JP3549567B2 - 光学活性スカンジウム錯体および光学活性環状化合物の製造方法 - Google Patents
光学活性スカンジウム錯体および光学活性環状化合物の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、新規な触媒、およびイリドイドやエイコサノイド等の生理活性化合物の合成中間体として有用な光学活性環状化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、シクロペンタジエンとオレフィンとの反応により光学活性環状化合物を合成する方法としては、光学活性なルイス酸触媒を使用する方法がいくつか提案されている〔ジャーナル オブ ザ ケミカル ソサエティー,ケミカル コミュニケーションズ(J. Chem. Soc., Chem. Commun.)、437 頁(1979年);ヘルベティカ キミカ アクタ(Helv.Chim.Acta)、70巻、436 頁(1987年);ジャーナル オブ ジ アメリカン ケミカル ソサエティー(J. Am. Chem. Soc.)、110 巻、310 頁(1988年);ジャーナル オブ ジ アメリカン ケミカルソサエティー(J. Am. Chem. Soc.)、111 巻、5340頁(1989年);ジャーナルオブ ジ アメリカン ケミカル ソサエティー(J. Am. Chem. Soc.)、111 巻、5493頁(1989年);テトラヘドロン アシンメトリー(Tetrahedron Asym.)、2 巻、639 頁(1991年);テトラヘドロン アシンメトリー(Tetrahedron Asym.)、2 巻、643 頁(1991年);シンセシス(Synthesis)、1 頁(1991年)等参照〕。
【0003】
また、光学活性なランタノイド触媒を用いた方法として、核磁気共鳴シフト試薬である光学活性なユウロピウム化合物を用いた方法も知られているが、その光学収率はそれほど高くない〔テトラヘドロン レターズ(Tetrahedron Letters)、24巻、3451頁(1983年)参照〕。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、種々の触媒を用いて光学活性環状化合物を合成する方法が開発されているが、工業的に利用されているものはまだなく、高い光学収率を与え汎用性が高く回収が可能な触媒、およびそれを用いた光学活性環状化合物の製造方法の開発が望まれているのが現状である。
【0005】
本発明の目的は、高い光学収率を与える新規な触媒、およびそれを用いた高い光学純度の光学活性環状化合物の製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく、高い光学収率を与える触媒系を鋭意検討した結果、本発明に到達した。
【0007】
即ち、本発明は、式(I)
【0008】
【化5】
【0009】
(式中、Rは塩基を示し、Rf はパーフルオロアルキル基を示す。)
で表される光学活性スカンジウム錯体に関する。
【0010】
また、本発明は、上記光学活性スカンジウム錯体の存在下に、式(II)
【0011】
【化6】
【0012】
(式中、R1 、R2 およびR3 は同一または異なって、それぞれ水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、アラルキルオキシ基、保護された水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アラルキル基またはアリール基を示し、これらは置換基を有していてもよく、R4 は電子求引性基を示す。また、R1 とR2 、R3 とR4 、またはR2 とR4 は一緒になって環を形成する基を示してもよい。)
で表されるオレフィンと、式(III)
【0013】
【化7】
【0014】
(式中、R5 、R6 、R7 、R8 、R9 およびR10は同一または異なって、それぞれ水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、アラルキルオキシ基、保護された水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、2置換アミノ基、アラルキル基またはアリール基を示し、これらは置換基を有していてもよい。また、R5 とR6 、R7 とR8 、R5 とR7 、R8 とR10、R9 とR10、またはR6 とR9 は一緒になって環を形成する基を示してもよい。)
で表されるジエンとを反応させることを特徴とする、式(IV)
【0015】
【化8】
【0016】
(式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 、R8 、R9 およびR10は前記定義の通りである。)
で表される光学活性環状化合物の製造方法に関する。
【0017】
本明細書中で使用されている各記号について以下に説明する。
Rにおける塩基としては、三級アミン等が挙げられる。具体的には、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルジメチルピペリジン、N−メチルテトラメチルピペリジン等が挙げられ、好ましくはN−メチルジメチルピペリジン、N−メチルテトラメチルピペリジンである。
【0018】
Rf におけるパーフルオロアルキル基とは、そのアルキル基部分が直鎖または分岐鎖状の炭素数1〜10(後述と同様)のものが挙げられ、好ましくはトリフルオロメチル基である。
【0019】
R1 〜R3 、R5 〜R10におけるアルキル基とは、直鎖または分岐鎖状の炭素数1〜20のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、テトラデシル基、ヘプタデシル基、イコシル基等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基である。
【0020】
R1 〜R3 、R5 〜R10におけるシクロアルキル基とは、炭素数3〜7のシクロアルキル基であり、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられ、好ましくはシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基である。
【0021】
R1 〜R3 、R5 〜R10におけるアルケニル基とは、二重結合を1個または2個以上有し、直鎖または分岐鎖状の炭素数2〜20のアルケニル基であり、例えば4−メチル−3−ペンテニル基、4,8−ジメチル−3,7−ノナジエニル基等が挙げられる。
【0022】
R1 〜R3 、R5 〜R10におけるアルコキシル基とは、直鎖または分岐鎖状の炭素数1〜10のアルコキシル基であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、アリルオキシ基、t−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられ、好ましくはメトキシ基、t−ブトキシ基である。
【0023】
R1 〜R3 、R5 〜R10におけるアラルキルオキシ基とは、例えばベンジルオキシ基等が挙げられる。
【0024】
R1 〜R3 、R5 〜R10における保護された水酸基としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基等のアシルオキシ基;メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基等のアルコキシカルボニルオキシ基;べンジルオキシカルボニルオキシ基等のアラルキルオキシカルボニルオキシ基;トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、t−ブチルジフェニルシリルオキシ基等の三置換シリルオキシ基;メトキシメトキシ基、エトキシエトキシ基等のアルコキシアルコキシ基;テトラヒドロピラニルオキシ基等が挙げられ、好ましくはアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリメチルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基である。
【0025】
R1 〜R3 、R5 〜R10におけるハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0026】
R1 〜R3 、R5 〜R10におけるアラルキル基としては、ベンジル基、メトキシベンジル基、クロロベンジル基、メチルベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等が挙げられ、好ましくはベンジル基である。
【0027】
R1 〜R3 、R5 〜R10におけるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
【0028】
R1 〜R3 におけるアルコキシカルボニル基としては、直鎖または分岐鎖状の炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基であり、そのアルコキシ部分は前述と同様であり、具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等が挙げられ、好ましくはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基である。
【0029】
R1 〜R3 におけるアシル基とは、炭素数1〜20のアルカノイル基、アロイル基等であり、具体的には、ホルミル基、アセチル基、トリフルオロアセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等が挙げられ、好ましくはアセチル基、ベンゾイル基である。
【0030】
R5 〜R10における2置換アミノ基は、置換基としてアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基等を有していてもよく、かかる2置換アミノ基は、環状のものであってもよい。具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジベンジルアミノ基等のジアルキルアミノ基またはジアラルキルアミノ基;メチルフェニルアミノ基、ベンジルフェニルアミノ基等のアルキルアリールアミノ基またはアラルキルアリールアミノ基;ピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、N−メチルピペラジニル基、N−ベンジルピペラジニル基、N−メチルホモピペラジニル基等の環状アミノ基;メチルホルミルアミノ基、メチルアセチルアミノ基、ベンジルホルミルアミノ基、フェニルアセチルアミノ基等のアシルアミノ基;メチルメトキシカルボニルアミノ基、フェニルメトキシカルボニルアミノ基等のアルコキシカルボニルアミノ基;フタルイミド基、スクシンイミド基等のイミド基が挙げられる。
【0031】
R1 〜R3 、R5 〜R10における上記の基は、具体例として一部挙げてもいるように、置換基を有していてもよく、当該置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、保護された水酸基、ハロゲン原子、2置換アミノ基、シアノ基、アラルキル基またはアリール基(以上、前述と同様)等が挙げられる。
【0032】
R4 における電子求引性基としては、アシル基(前述と同様)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(前述と同様)、置換または無置換のカルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、アルカンスルホニル基(アルカン部分は前述のアルキル基と同様)、アレーンスルホニル基(アレーン部分は前述のアリール基と同様)等が挙げられる。また、置換カルバモイル基としては、(2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−3−イル)カルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基等が挙げられ、好ましくは(2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−3−イル)カルボニル基である。
【0033】
R1 とR2 、R3 とR4 、R5 とR6 、またはR9 とR10における、環を形成する基としては、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、オキサトリメチレン基、エチレンジオキシ基等が挙げられ、これらは隣接する炭素と一緒になって5員環または6員環を形成する。
【0034】
R2 とR4 、R5 とR7 、またはR8 とR10における、環を形成する基としては、トリメチレン基、テトラメチレン基、オキサトリメチレン基、エチレンジオキシ基等が挙げられ、これらは隣接する炭素と一緒になって5員環または6員環を形成する。
【0035】
R7 とR8 が一緒になって環を形成する基としては、トリメチレン基、テトラメチレン基、オキサトリメチレン基、エチレンジオキシ基等が挙げられ、これらは隣接する炭素と一緒になって5員環または6員環を形成する。
【0036】
R6 とR9 が一緒になって環を形成する基としては、隣接する炭素と一緒になってシクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、フラン等を形成する基等が挙げられる。
【0037】
本発明の式(I)で表される光学活性スカンジウム錯体は、スカンジウムパーフルオロアルカンスルホナート、光学活性ビナフトールおよび塩基とを、モレキュラーシーブの共存下または非共存下、不活性溶媒中で混合することにより調製される。
【0038】
スカンジウムパーフルオロアルカンスルホナートとしては、スカンジウムトリフルオロメタンスルホナート(以下、スカンジウムトリフラートともいう)、スカンジウムパーフルオロエタンスルホナート等が挙げられ、好ましくはスカンジウムトリフラートである。
【0039】
光学活性ビナフトールとは、〔1,1’−ビナフタレン〕−2,2’−ジオールの光学活性体のことである。
【0040】
塩基としては前述と同様のものが挙げられる。
【0041】
光学活性ビナフトールの使用量は、スカンジウムパーフルオロアルカンスルホナートに対して0.5〜2モル当量、好ましくは0.8〜1.5モル当量である。
また、塩基の使用量は、スカンジウムパーフルオロアルカンスルホナートに対して1.5〜3モル当量、好ましくは1.8〜2.5モル当量である。
【0042】
上記錯体調製反応で用いられる不活性溶媒としては、ヘキサン、ベンゼン等の炭化水素系溶媒、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、塩化メチレン等が用いられ、好ましくは塩化メチレンである。
【0043】
錯体調製温度としては、通常−20℃〜40℃、好ましくは0℃近辺(−10〜20℃)である。
錯体調製時間としては、通常0.1〜8時間、好ましくは1〜3時間である。
【0044】
また、触媒としての上記光学活性スカンジウム錯体の存在下、式(II)で表されるオレフィン(以下、オレフィンともいう)と、式(III) で表されるジエン(以下、ジエンともいう)とを反応させることにより、式(IV)で表される光学活性環状化合物を製造することができる。
また、前記触媒調製後、触媒を単離せずに、引続き環化反応を行うこともできる。
【0045】
オレフィンは、式(II)で表されるものであれば特に限定されないが、好ましくはアクリル酸メチル、クロトン酸メチル、桂皮酸メチル、アクロレイン、メタクロレイン、3−アクリロイル−1,3−オキサゾリジン−2−オン、3−クロトノイル−1,3−オキサゾリジン−2−オン、3−シンナモイル−1,3−オキサゾリジン−2−オン、アクリロニトリル、3−(2−ヘキセノイル)−1,3−オキサゾリジン−2−オン等が挙げられる。
【0046】
また、ジエンは、式(III) で表されるものであれば特に限定されないが、好ましくは置換基を有していてもよいシクロアルカジエン(例えばシクロペンタジエン、1,3−シクロアルカジエン等)、置換基を有していてもよいアルカジエン(例えば2−メチルブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン等)等が挙げられ、より好ましくはシクロペンタジエンである。
【0047】
触媒の使用量は、オレフィン1モルに対して0.001〜1モルであり、好ましくは0.01〜0.5モルである。
ジエンは、オレフィンに対して1モル当量以上使用され、溶媒量使用してもよい。
【0048】
溶媒としては、上記錯体調製反応で用いられた不活性溶媒等が挙げられる。
反応温度はオレフィンの種類、触媒量等によっても異なるが、通常−20℃〜40℃、好ましくは0℃〜30℃である。
反応時間は反応温度、触媒量等によっても異なるが、通常10分間〜2日間、好ましくは1〜24時間である。
【0049】
光学活性環状化合物の製造においては、上記以外にも必要に応じて、3−アセチル−1,3−オキサゾリジン−2−オン、3−ベンゾイル−1,3−オキサゾリジン−2−オン等を添加することもできる。
【0050】
この様にして得られた光学活性環状化合物の反応混合物からの単離・精製は、通常の有機反応において行われている単離・精製方法と同様にして行われる。例えば、反応混合物に水を加え、生成した沈澱を濾別し、濾液を通常の単離精製操作、例えば再結晶、クロマトグラフィ等により精製することにより行われる。
【0051】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0052】
実施例1
アルゴン雰囲気下、スカンジウムトリフラート0.1mmol、(R)−(+)−ビナフトール0.12mmol、およびモレキュラーシーブ4A125mgを塩化メチレン1ml中で撹拌し、N−メチル−2,6−ジメチルピペリジン0.24mmolを0℃で加えて30分間撹拌した。
ついで、反応液を−78℃に冷却し、3−クロトノイル−1,3−オキサゾリジン−2−オン0.5mmolの塩化メチレン0.25ml溶液およびシクロペンタジエン1.5mmolの塩化メチレン0.5ml溶液を加えたのち、徐々に0℃まで昇温し10時間撹伴を続けた。得られた反応液に水を加え、不溶物を濾別し、濾液を食塩水で洗浄したのち、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製することにより、下記の物性を有する5−メチル−6−(2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−3−イル)カルボニル−2−ノルボルネンを94%の収率で得た。この化合物のendo/exo比は89/11であり、endo体の光学純度は92%であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3 )δ:
1.0 (d, 3H, J=7.0Hz), 1.2-2.1 (m, 3H), 2.46 (brs, 1H), 3.25 (brs, 1H),
3.48 (dd, 1H), 3.8-4.6 (m, 4H), 5.77 (dd, 1H, J=2.4, 5.4Hz),
6.43 (dd, 1H, J=3.4, 5.4Hz)
IR(neat, cm-1):1775, 1698
[α] D 25= -197 °(CCl4)
【0053】
実施例2
アルゴン雰囲気下、スカンジウムトリフラート0.1mmol、(R)−(+)−ビナフトール0.12mmol、およびモレキュラーシーブ4A250mgを塩化メチレン1ml中で撹拌し、N−メチル−2,6−ジメチルピペリジン0.24mmolを0℃で加えて30分間撹拌した。
ついで、反応液を−78℃に冷却し、3−アセチル−1,3−オキサゾリジン−2−オン0.5mmolおよび3−アクリロイル−1,3−オキサゾリジン−2−オン0.5mmolの塩化メチレン0.25ml溶液およびシクロペンタジエン1.5mmolの塩化メチレン0.5ml溶液を加えたのち、徐々に0℃まで昇温し10時間撹拌を続けた。得られた反応液に水を加え、不溶物を濾別し、濾液を食塩水で洗浄したのち、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製することにより、下記の物性を有する6−(2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−3−イル)カルボニル−2−ノルボルネンを55%の収率で得た。この化合物のendo/exo比は90/10であり、endo体の光学純度は30%であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3 )δ:
1.38-1.54 (m, 3H), 1.90-2.00 (m, 1H), 2.94 (d, 1H, J=0.66Hz),
3.30 (d, 1H, J=0.66Hz), 3.91-4.07 (m, 3H), 4.37-4.45 (m, 2H),
5.87 (dd, 1H, J=2.80, 5.61Hz), 6.25 (dd, 1H, J=2.97, 5.61Hz)
[α] D 25= -51°(CCl4)
【0054】
実施例3
アルゴン雰囲気下、スカンジウムトリフラート0.1mmol、(R)−(+)−ビナフトール0.12mmol、およびモレキュラーシーブ4A125mgを塩化メチレン1ml中で撹拌し、N−メチル−2,6−ジメチルピペリジン0.24mmolを0℃で加えて30分間撹拌した。
ついで、反応液を−78℃に冷却し、3−アセチル−1,3−オキサゾリジン−2−オン0.5mmolおよび3−(2−ヘキセノイル)−1,3−オキサゾリジン−2−オン0.5mmolの塩化メチレン0.25ml溶液およびシクロペンタジエン1.5mmolの塩化メチレン0.5ml溶液を加えたのち、徐々に0℃まで昇温し10時間撹拌を続けた。得られた反応液に水を加え、不溶物を濾別し、濾液を食塩水で洗浄したのち、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製することにより、下記の物性を有する5−プロピル−6−(2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−3−イル)カルボニル−2−ノルボルネンを95%の収率で得た。この化合物のendo/exo比は78/22であり、endo体の光学純度は74%であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3 )δ:
0.7 (m, 3H), 1.0-1.8 (m, 4H), 2.01 (brs, 1H), 2.63 (brs, 1H),
3.27 (brs, 1H), 3.57 (dd, 1H, J=2.0, 3.0Hz), 3.8-4.2 (m, 2H),
5.77 (dd, 1H, J=2.0, 4.0Hz), 6.35 (dd, 1H, J=2.0, 4.0Hz)
IR(neat, cm-1):1775, 1695
[α] D 25= -146 °(CCl4)
【0055】
実施例4
実施例1において、3−クロトノイル−1,3−オキサゾリジン−2−オン0.5mmolの代わりに3−シンナモイル−1,3−オキサゾリジン−2−オン0.5mmolを用いた以外は、実施例1と同様に反応および分離精製を行うことにより、下記の物性を有する5−フェニル−6−(2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−3−イル)カルボニル−2−ノルボルネンを99%の収率で得た。この化合物のendo/exo比は89/11であり、endo体の光学純度は93%であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3 )δ:
1.2-2.0 (m, 2H), 2.85 (brs, 1H), 3.6-4.4 (m, 5H),
5.80 (dd, 1H, J=2.2, 5.4Hz), 6.41 (dd, 1H, J=2.4, 5.4Hz),
6.9-7.6 (m, 5H)
IR(neat, cm-1):1770, 1695
[α] D 25= -147 °(CCl4)
【0056】
実施例5
実施例3において、シクロペンタジエン1.5mmolの代わりに1,3−シクロへキサジエン1.5mmolを用い、3−(2−へキセノイル)−1,3−オキサゾリジン−2−オン0.5mmolの代わりに3−アクリロイル−1,3−オキサゾリジン−2−オン0.5mmolを用いた以外は、実施例3と同様に反応および分離精製を行うことにより、5−(2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−3−イル)カルボニルビシクロ〔2.2.2〕オクト−2−エンを68%の収率で得た。この化合物のendo/exo比は100/0であり、endo体の光学純度は62%であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3 )δ:
1.20-1.30 (m, 2H), 1.50-1.90 (m, 4H), 2.61-2.64 (m, 1H),
2.82-2.85 (m, 1H), 3.72-3.79 (m, 1H), 3.98 (t, 2H, J=8.75Hz),
4.36-4.44 (m, 2H), 6.15 (dd, 1H, J=7.25, 7.26Hz),
6.34 (dd, 1H, J=6.93, 7.26Hz)
【0057】
実施例6
実施例3において、シクロペンタジエン1.5mmolの代わりに2,3−ジメチルブタジエン1.5mmolを用い、3−(2−へキセノイル)−1,3−オキサゾリジン−2−オン0.5mmolの代わりに3−アクリロイル−1,3−オキサゾリジン−2−オン0.5mmolを用い、N−メチル−2,6−ジメチルピペリジンの代わりにN−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンを用いた以外は、実施例3と同様に反応および分離精製を行うことにより、3−(3,4−ジメチル−3−シクロヘキセンカルボニル)−1,3−オキサゾリジン−2−オンを74%の収率で得た。この化合物の光学純度は72%であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3 )δ:
1.62 (s, 6H), 1.88-2.22 (m, 6H), 3.63-3.72 (m, 1H),
4.03 (dd, 2H, J=7.92, 8.08Hz), 4.42 (dd, 2H, J=7.92, 8.58Hz)
【0058】
実施例7
実施例6において、2,3−ジメチルブタジエン1.5mmolの代わりに2−メチルブタジエン1.5mmolを用いた以外は、実施例6と同様に反応および分離精製を行うことにより、3−(4−メチル−3−シクロヘキセンカルボニル)−1,3−オキサゾリジン−2−オンを87%の収率で得た。この化合物の光学純度は79%であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3 )δ:
1.62 (s, 6H), 1.88-2.23 (m, 6H), 3.63-3.69 (m, 1H),
4.03 (dd, 2H, J=6.44, 9.77Hz), 4.42 (dd, 2H, J=6.44, 9.74Hz),
5.39 (t, 1H, J=1.49Hz)
【0059】
実施例8
実施例5において、3−アセチル−1,3−オキサゾリジン−2−オン0.5mmolの代わりに3−ベンゾイル−1,3−オキサゾリジン−2−オン0.5mmolを用いた以外は、実施例5と同様に反応および分離精製を行うことにより、5−(2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−3−イル)カルボニルビシクロ〔2.2.2〕オクト−2−エンを88%の収率で得た。この化合物のendo/exo比は100/0であり、endo体の光学純度は72%であった。
【0060】
実施例9
実施例6において、3−アセチル−1,3−オキサゾリジン−2−オン0.5mmolの代わりに3−ベンゾイル−1,3−オキサゾリジン−2−オン0.5mmolを用いた以外は、実施例6と同様に反応および分離精製を行うことにより、3−(3,4−ジメチル−3−シクロヘキセンカルボニル)−1,3−オキサゾリジン−2−オンを78%の収率で得た。この化合物の光学純度は73%であった。
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、イリドイド、エイコサノイド等の生理活性物質の合成中間体として有用な光学活性環状化合物を、高い光学収率、光学純度で製造するための触媒、および当該触媒を用いた光学活性環状化合物の製造方法が提供される。
Claims (4)
- 請求項1記載の光学活性スカンジウム錯体の存在下に、式(II)
で表されるオレフィンと、式(III)
で表されるジエンとを反応させることを特徴とする、式(IV)
で表される光学活性環状化合物の製造方法。 - 式(III) で表されるジエンが置換基を有していてもよいシクロアルカジエンである請求項2記載の光学活性環状化合物の製造方法。
- 式(III) で表されるジエンがシクロペンタジエンである請求項2記載の光学活性環状化合物の製造方法。
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