JP3550034B2 - 露光方法及び露光装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は露光方法及び露光装置に係わり、特にステップ・アンド・スキャン型の露光方法及び露光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置の集積度が高くなることに伴い、これを構成するLSI 素子の回路パターンはますます微細化していく。このパターンの微細化には、単に線幅を細くするだけではなく、パターンの寸法精度や位置精度を向上させることも要請される。これらの要請を満たすために多くの技術開発が行われているが、その中でも、例えばX線を用いた露光技術は、現在利用されている紫外線を用いた露光技術の次の世代の技術として有望視されている。
【0003】
現在開発の進められているX線露光技術は、シンクロトロン放射光を用い、露光領域を拡大するためのミラー、真空隔壁となるBe薄膜等で構成されたビームラインを経て、ステッパーに導かれた光を用いて露光するシステムとなっており、等倍マスクを用いて1対1の近接露光を行う。そして多くの場合、前述のミラーを移動させることにより、露光領域の拡大を図り、かつ、露光領域を被露光基板上で順に移動していく、いわゆるステップ・アンド・スキャンと呼ばれる露光方法を用いている。
【0004】
一方、半導体装置の回路構成は、その複雑度を増しているため、現在では一つの製品を完成させるまでには20回以上の露光工程を必要とする場合もあるが、その全てが微細なパターンを必要とすることは稀であり、最先端の非常に高価な露光装置を用いて全ての露光工程を処理する必要は無く、無駄なコストを招く可能性も高い。このため、通常は、微細なパターンの形成には高価な最先端装置を、やや緩いパターンの形成には安価な装置を用いる、いわゆるミックス・アンド・マッチと呼ばれる手法が広く用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述のステップ・アンド・スキャン型の露光装置を用いて複数回の露光を行う場合には、次に述べる問題が生ずる。
即ち、かかるステップ・アンド・スキャン型の露光装置を用いる場合、ステージの固有誤差や、ステージの揺らぎ、光学系に固有の歪み等に起因して、露光転写位置が理想位置からずれてしまう場合が多い。このように先の露光工程によりずれを持って形成された下地上に、後の露光工程により別の層に対して露光転写を行う場合、下地にずれがあることを無視すると、重ね合わせ誤差が増加してしまう。
【0006】
特に、先の露光工程と後の露光工程とで別々のステップ・アンド・スキャン型の露光装置を用いた場合は、先の露光工程における露光転写位置の理想位置からのずれが大きく影響して、後の露光工程における重ね合わせ誤差が著しく増加してしまうという問題がある。
【0007】
上述したミックス・アンド・マッチの方法を行った場合においても、かかる重ね合わせ誤差は大きくなってしまい、また特徴的な傾向が見られることも判明した。
【0008】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、より高精度な重ね合わせを行うことが可能な露光方法及び露光装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(構成)
前述した課題を解決するために、本発明の第1は、ステップ・アンド・スキャン型の露光装置を用いて第一の露光を行う工程と、ステップ・アンド・スキャン型の露光装置を用いて、前記第一の露光の際のスキャン方向と直交する方向にスキャンを行いながら第二の露光を行う工程とを具備したことを特徴とする露光方法を提供する。
【0010】
さらにまた、本発明の第2は、ステップ・アンド・スキャン型の露光装置を用いて第一の露光を行う工程と、前記第一の露光により形成されたパターンの一部を検出する工程と、検出された信号に基づいて前記第一の露光の際のスキャン方向と直交する方向のずれ及び平行な方向のずれを比較する工程と、ステップ・アンド・スキャン型の露光装置を用いて、前記両方向のずれのうち大きなずれの方向と直交する方向にスキャンを行いながら第二の露光を行う工程とを具備したことを特徴とする露光方法を提供する。
【0011】
以上述べた本発明の第1、第2において、以下の構成を具備することが望ましい。
【0012】
(1)前記第一の露光により形成されたパターンの一部を検出し、検出された信号に基づいて前記第一の露光のずれを吸収しながら前記第二の露光を行うこと。

【0013】
(2)前記第一の露光により形成されたパターンの一部を検出し、検出された信号に基づいてスキャン速度、倍率、ステージ位置の少なくとも一つを制御しながら前記第二の露光を行うこと。
【0014】
(3)前記第一の露光及び前記第二の露光は、ミックス・アンド・マッチ方式を用いた露光であること。
また、本発明の第4は、第一の露光を行ってパターンを形成する工程と、形成された前記パターンの一部を検出する工程と、検出された信号に基づいて前記パターンのずれが一番大きな方向を決定する工程と、ステップ・アンド・スキャン型の露光装置を用いて、前記ずれが一番大きな方向と直交する方向にスキャンを行いながら第二の露光を行う工程とを具備したことを特徴とする露光方法を提供する。
【0015】
かかる本発明の第4において、以下の構成を具備することが望ましい。
(1)形成された前記パターンの一部を検出し、検出された信号に基づいて前記パターンのずれを吸収しながら前記第二の露光を行うこと。
【0016】
(2)形成された前記パターンの一部を検出し、検出された信号に基づいてスキャン速度、倍率、ステージ位置の少なくとも一つを制御しながら前記第二の露光を行うこと。
【0017】
(3)前記第一の露光及び前記第二の露光は、ミックス・アンド・マッチ方式を用いた露光であること。
また、本発明の第5は、被露光試料が載置される回転可能な試料台と、前記被露光試料の露光を制御する露光光学系とを備えたステップ・アンド・スキャン型の露光装置であって、第一の露光により形成された前記被露光試料上のパターンの一部を検出する検出手段と、該検出手段により検出された信号に基づいて前記第一の露光の際のスキャン方向と直交する方向のずれ及び平行な方向のずれを比較する比較手段と、該比較手段によるずれの比較結果に基づき、前記両方向のずれのうち大きなずれの方向と直交する方向にスキャンを行って第二の露光を行うことを可能とすべく、前記試料台の回転を調整して前記第一の露光が行われた前記被露光試料の向きを制御する制御手段とを具備したことを特徴とする露光装置を提供する。
【0018】
さらにまた、本発明の第6は、パターンが形成された被露光試料が載置される回転可能な試料台と、前記被露光試料の露光を制御する露光光学系とを備えたステップ・アンド・スキャン型の露光装置であって、前記被露光試料上のパターンの一部を検出する検出手段と、該検出手段により検出された信号に基づいて前記パターンのずれが一番大きな方向を決定する決定手段と、該決定手段による決定結果に基づき、前記ずれが一番大きな方向と直交する方向にスキャンを行って露光を行うことを可能とすべく、前記試料台の回転を調整して前記被露光試料の向きを制御する制御手段とを具備したことを特徴とする露光装置を提供する。
【0019】
(作用)
本発明の第1によれば、ステップ・アンド・スキャン型の露光を行う場合に、第一の露光と第二の露光との間でスキャン方向を略直交させることにより、光学系の持つ固有歪みに起因する誤差の影響を極めて小さくすることが可能となり、高精度の重ね合わせが可能となる。特に、異なるステップ・アンド・スキャン型装置間でミックス・アンド・マッチを行う場合に、重ね合わせの効果は大きい。
【0020】
また、本発明の第2によれば、ステップ・アンド・スキャン型の露光を行う場合に、第一の露光と第二の露光との間でスキャン方向を略平行(同一)とすることにより、ステージの固有誤差や揺らぎ等の影響を極めて小さくすることが可能となり、高精度の重ね合わせが可能となる。特に、異なるステップ・アンド・スキャン型装置間でミックス・アンド・マッチを行う場合に、重ね合わせの効果は大きい。
【0021】
また、本発明の第3によれば、第一の露光において生ずる下地のずれを第二の露光工程を行う前に予め検出し、検出された信号に基づいて第二の露光工程のスキャンを、第一の露光工程のスキャン方向と平行な方向に行うか、又は直交する方向に行うかを決定する。したがって、第一の露光工程のスキャン方向と直交する方向のずれが大きくても平行な方向のずれが大きくても、いずれの場合においても円滑かつ高精度な位置合わせで第二の露光工程を行うことが可能である。
【0022】
さらにまた、本発明の第4によれば、第一の露光を行って形成されたパターンのずれを第二の露光工程を行う前に予め検出し、検出された信号に基づいて前記パターンのずれが一番大きな方向を決定する。ステップ・アンド・スキャン型の露光装置を用いて、このようにずれが一番大きな方向と直交する方向にスキャンを行うことにより、円滑かつ高精度な位置合わせで第二の露光工程を行うことが可能である。
また、本発明の第5、第6によれば、上記作用と同様に円滑かつ高精度な位置合わせで第二の露光工程を行うことが可能な露光装置を提供することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る露光方法及び露光装置の実施形態を図面を参照しつつ詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態の工程を示す流れ図である。また、図2は被露光基板上における露光のずれを示す平面図である。図2(b)は被露光基板(ウェハ)を示す平面図、図2(a)は1チップにおける露光のずれを示す平面図である。
【0024】
図1に示すように、まず、図2に示す被露光基板(ウェハ)1に対してレジストの塗布と露光前の熱処理を行う。次に、紫外線を光源に用いた第1のステップ・アンド・スキャン型露光装置を用いて、第1のスキャン方向4による第1の露光工程を行う。2はチップであり露光単位を示している。この第1のステップ・アンド・スキャン型露光装置は図示しないが、その動作機構は以下の通りとなっている。
【0025】
即ち、第1のステップ・アンド・スキャン型露光装置は、KrFエキシマレーザーを露光光として用いるものである。KrFエキシマレーザー光源で発生した波長248nmの紫外光は、照明光学系を経てマスクに入射し、結像光学系を経てマスクの像を被露光基板上に結像し、これによって露光が行われる。結像光学系の結像領域はチップサイズよりも小さいが、マスクと被露光基板を同時に走査することにより露光領域の拡大を行うように構成されている。
【0026】
具体的には、マスクの搭載されたマスクステージ及び被露光基板の搭載されたウエハステージは、それぞれマスクステージ駆動系、ウエハステージ駆動系に接続されており、各ステージ駆動系に含まれるステージ位置検出機構とアライメント光学系とから得られる情報をもとに、各ステージの駆動制御が行われる。これにより露光領域の拡大が図られ、露光領域を被露光基板上で移動して行く、いわゆるステップ・アンド・スキャン型の露光が行われる。
【0027】
上記した第1の露光工程を行った後、図1に示すように露光後の熱処理と現像を済ませ、この後ウェハ1はエッチングや洗浄、あるいは成膜等の工程を経る。次に、図1に示すように再びレジストの塗布と露光前の熱処理を行った後に、X線を光源に用いた第2のステップ・アンド・スキャン型露光装置を用いて、第1のスキャン方向4 と直交方向のスキャンによる第2の露光工程を行う。
【0028】
ここで、第2のステップ・アンド・スキャン型露光装置100は、図12に示すようにシンクロトロン放射光(SOR)を用いるものである。シンクロトロン・リング101で発生したシンクロトロン放射光は、X線取出しポート102から真空隔壁となるBe薄膜等で構成されたビームライン103に入射する。さらに、シンクロトロン放射光は、X線の領域を制限するアパーチャ104、露光領域を拡大するためのX線反射ミラー105、X線検出器107、X線シャッタ108、離隔窓106、X線強度分布調整手段123を経て、X線露光室109内に入射するようになっている。X線反射ミラー105にはX線反射ミラー駆動系111が接続され、この駆動系111を介してX線反射ミラー制御系110によりX線反射ミラー105の姿勢等が制御される。
【0029】
一方、X線露光室109内では、X線マスク112がマスクステージ113に保持され、被露光基板114がウエハステージ115に保持される。マスクステージ113及びウエハステージ115にはそれぞれマスクステージ駆動系116、ウエハステージ駆動系117が接続され、これらの駆動系にはマスクステージ制御系118、ウエハステージ制御系119が接続されている。
【0030】
また、120はアライメント光学系であり、この光学系120によりリアルタイムでX線マスク112中のアライメントマークと被露光基板114上の露光領域のアライメントマークから、露光領域の位置に応じた位置信号が検出される。この信号はアライメント制御系121に伝達され、当該信号に基づいてアライメント制御系121においてX線マスク112のパターン位置情報と被露光基板114のパターン位置情報が形成される。
【0031】
かかる位置情報は、X線反射ミラー制御系110、マスクステージ制御系118、ウエハステージ制御系119等に伝達され、X線反射ミラー105、マスクステージ113、及びウエハステージ115の駆動制御が行われることにより、X線マスク112中と被露光基板114との間のアライメント動作及び露光処理が順次行われるようになっている。
【0032】
即ち、X線マスク112として等倍マスクが用いられ1対1の近接露光が行われるとともに、X線反射ミラー105の移動により露光領域の拡大が図られ、露光領域を被露光基板114上で順に移動していく、いわゆるステップ・アンド・スキャン型の露光方法が行われる。なお、122は、X線マスク112と被露光基板114との間のギャップを設定するギャップセンサである。
【0033】
次に、図1に示すように、再度、露光後の熱処理と現像を済ませた後、ウェハ1はエッチングや洗浄、あるいは成膜等の工程を経て、さらに次の露光工程へ送られていく。
【0034】
本実施形態の最大の特徴は、紫外線を用いた第1の露光工程とX線を用いた第2の露光工程において、露光のスキャン方向がお互いに略直交していることである。
【0035】
図2(a)及び図3(a)に示すように、ステップ・アンド・スキャン型の露光装置を用いて露光を行うと、ステージの固有誤差や、光学系に固有の歪みに起因して、露光転写位置が理想位置からずれる場合が多い。単なる倍率誤差のような一次の歪みであれば、倍率補正を行うことにより、スキャン方向によらずに露光転写位置を補正することが可能であるが、実際には無視できない大きさの2次以上の高次の歪みが存在する。
【0036】
このように第1の露光工程によりずれを持って形成された下地上に、第2の露光工程により別の層に対する露光転写を行う場合、下地にずれがあることを無視すると、重ねあわせ誤差が増加してしまうが、下地のずれを検出し、これに合わせてそれ以降の露光転写を行うことができれば、重ねあわせ誤差の増大を抑制することが可能である。
【0037】
本実施形態において、ステップ・アンド・スキャン型の露光装置の特徴として、同時に露光転写される領域3aが短冊状になっている。したがって、図2(a)及び図3(a)に示すように理想の露光領域6に対して上述した高次の歪みは、露光領域5のように、その中心軸からのずれの大きくなる、短冊の長手方向(r)7に主として依存する形で現れる。この時、r方向7の歪みの大きさをδ 、短冊の長手方向と垂直なs方向(第1のスキャン方向)4の歪みの大きさをδ として、rとδ 及びδ との関係を図3(b)の特性図に示す。rの変化に伴いδ とδ との間の関係(比率)も変化して、無視できない大きさの2次以上の高次の歪みが存在することがわかる。
【0038】
図4は、本実施形態の露光方法を示す平面図である。図4に示すように本実施形態では、第2の露光工程において、同時に露光転写される領域を短冊状3bとして、この短冊状の領域3bの長手方向と直交する方向10にスキャンを行う。さらに、この第2の露光工程のスキャン方向10を第1の露光工程における短冊状の露光領域3aの長手方向7と同一方向にする。かかる構成において下地パターンの位置を位置合わせマーク8により検出し、検出した信号に基づいてスキャン速度あるいはステージ位置を微調整することにより、短冊状の露光領域3bの被露光基板1上の位置等を補正して露光領域9を転写する。この第2の露光工程により第1の露光工程における露光領域5とほぼ同一の領域を露光転写することができ、高次の歪みの補正が可能となる。
【0039】
より具体的には、あらかじめ被露光基板1のステージを走査することにより、被露光基板1上のマーク位置を検出・記憶しておき、実際の露光の際には記憶されたマーク位置に基づいて位置合わせを行う方法や、露光中に常に直後に露光する領域のマーク位置と焦点の検出を行い、フィードバックをかけながら露光する方法、チップ2毎に被露光基板1上のマーク位置を検出し、チップ毎に位置合わせの微調整を行いながら露光する方法等が適用可能である。
【0040】
また、先に述べたように、2次以上の高次の歪みを補正する際には、より低次で誤差成分の大きい1次の倍率補正が十分になされていないと、効果を十分に発揮できない場合がある。通常、ステップ・アンド・スキャン型の露光装置においては、スキャン方向と直交する方向に関しては、光学系の縮小率を微調整することにより倍率を補正し、スキャン方向と平行な方向に関しては、マスクあるいは被露光基板ステージのスキャン速度を微調整することにより倍率を補正することが可能である。
【0041】
しかし、被露光基板の伸び縮みには、プロセスの不均一性や、被露光基板を搭載するステージ面の平坦度のむら等に起因して、面内に一様でない成分が存在する場合がある。このような不均一な成分の補正に対応するためには、倍率補正も、被露光基板全面で一様な補正を行う方法ではなく、露光中に微調整を行う方法が望ましい。
【0042】
すなわち、先の実施形態と合わせて、第2の露光工程の際に、第1の露光工程により形成されたマークを検出し、検出された信号に基づいて、第1の露光工程の際のスキャン方向と直交する方向にスキャンしつつ、スキャン速度、倍率、ステージ位置を制御しながら露光を行うことにより、高精度の位置合わせを行うことが可能となる。
【0043】
また、先の実施形態と逆に、X線を用いた第1の露光工程の後に紫外線を用いた第2の露光工程を行う場合においては、比較的に光学系の歪み影響の小さい下地パターン上に、光学系の歪みの影響の大きいパターンを重ね合わせることになるが、このような場合においても、本発明を有効に適用することが可能である。即ち、予め、第2の露光工程で発生する歪みを測定しておき、そのデータに基づいて第1の露光の際に補正を加えておけば良い。
【0044】
また、本発明は、露光装置の組み合わせとして紫外線露光装置とX線露光装置の組み合わせに限らず、異なる波長の紫外線露光装置間や、これらの露光装置と電子線一括転写露光装置との組み合わせ等、ステップ・アンド・スキャン方式を用いる種々の露光装置間の組み合わせを用いることが可能である。
【0045】
(第2の実施形態)
図5は本発明の第2の実施形態の工程を示す流れ図である。また、図6は被露光基板上における露光のずれを示す平面図である。図6(b)は被露光基板(ウェハ)を示す平面図、図6(a)は1チップにおける露光のずれを示す平面図である。
【0046】
図5に示すように、まず、図6に示す被露光基板(ウェハ)11に対してレジストの塗布と露光前の熱処理を行う。次に、X線を光源に用いた第1のステップ・アンド・スキャン型露光装置を用いて、第1のスキャン方向14による第1の露光工程を行う。この第1のステップ・アンド・スキャン型露光装置としては第1の実施形態と同様に図12に示すものを用いる。なお、図6において、12はチップであり露光単位を示している。
【0047】
上記した第1の露光工程を行った後、図5に示すように露光後の熱処理と現像を済ませ、この後ウェハ1はエッチングや洗浄、あるいは成膜等の工程を経る。次に、図5に示すように再びレジストの塗布と露光前の熱処理を行った後に、紫外線を光源に用いた第2のステップ・アンド・スキャン型露光装置を用いて、第1のスキャン方向14と平行な方向のスキャンによる第2の露光工程を行う。この第2のステップ・アンド・スキャン型露光装置としては第1の実施形態と同様のものを用いる。
【0048】
次に、図5に示すように、再度、露光後の熱処理と現像を済ませた後、ウェハ1はエッチングや洗浄、あるいは成膜等の工程を経て、さらに次の露光工程へ送られていく。
【0049】
本実施形態の最大の特徴は、X線を用いた第1の露光工程と紫外線を用いた第2の露光工程において、露光のスキャン方向がお互いに略平行となっていることである。
【0050】
図6(a)に示すように、ステップ・アンド・スキャン型の露光装置を用いて露光を行うと、ステージの固有誤差や、ステージの揺らぎ等に起因して、露光転写位置が理想位置からずれる場合が多い。同時に露光転写される領域13aは短冊状になっており、その長手方向と直交する方向がスキャン方向14となっている。図6(a)に示すように、短冊状の領域13aの長手方向に対して当該領域13aの位置ずれが生じており、このため第1の露光工程において露光される領域15は歪んだものとなってしまう。
【0051】
このように第1の露光工程によりずれを持って形成された下地上に、第2の露光工程により別の層に対する露光転写を行う場合、下地にずれがあることを無視すると、重ねあわせ誤差が増加してしまうが、下地のずれを検出し、これに合わせてそれ以降の露光転写を行うことができれば、重ねあわせ誤差の増大を抑制することが可能である。
【0052】
図7は、本実施形態及び従来の露光方法を示す平面図である。図7(a)は従来の露光方法、図7(b)は本実施形態の露光方法を示す平面図である。図7(a)に示すように通常のステップ・アンド・リピート方式の場合に、第2の露光工程において露光領域内のごく少数の位置合わせマーク18aのみを用いて、別の層に対する露光転写の際の位置合わせを行うと、位置合わせマーク18a同士の位置合わせが完璧であったとしても、その露光領域は16や17のように歪んだものとなってしまい、重ね合わせ誤差が発生してしまう。
【0053】
これに対して、図7(b)に示す本実施形態の露光方法のように、第1の露光工程によって形成された下地パターンの位置合わせマーク18bを検出し、この検出結果に基づいて露光転写位置を補正しながら第2の露光工程を行えば、重ね合わせ誤差の増大を防ぐことが可能である。
【0054】
即ち、図7(b)に示すように、第2の露光工程において同時に露光転写される領域を短冊状13bとして、この短冊状の領域13bの長手方向と直交する方向20にスキャンを行う。さらに、第2の露光工程のスキャン方向20を第1の露光工程におけるスキャン方向14と平行な方向にする。かかる構成において下地パターンの位置を位置合わせマーク18bにより検出し、検出した信号に基づいてスキャン速度あるいはステージ位置を微調整することにより、短冊状の露光領域13bの被露光基板11上の位置等を補正して露光領域19を転写する。この第2の露光工程により第1の露光工程における露光領域15とほぼ同一の領域を露光転写することができ、重ね合わせ誤差を防止することが可能となる。
【0055】
より具体的には、あらかじめ被露光基板11のステージを走査することにより、被露光基板11上のマーク位置を検出・記憶しておき、実際の露光の際には記憶されたマーク位置に基づいて位置合わせを行う方法や、露光中に常に直後に露光する領域のマーク位置と焦点の検出を行い、フィードバックをかけながら露光する方法、チップ12毎に被露光基板11上のマーク位置を検出し、チップ毎に位置合わせの微調整を行いながら露光する方法等が適用可能である。
【0056】
さらに、より高精度の重ね合わせ精度を達成するためには、倍率補正の機能が備わっていることが望ましい。通常、第1の露光工程と第2の露光工程の間に、被露光基板はエッチングや成膜等の各種の工程を経るが、これらの工程を経ることにより被露光基板は膜応力に起因する若干の伸び縮みを受ける。伸び縮みの程度はppmのオーダーであるが、例えば、40mm程度のチップであれば、1ppm程度の伸び縮みにより40nm程度のチップサイズ誤差を引き起こす場合があり、高精度の位置合わせのためには無視できないことがある。
【0057】
通常、ステップ・アンド・スキャン型の露光装置においては、スキャン方向と直交する方向に関しては、光学系の縮小率を微調整することにより倍率を補正し、スキャン方向と平行な方向に関しては、マスクあるいは被露光基板ステージのスキャン速度を微調整することにより倍率を補正することが可能である。
【0058】
しかし、被露光基板の伸び縮みには、プロセスの不均一性や、被露光基板を搭載するステージ面の平坦度のむら等に起因して、面内に一様でない成分が存在する場合がある。このような不均一な成分の補正に対応するためには、倍率補正も、被露光基板全面で一様な補正を行う方法ではなく、露光中に微調整を行う方法が望ましい。
【0059】
すなわち、先の実施形態と合わせて、第2の露光工程の際に、第1の露光工程により形成されたマークを検出し、検出された信号に基づいて、第1の露光工程の際のスキャン方向と平行な方向にスキャンしつつ、スキャン速度、倍率、ステージ位置を制御しながら露光を行うことにより、高精度の位置合わせを行うことが可能となる。
【0060】
また、先の実施形態と逆に、紫外線を用いた第1の露光工程の後にX線を用いた第2の露光工程を行う場合においても、本発明を有効に適用することが可能である。
【0061】
また、本発明は、露光装置の組み合わせとして紫外線露光装置とX線露光装置の組み合わせに限らず、異なる波長の紫外線露光装置間や、これらの露光装置と電子線一括転写露光装置との組み合わせ等、ステップ・アンド・スキャン方式を用いる種々の露光装置間の組み合わせを用いることが可能である。
【0062】
(第3の実施形態)
図8は本発明の第3の実施形態の工程を示す流れ図である。また、図9は被露光基板上における露光のずれを示す平面図である。図9(b)は被露光基板(ウェハ)を示す平面図、図9(a)は1チップにおける露光のずれを示す平面図である。
【0063】
図8に示すように、まず、図9に示す被露光基板(ウェハ)21に対してレジストの塗布と露光前の熱処理を行う。次に、紫外線を光源に用いた第1のステップ・アンド・スキャン型露光装置を用いて、第1のスキャン方向24による第1の露光工程を行う。この第1のステップ・アンド・スキャン型露光装置としては第1の実施形態と同様のものを用いる。同時に露光転写される領域23は短冊状になっており、その長手方向と直交する方向がスキャン方向24となっている。なお、図9において、22はチップであり露光単位を示している。
【0064】
上記した第1の露光工程を行った後、図8に示すように露光後の熱処理と現像を済ませ、この後ウェハ21はエッチングや洗浄、あるいは成膜等の工程を経る。
【0065】
次に、図8に示すように第1の露光工程において生じた下地のずれを検出する。例えば、第1の露光工程により形成された下地の位置合わせマークを第2の露光工程を行う前に検出する。次に、検出された信号に基づいて、第1の露光工程におけるスキャン方向24と直交する方向のずれ及び平行な方向のずれを比較する。
【0066】
この比較は、例えば以下のようにして行うことができる。即ち、座標測定器や重ね合わせ精度測定器を用いた基準格子に対する歪みの測定において実現されているように、基準座標からのずれを数値化し、その数値の、第1の露光工程におけるスキャン方向と直交する方向の成分及び平行な方向の成分を比較することにより行うことが可能である。
【0067】
次に、図8に示すように再びレジストの塗布と露光前の熱処理を行った後に、X線を光源に用いた第2のステップ・アンド・スキャン型露光装置を用いて第2の露光工程を行う。この第1のステップ・アンド・スキャン型露光装置としては第1の実施形態と同様に図12に示すものを用いる。
【0068】
ここで、本実施形態において重要となるものは、アライメント制御系121に接続されたパターン位置情報比較手段124、この比較手段124に接続されたウエハステージ回転制御手段125、及びこの回転制御手段125とウエハステージ115に接続されたウエハステージ回転駆動系126である。
【0069】
X線マスク112のパターン位置情報と被露光基板114のパターン位置情報は、アライメント制御系121からパターン位置情報比較手段124へと伝達され、この比較手段124において上記したずれの比較が行われる。その比較結果の情報はウエハステージ回転制御手段125へ伝達され、この回転駆動系126によりウエハステージ115がその中心軸の回りに回転駆動されてウエハ上のスキャン方向の設定が行われるようになっている。
【0070】
この第2の露光工程においては、上述した直交方向のずれ及び平行方向のずれのうち大きなずれの方向と直交する方向にスキャンを行いながら第2の露光を行う。図9(a)に示すように、この場合は、第1の露光工程において露光される領域25は理想の露光領域26に対して歪んだものとなっており、第1の露光工程におけるスキャン方向24と平行な方向のずれが直交する方向のずれよりも大きくなっている。したがって、第1の露光工程におけるスキャン方向24と直交する方向にスキャンを行いながら第2の露光工程を行うこととなる。この第2の露光工程は図8の流れ図の右の経路に対応する。
【0071】
ここで、図12のステップ・アンド・スキャン型の露光装置100の操作について述べる。被露光基板21(図12では114)はウエハステージ115に載置される。被露光基板21に設けられた位置合わせマークをアライメント光学系120により検出し、この光学系120により検出された信号に基づいて、第1の露光の際のスキャン方向と直交する方向のずれ及び平行な方向のずれをパターン位置情報比較手段124により比較する。この比較手段124による比較結果に基づき、前記両方向のずれのうち大きなずれの方向と直交する方向にスキャンを行って第二の露光を行うことを可能とすべく、ウエハステージ回転制御手段125及びウエハステージ回転駆動系126を用いてウエハステージ115の回転を調整して被露光基板21の向きを制御する。
【0072】
次に、図8に示すように、再度、露光後の熱処理と現像を済ませた後、ウェハ21はエッチングや洗浄、あるいは成膜等の工程を経て、さらに次の露光工程へ送られていく。
【0073】
本実施形態の最大の特徴は、第1の露光工程において生じた下地のずれを検出し、検出された信号に基づいて第1の露光工程のスキャン方向と直交する方向のずれ及び平行な方向のずれを比較し、両方向のずれのうち大きなずれの方向と直交する方向にスキャンを行いながら第2の露光を行うことである。
【0074】
前述したように、ステップ・アンド・スキャン型の露光装置を用いる場合、ステージの固有誤差や、ステージの揺らぎ、光学系に固有の歪み等に起因して、第1の露光工程において露光転写位置が理想位置からずれてしまう場合が多い。このように第1の露光工程において生ずる下地のずれの方向は、用いるステップ・アンド・スキャン型の露光装置の種類によって様々であり、一概に決められないのが実情である。
【0075】
例えば、前述したように第1の実施形態では第1の露光工程におけるスキャン方向と平行な方向のずれが生じており、また第2の実施形態では直交する方向のずれが生じている。また、本実施形態のように第1の露光工程におけるスキャン方向と平行な方向のずれ及び直交する方向のずれがともに生じて、全体としてのずれはこれらのずれの和となる場合もある。
【0076】
本実施形態によれば、第1の露光工程において生ずる下地のずれを第2の露光工程を行う前に予め検出し、検出された信号に基づいて第2の露光工程のスキャンを、第1の露光工程のスキャン方向と平行な方向に行うか、又は直交する方向に行うかを決定する。したがって、第1の露光工程のスキャン方向と直交する方向のずれが大きくても平行な方向のずれが大きくても、いずれの場合においても円滑かつ高精度な位置合わせで第2の露光工程を行うことが可能であり、良好な結果が得られることが判明した。この場合、高精度の歪みの補正を実現させるためには、歪みの大きな成分を露光領域の長手方向の光学的補正で補正し、小さな成分をステージ移動の微調整で補正することが望ましいと考えられる。
【0077】
上述した実施形態とは逆に、第1の露光工程におけるスキャン方向24と直交する方向のずれが平行な方向のずれよりも大きくなる場合もあり、この場合には以下に示す操作を行う。図10はその場合の被露光基板上における露光のずれを示す平面図である。図10(b)は被露光基板(ウェハ)を示す平面図、図10(a)は1チップにおける露光のずれを示す平面図である。
【0078】
図10(a)に示すように、第1の露光工程において露光される領域35は理想の露光領域に対して歪んだものとなっており、第1の露光工程におけるスキャン方向34と直交する方向のずれが平行な方向のずれよりも大きくなっている。第2の露光工程においては、かかる直交方向のずれ及び平行方向のずれのうち大きなずれの方向と直交する方向にスキャンを行いながら第2の露光を行うので、結果として第1の露光工程におけるスキャン方向34と平行な方向にスキャンを行いながら第2の露光工程を行うこととなる。この第2の露光工程は図8の流れ図の左の経路に対応する。この場合においても円滑かつ高精度な位置合わせで第2の露光工程を行うことが可能である。なお、図10において、31は被露光基板(ウェハ)、32はチップ(露光単位)、33は同時に露光転写される領域である。
【0079】
より具体的には、あらかじめ被露光基板21、31のステージを走査することにより、被露光基板21、31上のマーク位置を検出・記憶しておき、実際の露光の際には記憶されたマーク位置に基づいて位置合わせを行う方法や、露光中に常に直後に露光する領域のマーク位置と焦点の検出を行い、フィードバックをかけながら露光する方法、チップ22、32毎に被露光基板21、31上のマーク位置を検出し、チップ毎に位置合わせの微調整を行いながら露光する方法等が適用可能である。
【0080】
さらに、第1、第2の実施形態と同様に、より高精度の重ね合わせ精度を達成するためには、倍率補正の機能が備わっていることが望ましい。
即ち、通常のステップ・アンド・スキャン型の露光装置においては、スキャン方向と直交する方向に関しては、光学系の縮小率を微調整することにより倍率を補正し、スキャン方向と平行な方向に関しては、マスクあるいは被露光基板ステージのスキャン速度を微調整することにより倍率を補正することが可能である。
【0081】
ここで、被露光基板の伸び縮みには、プロセスの不均一性や、被露光基板を搭載するステージ面の平坦度のむら等に起因して、面内に一様でない成分が存在する場合がある。このような不均一な成分の補正に対応するためには、倍率補正も、被露光基板全面で一様な補正を行う方法ではなく、露光中に微調整を行う方法が望ましい。
【0082】
したがって、先の実施形態と合わせて、第2の露光工程の際に、第1の露光工程により形成されたマークを検出し、検出された信号に基づいて、第1の露光工程の際のスキャン方向と直交する方向又は平行な方向にスキャンしつつ、スキャン速度、倍率、ステージ位置を制御しながら露光を行うことにより、高精度の位置合わせを行うことが可能となる。
【0083】
また、第1の実施形態で述べたように、先の実施形態とは逆に、X線を用いた第1の露光工程の後に紫外線を用いた第2の露光工程を行う場合においても、本発明を有効に適用することが可能である。
【0084】
また、本発明は、第1、第2の実施形態と同様に、紫外線露光装置とX線露光装置の組み合わせに限らず、ステップ・アンド・スキャン方式を用いる種々の露光装置間の組み合わせを用いることが可能である。
【0085】
(第4の実施形態)
図11は本発明の第4の実施形態における被露光基板上のパターンのずれを示す平面図である。図11(b)は被露光基板(ウェハ)を示す平面図、図11(a)は1チップにおけるパターンのずれを示す平面図である。
【0086】
図11に示すように、既に第1の露光工程(ステップ・アンド・スキャン型の露光方法に限らず、これ以外の露光方法でも良い。)により、被露光基板(ウェハ)41のチップ(露光単位)42上にはパターンとして配線群44がチップ42の縦方向に配列形成されている。この配線群44はチップ42の横方向46に長く延びて形成されている。配線群44の上には図示しない層間絶縁膜が形成されている。
【0087】
本実施形態においては、かかる配線群44のそれぞれに対して、この配線群44と後工程で形成される上層配線とを電気的に接続するためのコンタクトホール45を上記層間絶縁膜の随所に形成する。このコンタクトホール45を開口するためのレジストパターンを形成するために、図12に示すようにX線を光源に用いた第2のステップ・アンド・スキャン型露光装置を用いて、レジストの塗布と露光前の熱処理を行った被露光基板41に対して露光を行う。
【0088】
ここで、本実施形態のステップ・アンド・スキャン型X線露光装置が第3の実施形態のものと異なる点は、パターン位置情報比較手段124の代わりにパターン位置情報決定手段127が設けられている点である。
【0089】
X線マスク112のパターン位置情報と被露光基板114のパターン位置情報は、アライメント制御系121からパターン位置情報決定手段127へと伝達され、この決定手段127においてウエハ上のずれの一番大きな方向が決定され、その決定結果の情報はウエハステージ回転制御手段125へ伝達され、この回転駆動系126によりウエハステージ115がその中心軸の回りに回転駆動されてウエハ上のスキャン方向の設定が行われるようになっている。
【0090】
本実施形態の最大の特徴は、第1の露光により形成されたパターン(配線群44及びそれ以外の導体層)の一部を検出し、検出された信号に基づいて前記パターンのずれが一番大きな方向を決定し、ステップ・アンド・スキャン型の露光装置を用いて、前記ずれが一番大きな方向と直交する方向にスキャンを行いながら第2の露光を行うことである。
【0091】
即ち、パターンの一部として、例えば配線群44の一部若しくはこれとは別に設けた位置合わせマークを利用し、その位置を検出して、検出された信号に基づいて配線群44のずれが一番大きな方向を決定する。
【0092】
この決定は、例えば以下のようにして行うことができる。即ち、座標測定器や重ね合わせ精度測定器を用いた基準格子に対する歪みの測定において実現されているように、基準座標からのずれを数値化し、その数値が最大となる方向を決定することにより行うことが可能である。
【0093】
本実施形態においては、第1の露光工程と第2の露光工程の間に配線膜のエッチングや層間絶縁膜の成膜等の各種の工程を経ることにより、被露光基板41の配線群44は膜応力に起因する若干の伸び縮みを受ける。配線群44は特にその長手方向46に伸び縮みを受け易く、このためかかる長手方向46に開口すべきコンタクトホール45の位置が大きくずれてしまう。この位置ずれに合わせて第2の露光工程を行う必要があるので、結果としてかかるずれの方向(長手方向46)と直交する方向47にスキャンを行いながら第2の露光を行えば良いこととなる。この場合、同時に露光転写される領域を配線群44と平行な短冊状の領域43とし、この領域43の長手方向46と直交する方向47にスキャンを行う。
【0094】
ここで、図12のステップ・アンド・スキャン型の露光装置100の操作について述べる。第3の実施形態と同様に、被露光基板41(図12では114)はウエハステージ115に載置される。被露光基板41に設けられた位置合わせマークをアライメント光学系120により検出し、この光学系120により検出された信号に基づいて、パターン(配線群44)のずれが一番大きな方向(配線群44の長手方向)をパターン位置情報決定手段127により決定する。この決定手段127による決定結果に基づき、決定されたずれの方向と直交する方向47にスキャンを行って露光を行うことを可能とすべく、ウエハステージ回転制御手段125及びウエハステージ回転駆動系126を用いてウエハステージ115の回転を調整して被露光基板41の向きを制御する。
【0095】
次に、再度、露光後の熱処理と現像を済ませた後、ウェハ41はコンタクトホール45を形成するためのエッチングや洗浄等の工程を経て、さらに次の露光工程へ送られていく。
【0096】
本実施形態によれば、配線群44がその長手方向46に伸び縮みを受けコンタクトホール45の位置が大きくずれてしまっている等、下地パターンが理想位置からずれている場合においても、第2の露光工程を円滑かつ高精度な位置合わせで行うことが可能であり、良好な結果が得られることが判明した。この場合、高精度の歪みの補正を実現させるためには、歪みの大きな成分を露光領域の長手方向の光学的補正で補正し、小さな成分をステージ移動の微調整で補正することが望ましいと考えられる。
【0097】
より具体的には、あらかじめ被露光基板41のステージを走査することにより、被露光基板41上のマーク位置を検出・記憶しておき、実際の露光の際には記憶されたマーク位置に基づいて位置合わせを行う方法や、露光中に常に直後に露光する領域のマーク位置と焦点の検出を行い、フィードバックをかけながら露光する方法、チップ42毎に被露光基板41上のマーク位置を検出し、チップ毎に位置合わせの微調整を行いながら露光する方法等が適用可能である。
【0098】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、位置ずれの絶対値が大きな方向と直交する方向ではなく、位置ずれのばらつきが大きな方向と直交する方向にスキャンすることも可能である。
【0099】
即ち、一般に、ステージ移動の微調整においては、ステージが高速移動するために周波数成分の高い調整は精度の劣化を招き易いが、光学的な補正であれば高周波数の補正が比較的容易である。このため、必要な補正のばらつきの大きな方向と直交する方向にスキャンを行い、ばらつきの大きい、即ち周波数成分の高い方向の補正を光学的な補正により行い、ばらつきの小さい、即ち周波数成分の低い方向の補正をステージ移動の微調整により行うことが望ましい。
その他、その趣旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0100】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の露光方法及び露光装置によれば、ステップ・アンド・スキャン露光を行う場合に、下地パターンに対して高精度な重ね合わせを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る工程を示す流れ図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る被露光基板上における露光のずれを示す平面図。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る被露光基板上における露光のずれを説明する説明図。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る露光方法を示す平面図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る工程を示す流れ図。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る被露光基板上における露光のずれを示す平面図。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る露光方法及び従来の露光方法を示す平面図。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る工程を示す流れ図。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る被露光基板上における露光のずれを示す平面図。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る被露光基板上における露光の他のずれの例を示す平面図。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る被露光基板上におけるパターンのずれを示す平面図。
【図12】本発明に係るステップ・アンド・スキャン型の露光装置の構造を示す概略図。
【符号の説明】
1、11、21、31、41…被露光基板(ウェハ)
2、12、22、32、42…露光単位(チップ)
3a、3b、13a、13b、23、33、43…同時に露光される露光領域
4、10、14、20、24、34、44、47…スキャン方向
5、15、16、17、25、35…実際に露光される転写パターン形状(歪みを強調してある。)
6、26…理想的な転写パターン形状
7、46…短冊長手方向(スキャン直交方向)
8、18a、18b…位置合わせマーク
9、19…補正を行った場合に、第2の露光により転写されるパターン形状
44…配線群
45…コンタクトホール

Claims (14)

  1. ステップ・アンド・スキャン型の露光装置を用いて第一の露光を
    行う工程と、ステップ・アンド・スキャン型の露光装置を用いて、前記第一の露光の際のスキャン方向と直交する方向にスキャンを行いながら第二の露光を行う工程とを具備したことを特徴とする露光方法。
  2. 前記第一の露光により形成されたパターンの一部を検出し、検出された信号に基づいて前記第一の露光のずれを吸収しながら前記第二の露光を行うことを特徴とする請求項1記載の露光方法。
  3. 前記第一の露光により形成されたパターンの一部を検出し、検出された信号に基づいてスキャン速度、倍率、ステージ位置の少なくとも一つを制御しながら前記第二の露光を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の露光方法。
  4. 前記第一の露光及び前記第二の露光は、ミックス・アンド・マッチ方式を用いた露光であることを特徴とする請求項1乃至3記載の露光方法。
  5. ステップ・アンド・スキャン型の露光装置を用いて第一の露光を行う工程と、前記第一の露光により形成されたパターンの一部を検出する工程と、検出された信号に基づいて前記第一の露光の際のスキャン方向と直交する方向のずれ及び平行な方向のずれを比較する工程と、ステップ・アンド・スキャン型の露光装置を用いて、前記両方向のずれのうち大きなずれの方向と直交する方向にスキャンを行いながら第二の露光を行う工程とを具備したことを特徴とする露光方法。
  6. 前記第一の露光により形成されたパターンの一部を検出し、検出された信号に基づいて前記第一の露光のずれを吸収しながら前記第二の露光を行うことを特徴とする請求項記載の露光方法。
  7. 前記第一の露光により形成されたパターンの一部を検出し、検出された信号に基づいてスキャン速度、倍率、ステージ位置の少なくとも一つを制御しながら前記第二の露光を行
    うことを特徴とする請求項又は記載の露光方法。
  8. 前記第一の露光及び前記第二の露光は、ミックス・アンド・マッチ方式を用いた露光であることを特徴とする請求項乃至記載の露光方法。
  9. 第一の露光を行ってパターンを形成する工程と、形成された前記パターンの一部を検出する工程と、検出された信号に基づいて前記パターンのずれが一番大きな方向を決定する工程と、ステップ・アンド・スキャン型の露光装置を用いて、前記ずれが一番大きな方向と直交する方向にスキャンを行いながら第二の露光を行う工程とを具備したことを特徴とする露光方法。
  10. 形成された前記パターンの一部を検出し、検出された信号に基づいて前記パターンのずれを吸収しながら前記第二の露光を行うことを特徴とする請求項記載の露光方法。
  11. 形成された前記パターンの一部を検出し、検出された信号に基づいてスキャン速度、倍率、ステージ位置の少なくとも一つを制御しながら前記第二の露光を行うことを特徴とする請求項又は10記載の露光方法。
  12. 前記第一の露光及び前記第二の露光は、ミックス・アンド・マッチ方式を用いた露光であることを特徴とする請求項乃至11記載の露光方法。
  13. 被露光試料が載置される回転可能な試料台と、前記被露光試料の露光を制御する露光光学系とを備えたステップ・アンド・スキャン型の露光装置であって、第一の露光により形成された前記被露光試料上のパターンの一部を検出する検出手段と、該検出手段により検出された信号に基づいて前記第一の露光の際のスキャン方向と直交する方向のずれ及び平行な方向のずれを比較する比較手段と、該比較手段によるずれの比較結果に基づき、前記両方向のずれのうち大きなずれの方向と直交する方向にスキャンを行って第二の露光を行うことを可能とすべく、前記試料台の回転を調整して前記第一の露光が行われた前記被露光試料の向きを制御する制御手段とを具備したことを特徴とする露光装置。
  14. パターンが形成された被露光試料が載置される回転可能な試料台と、前記被露光試料の露光を制御する露光光学系とを備えたステップ・アンド・スキャン型の露光装置であって、前記被露光試料上のパターンの一部を検出する検出手段と、該検出手段により検出された信号に基づいて前記パターンのずれが一番大きな方向を決定する決定手段と、該決定手段による決定結果に基づき、前記ずれが一番大きな方向と直交する方向にスキャンを行って露光を行うことを可能とすべく、前記試料台の回転を調整して前記被露光試料の向きを制御する制御手段とを具備したことを特徴とする露光装置。
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