時にアニールする過程を示す説明図である。
図6Aに示すように、まず被照射基板250のアニール領域253、254の端点にそれぞれアニール開始点を設定し、2本のレーザ光のスポット261がこのアニール開始点上にくるようにXYステージ220を調整する。
そして、図6Bに示すようにXYステージを矢印D1で示すX軸方向に等速で移動させながら、レーザ光をY方向へ走査する。これによって、レーザ光はアニール領域253、254を少し斜めにY方向へ移動しながらアニールを行う。
図6Cに示すようにレーザ光のスポット261が領域253、254の下端に到達すると、レーザ光の偏向角を戻し、図6Dに示すように領域253、254の上端にレーザ光のスポット261を配置する。
なお、XYステージのX方向への移動速度と、レーザ光のY方向への走査速度を調整しておくことで、アニール済みの領域262にとの間に隙間が生じないようにスポット261を配置することができる。
そしてXYステージがX方向に等速運動を同様に続ける状態において、レーザ光をY方向へ走査する。これによって、レーザ光のスポット261は図6Eに示すようにアニール済み領域262に沿ってアニール領域253、254上を移動する。
また、レーザ光のスポットがアニール領域253、254の下端に到達すると、再びレーザ光の偏向角を戻し、アニール領域253、254の上端にスポットを配置する。
これを繰り返すことによってアニール領域253、254を全面に渡ってアニールすることができる。
そして図6Fに示すように、レーザ光のスポット261がアニール領域253、254を全面に渡って走査し終えると、この領域におけるアニールが終了する。
すると次にXYステージをX方向に移動させてX座標を初期位置に戻す。そしてさらにレーザ光の偏向角も戻し、XYステージをY方向にもステップ移動させることで、次のアニール領域255、256のアニール開始点にスポット261を配置する。
次に同様にXYステージをX方向に等速移動させながら、レーザ光をY方向に走査することで、図6Hに示すようにスポット261を領域255、256の下端に向けて移動させる。また、下端に到達するとレーザ光の偏向角を戻し、再びY方向に走査することを繰り返す。これによって、図6Iに示すようにレーザ光のスポット261は領域255、256を全面に渡って走査し、アニールすることができる。
そしてスポット261を新たなアニール領域に移動させることを繰り返すことで、図6Jのように所望の領域をアニールすることが可能である。
図7に、この方法においてマルチビーム光学ヘッド210から出射されるレーザ光の走査とXYステージ220の動作とが連動する様子を示す。図7Aには、走査部によるレーザ光の偏向量を時間軸で示し、図7Bにはその時間に対するXYステージ220のX方向への移動量を示す。また、図7Cは時間に対するXYステージ220のY方向への移動量を示したものである。
図7Aのaにおいてレーザ光のスポットが、アニール領域のアニール開始点に配置されると、図7Aのbに示すようにレーザ光のスポットをY方向に走査する。そして図7Aのcにおいてレーザ光のスポットがアニール領域の端に到達すると、レーザ光の偏向角を元に戻して図7Aのdの位置にスポットを移動させる。そして再び図7Aのeに示すようにレーザ光を走査させることを繰り返す。
図7Bに示すように、この周期Tの間XYステージ220はX方向に等速で移動することによってアニール領域全面にスポットを走査させる。図7Aに示される鋸波型の波形を示すスポット走査に対してXYステージ220が最適な速度で等速移動することにより、アニール領域を隙間なく、また均一な光量でアニールすることができる。
そして図7Aのfにおいてレーザ光のスポットがアニール領域全面を走査し終えると、図7Bに示すようにXYステージは元のX座標に移動する。そして同時に次のアニール領域に向かって図7Cに示すようにY方向へ移動する。
こうして次のアニール領域に到達すると、XYステージ220をX方向に等速移動させながら、図7Aのgの位置から再びレーザ光をY方向へ走査させる。そして図7Aのhに示すようにスポットがアニール領域の端に到達すると、再びレーザ光の偏向角を戻して走査を開始する。
図7Cにおいて、破線L4は一本のレーザ光によってアニールを行った場合の移動量を表している。これに対して、2本のレーザ光によって二箇所の領域を同時にアニールすると、実線L5のように一回のステップでのY方向への移動量を2倍とすることができ、Y方向への送り回数を1/2とすることができる。したがってほぼ1/2の時間でアニール領域全面を走査することができる。
b.一つの領域を複数の仮想領域に分割してアニールする例
同様の方法で一つの領域をアニールするようにしてもよい。図8Aに示すように、アニールを行いたい領域257を例えば仮想分割線L7によって上下二つの仮想領域257a、257bに分割する。
そして例えば領域257の上側の境界線L6上の端点、及び仮想分割線L7上の端点に2本のレーザ光のスポット263a及び263bをそれぞれ配置する。
次に、図8Bに示すようにXYステージ220を矢印D2のX軸方向に移動させながら、2本のレーザ光をY方向に走査する。これにより、スポット263a、263bが通過した二箇所の領域264a、264bがアニールされる。
スポット264bによってアニールされた領域264bにスポット263aが到達すると、2本のレーザ光の偏向角を戻し、図8Cに示すようにスポット263a及び263bを境界線L6及び仮想分割線L7上に戻す。
そして図8Dに示すように2本のレーザ光をY方向に走査し、スポット263aがスポット264bによってアニールされた領域に到達すると、再びレーザ光の偏向角を戻す。
これを繰り返すことによって、図8Eに示すように領域257全面に渡ってアニールすることができる。
図9は、この方法におけるレーザ光の走査量とXYステージの動作を示したものである。図9Aはレーザ光の走査量であり、図9BはXYステージのX方向への移動量、図9CはXYステージのY方向への移動量である。
例えば一つ目の領域をアニールする区間A1において、レーザ光が走査されている間XYステージ220は図9Bに示すようにX方向に等速移動する。そしてこの領域のアニールが終了すると、区間A2においてXYステージ220は例えば移動したX座標を元に戻す。
また図9Cに示すようにY方向にも移動することによって次の領域へと移る。図9B、Cからもわかるように、X方向及びY方向へのXYステージの移動量はレーザ光が一本の時と変わらない。しかし図9Aに示すように、この方法の場合にはレーザ光のY方向への走査回数は変わらないものの、一回の走査量(走査時間)を半分にすることができる。このため、XYステージのX方向への送り速度を2倍にできる。したがって一つの領域のアニールにかかる時間がT/2となり、タクトを短縮することができる。
c.2本のレーザ光によって隣り合う走査路をアニールする例
また、図10に示すように、2本のレーザ光の走査路が隣り合うように走査してもよい。図10Aに示すように、例えばアニールを行う領域258の境界線L8の端点に片方のレーザ光のスポット265aを配置する。またもう一方のレーザ光のスポット265bを、スポット265aの位置からスポット径以下の距離だけX方向にずらして配置する。
そして図10Bに示すように、XYステージ220を矢印D3に示すX軸方向に等速で移動させながら、2本のレーザ光をY方向に走査することにより、その走査された隣り合う領域266a及び266bがアニールされる。
なお、スポット266bの初期位置を線L8から離れた位置に配置すると、先に形成された領域266aの後をスポット266bが追う形になる。このため、領域266aの結晶粒の結晶性を引き継ぐように領域266bをアニールすることができる。
図10Cに示すように、スポット265a、265bが領域258の下端に到達するとレーザ光の偏向角を元に戻し、図10Dのようにスポット265a、265bのY座標を初期位置に戻す。そして再び図10Eに示すようにレーザ光をY方向に走査させる。
これを繰り返すことによって、図10Fのように領域258全面をアニールすることができる。
図11は、この方法におけるレーザ光の走査量とXYステージの動作を示したものである。図11Aはレーザ光の走査量であり、図11BはXYステージのX方向への移動量、図11CはXYステージのY方向への移動量である。
図11Aに示すように、レーザ光の一回の走査量は変わらない。しかし、2本のレーザ光によって隣り合う走査路をアニールするため走査回数を1/2にすることができる。このため図11Bに示すようにXYステージのX方向への送り速度を2倍にすることができる。したがって一つの領域全面を走査するのにかかる時間はT/2となり、タクトを短縮することができる。
なお、図11Cに示すように、Y方向へのXYステージ220の移動態様はレーザ光が一本の場合と変わらない。
2−3.実験結果
本実施の形態によるアニール装置200を用い、上記図10で示した走査方法により非晶質シリコン基板のアニールを行った結果を図12A、Bに示す。図中X方向にXYステージを送りながら、Y方向に2本のレーザ光を走査することによってアニールを行っている。
図12Aに示すように、レーザ光の走査方向に縞模様が確認され、シリコン結晶粒の粒界が均一に形成されているのがわかる。この多結晶シリコンにドーピングを行い、図12A中において例えば矢印D4の方向に電流を流す場合、結晶粒の粒界はキャリアのポテンシャル障壁となるため、電流に対して抵抗になる。すなわち、結晶粒のサイズが不均一なために、粒界の数が場所によって異なったりすると電流の流れにばらつきが生じてしまう。特にディスプレイ用の多結晶シリコンTFTのチャネル部にこうした結晶粒のばらつきが存在すると、素子間の特性のばらつきを生じ、輝度ムラの原因となる。
これに対して本実施の形態によるアニール装置200を用いた場合には、微小スポットに集光したレーザ光を走査することによってアニールを行うので、結晶粒のサイズを制御しやすい。
また、走査部の走査面と対物レンズの入射瞳とが互いに共役の位置に配置されるため、走査の偏向角(レーザ光の照射位置)に関わらず均一なエネルギのレーザ光を照射することができる。さらには光束分割素子の光束分割面と対物レンズの入射瞳面とが互いに共役な位置に配置されるため、分割された複数のそれぞれのレーザ光のエネルギも一定に保つことができる。このため、複数のレーザ光によってそれぞれ異なる箇所をアニールしても図12Aの様に均一な粒界の形成が可能である。このため、TFT等の製造に用いることにより特性のばらつきを低減することができる。
図12Bは図12Aをさらに拡大したものである。図12Bに示すように、2本のレーザ光のスポット301、302をそれぞれ矢印D5、D6の方向に走査することでアニールを行っている。したがって、一本のレーザ光の場合に比べ2倍の速度でX方向に基板を送りながら照射を行うので、より短いタクトでアニールを行うことができる。
スポット301によって走査された走査路上には粒界が形成され、この粒界から左右方向に結晶粒が形成されているのがわかる。
なお、この例では図に示すようにスポット301、302が接した状態でアニールを行ったため、スポット302によって形成される結晶粒はスポット301によって形成される結晶粒と融合する。このためスポット302の走査路上では、その走査方向に追随した粒界が形成されていない。したがって、スポット301の走査路上にのみ、その走査方向に追随した粒界が形成されることになる。
また逆に、スポット301と302をY方向に離して走査すれば、スポット302の走査路上にも、その走査方向に追随した粒界を形成することができる。すなわちこの走査方法では、二つのスポット間の距離を調節することにより、粒界の形成間隔、結晶粒のサイズを制御することも可能である。
以上、本発明による光照射装置及びアニール装置について説明したが、本発明は上記実施の形態にとらわれることなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、なお考えられる種々の形態を含むものであることは言うまでもない。
1・・・光源、2・・・コリメートレンズ、3・・・開口絞り、4・・・ビームスプリッタ、5,15,17,25,30,32,36,38・・・集光レンズ、6,31・・・フォトディテクタ、7・・・エキスパンダーレンズ、8・・・走査部、9,13・・・ミラー、10,21,40・・・リレーレンズ、11・・・λ/2板、12,13,22,23,29,35・・・ビームスプリッタ、16,33,39・・・フォトディテクタ、18,31,37・・・ポジションセンサ、19・・・光束分割素子、20・・・偏向ビームスプリッタ、24,26・・・CCDカメラ、27・・・ビーム分離ミラー、34・・・リレーレンズ、41・・・1/4λ板、42・・・対物レンズ、45・・・被照射体、100・・・光照射装置、200・・・アニール装置、210・・・マルチビーム光学ヘッド、220・・・XYステージ、230・・・コントロールユニット、240・・・レーザ光、250・・・被照射基板、251,252,253,254,255,256,257,257a,257b,262,263a,263b,264a,264b,266a,266b,258・・・領域、261,265a,265b,301,302・・・スポット、421・・・絞り

Claims (12)

  1. 光源と、
    前記光源から出射する光を走査する走査部と、
    前記光源から出射された光を前記走査部へ導く第1の光学系と、
    前記走査部により走査された光を複数の光路に分割する光束分割素子と、
    前記走査部により走査された光を前記光束分割素子に導く第2の光学系と、
    前記複数に分割された光をそれぞれ被照射面に集光する対物レンズと、
    前記光束分割素子によって複数に分割された光を前記対物レンズに導く第3の光学系と、
    を含む
    光照射装置。
  2. 前記走査部の走査面と、前記対物レンズの入射瞳面は共役関係にある請求項1に記載の光照射装置。
  3. 前記走査部の走査面と、前記光束分割素子の光束分割面とが、前記第2の光学系によって互いに共役関係とされる請求項2に記載の光照射装置。
  4. 前記光束分割素子の光束分割面と、前記対物レンズの入射瞳面とが、前記第3の光学系によって互いに共役関係とされる請求項3に記載の光照射装置。
  5. 前記被照射対に集光された光の走査速度を検出するポジションセンサと、前記被照射体に集光された光の光量を検出するフォトディテクタとを備えた請求項1に記載の光照射装置。
  6. 前記光源は、半導体レーザである請求項1に記載の光照射装置。
  7. 前記光束分割素子は、回折格子である請求項1に記載の光照射装置。
  8. 上記光束分割素子は、ホログラムである請求項1に記載の光照射装置。
  9. 上記走査部は、音響光学偏向素子である請求項1に記載の光照射装置。
  10. 上記走査部は、ポリゴンミラーである請求項1に記載の光照射装置。
  11. 上記走査部は、ガルバノミラーである請求項1に記載の光照射装置。
  12. 光源と、前記光源から出射する光を走査する走査部と、前記光源から出射された光を前記走査部へ導く第1の光学系と、前記走査部により走査された光を複数の光路に分割する光束分割素子と、前記走査部により走査された光を前記光束分割素子に導く第2の光学系と、前記複数に分割された光をそれぞれ被照射面に集光する対物レンズと、前記複数に分割された光を前記対物レンズに導く第3の光学系とを含み、被照射基板に複数の光束を照射する光照射装置と、
    被照射基板を設置する移動ステージと、
    前記光照射装置と、移動ステージとを連動させて制御するコントロールユニットと、
    を含む
    アニール装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013030575A (ja) * 2011-07-28 2013-02-07 Hitachi Computer Peripherals Co Ltd 光ファイバアレイを用いたラインビーム照射装置及びその照射方法
JP2013195520A (ja) * 2012-03-16 2013-09-30 Olympus Corp ピクセルクロック発生装置
WO2023276182A1 (ja) * 2021-06-28 2023-01-05 Jswアクティナシステム株式会社 熱処理方法、熱処理装置、及び半導体装置の製造方法

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